※今回、転生者という存在が嫌いな方はダメージを。好きな方は大ダメージを受ける可能性があります。
「あ! デュノア君とゴウ君だ!!」
「どうしたんだろう。あの二人で食事なんて、レアすぎる光景だよね?」
「あっちには織斑君と、いつもの三人組がいるけど……そういえば最近、もう一人一緒にいた娘を見ないわね?」
「何か、自習してるみたいだよ。黛先輩が言ってた」
僕は、ゴウ君と一緒の一夏のいないテーブルに座っていた。一夏も一緒に食事をしたそうだったから、断る事はしなかった。
だけどその時、篠ノ之さんとオルコットさんが現れて問答無用で一夏を連れて行ってしまった。
どうやら最近はずっと僕と一夏が一緒に食べているから、今夜こそは邪魔者(つまり、僕)抜きで食べたかったらしい。
それを見送ると、何故か二組の凰さんが駆けて来て『あたしを仲間外れにしようたって、そうは行かないわよ!!』と言って合流したけど。
……どうして解ったんだろう? その四人は、僕やゴウ君とは離れた場所で食事をしているけど……ああ、また一夏が何か言ったんだね。
篠ノ之さんが物凄く怖い目で一夏を見てて、オルコットさんと凰さんが呆れたような表情で一夏を見ているから。
「どうかしたのか?」
「う、ううん。何でもないよ。それにしても、結構高カロリーなメニューだね」
「そうかな。君こそ、それだけで足りるのか」
「うん」
僕は洋風定食、というメニュー。グラタン、パスタ、フランクフルト、ポタージュなど少し無国籍だけど僕達の舌に合う味だった。
将隆が以前、昼間にこれを食べた時には御飯を大盛り・更に幾つか小鉢を取っていたけど。僕は、そういう追加は無い。
一方のゴウ君は、大盛り御飯のステーキセット。それにピザやハンバーガーを付け加えるなど、アメリカ人みたいなメニューだった。
……ちょっと変な感じはするけど、それは良いとして。
「ゴウ君、あの――」
「それなんだが。――俺の事は、呼び捨てで呼んでくれて構わないよ」
「え?」
「織斑一夏や安芸野将隆は既に呼び捨てだと聞いたからね。……駄目かい?」
フランスで学ばされた『女子に心地よい立ち振る舞い』の中に、視線の使い方で異性を誑かす、というのがあったけど。
ゴウ君のそれは、まさにそれだった。……そして僕は、ある事に気付く。彼は僕に優しい言葉をかけてくれたけど。
もしかして、それが全部演技だったとしたら。あの時は気がつかなかったけれど、よく考えれば不自然だった。
「――ねえ、ゴウ君。少し、別の場所で話がしたいんだけど……良いかな?」
「ああ」
少し怖かったけど。彼が僕にとっての『魔法使い』になるのかどうかが知りたい。
……期待と不安と寒気が交じり合った中で、僕は一夏に彼の部屋へと行くと伝えにいった。
「それで。話とは何だ?」
「うん……どうして、僕の事情を知ってるの? ううん、何処で僕の事情を知ったの?」
「そこ、か。まあ、さっきは授業の間の休み時間で、話している暇も無かったから言わなかったが……」
それは、どうしても聞いておかければならない話題だった。それを聞いた彼は、溜息をつく。
「……少々語りづらい内容だが。欧州連合が、イギリスやフランス、ドイツの政府とある程度距離を置いているのを知っているかな?」
「――うん。それは、僕達欧州出身者にはある意味で常識だからね」
欧州連合はヨーロッパ諸国の連合共同体だけど、それぞれの国益という物もあるから一枚岩であるわけじゃない。
たとえば過去に、経済危機に陥った国を救おうと出費を迫られた国で不満が高まったり、別の国で脱退の動きが生まれた事もある。
協力すべき所は協力し合うけれど、そうじゃない所であれば当然自国の利益を最優先に考えるのは当然なんだから無理もないけど。
ISの出現以降は鎮静化しているらしいけど、そういった動きも消えたわけじゃなかった。
実際、フランスの仮想敵国の中にはヨーロッパの国があるのだし。だからこそ、僕は……。
「まあ、それはさておき君の事情を知った経緯だが。……欧州連合の調査の結果、俺が見つかり秘密裏に欧州連合所属となった時だ。
秘密裏に訓練が施されて、そしていざ――という時になって君の情報が流れてきた」
「……」
「まあ、最初からおかしいとは思ったが。日本で見つかった二人目の時は、日本政府が狂喜乱舞したというのに。
君を見つけたデュノア社やフランス政府の動きが、異様なほど平常通りだったからね。……そしてまもなく、真相を掴んだ」
「やっぱり、欧州連合は知ってるんだね。僕が――シャルル・デュノアじゃない事を」
「ああ。しかし俺は目を疑ったよ。自分の子を、IS適性が高いと解ると道具に仕立てようとした父親がいるなんてね」
「……そう。それで、ゴウ君。どうして、僕にあんな事を『あのタイミング』で言ったの?」
「君と話がしたかったから。……だって、俺も同じだからな」
「――え?」
幾つかの応えは想定していたけど……予想外の答えだった。同じ? ――どういう事だろう?
「君とは違い、苗字が違うから解らなかっただろうが――俺は、カコ・アガピ絡みの人間だ」
「!!」
カコ・アガピ。それは、ギリシャに本社を置く、海運業を中心とするヨーロッパでもトップクラスの大企業だった。
確かイギリスやフランスにも手を伸ばしていたらしいけど……あ!!
「……フランスの、レゾン・レーブ社も今は買収されてそのグループ企業の一つだったよね?
もしもデュノア社が駄目なら、あそこがフランスのIS開発に乗り出すだろうって言われている……IS関連の企業」
フランス国内ではデュノア社に次ぐ大きな会社のレゾン・レーブ。あそこは、リヴァイヴのライセンス生産もしていたし……。
「その通りだ。確かに俺は……というか、俺のIS『オムニポテンス』は欧州連合所属のコアを使い、パーツ生産はレゾン・レーブだ。
だが、俺はレゾン・レーブもデュノア社と同じ程度の関心しかない。あそこがどうなろうと、知った事では無いさ」
だけどゴウは、僕の推測を真っ向から否定した。……その言葉には、確かな真実味が感じられた。
「じゃあ、どうしてなの? 同じって事は、まさか……」
「俺がこの耳で聞いたんだが。自分の息子がIS適性をもっていると解った父の言葉は、何だったと思う?
『これで私も、グループ内で大きな顔が出来る! いや、トップに登りつめる事さえ出来るかもしれんな!!』だったよ」
「……そう、なんだ」
僕は、そんな事さえ言ってもらえなかったけれど。ゴウ君の父が、ゴウ君を道具としてしか見ていないのは解った。
そしてそれは……。まあ、いいか。
「ところで、俺の方も聞きたいんだが。――この学園で、君の本当の素性を知っている人間は俺の他にいるのかな?」
「え?」
他、に?
「……書類がどういう風に提出されたのか知らないから、学園側が何処まで知っているのかはわからないよ。
でも……生徒で知っているのは、今のところ君だけの筈だよ」
「そうか……」
何故かゴウは、安堵したようだった。……知っている生徒が多いと、大騒動になるからそれを案じてくれたのかな?
「なら、例えばの話だが。君は俺以外の誰かにも、この事を知らせたいと思っているか? ……たとえば、織斑一夏だとか」
……それは、僕が迷っている部分がある事だった。一夏は、こんな僕に本当に優しくしてくれる。
色々と不案内な僕を、案内してくれたり。一緒に、お昼を食べようと誘ってくれたり。……だからこそ、逆に心苦しい。
どんな理由があろうとも、一夏を騙している事には変わりがないから。
「迷っているようだね。――なら、俺としては話さない方が良いと思う。信用できないからね」
え? し、信用できない?
「……ああ、信用できないのは彼自身が、というよりも。――彼の姉が、織斑先生だからだよ」
「――! そう、かもね」
織斑先生は寮長であり、この学園の中でもいざという時は指揮を取る立場だって聞いた。
あの人が僕の事を知っているのかどうかは解らないけど、僕が『命令』を遂行した時――僕は、間違いなく許されないだろう。
いや、遂行しようとしなくたって許されないだろう。……それが、僕に与えられた『命令』だから。
「まあ、た……いや、激情タイプの彼だ。もしも君の事を知ったら、助けようとするかもしれない。だが、それだけだ」
た……とか言いかけたみたいだけど。それだけ、って何だろう?
「彼には、君を助けられない。――ただの男子、である彼にはね」
「でも、一夏は――」
「ISを動かせる、か? それが政治的に意味を持つとしても、事が発覚すれば君の共犯者になる。何せ、同室なのだからね」
――!
「彼がなんと言っても、彼を得ようとする各国政府は共犯者扱いをするだろう。――身柄の引渡し、は要求するかもしれないな。
まあ、デュノアの罠に嵌った共犯者。そんな男子を守ろうとするのは――姉である、織斑先生くらいかな?
そうなれば、この学園自体も大きく揺れる。そうなれば――全く関係ない、生徒全員にも迷惑がかかるかもしれない」
「そ、そんな!!」
僕は、そこまでの事態になるなんて解っていなかった。ばれたら僕は刑務所行き、デュノア社は倒産……くらいは思っていたけれど。
一夏や織斑先生、更には学園にまで迷惑がかかるなんて……思いもよらなかった。
「……落ち着くんだ。これはあくまで、ばれた場合だけだよ」
そういうとゴウは、いつの間にか用意していたらしいココアを差し出した。それを飲むと、僅かに落ち着いたけど……。
「まあ、今日のところはもう帰った方が良い。色々と、ショックを受けているだろうしね」
「う、うん……。じゃあ、ね」
「ああ。また」
挨拶を交わし、僕はゴウの自室を出た。やっぱり彼の言うとおり、一夏にも隠しておくべきだろうか……。
「おう、シャルル。お帰り」
「ただいま……」
「……? 何かあったのか? 顔が暗いけど、ゴウと何かあったのか?」
帰ってすぐに、一夏にそんな事を言われた。ゴウと話をしてくるのは伝えていたけど……な、何でこういう時だけ鋭いの!?
「う、ううん! ゴウとは何も無いよ」
「へえ。シャルルもゴウって呼ぶようになったのか」
……あ。
「……いつの間にか、呼び捨てになってたね」
「え? 何か言ったか?」
「う、ううん。何でもないよ。――じゃ、じゃあシャワーを浴びてくるね!!」
「お、おう」
何処か不思議そうな一夏を尻目に、僕はシャワーを浴びる為に脱衣場に入り。――万が一を考えて、鍵をかけた。
一夏を信用しないわけじゃない。……だけど、僕は今迷っていた。
何も知らないルームメイトと、事情を知り仲間だと打ち明けてくれた(かもしれない)生徒の狭間で……。
「嘘を言うには、その中に真実を混ぜればいい――か。確かに、その通りのようだ」
一人に戻った部屋の中で、俺はそんな事を呟いた。俺が告げた言葉。それは嘘であったが、その中には真実も含まれていた。
確かに俺はこの世界に転生して生まれたが、それはカコ・アガピ社のグループ企業の社長の息子としての転生だった。
父親――といっても何の感情も無いが、あの男がそんな事を口にしたのも、俺は確かに目の前で聞いた。
それの絡みで欧州連合所属になったのも事実、バックにカコ・アガピ社と欧州連合がついているのも事実だ。
そしてレゾン・レーブには確かにバックアップしてもらっているものの、だからといって拘りは無いのも事実。
もしも明日レゾン・レーブが潰れても、補給の心配をして終わりだ。実際そうなれば、他の企業が代役になるだけだろうが。
俺の事情をある程度打ち明けたのも、話がしたかったから……という理由で間違いない。
――だが、嘘も混じっている。その中でも明かせないのは『秘密』を知った経緯だ。言うまでも無く、俺は最初から知っていた。
『シャルル・デュノア』の正体。転生、と言う経験を積んだ俺にとって、それは常識レベルの知識だった。
欧州連合が正体を掴んでいるのかどうかは……俺は知らない。伝えてはいないが、知っている可能性もあるだろう。
そして他にも大きな嘘がある。俺のバックにいるのは、欧州連合とカコ・アガピだけじゃない。
ISを強奪する能力を持つ集団、亡国機業も含まれている。正確には、カコ・アガピの一部が亡国機業と重なっていると言うべきか。
まあ、全てのバックにいえる事だが仲良しこよしというわけじゃない。俺が世界で数人しかいない存在だから、だろう。
そして、最後にシャルルに語った事は全部が嘘……というか、あくまで『可能性の一つ』だ。織斑千冬がどう動くか、もそうだが。
口にはしなかったが、そういう事態になると篠ノ之束が動く可能性もある。だから、確定した事実というわけじゃない。
……いや。あのクソサマーを信用するな、あいつは頼れない、というのは本心だな。それは間違いないか。
「……まあ、最大の嘘はそれじゃないな」
だが、これらよりも大きな、俺のついた最大の嘘は――俺が自分の境遇と重ねあわせて共感した、という件(くだり)だ。
俺自身、この境遇をどうとも思っていない。これは『神』より与えられた恩寵であり、それ以外の何でもなかった。
まあ、お目当ての『キャラ』に近づく口実になったからラッキーだな、くらいは思ったか。
「後は、セシリア・オルコットとラウラ・ボーデヴィッヒが欲しいが……さて、どうするかな」
セシリア・オルコットならばクラス代表決定戦に潜り込めれば楽だったが、それは既に不可能なので他に策を立てるしかない。
ただ厄介なのは、俺のこの世界での祖父と彼女の母親との間で一悶着あったらしい。彼女自身がどう思っているかは知らないがな。
まあ所詮はちょろい15歳の小娘だ、多少障害があろうとも取り込めないわけじゃあないだろう。
そしてラウラ・ボーデヴィッヒは、やはりこの時期は織斑千冬以外の何者にも心を許さないようだった。
あの転入生紹介イベントでの発言を盗み聞く限り、更識楯無レベルならは注視しているようだが……あちらも今は近づきづらい。
まあ、最悪でもトーナメント終了後に同室になるであろう『彼女』を足がかりとする手段も無いわけではないが……。
「その時にはあのクソサマーに誑かされている可能性が高いからな……」
あの口で守ると言うだけの、詐欺師紛いの男。今日、掃除道具を焚きつけると面白いように俺の思った通りに行動した。
その時の行動や反応を見る限り、どうやら知識通り、セシリアと掃除道具、貧乳が既に落とされているようだが。
まだシャルルの事には気づいていないようだ。知識通りなら、あのイベントが起きる日は同時にあの事件も起こるからな。
その前に接触できたのは、僥倖だっただろう。……だが、知識を保有するからといって安心は出来ない。
そもそも俺達の存在。――それこそが、俺の知識通りには行かない可能性を招く最大の不確定要素なのだから。
「出来る限り近づいておくとするか。後は、もう一人の三組の男だが……。まあ、いいか」
日本の機体を預かっているらしいが、実力的には俺よりも格下だ。転生者らしき感じもしないし、放置していて問題ないだろう。
「……ん?」
ノックの音がして、ドアを開けると……そこには『ケントルム』がいた。その視線が、俺の使っている机に行く。
その上には、四組女子から貰ったプレゼントが放置されていた。そして誰もいないのを確認し、ドアを閉める。
「モテモテだね、ゴウ君……いや、マルゴー」
「別に、どうという事はないさ。俺のルックスや能力に惑わされてるだけの物だ。街灯の光に集(たか)る虫と変わらん」
「けっ、つくづく女嫌いだな」
黙っていれば男が放っておかない美少女であろうケントルムから、辛辣かつ下卑た声が漏れる。
……本当に、同一人物なのかと思うほどだ。コイツを知っている生徒が見れば、多分自分の耳を疑うんじゃないだろうか。
「それとケントルム、勘違いするな。俺は、女が嫌いなんじゃない。馬鹿な女が嫌いなだけだ」
「そうかよ」
こういうことには、転生してからというのもの慣れっこだった。このIS学園ならば違うかもしれない、と思ったが……。
やはり同じだった。変わり行く世界を俺自身が変えろ、とは『神』が言った言葉だが。ならば、俺の選んだ通りにさせてもらおう。
――俺の好きなSSのように、この後の『展開』を弄くらせてもらうとしよう。その為に、転生をさせたのだろうからな。
「ふー。しかしまたやり直すって言うのは、面倒くさいよな……」
ケントルムは、今帰ってきたばかりなのだろうか制服姿だったが。
後ろ向きにベッドに飛び込み、その柔らかさを楽しむように転がった。……おい、俺のベッドだぞ。汚すなよ。
「相変わらずだな。干物女かお前は」
「生憎と、前世からこれだ。何せ死ぬ直前まで、ゆっくり寝ていられる暇もなかったんだよ」
「……前世、ね」
ケントルムも俺も、それぞれの前世は知らなかった。相手の性格や発言を元に、大まかな推測はしているが。
「それよりも、お前は何故ここに来た。まさか俺のベッドを汚す為か?」
「そこまで暇じゃない。五月蝿いガキの相手をするのも疲れるんだよ。ったく、面倒くせえ」
「……」
こういった微かな発言からも、推測を深めていく事はできる。ちなみにケントルムに対する俺の推測は……。
こいつは、前世も今の人生も女性であり性転換はなし。妙に『ISという存在』に憎しみが強い所からして、今の人生で何かあり。
前世は……特に死の直前はとにかく忙しかったらしく、それを匂わせる発言もある。どうも小さな会社の社長か重役だったらしい。
IS世界に転生したくせにアニメが嫌いで、好きなアニメを聞いたら機嫌が悪くなった。そして肝心の転生した結果だが……。
異質な特殊能力は確認されておらず、神から与えられた機体も無いようだ。俺は4歳の時にこの体に憑依したが、奴は直前であるらしい。
亡国機業に加わったのは、どうやら親絡みのルートを辿ったようだが……。その辺りは、俺と共通していた。
あと共通する点といえば、ケントルムは女のくせに『俺』口調だが。どうもこれは……おっと。それはどうでもいいか。
どうせいつもは隠している本性だし、今の所は学園内で俺くらいしか知らない筈だ。――織斑千冬や更識楯無ですら、知らないだろうな。
「休んだなら、とっとと出て行け。お前は注目されるのを好まないのだろう?」
「話題の転入生のネタを得る為に入ったんだ。お前がネタをくれればすぐに出て行ってやるよ」
「……だったら、俺は明日の放課後に図書館で自主勉強するとでも伝えてやれ。希望するなら、一緒に勉強する事もOKだ、と」
「分かった。あのガキどもが喜びそうなネタだな」
そういうと、ケントルムは去っていった。……ふう。ようやく静かになったか。あまり付き合いたくない相手だが。
四組である俺にとって、奴の協力はありがたい。奴の今いるポジションも、中々好位置だ。
「だが――いずれは」
今の俺やケントルムのようなケースが複数存在した場合、それぞれの立場や考えの違いが争いへと発展する可能性がある。
一応同じ組織――亡国機業に属している身ではある為、そう表立っては動けないだろうが。あいつとはいつかは争うだろう。
「だからこそ、協力者を作り出す……。出来れば、代表候補生数人をな」
アンチ系転生者。俺が分類されるであろう選んだ道は、原作に登場する存在、場合によってはその殆どを敵に回すだろう。
だからこそ、転生の際に色々と頼んだ。その一つがカコ・アガピ絡みの家に生まれる事であり、このルックスだ。
――そして、幾つかの特殊能力もそうだ。これこそが、俺の信じる勝利の方程式。これこそが。
「アンチ系SSなら、ハッピーエンドフラグだからな」
IS世界に違う作品の能力を持って乗り込み、IS世界の雰囲気も篠ノ之束も織斑千冬もぶち壊すアンチ系SS。
痛快な事この上ない作品が多かった。この面白さが理解できない奴らはアンチじゃなくヘイトだ、って言ってたが。どうせ……。
「さて、まずは『どれ』から手を付けるとするかな」
黛薫子より入手した『彼女』のそれを含めた、狙う『ヒロイン』三名の画像を見ながら。俺は、舌なめずりをするのだった。
「お、一夏か。どうしたんだ?」
「将隆……」
何となく素っ気無くなったシャルルの事が気になり、眠れなかった。
そして外へ出てみると、そこには将隆がジュースを買っていた。……寝る前に飲むと、あまり良くないんだけどなあ。
「どうしたんだよ、お前。何か落ち込んだ表情だぞ?」
「そ、そうか? いや、実はな……」
「シャルルが、か。……ゴウって奴と話してから、なんだな?」
「……ああ」
ちょっと話をしたくなっただけだったのに。気付けば将隆に、殆どの事情を話してしまっていた。
「……嵐、か」
「嵐?」
「いや、な。三組でもあいつの事は話題になってるんだよ。授業でISを披露したんだが、それがまあ……。だけど、な」
そう一拍置いて、何かを言いかけて将隆は口を噤んだ。どうしたのか、と後ろをむくと。
「織斑君、初めまして。それと将隆君も、こんばんわ」
「久遠……」
「マサ兄、こんばんわ」
「あ、ひょっとして……君が一場さん、か?」
初対面だが、将隆が『久遠』なんて呼ぶ学生はこの学園でも一人しかいないだろうから解った。
そこにやってきたのは宇月さん・フランチェスカとは逆の、俺の隣屋・1024号室にやって来た二組の転入生・一場久遠さんだ。
「あれ、お前らまだ初対面だったのか?」
「ええ。私とロブは、入寮が今日の夕刻だったので。少々、事情があったのですよ」
「そういうことだな。……っと、初めまして。織斑一夏だ。よろしく」
「これはご丁寧に。アメリカ代表候補生、一場久遠と申します」
「オレはロバート・クロトー! よろしく、イチ兄!!」
もう一人の転入生だって話の子供も、すぐ後ろから現れたが……い、イチに? いや、イチ兄(にい)か。
「ああ、一夏。ロブは日本語で年上の男を『兄』付けで呼ぶんだよ」
「へえ。でも何か、変な気分だな。イチ兄だなんて」
「そういえばお前、お姉さんはいても弟はいないんだっけ?」
「ああ。それにしても……」
「おいお前ら。そろそろ、就寝時間だという事を忘れてはいないだろうな?」
まずい、千冬姉だ! どうやら俺達にではなく、近場にいた誰かに言ったようだが……声の様子からして、近い。
「おい、今日の所はこれで引き上げようぜ。……鬼の雷が怖い」
「……そうですね。では、引き上げましょうか」
「バイバイ!」
そして、俺達はそれぞれの部屋に戻っていった。とはいっても俺と一場さん・クロトーは隣室同士なのでほぼ一緒だったが。
何というか……クール系の一場さんとわんぱくなクロトー、って感じで。少し、新鮮な感じがした。
「ねえ一夏。――四組の更識の噂、知ってる?」
「更識さんの? いや、知らない」
翌朝。俺やシャルル、宇月さん達や箒が一緒に登校すると、下足箱で合流した鈴が、そんな話題を口にした。
「あの時、更識の奴が転入生紹介イベントで宣戦布告されたじゃない。――それから逃げてる、っていう噂」
「え? 逃げ、てる……?」
「そう、なのか?」
逃げるって……何でだろうか? 俺がラウラ・ボーデヴィッヒに戦いを挑まれた時みたいに、戦う理由が無いから……か?
「あたしも、昨日エリスからのメールで知ったばっかりだから詳しくは知らないけど……そういう話が出てるのよ」
「ちょっと、信じられないわね……。ただ単純に、打鉄弐式を組み直してるからじゃないのかしら?」
この中では最も更識さんと親しい宇月さんが、そう反論する。確かに組み直し中なら、戦える筈も無いな。
「鈴。逃げてるとは、どういう事だ?」
「……この場合は、戦いを避けているという事かしらね」
そんな説明も聞こえてきたが。うーん。宇月さんの言ったケースだとすれば、逃げてるって言葉じゃないと思うんだけどな。
「……お、そろそろHRの時間が近づいてきたぞ!!」
二組はどうか知らないが、俺達はやばい。遅刻でもしようものなら、恐ろしい裁きが下される。
「そうだね。じゃあ、またの機会に」
「急がないとね」
それで話は終わりだった……が。この噂は、予想以上に広まっていた。
「それでは、二組にもこの噂は広がっていますの?」
休み時間。セシリアに聞いた所、彼女もこの噂を知っていた。そして、他のクラスメートの大半も知っているようだ。
「ああ。少なくとも鈴は知ってたし、その友達も知ってるらしい」
「このような誹謗が広まるというのは、あまり良い事では無いな」
確かに、箒の言うとおりだった。逃げている、っていうのはあまり言葉が良くないし。
「同感ですわ。私はあの方とはあまり会話をした事はありませんが。――ちゃんと、揺らがない思いをもっておられる方でしたわ」
「……意外ね、貴女がそこまで言うなんて」
「どういう意味ですの、レオーネさん!?」
ごめんセシリア、俺も少し思った。……それにしても。
「揺らがない思い……か」
「どうかしたか、一夏?」
「いや、何でもない」
更識さんが持っているといわれた揺るぎない思い。それは、俺は持っていないよなあ……。
「ねえねえ、聞いた? 四組、更識さんとゴウ君の対決を組んだみたいよ?」
「いつなの? ようやく逃げるのを止めたの?」
「それはね……」
「はあ、皆好きよね、こういう話題が……」
皆が、四組の更識とゴウ……っていう男子の対決で盛り上がっていた。あたしは関係ないと思っていた話だったけど。
実はさっき、政府の方から『欧州連合の専用機のデータ収集の必要性』という理由で、必ず試合の見学に行くようにとお達しが来た。
本当に興味は無いんだけど、こうなったら行くしかない。どうせなら上手い事、一夏を誘えないかな? ……できれば、二人きりで。
「それにしても、最近はイケメンが増えたわよね。恵都子は誰が好みなの?」
「私はやっぱりデュノア君よ! あの儚げで華奢な感じ! それでいて、自分の意見をはっきりという芯の強さ!
まさしくフランスから来た王子様!! ……あれで、もう少し身長があったら完璧なんだけどなー」
「でも、あの小柄さが逆に可愛らしさを持ってると思うんだけど」
別の場所では、隣同士の席に座っているアナルダと恵都子がそんな会話をしていた。あっちはデュノアの話、か。
まあ、確かに恵都子が言うようにデュノアは小柄だと思う。あたし(150㎝)よりも少し高いくらいで、セシリアや箒よりも低そう。
フランスの男子の平均身長は、クラスメートのフランス人・コラリーによると170を越えるらしいのに。
まあフランス人にだって小柄な男子はいるだろうし、別にデュノアが小柄だろうが大柄だろうがどうでもいい事なんだけど。
「じゃあアナルダやティナはどうなの?」
「私は、三組の転入生のクラウス君かな? ちょっと馬鹿っぽいけど、面白そうだし」
「あたしは、織斑君の方が良いかなー」
あたしにとって聞き捨てならない言葉を発したのは、話に混じって来たティナだった。
まさかと思うけど、ルームメイトが恋敵にはならないわよね? ……それにしても、とあたしは別の場所に視線を向ける。
「へえ。ロブ君は、日本で暮らしていた時期もあるんだ。だから、日本語ペラペラなんだね」
「うん。オレも、日本好きだし!!」
「……ロブ。年上には敬語を使いなさい」
「いいっていいって」
その一角では、一場とクロトー……二人の転入生が女子に囲まれていた。一年生もいるけど、数人ほど二・三年生もいる。
人気者ね、と思わないでもなかったけど……ファティマによると、以前の騒ぎに比べると比べ物にならない位、少ないらしい。
三組のブローン、四組のゴウと重なったのと、一組のデュノアの方へ向かう娘もいるらしく、皆の興味が分散しているんだとか。
あたしは話にしか聞いていないけど、一夏が入学した時に一組に集まった人数は凄かったらしい。
中には、夜になって一夏の自室にまで押しかける女子もいたらしいし。……。ま、まあもう終わった話だから仕方がないけど!!
「……」
「っ!?」
気がつくと、女子に囲まれていた筈のクロトーがあたしの席のすぐ傍まで来ていてあたしを見ていた。
「ど、どうしたのよ。あたしに何か用事?」
「んー。ファーさんを見てると落ち着くから」
はあ? 落ち着く、ってどういう意味よ?
「申し訳ありません、凰さん。実は、貴女の姿がロブの母親とよく似ていまして……」
「はは、おや?」
……少しだけ口ごもってしまう。幸い、一場は何も気付かなかったようで何も言わなかったけど。
「その髪型が、特によく似ています。……私も初めて貴女を見た時は、そう思いました」
……ふうん。ま、まあ、クロトーはまだ母親が恋しくても仕方がない年頃だし。そういう事じゃ、しょうがないわね!!
「それにしても、クロトーの母親ってあたしにそんなに似てる美人なの? アジア人なの?」
「ええ、中国系のアメリカ人だと聞いた覚えがあります。……確かに、よく似ていますよ」
何か微妙な言い方だけど、まあ別に悪い気はしない。母親が何歳なのかは知らないけど、大人っぽいっていう事だろうし!!
「本当に似てるよ、ファーさん! 八重歯とか、胸の小さい所とかも!」
「ろ、ロブ!!」
……イマ、コイツハナンテイッタノカシラ?
「す、すいません、凰さん。ロブも、悪気があって言ったわけでは無いのですが……」
落ち着け、あたし。いくら何でもこんな子供に怒るわけにはいかない。慌てる一場に、何をするわけにもいかない。……。
「……クロトー。あたしは、凰鈴音。どうしても『ファン』って言えないのなら、鈴でいいわ」
「リン?」
「そう。だから、今度からは鈴って呼びなさい」
「う、うん……お、オレもロブで良いよ!!」
あたしは『にこやかに』言ったつもりだけど、どうしてかクロトー……いや、ロブは怯えていた。……何でかしらね?
「あー、もう!! 本当にムカつく!!」
あたしは、トイレで大声をあげていた。周囲に人はいないから出来ることだけど。……ああ、まだイライラする。
「一夏が言ったら、本気で殴る所だったわよ……」
思わず拳を握り締める。まだ発散しきれない怒りがある中、あたしの視線が自分の胸に行く。
「ええい、どいつもこいつも!! 胸ばっかり膨らんで!!」
特に箒と、あの一組の布仏って娘! 何で日本人なのにあんなにも大きいのよ!! おかしいでしょ、あれ!!
「色々と試してるのに、効果は出ないし……」
日本人の男は女性の顔と胸を良く見る、って話を聞いてからそれなりに努力はしているつもりなのに。
ISの技術向上よりも難しいようで、全然その成果が現れない。……一夏の奴も、やっぱり大きい胸の方がいいのかな?
弾とか数馬がそんな話をしていた事もあったし……。何より、千冬さんがシャープな割にはかなり大きい部類に入る。
あのシスコンの一夏だから、そういった影響も千冬さんから受けてるだろうし……。
「ああ、もう!! やめやめ!! 悩んだって胸が大きくなるわけでもないし、千冬さんの胸が小さくなるわけでもないんだし!!」
そういうとあたしは、個室のドアを開け……固まった。だって、そこには。
「凰。私の胸が、どうかしたのか?」
千冬さんが、いつものように黒いスーツで立っていたのだった。……な、何なのよこの展開は!?
今時、ギャグ漫画でも使わないくらい使い古されたシチュエーションじゃないの!!
「トイレの傍を通りかかったら、何やら大声がするかと思えば……。お前は一体、何をしていたんだ?」
「そ、それは……」
言えない。クラスメートに胸が小さいといわれて、ここでストレスを発散していたなんて。いくら千冬さんでも言えない。
「……まあいいか。これ以上公共の場で騒ぐなよ」
「は、はい!」
だけど千冬さんは、意外すぎるほどあっさりと引き下がってくれた。……うう、どうも苦手だわ。
「ふう……もう、教室に戻ろ」
少し俯いて歩き……だした所で、あたしは誰かにぶつかった。……また、このパターン? 胸の感触はしないけど……って!?
「悪い悪い……って鈴か。どうしたんだ、ボーっとして」
「い、一夏ぁ!? 何であんたがここにいるのよ!!」
「いや、俺も階下のトイレから戻る途中だったんだが、そしたら鈴がぶつかってきたんだ。何かあったのか?」
「な、何でもないわよ!!」
いや、あったけど! こんな事をあんたに話せるわけ無いじゃない!!
「そうか? ……まあ、何かあったら話してくれよ?」
「な、何よ。何か今日は、妙に優しいじゃない」
「そうか? いや、俺は別に普通のつもりなんだが」
……そんな言葉を吐く一夏が、何故か少し眩しく見えた。……い、いやいや、何でこいつ、いきなりこんな事言い出すの?
「ど、どうしたのよあんた。悪い物でも食べた? セシリアのサンドイッチとか」
「別に何も無いぞ。鈴こそ、何でそんな事を言い出すんだ?」
一夏は、不思議そうな顔をしてあたしを見る。……そこまで言うなら、本当に自覚は無いんだろう。
「まあ、良いわ。――それよりもさ、四組の戦い。あんたは見に行くの? い、一緒に見に行かない?」
「そうだな、さっきセシリアや箒にも言われたし。……それに、あいつがどう戦うのかは見ておきたいかもな」
くっ、また出遅れたわ! それにしても、あいつって……ゴウって奴の事だろうけど。でも。
「何でそんなにあいつが気になるの? 何か、あいつとやらかしたの?」
「そうじゃないさ。強いて言うなら……俺も揺らがない思いを手に入れたいからから、かな? 千冬姉にも言われたし」
事情はよく解らなかったけど、やっぱり千冬さん絡みであるようだった。まあ、予想できる範囲だけど。
「やっぱりラスボスは他の誰かじゃなく、千冬さんよね」
「ラスボス? 何の事だ?」
「いいのよ別に! それより、戻らないと授業始まるわよ!!」
「うわ、本当だ! やべえ!!」
時間内に戻らないと命に関わる一夏は、走りだす。そしてそれを追い、ストレスがどっかへ消えたあたしも走り出すのだった。
我ながら単純だな、とは思うけど。それは、嫌じゃなかった。
各人がそれぞれの事情、それぞれの思いに邁進する中。――こんな一幕も、学園内で繰り広げられていた。
生徒会長・更識楯無と、その腹心で生徒会会計・布仏虚がそれぞれの仕事を進める中。
「それで、データを取り始めたの?」
「ええ。日米両政府の協力が締結しましたから。安芸野将隆君、ロバート・クロトー君の共通点の模索が始まりました」
「良かったわ。クロトー君とお付きの久遠ちゃんには、そのデータ取りの所為で入寮が遅れちゃって申し訳なかったけどね」
「ええ。調査する先生達には、比較サンプルとなる人数が二人……というのはやはり不満だったようですが」
「まあ本当なら、織斑君や……彼のデータも欲しい所だろうけどね」
「彼のほうは、欧州連合が許可を下ろしていませんから。――それに、織斑君の場合は」
「例外の可能性があるから、でしょう。……まあ、まずは安芸野君とクロトー君の共通点を見つけないとね」
「ええ……」
と、そこへ生徒会専用回線――実質的な、更識楯無の個人回線が繋がった。織斑千冬でさえ接触できないこの回線。
それが繋がるという事は、大体において政府レベルを揺るがす連絡であるのだが……。
それを受け取った虚の表情は、多種の感情に彩られた。驚愕・感嘆・歓喜・安堵。……そしてその報告は。
「お嬢様。……たった今、政府から報告が入ってきました。――日本政府認定・重大事案ケース[いみちこちか]に関してですが。
3年前の一件。今までは状況的証拠だけでしたが、とうとう尻尾がつかめました。……結論から言えば、やはり繋がっていたようです」
「……やっぱり、ね。じゃあ、同じ年のアレも?」
「ええ。クーデターによる組織の一新。それにも秘密裏に干渉していた……かと」
「そう。まあ、あんな事をやって無傷で済んでる時点で、何となく予想はしていたけどね……」
「ええ。しかし、これで10年前の謎も同様に……」
「絡んでいた可能性大、ね。……でもまあ、これでほんの一歩でも追いつけたのよねぇ?」
「ええ。……とっておきの茶葉がありますから、それをお淹れしましょう」
「お願いね」
そういうと、楯無の持つ扇子が『五里霧中』から『点滴石を穿つ』に変わった。
そしてようやく得た確証に、二人は珍しく自然な笑みを浮かべる。これが、彼女達の中では途方もなく大きな一歩であったから。
――だが、更識楯無も布仏虚も知らなかった。自分達が得た情報、それさえも手の内としている存在の事を。
それが彼女達や政府が喜んでいるのと時を同じくして、密かに笑みを浮かべていた事を……。
補足:冒頭で鈴が合流できたのは、騒動を知った香奈枝が『二人が誘おうとしてるわよ』と鈴にメールを送ったからです。
シャル視点だったので書けませんでしたが、そういうカラクリがありました。
2013/04/03追加
補足2:ゴウの持っていた写真の入手先は以下の通り
セシリア:一般に販売されているモデル雑誌
シャル :黛薫子から入手。彼女曰く、ちゃんと頼んで(=強引に)撮った物らしい。
ラウラ :同上。ちなみにラウラの方が難しかったらしく、隠し撮り。
ゴウの真意が炸裂した回でした。実力者ではあるけど、信用できるタイプじゃない。主人公に対してアンチ思考。
こういったキャラを書くのは、とても難しいです……。