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No.30054の一覧
[0] IS ―インフィニット・ストラトス クラスメートの視線―[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:41)
[1] 受験……のはずが[ゴロヤレンドド](2014/07/19 14:27)
[2] どんどん巻き込まれていく[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:42)
[3] ある意味、自業自得なんだけど[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:42)
[4] 何だかんだで頑張って[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:44)
[5] やるしかないわよね[ゴロヤレンドド](2016/05/12 12:14)
[6] いざ、決戦の時[ゴロヤレンドド](2012/04/16 08:11)
[7] 戦った末に、得て[ゴロヤレンドド](2014/06/16 08:01)
[8] そして全ては動き出す[ゴロヤレンドド](2014/07/30 07:55)
[9] 再会と出会いと[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:45)
[10] そして理解を[ゴロヤレンドド](2015/01/19 07:58)
[11] 思いがけぬ出会いに[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:47)
[12] 思い描け未来を[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:48)
[13] 騒動の種、また一つ[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:49)
[14] そして芽生えてまた生えて[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:50)
[15] 自分では解らない物だけど[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:52)
[16] 渦中にいるという事[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:52)
[17] 歩き出した末は [ゴロヤレンドド](2015/01/19 07:59)
[18] 思いもよらぬ事だらけ[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:54)
[19] 出会うなんて思いもしなかったけど[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:55)
[20] それでも止まらず動き出す[ゴロヤレンドド](2014/07/19 14:28)
[21] 動いている中でも色々と[ゴロヤレンドド](2013/04/13 12:00)
[22] 流れはそれぞれ違う物[ゴロヤレンドド](2013/04/13 12:01)
[23] ようやく準備は整って[ゴロヤレンドド](2013/04/13 12:01)
[24] それぞれの思い、突きあわせて[ゴロヤレンドド](2013/04/13 12:02)
[25] ぶつかり、重なり合う[ゴロヤレンドド](2014/07/30 07:56)
[26] その果てには、更なる混迷[ゴロヤレンドド](2013/04/13 12:04)
[27] 後始末の中で[ゴロヤレンドド](2012/11/15 08:09)
[28] たまには、こんな一時[ゴロヤレンドド](2012/11/15 08:10)
[29] 兆し、ありて[ゴロヤレンドド](2012/12/10 08:16)
[30] それでも関係なく、私の一日は過ぎていく[ゴロヤレンドド](2013/04/13 12:06)
[31] 新たなる、大騒動は[ゴロヤレンドド](2013/01/07 14:43)
[32] ほんの先触れ[ゴロヤレンドド](2013/01/24 15:47)
[33] 来たりし者は[ゴロヤレンドド](2013/02/25 08:21)
[34] 嵐を呼ぶか春を呼ぶか[ゴロヤレンドド](2015/08/11 08:06)
[35] その声は[ゴロヤレンドド](2013/03/26 08:05)
[36] 何処へと届くのか[ゴロヤレンドド](2013/04/03 08:02)
[37] 私を取り巻く人々は[ゴロヤレンドド](2013/04/27 09:30)
[38] 少しずつ変わりつつあって[ゴロヤレンドド](2013/05/09 11:05)
[39] その日は、ただの一日だったけれど[ゴロヤレンドド](2013/05/21 08:10)
[40] 色々な動きあり[ゴロヤレンドド](2013/06/05 08:00)
[41] 小さな波は[ゴロヤレンドド](2013/07/06 11:24)
[42] そのままでは終わらない[ゴロヤレンドド](2013/07/29 08:06)
[43] どんな夜でも[ゴロヤレンドド](2013/08/26 08:16)
[44] 明けない夜はない[ゴロヤレンドド](2013/09/18 08:33)
[45] 崩れた壁から[ゴロヤレンドド](2013/10/09 08:06)
[46] 差し込む光は道標[ゴロヤレンドド](2013/11/18 08:13)
[47] 綻ぶ中で、新しいモノも[ゴロヤレンドド](2013/11/18 08:14)
[48] それぞれの運命を変えていく[ゴロヤレンドド](2013/12/02 15:34)
[49] 戦いは、すでに始まっていて[ゴロヤレンドド](2013/12/11 12:56)
[50] そんな中で現われたものは[ゴロヤレンドド](2014/08/18 07:59)
[51] ぶつかったり、触れ合ったり[ゴロヤレンドド](2014/07/19 14:29)
[52] くっ付いたり、繋がれたり[ゴロヤレンドド](2014/08/18 07:59)
[53] 天の諜交、地の悪戦苦闘[ゴロヤレンドド](2014/02/28 08:27)
[54] 人の百過想迷[ゴロヤレンドド](2014/03/11 08:12)
[55] 戦いの前に、しておく事は[ゴロヤレンドド](2014/03/11 08:40)
[56] 色々あるけど、どれも大事です[ゴロヤレンドド](2014/04/14 08:34)
[57] 無理に、無理と無理とを重ねて[ゴロヤレンドド](2014/04/30 08:27)
[58] 色々と、歪も出てる[ゴロヤレンドド](2014/07/19 14:24)
[59] まさかまさかの[ゴロヤレンドド](2014/07/30 07:57)
[60] 大・逆・転![ゴロヤレンドド](2015/01/19 07:59)
[61] かなわぬ敵に、抗え[ゴロヤレンドド](2014/07/19 14:25)
[62] その軌跡が起こす、奇跡の影がある[ゴロヤレンドド](2014/07/19 14:24)
[63] 思いを知れば[ゴロヤレンドド](2014/07/30 08:06)
[64] 芽生える筈のものは芽生える[ゴロヤレンドド](2014/08/18 08:00)
[65] 決意の時は、今だ遠し[ゴロヤレンドド](2014/09/03 08:13)
[66] 故に、抗うしかない[ゴロヤレンドド](2014/10/06 08:13)
[67] 捻じ曲げられた夢は[ゴロヤレンドド](2014/10/06 08:14)
[68] 捻じ曲げ戻すしかない[ゴロヤレンドド](2014/10/23 08:17)
[69] 戦う意味は、何処にあるのか[ゴロヤレンドド](2016/05/12 12:12)
[70] それを決めるのは、誰か[ゴロヤレンドド](2014/12/09 08:22)
[71] 手繰り寄せた奇跡[ゴロヤレンドド](2014/12/26 14:07)
[72] 手繰り寄せられた混迷[ゴロヤレンドド](2014/12/26 14:08)
[73] 震える人形[ゴロヤレンドド](2015/01/19 08:01)
[74] 対するは、揺るがぬ思いと揺れ動く策謀[ゴロヤレンドド](2015/02/17 08:06)
[75] 曇った未来[ゴロヤレンドド](2015/03/14 10:31)
[76] 動き出す未来[ゴロヤレンドド](2015/03/31 08:02)
[77] その始まりは[ゴロヤレンドド](2015/04/15 07:59)
[78] 輝夏の先触れ[ゴロヤレンドド](2015/05/01 12:16)
[79] 海についても大騒動[ゴロヤレンドド](2015/05/19 08:00)
[80] そして、安らぎと芽生え[ゴロヤレンドド](2015/06/12 08:02)
[81] 繋いだ絆、それが結ぶものは[ゴロヤレンドド](2015/06/30 12:20)
[82] 天の川の橋と、それを望まぬ者[ゴロヤレンドド](2015/07/23 08:03)
[83] 夏の銀光、輝くとき[ゴロヤレンドド](2015/08/11 08:08)
[84] その裂け目、膨大なり[ゴロヤレンドド](2015/09/04 12:17)
[85] その中より、出でし光は[ゴロヤレンドド](2015/10/01 12:15)
[86] 白銀の天光色[ゴロヤレンドド](2015/12/01 12:17)
[87] 紅と黒の裂け目の狭間で[ゴロヤレンドド](2015/12/01 12:18)
[88] 動き出したのは修正者[ゴロヤレンドド](2016/02/04 08:01)
[89] 白銀と白[ゴロヤレンドド](2016/02/04 08:02)
[90] その、結末[ゴロヤレンドド](2016/03/02 12:22)
[91] 出会い、そして[ゴロヤレンドド](2016/03/30 12:24)
[92] 新たなる始まり[ゴロヤレンドド](2016/05/12 12:16)
[93] 新しいもの、それに向き合う時[ゴロヤレンドド](2016/06/24 08:40)
[94] それは苦しく、そして辛い[ゴロヤレンドド](2016/08/02 10:08)
[95] 再開のもたらす波、それに乗り動く人[ゴロヤレンドド](2016/09/09 09:34)
[96] そのまま流される人[ゴロヤレンドド](2016/10/27 10:08)
[97] 戻りゆく流れの先に[ゴロヤレンドド](2017/02/18 12:02)
[98] 新たなる流れ[ゴロヤレンドド](2017/03/25 11:46)
[99] 転生者たちはどんな色の夢を見るのか[ゴロヤレンドド](2017/05/27 14:38)
[100] そして、その生をあたえたものは[ゴロヤレンドド](2017/05/27 14:36)
[101] 戦いの前に[ゴロヤレンドド](2017/09/12 15:39)
[102] 決めた事[ゴロヤレンドド](2018/01/30 15:54)
[103] オリキャラ辞典[ゴロヤレンドド](2017/09/12 15:38)
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[30054] まさかまさかの
Name: ゴロヤレンドド◆abe26de1 ID:2f15c288 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/07/30 07:57

※今回、とあるキャラが『大半のSSならありえない事態』に陥ります。あしからず。


「う~~ん……よく寝たわ……」
 六月末――もう朝日が完全に差し込む中、私は目覚める。昨日、残念ながら学年別トーナメントで敗退した私。
だけど今日からは、ある意味で本番の戦いの始まりだ。さて、と……。
「う~~、セミがカナカナ五月蝿い~~」
「フランチェスカは、まだ寝てるわね……」
 私よりも早く起きた事の殆ど無い彼女は、寝言が多い。今日は、夏の夢でも見ているのだろうか?
それにしても、イタリアでもセミって鳴いているのかしら? カナカナって鳴くのは、確か……。


「香奈枝、今日はどうするの?」
「朝一で、整備手伝いを頼まれてるから。皆の応援は任せたわよ」
「オッケー。香奈枝の分も、しっかりと応援してくるわ」
 目覚めたフランチェスカと共に、朝食を取る。本日のメニューは、鮭定食。
ご飯、味噌汁、鮭の塩焼き(減塩)、漬物などの和食の定番メニューで、日本人生徒からの人気が高い。……あ。
「……フランチェスカ、これ食べる?」
「良いわよ」
 日によって変わる漬物が、今日は高菜だった。……これはちょっと苦手なので、いつもフランチェスカにあげている。
「それにしても良いわねー、休日でもないのにのんびり朝が迎えられるって」
「そんな事を言っていたら、織斑先生に怒られるわよ」
 トーナメント開催中は学園の授業も無い為、試合の無い生徒は極端な話、一日中寮に篭っていても問題はない。
勿論、この学園では篭っていても勉強をしたり生身の訓練をしたりする生徒が多いけど……。
「お、宇月さん、フランチェスカ。おはよう」
「おはよう」
 声をかけてきたのは私達の隣人である、織斑君とデュノア君だった。口に物が入っている為、手を挙げて挨拶を返す。
「おはよう。そういえば織斑君達は、今日が二回戦だったわよね? 相手は、誰になったの?」
「ああ、組み合わせ表を見たけど三組生徒のペアだったな」
「確か……春井真美さんと、ロミーナ・アウトーリさんだったね」
 組み合わせと試合数の関係上、昨日一回戦・今日二回戦という連戦になるメンバーが出てくる。
正直、専用機持ちタッグである彼らならシードでも良いんじゃないかと思ったけど……。何故か一年生『だけ』はシードが無かった。
黛先輩に言わせると『少しでも試合を増やして数多い専用機の実力を見たいから、じゃないかしら?』だそうだけど。
「――! ろ、ロミが!?」
 織斑君たちの相手の名前を聞いた途端、フランチェスカの顔色が変わった。確か、アウトーリさんって……。
「フランチェスカが言っていた、凄く強いイタリア人の娘だっけ?」
「そうよ。多分、イタリアから今年入学した生徒の中ではトップ級の実力者だと思う」
「そうなのか? 前にのほほんさんとパフェの事で争っていた、あの娘だよな? そういえば、将隆に勝った事があるらしいけど」
「そうね」
 ま……安芸野君に勝ったという一件や、本音さんと争っていた一件は知らないけど、結構強そうな生徒のようだ。
でも、いくら強いといっても代表候補生でもない一般生徒の筈。専用機持ち同士である二人に、何処まで食い下がれるんだろう?
「しかし、二戦連続で三組の生徒か」
「ああ、織斑君達は昨日、ブラックホールコンビペアと当たったんだっけ?」
「ああ」
 都築さんと加納さん、か。その試合、私も寮のモニターで見てたけど……。
「あれは、私から見ても変な試合だったわね」
「そうだろ?」
 二人はひたすら回避に専念し、攻撃を仕掛けようとはしなかった。
結局は瞬時加速→零落白夜の攻撃で織斑君が一人づつ撃墜し、勝利を収めたのだけど。
「織斑君達の試合は第二アリーナの三試合目だったっけ? 応援に行くからね!」
「私は整備の手伝いがあるから、直接観戦は出来ないけど。頑張ってね」
「おう、サンキュ」
「ありがとう」
 そんな感じで、和やかに朝食は終わった。――それが、私の休息の終わりだった。


「うわあ……」
 黛先輩からの連絡で第二アリーナにやってきた私の目の前には。物凄い喧騒がくり広げられていた。
「レッドパレット、装弾完了したよ!! 量子変換出来る!!」
「サブスラスターチェック終了!! 次はどの機体!?」
「携帯型エネルギーライフル、チェック終了です!!」
 一体のISに数人の整備課の人達が様々なチェックや整備を行なっていた。
装甲版の取り付け、スラスターの位置の確認、それに量子変換作業……。今までも忙しそうにしているのは見たけれど。
今日のそれは、今までのものとはまるで違っていた。
「あら、香奈枝ちゃん! よく来てくれたわね!!」
「は、はい、こんにちわ。え、えーっと私は、何処を手伝えば良いですか?」
 鼻頭に油汚れをつけた黛先輩が、目敏く私を見つけた。反射的に、そう言ったけど。
「あっちの打鉄の装甲取り付けと、近接ブレード『葵』の予備の量子変換の手伝いをやってくれる?
それが終わったら、あっちのラファール・リヴァイヴのスラスター取り付けも!!」
「は、はい!」
 今までに見た事の無いほど真剣な先輩の顔に、気を引き締め。私は、頼まれた仕事へと向かった。


「ご苦労様」
「あ、虚先輩……」
 仕事が一段落つき、床に座っていた私に話しかけたのは虚先輩だった。
いつもどおり、穏やかな笑みを浮かべている。
「大変だったでしょう? 去年や一昨年とは違い、今回は全員参加だものね」
「そうですね……。ところで、一年生は私だけですか?」
「他のアリーナにはいると聞いているけど、ここは貴女だけのようね。本当なら、本音にも手伝わせるところだけど……」
「本音さんは、勝ち進みましたからね」
 昨日、食堂で会った時にそう言っていたから間違いない。
「あの――ちょっと組み立ての事について、疑問に思ったんですけど。今なら、聞いて良いですか?」
「何かしら。どちらかといえば、分解の方が私は得意なのだけど……」
 ……え、えーっと、ちょっと待って下さい。あのレベルの組み立て速度で、分解の方が得意?
何か、ブリュンヒルデよりも貴女が遠くに見えてきます。
「さっき、予定変更を申し出てきた人がいて。スラスターと装甲の配置バランスを変えただけなのに、丸ごと変更しちゃったんですけど……」
「ああ、それはパターンがあるから丸替えしたのでしょうね」
 丸替え?
「バランスというのはとても微妙な物で、一度バランスが取れたものを変更するのは困難。
だからこそ、予め複数パターンのバランスのパーツを用意しておいて。変更箇所を丸ごと替えてしまったほうが、時間短縮になるからです」
 はあ、なるほど。
「普段なら、そこまで五月蝿くは無いのだけど。今回はとても重要なトーナメントだから、こういう裏技も必要なのですよ」
「そうなんですか……」
「お、宇月じゃねーか! こっちでは、第四試合用のセッティングをしてるからよ」
「後で、サポートお願いしますね~~」
「あ、はい!!」
 感心する私に声をかけたのは、打鉄弐式の時に出会った、京子先輩やフィー先輩達だった。
それにしても……二年と三年の整備課、約60名の先輩方+先生達+私のような一年生の生徒。
これだけで、今日試合に登場する、100人以上のISの整備をする。それには、色々な裏技も必要なんだろう。
「さて、と。私の休憩時間も終わりですから、手伝って来ますね」
「ええ。私も、そろそろ働くとします。――お互い、頑張りましょう」
「はい!」
 勝ち残っている人達は、それぞれ試合の準備があるだろうけど。私にとっては、今この時こそが本番だった。




 第二アリーナ。ここでは今、一年生の部・第二回戦第一試合が行なわれていた。
東側からは、ラウラ・ボーデヴィッヒと篠ノ之箒。西側からは、戸塚留美と戸塚舞の姉妹ペア。
「いよいよだね。何処までやれるかな?」
「ええ。去年の全国大会覇者の篠ノ之さんと、ドイツの代表候補生ボーデヴィッヒさん……。
でも、昨日の宇月さんみたいにやれないわけじゃない。ゴウ君から教わった機動もあるし、やってみましょう!」
「……」
「……ふん」
 互いを鼓舞しあう姉妹ペアに対し、相手に声すらかけない箒・ラウラペア。――対照的なペアの試合は、意外な結果に終わった。


「……へ?」
 試合開始直後の一瞬。瞬時加速を使用したシュヴァルツェア・レーゲンが、戸塚留美のリヴァイヴに迫り。
ワイヤーブレード・プラズマブレードを併用した嵐のような猛攻で、あっという間に沈めた。
「これ以上、醜態は晒せん。全力でいかせて貰ったぞ」
「い、一瞬……?」
「……嘘」
 瞬殺。まさにその言葉どおり、ラファール・リヴァイヴのシールドエネルギーを削りつくしていた。
シュヴァルツェア・レーゲン――黒き雨、というよりは嵐と形容できるような猛攻に、リヴァイブが耐え切れなかったのである。
「な、舐めないでよね!!」
 相棒を沈められた戸塚舞が、近接ブレード『葵』を実体化させて攻撃する。その踏み込みの速度、攻撃角度など。
一般生徒は勿論、専用機持ちにさえ通じるレベルの攻撃だった。――相手がシュヴァルツェア・レーゲンでなければ。
「え……!?」
 あと数センチで葵の刃が届く。その瞬間の静止画像のように、打鉄の動きが止まっていた。
「こ、これが……AIC!」
「そういうことだ。――まあまあの攻撃だったぞ」
 その言葉と共に、ワイヤーブレードの乱舞が始まった。的確に装甲を穿ち、シールドエネルギーを削りとる。
……その終了まで、つまり試合終了までにかかった時間はわずか55秒だった。


「……」
 何もする事が無かった箒と共に、悠々と引き上げていくラウラ。それを見送る姉妹達は、涙さえなかった。
「あ、あんなの反則だよ」
「何とか止めたかったけど……駄目だった……」
 専用機持ちの中でも最強といわれるラウラ。その実力を、まざまざと見せつけられた試合だった。
香奈枝の奮戦で『もしかしたら』と考えていた生徒達にも、落胆が広がっていった。
――だが。その落胆は、次の試合で打ち消される事となる。


「いよいよ、織斑君とデュノア君が相手、かあ」
「ワクワクするね~」
 二回戦に挑む、春井真実、ロミーナ・アウトーリのペアは既にISを纏っており、ピットに待機していた。
そろそろ、試合開始時刻――といった所だったが。
「こちらは、専用機持ち同士のペアという大敵に挑む春井真実、ロミーナ・アウトーリペア。
その心境は、いつもどおりの平静を保った物だった……」
「あ、都築さん、加納さん。データ、確かに受け取ったわよ。……それと何なの、そのナレーター口調は?」
「まあ、気にしないで下さい。それよりも、いよいよですね」
「健闘を祈ってるよ」
 そこへ激励に駆けつけたのは、ブラックホールコンビ――これからこのペアと戦う、織斑一夏、シャルル・デュノアのペア。
彼らが一回戦で撃破した相手だった。
「ええ。ありがとう」
「絶対、無駄にはしないよ~~」
「ふっふっふ。私達が命がけで取ったデータ、絶対に無駄にしないで下さいよ?」
「このデータ、流す所を変えれば物凄く高く売れる、貴重なデータなんだからね?」
 昨日の試合では、ブラックホールコンビの二人は攻撃を仕掛けなかった。
その理由は、彼女達が勝つ事ではなく戦闘時のデータ収集行為に重きを置いていたから。
そしてそのデータを、トーナメントで勝ち残ればこのペアに当たるであろうクラスメート達に送る為である。
担任である新野智子を通じて教師達には目的を伝えてある為、罰則などは無い。これもまた、違った形の戦いだった。
「ところで、どんな設定にしたのかな……って、な、何なんだい、この設定……」
 加納空から思わずそんな言葉が漏れてしまう程に、彼女達の機体設定は常識外れだった。
宇月香奈枝もアルト・シュトゥルム付きの物理シールドを準備して整備課の生徒を呆れさせたが。それ以上、だった。


「いよいよだね、一夏。二回戦の相手は、結構強いみたいだよ?」
「なあに、三組の生徒みたいだけど、普通の生徒だし……大丈夫だろ」
「それはそうだけど……」
 反対側のピットでは、一夏とシャルルの準備が整っていた。もっとも、専用機持ち同士であるため準備する事は少ない。
せいぜいが、シャルルが消費した弾丸の補給。後は各部の自己チェック程度だった。
(どうしたんだろう、一夏の右手が開いたり閉じたりしてるけど……。あれって、何かの癖なのかな?)
『ではこれより、第四試合を始めます。――参加選手はISを装備し、入場してください』
「お、出番だな。行こうぜシャルル!」
「う、うん!!」
 パートナーの手の動きが気になったシャルルだが、タイミング悪く試合開始となった。
もしもその場に、織斑千冬や篠ノ之箒。あるいは山田真耶や宇月香奈枝がいれば、また違ったであろうが。
『それ』を知らないシャルルでは、それに対する指摘も出来なかったのだった。


「アウトーリと春井か……どんな武装を使う気だろうな」
「さあ。ロミーナさんはブレード系、真美さんは射撃系の武装だろうけど……」
 アリーナの一角では、安芸野将隆がパートナーの赤堀唯やクラスメート達と共に観戦していた。その予想対象は、武器の種類。
ロミーナは剣戟特化仕様のリヴァイヴ、春井は射撃重視のリヴァイヴだろうと思っていたのだが。両者とも、その予想を裏切った。
「な、何でだ? アウトーリが、打鉄に乗ってる!?」
「ま、真実さんのあれ……ラファール・リヴァイヴ・カスタム!?」
 ロミーナ・アウトーリのそれは、若干装甲が少ないようだが紛れも無く打鉄であり。
そして春井真美のそれは、ラファール・リヴァイヴ・カスタム……。
一般のリヴァイヴよりも上位機であり、通常ならば、一年生レベルでは使えない筈の機体だった。
『春井真美のISについて説明する。当人が希望した事、当人の力量が充分であると判断された事。
そして相手が共に専用機であるということを鑑みて、カスタム機設定を許可した』
 ざわめく観客への説明が流れ、そのざわめきが収まる。本来、カスタム機を使用するにはある程度の力量が必要であり。
一年生ではファティマ・チャコン、マリア・ライアン達など、専用機無しの代表候補生くらいにしか許可されないと思われていたのだが。
「それにしても春井さん、覚悟を決めたのね。カスタム機なんて、下手をすれば、扱いをミスって自爆しかねないのに」
「その辺りは認めてもらったみたいだから大丈夫なんだろうけど、な。でも、何でアウトーリまでリヴァイブじゃないんだ?」
 安芸野将隆ら、三組の面々が訝しげにクラスメートの機体を見ていた。そこへ、ブラックホールコンビが音も無く現れる。
「あ、都築さん、加納さん。何処に行っていたの?」
「今試合に出ている二人に、激励をしにいったんだよ」
「ふっふっふ。見ていなさい、皆さん。量産機で専用機を食う大金星をクラスメートがあげる所を、ね」
「大金星?」
 不敵に笑うブラックホールコンビに、三組の生徒達も興味を惹かれる。この二人は、基本的に根拠の無い煽りはしない。
この二人が言うのであれば、今試合に出ている三組コンビには、その可能性があるということだ。
「それにしても、どうやってあの二人に勝つというの? 私も、幾つかシミュレーションをしてみたけど、勝率は20%以下だったわよ?」
「予想――。勝率、20%以下。適切予想、と認定」
「それはですねライアンさん、バースさん。織斑君とデュノア君に共通する弱点を突くのですよ」
「……織斑君とデュノア君に? 安芸野君、解る?」
 二人ともっとも親しいであろう将隆に、疑問の視線が向けられるが。
「一夏だけならともかく、シャルルにまで共通するとなると心当たりが無いな。二人に共通……あれ? 俺やゴウ、ロブは違うのか?」
「そうですね。安芸野君は間違いなく違います。ゴウ君やロブ君は不明ですね」
「安芸野君は一回戦で脚部ブレードを使っていたからね」
「ああ、あの新しく御影に追加した脚部ブレードか」
「――おっと、試合開始の時刻ですよ。それでは、じっくりと応援しましょうか」
 都築恵乃の声と共に、一同の視線が試合に戻る。そして、アリーナ中の目が四機のISに注がれ始めた。


「シャルル。あれって、強いのか?」
「うん。打鉄の方はよく解らないけど、リヴァイヴの方は正式名称・RR-08/S1、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅠ。
僕の機体の元になった機体で、機動性を重視した名機だよ。特徴は、ノーマルリヴァイヴには無い増設されたマルチスラスター。
機体カラーも、緑から黄色になってるし。それと――腰部にも追加スラスターがあるのが見えるよね?」
「ああ、確かにノーマルリヴァイヴよりもスラスターが多いな。装甲も黄色いし」
 滞空する一夏とシャルルの間では、そんな会話がなされていた。知識不足の一夏に説明するシャルル、といういつもの構図。
「うん。だけど、あの春井さんっていう娘は何処までリヴァイヴカスタムⅠを扱えるんだろう……?」
「考えていてもしょうがないぜ、シャルル。俺達は俺達の戦いをする、そうだろ?」
「……そうだね」
 思慮をめぐらせるシャルルだが、パートナーの一言に試合へと集中を向ける。
そして、IS五機分距離をとって滞空する一夏とシャルルに対し、ロミーナと真美は密着状態で滞空する中。
『第四試合、始め!!』
 ――誰もが予想だにしない展開となる戦いが始まった。




「――先手必勝!!」
 俺は、試合開始と共に瞬時加速に入った。昨日の一回戦のように、逃げに入られたら長期戦になる。
それよりも、エネルギーロスを覚悟の上で真っ先に一機を潰す。このアイディアは、既にシャルルには言ってあるので問題ない。
「来たっ!! ――おいで!!」
「――え?」
 相手のリヴァイブカスタムの右手から、何かが展開されたかと思うと――それは、たちまち一機のISのような形になった。
「な、何だアレは!? ――ふ、風船か?」
 思わず止まってしまったが、すぐに解った。ダミーバルーン……。射撃訓練なんかで使うそれが、俺の目の前に現れたんだ。
だからこそ、白式も警告をしなかったんだろうけど……。そしてそれが、シャルルの撃っていた援護射撃で呆気なく割れ――。
「うわ!?」
 通常、ダミーバルーンの中には気球などと同じヘリウムガスが入っているが。この中には、真っ黒い煙が充満していた。
たちまち俺の視界を覆いつくし、二人の敵の姿を隠してしまう。
「え、煙幕!?」
 思わず、昨日の乱入者を思い出してしまい動きが止まる。……視界を封じて攻撃する気か? ――っ!?
「散弾か……!」
 雹のような音と共に、散弾が白式に命中した。元々が小さい弾丸なので、シールドエネルギーも殆ど削れていない。
ただ、俺の機体は元々が半減設定の上に零落白夜を使う事を考えれば少しの減少でも痛い。
「くそっ、こいつが狙いか――え!?」
 その時、白式が警告してきた。――敵IS二機・本機より離脱中、と。そしてそのルート上に――シャルルがいる、と。
「あの二人――シャルル狙いか!?」
 煙を脱し、後ろを振り向く。――そこには、予想だにしない光景が広がっていた。




「先手必勝!!」
 試合前の打ち合わせどおり、試合開始と同時に一夏が相手に向かって突撃していった。
僕の役目は、回避先を限定させる為の牽制射撃。でも、相手が出したのは――。
「ダミーバルーン……!?」
 僕の撃ったアサルトライフル『ヴェント』の銃弾が、バルーンを貫く。――すると中からは、煙幕が立ち込め始めた。
「煙幕で包み込んで、外から撃つつもり……!?」
 煙幕の中めがけて攻撃すれば、一夏に必ず当たる。出てくる所を狙い撃つ事も出来るし、このままじゃいけない。
そう判断した僕は、リヴァイヴを前進させて相手の動きをかく乱しようとした。――それが、悪手だとも知らずに。
「織斑君の動きが止まった……そしてデュノア君も近づいてきた!」
「今だね~~!」
「え?」
 春井さんがリヴァイヴカスタムで散弾を『一発だけ放つ』と、二人ともが僕の方に顔を向け。
「全力~~!!」
「ダッシュ!!」
 全ての推進力を僕の方に向け。瞬時加速並みの速度で突撃してきた!!
「くっ!」
「無駄よ!!」
「当たらないもん~~!」
 とっさに空中停止してヴェントを連射するけど、打鉄の物理シールドで阻まれた。そして――。
「え?」
「よし!!」
「掴んだ~~!」
 二人に、腕を掴まれた。……あ、あれ?
「い、一体君達は何を……!?」
「ごめんね、デュノア君!」
「ちょっと反則かもしれないけど~~!」
 腕を取られたまま、僕は二人に連行されていく。出力を弄くっているらしく、二機がかりの拘束を振りほどけない。
でも、一体何なの? まるで、この二人の狙いが解らない。
「――う!」
 そしてそのまま、アリーナの壁に叩きつけられた。衝撃はあったけど、シールドエネルギーが減少する事もなかったけど……。
「行くわよ! 春井スペシャル!!」
「密接射撃!?」
 抑えられている片手とは逆手に、バズーカが展開された。
世間では、零距離射撃と言われる事もある『敵に密着して撃つ』射撃。それをされた。とっさに、射線上にあった顔をそらすけど……
「……え?」
 爆風と轟音、衝撃が来ると思ったバズーカ砲の弾丸が弾け、中から何かの液体が飛び出た。
「強酸か、化学物質……? え、果汁水……?」
「よしっ!!」
 分析では、単なる果汁の混じった水だった。少し匂いはきついけど、ただの水。しかも、春井さんがそのバズーカを捨てた。
僕の手を片手で握ったまま、もう一方の手でバズーカを撃ったかと思うと捨てる。い、意味が解らない……!!
「い、一体何を――!」
「ロミ、後は任せたわよ! デュノア君を、そこから逃がさないで!!」
「心得た~~」
 春井さんが離れると同時に、アウトーリさんが二本の刃――僕も使う、ブラッド・スライサーを展開した。今――だ!?
「とりゃりゃりゃりゃりゃ~~!!」
「う、嘘……」
 まるで、腕が分身してブラッド・スライサーが増えたようにも見える高速の連続突きが僕を襲う。
「ていていてい~~~!」
「っ……!」
 将隆から聞いた事があるけど、これが『雪崩』なの……!! 何とか武器を展開しようとしても、それをさせまいと突き技の嵐が来る。
「くっ!」
「させない~~!」
 一瞬でも気を抜けば、そのまま押し切られそうな連続攻撃。しかも、防御している腕を狙ってきている。
これなら効率よくシールドエネルギーを削れる。その上……!!
「でりゃりゃーー!」
「!」
 一瞬で呼び出した『レイン・オブ・サタディ』の銃身が、同じく一瞬で穴だらけにされる。
払おうとしたブラッド・スライサーも弾き飛ばされたし、ヴェントに至っては砲身を削り取られた。
僕も一瞬で武器を呼び出せる技術は身につけているけど、この雪崩の攻撃速度はそれよりも上……!!
「でも、どうして……!!」
 これほどの力量を持ちながら、代表候補生じゃないなんて……?
「ふふふ~~。私も先日『スフィダンテ』に任命されたからね~~。これくらいは出来ないと~~駄目なんだよ~~」
 スフィダンテ(イタリア語で挑戦者)……? まさか……彼女が目指すのは『テンペスタ』の後継者への挑戦!?
第一回大会準優勝、第二回大会は(決勝は不戦勝でも)優勝した、織斑先生同様の格闘重視機体への……!!
「ほらほらほら~~」
「うぐっ……!」
 だとしたら、この格闘能力が代表候補生クラスなのも理解できた。
イタリア特有のシステムらしいけど、代表候補生レベルに『格闘能力だけ』達している生徒を指すスフィダンテ。
彼女は、一般生徒であって一般生徒じゃなかったんだ!!
「……」
 左腕に眠る、僕の秘密兵器。二回戦でこれを出す気はなかったけど。もう、それしかないのかもしれないと思った。




「でゅ、デュノア君を、アリーナの壁に押し込んでいます!!」
「奴らめ……最初から、これが狙いか」
 アリーナのモニタールームでは、千冬や真耶が驚きの表情を浮かべていた。
専用機持ち同士という反則レベルのタッグに、見事に食らいついている。
『貴方の弱点は~~。専用機なのに、内蔵武器が無い事だよ~~』
 ロミーナ・アウトーリがのんびりした声で言った事こそ『一夏とシャルルに共通する弱点』だった。
仮に他の専用機が同じ状況になっても。セシリアであればBTを飛ばし。鈴であれば非固定浮遊部位の衝撃砲が火を噴き。
ラウラであれば、変幻自在のワイヤーブレードや手首のプラズマブレードがある。簪であればミサイルや荷電粒子砲が飛んでくる。
ノーマルのリヴァイヴでも、汎用銃架やハードポイントに外部取り付け武装を備えている事がある。――だが。
シャルルのリヴァイヴカスタムⅡに備え付けられているのは、ウイングスラスターと推進翼。後は左手に物理シールドが一枚あるのみ。
その武装の『ほぼ』全てを量子変換している為、腕を封じられると攻撃手段が封じられてしまうのだった。
本来ならば、高速切り替えも取得しているシャルルはこんな状態であっても武装を瞬時に展開して苦境を打破できるが。
雪崩、の異名を持つ手数の速さがある敵に、圧倒されていた。
「このまま押し込む気でしょうか?」
「狙いとしてはそうだろう。……だが、アウトーリも必死だな。見てみろ、あの汗の量を」
「これは……!」
 ズーム機能で見たアウトーリの顔は、汗まみれだった。気温ではなく――緊張と疲労の汗。
「高速切り替えを出させないレベルまで反応速度を強化する為、操縦補助器具を取り除き反応速度上昇を入れたようだな。
リヴァイヴカスタム並の大改造を、この戦いの為だけにやったのだ。アウトーリの負担も相当な物だろう」
「まるで、零戦ですね……」
「そうだな。格闘強化と航続距離――それを保たせる時間の為に、他の部分を削った辺りはよく似ている。
防御性能を低くした辺りも、被弾性能が劣悪だった零戦と通じるが……」
「ですけど、デュノア君はどうして反撃できないんでしょうか? 彼なら、隙を見て押し返せそうなんですけど」
「普通ならばそうだろうが。だが……アウトーリの剣を調べてみろ。あいつめ、ここにまで改造を施してあるようだぞ」
「え……あ!?」
 モニターに映し出された二本のブラッド・スライサーは、通常の物よりも磨り上げ――短くされていた。
それを二本とも、ほぼ密着状態の間合いで繰り出している。――完全に、間合いを制していた。
「打鉄をリヴァイヴに密着させ、デュノアの切替を封じている。
密着状態での接近戦をしかける事により、銃器や通常の格闘武器を無力化しているわけだ」
「あれじゃあ、まともに武器は使えませんね……」
「そうだ。そして、アリーナの壁にデュノアを密着させる事により回避行動そのものをも封じている」
「デュノア君が何とかしようと思ったら、あの突きを何とかして止めないといけない……。ですけど、これは……
「かなり困難だな。相殺覚悟で突っ込んでも、軽装甲にしたデュノアのリヴァイヴではきついだろう」
 シャルルのIS、ラファール・リヴァイヴカスタムⅡの装甲は、特殊軽量化仕様になっていた。
機動性を重視したゆえだが、今回ばかりはそれが裏目に出た格好である。
「ですけど、目が無いわけじゃないですよね?」
「ああ、これはアウトーリにとっても綱渡りだな。一瞬でもミスをすれば、デュノアはその瞬間に自分の間合いにもって行くだろう」
「ふふ。そう上手くはいかないかもしれませんけどね」
「新野先生……?」
 その時、三組担任・新野智子がモニタールームにやってきた。彼女もまた、この一戦に注目していたのだが。
「所用で、少々遅れましたが――ちょうど良いタイミングだったようですね」
「新野先生。そう上手くはいかない、とはどういう意味ですか?」
「ふふ。あのペアは中々強いですよ? まず春井さんは、入学試験の成績がベスト10入りの逸材。
特に射撃武器の扱いでは、代表候補生レベルに近づきつつあるほどです。そしてアウトーリさんも『スフィダンテ』レベル。
彼女は最近、打ち込みを毎日数万本やっていたらしいですからね」
「そ、そんなに……!?」
 数だけ見れば、剣道のプロやフェンシングのプロと変わらない数。
だが、IS学園の勉強、三食や休憩、睡眠まで除いた上での一万本。それは――かなりきついスケジュールだった。
「……なるほど、それなりに特化した訓練をしてきたということか。
……しかし新野先生、何故奴はわざわざ打鉄のカスタム機にしたのです? リヴァイヴのカスタム機ならば、更に速度上昇が望めたというのに」
「防御性能を重視して、じゃないですか?」
「だがそれでは、かえって中途半端になる。あのデュノアを相手にするのであれば、防御は捨ててもいい位なのだが……」
「ああ、織斑先生、山田先生。それは武器との関係ですよ」
「武器? どういう意味ですか、新野先生?」
「――! まさか、アウトーリは!!」
 真耶は気付いていなかったが、千冬は気付いた。ロミーナ・アウトーリが、恐らくは最後の切り札としたであろう物に――。


「シャルル!!」
「近づけさせないわよ、織斑君!!」
「くそ!」
 一方。煙幕から脱出した一夏はパートナーを救わんと近づいたが。春井真美の前に、近づけないでいた。その理由は――。
「この――離せっ!!」
「逃がさないわ!!」
 リヴァイヴカスタムが、白式に背後から抱きついていた。後ろ手にした相手の両の掌を、自分の逆の手で、掴んでいる。
さらにリヴァイヴカスタムの脚で白式の脚に絡みつき、自機のスラスターを使って逆に距離を離さんとしていた。
それを見たある生徒は、その昔、某少年雑誌の漫画の『ロシア(※連載当時はソ連)のサイボーグの使うプロレス技』を想像したという。
「何でだ……振りほどけないっ!?」
「これは、拘束用パターンの応用よ。付け焼刃だけど、ISの動作用モーションソフトを活用すれば十分に実戦で使えるわ!!
普通なら、単純な力では男の子には勝てないけど……ISを使えば別だものね!!」
「まさか、こんな手で来るなんて――」
 シャルルから離れた真美は、レッドパレット二丁を構えて一夏に向かってきた。
だが彼女は、射撃武器を構えているにも拘らず接近してきたのである。それを好機と見た一夏が、剣を振りかざしたが。
真美はレッドパレット二丁を『投げつけて』一夏をかく乱し、一瞬の隙を見て背後に回りこみ、見事に拘束してしまったのだった。
「織斑君には、ロミがデュノア君を倒すまで私と離れないでもらうわ!!」
 そして、握手しているような状態では、雪片弐型を展開しても『掴む事が』出来ない。
射撃系を重視する彼女らしからぬ、意外な雪片弐型封じ。その意外な効果の高さに、一組生徒の間でも動揺が広がっていた。
「あ、あんな状態じゃあ雪片弐型を展開できないよお……」
「そうね。背後から腕を持つ事により、零落白夜の攻撃から逃れている……。戦術としては、適切だわ。
カマキリやザリガニの背中を上手く持つと、鎌や鋏になっている前足が届かないようなものね」
「……何かやけにリアルな喩えね、フランチェスカ。持った事あるの?」
「うん、ヒメカマキリっていうのを野原で捕まえて飼った事があるの。ザリガニは、図鑑で持ち方を見ただけなんだけど」
「イタリアの野原にも、カマキリっているんだ……」
「そういえば昔読んだファーブル昆虫記に、カマキリの事があったような無かったような……」
 岸原理子、フランチェスカ・レオーネ、四十院神楽がそんな会話をしていたが。他の観客達も、意外な展開に目が離せないでいた。
――そして、試合はさらに動き出す。


「こうなったら――やるしかない!!」
 高速連撃『雪崩』に対し、シャルルが覚悟を決めた。まず、右腕を高速連撃の前に突き出し、更には右半身までも突き出した。
シールドバリアーが次々と削られ、消しきれない衝撃も襲う中。
かつてラウラの攻撃から一夏を庇った時と同じく物理シールドをも右手に展開し、その時間を稼ぐ。
「え……ぐ、灰色の鱗殻(グレー・スケール)~~!?」
 そして。雪崩から逃れた左半身で、左腕に『最初から備え付けられていた』物理シールドがパージされ。
現れたのは、巨大な杭打ち器とリボルバーの融合したような武器だった。これこそが、シャルルの切り札。
楯殺しの別称を持つ、第二世代型最強兵器、六九口径パイルバンカー『灰色の鱗殻』だった。それを、瞬時加速のような速度で突き出す。
「いっけえええええええええ!!」
「きゃああああああああああああ~~!?」
 まず一発目が命中し、雪崩が止まる。だが、シャルルの攻撃は止まらない。
何故なら灰色の鱗殻は、リボルバー構造により次弾装填を即座に行なえる。――つまりは、連射が可能なのだ。
「ここで決める!」
「ま、まだまだ~~! させない~~!!」
「――! 援護するわ!!」
 だが、ロミーナ・アウトーリもまだ屈する気はなかった。灰色の鱗殻の衝撃を逆に利用し、そのまま急速離脱する。
同時に一夏を拘束していた真美が一夏を瞬時に開放し、すぐさま両手に武装を展開し。
右手の散弾と左手の通常弾を併用し、距離を取る時間を稼ぎ出した。
その射撃精度はとても高く、開放された一夏は勿論、シャルルでさえもロミーナへの追撃を諦めざるをえなかった。
「ふう……結構やられたね。シールドエネルギーが、開始時(50%)の半分……全体の25%くらい削られたよ」
「すまない、俺が不甲斐ないばっかりに……!」
「いいよ、僕もあんな戦術で来るなんて思わなかったし。……それよりも、まだ試合はこれからだよ」
「あ、ああ。そうだな!」
 雪崩によりずたずたになった物理シールドを捨て、銃器を構えるシャルルと雪片弐型を構える一夏。
「ふ~~。もう少し、削りたかったな~~」
「逃げられたのだから、仕方が無いわ。でも――私達の手はまだまだ残ってるわよ」
 一方、ほぼ無傷の真美と灰色の鱗殻分のダメージが抜けていないロミーナ。
互いに、まだまだ相手に対して屈する気は無い視線を向け合っていた。


「このっ! 近づけさせないわよ!!」
「そうはさせない!!」
「くらえええええっ!!」
「残念でした~~」
「だったら、こっちを先に潰す!!」
「無駄だよ~~」
 それからも、苛烈な攻防が続いていた。真美が距離をとらんとすれば、シャルルが近づく。
それに一夏が合わせようとすれば、ロミーナがその高速連撃で近づけさせない。
その高速連撃は、一夏とシャルルのコンビネーション打撃さえも押しつぶすほどだった。
「くっ……。駄目だね、相手に完全に流れを掴まれちゃってる……」
「そうだな……」
 真美の銃撃と、ロミーナの連撃。互いが完全に一つとなって、一夏・シャルルを翻弄していた。
本来シャルルには、砂漠の逃げ水(デザート・ミラージュ)という技もある。
この技は、相手との距離のとり方とその切り替えにより相手に対する間合いを制する技だが。
ロミーナに優位に立つべく距離をとろうとすれば、相手は攻め込まずにシャルルの射程外まで撤退し。
真美に接近しようとすれば、接近戦では二人がかりでも勝ち目の低いロミーナが近づいてくる。
一夏に至っては、零落白夜を使う暇すら与えられない。瞬時加速も、最初に失敗したせいか使う事にためらいが生まれている。
機体の性能でも経験でも上である一夏・シャルルだが、その実力差を完全に封じられていた。
「……そろそろ、かな?」
「そうだね~~。やっちゃおうか~~!!」
 その時、真美とロミーナが突然行動パターンを変えた。二人揃って、接近してきたのである。
「来るか!?」
「なら、こっちにも迎撃準備ありだよ!!」
 一夏が雪片弐型を構え、シャルルが両手にアサルトカノン『ガルム』を構える。
そして真美が、ショットガン『レイン・オブ・サタディ』を二丁展開し。一丁を相方に渡し、更に別の一丁を展開した。
合計三丁となったショットガンから、散弾が雨霰のように降り注ぐ。
ガルムでは、この散弾の雨霰に誘爆してしまい敵に届かない――と判断したシャルルが片方のガルムを収納し。
「そうはさせない!!」
 その手に物理シールドを展開し、散弾から自分達を守ろうとする。――だからこそ。
シールドに視界が隠され、真美が撃ち尽したショットガンを捨てて別のショットガンを展開するのに気付くのが遅れた。
「いけえええええええっ!」
「一夏っ!?」
「な、何だこれ!?」
 都合、四丁目のレイン・オブ・サタディから放たれた一風変わった弾丸は、白式に近づくと『弾けて』変形した。
そして、まるで意思あるもののように白式を包み込み。その肩から腰までを、腕ごと覆い尽くしたのである。
「古賀先生特製、自動拘束用のスーパースラッグ弾だよ~~」
「少しの間、もがいておいてね!!」
「く、くそっ!!」
 空中でもがく一夏を尻目に、三組コンビはシャルルへと向かう。
つまりは動きを封じられた一夏よりも、シャルル撃破を優先させたのだ。
「くっ……」
 二人がかりで来られたのなら、接近戦よりも遠距離戦――そう判断したシャルルは距離をとる。――だが。
「もう一発、スラッグ弾!?」
 先ほど一夏を捉えたショットガンから、更に一発の弾丸が発射された。
先ほどの一夏を捉えたときの距離よりも、更に離れてやり過ごそうとするシャルルだが――。
その弾丸が、シャルルに再接近すると、はじけて煙を噴出した。
「え、煙幕弾!? ショットガンの特性――色々な弾を同一の銃器で撃てる、って事を利用したの!?」
 試合開始直後の一夏と同様、シャルルが煙幕に包まれる。其処に出る警告――敵IS接近、との情報。
「距離をとらないと、またやられる……え?」
 その時、接近してくるISから、武器の展開反応が出た。
量子変換していた武器を実体化させようとしているのだが、遅すぎてその反応が捕らえられたのだ。
「また、ブラッド・スライサー?」
 近づいてくるのが打鉄であることから、ロミーナの近接戦闘武器であると推定したシャルルは距離を取るべく上昇した。
「できれば、射撃戦でけりをつけないと……え?」
 煙幕の中からシャルルが脱出して。――そして、それを追うように黒い塊が突き出された。
「――!」
 シャルルがそれを認識した瞬間、リヴァイヴと彼女を強烈な衝撃が襲う。
それはシールドバリアーでは防ぎきれず、絶対防御さえ発動させる痛恨の一撃となった。それは――巨大なハンマーだった。
「そ、それは……ヴァルカン・マルテッロ!?」
 第二世代武器の中でもトップクラスの破壊力を持つハンマー。ローマ神話の鍛冶の神の名をとった槌、ヴァルカン・マルテッロ。
「それを収納してたなんて、ね……だから、打鉄だったんだ」
 ヴァルカン・マルテッロは、何故かラファール系装備との相性が悪かった。
この武器を使うために、ロミーナは慣れたリヴァイヴではなく打鉄を選んだのだと確信した。
ちなみにこの武器が殆ど使われないのも、ラファール系装備との相性の悪さが原因の一つとなっている。
第一位の灰色の鱗殻とは違い格納領域を多く消費する上、取り回しが悪く、扱いづらく。その上バランスも悪い。
……だが。破壊力だけは楯殺しと遜色なく。更にハンマー故の武器射程の長さと装甲越しでさえも強烈な衝撃を与えられる特性。
更に攻撃速度を速めるために小型ブースターまで付けられており。消えてはいない武器であった。
「それ~~!!」
「くっ!!」
 二撃目も避けきれない、と判断したシャルルはヴァルカン・マルテッロの柄を押さえ込んだ。
刀でいうならば、真剣白刃取りのような状態。
「ぬぬぬ~~まさか、受け止めるとは、ね~~」
「本当に厄介だね、君は……!」
 シャルルらしからぬ、焦った叫びだった。そして彼女は、この時すでに幾つかの謎を理解していた。
そして今の煙幕は、ヴァルカン・マルテッロの出現の瞬間を隠す為のものだったのだという事と。
出現の瞬間を隠された故に自身の反応が遅れ、痛恨の一撃を浴びた事を理解した。――だが、解らない事が一つある。
「で、でもどうして……煙幕の中で、僕を正確に捉える事が出来たの……!?」
 今のロミーナは、煙幕の中からシャルルの位置を完全に捉えていた。
ハイパーセンサーで捉えたのだとしても『まるで見えているように』タイムラグがゼロだった。
いや――ゼロではなくマイナス。つまりは『そこに来ると解っていたかのような』一撃だったのである。
「へへへ~~。匂いの感じ方で、動き方も解ったんだよ~~」
「にお……い? ……!?」
 その時シャルルは、最初に浴びたバズーカからの液体の匂いの存在を思い出した。かなり濃厚なその香りは――苺の香り。
動き方が違えば、その機体に染み付いた匂いの香り方も違う。故に、シャルルがどう動くかを『読まれていた』のだった。
「い、犬みたいな娘だね……」
「苺の匂いなら、100m先からでも解るからね~~」
 相手の少女に、冷や汗を覚えるシャルル。――だが、相手は彼女だけではない。
「全弾――発射ぁ!!」
 真美のリヴァイヴカスタムが量子変換していた、携帯型小型ミサイルランチャーから発射された合計16発のミサイル。
その向かう先には――兄弟機であるラファール・リヴァイヴカスタムⅡと、打鉄が待っている。
「え、えええっ!?」
 味方諸共の攻撃を仕掛けてくるとは思っていなかったシャルルは、完全に虚を突かれた。
掴んでいるヴァルカン・マルテッロを離して逃げ出せばいいが、そうなると間違いなくロミーナも追ってくる。
それを見越しての味方諸共、だと予想したが――そうではなかった。打鉄の装甲がパージされ、中から新たに見えたのは――。
「さよなら~~」
「え……瞬時加速!?」
「違うよー? この時のためだけの、使い捨てブースターだよ」
 ロミーナは、いざと言う時の為だけに使用する為のブースターをも準備していたのだ。
一般生徒の使う量産機が、専用機に対して一つだけ有利な事がある。それは『専用機に勝つ為のセッティングが容易である』事だった。
多種多様な弾丸を、一丁のショットガンの中に準備した。煙幕やダミーバルーンなどで虚を突く仕掛けも仕込んだ。
接近戦で優位に立つため、特製のブラッド・スライサーを準備した。急速離脱用のブースターも装備させておいた。
それだけではない。僅か数日であるがイチゴを断ち、その匂いを決して逃がさないように訓練した。シャルルと一夏の連携を、徹底的に封じた。
副担任やクラスメートの伝手を使い、特殊弾丸やカスタム機申請、更には訓練風景やラウラの暴虐の一件のデータまで入手した。
これら全てが一夏とシャルルに勝つための努力と手段であり。――そしてそれらが見事に噛みあった結果。
「……う、嘘?」
「しゃ、シャルル!!」
 思慮を巡らせすぎたが故に反応の遅れたシャルルが、爆炎に包まれた。その時、ようやく一夏が拘束から脱してきたが。
「……」
「や、やったの……かな?」
 轟音と閃光、爆炎が途絶え、春井真美のそんな声が漏れた時。ラファール・リヴァイヴカスタムⅡの姿が見え。
『シャルル・デュノア機、シールドエネルギーゼロを確認。撃破とする』
 織斑千冬の冷徹な声と共に、シャルル・デュノアの撃破が宣告された。
「う、嘘!? でゅ、デュノア君がやられちゃった!?」
「や、やりやがった……。春井とアウトーリが……シャルルを落としやがったぁ!」
「な、何これ、夢じゃないの?」
「やりましたね、二人とも……!」
「それでこそ、データを渡した甲斐があったよ!!」
 アリーナ中から、困惑の声と大歓声があがる。一般生徒が、二人がかりとは言え代表候補生を撃破。これこそ、大番狂わせだった。
「ま、まさかデュノアさんが敗れるなんて……」
「信じられないわね。あの三組のペア、本当に一般生徒なの?」
「デュノアが……落ちた……?」
「あのフランスの代表候補生……あの時はアンティークを使いこなしていたと思ったが、案外と不甲斐ない男だったな。
どうやら私と戦う前に、あの男達は敗退となりそうだ。私自身の手で叩き潰せなかったのは残念だが、まあ仕方があるまい。
私に歯向かうほどなのだから、それなりの力量かと思っていたのだが……とんだ看板倒れだったな」
 そしてセシリアが唖然とし、鈴が訝るような表情になり。離れた場所では箒が呆然とし、ラウラは侮蔑を隠さないでいた。
「まさか、一般生徒にあのペアが負けるとはな。これもイレギュラー、か?」
 原作知識を有する、ゴウでさえも驚きを隠せないでいた。
この時のシールドエネルギー残量の割合は、一夏が37%・真美が87%・ロミーナが41%。一夏が、圧倒的に不利な状況だった。


「ふむ……。おたくの『とっておきの品』は不調でしたかな?」
「……」
「やれやれ。同じフランスの企業同士、仲良くしたいと思ったのですが。残念ですな」
 そんな会話が、来賓席に座る二人の男――。話しかけた方は、カコ・アガピ傘下のレゾン・レーブの新社長に就任した日系人。
そしてもう一人、話しかけられたフランス人の男性との間でそんな会話がなされていたが。
その男性は返事をせず、ただ一心不乱に試合へと視線を向けるだけだった……。




 というわけで、シャルの敗北回でした。シャルロッ党の方、もしも不快に思われたら申し訳ありません。
それにしても、最後に登場した無言の男性は誰なんでしょうねー(棒)


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