【習作】 アネモノ 【2/5】
『あの夜』から約三ヶ月……、ようやく暑い暑い夏が終わりを告げ、肌寒い風が時折吹くようになり、枯葉が庭には舞うようになった秋。
浴室の窓の外、沈み行く真っ赤な夕日をぼんやりと見ながら、僕はシャワーを止め、シャンプーのボトルヘッドを押し、掌でその液体を受け止める。
軽くため息をつきながら、ゴシゴシと短い髪の毛にシャンプーを含ませ、力任せに洗い始めた……胸の中、絵里ねぇのコトを考えながら……。
(今夜……来るのかな……)
ソレは恐怖と、そしてゾクゾクするような期待を伴う混乱した気持ち。三ヶ月前の『あの夜』から最初の二ヶ月くらい、僕は全く絵里ねぇに勝てなかった。
姉さんの襟を掴む度、ほっそりとした白い首筋が見え、接近戦で腕を絡める時、僕の肘に絵里ねぇの柔らかくて大きな胸が触れた。そして……クスッと嬉しそうに微笑む、美しい絵里ねぇの顔……。
『あの夜』の甘美な出来事が瞬時に脳へあふれ出し、僕の全身からチカラが抜ける。その瞬間……、軽々と空中を舞っていた僕のカラダ。
――だけど、ここ最近、なんとか勝ち越せるようになっていた。極度の緊張を内心に抱え込みながら、でもどこかの部分だけは冷静に……。飢えた雄の攻撃性と、賢者のように乖離した精神の同居。相反する二つの感情が同時に僕の内にあって、カラダを突き動かす。
その不思議な感覚が、僕の心とカラダに徐々に根付き始め……そして、僕の理合、技術は、何故か飛躍的に向上した。
「ああ……」
ほぅ……と大きくため息をつき、十分に泡立てた頭部を熱いシャワーで洗い落としていく。ようやく勝ち越せるようになったここ数日……、数日前の夜、また絵里ねぇの襲撃があった。ソレは『あの夜』のように下着姿ではなく、きっちりと胴着を着ていたし、『あんな事』もしない。
だけど……、ドキドキとした妖しい雰囲気があった……。闇討ちが失敗に終わった後、暗闇の中、キスができるほど近い距離で両手を絡ませ、そのまま互いに動かず、ずっと無言で抱き合って……。真っ赤に顔を染め、上目遣いで僕を見つめる背の低い絵里ねぇ、ピンク色の唇が月夜に照らされ、とても綺麗で……。
「うあっ」
思い出して、ムクムクと大きくなっていく僕の股間のモノ……。実の姉にこんな……と思うけど、絵里ねぇは弟の目から見ても、とてつもない美人で、そして負けず嫌いだけど可愛いトコもあって……。厳しくて口うるさいけど、子供の頃から、僕を守ってくれて……。スタイルも完璧だし……。
――いやいやいや、アホな事を考えるな……、それより進路の事を考えよう……、と熱いお湯を吐き出し続けるシャワーを止めようと手をのばした瞬間ッ!!
「うん?」
プニュ……と、突然、背中に柔らかすぎる感触が……。な、なんだ……!?
「ツカサッ! 隙ありやでっ!!」
絵里ねぇの嬉しそうな声と同時、シャンプーの泡を洗い流していた僕の首筋へ、蛇のように細い腕がまきついてくる。
「うあっ!?」
考える間もなく、反射的に手を喉と腕の間に差し込む僕。なんとか頚動脈を絞められる事は防ぐ……が、背中にさっきからあたるフニフニした柔らかい感触が気になって仕方ない。
「くっ、生意気なっ! あほツカサッ!」
「うっ、うわぁ」
ニュル……といった感じで、絵里ねぇの細い足が僕の胴体へと絡みつく。やばい……、絵里ねぇの真っ白な肌が触れる度、ゾクゾクした気持ちよさが背筋を這う。
しかも……、何かサラダオイルのようなモノでも肌へ塗ってるように、絵里ねぇの皮膚はヌルヌルと滑る。背後から僕の耳にかかる絵里ねぇのハァハァという吐息……、胴体に思いっきり絡みつく白い足、背中にあたる二つの柔らかすぎる膨らみ。
「くっ……」
自分のカラダを背後へゆっくりと倒し、タイルの上でヌルヌルと滑る絵里ねぇの腕、足から逃れようとする。
だが、そうはさせじと全力でしがみ付いてくる姉のカラダ。その熱く柔らかな感触が、やばいくらい気持ちよくて……。
「あっ……、ツ、ツカサ。お前、あ、あほっ。なんで……、そんな……」
「くっ……って、え?」
なんとか絡みつく腕、足を振りほどき、絵里ねぇとタイルの上で正面から向き合う。シャワーのお湯を浴び、艶やかに黒髪を濡らした絵里ねぇの姿。
シャワーの熱気に中てられたように、頬はほんのりと赤く染まり、美しい肢体を包んでいるのは、学校指定のスクール水着……。カタチの良い豊かなバストが、窮屈そうに紺色の水着を押し上げている。
「あほっ、バカ、襲われとるんやで!? なんでそんなに大きくしとるんやっ!! 変態っ、クズっ!!」
抑えつけている僕のカラダの下で、恐ろしく顔を真っ赤に染め、ポカポカとめったやたらに拳で叩いてくる絵里ねぇ。でもその動作さえ、スクール水着、紺の布地と真っ白な腕、首筋のコントラストが異常に淫らな雰囲気で……。
全然痛くないその打撃を受けながら、僕はあわてて元気になっている股間を隠そうと、カラダをずらし始める。
「あっ、やん……んん……、あほっ、どこ触って……、んん……」
ヌルヌルと滑る絵里ねぇのカラダ。力を込め、カラダを動かそうとした僕の足が、絡みつくように絵里ねぇの股間へと触れる。
その瞬間、ビクンッ……と細いカラダを痙攣させる姉。ピンクの唇から漏れる甘い吐息……。
(やばいやばいやばいやばい…………)
なんというか、今すぐにでも襲ってしまいたくなる。赤い顔で困ったように見上げる絵里ねぇの潤んだ瞳。ピンクの唇からチラリと覗く白い歯と、綺麗な舌。水着から見える首筋、鎖骨のくぼみ、真っ赤に染まった耳と頬。そして、僕のカラダの下で柔らかく潰れている二つの膨らみ……。
僕の理性がガラガラと音を立てて崩れ落ち、駄目だとわかっているのに、強引に絵里ねぇの唇を奪ってしまう。
「んっ!? んんんんっっっ!! あほっ、や、やめ……、ん……んん……あ……ん……」
僕の舌を食いちぎりそうな勢いで開かれた絵里ねぇの唇。でも次の瞬間、熱い舌がそこからニュル……と現れ、僕の舌を待ちわびていたように絡みついてくる。柔らかな唇が、僕の舌をからかうように咥え、ちゅっちゅっ……と音を立てながら吸われていく。
「うあ……」
ゾクゾクするほど気持ちいい……。背中から降りかかるシャワーの熱湯を浴びながら、無我夢中で唇を貪る。僕の首筋へ甘えるように絡みつく絵里ねぇの細い腕。僕の腰をまるで逃がさない……とでも言うように、姉の白い足が絡みつく。
水着の布地、ツルツルとした感触が堪らなく気持ちよくて、僕は絵里ねぇの股間部分へスリスリとペニスを擦り付けてしまう。
「あっ……ツカサ……アンタのアレ……熱いのが……、んんっっっ、あほ……、ウチまで感じちゃうやん……。ちんちん、こ、こすり付けるの……や、やめ……なさい……、ん、んん……あっ」
口で文句を言いながら嫌がる姉。でも、絵里ねぇはそう言いながらも、僕のカラダへまわした腕と足を離さない。それどころか、僕の肉棒に自分の秘部をこすりつけるように腰をうごかしてくる。
その堪らない気持ちよさ……。ヌルヌルした刺激が、僕のペニスに痺れるような甘い快楽を生んでいく。大胆に絵里ねぇの舌が僕の口へと入り込む。互いに吐息を漏らしつつ、止まらない快楽を味わい続ける。
「ああっ、絵里ねぇ……、やばいっ、出そう……」
「ん……、あかんで……。んん……ウチの大事なトコの上に……、ツカサの精子、あんっ、出したら許さへん……。んん……、ん、もっと、もっと……キスしよ……、ね……、ウチの舌、痛いくらい強く吸って……んんん……お願い……んっ」
ウネウネと動きながら強引に口へと入ってくる熱い舌。僕は柔らかなソレを思いっきり吸いながら、ビリビリした快楽を堪え続ける。いまにも噴きだしそうに固くなっているペニス。姉さんの胸の膨らみが、僕の胸に強く押し付けれる。
「んっ、んんんっっっ、んんんっっっ!!」
射精しちゃ駄目だ……そう思うのに、絵里ねぇの股間が、スリスリと何度も、何度も、僕のペニスを擦り上げるように動く。
クネクネと押し付けられる熱い絵里ねぇの秘部。スクール水着越しの柔らかくて熱い感触……。僕の腰を絶対に逃がさない……というふうに絡みつく足。
「んっ、んんん……、ツカサ……あかんよ……絶対、絶対に出したら……んんんっ、もっと……、もっと擦りつけて……。あっ、あっ、ああっっ」
ニュル……ニュル……という感触。目の前が真っ白になる愉悦。絵里ねぇの甘い吐息、そして僕の首へ絡みつく細い腕に、ぎゅう……と一際強く力が入り、甘えるように絵里ねぇが腰を動かしてくる。
「あっ、あっ、あああっ、ツカサ、ツカサっ、はよっ、も、もう……ウチ……、んんッ、んんん……」
「んっ、んんんんんんんんんっっっ!!」
ドクンっと大量の精液が耐え切れずに噴出……。凄まじい快楽の中、肉棒の先端から白濁した液が大量に溢れ出し、絵里ねぇの股間を汚していく。
止まらない姉のカラダ。精子を股間へと擦りつけるように、クネクネと僕のカラダの下で腰をくねらせ続ける。
「あっ、ああああああっっ、嬉しいっ、ツカサ、ツカサっっ!!」
僕の口が貪られるように、絵里ねぇの唇へと奪われる。互いにベロベロと舌を舐めあいながら、何度も、何度も全身を痙攣……。
シャワーのお湯を浴びながら、僕と絵里ねぇは、熱気に中てられたように、延々と舌を絡めあい、互いの腰、カラダを触れ合い続ける。
浴室にある開いたままの窓……。外の夕日が真っ赤に染まりつつ、最後の光を発しながら地平線へと沈んでいく中、姉弟二人……、禁忌スレスレの境界を、ドロドロと彷徨うように。
◆◆
コスモスの一輪挿しが飾られた食卓のテーブル。その中央へと置かれた青い大皿の上に絵里ねぇの作った青椒肉絲が置かれている。今夜の食事担当は姉で、得意料理の中華。ピーマンの鮮やかな緑色、唐辛子の強烈な赤、しっかりとタレが絡まった細切り牛肉がとても美味しそう……。
「ん……」
だけど、テーブルを向かいあって座る僕たちは互いに箸が進まない。時々目が合うけど、その度、互いに顔を赤くして視線を逸らしてしまう。
――結局、浴室にはあれから一時間ほどいた。興奮に流されるまま、互いにカラダを洗いあい、何度も何度も舌を絡め、肉体へ愛撫を繰り返す。最後の一線を互いに意識しているのに、ソレは無いもののように、飽きる事無く手と口だけで触れ続けた。
絵里ねぇの胸……、ピンク色に尖った乳首を吸いながら、思いっきり手でイカされた。僕は水着の上、絵里ねぇの熱い蜜をこぼす股間を、舌と唇でキスをするように貪った。
顔を手で恥ずかしそうに隠しながら、まるで泣くように声を上げ、絶頂を迎える可愛い絵里ねぇの姿が、食事をしている今も脳裏から離れない。
「ツ、ツカサ、どや? お、美味しいやろ?」
「あっ、ああ、うん。美味しいよ、うん……」
言葉が空中に吸い込まれるように消えていく。互いに顔を真っ赤に染め、目を合わせる事も出来ずに押し黙ってしまう。
半ば義務的に箸を動かし、わかめスープを飲み、白いご飯と一緒にピーマンと牛肉の細切りを食べていく。濃厚なタレの旨み、ピリッとした唐辛子の殻さも今晩は感じない。
「あっ、お茶とってや」
「あ、うん」
気詰まりな沈黙、不自然な空気を互いに感じつつ、コポコポと急須からウーロン茶を注ぐ。立ち昇る湯気、発酵した茶葉の芳醇な香りも、今はどこか空虚。
シンプルな白いTシャツに、赤い色のジャージの下という色気の無い絵里ねぇの姿。だけど、ほのかに湿ったままの黒髪が逆に引き立たせるように綺麗に見えて……。
ウーロン茶を注いだ湯のみを、ゆっくりと滑らせる。その時に触れ合う互いの指先……触れた箇所から、ビリビリとした甘い刺激があふれ出す。白いTシャツの下、うっすらと透けて見えるピンク色のブラが堪らなく欲情をそそる。
二回も射精したにも関わらず、僕のアレはズボンの下ではちきれそうなほど怒張しきっていた……。絵里ねぇを抱きたい……、はっきりした欲望が胸の奥へマグマのように折重なって行く。唇を噛みながら、何度も唾を飲み込みつつ、狂いそうな焦燥感を感じる。
『ピンポーン』
と、その時、気まずい空気を切り裂くように来訪を告げるチャイムの音が鳴り響いた。ガタンッと慌てて席を立ち、返事をしながら玄関へと向かう絵里ねぇの後ろ姿。テーブルへと置かれた青椒肉絲が、居間の蛍光灯の灯りを受け、ツヤツヤと光る。
(こんな夕食時に……、誰?)
どこかほっとしながら、僕は来客にそなえて一旦箸を置く。玄関からどこか聞き覚えのある女性の声と、絵里ねぇの驚いたような響きの声が聞こえる。
(となりの叔父さん……じゃない。いったい、誰?)
てっきり隣に住む親戚の叔父かと思っていた。亡き父の兄で、年齢は50くらいになる叔父。父とは似つかぬがっしりとした体躯に、脂ぎった顔。色々と手続きをしてもらった恩はあるが、酒癖が悪く、そして、やたら父の財産を管理してやる……と言い、押し付けがましかった。訳ありの娘と、大学をずっと留年している息子が一人いて、ソイツの絵里ねぇを見る視線も、僕はどこか嫌悪感を感じていた……。
「あはっ、ツカサ君っ、久しぶりやん。覚えてる? ミカねぇだよ」
考え事をしていた僕に、突然かけられた言葉。ハッと驚き、僕は居間の入り口を見て、更に驚愕した。
そこにいたのは、僕より6歳近く年上だったと思う、隣の家、叔父の娘。そう……ニ、三年前、高校を卒業した当日、芸能人になると書き置きを残し失踪した無茶苦茶な従姉。大騒ぎになったけど、叔父の『勘当する』という一言で収まった。
いや……、突然現れた事にも驚いたけど、それより驚愕したのは着ている洋服。髪を金色に脱色し、肌は見事な褐色。ボリュームたっぷりの睫毛に、紫色に塗られた唇が動く度、チラリと見える舌ピアス。そして……、大胆にヘソを露出した短すぎる赤い上着と、ぴったりとお尻にはりつく超ミニの赤レザーのスカート。褐色の足には黒色の網タイツが履かれている。
まるで……AV女優のような姿……。芸能界を目指せるくらいだった綺麗な顔は、美しさはそのままに、どこか毒のような妖艶さを漂わせていた。
「あっ……え……、ミカねぇ?」
「うん、あはっ、立派に大きくなったー。久々に家に戻ったらサ、クソ親父に追い出されちゃって……。ちょっと都合がつくまで泊めてもらおうっておもてな。ね、絵里ちゃん? いいんだよね? ふふふっ」
ミカねぇの背後……、どこか血の気が引いたように青い顔で立っている絵里ねぇが、チカラなくコクン……と頷く。その尋常じゃない様子……、僕の胸に不安な気持ちと心配する気持ちがあふれ出し、椅子から立ち上がろうと……。
「あ……ツカサ、お姉ちゃん、ちょっと用事あるから、隣いってくる。すまんけど、食器かたしといてなっ」
まるで、僕から逃げるようにそう声を上げて、入り口から立ち去って行く絵里ねぇ。あわてて、その後を追おうとした僕の腕が、がっしりと掴まれた。
「あはっ、ツカサ君? ウチと一緒にご飯食べてな。ふふっ、絵里ちゃんはちょっと用事あるんよ、ふふっ、大切な用事がな……」
「えっ……、あ……」
毒々しい赤色に塗られたミカねぇのマニキュア。様々なラインストーンで飾られたその指先が、僕の腕をがっしりと掴んで離さない。
むせ返るように甘い香水の匂い……、チラチラと見せ付けるように動く、ピアスのついた赤い舌と紫色の唇。
褐色に焼けているミカねぇの肌が、居間の照明へと照らされて、とんでもなくいやらしく見える。
「あははっ、そんな寂しそうな顔せんでや。今夜はウチがお姉ちゃんの変わりに……、くすっ、こってり可愛がってやるわ。ふふ……」
「えっ!?」
何を言って!? 呆然とミカねぇを振り返った僕。だけど、タイミングを外すように彼女はスタスタと食卓を回り、微笑みながら席へと腰をおろす。
――さも当然のように、絵里ねぇが座っていた場所へと……。
「さっ、沢山食べよっ。まだまだ、夜は長いんやしなぁ……、ふふっ」
金色に脱色した髪の毛を耳へとかき上げながら、艶然と微笑んでいるミカねぇ。僕に見せ付けるように舌を伸ばし、その真っ赤な舌の上に緑色のピーマンをのせ、クチャクチャと咀嚼を始める。
「ああ……美味しいわぁ……。まともな食事は久しぶり。ふふ……。ツカサ君、ウチな、ここ二年くらい、ほとんど流動食が主食やったんよ。くすくすっ、タンパク質だけの、白くてドロドロしたにがーい液体、あはっ、可哀想やろ?」
「あ……うん。そうですね……」
訳がわからない、でも、どこか淫靡な雰囲気のするミカねぇの言葉。ソレに生返事を返しながら、僕は何かとんでもなく悪い予感を感じつつ、ゆっくりと自分の席へと腰をおろした。
「ふふ……そうやろ? あはっ、でもな……そのうちそれが癖になるのが……、オンナの悲しい所やわ。クスクスっ、絵里ちゃんも頑張って欲しいわぁ……」
嬉しそうに微笑みながら、意味不明な事を言い続けるミカねぇ。僕は無視をしながら、その全身をチラリ……と眺める。
赤いタンクトップから見えるミカねぇの大きな乳房の上半分。僕の視線に気付いたように、クスクスと笑うミカねぇ。
僕はそれに視線を向けないように意識しながら、誤魔化すようにがむしゃらに箸を動かす。何故か味のしない青椒肉絲……。絵里ねぇの作ってくれたソレを、機械のように、ただ延々と口へ放り込んでいった……。