<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.20364の一覧
[0] メメクラゲ習作 短編集[メメクラゲ](2010/09/15 11:49)
[1] 戦隊陵辱モノ 前編 【習作】 【完結】[メメクラゲ](2010/07/17 15:58)
[2] 戦隊陵辱モノ 後編[メメクラゲ](2010/07/17 15:58)
[3] 【習作】 アネモノ 【1/5】 [メメクラゲ](2010/08/31 23:41)
[4] 【習作】 アネモノ 【2/5】[メメクラゲ](2010/08/31 23:40)
[5] 【習作】 アネモノ 【3/5】[メメクラゲ](2010/08/30 16:15)
[6] 【習作】 アネモノ 【4/5】[メメクラゲ](2010/09/06 15:35)
[7] 【習作】 アネモノ 【5/5】 [メメクラゲ](2010/09/06 15:52)
[8] アンケート終了と結果[メメクラゲ](2010/09/09 00:30)
[9] ルパン三世 カリオストロの城 二次創作 【1/6】[メメクラゲ](2010/09/15 11:51)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[20364] 【習作】 アネモノ 【5/5】
Name: メメクラゲ◆94ad61bb ID:583704fc 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/06 15:52
【習作】 アネモノ 【5/5】



「絵里ねぇ、話があるんだ……。鍵、開けてよ」

 姉さんの部屋、鍵で固く閉ざされたドアの前で、僕は声が震えてしまわないように注意しながら、しっかりとそう言い切った。
僕の心臓は不安で張裂けそうなほどドクドクと脈打ち、喉は呼吸が難しいくらい緊張で渇ききっている。

「うるさい……、一人にさせて」

 ドア越しに響く絵里ねぇの暗い声。その声はまるで、枕か何かに唇を押し当てて話しているようにくぐもっている。勝気な絵里ねぇのこれほど弱気な声を、僕は今までほとんど聞いたコトはなかった。
 そう……両親が亡くなったあの日、道場横で僕にしがみ付いていた時以来かもしれない。
 ギリッと音を立てながら、僕は奥歯を噛み締める。胸の奥に燃え上がるドス黒い炎のような感情……それは、憎しみ、嫉妬、悲しみ、自分への不甲斐無さ、そんな情念がドロドロと入り混じったモノ。感情にまかせ、思い切りドアを蹴り付けたい衝動に駆られる……が、必死に自制し、何度も深呼吸を繰り返す。

「絵里ねぇ……どうしてもっ、どうしても話がしたいんだ。お願いだよ」

 ミカねぇからようやく聞き出した内容。『ソレ』は僕の身に降りかかっている出来事だとは、到底信じられないほど唐突で、そして現実離れしていた。
 でも、『ソレ』が全ての大元になっている事も事実で、そして……。

「……鍵、開けたよ」

 カチャリという金属音の後、ドア一枚を隔てて聞こえる姉の声。僕は最後に大きく深呼吸をして、ゆっくりとドアノブを捻り、絵里ねぇの部屋の中へ足を踏み入れた。
 昼間だというのにカーテンを閉め切られた薄暗い部屋。フローリングの床、白い壁紙、白いカーテンとベッドという白を基調とした空間。アクセントとして黒のテレビ、黒いパソコン、黒いテーブルが置かれている、シンプルで機能的な絵里ねぇの部屋。

「で……、ツカサ、話って何? 姉ちゃんな、調子悪いんよ。だから……」

 そそくさと僕から離れ、チカラなくポスン……と白いベッドへ腰掛けながら気だるげに口を開く姉。サラサラした黒髪を無造作に腰へと流し、ノースリーブでグレー色のワンピースを着ている。剥き出しになっているほっそりした白い肩が、どこか寒そうに見えた。

「絵里ねぇ、色々話したい事はある。でも、最初にこれだけは……。僕、絵里ねぇと同じ高校へ進学するよ。県外にはいかない」

「……ッッ! ツカサ、アンタッ、何でッ」

 ダンッとさっきまでの様子が幻だったかのように、勢いよく立ち上がる絵里ねぇ。わなわなと震えている唇、そして、真っ黒な瞳が正面から僕を貫くように見つめてくる。

「絵里ねぇ……。今まで姉さんに相談してなかった事は謝るよ。その……、僕がいつまでも進路を決めてなかったから……学校から叔父へ連絡があったんだね。知らなかったんだ……」

「くっ、ツカサッ! ウチに内緒にしていたとか、もうそんなコトはどうだってええッ!! なんでっ? なんで、県外のXX高校にいかへんの!? アンタ……お父さんの師匠やった、迫芝先生から直々に弟子にならへんか、て誘われたんやろっ。推薦で県外のXX高校に入学すれば、迫芝先生の指導が受けられるやないの。アンタ……それを……、断るって、県外に行かへんって、一体、どういうつもりっ!」

 ギリ……と噛み締められた絵里ねぇの口、真っ黒な瞳が燃えるように僕を睨む。胸の前で握り締められた小さな拳が、ブルブルと痙攣している。

「遺産の事も知ってる。もう、決めたんだ……僕はココに残る。絵里ねぇと、ずっと一緒にいるから」

「ッ!? ツカサ、アンタ……」

 驚愕の表情を美しい顔に貼り付け、絶句したまま立ち尽くしている絵里ねぇ。その様子を僕は見つめながら、ミカねぇから聞いた、現在、僕の身に降りかかっている信じられない出来事を思い出していく。



◆◆



 ――それは一時間ほど前の事、ミカねぇと僕は客間の中で無言のまま見つめあう。が、ミカねぇが覚悟を決めた……といった様子でため息をついた。

「ツカサ、約束やから、全部ウチが教えたるわ。今……、アンタたち姉弟に何が起こってるのかを」
 
 荒い息をつきながら裸体を起こしたミカねぇが、苦笑しながらも、どこか照れたような感じで口を開く。僕は汗で濡れたカラダをタオルで拭き取った後、ゆっくりと正座して、ミカねぇへ向かって頷いた。

「……何から話せばええのか。まず、遺言や。ツカサが高校生、十六歳になった時、亡くなった叔父さんと叔母さんの遺産がきっちり全額入るコトになっとるんよ。その額、税金やら全部抜いて一人アタマ、一億と半分ちょっと。ふふっ、姉弟合わせて三億円や、バカみたいやろ?」

 正座したまま、僕はあまりの内容に驚いて口も聞けない。あまりに現実離れしたその金額……、一体、それは。

「ツカサの亡くなった母さんな、実はものすっごい旧家のお嬢様だったんよ。でもな、一族全部、何か事件があったらしくてな、唯一の生き残りやったのが、アンタのお母さんや。で、ツカサと絵里ちゃんはその旧家の唯一の財産継承者てコト。ま、元々は何百億って資産やったらしけどな、残ったほんの僅かな遺産、それが相続税やらの税金抜いて、手取り合計三億って額や。知らへんかったろ? ウチのクソ親父がな、必死で隠してたらしいわ。親戚もツカサの母さん側には、誰一人おらへんからな……」

 ミカねぇがどこか暗い表情のまま、静かに服を着ていく。客間の中の空気がどこか冷たくて、重苦しい。

「二日前な……ウチ、クソ親父に呼び出されたんよ。ふふ……借金を必死で返済しつつ、ネイルの勉強をしてたウチにな、借金を全部代わりに返済してやったから頼みを聞け、悪い話やない……てな。――ウチな、高校の頃、兄貴と親父にレイプされかけたんよ。必死で抵抗して包丁持ち出したら、アイツら冗談だってヘラヘラ誤魔化そうとしとったけどな。母さんはとうの昔に、親父に愛想つかして蒸発しておらへんし、誰にも相談できへんで、卒業してスカウトを幸いと、その足で東京に逃げたわ。ま、ウチの事はどうでもええね……」

 金色に染まった髪をクルクルと指に巻きつけながら、なんでもない事のように話すミカねぇ。驚きで口を聞けない僕を尻目に、ミカねぇはドンドン言葉を紡いでいく。

「突然、勝手に借金を返済されてな、まあ……それでも嬉しかったんよ。ホント、風俗で働くのは精神的にキツかったし、スカウトに騙されて寂しかったしな。もしかして……クソ親父も反省して家族の情ってのが芽生えたのかと期待して帰省したんよ。ほしたら……アンタたち姉弟の遺産の事や」

 いったん言葉を切り、ふぅ……という感じでため息をつくミカねぇ。そして、覚悟を決めたように再び口を開く。

「ウチにツカサを誘惑し、骨抜きにしろ。俺達二人は絵里ちゃんを、無理矢理にでも手篭めにするから……てな。アンタたち姉弟は本当に仲がいい、精神的にも強く結ばれた二人や。傍から見て、ウチはずっと、ずっと羨ましかった……。それをメチャメチャに壊す。そして、もうじき入る三億って莫大な遺産を全部自分たちのモノにするってな。……正気か? ておもたけどな、でも、三億や、三億。それにこの家、道場、土地、全部入れたらもっとや。言い訳やけどな……ウチも東京でずっと地獄のような生活を送り続け、正気やのうなってたんやね」

 客間の床を見つめ、苦しそうに、悔しそうに言葉を吐き出していくミカねぇ。

「金が無い自分が悔しかった……。ウチよりずっと歌やダンスも下手、頭もルックスも悪い、努力もしとらん女が、ただ親が芸能人、金持ちって理由でもてはやされる。諦めた夢のハズやのに……、まだ、くすぶってたんや。ウチが有名になってテレビに出れば、きっといなくなってもうた母さんに気付いて貰える、また会える……って夢がな。バカやな、ウチはっ、ホンマに救いがたい馬鹿や。ごめんな、ツカサ」

 涙を堪えるように、唇を噛み締めているミカねぇ。何も言えない……、僕が寂しい時には、側にいつでも絵里ねぇがいてくれた。ミカねぇは寂しい時、きっと誰にも頼る事が出来なかったんだろう。僕は何も出来ぬまま、口を閉ざし、ただ座り続ける。

「ツカサが進路で、県外の名門校へと推薦入学が出来るって、親父は知っとった。アンタ……絵里ちゃんに言い出し辛かったんやろ? 担任の先生から叔父さんに、すごく良い話やから説得してくれって連絡があったらしいわ。……それが渡りに船やったんやね。ツカサと絵里ちゃんは互いにしっかりと結びつき、支えあって生きとる。腕っ節も強いし、付け入る隙なんかあらへんかった……けど、もし、バラバラにしたら? いきなり、二人を引き離し、しかも、ツカサがウチのカラダ、セックスに溺れたら……。そこが、親父たちの狙いやったんよ」

 どくん……と心臓が不安で脈打つ。吸う息さえも、どこか鉛のように重く、不安が胸いっぱいへと広がっていく。

「昨夜、ウチは玄関で、絵里ちゃんへこう言った。『ツカサが県外の高校に推薦で入学したいと希望しとるって、学校の担任から親父に連絡があった。でも、姉が一人ぼっちになるから、……絵里ちゃんがお荷物やから迷ってるってな。それに遺産も十六歳になったツカサに相続される。もう立派に一人前の男や……県外での一人暮らしの住居手続き、入学手続き、相続手続きを急いでせなあかん。相談があるから、隣の家に来てくれ』ってな」

 昨夜、顔を青くして隣家へと出かけた姉の姿を思い出す。そして、さっきのミカねぇの言葉『――俺達二人は絵里ちゃんを、無理矢理にでも手篭めにするから』、その言葉が何度も脳裏にコダマする。ガクガクとカラダが震え、怒りと不安で吐き気が止まらない。

「ソコから先は、ツカサも知ってる通りや……。顔を真っ青にした絵里ちゃんは、大急ぎで隣に出向いた。そこからどうなったのかは、ウチも知らん……ただ、絵里ちゃんに、親父と兄貴に注意しろとは言ったけどな。ウチは、ツカサさえ篭絡できれば、クソ親父たちの事なんか、どうでも良かったから。でも、あの様子じゃ、たぶん……」

「たぶんっ、タブンって何だよっ!? ミカねぇ、くっ……、絶対にっ」

 衝動にまかせ、僕は勢いよく立ち上がる。何をしていいのかの解らない……が、胸の奥にくすぶるドス黒い憎しみを、隣家の叔父と従兄へぶつけたかった。絵里ねぇを傷つけた事……絶対に、許せない。

「待ちっ、ツカサ……。まず、絵里ちゃんのトコへ行ってあげて。アンタが進路を黙ってた事……それに絵里ちゃんは酷くショックを受けてたんや。――ホント、御免なさい。全部話して、スッキリしたわ。……こんなに変わってしまったウチを、あんたたち姉弟はあっさり信用し、受け入れて、泊めてくれた。裏切り、騙しあいばっかりしとったウチは……そう、救われたわ。ツカサ……、ウチが言える義理はあらへんけどな。まず、絵里ちゃんとじっくり話をしてあげてや……。すぐにウチはここを出て行く。――クソ親父達には、ウチがきっちり話をつけとくから、本当に、御免なさい」

 正座をし、両手をついて深々と頭を下げるミカねぇ。騙されていた……と思うけれど、あまりミカねぇを責める気になれない。こうやって全てを話してくれたからか、それともカラダで繋がったから? もし、僕が同じ立場だったら、ミカねぇと同じ事を絶対しない……とは言い切れないからか? 解らない……。
 僕は、何もミカねぇへと言えず、振り返って客間を出て、絵里ねぇの部屋の前へと進んだ。


◆◆◆


 僕は絵里ねぇの部屋の中で、胸にあふれる不安、恐怖を押し隠すように、真っ直ぐに絵里ねぇの瞳を見つめる。黒曜石のように真っ黒で、大きく美しい瞳、長い睫毛、すっきりと整った鼻筋、ピンク色の唇。サラサラと流れるストレートの黒髪。
 ――いつも、絵里ねぇは僕の側にいてくれた。あの日、幼くて不安でたまらなかった僕を、背中から思い切り抱きしめてくれた時の約束……、それをずっと守ってくれた。

「絵里ねぇ」

 フローリングの上へ、僕は滑るように足を踏み出す。素早く、一瞬の間をついて。
 虚をつかれ、立ちすくんだままの絵里ねぇのカラダ。それでも流石、瞬時に両手を顔の前に上げ、構えようとするけど……。

「――ッ!?」

 両腕の中、細い絵里ねぇのカラダを思い切り抱きしめる。逃げようと暴れる体、それを全ていなしながら、姉さんの髪へ顔を埋めて言葉を紡ぐ。
絵里ねぇの黒髪から香る甘い芳香、それは、あの日からずっと変わらぬままで……。充血し真っ赤に染まっている絵里ねぇの耳へ僕は唇をつける。

「姉さん、約束したろ? 僕も、僕だって、絵里ねぇを守る……ずっと守ってみせるって。貴女の側から離れない、ずっと、ずっと、隣で過ごしていたいんだ」

 まるで凍えているように、僕に抱きしめられた腕の中で、ブルブルとカラダを震わせている絵里ねぇ。真っ赤に染まった顔……、潤んだようにも見える黒い瞳を、スッと下へと逸らし、口を開いた。

「……ツカサ、そんなん駄目や。あ、あんたは独り、県外で指導を受けて、父さんの跡を継ぐんや。――ホントは、随分前からわかってた。ウチより、もうツカサのほうがずっと強いって……。なのにウチは、アンタにいつまでも頼って欲しくって、ウチのほうが強くありたくてっ! でも、あかん、もうツカサは一人前や。もう、ウチがおらへんでも、きっと、きっと!」

 ――姉は泣いていた。腕の中で抱かれたままの絵里ねぇの頬を、透明の涙が伝い落ちていく。初めて見る光景……姉さんは、僕に涙を見せた事なんて一度もなかった。それどころか、幼い頃に突然にいなくなった両親を想い、泣き喚いていた僕を、毎晩抱きしめていてくれたんだ。
 きっと、絵里ねぇも酷く寂しかっただろうに……そんな様子を、僕へは欠片も見せなかった。どれほど、それは辛い事だったろうか。胸が締め付けられるように痛む。
 僕はずっと……、この人に支えられていたのだと、そして、この人は今まで……、深く、深く、僕を愛してくれていたのだと。
ほとんど手遅れのようなこの状況で、やっと僕は気付いた、気付く事が出来た。

「嫌だ。僕は県外に行かない。絵里ねぇの側を離れない。誰にも、誰にも、貴女を奪われたくない」

「あっ、ツ、ツカサ、だ、駄目っ……」

 胸の中で震えている姉のカラダ。柔らかくて温かい……。壊れぬように、でも、二度と寂しい思いはさせないように、僕は強く強く抱きしめた。  
絵里ねぇが他人に奪われてしまったのかも知れない恐怖、誰にも渡したくないという醜い僕のエゴ、そして心の底から姉を愛しく想う気持ち……、そんな感情が混じりあい、荒い呼吸を吐きながら、細く白い首筋へとキスをする。

「ああっ、駄目や……ツカサ、もう、こんな事」

 小さな囁き声……、そして僕の唇が触れる度、ビクンと細かくカラダを痙攣させる姉。腕の中の絵里ねぇは、肩を震わせながら、小さな手でギュッと僕の腕を握り締める。
 止まらない僕の欲望。ドクドクと脈打ち、恐ろしいほど固く勃起しているペニス。実の姉弟なのに……、僕は絵里ねぇが欲しくて、気が狂いそうに欲情している。将来、絵里ねぇに恋人が出来、そして離れ離れになってしまうという、ごく当たり前の、待ち受けているであろう平凡な未来。
 それが……どうしても受け入れられない。隣家の叔父、従兄に姉を奪われたかもしれない怒り、恐怖が引き金となって、僕のカラダを衝動のままに突き動かす。

「ん……ツカサ、あっ、そんなっ、や、あっ、あっ、あ」

 優しくベッドへと姉のカラダを押し倒す。ワンピースの中、姉の大きくて張りのあるバスト。その頂点がぷっくりと膨らみ、グレーの布地を押し上げている。僕の首筋へと、しがみつくように廻された姉の細い腕……覆いかぶさるような体勢のまま、僕は右手の指で服の上からゆっくりと、その乳房の頂点を触る。人差し指の腹を使い、円を描くように、そして時折押しつぶすような動作を混ぜて。

「姉さん……愛してる。決めたんだ、誰にも絵里ねぇは渡さないって」

「あっ、あっ……そんな、ツカサッ、ツカサッ、だ、駄目……ウチの気持ちが、お、抑えきれなく……んっ、なっちゃう、から……んんっ」

 顔を赤く染め、潤んだ黒い瞳で見上げてくる姉さん。その整った目じりへと、涙がこぼれそうに溜まっている。ピンク色に濡れた唇……僕に乳首を触られる度、ぎゅっと腕を掴む白く細い指。
 チロチロと舌を動かしつつ、白い首筋から耳、ピンク色に濡れた唇ギリギリにまでキスを繰り返していく。

「ん……ツカサ……んん……あっああああ」

 絵里ねぇの甘い声が部屋へ響き渡る。その甘美な声が、僕の欲望を更に加速させていく。腕にしがみ付いている絵里ねぇの小さな掌と細い指へ、僕の掌を合わせ、指と指を絡めあう。
僕の掌を包み込むようにチカラの篭った絵里ねぇの指。――この指のように、心まで絡み合い一つになればいいのに。そう願いを込めながら、潤んだ唇へ何度もキスを繰り返す。
 ――僕は馬鹿だ。こんな、こんな状況になってから、初めて姉さんに愛されていた事、絵里ねぇを深く愛していた事に気付くなんて。

「絵里ねぇ、僕とずっと一緒にいて欲しい。ずっと僕も、側にいるから」

 ほっそりとした姉さんの背中へと腕をまわし、小さなボタンを一つずつ外していく。僕の腕に抱かれたまま、甘い吐息を吐き出し続ける絵里ねぇ。赤く染まった頬……、ピンク色の唇がゆっくりと開いていく。

「ふふっ、いつまでもお子様なんやから。ウチの大事な、大事なツカサ……。そ、そんなコト言われたら……、姉ちゃん、嬉しすぎて泣いてまうやん……」

 クスッという美しい微笑みと共に、白い指が僕の全身を撫で回すように動く。絵里ねぇに触れられる場所、その全てに甘い電流が走ったように気持ちがいい。スルスルと互いの服がベッドの下へと剥がれ落ちていく。豊かな胸を包む白い下着、そのホックまでもがプチンッという小さな音とともに外れ落ちる。

「綺麗だ、すごく綺麗だよ……、絵里ねぇ」

「……きて」

 なめらかで僕の指に吸い付きそうにキメが細かい肌。大きくて張りのある豊かなバストと、その頂点でぷっくりと立っている桜色の乳首。まるで子供のようにソコへ舌を這わせながら、僕は怒張しきった自分自身を、ゆっくりと絵里ねぇの秘部へと近づけていく。
 が、直前で僕のカラダが動きを止める。ココロとカラダ、その二つがバラバラになってしまったように。
 禁忌、絵里ねぇの人生をメチャクチャにしてしまう……という恐怖、誰にも奪われたくない、永遠に僕だけの大切な存在であって欲しいというせめぎ合い。
 ――こんな時でさえ、僕はまた迷い、決断を下せないのか。

「ツカサ……、愛してる。ウチも、ずっと言いたかった。苦しい時、寂しい時、泣きたい時、ツカサがいてくれたから救われた。愛してる、ツカサ」

 照れたように、恥ずかしそうに微笑む絵里ねぇの赤い顔。両腕が僕の頭を抱くようにまかれ、そっと互いの唇が触れ合っていく。
 ――覚悟を決める。この先、何があっても、誰に後ろ指をさされようとも、僕は貴女の側にいる……と。

「んっ、あっあああああああああああああああああああっっっ」

 僕のペニスがゆっくりと姉さんの中へ侵入していく。瞳の奥に真っ白な光が点滅するような気持ちよさ。肉棒を待ち受けるようにネットリと絡みつく大量の粘液、絵里ねぇの膣が僕を痛いほど締め付けてくる。全身でしがみついてくる絵里ねぇ。背中へとまわされたその爪先が、僕の背中へと立てられる……が、その痛みでさえも快感に感じてしまう。

「んっ、あっ、あっ、ああっ、あっ」

 悲鳴のような、悦んでいるような、絵里ねぇの甲高い声。その声を聞きながら、僕は余裕なく腰を動かしていく。グチャグチャという湿った水音。唇の中に入り込んでくる絵里ねぇの熱い舌を吸いながら、強くカラダを抱きしめる。

「んっんんんんっっ、んんっっ」

 触れ合う肌、唇、肉棒に絡みつく膣のヒダの感触……それら全てが圧倒されそうなほど気持ちよく、僕は限界ギリギリにまで押し上げられていく。絵里ねぇの中が、まるで僕の肉棒をピッタリと包みこむかのように吸い付き、ヌルヌルと扱き立てる。絵里ねぇと一つになれた喜びが背筋を這い上がり、僕は猛烈な射精感に襲われ、思わず引き抜こうとする。

「あっ、抜くのやだ。イッて、このまま、お願いやツカサ。姉ちゃんの中に、このままっ」

 抜こうとした僕の動作を察知したかのように、絵里ねぇの腕、足が腰へと絡みつく。そして、スッっと背中が指で撫で上げられ……。

「あっ、ああああああああっっっ、出る、出ちゃう。あああああああああああああああっっ」

「んんんんっっっ」

 限界を超えた僕は、どくっどくっ……と大量の精子を、絵里ねぇの中へと吐き出してしまった。あまりの快感に呼吸、身動きをすることさえも難しい。僕は子供のように絵里ねぇのカラダへ体重を預けきったまま、最後の一滴まで吐き出していく。

「ああ……、ツカサの、熱いのが、中に広がって……ああ……」

 うっとりとした表情の絵里ねぇ。僕も夢見心地の中、飽きる事無くキスを繰り返し続ける。しっかりと繋がったまま、僕達は互いにきつく抱きしめあって、荒い呼吸を繰り返す。
 ――そして、数分後……。

「あ……」

 僕自身をゆっくりと絵里ねぇの中から引き抜いていく。が、それには真っ赤な血がベットリと付着していた。驚きで僕は思考がまとまらない。
この血はきっと純潔の証……という事はつまり、絵里ねぇは昨夜、無事だったという事なのか?
 顔を腕で覆い隠し、力なく横たわっている絵里ねぇを僕は見つめる。咄嗟に謝るべきだと思う……しかし、直ぐに考え直した。
 ――もう、覚悟は決めたんだ。この先、何があっても、誰に後ろ指をさされようとも、僕は絵里ねぇの側にいる……と。
 
「絵里ねぇ、愛してる」

 サラサラした姉の黒髪へ指を絡めて囁く。この先も、ずっと二人で生きていこうと誓う。きっと辛い事、泣きたい事も沢山ある。でも、これまでと同じ、そして今まで以上に互いを支えあって過ごしていく。
 胸の奥、深く誓いながら、もう一度キスをしようとした瞬間、

『コンコン』

 と、勢いよくドアがノックされる音が響く。一体、誰?……まさか、叔父か!? 絵里ねぇと二人、無言のまま大慌てで洋服を着て、窓を開けて空気を入れ替えよう……と焦る。
 だが、ドア越しに聞こえてきたのは、隣家へと向かったハズのミカねぇの声だった。

「あっ、あははっ、お、終わったかな? て思って。あ、ほ、ほんと邪魔してゴメン。あっ、いや、違うよ、そのっ、な、何もウチは聞いとらんよ、うん。あははっ、あ、違う。そうやなくって、え、えっとな……その……」

 どことなく照れているような、困っているようなミカねぇの声。一体どうしたんだろう? 不思議に思いながら、僕は横目で絵里ねぇの方を見ると、姉さんの顔が露骨に「しまった」というような顔で青ざめていた。

「あはは、そ、そのな、絵里ちゃん。昨夜、ウチのクソ親父達が何をしようとしたか、大体わかるわ。だから、絵里ちゃんは全然悪く無いって思うんよ。……その、でも、そろそろ、関節、はめてやって貰えへんかな? 二人とも、全身クラゲ状態でウンチも小便も垂れ流し……後片付けが大変で泣けてきたわ。ま、全部、自業自得なんやけど、その……さすがに」

 ドアの向こうから聞こえる、ひきつったようなミカねぇの声。あまりの内容に、僕は絵里ねぇを呆然と見つめ続ける。

「あっ、ツカサの進路のコトばっかり考えてて、忘れとった」

 顔を赤く染め、僕へ照れたように微笑みながら話す絵里ねぇ。開けられた窓から秋風が吹き込み、絵里ねぇの黒髪をサラサラと揺らす。その笑顔はとても美しい……が、僕は必死にミカねぇの言葉の意味を考える。
 ――つまり、昨夜、叔父と従兄に襲われそうになった絵里ねぇは、関節を極めて外し、そのまま今まで放置してたってコト……?

「あ、あははっ、絵里ねぇ。ぼ、僕もはめるの手伝うよ。うん……それに救急車も」

 昨夜、今日のしおらしい様子ですっかり忘れていた。僕の愛しい姉は、とても気が強くて、負けず嫌いで……。

「う……、ツ、ツカサが全部いかんのよっ。そうや、アンタが姉ちゃんに隠し事なんかしとったのが原因や」

 そして困ったように怒鳴る姿も、とても可愛い。僕の自慢の姉なんだ。






 ◆ エピローグ



 ふぅ……と、ため息をつきながら、僕は新しい学校の制服をベッドの上へと脱ぎ捨てた。窓から見える景色は真っ暗で、街の灯りが遠くまで続いている。
 あれから約一年が過ぎ、春から住みはじめたこのマンションにも、ようやく慣れてきた。父の師匠だった迫芝先生の稽古は、想像よりもはるかにハード、実戦的で、カラダのあちこちが悲鳴を上げている。
 でも、明日は久々の休日……何をしようかな? とぼんやり物思いにふける、と、
 
「ツカサー、着替え終わったら、ちょっと手伝ってや」

「あっ、うん」

 ドアの外から響く絵里ねぇの声。そういえば、先ほどキッチンから揚げ物のようないい香りがしてた。夕食は一体なんだろう? 急激に空腹を感じながら僕はラフなジャージへと急いで着替え、自室のドアを出てキッチンまで急ぎ足で向かう。

「お帰りっ、ツカサ。早速でごめんやけど、タルタルソース作るからソコのゆで卵剥いてよ。ミカねぇったら、爪があれだから、タマゴ剥けないって言うんよ、もうっ」

「絵里ちゃん、そんな責めんでや。味見はしっかりウチがしたるから。ふふっ、ツカサ、お帰り。おつかれさん」

 キッチンで仲良く料理をしている姉と従姉の姿を見つめつつ、僕は丁寧に手を洗う。
 菜ばしを持ちながら、エビフライを調理している絵里ねぇ。僕と同じ、新しい学校の制服姿……シンプルなセーラー服に、ピンクのエプロンを着けた姿で微笑んでいる。
 ミカねぇは、金髪をポニーテイルに纏めた髪形で、綺麗に飾られた爪で器用にナイフを使い、デザート用の梨の皮を剥いていた。半年前からネイリストとして勤務しているサロンの白衣風制服のまま、にっこりと笑顔を浮かべている。
 二人の笑顔に迎えられ、僕は未だに少しドキドキとしてしまう……三人でこのマンションに同棲を始めて、半年ほど経つっていうのに。

「あっ、ふふっ、ツカサ、照れてるん? ウチの白衣姿……興奮してもうた? なら今夜、この格好で相手したろかな」

「ちょ……、ミカねぇ、そ、そんなんじゃ」

「駄目っ、今夜と明日は一日中、ツカサは姉ちゃんと一緒に過ごすんよ。ね、ツカサ? ミカねぇよりウチと一緒のほうが嬉しいやろ?」

 キッチンペーパーを敷いた金属パッドへ手際よく揚がったエビフライを並べながら、僕を睨んでくる絵里ねぇ。僕の返事を強制するような、その強い眼光……。僕は思わずコクコクと頷いてしまいそうになる。

「やんっ、それなら、絵里ちゃんとウチとツカサ。三人でみんな仲良く朝まで過ごせばええやんか、この前みたいに……。ツカサ、そうやろ? ふふっ、せっかく大きいベッドがあるんやし、三人のほうがツカサも興奮しちゃうもんな。この前なんかツカサも絵里ちゃんも……ふふっ、今夜が楽しみや」

 ゾクッとくるような妖艶な目つきで僕を見つめるミカねぇ。その言葉に、約一ヶ月前の三人で過ごした夜を思い出す。
Mのミカねぇに引き摺られるように、普段Sっぽい絵里ねぇも従順になって、最後は二人が正座したまま、僕のペニスへ舌を同時に絡めてきた……。

『ん……こう? ここが気持ちいいんですか?』
『そう……絵里ちゃん……ココのカリを、そう上手や、ん……ちゅ……』

 僕の肉棒へ、同時に纏わりつく二人の赤く柔らかな舌。ベッドに腰掛けている僕の股間に顔を埋め、競い合うように淫らな舌技を披露する姉と従姉の姿。
 とうとう我慢できなくなった僕は、白い肌の絵里ねぇ、褐色の肌のミカねぇを、ベッドへ犬のように並べ、背後から交互に何度も貫いた……。
その夜の、淫靡すぎる記憶が浮かび上がり、僕は無条件でミカねぇの提案に賛成したくなる。やばい……今夜、制服姿の絵里ねぇと、白衣姿のミカねぇをベッドに並べて……この前みたいに、思いきり背後から犯したい。
 いけない妄想が膨れ上がり、稽古で疲れたカラダにみるみるうちに元気が沸き起こる。

「なっ!? だ、駄目っ。今夜はツカサと二人っきりで過ごしたいのっ! ね、ツカサもウチと二人っきりがええやろ?」

「むっ、ウチは家主やで。それにアンタたちの保護者や。絵里ちゃんの転校手続きやら、相続手続きやら全部してあげたやんか。たまには三人で仲良くすごしてもええやんっ。ツカサもそう思うやろ、なっ?」

「そ、そんなっ。あ、お金、ここの家賃はウチとツカサが全部払ってるんや。ダメ、ダメ、ダメっ! ツカサは今夜、姉ちゃんと二人っきりがいいのっ。もう、ツカサからもはっきり言ってやってやっ」

 ずいっ……と、僕の目の前に二人の綺麗な顔が突き出される。交互に同意を求める姉と従姉。

「あ……、う……、え、えっと、タマゴ剥けたよ。うん、ご飯、ご飯食べてからにしよ、ね? ぼ、僕、食器を並べてくるよ、うん」

 決められない……決められるはずもない究極の選択。僕はなんとか話題をずらそうと焦る。剥いたゆで卵を渡し背後に二人の姉を置き去りにして、慌てて居間へと向かって歩く。

「しゃあない、一時休戦や。ならツカサ、ふふっ、お風呂は三人で入ろうな?」

「ダメっ、そんなコト言って、結局ずるずる最後まで三人になってまうもんっ。ね、ツカサ、お風呂も姉ちゃんと二人っきりがいいよね?」

 背後から聞こえる甘美で恐ろしい提案。なんていうか、二人して僕をからかってるんじゃないかっていつも思う。普段、とても仲がいいのに、秘め事のことだけは二人していつも僕を困らせる。
 落ち着け、どうにかして道を切り開くんだ……、呪文のように口の中で唱えつつ、手早く食器を並べ、三人の湯のみへ緑茶を注ぐ。炊飯器の蓋を開き、空気を混ぜ込むように、ふっくらとしゃもじでかき混ぜる。

「ふふっ、ツカサの困った顔、すっごくいいわぁ」

「そうやな絵里ちゃん。仕事で疲れたウチに何よりの褒美や、ふふっ」

 エビフライの盛られた料理皿と、サラダ、ビールを持ちながら居間へと入ってくる二人の姉。ニコニコと微笑む笑顔につられ、僕も幸せそうに微笑んでしまう。
 三人でテーブルを挟む。目の前には、愛情を込め丁寧に調理された料理が並び、そして僕達は笑顔で座っている。
 それは家族の姿で……平凡だけど、きっとかけがえの無い風景。

「頂きます」

 三人で唱和し、ゆっくりと箸を動かす。学校のこと、稽古のこと、仕事のこと、愚痴のような相談のような、ただ自分を愛しい相手にしって欲しいという欲求。愛しい相手のコトを何でも知りたいという気持ち。このささやかで、幸せな時間……それをずっと守っていきたい。
 僕は、タルタルソースをたっぷりつけたエビフライを噛みながら、絵里ねぇを見つめつつ、そう願った。
 













※※ 


全く読む必要のない蛇足と、書き上げ直後のダラダラした雑記。

後半、気力が続かなくてグダグダです。どうしても愛のあるセックスがエロくかけず、そのうち加筆修正するかもですが……しかし自分の実力不足に歯噛みしたくなる日々。

アンケートにご協力戴きました、山田次郎◆2ae70a75 様 他、多くの感想での励まし、ありがとうございました。

課題として、方言と、記号テンプレとしてのキャラクターではなく、パーソナリティのあるキャラ作成がしたかった。ですが、粗が多くとても残念。
色々反省がありすぎ、情けなすぎて、まあ、うん。
個人的にはミカというキャラのエロシーンで燃え尽きてしまった感じで、それも反省。
習作らしく、ほんとダメだった。日を置いて、冷静に見れるようになってkら修正していきます。
それでは、ありがとうございました。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.02645206451416