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No.22829の一覧
[0] リリカル的神話体系[ホーグランド](2016/02/27 12:19)
[1] プロローグ[ホーグランド](2016/02/27 12:47)
[2] 第一話 騒動の始まり[ホーグランド](2011/05/01 00:17)
[3] 第二話 くしゃみの代償[ホーグランド](2012/04/12 09:35)
[4] 第三話 取引[ホーグランド](2012/04/12 09:35)
[5] 第四話 間奏[ホーグランド](2012/04/12 09:36)
[6] 第五話 神々の遊び[ホーグランド](2012/04/12 09:36)
[7] 第六話 ある一般人の憂鬱[ホーグランド](2011/04/29 00:27)
[8] 第七話 時間飛行[ホーグランド](2011/05/26 15:42)
[9] 第八話 介入[ホーグランド](2012/04/13 19:07)
[10] 第九話 勝負 [ホーグランド](2011/04/29 00:44)
[11] 第十話 集会[ホーグランド](2011/05/26 15:41)
[12] 第十一話 取引 part2[ホーグランド](2011/05/26 15:41)
[13] 第十二話 最後[ホーグランド](2011/05/26 15:40)
[14] 第十三話 確執[ホーグランド](2011/06/07 01:33)
[15] 第十四話 意地[ホーグランド](2011/05/26 15:37)
[16] 閑話第一話 周囲[ホーグランド](2011/06/10 10:51)
[18] 第十五話 side As[ホーグランド](2011/07/05 21:59)
[19] 第十六話 機動六課[ホーグランド](2012/04/12 09:32)
[21] 第十七話 Deus,Magia e Família 【神、魔法、そして家族】[ホーグランド](2012/04/15 14:34)
[22] 閑話第二話 結婚秘話[ホーグランド](2012/12/25 02:31)
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[22829] 第十話 集会
Name: ホーグランド◆8fcc1abd ID:c9815b41 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/05/26 15:41
「キムラ君のあの、が誰を示してるかよく分からないんだけど、それが時空管理局提督のギル・グレアムを指しているのならその通りだよ」

「ああ、そうですよねぇ」

 キムラがやっぱりそうだと納得したような顔になる。

「あのおっさんはイギリス出身だったはずだから……ここ日本とは大分場所が違うね」

「室長はグレアムさんと面識でも?」

 モリの秘書のまねごとをしているビアンテであるので、交友関係はあらかた把握しているはずであったのだがグレアムの記憶がないビアンテは首を傾げながらモリに問いただす。
 うーん、と口ごもったモリは何かを隠すように手を振った。

「あー、昔この世界について調べたことがあってね……その時にこの世界出身だっていうのを知って彼のことも調べたことがあるんだよ」

「何だってこんな世界を……」

 何か言いたげな顔をしていたビアンテだったが、長年の付き合いの中で彼の不思議な行動といえばきりがなかったので、これもその部類だろうと一人でに納得した。
 モリは不安そうにこちらを見ているなのはに気付き、今後の事をどうするかというこの喫茶店に集まった目的を話そうと皆に諭す、それは彼らしくない相応に年上な行動であった。

「ジュエルシードは一個じゃきかないんだよね?」

 モリはユーノに確認するように尋ねる。オコジョはその小さな頭を小刻みに上下させて頷いた。
 
「全部で21個あるはずです」

「21個かぁ……想像してたよりも多いなぁ」

 キムラが顔を曇らせながら呟いた。キムラとしては室長の思いつきで連行されたあげく、その彼の起こした事件の尻ぬぐいをさせられていることになるので当然乗り気ではない。しかし、だからといって手を抜くような性格でも無かった。
 21個のジュエルシード……その効力は一つでもロストロギアの名前に恥じない大きさだ。ともすれば小規模次元震をも引き起こしかねないそれは正真正銘の危険物である。

 危険物を扱うには、それ相応の訓練が必要だ。そして、その訓練を受けた者たちが管理局職員なのである。

「そうですね……21個となると自分たち三人でも少し手に余りますか」

「そうねぇ、何時発動するかも分からないし……、その前に探知するというのも難しいわね。もっと人がいればローラー作戦とかなんなりして虱潰しに探す作戦も採れるんだけど」

「どの程度の高度で散らばったかも分からないと、どの程度の範囲まで散らばったのかすらも分からないしな」

 目でオコジョに問うモリに気付いたユーノは少し自信なさげに答えた。

「大体ですけど、この海鳴市、ぐらいの規模だと思います」

「となると三人でローラー作戦は無理だねぇ」

 ふむぅ、と腕を組みモリとビアンテは考え込む。
 
 モリは対面からキラキラした視線を感じ、顔を上げるとそこには目の中に星を浮かべたなのはの姿があった。何故かうずうずと体を動かしている小学生の様子を見るに、声をかけて欲しいがっているのだろうかとモリはその普段使わない気遣いで推測する。
 
「……なのはちゃん、どうしたの? トイレ?」

「いや、違います。違うんですけど……」

 顔を真っ赤にしたなのはは何か決心を固めたような顔でモリの顔を真っすぐ見つめた。

「あの、私にもそのジュエルシードを集める手伝いをさせてもらえませんか!?」

「あー」

 一世一代の大勝負かのような気迫の籠ったお願いに若干押され気味になりつつも、モリはその答えに逡巡しながら皆の顔を見回して無言で意見を求める。
 最初に反応したのは彼女とこれまで過ごしてきたオコジョであった。

「僕は賛成です。皆さんは知らないかもしれませんが、なのはの魔法適正はすごいの一言ですよ! 魔法の飲み込みも早いし……その魔力も測りきれないぐらいです!」

 興奮してまるで自分の事の様に話すユーノに、えへへとなのはは小学生らしい笑顔を浮かべる。
 その顔を氷つかせたのはキムラの一言だった。

「自分は反対です」

「え……なんで……」

 一転して泣きそうになるなのはにキムラは顔を歪ませたが、その理由を淡々と述べる。

「それは勿論、彼女が一般人だからです。いくら魔法が得意でも、いくら魔力適正が高くてもそれがジュエルシード回収の際のリスクをゼロには出来ません。それに今回の事を考えると、第二第三の魔法使いがこのロストロギアを狙ってくるかもしれません。まぁ、彼女がこの管理外世界に何故いたかなどを尋問すれば多少はそこらへんの可能性も当てがつきそうでもありますが……、もし他の魔導師が来て戦うとなれば、経験のない彼女は危険です」
 
 長々と反対の理由を述べるキムラの話を聞くにつれて、なのはの顔が俯いていく。触角も本体と連動するかのように動く様をモリは不思議そうに眺めていた。
 言い終わったキムラは、沈黙を保つビアンテに顔を向ける。

「ビアンテさんはどう考えているんですか?」




 ビアンテはキムラのその問いに直ぐに返事を返せずにいた。彼女の頭の中には、原作を守るべきどうかという迷いがあったからだ。
 原作……といっても、モリがこの世界に舞い降りた時点でそのまま進むとは考えていなかった。考えていなかったが、それでもなんだかんだで高町なのはという主人公が魔法と出会い、管理局でエースになるなんてことを漠然と思っていたのであった。

 しかし、ここにきてキムラが反対するとは思っていなかった。いや、薄々は気付いていたのかもしれない。彼女もそんな煩雑な問題なんて、と避けていた節があるのだ。

 キムラの言うことももっともである。大体、彼女は主人公なだけあって全てがケタ違いなのだ。普通の女の子であれば、そりゃ怪我もするし、こんな荒事で無事でいられるわけがない。

 しかし、彼女は主人公なのだ。


 




「私は……、この状況で使える戦力があるならそれを遊ばしておく余裕は無いと思うわ」

「び、ビアンテさん!」

 信じられない、といった表情でキムラはビアンテを見つめていた。
 ビアンテもその顔を見て苦虫を噛み潰すような顔をする。

「だって、しょうがないじゃない。ここで幾らそんな理想論を論じたって、もしジュエルシードが発動したら、発動体に対しては彼女は重要な戦力になる。それにここは彼女たちの町なのよ? なら彼女が自分でその危険を排除したいと思うのは当然だと思うけど」

「……くっ!」

「それに……経験が足りないというなら私たちが教えてあげればいいじゃない」

「へぇ?」

 情けない声を出したキムラに苦笑しながら、その理由を語る。

「だって、彼女だってこのままバイバイって訳にはいかないでしょ? 魔法だって、キムラは管理外世界の住人に教えてはいけないって思ってたかもしれないけど、今回は緊急避難だったみたいだしね」

 と、ビアンテは横目でオコジョを見やる。

「興味もあるみたいだし……、魔法なんてものをそう簡単に忘れもできないでしょう?」

「は、はい!」

 流れが参加してもらう方向になってきたのを感じたのか、なのはの声にも張りが戻ってきた。
 現金ななのはに微笑ましい笑みを浮かべながら、キムラの方をビアンテが最後の確認と睨めつける。お前はこの笑顔を裏切れるんかい、と。

「はぁ……、分かりました、分かりましたよ。でも彼女はあくまでも後詰、手伝ってもらうのは探査みたいな危なくないものだけ。あとは自分たちの言う事を聞くこと。これだけは譲れません」

「……それでいい? なのはちゃん」

「はい! よろしくお願いします!」

 ぺこりと頭を下げるなのはとビアンテをモリは観察していたのだが、話がまとまったのを見ると今後の事を話合うという元々の目的に話題を引き戻す。

「……はい、じゃあ、ビアンテ君とキムラ君が教えるってことで…… まぁ、彼女を戦力に数えるとしても結局は管理局を呼ばないといけないんだけどね」

「そういえば……皆さんはなんでこんな管理外世界に居たんですか?」

 ふと思い出したかのように、ユーノが首を傾げながら疑問を口に出す。
 ギクッ、と分かりやすい反応を返した連絡室面々は額に汗をかきつつ苦しそうに応えた。

「ハハハ、ちょっとした野暮用でね……」

 連絡室が『管理局の最終兵器』なぞと呼ばれる、訪れた世界を須く消滅させるような部署だとは到底言えず、乾いた声でモリは言い繕う。

「それよりも、ここから一番近くにいるのがアースラということが問題だ……」

 頭を抱えるモリはこれからどうするかについて考えを巡らしていた。
 その基準となるものは一つ。どうすれば面白くなるか、である。

 実を云えば、彼の目的である魔法使いたちの生態調査はすでに達成しているのである。勉強も各専門分野を最先端までとはいかないが広く程々には勉強終えている訳で。魔法技術という未知の技術も持ちかえることが出来るだろうという、何気に凄いことを成し遂げようとしていたのだ。
 森恪の世界ではこのように、時々ではあるが未知の世界から発見される技術群が彼の世界の科学の成長を促してきた。そのたびに当たり前であるが技術革新、ブレイクスルーが起こるのだ。それは学生には悲報であっても、その世界全体には有益であったに違いない。いうなれば、森の世界の技術は各人類のハイブリット種なのである。
 なら早く元の世界に持ち帰れよ、という声が聞こえてきそうではあるがここで体感100年過ごしたとしても元の世界ではたかが数十秒程である。あっても変わらない時間でこんな面白い世界を一世代分経験できるのだ。これを森が逃すはずもなかった。

 文字通りRPG気分でモリはこの世界、それも何故か地球とよばれる世界があるような面白い魔法世界を楽しんでいたのである。
 遊び気分だからこそ純粋に『面白さ』を追究できるのだ。


 考え込んだまましばらく顔をあげないモリを見て何を思ったのか、ユーノが心配そうな顔でモリに尋ねてくる。

「その……どれくらいかかるんでしょうか? 救援がくるまで」

「そうだなぁ、詳しくは分からないが一、二週間といったところだろう」

「二週間かぁ」

 オコジョはその案外人間にも分かりやすい、難しい顔で唸っていた。
 ポンッ、と音がしたと思うとそれはビアンテが手を叩いた音だった。何かを思い出したような顔だ。

「そう言えば、この子たちはどうしましょう? アースラが来るのもしばらくかかりそうですし」
 
 と指指す先には宙に浮いた少女+一匹の使い魔の姿があった。その目を閉じた姿はまるで眠っているかのようで、少しの不快な表情も見えない。
 
「これって、何か眠るような魔法とか?」

 モリがビアンテに問うと、彼女はその通りだと頷いた。

「はい、結構効果の高い魔法を使いましたから後数時間は起きないと思います」

「ホント見るとまだ子供なんだよなぁ……」

「あのぉ……この子をどうする予定なんですか?」

 なのはが遠慮気味ににモリに声をかける。聡い小学生はこの場の最終決定権がこの適当な男にあることを感じ取っていたようだ。
 またもうーんと少し考えるモリであったが、

「尋問……をして目的とかを聞きだしたりとか。その後はアースラが来るまで監禁して置く、とかかな?」

「尋問……ですか?」

 なのはの顔は少し青ざめている。

「ああ、そんなに怖がらなくてもいいよ。君たちは例外中の例外だけど本当は管理外世界の住人に魔法を見せたりしてはいけないんだ。魔法を教えるなんて、もっての他なんだからね」

 と、縮こまっているオコジョの方をみてモリは、まるで大人のように注意する。九年という時間は見た目は変わらなくても、モリの精神を成長させたのだろうか?

「しかし、まぁ、後はホテルに帰ってからでも考えよう。彼女たちの仲間が取り戻しに来たとしてもビアンテ君がいるなら大丈夫だろうしね」

「もし……よかったら」

「ん?」

「……名前を聞いておいてくれませんか?」

「名前?」

 何か決意を含んだなのはの目を見て、モリはこれは面白いことになりそうだと内心ほくそ笑んだ。

「分かったよ。簡単に教えてくれるかどうかは分からないけど、聞ければ教えてあげる」

「――はいっ!」









 なのはの母である桃子にとりあえず今回の事件の事を伝えることを提案したキムラは、渋るモリを引っ張って結局彼女の家族に説明することを約束させた。かといって、今からなのはの家族が直ぐにみんな集まれる訳ではない。
 モリはなのはの事で話し合いたいことがある、と桃子にとりあえず伝えて、彼女に聞いた街のホテルへと向かった。今日の夜、再び伺いますと見るからに怪しい外国人が自分の愛娘の事について話があるといって、彼女の心内はいかばかりだっただろうか。

 ひきつる顔の彼女から聞いたホテルへと向かった三人は無事、チェックインを終えて部屋へと向かう、眠ったままのと少女と使い魔を上に引き連れながら。

 モリが扉を開けた、その中には優雅にテーブルで紅茶を嗜む女性が一人。

「あら。遅かったじゃない、神さま?」

 圧倒的存在感で、誰もいないはずの部屋にいたのは紫色の仰々しい服に包まれた大魔導師、プレシア・テスタロッサであった。





 






 


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