※東方緋想天のネタバレがあります。ご注意ください 紅魔館の地下にある大図書館。 そこにはあらゆる本が納められており、魔道書のみならず、辞書やら日記まで、幅広い種類の本がある。 そんな図書館に居を構え、年がら年中その場所で本を読み漁る少女が、紫の長髪にネグリジェのような姿のパチュリー・ノーレッジであり、その使い魔の役割を果たし、なおかつ司書としての仕事をこなすのが、この赤い長髪の小悪魔という少女である。 この図書館はとても広い。何しろ天井にまで届く本棚に、ギッシリと本が積み込まれており、なおかつその本棚もゆうに百を超える勢いで立っている。 そんな場所を、小悪魔一人が本を探し出したり、または直したりといった仕事をこなしているが、今回ばかりはさすがのパチュリーも小悪魔だけに任せるのは酷だと判断したらしい。 外の世界からの書物が大量に入荷したこともあり、いまだに分別中の書物。 千冊は超えるだろう、その大量の書物を前に四苦八苦しているのは最近まったく別の世界から訪れた来訪者達。 「銀さ~ん。この数学論理って本、どこに置いたらいいんですか?」 「う~ん、そこ置いとけや新八。後で銀さんがやっとくから」 「ってオィィィィィイイイイイイ!! 何マンガ読んでんのアンタ!! 仕事しろよ!! アンタのトコだけ一向に終わってねぇじゃねぇかぁぁぁああああああ!!!」 あ~、うるさいなぁなどと思いつつ、パチュリーは件の三人と一匹、そしてここ最近よろず屋メンバーになったらしい比那名居天子と風見幽香に鬱陶しそうな視線を向け、程なくしてもとの読書に没頭する。 一体どういう経緯であの天人と妖怪が一緒にいるのは不明だが、それでもはたから見ている分にはうまくやっているらしい。 まるでプチ博麗神社みたいだと思ったが、それを表情に出すことも言葉にすることもない。 なんにしても、後は彼らに任せておいて大丈夫だろう。自分は本を読んでいればそれでいい。 大丈夫だと思うことと、不安に思うことはまったくの別の問題だが。 ■東方よろず屋■ ■第五話「図書館に引きこもっても肝心なことはわからない」■ 「それじゃ、この本の束はどこまでもって行けばいいの?」 「あ、はい天人さま。それはあそこの上のほうにお願いします」 優に二十冊近くは積み上げられた本を持って、天子は小悪魔に問いかけ、その指示通りに「OK」と返事して飛翔すると、指定された場所にまで本を運んでいく。 パチュリーが呼んできた助っ人は、人間と妖怪、更に天人というある意味混沌とした混成部隊。 その混沌具合に一瞬何事と思わなくもなかったが、しっかり仕事をしてくれているので個人的には大助かりだった。 ……まぁ、なんというか約一名を除いて。 「あの、スミマセン銀時さん。まったく終わってないように見えるんですが?」 一応助っ人ということなんで、強く出れないでいる小悪魔。 その視線の先には今回の助っ人のうちの一人である坂田銀時が、やる気なさそうに漫画を読んでいる。 タイトルは【武装錬金】とか何とか書かれてあったが、それはこの際余談ある。 「ん~、やりますよ~、やってますよ~銀さんは。……アンタ名前なんだっけ?」 「……はぁ。私には名前はありません。小悪魔とでも呼んでください。いや、だからやってませんよね? これっぽっちもやってないですよね?」 銀時の言葉に、小悪魔はジト目で睨みつけながら言葉をつむぐ。 そんな彼女の言葉が聞こえているのかいないのか、難しい顔で黙り込み、再び漫画を読み始める。 「ちょっと待っててくんない? これ読み終わったらちゃんとやるからよ、少し待っててくれや。こぁ」 「……わかりました。読み終わったらちゃんとやってくださいよ。……て、なんですかその『こぁ』って?」 諦めたように呟いて、そう妥協したところでその言葉に気がつく。 そんな彼女の反応を見て、銀時は後頭部をがりがりと掻きながら、読み終わったらしく漫画を閉じる。 「オメェだよ、オメェのあだ名。いいじゃねぇの、こぁって。呼びやすいし字数少ないし」 「そりゃそうですけど……、安易過ぎませんか? そのあだ名」 「あだ名なんてそんなもんだって。なぁ、ゆうかりん」 小悪魔の後ろのほうから歩いてくる幽香に話を振る銀時。 小悪魔が幽香に振り返ると、そこには満面の笑顔なのにどこか負のオーラを感じる風見幽香の姿。 ゾクリと背筋に怖気が走り、バッと身を引く小悪魔。 そんな彼女が視界に入っているのかいないのか、幽香はツカツカと優雅に歩を進め、銀時の前に立つと思いっきり傘で頬を引っ叩いた。 グシャという凶器の割にはオカシイ音。物理法則によって引きちぎれんばかりに捻られる首。「あぶふぁっ!?」なんていう意味不明な悲鳴を聞きながら、幽香は綺麗な笑みを浮かべ、そして一言。 「仕事してね銀時。仮にもあなたがこのよろず屋のトップなんだから。じゃないと殴るわよ?」 「……殴る前に聞かない? そういうの」 だくだくと鼻血を出しながら講義する銀時。明らかに今の致命傷っぽい感じだったのに、鼻血だけですむって一体どうなんだろう? と思わなくもないが、概ね幽香と同意見だったので何もいわない小悪魔。 そんななか、本を一まとめにおいてある場所に戻ってきた新八が、幽香に同意するように言葉にする。 「幽香さんのいうとおりですよ、銀さん。さっきから何もしてないじゃないですか」 「馬鹿いうな新八。やってただろーが、本の分別を」 「やってねぇよ!! 漫画読んでただけじゃねぇか!! アレを本の分別とか抜かすかコノヤロー!!!」 怒り心頭といった具合にツッコミを入れる新八。あの様子だと苦労しているみたいだと、ちょっぴり親近感を覚えてしまう小悪魔だったが、そんなことを感じる暇は、生憎ない。 何しろこの量の本を今日中に分別して、なおかつ本棚に直さないといけないのだから。 残念ながら、ここの主であるパチュリーはそういうことを手伝わないので、完璧に戦力外なわけだが。 「ちょっと、終わってないじゃない銀さん。というかむしろ減ってないんじゃないの?」 さっきの本の束を直し終えたのか、天子がため息混じりに銀時に話しかける。 実際、彼の担当分だけまったくといっていいほど片付いていない。他のメンバーは大体半数ぐらいは終わっているというのに、彼のところだけは致命的に片付いていなかった。 「仕方ねぇじゃねぇか。内容見なきゃ分別できねーし、自分のペースでやらせてくれたっていいじゃないの。なぁ、てんこ」 ミゴスッ!! 「……殴るわよ?」 「いやだからさ、殴る前に聞かない、そういうの?」 うっかりしちゃったてんこ発言に、天子に全力で要石を顔面に叩きつけられ、またもや鼻血を噴出しながら講義することになる坂田銀時。 そろそろ鼻血で貧血になりそうな勢いではある。 「それにしても、小悪魔さん凄いよね。もう自分の分終わったんだ」 「えぇ、新八君。私はなれてますから」 何しろ本職だし、もう何十年単位でここで仕事をしているのだから、当然といえば当然だ。 自分の分の仕事を終え、他のメンツの手伝いをしようと戻ってきたのだが……どうやらこれは、この一向にやる気のない男の手伝いをする羽目になりそうである。 これからのことを想像して小悪魔がため息をつくそんな中、図書館の入り口が開き、この館のメイド長を勤める少女が入室してくる。 肩口で乱雑に切りそろえた銀髪の少女の名は十六夜咲夜。この館の主、レミリア・スカーレットに仕える人間の従者は、人数分の紅茶が乗ったトレイを片手にパチュリーが居る机にまで歩みを進めた。 「パチュリー様。紅茶が出来ましたよ」 「そう、ご苦労様、咲夜」 魔道書に眼を通しながら、パチュリーは咲夜のそう言葉をかけてねぎらう。 その言葉に「ありがとうございます」と一礼してから、咲夜は銀時たちに視線を向けた。 「皆さんも、コチラにいらして紅茶などいかがでしょう? 一応、人数分用意いたしておりますが?」 営業スマイルを浮かべたまま、咲夜はそう言葉にする。 その言葉に断る理由もないのか、小悪魔を除くよろず屋メンバーはそそくさと机に移動する。 そんな様子を見て、小さくため息をつく小悪魔だったが、「まぁいいか」と呟いて銀時が残していた本の片付けに取り掛かろうとして、銀時にずるずると引きずられていく。 「ちょ、銀時さん!? 私まだ仕事が……」 「はいはい、落ち着けやこぁ。自分の分は終わったんだろ? だったらイイじゃねぇの。少し休憩しとけ」 抗議の声を上げる小悪魔を無視して、ずるずると引きずって椅子に座らせる銀時。 生憎、小悪魔はパチュリーと同じ席に着いたことはなく、緊張しっぱなしで固まってしまう。 そのことに気付いているのかいないんだか、銀時は隣に座って、遠慮なく用意された紅茶を口に含んだ。 「あー、やっぱ仕事の合間に飲むのみもんってなぁうまいもんだな」 「だから仕事してねぇだろ!! アンタのトコだけ山のように残ってるじゃねぇか!!」 「うるさいぞー新八。あれはな、妖精さんが悪戯したせいでああなってるんだよ。銀さん別に仕事サボってたわけじゃないよ?」 「オィィィィイイイイイイイ!! どんな言い訳だソレェェェ!!? 嘘付くならもうちょっとまともな嘘付けやコラァァァアアアアアア!!!」 あー、うるさいなぁなんて思いながら、紅茶片手に魔道書を読む魔女はあえて周りの存在を無視して読書を続行する。 思った以上に騒がしい連中だと思う。特にメガネの地味な奴はあんなに叫んでて喉がおかしくならないのだろうか? そんなことを思考しつつ、パチュリーは相も変らぬ眠そうな眼で魔道書に眼を通す。 一応、彼らの話には耳を傾けつつ、意識のほとんどは本に向けられている。 「うるせぇな。大体、ここにはメイドがたくさんいるじゃねぇか。そいつ等も手伝わせればいいのによぉ」 「うちの妖精メイドはあまり役に立っていなくてね。自分達の服を洗濯したり、自分達の食事を用意するので精一杯なのよ」 「……スミマセン。それ、雇ってる意味あるんですか?」 銀時の言葉にパチュリーが答え、もっともな疑問が新八から飛ぶ。 そんな彼の言葉に、パチュリーは小さくため息をつき、あいも変わらない愛想の悪い表情を一瞬だけ、新八に向けた。 「質より量なんでしょうね。レミィのことだから、多く雇っていたほうが貴族らしいとかその程度の些細な理由でしょうけど……。実際は心配ないわ。咲夜が全てやってくれてるから」 「全てって、この館の掃除とかですか!?」 「えぇ、掃除のみならず、食事、里への買出し、お嬢様のお世話、メイドの管理、全て私が受け持っています」 パチュリーの言葉に驚く新八の言葉に、礼儀正しく答えたのは咲夜だった。 その言葉に驚く新八ではあったが、横手から銀時が深いため息をついて、新八に視線を送る。 「馬~鹿、新八。お前ここに来る途中に、迷路みたいな館の内部見ただろ? 一人じゃ無理に決まってんだろーが」 「そうアルネ。少しは現実考えてから物言えヨ。だからお前は眼鏡って言われるんだよボケが」 「ちょっとぉぉおぉおおお!! なんでいきなりそんな言葉が辛辣なんだよ!! というか眼鏡の存在全否定か!!? 許さん!! 許さんぞぉぉぉおおお!!」 銀時と神楽のツープラトン口撃はとてつもなく辛辣であり、そのことが新八のツッコミ魂に火をつける。 だが、まぁ確かに。銀時のいうとおり、紅魔館内部はかなり広い。 こういった地下室のほかにも、内部は迷路のように広がっており、とても一人で掃除できるような広さではない。それに加えて、料理や主人の世話、更には部下のメイドの管理まで行っているという。 ともすれば、一日の仕事量としてはあんまりな内容で、常人ならぶっ倒れるどころか過労死しそうだ。 第一、どう考えても掃除だけで一日かかっても終わりそうにない。 そんな彼らの疑問に答えるように、咲夜は一礼してから言葉をつむぐ。 「皆さんの疑問はもっともですわね。でも、ご心配には及びません。私には、【時を操る程度の能力】がありますので」 その一言に、誰よりも反応したのは銀時だった。ピクッと反応したかと思うと、胡散臭そうに咲夜に視線を向けている。 「信用できませんか?」 「そりゃあな。こっちの世界に来て、いろいろ普通じゃねぇ連中が多いのはわかったが、あんたは確か人間だろ? それがいきなり時間を操れるって言われてもな」 咲夜の言葉に、銀時はそう紡いで紅茶を飲む。 確かに、こっちの世界に着てからいろんな奴に出会い、そしてその度にその能力に驚かされる。 紫の境界を操る能力もそうだし、天子の大地を操る能力もそうだ。幽香の花を操る能力は……まぁオマケのようなもので、本人の身体能力が非常識。 人間では、霧雨魔理沙が魔法を操る程度の能力。博麗霊夢が空を飛ぶ程度の能力。東風谷早苗が……確か奇跡を起こす程度の能力だったはずである。 それだけでも十分凄い能力だが、それを差し置いても時を操る能力なんて常軌を逸している。それこそ妖怪なんかが本来持ち得そうな能力だ。 それを、人間が扱うとなると正直、素直に信用できないというのが銀時の本音だった。 「それでは、少し私の能力をお見せいたしましょうか」 クスリと笑い、咲夜は銀時に視線を送る。 一体なんだよと銀時が思った刹那、咲夜の腕がぶれる。 ゾクリとした悪寒。それを肌で感じ取った銀時は、頭が考えるよりも早く、体が反応して木刀に手をかけて自身の心臓付近に盾になるように置く。 きらめく一陣の銀閃、それは神速を持って銀時の胸に飛来して――― ―――ピタリと、何もない空間で停止した。 木刀にあたる直前、咲夜から放たれた銀のナイフは何もない空間で、それこそ絵のように停止していた。 その事実に、彼女が時を操るということに半信半疑だった新八と神楽は、その光景を驚きの表情で見つめている。 もっとも、今この場には、別の意味で驚愕に表情を歪めている者が一名いたわけだが。 「……驚いた。まさか反応されるとは思っても見ませんでした」 「コイツが時を操るってことか? 勘弁してくれよ、心臓が縮こまっちまったじゃねーか」 驚いた表情ながらも冷静な咲夜の言葉に、銀時は疲れたように深いため息をついて木刀を直す。 そんな彼の様子がおかしかったのか、咲夜は「失礼しました」と苦笑しながら空中のナイフを回収した。 (あー、マジで死ぬかと思ったぜ。ていうか時間止めるとかマジで反則じゃねーか。しかもナイフってオメー) そこまで考えて、ふと思い出す漫画に登場したカリスマ的な悪役。能力といい攻撃方法といい、まるでその悪役そのものだ。 それのことを思い出しながら、銀時は咲夜の事を視界に納めて、ふと言葉を紡いでしまう。 「あー、そうか。ザ・ワールドか。新手のスタンドだったわけだったんだなサッキュンは。あれだ、てぇことは―――」 言いかけたところで再び飛来する咲夜のナイフ。しかも今度は寸止め無しで、銀時の服を器用に引っ掛けた上に吹き飛ばし、壁に貼り付け状態にする。 スタタタンと軽い音がして、銀時は壁に縫い付けられたことを自覚した。 「ちょっとぉぉぉおおお!? 何すんの!? マジで何すんの!?」 「なんだか知りませんが微妙に貶されてたみたいでしたのでつい。というか、私はあんな筋肉の塊じゃありませんので」 「知ってるよね!? あなた知ってますよね!? DIOもザ・ワールドも知ってますよね!!?」 銀時から上がる講義の声。しかし、咲夜はにっこりと笑みを浮かべ、見る人が見ればうっかり惚れてしまいそうな綺麗な笑みで、しかし、見る人が見れば凄く恐ろしい笑顔で、銀時に視線を向けている。 無論、銀時には後者に見えたわけだが。 「知りませんよ。えぇ、これっぽっちも知りません。URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!! だとか、貴様、見ているな!!? なんて台詞も知りませんよ」 「知ってんじゃねぇぇかぁぁぁぁあああ!! もう貴女完璧に知ってますよね!? 完璧にジョジョ知ってますよね!!?」 とぼけたような咲夜の言葉に上がる銀時のツッコミ。それに取り合わず、神楽の紅茶のお変わりに答える完全で瀟洒な従者。 どうやら、銀時はこのままナイフで縫い付けにされたまま放置の方向らしい。 とりあえず、その騒ぎにも無関心を決め込んでいたパチュリーも、一度縫い付けにされた銀時に視線を向けて、やがて興味なさ気に視線を魔道書に戻した。 「小悪魔。あの男の分お願いね」 「え? ……あ、はい。わかりました」 「あれ? 放置!? 銀さん放置ですか!? このまま放置プレイですか!!? 俺そんな殊勝な趣味ないんですけど!? ちょっと聞いてますかァぁぁあああああああああ!!?」 パチュリーの言葉の意味を一瞬理解しそこね、しばらく思考してからようやく合点が言ったらしい小悪魔は、それにコクリとうなずく。 その様子からこのまま完全に放置らしいことが決まったということを感じ取ったらしい銀時が大声を上げるが、生憎誰もそれに取り合わない。 やがて机から解散していくパチュリーを除く一同。よろず屋メンバーも助けない辺り、少し灸をすえたいのだろうと、パチュリーは適当に考える。 しばらくわめいていた銀時だったが、もう無理なんだと悟ったのだろう。 貼り付けにされたまま、銀時は本を読むパチュリーに声をかける。 「おーい、パチュリー。聞こえてッかー? これとって欲しいんだけど?」 無視。そもそもそれに取り合う必要などないし、取り合う理由もない。 第一、コイツが一番職務怠慢だったのだし、このぐらいの罰ぐらいおとなしく受けろというのだ。 というかむしろ話しかけないで欲しい。鬱陶しいから。 そんなパチュリーの心情を理解しているのかいないのか、銀時はなおも言葉を投げかけたがパチュリーはものの見事に無反応。 それにちょっと苛立ちを覚えた銀時は、小さく、小声で一言。 「バーカバーカ紫もやし」 「火金符『セントエルモピラー』」 ズドォォオオオオオオン!! という、ワリとしゃれにならない爆発音が図書館に響いた。 パチュリーが生み出した火玉はものの見事に銀時に直撃し、派手な爆発と共に火柱を上げて、銀時を即座にノックダウン。 その衝撃でナイフが外れて、ボロ雑巾のようになり、頭がアフロのようになった銀時がボテリと地面に倒れた。 当然、なにも言わない銀時。それを見届けると、パチュリーは何事もなかったかのように読書を再開した。 内心、お望み通り取ってあげたわよ。などと思いながら。 「銀さァァァぁぁぁぁああああああああん!!? ちょっと、パチュリーさんやりすぎぃぃぃいいいいいい!!?」 地味眼鏡が何事か喚いていたがとりあえず無視。ガン無視。完全無視を決め込んで、パチュリーは魔道書に眼を通しながら、小さくため息をつくのであった。 ■あとがき■ 今回は紅魔館の話。でもレミリア、フランは登場せず。 いかがだったでしょうか、今回の話。咲夜さんは一応お客という感じの対応させてますが、銀さんにナイフ投げるのはやりすぎたかなーなどと思わなくもない。 でも咲夜さんはやりそう。なんというか東方キャラ皆にいえることだけどそれはさておき。 銀魂キャラはこれ以上増やすことがこの先あるのかどうか……。 友人からの要望で何人か出して欲しいって話はあったんですが……さて、どうなることやら。 それでは、今回はこの辺で。