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No.20520の一覧
[0] 月のトライアングル[村八](2010/10/20 23:53)
[1] 1話[村八](2010/07/29 01:01)
[2] 2話[村八](2010/07/29 01:01)
[3] 3話[村八](2010/07/29 01:01)
[4] 4話[村八](2010/08/05 23:20)
[5] 5話[村八](2010/08/07 02:23)
[6] 6話[村八](2010/08/07 02:24)
[7] 7話[村八](2010/08/12 03:53)
[8] 8話[村八](2010/08/16 00:12)
[9] 9話[村八](2010/08/21 01:57)
[10] 10話[村八](2010/08/25 01:38)
[11] 11話[村八](2010/09/07 01:44)
[12] 12話[村八](2010/09/15 00:46)
[13] 13話[村八](2010/10/09 00:30)
[14] 14話[村八](2010/10/20 23:28)
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[20520] 3話
Name: 村八◆24295b93 ID:1e7f2ebc 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/29 01:01

トリステインの城下町、その入り口に、二人の男が立っていた。
一人は杖を持ち、頭が禿げ上がった中年男性、魔法学院の教諭であるコルベールだ。
街並みを眺める表情は、どこか楽しそうである。基本的に研究室に籠もりっきりである彼からすれば、外に出掛けるのは娯楽の一つなのかもしれない。

そしてもう一人――青い顔をしている青年、カール・メルセデスは、腰を押さえながら心底疲れ切った風に肩を上下させていた。

「大丈夫ですかな?」

「はい、なんとか……」

「ううむ。ミスタ・カールはどうやら馬に乗るのが不得手のようですな」

「というか、初めてでしたから。
 思った以上に腰にくるもんなんですね」

「はは、誰でも最初はそんなものです。
 それにしても、馬に乗ったことがないとは本当に珍しいですな。
 それでは、行きましょうか」

そう断って、コルベールは心持ちゆっくりとした歩調で歩き出した。
カールはその後をえっちらおっちらとついて行きながら、広がる街並みに目を向ける。
白い石造りの街は、カールにベルカ自治領を連想させた。聖王教会の本部がある街は、美観を損なわないよう手入れが行き届いていたことを思い出す。
城下町ということで、ここも衛生面では気を遣われているのだろう。それでも通りの広さや道行く人の格好を見れば、やはりカールの知る時代よりもずっと昔なのだと理解できた。

雑踏の中に踏み込むカールの格好は、上着を脱いだワイシャツ姿だった。
捲られた袖ぐちからは、相応に筋肉の付いた腕が除いている。
人混みの中でコルベールとはぐれないよう気を付けながら、彼は視線を彷徨わせた。

「コルベールさん、まずはどこに行くんですか?」

「そうですな。
 マジック・アイテムが目当てというならば、それ専門のところがあります。
 まずはそこへ行くつもりですぞ」

「分かりました。案内、よろしくお願いしますね」

「はい。学院長に依頼されたのですから、邪険には扱えません。
 それにしても数奇な運命ですな。オールド・オスマンの友人がミス・ヴァリエールに召還されてしまうとは」

軽く笑いながら、コルベールは世間話をするように告げた。
事実世間話なのだが、対してカールは苦笑する。

そう、カールはコルベールと学院の教師たちに、オスマンの友人、学院の食客として認識されている。
これは、フーケが宝物庫からマジック・アイテムを盗み出したその日から決まったことだった。

「お探しのマジック・アイテムが見付かると良いですな。
 早々転がっているものではありませんが、まぁ、そこは云っても始まらんでしょう」

「そうですね。
 本当に、見付かると良いんですけど……」




















月のトライアングル

















捕らえたフーケを衛兵に引き渡したあと、カールはオスマンの部屋へと戻っていた。
オスマンが騒ぎの収拾をつけている一方で、彼は一人、学院長室で"光の杖"――時空管理局で使われている汎用デバイスを調べている。

デバイスコアの修復は未だ完全ではないが、データの引き出しは可能だ。
専用の端末がなければ詳しく調べることはできないだろうが、それでも、レコーダーを覗くぐらいは可能だった。

持ち主であった男性の扱っていた魔法、そのデータベースを覗きたい気分を押し殺し、カールはデバイスの記憶野へとアクセスする。
これがインテリジェントデバイスであったならば少しは楽だったのだろうが、贅沢は云ってられないだろう。

慣れないデバイスのデータ検索に悪戦苦闘しながらも、カールはようやく目的のものを見付けた。
魔法の術式データが補完されているところとは別の、音声ファイル――おそらくは日記のようなものか。
それを発見し、カールは息を呑みながら再生した。

デバイス自体が壊れていたこともあるし、三十年もの時が経っているからか、データには欠損があるようだった。
ぶつ切りで、ノイズ混じりですらあるそれを、カールは耳を澄ませて聞き込む。

『この世界に降り立ってから三日――次元――連絡――。
 座標――』

断片から判断するしかないが、どうやら彼もカールと同じように次元航行部隊と連絡を取ろうとしていたようだ。
そしてまた、カールと同じように連絡が取れなかったのだろう。
雑音に掻き消されそうではあるが、声の響きに深い落胆と疲れが見え隠れしていた。

『管理――ミッド――いない――。
 魔獣――』

「……魔獣」

オスマン曰く、彼はワイバーンを撃退したときには既に深い傷を負っていたらしい。
ならばその怪我は、ワイバーンのような魔獣――ハルケギニアでは幻獣――によってつけられたのかもしれない。
否、彼が最初から怪我をしていなかったとは云いきれないから、断言してはならないだろう。

このデバイスの持ち主の魔導師ランクが気になる。
異世界を一人で生き抜くことが不可能なのは当たり前の話だが、それとは別に、彼の魔導師ランクから幻獣のおおよその強さを計ることができるだろう。
ワイバーンを撃退した魔法――おそらく砲撃魔法――はどれほどの威力だったのか。
自ら試してみるのが最も手っ取り早いと分かっているが、管理局と連絡が取れない今、なるべく危険は侵したくない。
フーケとの一戦で、決してハルケギニアのメイジを侮ってはならないと学習した。それは幻獣に対しても適応できる。

『次元震によって――』

「……!」

次元震。その単語が聞こえた瞬間、カールはその部分を繰り返してみた。
しかしノイズが酷く、彼が次元震からどう話を続けたのかが分からない。
次元震によってここにきたのか。それとも、次元震の影響で次元航行部隊と連絡が取れないのか。
もし後者であるならば、それはカールの現状を打破するヒントになるかもしれないからだ。

しかし、男の言葉を聞き取ることはできなかった。
思わずカールは舌打ちしてしまう。

同時に、次元震について言及した部分で記録は途切れてしまった。
記録をやめたか、この日にオスマンと出会ったか――それを判断することはできないが、手がかりが尽きたことだけは確かだ。

「……あまり手かがりにはならなかったな」

呟きながら、カールは椅子の背もたれに体重をかける。
そしてデバイスコアを一撫ですると、息を吐いた。

「行方不明……俺もあなたも、そう処理されたんですかね」

オスマン曰く、彼の遺品はこのデバイスだけらしい。他はすべて墓の中だ。
局員のIDカードを見れば名前ぐらいは分かったのかもしれないが、そこまでするつもりはなかった。
手がかり欲しさに死人の墓を暴くのは、些か趣味が悪すぎる。
失意の中で死んでしまったであろう彼の眠りを、妨げたくはなかった。
それに、名前が分かったところで何かヒントを得られるとも思えない。

ポケットから携帯灰皿と煙草を取り出して、カールは机に置いた。
置いて、ふと、紙巻き煙草にも限りがあると気付く。
そこから連想し、嫌なことに思い至ってしまった。

「消耗品はどれもケチって使うしかないか。
 カートリッジには限りがあるし、デバイスだってメンテナンスフリーってわけじゃない」

高町なのはとの模擬戦になんとしても勝つつもりだったので、カートリッジはマガジン五本分を用意していた。
だがそれはハルケギニアに訪れた時点での話であり、現在は残り三本となっている。

これは、カートリッジを使用して転送魔法を何度も試したからだ。
その結果として分かったことは、連絡が取れない、ミッドチルダに戻れない、という二点のみ。
割に合わないと云えば割に合わない結果だろう。

「緊急時以外はデバイスを使わず凌ぐしかない……か」

破損箇所はリカバリーで直すことも可能だが、それだってデバイスコアに負荷がかかる。
機械である以上、メンテナンスを欠かすことはできない。

デバイスを使わずに戦うことはできるものの、それは戦闘能力の低下を示す。
財産と云えるものが自分の身体しかない以上、まったく嬉しくない事態である。

なんとかならないものか――そうカールが思考を巡らせていると、学院長室の扉が開かれた。
帰ってきたオスマンを、カールは立って出迎える。

「カールくん、"光の杖"はどうかね?」

「お帰りなさい、オスマンさん。
 ……調べさせてもらいましたが、手がかりになりそうな情報はありませんでした」

云いながら、カールは汎用デバイスをオスマンの机へと移した。
オスマンは残念そうに唸ると、椅子に座る。

「できることなら故郷へ帰してやりたいもんじゃが……ままらなんの。
 おぬしも気落ちせず、手がかりを探し続けなさい。
 宝物庫の中にもええと、そう、ミッドチルダじゃったか? そこ縁の代物があるかもしれんしな。
 明日は宝物庫の確認をするから、その時にでも一緒に見て回るか」

「はい、よろしくお願いします」

そこで会話が一段落付き、オスマンは深々と息を吐く。

「……まさかミス・ロングビルがフーケじゃったとはのぅ。
 良い尻だったんじゃが」

「尻?」

「こ、こっちの話じゃ!
 ともかく……改めて礼を云わせて欲しい。
 盗まれたマジック・アイテムは中庭に埋められておった。確認してみたが、盗まれたものは全部取り返せたようじゃ。
 助かったぞ、カールくん。
 『シュヴァリエ』の爵位申請ぐらいはしてやりたいんじゃが、如何せん君は別の世界の住人だしの。
 まだ、こちらに腰を落ち着けるつもりはないんじゃろ?」

「勿論です」

「ならば重荷は背負わないことに越したことはない。
 帰るべき場所が決まっているなら、の。
 これは爵位だけではなく、女などもじゃがな」

「……失礼ですけど、なんとなくあなたの人物像が固まってきましたよ」

「男はそういう生き物じゃろ!」

「そうですけどね!」

一緒になって声を荒げた二人は、一拍置いて固く握手をする。
女そのものに。特定の女性にだけ。方向性は真逆なものの、どちらも女好きであることに変わりはなかった。
カール・メルセデス。愛故に教導隊に入り、ストライカーの称号を手にした男である。
意中の女性は微塵も気持ちに気付いてくれないが。

「爵位申請の代わりに、こちらでの生活に必要そうなものを揃えてやろう。
 嫌な話になるが、生活するなら金も必要じゃろうしな」

「……すみません」

「なんの。マジック・アイテムを奪われたら、と考えたら安いもんじゃろ」

「いえ、本当に助かります。
 自業自得な面もあるんですが、ルイズ……俺を召還した少女の機嫌を損ねたせいで、どうやって生活したもんかと困っていましたから」

「ミス・ヴァリエールか……何かあったのか?」

「ええ」

云いながらカールは脳裏にルイズの顔を思い出し、微かな罪悪感を覚えた。
魔法を教えて欲しいと云っていた彼女。
学生である彼女が、わざわざ教師ではなく自分に教えを請うたことには何か理由があるのだろう。
深く考えずとも、それに思い至ることはできる。
ああまで必死に魔法を覚えようとする理由は、なんなのだろうか。

「……俺の使うミッドチルダ式の魔法を教えて欲しい、と。
 管理局――俺の所属する組織ですが、規則として使用する魔法の流布を固く禁じています。
 彼女は俺の使う魔法が異世界のそれと気付いていないようですが、それにしたって同じこと。
 教えられないことに変わりはありません」

「そうか……私は管理局の人間じゃないから、流布するなとは云わん。
 じゃが確かに、おぬしらの規則も分からないわけではないな。
 ……教えるかどうかは、おぬし次第じゃろう」

「教えませんよ」

「そうか、そうか。
 だが、それはちと難しいかもしれんがな」

「何故ですか?」

カールが問うと、オスマンはどこか同情を目に浮かべた。

「彼女の魔法に対する執着は人一倍だと、私でも分かるからの。
 ミス・ヴァリエールは、『ゼロ』のルイズと呼ばれている。
 二つ名の由来は、魔法の成功率ゼロ、というところからきておるようじゃ。
 哀れな子じゃ。公爵家に生まれながらも、君を呼び出したサモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァント以外を成功させたことがないらしい。
 私の教え子というわけではないから、あくまで人伝に聞いただけじゃが……それでも、彼女の境遇がどれほどのものだったかは理解できる。
 そこにおぬしという存在が投げ込まれれば、彼女が目の色を変えるのも仕方ないじゃろう。
 使い魔は主人と同じ属性を持つ……ミス・ヴァリエールは、おぬしの使う魔法の素質があるのかもしれん。
 生まれてくる世界を間違ったのやもなぁ」

オスマンの台詞に、カールは言葉を返すことができなかった。
あの必死さは、そこからきていたのか。
ならばああまでカールに怒りを燃やしていたことも、理解できた。

ルイズから借りた教科書に書いてあったことから、ハルケギニアにおける魔法とは、貴族の特権のようなものだとカールは知っていた。
その貴族だというのに魔法を一切使えないルイズの境遇は、確かに同情するに値するだろう。

だからと云って、ミッドチルダ式魔法を教えるわけには――

「……ともあれ、じゃ」

自分に言い聞かせるよう葛藤していたカールに、オスマンは話題を変えるよう声を上げた。

「おぬしの立場はどうするかのう。
 この世界の常識を身に着け、金を稼げるようになるまでは食客として学院に滞在してもらおうと思うんじゃが、どうかの?」

「オスマンさんがそれで良いならば、俺に文句はありません」

「ならば決定じゃな。
 フーケのこともあったから、おぬしはスクウェアクラスのメイジとして、学院の守りに置いているとでも教師には云っておくわい」

「ありがとうございます。
 では、これからよろしくお願いします」

「ああ、勿論タダとは云わんぞ?
 フーケの騒動で聞きそびれてしまった君の世界の話と、ミッドチルダ式魔法とやらを教えて欲しい」

「だからそれは駄目なんですって……」

「勘違いするでない。
 ミッドチルダ式魔法とはどんなものなのか。
 それが発達した土壌、歴史、世界。そういったものに興味があるんじゃよ。
 このハルケギニアとまったく違う魔法が生まれた背景がどんなものなのか、メイジとして興味があるんじゃ。
 無論、口外はせん。
 教えてもらえないというのなら、まぁ、諦めるが……」

やはり異世界の文化と魔法に、オスマンは並々ならぬ興味を抱いているのだろう。
外見とは真逆の、子供のような好奇心を剥き出しにして、彼はカールへと話を持ちかけてきた。

「んー……まぁ、それぐらいなら」

苦笑しながら、カールは了承する。
これから世話になる人に対して、云えないことずくめでは流石に居心地が悪いからだ。

「ほほ、すまんのう。
 うむ。早いところおぬしが元の世界に戻れることを、祈っておるよ」

そうして、カールはトリステイン魔法学院に食客として滞在することが決定した。

そしてその週の虚無の曜日、"光の杖"と同じ管理世界の代物が街にないか、コルベールと共に出かけたのである。




















一日を使って歩き回ったものの、カールが目当てとしてるマジック・アイテム――管理世界のヒントがありそうなものは、やはり見付からなかった。
分かっている。そもそもオールド・オスマンが汎用デバイスを手にしていたこと自体が奇跡のような偶然なのだ。
簡単に手がかりが見付かったら、今度はカールが戸惑ってしまう。
管理世界の物品がハルケギニアに流れているのに、何故管理局と連絡が取れないのか――と。

ともあれ、カールとコルベールは足取りに疲れを見せながら、城下町の出口へと向かっていた。
陽が傾いているだけあり、雑踏を往く者たちはどれもが帰路についているようだった。
並んでいた出店もいくつかは店じまいを始めており、街は夜の時間に向けて姿を変えつつある。

「残念でしたな」

「いえ、そう簡単に見付かるとは思ってませんでしたから。
 コルベールさんは、色々と買い込んだみたいですね」

「ええ! やはり外には出るもんですな。出不精を改めなければ」

満足げに笑うコルベールの胸元には、彼が買い込んだ秘薬や実験器具などの入った紙袋が抱かれていた。
成果らしい成果のなかったカールだが、見聞を広めるという意味では有意義な一日だった。
魔法学院という狭い世界では、やはり常識を知るのにも限界がある。
こうして外に出なければ、気付けないことは多かっただろう。

平民と呼ばれる者たちの格好や生活習慣。
通貨の価値。

そういったものを肌で感じるならば、やはり人々の生活に触れるのが一番だった。

「ん……コルベールさん、あそこは武器屋ですか?」

カールは街並みの中から、剣を模した看板が下がっている店を見付けた。
刻まれているから文字から、武器屋なのだと分かる。

「はい、そうですよ。
 マジック・アイテムを探しているということで除外していましたが……」

「すみません、最後の一軒ってことで案内してもらえませんか?」

「お安いご用です。
 日が暮れてしまので時間はかけられませんがな。急ぎましょう」

コルベールが先導し、二人は店へと足を踏み入れる。
夕暮れ時ということもあるのだろうが、店の中は薄暗い。
ランプの明かりがぼんやりと照らす店内には、剣や槍が乱雑に並べられていた。

店の奥にはパイプを咥えた店主らしき人物がいる。
彼は面倒くさそうにカールたちを一瞥すると、煙を吐き出した。

「らっしゃい。すまねぇが、もう店仕舞いが近いんだ。
 用事があるなら手早く頼むぜ」

「ええ、ちょっとした捜し物があるのです。
 この店に、マジック・アイテムの類は置いてますかな?」

「他を当たりな。武器屋で探すようなもんじゃねぇだろ。
 まぁ、ないわけじゃねぇが……」

そう呟いて、店主はカウンターの下からゴソゴソと何かを取り出す。

とても客商売を生業にしているようには見えない接客態度で接してくる店主に、コルベールは居心地が悪そうだった。
カールもカールで、あまり良い気分はしない。どうやら店主は商売よりも、この後に待っている休息の時間の方が大切らしい。

が、ここで引き返すわけにもいかない。
彼はうっかり失念していたのだ。

オスマンが"光の杖"を起動状態で保管していたように、デバイスは武器の形と取っているかもしれない、と。
デバイスは何もミッドチルダ式のものだけではない。武器の形態を取る、近代、古代ベルカのアームドデバイスも存在する。
もしそれを見付けることができたなら――と、カールは武器屋に寄っていた。

そんな風にカールが考えを巡らせていると、店主はカウンターに一本の剣を置いた。

染みついた血糊から錆びが広がり、とてもじゃないが武器とは云えない。控えめに見ても鈍器。そのまま云うならスクラップ。
彼はそれを面倒くさそうに示すと、何かを思い出すように眉根を寄せた。

「竜殺しの呪いがかかった剣だそうでさ。
 何十体ものドラゴンの首を切り落としてきた魔剣、見た目はこんなだが、ドラゴンに対してなら有効な武器になるらしいですぜ」

「……嘘臭いですなぁ」

「なら帰れ。ウチにゃこれぐらいしか置いてねぇ」

「いよいよもって酷ぇなてめぇは! 商売する気がねぇならとっとと店畳んじまえ!
 頭の中にゃこの後に呑む酒のことしか詰まってねぇのかよ!」

「うるっせぇデル公!
 剣のてめぇに酒の美味さが分かるのかよ!」

「はん、知りたくもないね!」

なんだなんだ、とコルベールとカールの二人は店主に喧嘩を吹っかけてくる声の出所へと視線を注いだ。
そうしたら店主は何かを思い出したのか、にやり、と濃ゆい笑みを浮かべる。

「ああ、ありやしたぜお客さん。
 ウチにもれっきとしたマジック・アイテムが一つ」

よっこいせ、と店主は椅子から立ち上がると、剣が乱雑に積まれた棚へと歩き出した。
そしてその中から一本の長剣を取り出して、カウンターへと置く。

「意思持つ魔剣、インテリジェンスソードでさ」

「ほお、珍しいですな」

「インテリ!?」

カウンターに置かれた長剣の柄にカールは触れた。
瞬間、左手に刻まれたルーンが薄ぼんやりと光り、これがなんなのかを伝えてくる。
そんなことが起きるとは微塵も予想していなかったカールは、不快感に耐えるよう目を細めた。
原因となったのは、インテリジェンス、という単語によって気分が高揚し、ルーンが発動したせいだろう。カールがそれを知ることはなかったが。

「……デバイスじゃない?」

そう、これはデバイスじゃない。
機械仕掛けの人工知能が学習の末に確固とした自我を獲得したインテリジェントデバイスやアームドデバイスではなく、『意思』を込められた魔剣だ。
ロジックで組み立てられたのではなく、奇跡という結果によって生み出された武器。
ミッドチルダでは生み出すことのできない、ハルケギニア産の武器か。

「おでれーた、てめ、使い……」

カールがインテリジェンスソードの解析を意図せずに行う一方で、彼もまた何かを感じ取ったようである。
鍔もとにある金具を口のように上下させて声を放つ、が、

「うひょー! んなこたどうでも良い!
 戦友! 戦友じゃねぇかよ! おいおいどうしたこんなところで!
 いやー、懐かしいねぇ! 何年ぶりだよなぁおい!?
 ……ん? おーい、戦友? 戦友よーい。
 ま、まさか戦友……物言わぬ屍もとい、物言わぬ杖に!?
 うおおおおお、こんなことがあってたまるかー! 戦友ー!」

パチリ。

「鞘に入れれば黙ります、へぇ」

戦友がなんなのか気になったのだが、店主はさっさと商談を進めたいのか、インテリジェンスソードを鞘へと収めてしまった。
彼が云うように、鞘に収まると金具が固定されて喋れなくなるのだろう。

残念な気持ちが湧くと同時、どうするか、とカールは考える。
このインテリジェンスソードはカールの探すデバイスとはまるで違う存在ではあるものの、興味深いのは確かだ。

武器を喋らせるという発想は、普通ならば湧いてこないだろう。
ミッドチルダとハルケギニアではそもそもからして世界が違うため一概には云えないだろうが、それでも戦闘のサポートを武器にさせるなどという考えは生まれるものではない。
武器はあくまで武器。詰め込まれるべきは性能であり、意思などではない。
性能を追求するという大原則によって、余計な発想が生まれる余裕を奪うはずだ。
だのに、インテリジェンスソードという武器は今目の前にある。

もしインテリジェンスソードを生み出した人間が独自の発想で鍛造したのならば、天才か異端、どちらかに分類される人間だっただろうとカールは考える。
どちらに分類させるかは単純だ。結果を出せたか、出せなかったか。それだけだ。
流石に今この場でそれを確かめることはできない。

コルベールの言葉を信じるならばインテリジェンスソードはハルケギニアでも珍しいようだ。
ならば道楽で作った者がいるという線も充分にあるだろうが――そう、例えば。

誰かが意思を持つ武器という未知の存在を目にして、それを模してこの魔剣を作ったのだとしたら。
今日一日を費やして何も手かがりを見付けられなかったカールは、藁にも縋る気持ちでそう考えた。

オスマンからもらった資金にも限りがあるため、無駄遣いはできないが――

「いくらですか?」

「百エキューで結構でさ」

「百……」

百エキューはカールの手持ちギリギリの金額だ。
今後のことも考えて、あまり散財はしたくないのだが――

「ふむ、店主よ。
 条件付で割り引いてもらえないかな?」

買うしかないか、とカールが思った瞬間、コルベールが口を開いた。

「条件? いやいや、これ以上まけるこたぁ出来ませんよ旦那。
 こっちだって生活がかかってんだ。厄介払いしたいとは云っても、せめてそれぐらいは出してもらいてぇところでさ」

「条件付と云っただろう?
 こう見えても私はメイジだ。貴族ではないがね。
 店の品物にいくつか『固定化』をかけよう。それでは駄目かな?」

「へぇ!? メイジだったんですかい!?
 そういや杖を持って……嬉しい誤算だ……」

言いかけのまま店主は店の奥に引っ込んで、店内にはカールとコルベールだけが残された。
カールは唐突なコルベールの申し出に申し訳なさそうな顔をしながら、すみません、と口にする。

「俺の買い物なのに……ありがとうございます」

「いいえ、気にしないでください。
 メイジのスタンスにもよりますが、私は、魔法は使ってこそのものだと考えているのです。
 ただの趣味ですよ」

一分も経たない内に、店主は鞘に入った長剣を三本抱えて出てきた。
インテリジェンスソードを脇に退けると、気を配った手つきで剣をカウンターに下ろす。

「この三本に固定化をかけていただけるなら、タダで差し上げます」

「分かった。
 タダとはなんとも気前が良い」

コルベールは杖を手にすると、呪文を詠唱して固定化の魔法を剣へとかけた。
剣が淡い光に包まれると、満足げにコルベールは頷いた。

「これで固定化はかかりました。
 不手際がありましたら、トリステイン魔法学院まで連絡を。
 私はそこの教員として働いてるので」

「へぇ、分かりやした! いやー、ありがとうございます!」

儲けたー! と満面の笑みを浮かべる店主を一瞥して、カールとコルベールは店を出る。
店に入ってからそれほど時間は経っていないものの、やはり帰路を急ぐ者の姿は増えていた。
雑踏の中に混じって街の出口に向かいながら、そういえば、とコルベールが口を開いた。

「ミスタ・カール。
 インテリジェンスソードは戦友と云っていましたが、あなたは彼……彼? と、知り合いなのですかな?」

「いえ、そんなことはないんですけど」

確認のためにカールが鍔を持ち上げると、プハァ! と息継ぎするように声が上がった。
インテリジェンスソードはカタカタと金具を鳴らしながら、さっきのテンションを引き継いで大声を上げ始める。

「うおおおおおお! 戦友ー!」

「……煩いですなぁ」

「……ええ、本当に。
 ええっと、デル公だっけ?」

「ちげぇよ! 俺はデルフリンガー様だ!
 それよりもおめぇ! 戦友に何しやがった!」

「その戦友ってなんだ?」

「おめーの胸に入ってるだろ!」

云われ、カールは胸元に意識を向けた。
シャツの胸ポケットにはカブリオレしか入っていないが――

「……戦友って、武器仲間のことを云っているのか?」

「それ以外に何があるってんだ!」

「なるほど」

パチリ、とデルフリンガーを再び鞘に収めて、マルチタスクで情報を整理する一方で、カールは苦笑した。

「俺の探しているマジック・アイテム……"光の杖"の同型なんですけど、意思を持っているものがあるんです。
 きっとデルフリンガーは、それのことを云っているのでしょう」

「なるほど。面白い話だ。
 武器とは云っても仲間意識があるとは……そこら辺は人と変わらないのですかな」

「かもしれませんね。
 っと、そうだ、コルベールさん。
 重ね重ねになってしまいますけど、本当にありがとうございました。
 詳しい話をデルフリンガーに聞いてみないと分かりませんが、収穫はありそうです」

「いえいえ、本当、気にしないで欲しいですぞ。
 魔法を誰かのために使うのはメイジの使命ですからな」

柔らかな笑みを浮かべながらも、コルベールの表情には微かな影が差した。
何故だろう――そうカールが思うと、彼は苦笑した。

「……やはり、土の魔法は良い。
 私はね、ミスタ・カール。たまに、土か水のメイジに生まれたかったと思うことがあるのです」

「確か、コルベールさんは火のトライアングルでしたっけ」

「ええ、そうです。
 火の系統が象徴するのは破壊。
 確かに人が生きるためには何かを破壊するしかないとは分かっていますが……なんとも、寂しい話ではありませんか」

……後悔、だろうか。
自らの才能に対する不満などではない。
どこか悔いるような響きでコルベールは呟く。

カールに火の系統について語っている風ではない。
自分の中に渦を巻いている価値観に対し、言葉をかけているようだった。

「風のスクウェアであるあなたに云ったら情けないと思われるかもしれませんが、私は、争いというものが恐い。
 そして、火種、という風に争いごとを象徴する言葉にすら使われる火という属性も。
 ……火が破壊しか象徴しないなんて嘘だ。それを信じて、日がな研究を行っていても、なかなか成果は出ませんけれども」

どう思いますか? そんな風に語る視線を、カールは向けられた気がした。
風のスクウェアというのはカールのついた嘘であるものの、彼が云いたいことは充分に分かる。
風は火に次いで戦闘に特化した系統と云われている。その属性を持つ最高位のメイジ――あくまでコルベールの主観だが――に、それとなく問いかけているのだろう。
ひょっとしたら、本人ですら気付かない内に。

どう応えたら良いものかと考え、言葉を選びながら、カールは口を開いた。

「火の本質は破壊だと思います」

「……ですな」

「ええ。それは避けようのない事実です。
 もし認めず足掻くのならば、それはただの逃避になってしまう。
 何事にも本質は存在している。それを見誤ってしまったら、もう、正しく物事を見ることはできなくなる。
 本質を正しく理解すること自体が難しいこともありますが、それはそれ。俺の云いたいことは変わりません。
 ……諦めの言葉として云っているんじゃないんです。
 重要なのは、本質を見極めた上で、他の側面を見付ける……それが、重要なんじゃないでしょうか」

「他の側面、ですか……」

「あまり火には詳しくないので、素人の意見ですけれど。
 人の営みの中で用いられる火は、食べ物を焼いたり、畑を焼いたり……どちらもやっていること自体は破壊です。
 だから……」

「結局は破壊……しかし、良くも悪くも破壊こそが火の生み出すもの、ですか。
 いえ、そこに善し悪しを付けるのは人間の勝手、か。
 そうですね。単純故に真理ですな」

どこか寂しそうにコルベールは笑う。
おそらく、彼も分かっていたのだろう。
本質を見誤ったままでは、火、そのものを用いて何かを生み出すことはできないと。
世界は違うとはいえ、コルベールはカールの倍以上を生きている人生の先達である。
歩んできた人生、そこで得た経験を元にした価値観の前では、カールの言葉などヒントにも、慰めにもならないだろう。
……ならば、逃避、という言葉は言いすぎだったかもしれない。

謝らないと、とカールが思っていると、コルベールはさっきまでの寂しさを払拭するように、照れたような笑みを浮かべた。

「分かったつもりではいましたが、少々目を覚まされた気分ですぞ。
 確かに逃避。自分に都合の良い情報だけに目を向けていては、本質を理解することなどできませんな」

「いえ、そんな……」

「良いのです。気にしないで欲しい」

それで話は終わりなのか、コルベールは小さく頭を振った。

「それにしても、なかなか重い言葉を口にしますな。
 本質から目を逸らせば、対象を理解することはできない。
 経験則ですか?」

「あー……まぁ、そうです」

はっきりとしない口調でカールは頷くと、偉そうなことを云った罪悪感から、自らの黒歴史を言葉にする。

「恋愛で思い悩んだことがあって。
 その時に得た答えを色んなことに適応しているだけですよ」

「はは、ミスタ・カールはまだまだ若いですからな!
 それにしても恋愛……相手はどんな方で?」

「管理きょ……職場の白い天使です」

「……そうですか」

「……え? なんですかその反応。
 ちょ、コルベールさん! おーい、聞いてくださいよー!」

「これだから若人は……!」

畜生……! と歯を噛み締めるコルベール。
ずんずんと先を歩いて行ってしまう彼の背中を、カールは追った。





















カールが学院に戻って真っ先に耳にしたのは、爆音だった。
どうやら学院の中で何かが起こっているらしい。事故か何かだろうか。
そう思っていると、隣に立つコルベールが溜息混じりに額を抑えた。

「……ミス・ヴァリエールですな」

「ルイズですか?」

「ええ。どうやら、魔法の練習をしているようです。
 今は良いですが、夜になっても続けないよう注意しておくべきですな。見に行ってみましょう」

コルベールの後を追い、カールは学院の門から歩き出す。
爆音の出所は中庭のようであり、すれ違う生徒はコルベールに挨拶をしながらも酷く迷惑そうな顔をしていた。
それもそうだろう。一度だけならばまだしも、何度も何度も連続してこうも騒々しい音が上がれば不安になり、それは不快感に直結する。

「コルベールさん、ルイズは魔法が成功しない、と聞いたんですけど……これはあの子の使っている魔法の効果なんですよね?」

「効果と云えばそうかもしれません。
 が、正しく発動していないのです。
 何をしても、どんなルーンを唱えても、彼女が引き起こす結果は爆発のみ。
 だから魔法の成功率ゼロ、と呼ばれているのです。……教師が言って良いことではありませんな。
 私たちにだって責任はある。ミス・ヴァリエールは、いえ、この学院に通う生徒は誰もが安くない学費を親が出しているのです。
 だというのにミス・ヴァリエールに魔法の一つも教えてやれないというのは、職務をまっとうできていない……情けない限りですよ」

コルベールの話が終わると同時、二人は目的地へと到着した。
開いた視界の中にはルイズと、彼女と距離を置いた場所に数人の生徒がいた。
それを目にし、いかん、とコルベールは焦りを見せた。

そしてカールは、すぐにコルベールが気にしたことを耳にする。

「やい、ゼロのルイズ! いい加減にしろよ!
 うるさくて読書の一つもできないだろ!」

「私の使い魔がさっきからずっと怯えてるのよ!?
 本当、いい加減にしてちょうだいよ、ゼロのルイズ!」

ゼロ、ゼロ、と連呼しているのは、ルイズにとって不明な二つ名であるそれを口にし、彼女をこの場から立ち去らせようと思っているからか。
しかしルイズはそれに耳を貸さず、再び手に持った杖を振り上げる。
そして、

『ウインド!』

ルーンが唱えられた瞬間、爆発が起こった。
轟音に掻き消されたものの、直前に聞こえたルイズの声を、カールはしっかりと聞いていた。
乾いて、醜くしわがれてしまった声。一体彼女はどれほど喉を酷使したのだろう。
注視すれば彼女の表情には濃い疲労が見えた。
魔法を使っての疲労ではなく、一向に成功しない魔法、それに対する野次、その二つからくる精神的なものだと分かる。
だというのに彼女は魔法の練習を止めようとはしない。
野次を飛ばされるのはこれが初めてではないはずだ。人伝に聞いただけだが、ルイズはずっと魔法を失敗し続けてきたらしい。
ならば、彼女はずっとこの逆境の中で魔法の練習を続けてきたのか。
ムキになっていると云えばそうなのかもしれないが、一方で、不屈の心という単語がカールの胸中に浮かび上がった。

「みっともない野次はおやめなさい!」

コルベールが怒りを含ませた声を張り上げると、ルイズに野次を飛ばしていた生徒たちは竦み上がった。
教師がきたからだろうか。ルイズも魔法の練習を中断し、爆音が止む。
が、すぐにルイズからコルベールへと興味を移したようだ。
彼らはルイズに向けていた苛立ちをそのままコルベールへと向けてくる。

「けどミスタ・コルベール!
 ルイズの失敗魔法が迷惑なのは事実です!
 止めるように云ってください!」

「今は自由時間です。何をしても問題はないですぞ。
 それにうるさいというなら、そう、君は確か風のメイジでしたな?
 『サイレント』を使えばよろしい」

「今日の授業で精神力は使い果たしました!
 ミスタ・コルベール、あなたはゼロのルイズではなく私が悪いというのですか!?」

威張って云うことでもないだろうに、ともすれば恥であることを言い訳に声を張り上げた。
コルベールは迷うように口元を歪ませると、小さく息を吐いた。

「分かりました。ミス・ヴァリエールには私の方から注意しておくので、もう良いでしょう?」

「ですが……!」

「もう夕食が近い。ここまでにしておきなさい」

コルベールに話を聞くつもりがないと気付いたのか、生徒たちは不満げな表情をしながらも中庭を後にした。
彼らの背中が見えなくなると、コルベールはルイズへと視線を移した。

「ミスタ・コルベール……」

コルベールの名を口にして、次にルイズはカールを見た。
彼女は悔しげに唇を引き結ぶと、俯き、脱兎の如く駆けだした。
ルイズに言葉をかけることなく、コルベールは小さな呻き声を上げる。

「……不憫だと分かってはいますが、どうしてやることもできない」

「……そう、ですか」

声に悔やむような響きがあったのは、やはり、教師として生徒の問題を解決してやることができないからなのだろう。
それに対し、カールは返す言葉を持たない。
あくまでオスマンの推測だが、もしかしたらルイズにはミッドチルダ式魔法の才能があるかもしれないのだ。
だがカールにはそれを教えるつもりがない。だから、コルベールにもルイズにも、どう言葉を向けて良いのか分からなかった。

「ミスタ・カール。厚かましいお願いとは分かっていますが、一つ、頼み事があるのです」

「なんですか?」

コルベールはどこか真剣な様子で、声をかけてきた。

「メイジであるあなたにとってこんなことを云われるのは、酷く屈辱的なことだと分かっています。
 ……ですが、どうか。
 あの子の理解者に、なってやってはもらえませんか」

「理解者?」

「はい。私は教師です。あの子の劣等感や悔しさを拭ってやりたいとは思っても、教師である以上、他の生徒と差別化するわけにはいかない。
 貴族というものはプライド、それもこの学院に通っている生徒たちは誰もが名のある家の者なので、それが人一倍強い。
 そんな環境でミス・ヴァリエールを贔屓するようなことをすれば、余計に彼女への風当たりが強くなってしまうでしょう。
 公爵家の娘だから……と。
 魔法に関してだけではなく、家名すらも貶められたら、もう彼女の拠り所はなくなってしまいます。
 私たち教師が彼女を評価するのは一時的な救いにはなるのかもしれませんが、長期的に考えれば彼女のためにはならない」

ですから、とコルベールは話を続けた。

「どうか、あの子の心を少しでも救ってやって欲しい。
 これは、あなたにしかできないことでしょう。
 学院の関係者ではない、スクウェアクラスのメイジ。学舎という閉じた環境で、あなたという存在だけがしがらみに囚われていないのです。
 重ねて云いますが、メイジであるあなたが使い魔になるというのは、大きな屈辱なはずだ。
 だが、その繋がりを忌むべきものと思わず、あの子の力になってもらえませんか?」

云われ、カールは左手のルーンを指で撫でた。
……コルベールの云うことは、カールにとって的を射ているように感じられた。
確かにそうだ。教師である以上、特定の生徒を見れば、それは風当たりが強くなることだってあるはずだ。
それだけじゃない。下世話な噂だって立つかもしれない。
それはおそらく、ルイズにとって不幸にしかならない。

だからと云って自分に彼女を助けることができるのか、という疑問はある。
しかし出会って間もないが、数少ない友人とも云える人からの頼みを無碍に断るのも気が引けた。
更に云うなら、デルフリンガーの代金を魔法で払って貰ったという、負い目もある。

そのため、一言でコルベールの言葉と気持ちを切り捨てることが、カールにはできなかった。

「些か乙女チックな話になってしまいますが」

「え?」

「一説によると、使い魔の選択基準はメイジの格、系統、それ以外にも、そう。
 運命によるものだと云われています。
 ミス・ヴァリエールの呼び出したあなたが、彼女の気持ちを救ってやる運命を担っている。
 そう考えてみると、あなたは彼女にとって必要な存在なのかもしれませんな」

「……そうですね」

救う。その一言が重いのは確かだ。
しかしそれを理由にルイズに対して抱いている罪悪感や同情を投げ捨てることができないのも、また、事実だった。


















トリステインの城下町、その一角にあるチェルボーグ監獄に、一人の女が繋がれていた。
世を騒がせた怪盗、土くれのフーケだ。
彼女は壁に背を預けながら、向かいの壁をじっと眺めていた。
そこに何かがあるわけではない。ただ何もすることがないため、そうしているだけに過ぎなかった。

壁を見詰めているフーケの脳裏には、一つのマジック・アイテムと、一人の男のことが渦を巻いていた。
"光の杖"とカール・メルセデス。奪おうとした宝物とそれを操るメイジ。
元々奪うつもりがあったわけではない"光の杖"だが、今の彼女にとって、あれを手に出来ないことは監獄にぶち込まれた現状よりも悔しさを覚える事柄だった。

"光の杖"がどういう代物かまでは分からないものの、効果は自分の身で思い知った。
一定範囲を外界と隔離して、誰も出さず、誰も入れない世界を作り上げる。
フーケにとってその魔法は、酷く魅力的だった。
お宝の価値としてではなく、その効果が、フーケにとって重要だったのだ。

――あれがあれば、テファとガキ共を村に残してても安心できたのにねぇ。

だが略奪は失敗し、今はただ監獄で処刑を待つ身でしかない。
まだ裁判で判決が下されたわけではなかったが、ただでさえプライドの高いトリステイン貴族の逆鱗を撫で上げて回っていたのだ。
どんな極刑を下されても、不当とは思えなかった。

ああ本当に、悔しくて仕方がない――

もう何度目になるか分からない後悔をフーケが覚えていると、コツコツと石畳を叩く靴裏の音が混じった。
誰だろう――そう思って待っていると、牢の前に一つの影が浮かび上がる。

仮面を被り、漆黒のマントを被った長身の影。
身長と体つきから、男だろうとフーケは察する。

「……こんな夜更けにお客さんなんて、珍しいわね」

フーケが声をかけても、男はじっとこちらを見詰めるだけだった。
どこか粘着質な――異性を見る目ではなく――値踏みをする眼光に、フーケの背筋はちりついた。

「『土くれ』だな?」

「誰がつけたのか知らないけど、確かにそう呼ばれているわ」

云うと、男は両手を広げて敵意がないことを示す。
そうして始まるのは、フーケの引き抜き話である。再びアルビオンに仕える気はないか、と。
誰かと組むつもりはないものの、死ぬつもりはない。
仕方がないか――と思いながらも、フーケは一つの条件を男へと提示した。

「わたしがここにぶち込まれた原因のマジック・アイテム。
 それを盗み出すのを手伝ってくれるなら、いいなりにでもなんにでも、なってやるよ」

「手伝う?」

「ああ。足運びからなんとなく分かる。
 あなた、そこそこの使い手でしょう?」

云われ、仮面の男が僅かに身じろぎした。
これ以上向こうの事情に踏み込んだらまずいか、と思いながら、雰囲気を払拭するように小さく笑う。

「半端なメイジじゃ手に負えそうにない番犬が、今の魔法学院にはいてね。
 アイツが使い魔として呼び出されなければ"光の杖"の使い方も分からなかったわけだけど、それにしたって厄介よ。
 風のスクウェアって話だけれど、あんな魔法見たことないよ」

フーケの云っていることは事実だった。
家族という守るべきものを養うために盗賊を行っていた彼女には、負けることなど許されなかったのだ。
勝つか、最低でも逃げ切ることができるよう、魔法に関しては自分に才能のない系統のことも学んでいた。
だが、カールの使った魔法――特に最後の光の矢など、見たことも聞いたこともない。

「虚無って云われても、あたしは信じるわね」

「……虚無だと?」

そんな冗談のつもりで云った一言。
それが、仮面の男――ワルドの執念に火を付けることとなった。





















おまけ

――カール・メルセデス十六歳

魔導師ランクをAAからAAAまで上げたカール、なんとか高町なのはと昼食の約束を取り付ける。
当日を迎え、鼻の下をデレデレ伸ばしつつなのはと話をしていると、彼女は今度新設される部隊のことを話題に上げた。
今はまだ人員を集めている最中だが、それが終わり次第に部隊が始動するという。

「え、ちょ、なのはさん教導隊は……?」

「しばらく出向になるんだー」

凍り付くカール・メルセデス十六歳。今年の内にでも教導隊に入ってやると執念を燃やしていたのである。

戦技披露会の選考会で落選してからずっと彼は己の力と技を磨いてきた。
その方向性とは、すべてを均等、万能に、である。
長所は一定以上に磨かず、浮いた時間を短所の補填に当てる。

彼が不毛とも見える訓練を積んだのは、れっきとした理由があった。
まず魔導師ランク。制度の改定により任務成功率が何よりも重視されるようになったため、カールは自らを使い勝手の良い魔導師へ成長させると決めていた。
保持技能の多様性により割り振られる任務の種類、数を底上げし、それによって魔導師ランクを上げるつもりなのだ。実際、一年で彼はAAからAAAへとランクアップを果たしていた。

そしてまた、教導隊での仕事もこれに関係してくる。

魔導師を教え導く立場である以上、分からない、教えられない、では話にならない。
砲戦魔導師である高町なのはも、クロスレンジの教導はできるのだ。
それが示すように、例え不得手な分野であろうと最低でも一定以上、可能ならば最上級の戦闘技能を求められる。
カールは不得手を潰し、すべての技能を高水準にまとめることで、人にものを教えることに特化するつもりでいた。
そんな魔導師になってしまったため教導隊ではなく教育隊から熱烈なラブコールがあったりしたが、余談でしかない。

ともあれカール、アベレージ・ワンの二つ名と教導隊に手が届きそうな時期になのはから出向を告げられ、地味に凹む。
し、新部隊の方に誘ってもらえたら嬉しいですよ? とそれとなく云ってみるものの、迷惑はかけられないよー、とやんわり一蹴される。鈍感ななのはさんマジパねぇっす。

良いもん良いもん、と若干拗ねながらも、出向、というなのはの言葉を信じてカール頑張る。めげずに頑張る。
出向から戻ってくるよりも先に教導隊に入って、なのはさんを出迎えるんだ、と超頑張る。

めげずに頑張って、教導隊から誘いの声がかかってきて――

なんだかんだで順風満帆かと思われていたカール・メルセデス十六歳。
そんな彼の元へ、ある日、友人から一通のメールが届く。

『なのはさん、子持ちなんだってなー』

――すべてが、凍った。

友人から驚愕の情報を得たカールは、嫌な感じでドッキンドッキン騒ぎ出す胸を押さえつつ高町なのはに電話。

「な、なのはさん……その、子供ができたって聞いたんですけど」
「うん、そうなの。ヴィヴィオ可愛いよ? 今度会ってみる?」
「……」
「あ、それと、子供ができたって云い方は正しく――」
「……さようなら」

絶望を確かめる希望がある! と誰かは云うけれど、カールには絶望を確かめる希望すらなくなったわけである。盛大な勘違いだけど。

ちなみに何故彼がこうも落ち込んでいるのか補足しておく。
考えてみて欲しい。彼の年齢は十六、第97管理外世界で云えば高校生一年生に当たる年齢である。
勿論、ミッドチルダの住人である彼にそれを適応するのは大きな間違いであるが、それでも、子供であることに変わりはない。
そして年相応に女に夢を見たりしているカール・メルセデス十六歳(現時点では処女厨)。
好きな女が知らぬ間に知らぬ男の子供を産んでいたと勘違いし、怒り狂ったあとに拗ねて落ち込み絶望した。

もうこの世には神も仏もねぇよ! ぶち殺すぞヒューマン!

と方向性を失った怒りを抱くカール・メルセデス十六歳、盛大な誤解を原因として今までの熱意を根こそぎ失ってしまう。
管理局の仕事も最低限にだけしかこなさないようになり、毎日は流れ作業のように過ぎてゆく。
積み上げた技術が錆び付くことはなかったものの、自分の力に意味を見出すことができなくなり、俺どうして生きてるんだろう、とか年相応のことを考え始めるカール・メルセデス十六歳。

局員辞めてニートにでもなろうかな、とか彼が考え始めた時期、ミッドチルダでJS事件が勃発する。
事件への対処に奔走しているのは地上部隊だが、打撃力として用いられているのは機動六課であった。
機動六課。高町なのはの所属している部隊。

だがそんなことは関係ねぇ、とウルトラ混乱しまくってる地上部隊を尻目に定時で帰るカール。
ちなみにこの日、久々になのはからメールが届いていた。

『最近連絡取ってなかったね。元気にしてる?
 今日、ちょっぴり大変な現場に出るの。
 それが終わって落ち着けたら、ヴィヴィオに会ってみない?』

といった内容。
カールはそれに返事をしないまま、今日も今日とて後ろ向きな一日を終わらせようとしていた。
その時だった――二年前に別れた彼女、シャリオ・フィニーノがオフィスに押しかけてくる。戦闘中であるはずなのに。
なんの因果か、シャリオ、カールにグーパン叩き込む原因となった(悪いのは十割カールだが)高町なのはと同じ部隊に所属していたのである。
それでも彼女に対しにこやかに接することができていたのは、シャリオの人柄故だろう。
そんな彼女がグーパンなどという暴挙に及んだのは、それだけカールを好きだったからなのか、ただムカついただけか。

ともあれ、彼女と出会ったカール。ゾンビじみた声で何か用? と聞く。
シャリオ、事件の首謀者を捕まえることはできたけど、聖王のゆりかごからの脱出が間に合わない、だから力を貸してと頼み込んでくる。
なんで俺がそんなことしなきゃあかんねん、と鎧袖一触なカールだが、余裕がないのはシャリオも同じ。
だが彼女が怒ったのは力を貸さないことに対してではなく、なのはへの情熱はどこに行ったんだ、ということだった。
そんな怒りに乗せて再びグーパンが飛ぶ。ぶっ倒れるカール。

人をフッておいて、惚れた女が子持ちなんて理由で腐るとかいい加減にしろ。
子供がいないから、という理由で惚れたわけじゃないでしょう? 
あなたが惚れた高町なのはは、何も変わってないんじゃないの?
それなのに諦めるとか意味分からない。
そもそも、そんな簡単に諦めるなんて、じゃあ踏み台にされた私はそれ以下でしかないの?

子持ち云々周りに盛大な認識の違いがあるのだが、そこは突っ込んだら野暮である。
というかシャリオ、カールに説教してるのか嫉妬をぶつけてるのか微妙なラインである。

あなたが好きになった女の人は、今も戦っている。
けれど力を使い果たして、誰かが助けてあげなきゃ死んでしまうかもしれないの。

そう言葉をかけられ、カール、考え込む。

そうだ。自分が高町なのはに惚れたのは、そんな理由なんかじゃない。
切っ掛けは一目惚れかもしれなかったけれど、後を追い、少しずつ距離を詰める度に色んな顔を見ることができて、より一層熱を上げた。
そう。子供がいようとなんだろうと、自分が惚れた高町なのはという女性の本質は何も変わっていない。
砲戦魔導師だというのに敵陣のど真ん中に飛び込むその心根の強さ、自分がやらなきゃ、という責任感と強さと紙一重の脆さ。
可愛らしくて、不器用なところがあって、優しくて。
そんな彼女を、隣に立って、守ってあげたい――

分かった、シャリオ。俺、行くよ。

戦うよなのはさん。戦って、勝ってみせる。
あなたの待つ戦場が、唯一、今あなたを感じられる場所だろうから。

目を覚ましたカールは、部署も所属する部隊も違うというのに、聖王のゆりかごが飛ぶ空域へと転移した。
その空域はガジェットⅡ型と呼ばれる機械兵器が蒼天を埋め尽くしていた。灰が七分に青が三分。
総力戦を挑んだ地上部隊は、首謀者の逮捕、聖王の打倒という目標を達成したことで気を緩めてしまい、士気が崩壊しかかっている状態だった。
敵を統率している戦闘機人さえ倒せば事件は終わると思い込んでいたのである。
そんな敗北の香りが濃厚な空へ、カールは降り立った。

シャリオから通信が入る。

カール、聖王のゆりかごは左下方。
突入部隊を救出するスタッフが到着する前に、ガジェットを一掃して。

シャリオから指示が飛ぶ。無茶というか、お前一人の魔導師になんつーことを要求するんだ、というレベルである。
ちなみに聖王のゆりかごを包むガジェットの数は千機を超えていた。
周辺空域の機体と、艦載機がすべて出揃っているのだ。だが――

邪魔だとばかりにACSで包囲網を突き破ると、ゆりかごの艦首へと一瞬でカールは到着した。
フルドライブの発動と共に、デバイスコアが燦然と輝く。
着地の勢いで装甲版が砕けていたりする。どうなっているんだ。
そして包囲されている敵陣ど真ん中に行けば集中砲火を見舞われるのが道理である。
が、レーザーの雨をこともなげに弾き飛ばすと、カートリッジをロードしまくって砲撃魔法をぶっ放す。

戦場に立ったエースを、ただの人間と思うなよ……!

撃ち放った状態の砲撃をぶんぶん振り回してガジェットを一気に処理すると、今度は下方。
救出部隊のヘリが到着するため、下方のガジェットを一掃して欲しいとシャリオから指示が飛ぶ。
だがカールは困難な指示を果たすことが、なのはに近付ける術だと盛大に酔いながら、おもむろに砲撃魔法を明後日の方向に放った。
瞬間、砲火が数多の光条に分裂して降り注ぐ。ホーミングバスター、という魔法らしい。
ホーミングする砲撃ってなんだ。しかも敵味方を完全に識別している。おかしい。

カール、離れて。直衛に入ってちょうだい。
反撃がくる。敵を引き付けて。一機でも多く、少しでも遠くに。

その注文にケチをつけることなく聖王のゆりかごから飛び立つと、カールはレーザーの豪雨にその身を晒した。
晒したものの、カートリッジをロードし、傾斜をつけて展開したラウンドシールドですべてを反らす。

そんなことで、俺を倒せると思ったか……!

リミットブレイクを発動、カブリオレ・ダブル――両手に握った長杖をそれぞれ脇に抱えて、救出部隊の進行ルート上に存在するガジェットを一掃してゆく。
カートリッジをケチるようなことはしない。湯水のように炸裂させ、次々とリロードを繰り返す。
数が数なのでやはり撃ち漏らしは出てしまうが、救出部隊を運ぶヘリには優秀な魔導師が乗っているらしく、接近する敵を確実に始末していた。

そうして救出が行われ、聖王のゆりかごは軌道上でアルカンシェルによる消滅させられる。
事件終了後、カールは大急ぎでなのはが回収されたアースラへ向かった。
ちなみにシャリオが出迎えたりしてくれたのだが、会話もそこそこに医務室に向かった。哀れである。

医務室では、高町なのはがベッドで横になっていた。
AMF下でブラスターⅢを使用したと聞き、馬鹿ですかあなたは、馬鹿は酷くない? などと会話を交わしたり。
補足しておくと、この時点でカールも一杯一杯である。彼もリミットブレイクをAMF下で使用し限界近いので、脚がガクガクしていたりする。
いくら相手がガジェットとはいえ、援護なしで数の暴力と対峙し、かつ、限られたリミットで敵を処理しろと無茶な注文をつけられたので無理をしていた。
というか、たかがガジェットと戦ったとは云っても桁が常識外れという言葉を通り越し、荒唐無稽も良いところである。
が、格好付けの脳筋である彼はやせ我慢を通す。

「……それにしても、カールくんがきてくれるとは思わなかったな。ビックリしちゃった。ありがとう」
「見直しました? 惚れました?」
「あはは、戦ってるところを見たら惚れたかもねー」

お礼を云われて嬉しいんだけど、心境としては複雑極まりない。
鈍感ななのはさんマジパねぇっす。しかしカールの聴き方が悪いとも云う。
というか今更になって救出部隊の方に行くべきだったと後悔するカール。孔明もといシャリオの罠である。

それじゃあ仕事があるからもう帰りますね、と嘘を吐き医務室を後にして、限界を迎え廊下でぶっ倒れるカール。
そこを目撃した戦勝気分のフェイトさんの悲鳴が、アースラに響き渡った。

余談だが――
後日、ヴィヴィオが養子であることを知り、カールは誤解を招くようなメールを送ってきた友人を殴りに行った。






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