「知っていたよ。粉ちゃんがずぅっ~~~とまえから変態さんだってこと」
私をせせら笑うように翔は覗き込んでくる。その視線を向けられているのが恥ずかしくてたまらなくて肌を隠したいのだけど、あらかじめ掛け布団や毛布などは仕舞われているベッドの上には覆えるようなものは何一つとしてなかった。真っ白い、このときのためだけに買ってきた"代えのシーツ"の上には全裸の私とまくらだけが置かれている。腕や脚でガードするのが精いっぱいの状態。
「――ほら、見てあげるから腕をどけてよ」
逆らえはしなかった。
ああっ、催眠術にかかってしまったかのように発達途中の膨らみをさらしていく私がそこにいた。
密かに気にしている小ささを幼馴染みはどう思っているのか不安でたまらない。
翔はいつもの細目だった。
感情の読みとれないこの目が気になっていて翔とは話すようになった。
別に幼馴染みとはいったってご近所さんというわけじゃなく、小学校から一緒だったというだけの関係が元。
けど、ハーフゆえに金髪の私を興味なさそうに通り過ぎて行った視線が放っておけなくてこちらから話しかけた。
あれから9年になるけど、まだまだこの幼馴染みの心中は読みとれるという自信は持てない。
この貧乳に興奮してくれているのか、やはり巨乳じゃないと失望されているのか、さっぱりとわからない。
ただじっと言葉を待つだけの時間は長くて心細かった。
そして、翔はすっと迫ってきて――
「おかしいね。なんで、粉ちゃんはこんなに乳首を起てているのかな?」
「ひぃぃっ!」
――ドアノブを掴むかのような気軽さで乳首を捻りあげた。
頭がスパークして勝手に喉が動いた。
「こんなんで気持ちよくなっちゃうなんて露出狂のケがあるだけじゃなくてマゾ属性もありそうだよね」
「ふぅっ、ふぅんっ!」
私は必死に首を振ってそんなことはないと主張するが、翔はなおも乳首を弄りまわす。
愛撫というにはあまりにも雑で荒い行為だというのに私の身体は石炭をくべられたかのように熱くなってしまっていっている。
こんなことおかしいのに反応を止められない。止めたくない。
「やだの、こんなのヤダの!」
「そんなに気持ちいいの? 変態だけあるね。せっかくだから写メで撮ってあげるよ。記念するべきうpの第一弾にしようね」
人差し指と中指で挟んで親指ですりつぶしながらもう片方の手で取り出される携帯電話。
そのまま何の掛け声もないままにパシャりまたパシャりとおっぱいばかりを捉えた光が発せられていく。
「ごめんね。まだモザイクかけたりする機材の用意できていないから顔と一緒に撮れなくて。けど、このビンビン乳首はちゃんとアップするから」
謝るように見せかけて責めてくる翔くんに、私は……私はひときわ大きい声で…………
「――夢なの。それも淫夢なの」
性癖告白した興奮を落ち着かせるためにオナニーしてそのまま寝てしまったせいなのだろうか。
翔くんに言葉責めされながら乳首を弄られるという夢を見てしまった。
実際には、あんなことを聞かされたというのに素直に帰っていったからなにもなかったというのに――だ。
襲われるくらいのことは覚悟していたというのに――で。
「ちょっと癪なの」
「若インポなの」
金髪ハーフ美少女だというプライドがぼろぼろだった。
帰国子女だということで半ばハブされているうちにオタク文化にはまり、語尾がおかしくなったものの、私はとても可愛らしいことには間違いない。あまりにじろじろと見られているものだから露出趣味に目覚めてしまったほど、私は自分の美貌を自覚している。ハーフというのは基本的に顔がいいものと相場が決まっているのだ。
ゴロスリとかを着たらたぶん芸術的に似合うことだろう。趣味じゃないから着ないけど。
比較対象が母のたわわなフルーツだからこそ気になっている膨らみだって、Bカップにはなっている。
性欲爆発している男子高校生なら誰しもむしゃぶりたくてたまらない存在のはずなのに。
だというのに――思えば、翔くんに意識されたことはなかったような気がする。
雨や汗で透けちゃっているときもスルーだったような……
そのくせして、ブラジャーをつけるようになった日には真っ先に気付かれたし。
まったくもってよくわからない幼馴染みだった。
あの細目の向こうにあるものが読めない。
昨日の告白だって、どういう反応が返ってくるのか知りたくてやってしまったようなものだった。
似たようなことはこれまでにもやってきたけどやはり読めないので、どんどん過激になってきてしまっている。
翔の言葉は軽快かつ軽い。だから話していたって理解できる気がしてこない。
表情だって、いつもおだやかにほほ笑んでいるような形になっているし。
そういえば小学一年生の初対面のとき、話しかけたのに、表情筋のある仮面のような顔で対応されたのにえらく腹だったのを覚えている。
どうやったらあんな子供になるのかか不思議だった。
家庭環境に問題があるわけではなく、トラウマができるような事件があったわけでもなさそうなのに。
ごく普通にクラスに溶け込んでいるけどあれほど異端という言葉の似合う人間はいない。
周囲は気付かない。すぐに女優になれるくらいの演技力を持つ母と家族をやってきたからこそ気付くことができた違和感。
勉強ができ、運動もできて、喋れないというわけじゃないのに中学時代では私以外に好きだという女の子は出てこなかった。
周囲の受ける印象までコントロールしているかのような不気味さがある。
そこに惹かれた私は真正の変態さんなのかもしれない。
翔を男優に迎えた淫夢を見てしまったのは今日がはじめてというわけじゃない。
そのときそのときで、軽蔑されていたり、情熱的に愛を囁いてくれていたり、性欲処理に使われていたり――本心を見通せないからこそ無数のパターンの夢を見てしまう。たとえ、抱かれるだけ抱かれた後に「飽きた」という一言でぱったりとこのマンションにこなくなったとしても、翔ならそれもありえると納得してしまいそうな、そんなあやふやさがあるからだ。放課後には毎日のように家にきてくれている恋人のような関係にあるのに信じきれない不安定さがいいなんて、精神的マゾなのか、私は。幼馴染みなのになー。なんだろ、私と翔くんとの関係って?
私の性癖とこれからの性生活だって、翔くんの隠し持っている何かに比べたらちっぽけなことだと思えるから告白できたのだと思う。
「いまさら照れてきたの」
かーっと顔が赤くなってきた。昨日の私はいったい何を言っていた?
幼馴染みの美少女の性癖を告白された翔はどう思ったのだろうか。
考えるといっていたけど……被写体になる私を想像してオナネタにしてくれていたりすると地味に嬉しいな。
つかっ、翔くんには結婚できる財力持つまで手だし禁止っぽいことを言っておきながらどうしてネットには晒すってなんてビッチ。
翔くんにならなにされたっていいのに素直になれなかった……
撮影しているうちに我慢できなくって押し倒されるとかそれはそれでアリなんだけど。
「襲ってくれるかどうかは微妙なの」
中学三年間、一人暮らしの私のマンションに入り浸っていながらそういう関係にならなかったのはあきらかにおかしいの。
家に隠せないエロ本エロビデオをうちにある翔くんの部屋に隠すくらいなら私を口説けって思ってしまう。
そういえば露出にはっきりと目覚めたのは、欲求不満になって翔くんのオカズを拝借させてもらったときその手の写真集を見つけたからだった。
けっして安くはないそういう本を持っていたということは期待していいのだろうか?
「んっ」
あの本のモデルと同じポーズをしているところを翔に見られる想像をしただけでビクンと体が震えた。
寝ている間に火照ってしまっていて、このくらいのことですぐに反応してしまう。
いつもだったらシャワーを浴びてすっきりするのだけど……
「うぅん、あんっ、あぁん」
今日からはもう登校する必要はないのだ。
いつ一人遊びしたっていい環境にある甘えがでてきてもぞもぞと熱くなっているところに手を伸ばしてしまう。
わかっているけど感触で濡れているところを再確認すると、こう、なんか頭がぼぉっとしてくる。
「この調子じゃ、わたしは悪い子になっちゃうの。まだ休日のほうがいつくるかわからない緊張感があるの」
オナニー三昧になる生活が予期できてしまい、人間とした数段階は堕ちた感覚がなんともいえない背徳感で暗い情念を灯していく。
蜜はさらに溢れ出ていた。布団の中にむわっとした臭気が立ち込める。
食べ物と健康には気遣っているから悪臭にはなってないけど、翔の遊びにくることの部屋にこの臭いを染み込ませていると思うとそれだけで気をやってしまいそうだった。
「ああっ、翔くん……」
どういう想像でしているときにもオナニーしているときに彼の名前を呼ぶのは癖になってしまっている。
「いいの……粉のこことってもよくなっているの、翔くぅん」
一番気持ちいいところを指でなぞるだけの拙い行為。
これ以上のことに興味がないわけではない。
けど、自分でやってしまうのは翔の開発する楽しみを奪ってしまうような申し訳なさがあってここまでで留めている。
けれどもゆっくりと時間をかけて回数をこなせば満足できないわけじゃない。
それに翔のことを思い浮かべるだけで私は幸せになれるのだ。
こうして私の平日の午前は過ぎていく……ゆらゆらゆらりと退廃的に過ぎていくのでした。
【地の文少なめが予想外に好評すぎて、今回のが投稿しにくくなってしまっているってなにその罠】
【翔サイドはああいう感じで、粉サイドは普通の一人称でやっていきます。交互というわけではないですけど】