りぃん、りぃんと、鈴の音が聞こえた。
夜が好きだった。
ゆめの中なら、わたしは何でも出来たから。
ゆめの中なら、やさしい人もいるから。
体にできた青いアザも、ママに叱られたことも、パパにぶたれたことも、学校のことも、友達のことも、ゆめの中ならぜんぶ忘れられる。
―――なのに、そのはずだったのに。
明るいひかりはぷつんと消えて。
やさしかったゆめは怖いゆめに。
なかよしのあの子は怖いあの子に。
昼はきらいだった。
夜はきらいになった。
ゲームの明かりだけが眩しい部屋のなか、わたしは隅っこでうずくまる。
ふと顔を上げると、そとの景色が窓から見えた。
赤い赤いその景色が。
手すり越しに見える、赤く染まった世界。
わたしはやさしいゆめの中、飛んでた空を思い出した。
わたしは赤い世界に手を伸ばし。
それから。―それからわたしは。
ぐしゃっ。
遠くから、鈴の音が聞こえた。
りぃん、りぃんと、鈴の音が。
りぃん。
りぃん。
りぃん。