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No.30054の一覧
[0] IS ―インフィニット・ストラトス クラスメートの視線―[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:41)
[1] 受験……のはずが[ゴロヤレンドド](2014/07/19 14:27)
[2] どんどん巻き込まれていく[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:42)
[3] ある意味、自業自得なんだけど[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:42)
[4] 何だかんだで頑張って[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:44)
[5] やるしかないわよね[ゴロヤレンドド](2016/05/12 12:14)
[6] いざ、決戦の時[ゴロヤレンドド](2012/04/16 08:11)
[7] 戦った末に、得て[ゴロヤレンドド](2014/06/16 08:01)
[8] そして全ては動き出す[ゴロヤレンドド](2014/07/30 07:55)
[9] 再会と出会いと[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:45)
[10] そして理解を[ゴロヤレンドド](2015/01/19 07:58)
[11] 思いがけぬ出会いに[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:47)
[12] 思い描け未来を[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:48)
[13] 騒動の種、また一つ[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:49)
[14] そして芽生えてまた生えて[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:50)
[15] 自分では解らない物だけど[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:52)
[16] 渦中にいるという事[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:52)
[17] 歩き出した末は [ゴロヤレンドド](2015/01/19 07:59)
[18] 思いもよらぬ事だらけ[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:54)
[19] 出会うなんて思いもしなかったけど[ゴロヤレンドド](2013/04/13 11:55)
[20] それでも止まらず動き出す[ゴロヤレンドド](2014/07/19 14:28)
[21] 動いている中でも色々と[ゴロヤレンドド](2013/04/13 12:00)
[22] 流れはそれぞれ違う物[ゴロヤレンドド](2013/04/13 12:01)
[23] ようやく準備は整って[ゴロヤレンドド](2013/04/13 12:01)
[24] それぞれの思い、突きあわせて[ゴロヤレンドド](2013/04/13 12:02)
[25] ぶつかり、重なり合う[ゴロヤレンドド](2014/07/30 07:56)
[26] その果てには、更なる混迷[ゴロヤレンドド](2013/04/13 12:04)
[27] 後始末の中で[ゴロヤレンドド](2012/11/15 08:09)
[28] たまには、こんな一時[ゴロヤレンドド](2012/11/15 08:10)
[29] 兆し、ありて[ゴロヤレンドド](2012/12/10 08:16)
[30] それでも関係なく、私の一日は過ぎていく[ゴロヤレンドド](2013/04/13 12:06)
[31] 新たなる、大騒動は[ゴロヤレンドド](2013/01/07 14:43)
[32] ほんの先触れ[ゴロヤレンドド](2013/01/24 15:47)
[33] 来たりし者は[ゴロヤレンドド](2013/02/25 08:21)
[34] 嵐を呼ぶか春を呼ぶか[ゴロヤレンドド](2015/08/11 08:06)
[35] その声は[ゴロヤレンドド](2013/03/26 08:05)
[36] 何処へと届くのか[ゴロヤレンドド](2013/04/03 08:02)
[37] 私を取り巻く人々は[ゴロヤレンドド](2013/04/27 09:30)
[38] 少しずつ変わりつつあって[ゴロヤレンドド](2013/05/09 11:05)
[39] その日は、ただの一日だったけれど[ゴロヤレンドド](2013/05/21 08:10)
[40] 色々な動きあり[ゴロヤレンドド](2013/06/05 08:00)
[41] 小さな波は[ゴロヤレンドド](2013/07/06 11:24)
[42] そのままでは終わらない[ゴロヤレンドド](2013/07/29 08:06)
[43] どんな夜でも[ゴロヤレンドド](2013/08/26 08:16)
[44] 明けない夜はない[ゴロヤレンドド](2013/09/18 08:33)
[45] 崩れた壁から[ゴロヤレンドド](2013/10/09 08:06)
[46] 差し込む光は道標[ゴロヤレンドド](2013/11/18 08:13)
[47] 綻ぶ中で、新しいモノも[ゴロヤレンドド](2013/11/18 08:14)
[48] それぞれの運命を変えていく[ゴロヤレンドド](2013/12/02 15:34)
[49] 戦いは、すでに始まっていて[ゴロヤレンドド](2013/12/11 12:56)
[50] そんな中で現われたものは[ゴロヤレンドド](2014/08/18 07:59)
[51] ぶつかったり、触れ合ったり[ゴロヤレンドド](2014/07/19 14:29)
[52] くっ付いたり、繋がれたり[ゴロヤレンドド](2014/08/18 07:59)
[53] 天の諜交、地の悪戦苦闘[ゴロヤレンドド](2014/02/28 08:27)
[54] 人の百過想迷[ゴロヤレンドド](2014/03/11 08:12)
[55] 戦いの前に、しておく事は[ゴロヤレンドド](2014/03/11 08:40)
[56] 色々あるけど、どれも大事です[ゴロヤレンドド](2014/04/14 08:34)
[57] 無理に、無理と無理とを重ねて[ゴロヤレンドド](2014/04/30 08:27)
[58] 色々と、歪も出てる[ゴロヤレンドド](2014/07/19 14:24)
[59] まさかまさかの[ゴロヤレンドド](2014/07/30 07:57)
[60] 大・逆・転![ゴロヤレンドド](2015/01/19 07:59)
[61] かなわぬ敵に、抗え[ゴロヤレンドド](2014/07/19 14:25)
[62] その軌跡が起こす、奇跡の影がある[ゴロヤレンドド](2014/07/19 14:24)
[63] 思いを知れば[ゴロヤレンドド](2014/07/30 08:06)
[64] 芽生える筈のものは芽生える[ゴロヤレンドド](2014/08/18 08:00)
[65] 決意の時は、今だ遠し[ゴロヤレンドド](2014/09/03 08:13)
[66] 故に、抗うしかない[ゴロヤレンドド](2014/10/06 08:13)
[67] 捻じ曲げられた夢は[ゴロヤレンドド](2014/10/06 08:14)
[68] 捻じ曲げ戻すしかない[ゴロヤレンドド](2014/10/23 08:17)
[69] 戦う意味は、何処にあるのか[ゴロヤレンドド](2016/05/12 12:12)
[70] それを決めるのは、誰か[ゴロヤレンドド](2014/12/09 08:22)
[71] 手繰り寄せた奇跡[ゴロヤレンドド](2014/12/26 14:07)
[72] 手繰り寄せられた混迷[ゴロヤレンドド](2014/12/26 14:08)
[73] 震える人形[ゴロヤレンドド](2015/01/19 08:01)
[74] 対するは、揺るがぬ思いと揺れ動く策謀[ゴロヤレンドド](2015/02/17 08:06)
[75] 曇った未来[ゴロヤレンドド](2015/03/14 10:31)
[76] 動き出す未来[ゴロヤレンドド](2015/03/31 08:02)
[77] その始まりは[ゴロヤレンドド](2015/04/15 07:59)
[78] 輝夏の先触れ[ゴロヤレンドド](2015/05/01 12:16)
[79] 海についても大騒動[ゴロヤレンドド](2015/05/19 08:00)
[80] そして、安らぎと芽生え[ゴロヤレンドド](2015/06/12 08:02)
[81] 繋いだ絆、それが結ぶものは[ゴロヤレンドド](2015/06/30 12:20)
[82] 天の川の橋と、それを望まぬ者[ゴロヤレンドド](2015/07/23 08:03)
[83] 夏の銀光、輝くとき[ゴロヤレンドド](2015/08/11 08:08)
[84] その裂け目、膨大なり[ゴロヤレンドド](2015/09/04 12:17)
[85] その中より、出でし光は[ゴロヤレンドド](2015/10/01 12:15)
[86] 白銀の天光色[ゴロヤレンドド](2015/12/01 12:17)
[87] 紅と黒の裂け目の狭間で[ゴロヤレンドド](2015/12/01 12:18)
[88] 動き出したのは修正者[ゴロヤレンドド](2016/02/04 08:01)
[89] 白銀と白[ゴロヤレンドド](2016/02/04 08:02)
[90] その、結末[ゴロヤレンドド](2016/03/02 12:22)
[91] 出会い、そして[ゴロヤレンドド](2016/03/30 12:24)
[92] 新たなる始まり[ゴロヤレンドド](2016/05/12 12:16)
[93] 新しいもの、それに向き合う時[ゴロヤレンドド](2016/06/24 08:40)
[94] それは苦しく、そして辛い[ゴロヤレンドド](2016/08/02 10:08)
[95] 再開のもたらす波、それに乗り動く人[ゴロヤレンドド](2016/09/09 09:34)
[96] そのまま流される人[ゴロヤレンドド](2016/10/27 10:08)
[97] 戻りゆく流れの先に[ゴロヤレンドド](2017/02/18 12:02)
[98] 新たなる流れ[ゴロヤレンドド](2017/03/25 11:46)
[99] 転生者たちはどんな色の夢を見るのか[ゴロヤレンドド](2017/05/27 14:38)
[100] そして、その生をあたえたものは[ゴロヤレンドド](2017/05/27 14:36)
[101] 戦いの前に[ゴロヤレンドド](2017/09/12 15:39)
[102] 決めた事[ゴロヤレンドド](2018/01/30 15:54)
[103] オリキャラ辞典[ゴロヤレンドド](2017/09/12 15:38)
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[30054] 動いている中でも色々と
Name: ゴロヤレンドド◆abe26de1 ID:2f15c288 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/04/13 12:00
「衝撃砲、か……見えない大砲って、どんなのだろうな?」
「さあな。どちらにせよ、第三世代の兵装である以上簡単な相手ではあるまい」
「だよなあ……」
 以前、セシリアとの戦いの前にブルー・ティアーズの事を調べたように鈴の情報を得た……。
のは良いんだけど、今ひとつその厄介さが解らなかった。
鈴の場合は、セシリアの時のように提出された資料が無いためにまだまだ秘密の部分が多かったんだ。
「まあ、セシリアの時のように本人から離れて襲ってくる事は無いみたいだからな。鈴の姿を視界に入れておけば、防げるんじゃないか?」
「お前は楽天的に考えすぎだ。まだ瞬時加速さえ使い始めたばかりだろう、そんな事で……」
「解ってるよ。それに、鈴の機体だけ気にしていれば良いわけじゃなさそうだしな」
 鈴の情報の下には『一緒に調べておきましたわ』と渡された、安芸野の資料があった。
名は御影、日本の自衛隊所属の第三世代のIS。その特殊能力は……。
「ステルス機能、か。見えない敵っていうのが厄介だよなあ」
「私はまだ、そちらには目を通していなかったが……ISのステルスモードとは違うのか?」
「え、そんなのあったっけ?」
「……お前な」
 箒が呆れたような視線で見てくる。えーーーと、何だったっけ……?
「まあ、見えない敵であれ問題は無い。ハイパーセンサーがあるからな」
「ハイパーセンサー?」
「そうだ。あれならば僅かな空気の動き、振動、熱源反応なども感知できるからな」
 そういえば以前、授業で上空高く上がった時、そこから地上の箒の睫毛が見えたっけ。
セシリアに機能制限の事を教わったけど、アレで制限がかかってるとは信じられないぜ。
「まあ見えない敵とて、恐れる事は無い。こう、ガッときた所をヒュッといけば、倒せるだろう。
あるいは、敵がバッと来た所を狙い定めてグッと行き、ズバッと零落白夜でやってしまえばいいからな」
 ……。とりあえず今ハッキリしているのは、ステルスモードの説明よりも箒のステルス対策の方が解り辛いという事だった。




 私が入浴から帰ってくると、一夏はいなかった。見ると『シャワー中』と書かれた紙が机の上に置いてある。
片方がいないときにシャワーを浴びる際は、このような書き置きを残しておく。これも、共に生活するうえで身に付いたマナーだった。
……だがこれも、あとわずかで無用の長物になる。
「……」
 今日、山田先生から部屋割りの変更を予定していることを教えられた。元々、私と一夏の同室は暫定的な措置であり。
クラス対抗戦が終わった辺りで、別れることになるらしい。……てっきり、一年間このままだと思っていたのだが。
「色々と、覚えたのだがな」
 ステルスモードの事を、専用機を預かる者のみに渡されるルールブックから学んだりもしたが。
一緒に学ぶ機会も減るし、何処の部屋になるのかによっては行きづらくなるかもしれない。ルームメイトがどんな女子なのかも気になる。
「……不安だらけだな」
 意外と気弱になる自分の思考に、苦笑してしまう。また一つ、私のアドバンテージが消える事になる事への不安が更なる不安を呼ぶ。
「悪循環だな」
「それって確か、悪い事が悪い事を生むって意味だったっけ?」
 ――!? 振り向くと、そこには私服のレオーネがいた。
普段はもっと薄着だが、この部屋に来る時はこういう格好をするように言った為か、私から見ても普通の服装だ。
「れ、レオーネ!? な、何故ここに!? というか、ノックはしたのか!?」
「ノックはしたけど、返事がなかったのよ。どうしたのかなって思ってたら、何やら思い悩んでるし。それと、さっきの事を忘れた?」
「あ……」
 そういえば、入浴している途中で香水の話になり。そして幾つか試してみてはどうか、と言われたのだった。
「す、すまん……」
「いいわよ、それより試して欲しい香水を持ってきたから」
 そして色とりどりの瓶に入った、アルファベットの書かれた香水の瓶が幾つも並ぶ。……ぐ、ぐぬぬ。
どれがどれやらさっぱり解らん。そもそもこれは、何がどのように違いがあるというのだ?
「じゃあまずは、これを試してみて。一番香りがソフトな奴だから、篠ノ之さんにも良いと思うわ」
「そ、そうか」
 そして薦められた瓶を手に取り……しばし硬直する。
「……ちょっと待った。ひょっとして、使い方が解らないとか?」
「う、うむ」
「そっちから教えないと駄目みたいね……」
 そういうと彼女は、私の胸元を……って!
「な、何をするのだ!?」
「これって、胸元からほのかに香らせるのが効果的な香水なのよ。せっかく大きなバストをしてるんだから、生かさなきゃ」
「そ、そうは言われても――」
「お、帰ってたのか箒。フランチェスカ、も……」
 その時扉が開き、一夏が入ってきたがその言葉が不自然に途切れた。……その視線は。
「~~~~~~!!」
 私は慌てて胸元をしっかりと閉じ、一夏に背を向けた。な、何故お前はこんな時に限って入ってくるのだ!?
「おーりーむーらーくーん? 幾らなんでも、そんなに凝視してたら失礼よ?」
「ちょ、違っ!? 凝視とかしてないぞ!?」
「嘘。今、すっごい目で篠ノ之さんのバストを見てたじゃない」
 な、何だと!? は、破廉恥な!!
「そ、そんな事してない! っていうか、何してたんだよ二人とも!!」
「篠ノ之さんと一緒に、香水を試してたんだけど? ……まあ、今日はこの辺で止めましょうか。またねー」
 そういうと、レオーネは香水の瓶を残し去って行き、私は胸元を押さえつつ振り向いた。
一夏の顔をみると、僅かではあるが赤くなっている。や、やはりそうなのか?
「い、一夏。ぎ、凝視していたのか……?」
「そ、そんな事してないって! そ、それより箒が香水を付けるなんて、珍しいよな。何でだ?」
 こ、このデリカシー零男め……。
「つ、付き合いだ。レオーネが『私達の年頃なら、香水の一つや二つ、付けておかなきゃ!』と言ったのでな」
「な、なるほどなあ。まあ、友達づきあいをしてたらそういう事もあるよな」
 ……これは、嘘ではない。その後に『香水で男を魅了する、っていうのもあるんだよ』とか言われたが。
あ、あれは別に気にするような事では無いからな、うん。
「でも、箒にはまだ必要ないんじゃないのか?」
 何? ど、どういう意味だ!? 私のような無骨者には、香水など無用の長物だといいたいのか!?
「だって俺達、まだ学生だろ? 汗をかいたなら兎も角、体臭とか気にするわけでもないし……。
それに香水って、男からしたら結構キツイ場合があるんだよな」
 最初の部分は、なるほどと同意した。こういう意見は現在では少数派なのだろうが、私も似たような意見だからだ。
体臭に関しては……。まあ、女子が『汗臭さ』以外を嫌うのを一夏が理解できないのも無理は無いだろう。
……だが、ある意味で重要なのは後半だった。お、男とは香水をそのように受け取る場合もあるのか?
今の言葉を、しっかりと胸に刻みつけておこう。下手にすると、逆効果になる事もあるのか……。
「どうしたんだ、香水の瓶を睨みつけて」
「に、睨んでなどいない!」
 ……ぐぬぬ。何故そういう風に受け取るのだ、お前は。




「今夜は私よ。よろしくね」
「おう」
 俺は、少し前から習慣になっている『夜の家庭教師』を迎えていた。……何か言葉の響きが妖しいが、深い意味は無い。
単にまだまだ知識不足な俺に、皆が交代で勉強を教えてくれると言うだけの話だ。で、今夜は歩堂の番なのだが。
「春井さんから聞いたけど、射撃の基礎範囲までは教わったんだっけ?」
「ああ。まだ半分くらいしか頭に入ってないけどな」
「そう。じゃあ、私はその続きを教えるわね」
 そういうと、歩堂は教科書や参考書を開きだした。……毎回思うんだが、何でこんなにあるんだろうな。


「さて、ここまでで説明は終わりだけど。何か質問はある?」
「この特殊無反動旋回っていうのが解りづらいんだが……」
「ああ、それはね……」
 そういうと歩堂は、俺の左にある教科書へと手を伸ばした。……その途端、その顔がアップになり俺の視界に入り。
重力で引かれた柔らかそうな膨らみが、薄手のパジャマ越しに机の上に乗る。……やばい。幾ら何でも目の毒過ぎるぞ。
「どうしたの?」
「な、何でもない」
 何の因果かISを動かしてからというもの、俺は殆どの時間をIS絡みにとられていた。
部屋が一人だったのはありがたいが、疲れからぐったりしている事も多く。また三組生徒の来客も多く。つまりは……。
「集中力が欠けてきたの? もう、しっかりしてよね」
(落ち着け俺ええええええええ!!)
 歩堂が俺の顔を覗きこむと、それは更に強くなった。少し茶色の混じった黒髪、丸っこくて可愛らしい瞳、通った鼻筋。
イギリスとのクオーターだって話だからか、少し日本人とは違う顔立ちだが。それも含めてとびきりの美少女だった。
……いや、IS学園の女子ってたいがいは美少女なんだけどな。
「そ、そうだ! ちょっと話は変わるけど、聞きたい事があるんだが!!」
「何?」
「う、打鉄とかラファール・リヴァイヴとか、何でISに量産型ってあるんだ? ISコアって、467個しかないんだよな?
この学園から年に百人以上巣立つわけだし、全部専用機になるんじゃないのか?」
 目に付いたラファール・リヴァイヴのアクションフィギュアから、そんな質問をして話をそらす。
以前赤堀から『お近づきの印に』と貰った奴だが、こんな所で役立つとは思わなかった。
「なるほど、量産型についてね……」
 そういうと、歩堂は離れて椅子に深く腰掛けた。……ふう、危なかった。
「そもそも動かすにも基礎が必要だから、どうしても『全く動かした事が無い人も動かしやすい』ISが必要になるのよ」
「それは解るけど……」
 俺も御影を貰うまでは、打鉄に何度も乗ったからな。それは理解できる。
「たとえばプロ野球で金属バットを使わないから金属バットが必要ない、なんて言う人はいないでしょう?」
 あれって、木製バットの原料が限られる事もあるんじゃないだろうか? ……そういえば。
「でも、ISのコア以外の部分を作って儲けが出るのか? 絶対防御もあるんだし、そう簡単には壊れないんじゃないのか?
生産過多……だったっけ。そういうのにはならないのか?」
 銃弾だとかのように使い捨てるようなものなら兎も角、本体はなぁ……。
「そうでもないわよ。訓練機も損耗率は高いのよねえ」
「え、そうなのか?」
「ええ。貴方相手だと基礎訓練と基礎格闘訓練くらいだから問題ないけど。三年生クラスになると、ちょっとした事で大破させるらしいわ」
 何でも、攻撃も防御も回避もレベルが上がるため、ちょっとした一撃が大ダメージになるのだとか。
ドラ○エが好きだという歩堂の言葉を借りると、序盤は少量回復のホ○ミで充分なのが終盤は全回復のベ○マ必須、って感じらしい。
……そりゃそうだな。一年生が乗る機体も三年生が乗る機体も、シールドエネルギーは(設定を弄らない限りは)同じなんだし。
一年生の攻撃で10ダメージと、三年生の攻撃で80のダメージ。80のダメージ食らったら、破損する事も多い……って話だが。
「部活の先輩から聞いたんだけど。個人トーナメントで戦った相手のISを、完膚なきまでに叩き潰した人もいるらしいわよ。
乗っている人は絶対防御があるから無事だったけど、そのISはパーツを全部取り替えたんだとか」
「凄まじいなそれ……」
 俺の時は基本動作中心だったので、壊したりする事は少なかったが。三年生になるとそのレベルなのか?
「特に絶対防御は『ダメージを受けても支障がない』とISが判断した時には発動しなからね。
打鉄の肩アーマーとかは、けっこう消耗が激しいらしいわよ。あと、各種物理シールドとかもね」
 そういえば織斑とイギリス代表候補生の女子が戦った時、初撃が肩アーマーへの一撃だったらしいな。
その時には、絶対防御は発動しなかったんだとか言ってたぞ。
「あれ? でもISって、自動メンテナンスがあるんじゃなかったか?」
「それもあるけど、トーナメントとかだと機体そのものは何度も使うしね。直るのを待っていられない場合があるし。
そういう場合はもう取り替えちゃえ、ってなるのよ」
 なるほどな。
「理解できた? じゃあ、次行くわよ。貴方には時間がないんだから、ちゃんとしてよね」
 ややきつい表情と言葉だが。それでも美少女がやると許されるというのは本当だなあ、と実感していた。


 

「けっこう出来上がりましたね……」
「まあ、打鉄パーツの流用だからねえ。新規建造は少ないし。まあ形成とかは当然必要になるんだけど」
 今日も、打鉄弐式の組立作業が続いていた。既に装甲部品はほぼ完成し、動作プログラムも完成している。
そして今日からは薫子の友人である京子・フィーも加わり、武器関連の設置やプログラム作成に追われていたのだが。
「更識さん、どう? ミサイルのシステム、どの位できた?」
「プログラムは、けっこう完成してます。ただ、適性値が上がらなくて……」
「こっちは京子に見てもらったほうが良いわね。どう?」
「そうだな……マルチロックオンは、今の時点じゃ無理だろ」
 将来武器開発を希望進路にしている京子は、この中では最も武器関連の事に詳しかったが。返事は、否であった。
「あの、門外漢の私にはよく解らないんですけど……。マルチロックオンって、通常のロックオンとはどう違うんですか……?」
「簡単に言うと、自動的に複数の敵を狙ってくれるのがマルチで、そうじゃないのが通常のロックオンだよ。
どうやってロックオンするか、にも赤外線感知だとかレーダー波感知だとか、あるいは手動操作なんてのもあるけどな。
最近のじゃ一種類の誘導装置じゃなくて、複数の誘導装置を組み込んだミサイルなんてのも珍しくは無いぜ。
そもそもガイダンス・システム (guidance system) とかホーミング・システム (homing system) とも言うんだが……」
「……」
 雪蘭は完全に呆然としていた。彼女とてIS学園の入試を突破した猛者だが、二年生の説明は専門的過ぎて解らなかったのである。
「あ、わりいわりい。ちょっと調子に乗って喋りすぎたな。
――ようは、発射したらそれぞれのミサイルが勝手に狙ってくれるのがマルチだ。バトルロイヤルだから、最適なんだけどな」
「無い物ねだりをしても~~。しょうがないですよ~~」
「そうそう、フィーの言う通りよ。更識さん、どうする?」
「……幾つかのシステムを、組み込んでおきます。手動操作も考えておきます」
 皆の視線が向く中、簪の選択は普段ならは定石だが。今回は、ある欠点を内包した選択だった。
「手動操作も? だ、大丈夫なの、それ……? だって周りは敵だらけなんだよね……?」
「そうだね~~。……先輩達は、どう思いますか~~?」
 マルグリットの言葉を、本音が引き継ぐ。それはいつもよりも、五割増で真剣な目であった。
「……そうだなあ。漁夫の利、じゃねえけど他のクラス代表が潰しあってる途中を狙うなら、手動ロックオンでも出来るんじゃねえか?」
「そうねえ。今年の本命は二組の中国代表候補生らしいけど、たとえば、その子と織斑君が戦っている間を狙うって事も出来るけど……」
「どの道、バトルロイヤルですからね~~。今までのクラス対抗戦は、あまり参考にならないかも~」
 二年生たちの表情は、困惑しつつも険しさを交えた物だった。彼女達にとっても、未知の部分がある。
簪がどう戦うかにもよるが、自分達が整備した機体が勝利を得る為にはどうすればいいか。彼女達にとっても重要なことなのだ。
「でもさっきのマルチロックオンが使えないって事は、更識さんは複数の敵が狙えないって事ですか?
今回はバトルロイヤルだから、ある意味一番重要なのに……」
「いや、出来ないわけじゃねーだろうけど、その場合は直接の手動操作になるから今回は無理だろ。
タッグマッチみたいに時間稼ぎしてくれる奴がいるならともかく、バトルロイヤルなら的になるだけだぜ。
まあ、さっき本人が言ってたみたいに他のロックオン方式で捉えるしかないだろうなあ……」
「一機一機、順々に落としていくしかないですよね~。それか、戦っている所を一石二鳥狙いですか~?」
「まあ、そのあたりは更識さんの戦術組み立て次第よ。それよりも、機体を早く組み立てないとね」
「そうですね」
 香奈枝の質問も終わり。また、作業へと戻るのだった。




「……」
 たまに自分が嫌になる事がある、というのは人間ならばありえる事ですが、今の私がまさにそうでした。
階段で転んで右手首を挫き、せっかく手伝い始めた打鉄弐式の建造作業にも不参加。……数日で治るとはいえ、溜息しか出ません。
「ふう」
「石坂さん、ちょっと良いかな? ……何で、あの子に協力してるの?」
 そんな黄昏た食事の最中に、たまたまやってきた四組女子のグループが近づいてきました。……それは良いのですが。
そんな事を聞かれ、そのグループの視線が一斉に私に向きます。……ふう。また溜息が一つ出ますね。
左腕で食べられるようにと選んだスープは、とても美味しいのですが。
「少なくとも、私の個人的利益にはなるからです。それに、ただ愚痴を言っているだけよりも有益ですから」
「そ、それはそうだけどさ……」
「私も、デザートパスは欲しいですから。自分の出来る事をするだけですよ」
「……」
 それっきり、彼女は口を開きませんでした。それはそうでしょうね、ここで私と口論しても、何の益もないのですから。
もっともこのグループは更識さんには悪感情がそれほどない傍観者のグループなのですから、積極的にそんな事はしないでしょう。
「……石坂さんって、割り切ってるのね」
「ええ」
 はっきりと言ってしまえば、更識さんを責めても何もならない。むしろ無駄だ。
「クールそうに見えたけど、じつは石坂さんって凄い人だったんだね」
「そう?」
 グループの一人がそんな事を言い出し、別の生徒に疑問を持たれていましたが……私も同感です。
先ほど私は『個人的利益の為』だと言った筈ですが?
「だって、それだけで雰囲気を省みずに協力できるんだもの。凄く勇気のある人なんだと思う」
 ……ううむ。褒められるのは、どうも苦手です。背中が痒くなる、というのか、何というのか。
負けず嫌いでありながら、賞賛の声は苦手だというのは自分でも不思議なのですが。
「ひょっとして、更識さんの事がす……」
「いやアンタ、自分を基準にして考えないの」
 私にとっては異次元の発想をしたクラスメートを、別のクラスメートが止めます。……そういえば貴女。
以前、織斑先生の事をお姉様だとか呼んでいましたよね? ……少しだけ警戒しておきましょう。


「でもさ、なんで周さんやドレさんまで加わってるの? 私、あの二人と更識さんが会話してるのを見た事ないけど……」
「ええ。私もありませんし、彼女も二人とはそれほど親しくないと言っていました」
「じゃあどうして?」
「彼女達から仲介を頼まれたのです。私は、更識さんとは同室ですしね。ちょうど良い機会だと思い、私も協力を願い出たのです」
 ……どうやら彼女達は、整備室入り口でのあの一件を知らないようですが。
とりあえず、布仏さんの事は隠しておくとしましょう。生徒会長である姉の差し金、と言われかねませんからね。
「でも。私達もそうだけど、あの二人は一組の女子みたいに訓練を受けていないのに。足手まといになるとか考えなかったの?」
 ……結構辛辣な言い方ですが。まあ、それも当然でしょうね。
「私達では、せいぜい荷物運びがやっとです。まあ、これも良い経験ですよ」
「……あれ? でも私、貴女が更識さんを励ましてた――みたいな話を聞いたけど?」
 ……!? な、何故それを……ああああっ! 今思い出しましたが、貴女は確か、私達の部屋の隣でしたね!?
まさか、音が漏れていたのですか!? そ、そんな馬鹿な!? 
「ふーん。じゃあ石坂さんって、じつは良い人なのかな?」
「……へ?」
 思わず、地が出てしまいましたが。……何故そうなるのですか?
「だって、更識さんを励まして周さんやドレさんとの仲立ちもしてあげたんだものの。一組の女子も、同じような事言ってたし」
「一組の女子って……確か織斑君と同級生で、安芸野君と昔馴染みだっていう……」
「違うわ、もう一人のほう。何ていうか……のほほんとした子」
「……まさか」
 あの時、更識さんが部屋を出て行った後、ドアは閉まっていたのか。……。閉めた記憶がない。その時に……か!!
「え、実は石坂さんってツンデレ? 『ほ、本当は貴女の事なんてどうでもいいけど手伝ってあげる!』みたいな」
「そ、そ、ソンナ事はありません! というか、私はただ手伝うだけです! そうだといったらそうなんです!!」
 ……し、しまった。常に泰然自若、それを目指していたというのに、つい、本性が出てしまった。
クラスメート達が、呆然と私を見ているのが解ります。お、落ち着きなさい私。クールになるんだ。クールに。
「……ねえ。ひょっとして石坂さんって、中学剣道の『荒武者』じゃないの?」
「そ、ソンナ事はアリませンガ?」
「……解りやすいくらい挙動不審よ?」
 そして私の秘密もばれた。荒武者、それは私の中学時代の仇名だった。一応、剣道の全国大会にも出場したのだが。
荒々しい試合が多かった私へ、その時に付けられた不本意な仇名。そこから脱却したかったが為に。
試しに受けてみたIS適性が高かった故に、こちらの道に進む事にした。
ISも武道に繋がる要素がないわけでは無いが、美麗さを重視している。これならば、と思ったのだ。
負けず嫌いが幸いして(と言うのか災いというのか)、信じられない事に一万倍の試験を突破してしまった。


 ……そして絶望した。IS学園の入学審査に美醜の要素があるのは表向きは兎も角、実際は当然といった所だろうが。
誰もが普通の高校ならトップであろう女子ばかりだったのだ。その上、ワールドワイドなだけに外国人の美少女までいる。
自慢するわけではないが、私はそれなりに美少女だと思っていた。だが、この中では下の方だろう。
女として負けたくない為に、荒々しさを克服する為に、泰然自若とした仮面をかぶる事にしたというのに。
ラーメン2杯は当たり前だった食事の量を減らしたり。ツーテールだった髪をセミロングのシャギーにしたり、と努力をしたというのに。
……思いっきり、馬脚を出してしまった。ぐああああああああああああ。し、思考も纏まらない。クールになれ、クールになれ……。


「ど、どうしたんだろ……いきなり頭を抱えて、蹲っちゃって。かと思ったら、ぶるぶる震えてるし」
「あの日かな?」
「いや違うでしょ」
「……!」
 そんな事を言われている中、悶絶のあまり思わずテーブルを全力で叩いてしまう。大きな音が辺りに響くが、私は重要な事を思い出した。
私は右手首を挫いており。……そして今テーブルに叩きつけたのは、右手であるという事を。
「~~~~~~~~~!!!!」
 私の脳を痛みが覆いつくし。……保健室では、全治一週間という愚か過ぎる宣告を受けたのだった。


 ちなみにこの時を境に、私への評価が「ちょっと大人びた人」から「ちょっと残念で、けっこう面白い人」へと変わったらしい。
……どうしてこうなった。


 今回は一夏視点・箒視点・将隆視点・石坂悠視点と三人称。……なんでモブの筈の石坂悠がここまで出てきたんでしょうねえ。
彼女は一言で言うと「(ちょっと間違っている)泰然自若を装っているが、一皮剥くと荒っぽい本性が隠れている少女」って感じです。
ちなみにこのキャラ設定の元ネタは、ある古い恋愛ゲームです。解る人はいるかな……? 

1.剣道をやっていた。
2.ラーメン。
3.元ネタはツーテール(当時はツインテールと表記)。よく引っ張られる。


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