・ 7月3日AM6:37 神奈川県 旧柊市街
「(本当に、柊町は瓦礫だらけだな・・・)」
瓦礫だらけの風景に変わり果てた柊町の中を、武が操る4輪駆動のバギーが走る。 ケイイチらの母艦であるフィルノートは沿岸に停泊しており、武は双方の伝令役として双方を行き来するのが一つの日課となっていた。 駅前を抜け、桜並木が続く基地入口の坂道へ。 ここを登りきれば基地正面ゲートへ一直線、そこに立つ門番二人に部隊証を見せれば、大手を振って横浜基地にご入場だ。
だがゲートに近付くに連れて、行きの時とは違う門番二人の変化に武が気付く。
「あれ? あの二人、あんなゴツイ格好してたか?」
ゲートを守っているのは“前の世界”で武を連行したあの兵士2人。 だがその二人は国連の野戦服ではなく、かといって衛士強化服とも強化外骨格とも違う、何かを身に纏っていた。
とはいえ別人ではない事に変わりはない。 武は部隊証と外出許可証を準備しながら、彼らが待つゲートへと乗り入れる。
「白銀武准尉です。 フィルノートへの連絡から戻ってきました」
「おお! 誰かと思えば、異世界から来た准尉殿じゃないですか!」
「早速、副指令にいいように使われているみたいですね。 ・・・確認しました、どうぞお通り下さい」
「ありがとう。 ところでそれ、何を着てるんだ?」
その質問を聞くやいなや、2人はニヤリと笑って得意気に話し出した。
「これですか? 早朝に歩兵部隊と、機械化歩兵部隊要員に急遽召集がありましてね。 そこでコイツが俺達に支給されたんですよ。 確か名前は・・・」
「サギサワ大尉だろ、もう忘れたのかジェフ」
そう指摘を受けた黒人の方の門番、ジェフ伍長が『そういやそうだったな』と言うと、彼の片割れであるリン伍長は笑って返す。
「まあともかくその大尉さんから、この多目的強化装甲服を貰ったのさ」
「これを着ていればちょっとした力仕事も楽々出来るし、兵士級BETA相手なら肉弾戦も出来るらしいぜ。 本当、異世界の技術万々歳だよ!」
「ああ! これが異世界の技術ってんなら、奴らと協力してBETAに勝利する事も夢じゃなくなってきたぜ!」
「そ・・・それはよかったですね・・・ じゃ、俺はこれで・・・」
これ以上道草を食ったら、また夕呼から何を言われるか分からない。 目の前でテンションが鰻上りでいるジェフとダンの二人に、自分から話題を振ったことに心の中で謝りながら、武は基地の中へ入って行った。
・ AM7:03 横浜基地 戦術機ハンガー
「大尉~! このパーツは何番機ですか~!」
「そっちのスコープはB5番機! その長刀用パーツはB2番機に回して!」
「はいっ!」
轟音と共に作動する大型クレーンや機材、慌しく動き回る整備員達。 工場独特の臭いが漂うその一角でその騒音に掻き消されないよう、整備班員の一人が大声で班長のケイイチに尋ね、それを聞いたケイイチは負けじと指示を送る。
搬入された吹雪が10機、その中で207Bに割り当てられた5機に強化パーツを装着する作業を彼らは行なっていた。 そして、偶然近くを通りかかった武に気付いたケイイチが声をかける。
「朝早くからお疲れさま。 博士にだいぶ絞られたようだね~」
「ええ。 フィルノートでも菫さんにも色々言われましたよ、『ウチの隊長に迷惑かけてない?』って・・・」
そう言葉を交わした後、互いに苦笑いを浮かべる武とケイイチ。 彼の部下である菫もこの世界に来て、フィルノートで武に各種情報を横浜基地へ伝える役目に就いている。
やはりケイイチは夕呼とは違うタイプの研究者らしく、自分から積極的に作業を行なっているらしい。
ケイイチの作業服や顔のあちこちに、軽い汚れが見えることが何よりの証拠だ。
「強化パーツ、もう完成したんですね。 これから皆の吹雪に装着を?」
「うん。 ついさっき博士がここに来たけど、『もう保護シート剥がしちゃったの!? あたしが破りたかったのに~!』って言って出て行っちゃったね」
「“前の世界”でも、先生がそんなこと言ってましたよ。 クセなのか、あれ・・・?」
「それより白銀君、時間は大丈夫なのかい?」
「時間って・・・げっ!!?」
ケイイチに指摘され、武は慌てて辺りに時計がないか探し出す。 そして詰め所で見つけたそれを見ると、既に午前の訓練時間が迫りつつあった。
「す、すいません! そろそろ俺、訓練指導に行かないと・・・」
ケイイチに礼をした後、一目散に207の皆が待つ教室へ向けて走り出す武。 そして彼が去った後、ケイイチはハンガーの奥をじっと見つめていた。
「さて、アレはどうしようか・・・ どう見ても『訳アリ』って感じだけどね」
ケイイチの視線の先には吹雪と同じ日に搬入されていた、濃紫に色塗られた戦術機の姿があった。
マブラヴ –壊れかけたドアの向こう-
#9 攪拌
・ AM9:42 横浜基地 シミュレータールーム
「04より02へ! そっちに行ったよ、追い込んで!」
「了解!」
仮想空間の市街地に鳴り響く銃声、それらはヒトが持つ物ではなく、ヒトが操る人類の刃、戦術機が保持する突撃砲から発せられた音だ。 2号機の美琴から報告を受けて、廃ビルの陰に隠れる吹雪2号機-冥夜が返答する。
相手は茜率いる207A分隊、搭乗機体はこちらと同じ97式吹雪だ。 接敵を警告するアラームと同時に、左方から美琴が追い込んだ敵機が36ミリの有効射程圏内に入る。
「(当たれっ!)」
冥夜は36ミリを指きりバーストで射撃。 徹甲弾に設定された砲弾がしなる様な弾道で、市街地を匍匐飛行する吹雪目掛けて飛翔する。 それに気付いた敵機が加速。 冥夜の攻撃は、1発も命中せずに終わった。
「おのれ・・・逃がすか!」
ここで逃がしたら、他のA分隊機と合流し連携を仕掛けてくるかもしれない。 冥夜はマス目のように敷かれた道路を主脚で疾走し、敵の吹雪を射撃で追い立てながら追撃をかける。 だが奴は、冥夜の予想を超えた斜め上の行動を取ってきた。
「何っ!? 追いかけられているのに、戻って来ただと!?」
冥夜が漏らした言葉どおり、敵機は宙返りと同時に機体を反転。 反撃こそしないものの、こちらに向けて突っ込んで来る。 照準を定めていくうちに、冥夜は前方に交差点があることに気付く。
「この一直線の場所なら、銃を使うまでもない!」
冥夜は機体に加速を命じ、跳躍ユニットの噴射炎が一段と強くなる。 突撃砲を格納し、主兵装を長刀に切り替え。 先に交差点を抜ければこっちのもの、逃げ場の無くなった奴を長刀で切り捨てるだけだ。 冥夜機が交差点に指しかかろうとしたその時、彼女と相対していた訓練生-築地多恵が身を潜めていた僚機に向って叫ぶ。
『今だっ! 光ちゃん!直美ちゃん!』
「えっ・・・!」
突然オープンで聞こえた相手の声、そして交差点の左右から同時に出現した、麻倉直美と高原光が駆る2機の吹雪。 ロックされる寸前までレーダーにも反応しないことから、今まで主機出力を落として待ち伏せしていたのだろう。
「どうやら罠にはまったのは、私の方らしいな」
そう悟った瞬間、冥夜の機体は3方向からの銃撃を受けて沈黙した。
「状況終了! 全員シミュレーターから降りて集合!」
まりもの号令と同時に、シミュレーターを降りたAB双方の訓練生たちが彼女の前に集まる。 どちらが勝ったのかは、各分隊メンバーの表情を見てしまえば、何も知らない人が来ても一目で分かるだろう。
一部始終を観戦し、ある程度の予想はつけていた武もこの結果に落胆せざるを得ない。 戦闘データをまとめているまりもに代わって、演習後の評価を下すべく武の口が開く。
「とりあえず、皆お疲れ様。 今回は勝ち負けではなく、個人の技能とチームワークを見させてもらった。 まずA分隊の方からだが・・・」
そうして武は、今回の模擬戦で見た各訓練生たちの行動パターンや癖、そして技能について、自分なりの評価を下す。
まずA分隊リーダーの涼宮茜。 指揮能力は中々のものだが無鉄砲な部分があり、自らのポジションを忘れて前面に出るという悪い癖がある。 こうした癖にはそれなりの理由があり、本人に聞いてみたところ一足先に任官した先輩に憧れており、その先輩がポジションにいる突撃前衛を狙っているからだ。
指揮官が前に出るのは悪いことではないが、それは限られた条件の中だけだと、武は彼女に言い聞かせておいた。
「はいっ! あの人に一日でも早く追いつけるよう頑張ります!」
次に柏木晴子。 何を考えているかわからない飄々とした性格だが、本人曰く色々と考えているという。 しかし常に場の空気を読み取り、仲間達に対し的確なサポートを繰り出してくれるのが彼女の強みだ。
だからと言って表面だけでは、本当に他者に対して意思疎通がとれない事があるので、たまには自分を出してみてはどうだと武はアドバイスしてみた。
「む~・・・ 難しい注文ですけど、努力してみます!」
高原光と麻倉直美。 本来は別々に評価を下すべきなのだろうが、そのコンビネーションの高さは武の衛士魂を十分燃え上がらせるほどだったので2人一緒に評価をする事になった。 前衛の高原が突破口を切り開き、後衛の麻倉がそれを助けるという理想的なポジションとなっている。
二人仲良く戦うのもいいが、他のメンバーにも気を配るよう指導した。
「はい! 光だけでなく、隊の皆と共に・・・」 「日々精進するつもりです!」
最後に築地多恵。 模擬戦で冥夜を罠にはめるという手柄を取った彼女だが、ある重大な欠点(?) が存在する。 彼女、茜にべったりなのだ。 後から聞いた話によると、友人とかそういうレベルではなく、恋愛感情に近い物らしい。
武はベッタリも度が過ぎると彼女に迷惑をかけるぞと忠告しておいた。
「そんな~ 茜ちゃんとの縁を切れって言うんですか~?」
「いや、そういう意味じゃ・・・」
一通りA分隊の評価を済ませた所で、武は敗北したB分隊の方を見る。 武の視線がこちらに向いたと気付くや、全員ばつが悪そうな表情を浮かべる。
武とまりもの期待に答える事が出来なかった、2人の指導が無駄になってしまった。 それだけの事が彼女達の頭に残っているのだろう。 そんな彼女たちに構わず、武は教官として評価を下す。
「悔しいのはわかるがこれも結果だ。 色々と悔しい気持ちが残っていると思うが、これだけは分かって欲しい。 特にい・・・じゃなくて榊と彩峰!」
「はっ!」 「・・・はい!」
「ついでに言うと今回の敗因はお前達にある。 あの時自分達が何をしていたのか、よく思い出してみろ」
武の言葉を聞いた2人は互いの顔を見つめ合うものの、直ぐに榊が嫌悪感を表しながら視線を逸らす。 彩峰はさほど興味はないみたいだが、榊に対する感情は最悪の状態だろう。
そもそもの原因は演習中、彩峰がB分隊リーダーである榊の言う事を聞かず、勝手な行動を取った為だ。 彼女が動いた影響でA分隊チームに付け入られる隙を与えてしまい、結果各個撃破という形で敗北したのだ。
与えられた命令を徹底的に・・・いや、絶対優先させることを第1に置き、自分の指示を聞かない無能な部下は要らないと主張する榊。
対して自分のおかれている状況を把握して最適な行動を取る故に、マニュアル通りに命令を下す無能な指揮官は要らないと彩峰は言い張る。
「(やっぱり俺が何とかするしかないのか・・・)」
今にも火花が飛び出んばかりに睨み合う榊と彩峰を前に、武は呆れ顔を見られまいと手で覆う。 2人の犬猿ぶりは今に始まったことではなく、“前の世界”でもそうだったし、“元の世界”でも度々衝突することがあった。 例えるなら水と油のような、消して相容れぬ関係なのだ。
だが・・・と、武は思う。
「榊、彩峰。 どうしても協力して戦えないというんだな?」
「いえ白銀准尉! そもそもの原因は彩峰が私の命令に背いたのが・・・」
「そっちこそ、意味もない命令を無駄に出すのは止めたら?」
「・・・もういい、分かった。 お前らがそこまで言うのなら」
決して交わらない水と油が馴染むのは、界面活性剤という、どちらにも馴染む物質を加えた時のみ。 ならば・・・
「お前ら2人、荷物まとめてとっとと実家に帰れ。 」
自分が、白銀武がその役目を担えば良いのだと。
「は・・・? 仰る意味が・・・」
「いいから黙って家帰れっつってんだよこのメガネ! 与えられた命令に従うんじゃなかったのか! それと彩峰!お前も何時まで『私には関係ない』って顔してんだよ!パイオツでかいから許されるのは俺以外の男相手位だ!」
我慢の限界を越えた結果始まってしまった説教の最中、そろそろ自分でも何を言っているのか分からなくなってきた武。 そして説教の標的は2人に留まらず、それを見守っていた冥夜、壬姫、美琴の3人にも向けられる。
「悪いのは2人だけじゃないぞ、お前らもだ!」
「えっ!? どうしてボク達も?」
「もちのロン! 我が道を行く御剣!気弱な珠瀬!空気読まない鎧衣! ろくにコミュニケーションも取り合わないごった煮みたいな小隊、あの海○雄○先生も口にしないぜ!」
そのままノリと勢いに任せて『軍曹を呼べ!』と叫びそうになる武だったが、寸前の理性で踏みとどまる。 どのような理由であれ、互いの素性を詮索しない。 それが“前の世界”における、207B分隊の暗黙の掟だった。
だが武が隊に入った影響によって、メンバーの協調と信頼を築き上げる事が出来た。 それなら訓練生である今のうちに、この暗黙のルールをなくしてしまえばよいと武は考えたのだ。
そして“最高にハイ”な状態と化した武は最後の畳み掛けに出る。
「互いに気に入らない事があれば、理解し合うまで殴り合いのケンカでもしろってんだよ! あ″ぁ!?女同士だからそんな野蛮な事は出来ねえだと? やかましい!! 最前線に行けば便所や風呂も一緒なんだよ! ましてや男女の整列云々なんて関係ねえ!」
そこまで言った時点で武は、ふと“元の世界”で行なわれた球技大会を思い出す。 榊が所属するラクロス部の存続とまりもの有明強制参加を掛けて、夕呼率いるD組とラクロス勝負をすることになった武達。 彩峰が協力的な姿勢を見せず、武の説得によって参加はしたがリーダーの榊と意見が衝突。
このままチームがバラバラのまま試合に挑むのかと誰もが思ったその時、ブチ切れた武が今のように皆を叱り付けた事でまとまりを見せ、運命の決勝戦にて彩峰と榊が共闘を見せ、B組に勝利する事が出来た。 そして“前の世界”の総戦技演習をクリアしたときに言われたまりもの言葉。 ここで始めて自分は皆を引き付ける力があるのだと気付いたのだ。
「お前らは・・・何か目的があって軍に入ったんじゃないのかよ!?」
武の止めの一言に、B分隊の面々はハッとした表情を浮かべる。 自分達は誰かに言われるがままに軍に入ったのではない、人類の為、故郷を守る為、BETAを倒す為にここに居る。 だからこそ、仲間達の脚を引っ張るわけには行かない。
先ほどまでの陰湿な雰囲気が消え去った榊と彩峰が、再度顔を見合わせる。
「・・・どうしたの榊、帰らないの?」
「冗談。 私は分隊長なのよ、こんな事で躓いていられないわ」
皮肉めいた表情で問う彩峰に、負けじと答える榊。 それを見て安堵の表情を浮かべる冥夜ら3人を見た後、同じ様な気持ちで居た武の口が開く。
「よし! ならもう一回、B分隊に俺を加えて模擬戦だ!」
『はい・・・えっ!?』
A・B分隊の声をすると同時に、制服に手を掛ける武。 制服が地面に落ちた時、そこには正規兵仕様の衛士強化服を身に纏う武の姿があった。 まりもからヘッドセットを受け取り、そのままシミュレーター筐体へと乗り込む。
「白銀准尉のセッティングが開始次第、模擬戦を開始する。 全員搭乗!」
『了解!』
まりもの号令に押され、207メンバー全員が慌ててシミュレーターに乗り込む。 そして武の準備完了の合図と共に、シミュレーター模擬戦の第2ラウンドが始まった。
・ AM10:04 特装艦フィルノート 士官室
「(白銀君、ちゃんと私が話した事を向こうに伝えてくれたかしら・・・?)」
雑用を終えて自室に戻った菫が、疲れからかまだ午前中にもかかわらずベッドに身体を預ける。 武の存在を交渉材料にケイイチ達を横浜基地へ送る事に成功し、今は彼を通してこの世界の技術や情報を手に入れる事に成功した。 こちらが提供した技術もこれといった違和感や批判が出る事も無く、横浜基地とフィルノートクルーの関係はおおむね良好といえよう。
だが、それ以外はというと、正直微妙な状態だった。 多少強引だったとはいえ自分達はこの世界の横浜基地とコンタクトを取り、相互的なやり取りを行ったうえで現在の関係を築くことに成功した。
だが同時期に訪れ、リヨンハイヴを殲滅したDNA・RNA連合はどうだろうか。 あの戦闘は電脳暦世界の技術力、特にVRを初めとする強大な軍事力を見せ付けるために行ったものではないだろうか。
そして現地-ヨーロッパで戦っている現地軍との接触を望まず、あまつさえ交渉に出てきた米ソ両国とのコンタクトをも拒んでしまった。 これではもう、この世界の人類を敵に回してしまったようなものだ。
それでも拒否された米ソ両国が攻勢に出ないのは、彼らが持つ戦力を恐れているからだろう。
「(無理もないわね。 あんな戦力差で戦争なんかしたら、結果なんてたかが知れているわ)」
そこまでの所で自分なりの考察を一旦止め、仰向けに寝転がりながら菫が声に出さず呟く。 更に衛星軌道上には補給、連絡ルート確保を目的とした艦隊が駐留している。
空より遥か上の宇宙を押さえられている以上、向こうは何も出来ないはずだ。 今の所問題は無いと悟り、さあひと眠りしようとしたその時、端末の呼び出しアラームが鳴り響く。
『霜月少尉、至急ブリッジにお越し下さい。 クーゲベルグ艦長がお呼びです』
艦長直々の呼び出しとは、只ならぬ予感を感じる菫。 案の定、端末の画面に表示された文章に目を通した瞬間、先ほどまで溜まっていた眠気が嘘のように吹き飛んだ。
「・・・っ!?これは・・・!」
その内容とは、電脳暦世界の各国が本格的に動き出した事を告げるものだった。
同日、電脳暦世界1105:国連を通じて世界各国が平行世界への援助を提案。
電脳暦世界1659:アメリカ軍強襲型宇宙空母『ジョン・S・マケイン』CISゲート突破。 異世界への同国へ交渉開始。 ロシア連邦、中華連邦、日本国の特務派遣団もこれに続く。