※東方緋想天のネタバレがあります。ご注意ください 銀時が紅魔館の門番と一戦交えたその翌日。当然のごとく、よろず屋はその日は休業となった。 何しろ銀時本人が怪我を負っているので、営業しようにも新八たちだけでは少々心もとない。 もっとも、ここ最近は人間の依頼人というのがまったく来ないので、余計に新八たちに任せられないという事情があるのだが。 まぁ、それはさておき。 志村新八と神楽は定春をつれ、本日の食事の材料の買出しに出ていた。 あらかた必要なものは買い終わり、二人と一匹はいつものように最近すっかり馴染みとなってしまった我が家に帰り着く。 「ただいまー」 「ただいまアルヨ、銀ちゃん。おとなしく眠ってるアルかー?」 ぞろぞろと帰り着く。何しろ銀時は魔法で傷を治してもらってはいるものの、一応、念のために一日は何もしないようにとパチュリーに念押しされている。 一方の美鈴はといえば、ものの数時間で傷は完治し、その日のうちに門番としての仕事に戻ったのである。 さすが妖怪。頑丈さが人間とはわけが違ったのである。 と、話がずれたが、今現在、時刻は昼前。銀時はおそらくまだ眠っているだろう。何しろ、大体昼過ぎに起きてくるし。 そう考えると、今の自分の言葉がどれだけ無意味なものだったかを悟った新八は、たまらず苦笑して台所に荷物を置くと、銀時の部屋に向かった。 「銀さーん、まだ寝て―――」 襖を開け、ピタリと目の前の光景に行動、思考、共にパソコンよろしくフリーズする地味眼鏡。 その彼の視線の先には――― 「あら、お帰り新八。ちょっと悪戯でこんな風にデコレーションしてみたんだけどどうかしら?」 ―――心底おかしそうに笑っている花の大妖怪と…… 「って、おぃぃぃぃ!! 何してんですかアンタァァァァ!!? これじゃ銀さんまるっきり死人じゃねぇかぁぁぁぁ!!!」 ……真っ白な花に全身埋め尽くされ、顔だけぽっかりと出して眠っている坂田銀時の姿だったのである。 ■東方よろず屋■ ■第十一話「吸血鬼の飲む紅茶ってどんな味するのか気にならないこともない」■ 「もう、あんなに怒らなくてもいいじゃない。ちょっとしたお茶目だったのに」 「お茶目でもやっていいコトと悪いことがあるじゃないですか!! まったく、縁起でもない」 まったく悪びれた風もない幽香に、新八は疲れたようにため息をつき、頭を押さえる。 銀時はようやく起きてきて自分の置かれていた状況に「何事!? 銀さん死亡扱い!!?」なんて喚いていたが、今は着替えて歯を磨きに行っている。 問題は、この風見幽香という妖怪。なんというか本当に冗談の一つ一つがマジで笑えない。 さっきの冗談というかお茶目がいい例である。 「おっはよー、生きてるかー、銀髪~」 「おはよう、神楽」 「お邪魔します」 そんな時に、遠慮なく上がりこんでくる妖精三人。 正確には妖精は匹という表現が正しいのだが、なまじ外見が近いだけに、銀時、新八や神楽は人で数を表している。 「あ、おはよう三人とも」 「お~、おはようアル。サニー、ルナ、……田中」 「なんで私だけっ!? というか今の間は何!?」 新八が挨拶をし、それに気付いた神楽がサニーとルナの名前を読んで、しばらく考え込んで最後の一人の名前を紡ぎだした。 田中、もといスターは自分だけ名前が覚えられていないという事実に驚愕し、ガクッと膝を突いていたりするが、まぁこれはその際置いておく。 「あー、なんだ。チビッ子三人組。銀さん今日はあんまり調子よくねぇから、さっさと帰れ」 「何よ~、せっかく悪魔の館に行って無事に帰ってきたか確認してやりに来てるのにさー」 奥から現れた銀時が三人を見つけ、すぐにめんどくさそうな顔を作ってシッシッと追っ払うようなジェスチャー。 それを見たサニーが、ニッシッシッと意地の悪そうな笑みを浮かべてそんな言葉をつむいでいた。 何しろこの三人。銀時が幽香と天子、そして咲夜に縛られている時に傍にいてその光景を面白おかしく傍観していたのである。 その後、よろず屋メンバー全員で紅魔館に赴いたものの、サニー達はレミリアの存在を恐れてそっちのほうには行かなかった。 ……まぁ、実際。このよろず屋にもレミリア・スカーレットと負けず劣らずのトンでも存在がいたりするのだが、彼女達は初日である程度接して慣れてしまったらしい。 慣れって偉大ですね、先生。 そんなやり取りが交わされていたよろず屋の玄関が、トントンと無遠慮にノックされた。 一応、玄関に休業の看板が立っているはずなのだが、そのことに気付いているのか、あるいは無視しているのか、ノックの音は続く。 『はーい、いませんよー。居留守ですよ~』 「ってやめんかぁぁぁぁ!! 何!? 神楽ちゃんだけじゃなくサニーちゃん達まで!? 止めてくれる、その堂々とした居留守!!」 神楽と三人の妖精の言葉が見事にハモる。その言葉に対して新八が大声を張り上げる。 しっかしこの四人、種族は違えどものすごくノリノリな上に、見事に仲がいいのであった。 そんなわけで、この四人がそろうとかなり始末に終えなかったりする。 ピタッと止まったノック音。その時、銀時が「あれ? デジャヴ?」とか首をかしげていたが、その事実に誰も気がつかない。 やれやれと呟きながら、新八が急いで玄関の引き戸を開けようと、その取っ手に手をかけようとして……。 ……瞬間、玄関が爆ぜた。 引き戸のはずの玄関のドアが、原形を留めたまま衝撃によって綺麗に新八に直撃。 そのまま新八ごと飛行し、壁にぶつかって新八は壁と玄関の引き戸ではさまれる形となった。 激しい衝撃音。そのまま新八は壁にめり込み、玄関の引き戸だけが重力に再び囚われてゆっくりと床に落ちていく。 一瞬、あまりの事態に呆然とする一同。新八はあまりの衝撃にあっという間に意識を手放して気絶中。 「まったく、堂々と居留守宣言とかアレだね。そんなんじゃ客来ないよ、銀髪」 そうして、玄関のほうから上がった声。その声にビクッと体をすくませて部屋の隅に逃げていく三人の妖精。 件の犯人、日傘を持ったその吸血鬼は、やれやれといわんばかりに方膝を上げた状態のまま玄関先にたたずんでいた。 傍にはしっかりとメイドが佇んでおり、その手には何やら荷物の入った籠のようなものが見える。 永遠に幼い紅い月、レミリア・スカーレットとその完全瀟洒な従者、十六夜咲夜がよろず屋に堂々と入り込んだのであった。 「ちょっとぉぉぉ!!? 何やってんだオメェ!! 人の家の玄関蹴り飛ばすとか止めてくんない!!?」 「何よ。せっかく人がたずねてきたって言うのに、居留守をするそっちが悪いんじゃない」 銀時の言葉に、にべもないレミリアの言葉が返ってくる。事実だけに、うぐっと言葉に詰まる銀時。 だがしかし、自分だって大使館の玄関に当たる門を勢いよく蹴り飛ばした経験があるくせに、この男、自分のことを棚に上げてとんだ言い草である。 「咲夜。今のうちに買いだし行ってきなさい。私はここで待ってるから」 「かしこまりました。紅茶とティーセットはこちらに置いておきますわ」 「ん、サンキュー。ほらほら、早く行った行った」 どっかりとソファーに腰を下ろし、満足げにくつろぐ吸血鬼。その様子に苦笑しながら、咲夜は玄関のなくなったよろず屋から退出していった。 んで、その遠慮なくくつろぐ吸血鬼を視界に納めて、銀時はジト目で彼女を睨む。 「おいおい、家は託児所じゃねぇんですけど? これ以上ウチにちびっ子はいりませんよー、レミリア」 「別にいいじゃない、気にしなくても。私はあなたたちに話しがあってきたんだし……、と。あの天人は今日はいないのね」 辺りをきょろきょろと見回して、天子がいないことに気がついてそんなことを呟くレミリア。ちなみに、部屋の隅でガタガタブルブル震えている三人の妖精はアウトオブがんちゅー。 確かに、今日は天子は来ていない。何でも巫女の霊夢に呼ばれたらしく、今日はそっちのほうに行っている。 そして、きょろきょろと辺りを見回していたレミリアが、何かを見つけてピタッと動きを止めた。 何を隠そう、先ほどレミリアが吹っ飛ばした玄関で壁にはさまれて埋められ、壁画と化した志村新八である。 一瞬の、もしくは永遠とも感じる矛盾した沈黙の中、レミリアが言葉をつむぎだしていた。 「何してんの新八。新手の遊び?」 「ちげぇよっ!! アンタのせいでこうなってんだよ!! アンタの蹴破った玄関の引き戸のせいでサンドイッチ状態になったんだよコッチは!!」 復活、志村新八。めり込んだ体全体から頭部分だけを何とか前に出して全力で抗議する。 ちなみに、この時傍観していた幽香が大爆笑していたが、それを咎めるものはこの場に誰もいなかった。 だって、神楽も一緒に大爆笑してるし。そしてここぞとばかりに妖精三人も大爆笑。 皆さんそこまでにしてあげてほしい。いい加減にしないと新八がグレそうな勢いである。 「そんで、話って?」 「ちょっとぉ!! 銀さんまで!? 銀さんまで僕のこと放置ですか!!?」 頭をがりがりと掻きながら、銀時は新八のことはとりあえず放置の方向で話を進める。 なにやら新八が大声で喚いているものの、銀時はそれに耳を貸すことはなかった。ある意味ひでぇ。 哀れ、新八。残念ながらこの中にまともな良心持った奴は一人もいねぇのである。 そんな彼らのやり取りに苦笑しながら、レミリアは籠から愛用のティーカップと、紅茶の入った水筒を取り出した。 「あんた達、外の世界とは違う場所から迷い込んだんだってね」 「そんで?」 レミリアの言葉に、銀時は気のない返事をして先を促す。そんな様子に、クスクスとレミリアは可笑しそうに笑う。 レミリアの存在はこの幻想郷の中においても恐怖と畏怖の対象である。 たとえ外見が幼くとも、その内なる力は強大で、【運命を操る程度の能力】を持つ吸血鬼。 そんな自分に、よくもまぁこんな態度が取れるものだと、レミリアはそれが可笑しくて仕方がない。 だってそうだろう。こんな態度をとるのは、従者の咲夜を除けば霊夢か魔理沙ぐらいのものなのだから。 「ちょっと、銀さん。もうちょっと愛想よくしたっていいじゃないですか。あ、レミリアちゃん。僕が紅茶注ぐよ」 ようやく壁画状態から脱したらしい新八が、これまたフレンドリィにレミリアから水筒を受け取った。 コポコポと慣れた様子でティーカップに紅茶を注ぐ新八の姿を見て、レミリアはそういえば……と、思考を巡らす。 よくよく考えれば、この志村新八という存在も奇異な奴だと思う。 誤解のないように言っておくが、よろず屋のメンツはレミリアが強力な吸血鬼で、幻想郷でも指折りの実力者であることは知っている。 事実、レミリア自身も最強クラスの強さを誇り、昨日の銀時VS美鈴の試合が終わった後、怪我した銀時を含む全員がレミリアVS幽香のデスマッチを目の当たりにしている。 お互い弾幕勝負での決闘だったが、結局引き分けだったのは余談である。 話を戻し、何が言いたいのかといえば、よくもまぁ、そんな存在に普通にフレンドリィに接せるものだなぁと思う。 しかも、よりにもよってこの紅の吸血鬼、恐怖と畏怖の対象であるレミリア・スカーレットを「ちゃん」付けである。 人からちゃん付けで呼ばれることに慣れてないレミリアは、これまた怒っていいのか、それとも恥ずかしがればいいのか微妙な気分になるのであった。 何しろ、外見こそ幼いが500年生きているのである、この吸血鬼。500年生きてる自分が、さすがにちゃん付けされるのは少し恥ずかしい。 「ロリコンね」 と、これは幽香。 「ロリコンだよね」 続けてサニー。 「ロリコンだわ」 そのまま続行でルナ。 「ロリコンね~」 立て続けにスター。 「ロリコンアル新八クソが。とうとう犯罪者の仲間入りかヨ」 そして一番辛辣に毒を吐いたのはやっぱり神楽だった。 「っておいぃぃぃぃ!! なんで紅茶注ごうとしただけでそんなにボロクソに言われなきゃならないんだよ!! ていうか僕はロリコンじゃねぇし、それに僕はお通ちゃん一筋だから!!」 「大丈夫よ新八。ロリコンはみんなそう言うの。貴方は胸をはっていいのよ?」 「だからちげぇって言ってんだろーがぁぁぁぁ!! 何それフォローのつもり!? 全然フォローになってねぇんですけどぉぉぉぉ!!?」 反論した傍から、今度はレミリアからすらもロリコン呼ばわりされる地味眼鏡。 ちなみにレミリアはこれでもかというほどにいい笑顔で、親指をズビシッとサムズアップしておいでだった。どうもフォローのつもりだったらしい。 ……全然フォローになってなかったが。 あ、ヤバイ。コイツいじるの楽しい。なんて思っていたが、あくまでそれは表面に出しつつ、ニヤニヤと笑ってみたりするレミリア。 「大丈夫だ、新八。俺はよくわかってる。よ~く、お前のことは理解してるし、俺、信じてっから、おとなしく警察行こうか」 「銀さぁぁぁぁん!!? アンタまで!? アンタまで僕のことロリコン呼ばわりするんですか!? ていうかこれっぽっちも信じてねぇし!!?」 内心、ブルータスお前もか!? 的な勢いで銀時の言葉に反応する新八。ここまで来ると本当にもう哀れである。 誰の目に見てもわかる四面楚歌状態。誰か彼に安住の地をあげてください。いや、もう本当に。 「いや、信じてるって。銀さん信じてますよ? お前がロリコンだって」 「そんなとこ信じられても嬉しくねぇよ!! 何あんた等!? 今まで僕の何を見てたって言うんですか!!?」 大声で抗議する新八。ご近所の稗田さん家は毎日毎日この騒音と戦って大変そうである。 相変わらず何か言おうとしていた新八だったが、結局は幽香のチョップが脊髄に叩き込まれてあえなくノックアウトされておとなしくなった。 ひでぇ。まさに外道である、この妖怪。 「……んで、俺たちが外の世界とは違う世界から来たから、何だってんだよ」 「簡単なことだよ」 相変わらずボーっとした感じの声に、レミリアはそうつむいでくすくすと笑う。 「あなたたちの世界のこと、教えて頂戴。どんな場所か、とても興味深いからね」 その言葉を、レミリアは紡いでいた。心底面白そうに、いまにも未知の物語に心躍らせる、外見相応の童女の顔。 そんな彼女の言葉に、「あ、私も興味あるわね」なんていって幽香が加わり、「それじゃ、私たちも」ということで、サニー、ルナ、スターの三人が加わった。 「イイじゃないですか銀さん。別に減るものじゃないでしょうし」 そしていつの間にか復活を果たしている新八。そのあまりの復活の早さに、さすがの幽香も驚きを隠せないでいた。 さすがは新八。きっと特技欄に復活スキルが三つ連なっているに違いない。9カウント復活は伊達じゃねぇのであった。 それはそれで本当に人間なんかどうか危うい新八は、この際置いておき。 「別にいいけどよ、おもしろいこっちゃねぇぞ?」 「いいわよそれでも。私が聞きたいんだから、それでいいじゃない」 銀時の言葉にもにべもない。レミリアのきたいのまなざしについに根負けしたのか、銀時は自分達の世界について語りだしたのであった。 江戸の町に降り立つようになった天人(あまんと)。宇宙船が縦横無尽に飛び交い、さまざまな姿をした天人(あまんと)が闊歩する世界。 かつて天人(あまんと)を追い返そうと起こった戦争のこと。 自分達の出会いの馴れ初めや、歌舞伎町で起こった事件の数々。 それを心底楽しそうに、レミリアは聞き入っていた。 自分のまったく知らない世界観。いや、大本はこの国の昔の江戸時代がベースのようだが、あまりにも歴史が違いすぎている。 宇宙人が普通に闊歩する世界で、外見がここの世界の妖怪たちよりよっぽど妖怪らしい外見をしているものも多いという。 それが、より一層レミリアの興味を引く。外の世界よりも年号が下だと思われるのに、技術自体はおそらく同等だろう。 何しろ、スクーターや携帯電話など、外の世界の道具の名前がちらほらと出てくるし。 気がつけば、咲夜も帰ってきていて、レミリアの傍に控えていたが、彼女はただ自分の主人が満足するのを待っていた。 「へぇ~、あんたの家のお隣さんって、そんなに怖いの?」 「そりゃおめー、怖いなんてもんじゃねぇぞ? ぜってぇ食われるって思っちまったからな」 レミリアの言葉に、銀時は感慨深く頷く。 ことの話はとなりの屁怒絽の話題に移行していた。 どうやら相当怖かったらしく、この男が怖がるというそのお隣さんをどうしても知りたくなった。 「咲夜、似顔絵できる?」 「お望みであるなら」 「ん、OK。銀時、そいつの特徴を言ってみて」 「ん? あぁ……、そうだなぁ~」 言われるがままに、銀時は出来る限り詳細に特徴を挙げていく。 角が生えているだの、白目のところが黒いだの、ライオンのような黒い髪だの、体色が緑だの色々な特徴を挙げていく。 そして、完成した絵。しかし、描いた本人である咲夜自身がヒクッと口端を引くつかせていたりする。 「どうしたの、咲夜。描けたんでしょう?」 「え……えぇ、描けましたけど」 やや顔を引きつらせながら、描き上げた絵をテーブルの上において……。 『……』 途端、このよろず屋に重い沈黙がのしかかったのである。 ごつごつしい顔。顔には傷があり、体は緑色。角が生え、獅子の鬣のような黒い髪。鋭い牙に、目の白い部分は漆黒に塗りつぶされ、瞳は禍々しく赤い。 こう、明らかに「私、地球征服しに来ました」的なそいつの顔は、確かに、幻想郷の妖怪にすらいないほどの極悪な面だったのである。 なんというか、この里の人間に顔を見られようものなら100%の確率で「ひぃっ! 化け物!!?」とか言われて逃げられること請け合いな面構え。 頭になんかかわいらしく小さな花が生えていたりするが、正直、そんなのでかわいらしくなるようなツラではない。断じてない。 確かに、こうなんというか、生理的嫌悪を覚えそうな顔だった。事実、レミリアも顔には出してないがちょっと怖いとか思ったし。 これで花屋らしい。いや、絶対嘘だろ。本職地球征服だろ? とかなんか色々心の中で突っ込んでいたりするが、とりあえずそれは気持ちの中だけでとどめておく。 「そう!! コイツだよ、となりの屁怒絽!!」 『コイツが!!?』 その場にいた幻想郷メンバーの全員の声が見事にハモッた。 そりゃ無理もないことかもしれない。描いていた咲夜自身、何かの手違いだと思ったぐらいだし。 「あ、本当だ。屁怒絽さんだ。咲夜さん上手なんですねぇ」 「本当アル。瓜二つアルね」 そしてものの見事に肯定するよろず屋メンバー。 え? 何? マジでいるの、そんな極悪な顔した奴がお隣さんに? 見たいな顔を皆が展開中。 そんな中、ゆらりと立ち上がる風見幽香。何ゆえか、恐ろしいほどの負の感情を撒き散らしながら。 「んっふっふっふ、ねぇ、銀時。この絵、私があなたと最初に出逢ったときに、あなたが言ってた特長と見事に合致するんだけど……。 まさか貴方、花の妖怪とか聞いて【コレ】を想像したってことなのかしら?」 綺麗な声と思うのに、なぜか低くどすの聞いた声なようにも聞こえるこの不思議。 ブワッと噴出す大量の汗。銀時は制御の利かないそれを肌で感じながら、目の前の恐怖に恐れおののいていた。 イヤだって、幽香の背後に般若が見える。 そんな彼女の顔は等しく笑顔だったが、「キリキリ吐きやがれこの豚野郎」と眼が語っていた。 気がつけば全力で退避しているレミリア含む全メンバー。部屋の隅に固まって、事の成り行きを見守っている。 いつもなら「あれ!? 銀さん一人!? なんで皆退避しちゃってんの!? 銀さん見捨てられましたかコレ!?」ぐらいのツッコミを入れるのだが、幽香がそれを許さない。 リアルタイムに命の危機。しかし、かばってくれる味方は誰もいないこの状況。 無言を肯定と判断したらしい。幽香はゆっくりと、愛用の日傘を構える。それはもう、誰もが見ほれる綺麗な振り子打法。 ビュンビュンと割と洒落にならねぇ風きり音。逃げようと思うのに、悲しきかな、銀時の足は恐怖のあまりにすくんで動かない。 素振りが終わる。そして幽香は大きく振りかぶって――― 「死ね!!」 思いっきり銀時のどたまを日傘でホームランしたのであった。 ちなみに、その日の夜の紅魔館。 「咲夜、あそこ面白いし、退屈しないから、霊夢のところ行った後にあそこ寄ってみようかと思うの」 「……はい?」 再びよろず屋カオスフラグが立ったとかなんとか。 ■あとがき■ 緋想天レミリアストーリールナティッククリアしましたー!! ども、のっけからテンションおかしい白々燈です。 キツカッタ。何がキツかったってゆかりんの鬼畜さに泣かされた。いや、もうドップラーとかネストとか狂躁高速飛行物体とかもう……。 それと最近の出来事をもう一つ。モチベーション下がってたときに友人から「お勧め」などと言われてやってみた「沙耶の唄」というADVゲーム。 まぁ、気晴らしにはいいかな? と思ってやってみたんですが……。 ……うん、まぁ知ってる人は知ってると思います。ヤラレマシタ。いろんな意味でヤラレマシタ。 ていうか、気晴らしにとか言う理由でやるゲームじゃなかった。しかも友人の「夜にやったほうが面白いよ」の一言で夜中に一気にやったもんだから余計に大ダメージ。 まる二日ぐらいずっと鬱入ってました。あれはあかんよ。アレ系駄目な自分はモロに夢に見ましたよ。 というか、アレ系駄目な自分にアレッてどうなの? いやまぁ友人はそのことを知らないんですけどね。自分がアレ系駄目なこと。 いや、話自体は嫌いじゃないんだけど……。そのせいで一気に終わったぐらいだし……。 沙耶の唄を知らない人は、まぁ覚悟のいるゲームだとだけ言っておきます。自分は正直キツかった。人を選ぶゲームです。アレは。未成年は絶対にやっちゃいけません。いろんな意味で。 ストーリーは嫌いじゃなかったですけど。 そんなわけで現在、レミリアルナストーリークリアの無理なハイテンションで気を紛らわせとります。 それでは、今回はこの辺で。次は東方キャラクターの紹介に移ります。 ■東方キャラクター紹介■ 【レミリア・スカーレット】 ・種族 吸血鬼 ・能力 「運命を操る程度の能力」 ・二次はともかく、原作ではルックス、強さ、カリスマを兼ね揃えた希少な人……だったんだけど、緋想天にてカリスマが大暴落した。「ぎゃおー、食べちゃうぞー」は多分、後にまで伝わる迷言だと思う。 偉そうで偉い。でも背伸びをした子供のままの子供。かなりのわがまま。 少食で人から多量の血が吸えず、さらに血液をこぼして服を真っ赤に染めるため「スカーレットデビル(紅い悪魔)」と呼ばれている。 パチュリーとは長い付き合いの親友で、レミリアはパチュリーのことを「パチェ」、パチュリーはレミリアのことを「レミィ」とあだ名で呼び合っている。ちなみに、原作であだ名で呼び合っているのはこの二人のみ。 ネーミングセンスに問題があり、そのセンスは不夜城レッドを筆頭に全世界ナイトメアまで生み出すカオスぶり。 最近は素で妹になめられつつあるけれども、幻想郷最強クラスの実力を持ったうちの一人。 れみりあ☆う~。 【フランドール・スカーレット】 ・種族 吸血鬼 ・能力 「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」 ・東方きってのバランスブレイカーその2。能力、身体能力ともに幻想郷最強クラスの持ち主。レミリアの妹。レミリアのことは好きなのか嫌いなのか多分自分でもよくわかっていない。 長い間幽閉されていたせいか、少々気が触れているらしく、情緒不安定。そのため外に出してはもらえない。本人も基本的に出ようとは思わない。約495年引きこもり。 感情をそのまま表に出す子供らしさを持つが、能力はある意味紫クラスのでたらめぶり。 彼女の能力である『ありとあらゆるものを破壊する能力』とは、打撃による破壊活動ではなく、全ての物には力を加えれば物を破壊できる「目」が存在しており、離れた物の「目」を自身の手の中に移動させることができ、強く握ることで爆発(破壊)させてしまう能力。ぶっちゃけ回避不可のトンデモ能力。 歯止めが利かないという一点でその破壊力は姉を遥かに上回る。 普通吸血鬼は人間の血を吸うために殺さない程度に襲うものだが彼女に人間を襲わせたら間違いなく血飛沫すら残さず消滅させてしまうらしい。 彼女には食料としての人間の血と、その元になる人間が結びつかないらしく、その理由というのも彼女が普段食べている「人間の血」は見た目ケーキだったり紅茶だったりするからだそうだ。 【紅美鈴(ほんめいりん)】 ・種族 妖怪 ・能力 「気を操る程度の能力」 ・紅魔館の門番を務める華人風の妖怪ちなみに何の妖怪なのかは不明。 チャイナドレスに鍔無しの人民帽と、装いも中国人風であり、紅い髪と帽子についた星に刻まれた「龍」の文字がトレードマーク。 主に湖からやってくる妖精を迎撃していて、門番以外にも色々と仕事を任されているらしく、紅魔館の庭にある花畑の管理人でもあるという話も。 妖怪でありながら人を襲わず、逆に人間と親しく話すことから穏和な性格であることがうかがえるが、その一方で侵入者に対しては容赦がない。武術の達人であり、試合を申し込みにくる武道家も多いらしい。 弱点らしい弱点がなく普通の人間相手には強いが、妖怪としてはそれほど強くない。 朝は太極拳、昼には昼寝をしている。 元祖、東方界の名前で呼ばれない人第一号だったが、最近漫画で名前で呼ばれだしたのでそのネタも廃れつつある……のかもしれない。 【伊吹萃香(いぶきすいか)】 ・種族 鬼 ・能力 密度を操る程度の能力 ・幻想郷に現れた鬼。見た目は少女だが、何百年も生きている。かなりの飲兵衛でいつも酒を呑んでは酔っているが、幻想郷中に広がる薄い霧になって盗み見ていたということもあって時折人の心を読んだかのような発言をする。 酒に酔っているためか、常に前後にフラフラしている。見かけによらずかなりの怪力。鬼だけに弱点はやはり炒った大豆らしい。 持ち歩いている瓢箪は「伊吹瓢」と言い、酒が無限に沸いてくるが、転倒防止のためのストッパーが付いており、一度に出る酒の量は瓢箪の大きさ分のみ。紫とは友人。 鬼は長い間幻想郷から居なくなってしまったとされてきたため鬼を退治するための特別な方法が現在の幻想郷からは失われており、誰にも退治できなくなっている。 【東風谷早苗(こちやさなえ)】 ・種族 人間 ・能力 「奇跡を起こす程度の能力」 ・守矢の神社の風祝(かぜはふり)で、秘術を操る一族の子孫。 秘術を使用できる者は現人神として人間からの信仰を得るようになったらしい。 外の世界で信仰を得られなくなった神奈子の提案により、神社ごと幻想郷に移り住んで博麗神社を脅して幻想郷を思い通りにしようとした。 まじめな性格で自分の力に自信を持っていたようだが、外の世界の常識は幻想郷ではまったく通用せず、霊夢や魔理沙によって返り討ちにされてしまう。 根拠のない自信が暴走し空回りする典型的な勘違いキャラ。 その性格からかなりの苦労人な立場に回ること多数。誰か彼女に救いの手を差し伸べてあげてください。 霊夢と色違いに近い服装から、ル○ージだのと散々ないわれようだが、プロポーションだけなら霊夢より上。