※東方緋想天のネタバレがあります。ご注意ください。 今回オリキャラに準ずるキャラクターが登場するのでお気をつけください。 「今日、あんた等に頼みてぇのは他でもねぇ。奴についてだ」 もう夜になろうかという時間帯。人里でカフェを営む彼が尋ねてきたのはそんな時間だった。 私、比那名居天子はそんな彼の様子をソファーから眺め、隣にはこのよろず屋の主、坂田銀時が珍しく真剣な表情で店長と向かい合っている。 ぴりぴりとした緊張感。珍しく肌がざらつくような空気を漂わせながら、二人は向かい合って語り合っている。 そんな様子だからか、私も、それどころか幽香や新八、神楽までもが固唾を呑んで見守っている。 「いよいよ、明日に奴が動く。俺たちも出来る限り数をそろえるつもりではいるが、いかんせん数が足りねぇ」 ふぅっと小さくため息をつき、店長はキセルを銜え、鋭い眼光をこちらに向けてくる。 「全面戦争よ。銀さん、アンタも力を貸しちゃあくれねぇか?」 「あぁ、わかったぜ。俺たちの命、店長に預ける」 勝手に預けんじゃないわよそんなもん。などといえる空気でもなかったので、それはかろうじて喉の奥にしまいこむ。 ……にしても、なんなんだろう。この会話。あんた等やくざか何か? そう言われても文句言えない内容に、私は内心あほらしいと思いはしていたが、どこかで楽しみではあったのだ。 会話の内容からして、おそらくはどこかに殴りこみにでもいくのだろうけれど……それはそれで最近なまっていた体をほぐすのに丁度いい。 「あんたならそう言ってくれると思ったぜ」 ニヤリと、嬉しそうに笑いながら店長は席を立ち、ぷはぁっとキセルを取って煙を吐き出す。 「明日、準備が出来たら俺の店に来てくれや。頼んだぜ」 そう言って、彼は玄関まで歩いていき、そしてよろず屋を後にした。 ガラガラ、ピシャン。という音が、静まり返ったよろず屋の内部で大きく反響する。 誰もが口を開かない。いつになくシリアスな展開に言葉を発することを忘れたのか、皆一様に黙り込んでいる。 「おい、天子、幽香」 不意に、名を呼ばれて私たちは怪訝な表情を銀さんに向けた。 いつになく真剣。だからか、私たちはいつもなら茶化すところを黙って彼の言葉を待つ。 ゆっくりと、銀さんが私と、私の後ろにいる幽香に視線を向け。 「奴って、誰だ?」 『って、アンタ知らないで今まで話に乗ってたの!!!?』 シリアスな空気をぶち壊すとんでもない発言をかましていたのであった。 ■東方よろず屋■ ■第十四話「幽霊と亡霊の違いがイマイチわからないがちゃんと違いがあるらしい」■ 「とぉ、言うわけで!! 今からオメェたちに役割分担を言い渡すぞ!!」 「って、ちょっと待ったぁぁぁ!!」 翌日、指定どおりに店長が経営するパフェに訪れ、彼の発言に私は思わず大声を張り上げていた。 そんな私の言葉に、きょとんとした表情をを浮かべたのは間違いなく店長その人である。 今この場には私のほかに、銀さん、新八、神楽、幽香のよろず屋メンバーに加え、元からこの店の従業員らしき子が二人と、何ゆえか夜雀の姿があった。 そんなメンバーの視線が一様に私に向けられるが、そんなことにはひるまず私は店長を睨みつけていた。 「どうした天子の嬢ちゃん。なんかあったか?」 「あったわよ!! ありまくりよ!! 何、昨日散々もったいぶってた奴てまさかただの客!!?」 らしくないとは思いながらも、やはり言葉にしたら止まらない。 いや、だって。奴が動くだの全面戦争だの言われたら誰だって暴力沙汰を想像するじゃない? 昨日から殺る気満々(誤字にあらず)だった私のこの気持ちはどうしろというのだこの男は!! ……いや、先週のようにウェイトレスの格好させられたから、まさかとは思ってたんだけどさ。 何もこんなときにいやな予感が当たらなくてもいいじゃない? そんな私の思考に気付いているのかいないのか、私の肩を後ろからポンッと叩いた誰かに視線を向けると、それは夜雀の妖怪のミスティアだった。 「……な、何よ」 なんだか生暖かい目につい耐え切れず、冷や汗流しながら彼女に言葉を投げかける。 すると彼女はどこか達観したような表情で「ふっ」とため息なんだか嘲笑なんだかわからない微妙な吐息を漏らしてそそくさと去っていった。 ……え、何? なんなのよ一体? ていうか従業員の子達もその「所詮人生なんてこんなもん」みたいな表情止めてよ!! 不安になるじゃない!! 「でも、僕達も実際天子ちゃんと同じ気持ちですよ。昨日のはちょっと言いすぎだッたんじゃないですか?」 「そうだぜ、まったく。ていうか、奴って一体誰なんだよ」 呆れたような言葉をつむぐ新八と銀さんに、私は思わず手放しで応援したい気分になった。 いいぞ、もっと言え!! しかし、そんな私にとっては心強い援護射撃にもかかわらず、「知らないっていいなぁ」みたいな顔をする従業員とミスティア。 そんな彼女達の気持ちを代弁するかのように、店長は銀さんと新八の肩をがっしりと掴んで……。 「……オメェら。そんな甘い気持ちは、甘い幻想は、甘い妄想はここで捨てるこった。でねぇと、……死ぬぜ?」 「……一体何が来るって言うんですか、マジで」 わりと切実だった店長の言葉に、新八が冷や汗流しながらとりあえずツッコミを入れる。 なんだろう。このわりと何事にも動じなさそうな店長がここまで焦燥にかられる客って。 あれか? 生粋の幻想クレーマーとかそんなパンチの効いた存在なんだろーか? ……いや、でもそれだと数を集めて欲しいっていう理由がないし。 「いいか、料理は俺達カフェの従業員とミスティア、それから新八で何とかする。他は料理を運ぶ係りと接客だ。いいな、こいつは飲食店の接客じゃねぇ、戦争だと思え!!」 『はいっ!!』 事情を知ってるらしい従業員とミスティアは元気よく敬礼し、そしてイマイチ理由がわからない私たちは首をかしげることしか出来ないでいた。 いやだって、どう考えても大げさというかオーバーなリアクションという印象しかもてないんだけど……。 従業員と店長に連れられて、新八とミスティアが厨房のほうに消えていく。 うーん、こんな様子なら無理やりにでも衣玖を連れてくるべきだったかしら? 前のように髪をポニーテールにしながらそんなことを考えていると、カフェのドアが無造作に開く。今日はその客の貸しきりだそうなので、実質この客が件の人物なのだろう。 そういうわけで、私は以前習得したフレンドリィスマイルを浮かべて接客を開始したのである。 「いらっしゃいませ~、……って」 思わず、ぴたりと硬直して件の人物達を視界に納める。向こうも私に気がついたらしい。 顔はいつものように怪しい笑顔のままだが、目が微妙に笑ってない。視界に納めて、私たちは笑顔のままお互いをにらみ合う。 八雲紫。金髪ロングで白い肌。白を基調とし、陰陽をイメージさせる紫の生地でアクセントを加えたドレスを着た幻想郷の大妖怪。 以前、彼女とはちょっとしたいざこざがあってそれ以来、お互いを意識してはいるが、その内容は平たく言えば犬猿の仲なのである。 まぁ、なんか他にも誰かいるみたいなんだけど、生憎、今の私はこいつ以外はアウトオブがんちゅーなのだ。 「いらっしゃませスキマ野郎。お帰りはあちらですよ?」 「あらあら、私はお客なのよ? そんな冷やかしのような対応をされるとは心外ですわ」 「あなたの存在自身が冷やかしかと思いますが?」 にこやかにズバッといってやる。心なしか、後ろの狐がうんうんと同意していたが横合いから出現した隙間から飛び出した拳にノックアウト。 そんな狐に駆け寄った化け猫がいたような気はするけど、ひとまず無視の方向で。 「天人ともあろうものが下界でウェイトレスをやっているとか、威厳がありませんわね?」 「いいのよ、そういうのはただの偏見でしてよ? やってみると意外と楽しいのですから、寝てばっかりでなくてあなたも働いてはいかがかしら?」 んふふふ、っとお互い険悪な笑みを浮かべながら顔を思いっきり接近させてにらみ合う。 顔と顔をつき合わせて、険悪な笑みを振りまく私たち。上背で負けてる分、私のほうがちょっと不利だけど。 「何やってんだオメェは」 銀さんの言葉と共に、ドンッと、後頭部から襲い掛かる衝撃。突然のことに私は勢いを止めきれず、結果――― 『んむっ!?』 ……悲劇的なことに、私と目の前のスキマ妖怪との唇が見事に重なったのだった。 「……あ」 後ろから間の抜けた銀さんの言葉が聞こえてくる。世界からこの空間が隔離されたんじゃないかというほど気まずい空気が漂った。 視線が、私たちに集まっているのがみなくてもわかる。 この絶対零度にまで下がったんじゃなかろうかというほどの冷たい空気の中、私は思考をフリーズしたままで行動を起こせないでいたのだ。 それは、どうやら目の前のスキマも同じらしい。目を見開いたまま、驚きと共に硬直してしまっている。 なんか約一名、あらあらなんていいながら私たちのこの様子を楽しそうに見ている亡霊が視界の隅に見えているが、そんなことを考える暇もない。 『ぷはっ!?』 さすがにお互いの口を塞いだまま無呼吸状態は苦しく、半ば本能的に私たちは離れた。 顔が火照っていて、明らかに顔を真っ赤にしているんだろう。それを直そうと思ってもうまくいかない。 ていうか、スキマ!! なんでアンタまで顔赤くしてるのよ!! いや、そんなことよりも、そんなことよりもっ!! ギギギィっと軋んだ音を響かせながら、私はゆっくりと、顔が真っ赤のままこうなった元凶を睨み付けた。 「……銀さん?」 地獄のそこから響くような声。 自分でもよくこんな声が出せたもんだと内心思いながら、私の真後ろにいて硬直したままの銀さんを殺気を孕ませて睨みつける。 そして、銀さんが半歩下がる。私がこれから【ナニ】をするのか悟ったのだろう。 全身冷や汗をだらだらと垂れ流しながら、彼は必死に弁明を開始した。 「いや、銀さんは―――」 「シャラップッ!! 小便は済ませたか? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震える準備はOK?」 がしかし、私はもともと彼の弁明なんぞ最初ッから聞く気なんてなかったので皆まで言わせるまでもなく、その言葉を遮った。 何しろ、私の脳内最高裁判所では既に、彼の有罪が確定しているのだから、これから何が起ころうと結果は覆るはずもない。 すなわち撲殺!! 私の脳内で撲○天使とやらが先ほどから耳元に優しく語り掛けているのだ!! 「銀さんの馬鹿、銀さんの馬鹿! 銀さんの馬鹿っ!! 私のファーストキスだったのにぃぃぃぃ!!!!」 ただいま見苦しい映像が流れております。世界の列車の車窓の風景をお楽しみください。 かくして、制裁(という名の惨劇)は終わりを告げた。 とりあえず、かつては銀さんだったモザイク無しにはテレビに映れない物体を部屋の隅に放置し、ようやく冷静になった私は客をテーブルに案内した。 紫に視線が行っていたせいで先ほどは気がつかなかったが、ちょっとした家族ぐらいの人数が集まっていた。 先ほどの八雲紫に、彼女の式である九尾の狐、八雲藍。その八雲藍の式である、茶髪のショートカットが印象的な化け猫の橙。 んで、先ほどの光景がよっぽど面白かったのか、未だに楽しそうに笑顔を浮かべている桃色金髪のセミロングの亡霊は西行寺幽々子。 その主人を見て、これ見よがしに「はぁ……」と深いため息をついている白髪のおかっぱ頭の少女が、半人半霊の魂魄妖夢である。 「……まぁ、がんばって」 なんかすんごく達観した表情で妖夢からそんな言葉をいただいた。実に勘弁していただきたい。凄く不吉だ。彼女がなまじマジメなだけに。 あと、とりあえず、そのふよふよした人魂の半身をせわしなく動かさないで欲しい。色々うっとうしいから。 「……何やってるの、銀時」 後ろから幽香のあきれた声が聞こえてきて、そちらのほうに視線を向けると、ゴミ箱に頭から突っ込んで何かやってる銀さんの姿が目に映った。 いや、ていうか早くない、復活するの? 「いや……、ムー大陸の入り口を探しに……」 もはや意味がわからない。何よ、ムー大陸って。 これは後に聞いたことなんだけど、どうやら銀さんは幽霊というものが本当にだめらしい。 ……妖怪は大丈夫なのに幽霊は駄目とか……、よくわかんないわねぇ。妖怪のほうがよっぽど恐ろしいでしょうに。 「それで、ご注文は?」 一応、営業スマイルを浮かべて問いかける。 出された注文をひとまず紙に書き、その内容を確かめてみる。 紫がガトーショコラ。藍は白玉善哉。橙がショートケーキにオレンジジュース。妖夢はバナナクレープ。 聞けば聞くほど至って平凡。これのどこが戦争だというのか。やっぱり、店長にはめられたのかしら? そう思いながら、最後……幽々子の注文に耳を傾ける。 「えーっと、飲み物はストロベリーシェイクだけでいいわ。あとはモンブランと白玉善哉―――」 ……あれ、やっぱりたいしたことないわね。店長ったら本当にどういうつも――― 「以外を全部」 「ぶぅっ!!」 トラップ発動!! なんてパンチの効いたトラップなのだろう。カフェのメニューを範囲指定とかナニ考え店のよこの亡霊!!? 思わず噴出しちゃったけど私は悪くないよね!? だって油断した途端にこの発言はないわよ!! 「6ダースお願いね」 「その発言はもっと無い!!」 今度はたまらず声に出た。いやだって、このカフェ、飲み物除いたって60以上のケーキやサラダやらのデザートや軽食があるのだ。 それを!! 6ダース!? ダースっていくつだっけ!? 知ってるけど考えたくない聞きたくない!! ふと、視線を妖夢に移してみる。そしたらなんかものすごく生暖かい目で頭を下げられた。 なんか同情されてるしっ!!!? 堪らず私はその視線から逃れるように厨房に向かい、するりとその中に入り込む。 そこには気合十分にスタンバイしている店長と従業員とミスティア。それとイマイチ事情を飲み込めてない新八の姿があった。 「て、ててててて店長!! ちょっとどういうことアレ!!? 一部除いて全品6ダースとか聞いたこと無いんだけど!!?」 「だ、ダース!!? この店のメニューをですか!!?」 新八の驚愕の言葉に、私はコクリとうなずく。すると店長は、鋭い眼光を私にぶつけてくる。 「だから言っただろうが! これから先は戦場だと!! しかし、今回は少なめだな。今すぐ用意する!!」 「少ないんですか!? 全品6ダースが少ないんですか!!?」 「そうだよ新八!! あの亡霊ならあと5ダースは軽いはずよ!!」 店長の信じられない発言に新八がツッコミをいれ、その新八のツッコミに答えるようにミスティアが言葉を投げかける。 とりあえず、今の発言を全力で忘れてしまいたい。いや、本当に。ついでにゴミ箱に頭突っ込んだまま動かない銀時の存在も忘れときたい。 あー、マジで役にたたねぇ、この男。 店長は片手にお玉、片手に包丁を持ち、目の前に所狭しと並べられた食材に視線を向ける。 「いくぞ腹ペコ嬢。胃袋の空腹は十分かっ!!」 誰の台詞のパクリだそれは? あと全然かっこよくないから。 私の心の中のツッコミはもちろん彼には聞こえない。そんなことにも気にかけず、店長は瞬く間に調理に取り掛かった。 「ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ!!!」 店長が吼える! 銀閃が煌く!! 食材が宙を舞い、瞬く間に解体され、ボールのなかには真っ白な液体が超高速でかき回されている!! そのさまはまさに人の業などではない。いかな天才とてその域に達するには不可能なのではないかと思わせるような早業の数々!! 気がつけば、彼の背後には亡霊のように青髪パーマーロングの斧持った誰かさんの姿が見える! 誰だアンタは!!? みれば他の従業員も、皆彼には及ばないもののかなりのスピードで調理を進めていく。もちろん、ミスティアもかなり早い!! その中で、新八だけが遅れをとっている。だが、そこは恥じるところじゃない。こいつ等がありえないくらいに早すぎる!! 今このとき、私は始めて実感した。 今この場は、まさに店長の言ったとおりに【戦場】なのだということを!! 結局、気がつけば夜がとっぷりと暮れていた。 全員が疲れたように突っ伏し、まともに動ける人物はこの場にはいない。 閉店の文字が書かれたカードをかけて、私たちはみんな一様に死んだように動かない。 結局、あの数を幽々子はすべて平らげた。その内容は語らない。語らせないでください本当にお願いだから!! 「……だらしないわねぇ」 「……」 見事にテーブルの上に突っ伏す私を見て、スキマから顔を覗かせたスキマ妖怪がそんなことを呟いた。 うるさい黙れ。帰ったと見せかけて何の嫌がらせだコンチクショウ。 無論、私はそれに答えない。嫌がらせとかじゃなく、純粋にもうそんな体力も気力も無いからだ。 あー、どうやって帰ろうかなぁ天界に。雲の上なんだよね、あそこって。もういっそよろず屋に泊めてもらおうかしら? 「どう? よろず屋は」 唐突に、スキマはそんな言葉を私に投げかける。 いつもの怪しい笑顔のまま、だけどその目は真剣そのもの。そんな彼女の視線が珍しかったものだから、ついつい言葉を返してしまった。 「いいところよ。面白いし、楽しいし、退屈しないわ」 「そう」 ころころと、実に満足そうにそいつは笑った。 あー、チクショウ。こいつの顔なんて見たくないっていうのに、なんだって私の視線のまん前にスキマなんて作って顔出すんだこいつは。 紫は少し視線をはずして、同じように力なく地面に突っ伏している銀さんに視線を向けると、感慨深げに小さくうなずく。 「なら、問題なさそうね。妖怪だらけと聞いたから、少し心配だったのだけれど」 「何それ。それなら博麗神社のほうがよっぽどアレじゃない」 「そうね、確かにあっちのほうがアレね」 お互いに、ただなんとなく笑った。 非常に意外なことではあったが、今こうしている分には不思議といやな気分はして来ない。 「膝枕してあげましょうか? ファーストキスを奪ってしまったお詫びに」 「遠慮しとく」 くすくすと笑いながら、私は返答する。その返答がわかっていたからだろう。紫はまたクスクスと苦笑した。 うん、少しずつだけど調子が出てきたみたいだ。あのファーストキスは、……まぁノーカンってことで一つ。 「紫~、こんなところで何してるの?」 スキマからにゅっと顔を出す亡霊。そんな彼女の様子に、私と紫は堪らず苦笑して、彼女に視線を向ける。 「ちょっとのお詫びと、少しのお話をね」 「そうなの? なら、どうせなら銀時も呼びなさいな。こんな状態だし、楽しくおかしく話をしましょう」 「それはちょっと難しいんじゃない?」 その言葉に、幽々子は気を悪くした風もなくころころと笑った。にしても、相変わらず傍目からみると能天気な連中に見える。 ま、いいや。どうせこんなのは一時の気の迷いだ。しばらくしたら、いつものように犬猿の仲に戻るだろう。 だったら、今だけは友人のように話をしたって、罰は当たらないだろう。 「……銀ちゃん、何をやってるアルか?」 「……いや、シュガーレット王国の入り口を探しに」 とりあえず、またゴミ箱に頭を突っ込んでた銀時は見なかったことにしておく方向で。 ■あとがき■ こんにちわ、白々燈です。今回ようやく冥界メンバーを出せました。いかがだったでしょうか? 先日、東方緋想天のストーリールナティック、鈴仙と天子の両名でようやくノーコンテニュークリアしました。天子がマジできつかった。あと持ちキャラでクリアしてないのは文だけですw そして今回も友人から「虚無つながりでゼロ魔にスレイヤーズのロードオブナイトメア召喚とかどうよ!?」なんて言葉をいただきました。 なんつーか「ハルゲニア滅亡フラグですね」なんて思った自分は間違いではないと思う。 むしろレコンキスタの数万の軍勢を瞬殺フラグですか? とも思いましたが。 あとルイズがラグナブレードとか覚えちゃうフラグですか? みたいなそんな感じ。 あ、それはそれで面白そうだと思ったりもしましたが。 まぁ、書きませんけどね。せめてこのSSが完結するまでは。 それでは、今回はこの辺で。次からは東方キャラクター紹介です。 ■東方キャラクター紹介■ 【八雲藍(やくもらん)】 ・種族 妖獣(式神) ・能力 「式神を操る程度の能力」 ・九尾の狐。乳大きめ。油揚げ好きで性格の方は丸く、穏やか。自分の式である橙を溺愛してる。 基本的には便利屋さんであるため普段は紫にこき使われている。 性格以外は大体紫の下位互換。しかし比較元が元な上、媒体としての藍自身が最強の妖獣なのでかなり強い。 それでも使い走りな苦労人っぽいイメージが拭えない悲惨なキャラ。 誰か彼女に愛の手を。 【橙(ちぇん)】 ・種族 妖獣(式神) ・能力 「妖術を扱う程度の能力」 ・無邪気な猫又。普段は藍とは別居状態。猫を配下にしているが、全然扱えていない。 勘違いされやすいが彼女にはまだ苗字がない。八雲一家唯一苗字なし。 でも藍には愛されている。その影響か紫からも最近は愛されているらしい。 藍の式神。でも思考能力は人間の子供と大して変わらないらしい。 【ミスティア・ローレライ】 ・種族 妖怪(夜雀) ・能力 「歌で人を惑わす程度の能力」 ・歌はうまいのか下手なのか意見の分かれる。なんでもハードロック調らしい。立ち絵をよく見ると公式ニーソックス。 何気に爪が凶悪な形。弾幕よりもこれで引っかいたほうが強力そうだ。 幽々子の食料(非情食、もとい非常食)にされること多数。誰か助けてあげてください。 鰻屋台ネタはピークを過ぎたのか、最近ではおでん屋台ネタが見受けられる。 食事的な意味でもっとも人間を襲う「妖怪らしい妖怪」の一人。 【魂魄妖夢(こんぱくようむ)】 ・種族 半人半霊 ・能力 「剣術を扱う程度の能力」 ・人間と幽霊のハーフの二刀使い。師匠は妖忌。 くそ真面目。半分幽霊なのにお化けが怖い。鞘には花が咲いている。 妖怪を斬ったり植木を斬ったり、斬れないものはあんまりないので斬りたがる。 幽々子のボケに突っ込むのが日課だが自身も割とボケているので逆に突っ込まれたりもする。 全体的にいじられ役。でもストーリーでは「とりあえず斬る。話はそれからだ」なんて言う辺り根っからの辻斬り体質な危ない人物に見られなくもない。 【西行寺幽々子(さいぎょうじゆゆこ)】 ・種族 亡霊 ・能力 「死を操る程度の能力」 ・白玉楼の主。腹黒でボケーっとしてる。 妖夢をいじめるのと紫にいじめられるのが日課。言動がめちゃくちゃ。 その一見、呑気な外見とは裏腹に、高難易度かつ華麗な弾幕を所有する。 生前はある「歌聖」の娘であったという。 無抵抗に相手を即死させる能力が在るが、滅多に使う事はない。 はらぺこキャラ。何でも喰う。際限なく喰う。とことん食いまくる暴食ぶり。 切れ者なのか痴れ者なのか、いまいちつかみどころがない。ちなみに体は冷たくないらしい。 幽霊と亡霊の違いは、実体の有る無しの他に、体温などいろいろある。 亡霊は実体があるので、体が物質を透過できない。