「つ、次の作戦を考えましょう」
「その前に謝って欲しいんだけど鈴たん」
「な、なぁに! 私に掛かれば一夏なんてイチコロよ!」
「ソノマエニアヤマッテホシインダケドリンタン」
前回のラウラさんのコークスクリューでノびた私は、鈴の部屋に運び込まれました。
鈴はばつの悪そうな顔をしているけれど、謝ってくれません。
「次の作戦は至ってシンプルよ! 色仕掛け!」
「……誰が誰にですか?」
「私が一夏に!」
「別の作戦にしましょう」
「なっ、なんだとー!?」
鈴の転入時期を考えれば、色仕掛けして一夏を落とせていればラウラさんが一夏に惚れる事態にはならなかった。
つまり、一夏の好みと鈴の好みが一致していないのだろう。
「私が本気でやったら、一夏なんてイチコロよ!」
「……じゃあ、私がサポートに付きます」
「え?」
こうなったら、既成事実でも作らせて一夏と鈴のカップル騒動を起こしてやるわ!
そうすればラウラさんも諦めるはず!
◇
時刻は午後9時。
場所は一夏の部屋の前。
もちろん、これから夜這いをかける為にわざわざココまで来た。
「ほ、本当にやるの?」
「本当にやるの!」
「あ、明日とかにしない? 今日はもう遅いし……」
「夜にやらなくてどうするの!」
「うぅ……」
鈴はさっきからこんな感じ。
本当は度胸が無い、胸も無い……とかそういうんじゃなくて、普通に女の子の反応だなぁ。
でも、それじゃ駄目!
鈴にはこれから一夏とラブラブちゅっちゅしてもらうんだから!
これも全てラウラさんの為! 私も一肌脱ぐわよ! 物理的に!
「さあ、行くわよ! その柔肌を野獣一夏に捧げるの!」
「うぐぐ……えぇい、ここで決めなきゃ女がすたる! やってやろうじゃないの!」
「ひゃっほう! 気合のレシピ見せてあげるわ!」
と言う訳でガチャー!っとダイナミック入☆室!
この部屋は常に鍵がマッハで全開だと聞いていたので問答無用で来訪です!
「わぁ!? な、何だ!?」
あ! もうベッドの上で寝る直前だったみたいですね。
まだ午後9時なのに、爺臭いです。
若者はもっと健全に! そう、KENZENに! 変態行為に勤しむべきです!
ってことで失礼します!
「織斑一夏ぁ! 今日はアンタに天国を見せてあげるわ!」
「な、何の事だ!? また玩具の拳銃でもぶっ放す気か!?」
「ふっふっふ! アンタにはもっと効く弾丸を用意したわ! カモン鈴たん!」
「え、えぇーい! なるようになれぇ!」
鈴の腰辺りを掴み、そのまま一夏の上に投げる!
状況が掴めないまま、鈴を受け止め、そのまま押し倒される形になる二人。
ふふふ、これで私が横から服装を乱して、写真でも撮れば一夏は社会的に終わる!
「見つかったとき用に、私の服も乱して……さぁ鈴たん! 一気に!」
「や、やめろ! おい、ちょっと待て!」
「ふっふっふ! 今更抵抗しても遅ぉい!」
「……………………………………………………………………」
「……およ、鈴たん? もしかして、気絶してる?」
どうやら鈴は投げ飛ばされて一夏に受け止められた辺りで、緊張のあまり気絶したっぽい。
うーん、可哀想なことしたかな?
「ありゃ、オチてる」
「って、鈴!? お、おい、どうするんだよ!?」
「いやー、まさかここまで純情だとは……」
「……何を、して……居るんだ……?」
おや? どこからともなくマイ女神ラウラさんの声が……?
はぅわ!? 私の背後に顔面蒼白なラウラさんが!?
まぁそりゃ、扉あけっぱなしで中から悲鳴が聞こえてれば誰でも入ってきますよねー。
「い゛……いや、これは……」
「フィリーネ……見損なったぞ……まさかお前も私の嫁を狙っていたとはな!」
やばい、やばいやばい……ラウラさんに見られた!
確かに着崩れた服でベッドの上に居ればそう判断せざるを得ないですよねー!
と言うかそう見えるようにしたんだから当たり前ですよねー!
色々と終わったー! 私終わったー!
「私の嫁を狙うなら、お前も敵だ! 覚悟しろ、フィリーネ!」
「……え?」
……て、敵? ラウラさんが、敵?
そ、そんなの嫌!
「ラウラさん! ご、誤解です!」
「誤解も何もあるか! これからは仲間とは思わん! ライバルとして全面対立だ! 覚えておけ!」
……そ、そんなぁ……
そんなの……そんなの……
「そんなの嫌ぁぁ~~~~~~~!」
私はラウラさんの横をすり抜けて部屋の外に出て、そのまま走り去りました。
ラウラさんに敵だと言われることが、こんなに精神的に堪えるなんて……
◇
一夏の部屋の前を通ったら、開きっぱなしの扉の奥から一夏の声が聞こえてきた。
「や、やめろ! おい、ちょっと待て!」
何事かと慌てて飛び込むと、そこには……ベッドの上で膝立ちになっている制服が肌蹴たフィリーネと、横たわる一夏と鈴の姿があった。
「……何を、して……居るんだ……?」
「い゛……いや、これは……」
またフィリーネの悪巧みか……しかし、これはやりすぎだな……ここは少し気合を入れて叱っておくか……
鈴まで巻き込んで……一夏が何か勘違いしてしまったらどうするんだ。
しかし、フィリーネもあまり長いこと嫁と関わり続けると、嫁の良い部分に気が付いて惚れてしまうかもしれない。
ここははっきりと嫁宣言をしておくか。
フィリーネは、昔からやることがエスカレートする傾向にあるからな。
「フィリーネ……見損なったぞ……まさかお前も私の嫁を狙っていたとはな! 私の嫁をを狙うなら、お前も敵だ! 覚悟しろ、フィリーネ!」
「……え? ラウラさん! ご、誤解です!」
「誤解も何もあるか! これからは仲間とは思わん! ライバルとして全面対立だ! 覚えておけ!」
これでいいだろう。
ラウラさんラウラさんと、いつまでも私に頼りっぱなしになっているフィリーネには良い薬だ。
これで少しでも自分の為に動いてくれたら良いのだが……
「そんなの嫌ぁぁ~~~~~~~!」
いきなり、私の横を通って部屋の外に出て行ってしまった。
すれ違う時……泣いていた?
あのフィリーネが……?
「……解っている。私の為にやっているのだと言うことは」
「ラウラ、これはどういうことなんだ?」
「フィリーネの悪戯だ。すまないな、一夏」
そうだ。嫁にまで迷惑をかけて、少し反省させた方が良い。
「……そっか。よし、じゃあ追いかけなきゃな」
「……え?」
「知ってるか? 悪戯をするのは構って欲しいからなんだと」
「……構って、欲しい?」
「何か、あったんじゃないか?」
……フィリーネが、構って欲しい……?
ずっと誰かの為に行動していると思っていたが、それはまさか……構って欲しいという衝動の現われだったのか……?
「……っ!」
「お、おいラウラ! 俺も行くぞ!」
私は不安に狩られ、急ぎ部屋を出た。
つづく