・ PM20:43東京都町田市 東名高速道路跡
「何? 殿下は帝都を既に脱出しているだと?」
「はっ! 既に情報を察知した帝国軍や斯衛軍は、関東一帯の離城に急行中です」
高速道路跡を併走する同志からの報告を聞き、今回の事件の首謀者である沙霧尚哉の顔に困惑の色が浮かぶ。 将軍が自ら逃げおおせる事など有り得ない、殿下はきっと何かお考えなのだ。 そう自分に言い聞かせながら、沙霧は『烈士』と腰に書かれた黒き不知火を跳躍させる。
「厚木基地の制圧に向かった部隊はどうなっている」
「それが、戦域突入の数分後に通信が途絶えてしまい・・・」
沙霧が厚木基地襲撃の為に送り込んだ部隊は、彼に賛同した者の中でも特に優秀な衛士達だった。 その彼らが失敗したとなると、もう厚木基地の攻略は諦めるしかない。
「(手練れの者達が、腑抜けた政府を守っている連中などに負けるとはありえない。 この仕業はやはり・・・!)」
国連と帝国政府に協力し、厚木基地の守りを固めている菫達に対して沙霧の胸中には強い怒りが湧き上がる。 自分達の都合で勝手にこの世界に現れ、自分達の目的を邪魔するばかりか現政府の勢力を増長させようとしている。
悠陽と直接謁見を交わしたという人物もそうだ。 異世界の日本が持つ技術を提供すると言っているが、その所業はまさしく沙霧が嫌う米国そのものだ。
「(やはり私が、この国を正さなければ・・・!)」
行く先に待つのは修羅と死出の道。 それでも己が信念を貫くべく、沙霧は箱根へと進路を向けた。
・ 同時刻 帝都城 謁見の間
どれ位の時間が経っただろうか。 自分以外誰も居ない謁見の間で、椿は自分が動くに相応しいタイミングを今まで伺っていた。 もう悠陽は箱根に居る国連軍の衛士らと、無事に合流出来たのだろうか? そして左近は、帝都から戦火を遠ざけるために情報を流したのだろうか?
窓の1つも無いこの場所では、己が目を持って外の様子を見ることは出来ない。 だが体に伝わってくる戦闘特有の振動と音が収まってきた事に、椿は自分も行動するべきだと悟り、1人席を立つ。
「よしっ!」
両側の頬をパシッと叩いて気合いを入れた後、椿は左近から貰ったスーツケースを片手に、謁見の間を後にした。
マブラヴ ~壊れかけたドアの向こう~
#16 炎談
・ 帝都城 斯衛軍詰所
「あっ、椿さん!」
詰所を訪れた椿に気付いた凛が、我先にと声を掛けながら近付く。 悠陽が脱出したという情報を切っ掛けに帝都での戦闘は収まりつつある。 凛達斯衛は、帝国軍と共に周辺の治安維持と事態の収拾を行っている最中だ。
「ところで凛、その格好は?」
「えっ? 私の強化装備がどうかしましたか?」
凛のこれが普通ですと言わんばかりの態度に、初めて強化装備を見た椿は言葉が出ない。 何しろVR用のパイロットスーツでも、胸と腰周りを強調させるようなデザインは無いのだ。 それにヘルメットではなく、顎周りにはインカムであろうヘッドギアを装着している。
色々と突っ込みたい衝動を抑えながら、椿は今後の段取りについて話す。
「私のVRはもうここに運んできた?」
「ええ、殿下直属の命が出ていますから。 後は椿さん次第でいつでも出せます」
そう凛が告げた後、椿は駐車されている戦術機搬送用トレーラーを見る。 トレーラーの荷台で寝かされその上から保護シートが掛けられている機体は、斯衛軍が運用する戦術機ではない。
「(あれが椿さんの機体『菊一零式』か・・・)」
保護シートを剥がされ、斯衛の衛士達の前に姿を見せたVRの名を、凛は心の中で呟く。 今回のような緊急事態に陥った時、椿が自分を守れるようにと託された機体だという。 そして武達の元に居る桜花のVR、『御巫』の原型機でもある。
鮮やかな紅色のカラーリングに、自分らが運用する戦術機『武御雷』と同じ甲冑武士のようなシルエット。 だが機体の各所で淡い燐光を放つセンサー類や頭部のスリットが、それが戦術機ではない事を物語っていた。
手持ちの火器は一切見当たらないものの、腰部には日本刀そのままの武装が装備されているのが見える。 後は椿が乗り込むだけとなった時、当の彼女はスーツケースを地面に置き、おもむろに止め具を外そうとする。
「さて、鎧衣さんに貰ったこれ、ここで開けてみましょうか?」
「えっ? ここで開けちゃうんですか!?」
「このまま持っていても邪魔なだけでしょ? それに何が入っているのか、今の内に確かめたいしね」
確かに大型のスーツケースを、そのままコクピットに入れていては邪魔なだけだ。 だからと言って、せっかくの貰い物をこのまま手放してしまうのも勿体無い。 こんな時でも自分のペースを崩さない椿に呆れながらも、凛は彼女がケースを開ける様子を見守る。 ケースの中には凛が着用しているものと同じ、零式強化装備が入っていた。
「ねえ凛、これなんて罰ゲーム?」
「椿さん、そういう文句は後で鎧衣さんに言ってください」
開封して数秒に渡る沈黙の後、言葉を交わす2人。 ケースに入っていた強化装備の色は赤。 それは月詠真那と同じ、上級武家出身の衛士に与えられる色だ。
「VRに乗って操縦するだけなら、平服でも構わないんだけど・・・」
異世界の人間がこれを着る事はかなりに顰蹙を買うことになるだろう。 それにいくらVRが平服のままで乗れるといっても、慣性制御の範疇を超えたGから身を守るべく、パイロットスーツを着用した上で乗るのが好ましい。
それにしても、菊一のカラーリングが同じ赤だったのは単なる偶然か、それとも左近が全てを見越した上で用意してくれたのだろうか。 どちらにせよ分かっているのは椿がこれを着て、VRに乗らなくてはならないという事だ。
「凛、私を更衣室に案内してくれる?」
「あっ、はい!」
今までの遅れを取り戻すかのように、椿は凛と共に強化装備に着替える場所へと走った。
・ PM21:04 静岡県 伊豆スカイライン 山吹峠付近
左近から悠陽を任され、箱根を出発した武達207B小隊。 熱海を経由して伊豆スカイラインに沿って移動を行っており、現在は悠陽の体調を鑑みて小休止を行っている最中だ。
「白銀、殿下の様子はどうだ?」
「大丈夫です。 ここまで来る間にも、何回か休憩を行ったお陰で持ってくれています」
武の言うとおり、峠を越える度に要所ごとに何度も休憩を行っている。 それまでに敵が襲ってくることも考慮されたがそういった兆候は全く無く、ケイイチや孝弘達のバックアップもあって余裕を持って移動することが出来たのだ。
武の報告の後、まりもは横浜基地から伝えられた情報を彼に伝える。
「横浜から入った情報によると、伊豆半島に上陸した米軍がこちらに向かって北上しているそうだ」
「彼らと合流できれば、フィルノートとの合流ポイントまで一直線ということですね?」
「そうだな、だが最後まで油断はするなよ」
いつもの鬼教官の顔と態度をまりもが見せた後、武は彼女との通信を終える。 続いて悠陽と視線を合わせ、彼女に話しかける。
「殿下、外の空気でも吸いますか?」
「白銀、今の私は荷物と同じと言ったはずですよ?」
「では、お言葉に甘えて・・・」
武はコンソールからハッチを操作。 開放した吹雪の前面ハッチから管制ユニットがせり出し、満点の星空の下に2人の身が晒される。
「綺麗な空ですね」
「ええ、とても今日本で内戦が起こっているとは思えないですよ」
戦術機とVRの駆動音がする以外は、辺りは全くの静寂に包まれている。 この場所にいるだけなら、クーデターという非常事態になっていると誰が気付くだろう。 本人はまず口にしないし、そのそぶりも見せては居ないが、悠陽の体力は消耗しつつあるのは武の目でも明らかだった。
これで小休憩が無ければ、悠陽はとうに乗り物酔いで参ってしまっているだろう。 それほどに、戦術機の機動時に掛かるGの影響は計り知れないのだ。 肌寒い空気を肌で感じながら、悠陽の口が開く。
「白銀、先ほど私の事を冥夜と呼んでいましたね?」
「え、ええ。 殿下が俺の仲間、御剣冥夜にそっくりでしたから」
「それもその筈です。 冥夜と私は、双子の姉妹なのですから」
やはりあの時話した純夏の言葉は嘘ではなかった。 更に悠陽は自分達が生まれて間もない頃に引き離され、悠陽は煌武院家へ、冥夜は御剣家へと引き取られた事を武に教えてくれた。
「そういえば殿下、花月さんと知り合いなんですか?」
「えっ・・・?」
「いや、ブリーフィングの時も花月さんの事、気になっていたみたいですし」
桜花に対する態度がぎこちなかった事を武に見抜かれ、思わず赤面する悠陽。 そして観念した彼女は、武に帝都城の一件を話した。
「親戚だって!? 花月さん、そんなこと一言も・・・」
「知らない筈です。 『自分がこの世界に来ることは、彼女には内緒にしている』と、椿さんは言っていましたから」
些細な偶然から巡り合ってしまった、双子の姉妹と瓜二つの親戚。 これも何かしらの因果や運命というものが、自分達に作用しているのだろうか。 そんな事を武が考えていると、悠陽が一つの頼みを話す。
「白銀、どうか私と共に沙霧を・・・あの者をどうか救って欲しいのです!」
「殿下・・・?」
そう語る悠陽の目じりに、僅かながら涙が溜まっていた事に武が気付く。 道を外れてしまったならば、可能な限りの対話によって引き戻すことが出来るのではないかと悠陽は考えているのだ。
「つまり殿下は自ら沙霧大尉を説得して、この騒乱を治めるつもりなのですね?」
「はい。 そして可能であるなら、彼の身柄は椿さんに託そうと思っています」
仮に沙霧が素直に降伏したとして、これだけの騒ぎを起こして唯で済むわけが無い。 彼に賛同したもの全てに罪と罰を科するのならまだしも、沙霧一人に押し付けた場合なら死刑もありえる。 それにBETA戦の要である戦術機、それを操る衛士の中でも超一流である彼を、ここで失うのは余りにも惜しい。
そこで悠陽は沙霧が降伏した後に椿に身柄を引き渡し、この世界の法が届かない電脳暦の世界へ送還する案を、出発前に左近や椿に伝えたのだ。
「椿さんもこちらに向かっていますが、その前に私達が沙霧の身柄を押さえる必要があります」
「わかりました。 皆と相談してみましょう」
『なんだよタケル~ そうならそうと言ってくれれば良かったのに~』
「み、美琴っ!?」
悠陽の願いに答えるべく、武は彼女とともに事の次第を部隊全員に話そうとしたその時、突如美琴の声と共に彼女の顔が通信ウインドウに映る。
「さっきから会話が筒抜けですよ、通信をオープンにしたまま気付きませんでした?」
続けて壬姫に促された武がコンソールを見ると、確かに通信がオープンチャンネルのまま固定されている。 つまり今までの悠陽との会話が、ここに居る全員に筒抜けだったということだ。
穴があったら入りたいとはこの事だろうか、赤っ恥をかいて言葉を失う武に、ケイイチが声を掛ける。
「まあ、お陰で僕らに説明する手間が省けたわけだしね」
「まったく、白銀中尉は警戒心が足りませんよ」
「・・・激しく同意」
生真面目に階級付けで返す千鶴に、珍しく彼女に同調する。 冥夜だけは、姉との再会で動揺しているのだろうか返事は返ってこない。
「そんな感じなんですが、よろしいですか? 神宮司中尉」
一部始終を黙って聞いていたまりもは、武にそう聞かれて唸りながら頭を抱える。 ただでさえ悠陽を護送する重大な役割があるのに、クーデターの首謀者を殺さず生け捕りにしろと言うのだ。
「(まあ夕呼ならこれを聞いたら、真っ先にやれと言うでしょうね)」
異世界の軍と協力し、クーデターの首謀者を拘束する。 抜群の宣伝文句に、あの夕呼が飛び付かない訳が無い。 反対する気も失せたまりもは、しぶしぶ武と悠陽に進言する。
「仕方ないですね・・・ ただし拘束不可能と判断した場合、彼の撃破が有り得ることを覚えておいてください」
新OS搭載の改造吹雪6機とまりもの撃震、そして虎の子とも言える5機のVR。 初陣の冥夜達を差し引いても、これで拘束に失敗する方が無理な話だろう。 それに、フィルノートに合流すれば可能性も格段に高まるはずだ。
悠陽の体調もある程度回復し、移動を再開しようとしたその時、突如レーダーに不明機を示す黄色の光点が多数映し出される。 そして同時に、207小隊全機に不明機からの呼びかけが聞こえてきた。
<こちら、米軍第66戦術機甲大隊、指揮官のアルフレッド・ウォーケン少佐だ。 貴官らは国連軍か?>
「あれは・・・米軍機?」
まりもの呟きと共に、ウォーケン率いる部隊が武達の周りに展開する。 猛禽の名を冠する戦術機F-22『ラプター』のメインセンサーが、武達の姿を鋭く捕らえていた。
・ PM21:31 帝都 東京拘置所前
「拘置所前に居る決起軍に告ぐ、おとなしく抵抗を止めて直ちに投降しなさい!」
拡声器で増幅された凛の声が拘置所の周りに響き渡り、そこを固める決起軍が一斉に声が発せられた方向を向く。 そこには凛達斯衛軍の戦術機部隊、その一歩下がった所には彼女達に随伴する椿が乗る菊一の姿があった。
「(まあ、素直に聞き入れてくれる連中じゃないと思うけどね・・・)」
引き続き凛が降伏勧告をしている間、菊一のコクピット内で椿は今身に着けている強化装備を観察することにした。 平均的なプロポーションの身体を包む特殊素材は防弾防刃、耐熱耐衝撃に優れるという、まさに夢の素材で出来ている。 そして甲冑のようなパーツ類は生命維持機能やデータ蓄積・フィードバックを行い、衛士が戦術機を操縦し易くするための工夫が徹底的になされている。
因みにVRのHMDと干渉するためにヘッドギアは装着してないが、本来はそれで戦術機からの視界確保や通信を行うという。
「(さらに脱出装置との合体機能、ここまで便利すぎて笑っちゃうわね)」
BETAとの戦争が始まった事を切っ掛けに、ここまでの技術進歩があった事が垣間見える事に椿は苦笑する。 だが機能的に申し分ないこの強化装備を、電脳暦世界に導入しようかと思ったその時、凛達と決起軍の双方に動きが見え始める。
「えっ、もうやる気なの!?」
アラートに促されて椿が正面に視線を向けると、そこには互いに抜刀し短刀や長刀を向け合う斯衛軍と決起軍の姿。 どうやら交渉は失敗したらしく、泣く泣く実力で排除する方向に凛達は打って出たようだ。
この期に及んでも銃器の類を一切使わないのは、“サムライ”の血が色濃く残っているこの世界の日本ならではなのだろうか。 そう椿が思ったその時、スーパーカーボン製の刃と刃が切り結ぶ甲高い音と共に、決起軍と斯衛軍の間で戦闘が始まってしまう。
そして乱戦を潜り抜けた1機の撃震が、長刀を振りかざして椿に襲い掛かってきた。
「誰だか知らんが、貴様も斯衛の手を貸すのか!」
菊一目掛けて振り下ろされる長刀を、椿は反射的に機体に装備された短刀で受け止める。 自ら説得を試みるも、完全に頭に血が上っているのか相手は全く聞き入ってくれない。 防戦一方の彼女に、それに気付いた凛が声を掛ける。
「しっかりしてください椿さん! 殿下との約束はどうなったんですか!」
「っ!?」
あの子の言うとおり、自分はここで躓いている訳には行かない。 沙霧を捕まえ、電脳暦世界へ連れて行くという悠陽との約束を果たさなければならないのだから。
「そうね。 こんな所で時間を食っていたら、殿下に笑われるわ・・・ねっ!」
凛にそう返した後、椿は切り結んでいた刃を力任せに払いのけ、撃震の喉元に短刀を突き立てる。 刃が突き刺さった箇所から鮮血の如く火花とオイルが噴き出し、椿は管制ユニットが収まっている胸部を思い切り殴りつけた。
耐G機能を付けている強化装備であろうと管制ユニットへ直に打ち込まれた衝撃まで受け止めきれず、衛士はそのまま気を失う破目となった。
「な、なんて戦い方なの・・・?」
「戦術機を、直接ぶん殴った・・・!」
横目でそれを見ていた凛のみならず、周りの衛士全てが椿の戦いに釘付けだった。 戦術機の部位の中でもデリケート極まりないマニピュレーターで、直接戦術機を殴りつけるなど初めて見たからだ。
周囲の視線を一線に浴び続ける椿の菊一は、次に腰の両脇に添え付けられた鞘に手を伸ばす。
「『大波』、『細波(さざなみ)』起動!」
音声コマンドの認識が完了し、セーフティが外された鞘から二振りの日本刀その物と言える長刀が抜かれ、右手に長めの『大波』、左手に短めの『細波』が菊一の手に握られる。
その独特の構えを見た凛は、ごくりと生唾を飲んだ。
「(あれはまさか、二刀流の構え!?)」
人型兵器で当て身に二刀流と、この人はどこまで自分達の常識を打ち破るのだろうか。 そう凛が考えていると痺れを切らした決起軍の陽炎が3機、再び椿に斬り掛かろうとする。
「あらあら、女の子1人に3人掛かりなんて、ちょっと大げさじゃない?」
椿は『大波』を持つ菊一の右手を大きく振り、戦術機サイズの扇子で扇いだかのような旋風を巻き起こす。 横一列で向かってきた3機の陽炎は風に煽られ、互いの距離も災いしたのか接触を起こしながら各々体制を崩す結果となる。
「今よ凛! 思いっきり叩き斬りなさい!!」
「はい!!」
椿の合図に返事をした凛の武御雷が、水平噴射跳躍で後ろから敵機に接近。 それと同時に椿も前方から一気に距離を詰める。 すれ違い様に椿は陽炎達の脚部を薙ぎ払い、凛は頭部を一閃の元に刎ね飛ばす。
「ナイス凛!やっぱり斯衛の衛士だけあるわね!」
「椿さんこそ、私達の知らない戦い方ばかりして、気が抜けませんよ」
戦闘不能となった決起軍の陽炎を尻目に、凛と椿は互いの活躍を褒め合う。 2人の戦いを見て怖気づいてしまったのか、決起軍の行動が乱れ始めてきた。 勝機を確信した椿は、凛に突入を促す。
「さあ、一気に片付けて榊首相達を助けに行くわよ!」
「はい!」
互いに頷いた後、白と赤の機体を疾駆させる2人の乙女。 凛と椿の活躍と斯衛の衛士達の奮闘を前に、拘置所が決起軍の手から開放されるのは時間の問題だった。
22:13 東京拘置所に拘束されていた榊首相以下閣僚達が、斯衛軍により救助される。 これ以降、首都圏での決起軍の動きが鎮静化。
22:24 帝国軍小田原基地に、決起軍らしき戦術機部隊の襲撃。 苦戦しているとの報告の後、同基地からの通信途絶。
17話に続く