読者の皆さーん、ブラックラビッ党の精鋭、フィリーネちゃんでーす。
現在位置はラウラさんの部屋の前。手には、私が先ほど書いたラブレターがあります。
え? ラブレターよりも行動で愛を示した方がいい?
へっへっへ、読者の皆さん。据え膳食わねば男の恥って知ってますか?
据え膳になる事も必要なわけですよ、つまりは。
まぁこのラブレター、私が書いたことになってないんですけどね。
◇
数時間前
「いい? 一夏とラウラの仲を遠ざけるための作戦はこうよ」
話し合いの末、鈴と知恵を出し合って目的の為に作戦を立てることになったので、色々と考えたのです。
「先ず、アンタはラウラの部屋のポストに私宛ての手紙を入れるのよ」
「はて? 何故私が鈴たんにラブレターを?」
「『一夏が書いたラブレター』に偽装するのよ」
「な、なるほど!」
つまり、鈴が一夏と付き合い始めたのなら諦める他無い。
そうラウラさんに思わせることが目的と言うことですね。
「でも、鈴たん宛ての手紙がラウラさんのポストに入ってるって、おかしくないですか?」
「そこよ。投函された手紙に気が付いた頃合で、私が出てくるわけ」
「ほうほう」
以下、鈴の一人芝居
「こんな手紙が入ってたんだけどー」
「あーアイツ間違えたのかなー困ったもんよねー」
「もしかして、二人って付き合ってるのー?」
「あちゃーばれちゃったかー」
「そ、そんなー」
一人芝居終了
「的な展開になって、私に手紙を渡さざるを得ないでしょ? そうなれば誰が書いた手紙なのか、真相は闇の中」
「なんてえげつなくて隙の無い作戦だ! 鈴たん流石!」
「おーっほっほっほっほ! 褒めなさい褒めなさい!」
展開が昨日やってたドラマと同じだなぁ、とか言わないですよ私は。
鈴が頑張って考えたんです。えぇ、きっとそうです。
◇
「……と言う流れから、私が今、ラブレターを投函しようとしている所です」
正直、こういう騙すような手はあまり好きじゃないのですが、まぁ騙しあいは兵法の基本!
勝てばいいのです!
ってことで投函!
「……それで、その時に……」
「……しかし……」
立ち去ろうとすると、進行方向にある曲がり角から聞き知った声が。
あれれ、ラウラさんとルームメイトのシャルさんの声ではありませんか。
やばい、この廊下、隠れる所が無い!
し、しかたない……ここは奥の手だ!
◇
「ラウラ、お風呂行く? それともシャワーで済ます?」
「今日はそこまで激しく動いたわけではないからな。シャワーで済ます」
一夏とのトレーニングを終え、私はルームメイトのシャルと自室に戻ってきた。
と言っても、私たちは一夏に指導していただけなので、そこまで汗は掻いていない。
シャワーで済ませても問題は無いだろう。
「そっか。じゃあ僕はお風呂行ってくるね」
「うむ」
シャルは着替えを取りに部屋の奥に移動する。
私はそのまま脱衣所に入り、服を脱ぎ始める。
いつも着ているズボンタイプの制服のボタンとベルトを外し、一気にずり降ろす。
眼帯を外して籠に放り込み、いつも右太股に巻きつけているシュヴァルツェア・レーゲンを外してシャワー室に入る。
と、そこに桃色の物体が居た。
「……何をしている、フィリーネ?」
「全裸のラウラさんあざーーーーーーーーーーっす!」
「出て行け」
何故かそこに居たフィリーネの右頬に掠るように蹴りを居れ、半回転。
足の甲で首を引っ掛け、脱衣所に引き寄せる。
そのまま片足で跳ねて脱衣所を出る。
玄関を開けて、足を思いっきり振りぬく。
もちろんフィリーネは吹っ飛んだ。
「ごちそうさまでし―――ほびぃっ!?」
廊下の向こう側の壁にぶつかって、ずるりと床に倒れた。
全く、人の部屋に侵入して何をやっていたのか……
扉を閉めると、背後に驚いた顔のまま固まっているシャルが居た。
「な、何があったの?」
「フィリーネが潜入していた。何か変な物が置いてないか?」
「え? 盗られたとかじゃなくて……?」
「あいつは馬鹿だが、人の物を盗るような事はしないだろう」
「……へぇ、信用してるんだね」
シャルが笑みを浮かべてそんな事を言ってきた。
少し照れくさくなって、視線を逸らす。
「恐らく、誰かに入れ知恵されて何か仕掛けに来たんだろう……ん?」
視線を逸らした先に、手紙が落ちていた。
恐らく、勢いよく開いた扉のポストから落ちたのだろう。
拾い上げてみると、それは……
「……筆跡が明らかにフィリーネだな……全く、あいつは……」
「ところでラウラ、その……服着たら?」
「む?」
そういえば、裸のままだったな。早くシャワーを……
「撮ったぁぁぁぁ!」
「!?」
フィリーネの声が聞こえたので、慌てて振り返る。
するとそこには、カメラを構えたフィリーネが立っていた。
そして振り向いたタイミングで、シャッターを押される。
つまり、写真を撮られた。全裸の。
「……何をしておるか、フィリーネ……」
「ごちそうさまです!」
「くたばれ」
足を振り上げて、顎を撃つ。
脳震盪でしばらく気絶するだろう。
全く、油断も隙も無い奴だ。
「ら、ラウラ、早く扉を閉めたほうがいいよ……」
「そうだな。風邪を引いては敵わん」
「あ、あははは……」
シャルが引きつった笑顔を浮かべている。
何か変な事を言っただろうか?
◇
「くっ、しくじったわね、アイツ……」
先ほどまでのやりとりを窓の外から見ていた私は、扉からたたき出されるフィリーネを見て作戦が失敗したと覚った。
次なる作戦を実行するため、私は新しい手紙の作成に取り掛かった。
「ふっふっふ、一夏の筆跡を真似するなんて朝飯前。アイツの字は見慣れてるんだから!」
昼の時間にやってるドラマにしては、良いヒントを得られたわ。
さぁて、やるわよ!
◇
「早く来なさいよ」
「ふぐぅ、酷い目に会いました……」
ラウラさんに見つかりそうになり、慌てて千冬教官の部屋から拝借した鍵を使って部屋に侵入。
シャワールームならバレないだろうと思って隠れていたら、何と全裸のラウラさん登場。
感極まって逃げることを忘れていたら投げ出されました。
んで、調子に乗って写真撮ったら顎を砕かれました。
もう本当、散々でした。
んで、目が覚めたら夕方でした。
と言うか、鈴に叩き起こされました。
「それで、私達はどこに向かってるんですか?」
「だから、私がまた手紙を作って渡したのよ。今度は、『一夏がラウラに出した手紙』を」
「へ?」
鈴の次なる作戦はこうだった。
一夏の手紙と偽って、『アリーナ裏で会おうぜ。お洒落して来いよ』と。
当然、一夏はいつまでたっても来ない。
愛想をつかして、次の日から嫌うようになる、と言う寸法らしい。
「そ、それではラウラさんがいつまでもアリーナ裏で待っているって事ですか!?」
「そうね」
「そんなのラウラさんが風邪を引いてしまいます!」
「……アンタ、ラウラがどんな格好してくると思ってるわけ……?」
そりゃ、お洒落と言ったらスケスケデヘヘヘな……
と、言っている間にアリーナに到着です。
「ほら。フリフリの服で、どっちかというと暑そうよ」
「へ?」
アリーナ裏を覗き込むと、そこには、所謂ゴスロリ衣装を着込んだラウラさんが立っていた。
な、なんて破壊力や……!
「ふふっ、可愛いじゃない。でも、いつまで待っても一夏は来な……」
「あれ、ラウラじゃないか」
「「!?」」
アリーナの反対側の角から、一夏が登場。
な、何故に!?
「い、い、一夏。あの手紙は……」
「手紙?」
「あ、アリーナ裏で待つ……と言う手紙が……ポストに」
「俺は通りかかっただけだけど……誰か待ってるのか?」
「……ん?」
ラウラさんは真っ赤になった顔で一夏と話していたけれど、会話がかみ合わないことに違和感を覚えたのか、握っていた手紙を読み直している。
「やば、気づかれたわ! 逃げるわよ!」
「うえぇ!? 今回私何もしてな……ってもう居ない!?」
見れば、鈴はISを起動して既に遠くに飛び去っていました。
ズルイです。
「フィリィ~ネェ~……」
「はっ!? ラウラさんの気配!?」
飛び去った鈴から視線を戻し振り返ると、先ほどまでアリーナ裏に居たゴスロリラウラさんが、真後ろに。
うはぁ、流石ですねラウラさん。私、全く気が付きませんでした☆
「や、あの、私じゃ……」
「しばらく頭を冷やせ」
今度は見事なコークスクリューによって私の身体は半回転の後に草むらに着地しました。ぶふぅ。
つづく