【習作】 アネモノ 【1/5】 ※ 山田次郎◆2ae70a75 様 リクエスト作品
「あうっ!!」
ダンッと道場の床へと叩きつけられ、姉さんの黒髪が床へと絹のように広がる。美しく白い絵里ねぇの顔に苦悶の皺が寄るのが見えて、僕は慌てて極めたままの左手を離す。
長い黒髪を頭の後ろでポニーテールへと結び、合気道用、白黒の胴着を着込んだ姉さんが、急いで立ち上がりながらキッとした眼差しで僕を睨む。
凛とした切れ長の瞳、整った細い顎、白い首筋にはいく筋もの汗が流れ落ちていく。
「ツカサ、きょ、今日はウチの調子が悪かっただけやっ!! こんなんでアタシに勝ったなんてっ、思わんといてやッ!!」
広い畳敷きの道場の中、姉さんの声が響き渡る。顔を怒りに染め、ピンク色の唇を悔しそうに噛み締めている絵里ねえ。
いつの間にか手に持っていたタオルで、無造作に首筋や大きな胸を流れる汗を拭きながら、じっと僕を見つめてくる。
「絵里ねえ…………」
子供の頃から、ずっと勝てなかった絵里姉さん。でも、中学三年になり、身長が高くカラダが大きくなった僕は、この半年ほどで、ようやく姉さんに勝ち越す事が出来るようになっていた。それは、純粋な合気道の理合で勝てている……とは、自分でも思わない。技術は姉のほうがわずかに上だろう。だけど、純粋な腕力の差がその差を埋め、そしてここ最近では上回っていた。
「あほ!! 馬鹿ツカサッ!!」
最後に大きく言い捨て、使い終わったタオルを僕へとぶつけるようにして投げる姉さん。そのまま振り返り、足音荒く道場を出て行く。
「全く……、負けず嫌い……」
絵里姉の使い終わったどこか甘い匂いのするタオルで、僕もカラダを拭きながら、ぼんやりと姉のことを考える。二歳年上で、現在高校二年の絵里ねぇ。化粧をあまりしていないけど、それでも、まるで女優のように凛と整った顔立ち。弟である僕から見ても、かなりの美人だと思う。
僕の友人からの、『紹介してくれ』『下着を盗ってきてくれ』『入浴姿盗撮しろ』『寝巻き姿写真くれ』という頼みを、なんど断ってきたか……。
(ま……、あの性格を知らないからだよなぁ)
美人である絵里姉に彼氏が出来たという話を聞かないのは、きっとあのキツイ性格の所為だと思う。親戚の話では、僕の性格はのんびりしていたという父さんそっくりで、絵里姉は短気で我儘だったと言う母さんソックリらしい。
初めて、僕が姉さんに合気道の試合で勝った約半年前……。納得がいかなかったらしい絵里姉は、夜、眠っていた僕を襲い、腕の関節がミシミシという音を立てるまで極めてきたのだ。
『――どうや、ツカサッ!! 姉さんの勝ちやろ、ほらっ、降参せんと折るで? このままポキッとなっ!!』
なんと言うか……、負けず嫌いもあそこまでいくと、どうかしてるって思う。僕達が小学生の時、両親が車の事故で亡くなり、それからずっと二人で生きてきた。隣の家に住む親戚にやっかいになりながらも、両親の残してくれた多額の保険金を使い、広い家に二人暮し。
合気道の師範だった父の面影を忘れないように、姉と二人、ずっと腕を磨き続けた日々……。
(ああ……、進路……どうするかなぁ……)
あと一年弱で僕は中学校を卒業する。そして、その後は?
絵里ねぇと同じ、近くにある高校に進学する事も考えた。ただ……、僕はスポーツで有名な高校から推薦の話も受けている。その高校は県外にあって、そして、ソコを選ぶと僕は絵里ねぇとは離れ離れになってしまうという事で……。
道場の床、汗をモップで拭き取りながら、ぼんやりとそんな事を考える。窓の外には、夕方だというのに大量の蝉が、元気良く鳴いていた。
◆
深夜、寝苦しい暑さの中、僕は何かの気配を感じ……、うっすらと目を開いた。足音、とも言えない、スッ……と僕の部屋の床を音もなく移動してくる殺気のようなモノ。ソレを感じた瞬間ッ!!
「くっ、馬鹿。絵里ねぇ!!」
僕はベッドからパジャマ姿のまま、勢い良く跳ね起きた。
「きゃっ! アホなっ!?」
絵里ねぇの驚いた声と共に、僕がさっきまで眠っていた枕の上へ、勢い良く竹刀が振り下ろされ、ボスンッ!! と音を立てた。
――甘いっ、僕は即座に臨戦態勢へと意識を切り替え、闇にぼんやりと見える姉さんのほっそりした腕を掴もうとする。
「くっ、ツカサのクセに生意気っ!!」
もはや気配も隠さず、一気に僕に迫る姉さん。月明かりがうっすらと照らす闇の中、無言で互いを制すべく、高速で両手を撃合う。
「うあっ!!」
バチッっと鞭があたるような乾いた音を立て、絵里ねぇの掌が僕のみぞおちへと中る。筋肉では防げない、重く柔らかい打撃。軽い嘔吐感を感じつつ、必死で追撃を防ぐ。
……不味いっ、闇の中、胴着を着ていない今の状況では絵里ねぇのほうが有利。姉さんの白くて細い腕が、稲妻のように僕の顎、喉、肩を狙い、打ち込まれて来る。タイミング、スピード、勘、どれをとっても絵里ねぇのほうが上で、僕はベッドの横でジリジリと壁際に追い込まれていく。
「ちっ!!」
このまま、イイ打撃をくらったら、すぐに関節を極められてしまう……。どこかで流れを変えようと、僕は急所をカバーしながら、純粋に力まかせのタックルを行う。目、鼻、口、そして喉を腕でカバーしつつ、逃げるように見せかけるフェイントを混ぜ、一気に背後の壁を蹴るッ!!
ドンッ!! と低い音が部屋へと響き、そのまま反動を利用して、一直線に絵里ねぇの下半身へとッ!!
「きゃっ、うわっ、ちょっ、あほっっ!!」
「ん!?」
強引にタックルを決め、絵里ねぇの細い足、太ももを両手で抱いた瞬間……、僕はその違和感に気がついた。
異常にスベスベとしていて、そして、柔らかい……。おかしい、まるでこれじゃ、パジャマを着ていない素足に抱きついたみたいじゃないか……。
「あ、あかんっ。ツカサ、や、やめろ」
子供のようにポカポカと僕の頭をメチャクチャに叩く絵里ねぇ。そして、その時……、窓の外、雲が晴れた月明りがサッっと室内を照らし出した。
「うわっ、な、なんで!?」
「あほっ、み、見いへんといてっ!!」
深夜、僕の部屋に侵入し、闇討ちなんて事をしでかしてくれた、今年17歳になるはずの絵里ねぇの姿。それは、邪魔な衣服を着ていたら、僕に掴まれることを警戒していたんだと思う。ほとんど衣服を着ていない姿で……、つまり、シンプルなスポーツブラと、これまたシンプルな白いパンティーだけの姿……。
月明りに照らされ、羞恥に顔を赤く染めている絵里ねぇは、息を飲むほど美しかった。贅肉のついていない引き締まったウエスト、白い下着から伸びる長い足。若干控えめだけど、ツンと上を向いてブラを押し上げている、カタチのいいバスト。
「あわわわっ!?」
「み、見んなっって言うとるやろっ、あほっ!!」
柔らかく白い生足に抱きついたまま、思わず見とれていた僕……。絵里ねぇの怒声に、ハッ……と我に帰った瞬間!!
僕の顔面へと、強烈な膝蹴りが、ヒットした…………。
◆
「や、やめろ、絵里ねぇ。こ、こんな……っ、うっ……」
「ふーん、へぇ、ツカサのあんなにちっちゃかったおちんちん、くすくすっ、大人になっとるんやね」
サラサラした絵里ねぇの髪の毛が、パジャマを脱がされ、剥き出しになった僕のおちんちんの先へコシュコシュとくすぐるように蠢く。
その度、ビクビクと痙攣をしてしまう自分のカラダが情けない。必死に身動きをしようと足掻くが、梱包用の紐でしっかりとベッドへ固定されている僕は身動き一つ出来なかった。
「な、なんで、こんな……、くっ、やめろって、絵里ねぇ!!」
「ふふっ、やめろって口で言うとるけど、ツカサのおちんちんはこんなに元気やん。ほらっ、どう? ほらっ、ほらっ、お姉ちゃんの指は?」
信じられない……。絵里ねぇの細い指が、肉棒に絡みつくように動き、ゆっくりとからかうように上下へと動く。あい変らずの下着姿のまま、クスクスと笑いながら僕を見つめる絵里ねぇの瞳。長い睫毛、ふっくらとした唇が嬉しそうに、笑いのカタチになっている。
強烈な膝蹴りで気絶した僕……。目が覚めたら、裸のまま、ベッドへと大の字で固定されちゃっている状態で……。
そして、大きく開いた足の間には、絵里ねぇがクスクスと笑いながらベッドの縁へと腰掛け、僕のアレを観察していた。
「ちょっとカラダが大きくなったからって、ふんっ。まだまだ子供やん。ほらっ、ここ? ここがイイん? ふふっ、情けない顔して……」
「うあっ……、ちょっ、待ってっ、くっ……」
とろり……と絵里ねぇの赤い唇から透明な唾液が零れ落ちる。白い指がそのヌルヌルを、たっぷりとまぶしていく。
背筋をゾクゾクと這い上がる気持ちよさ……。実の姉にこんな事をされているのに……、自分でスルのとは違うぎこちなさが、逆に堪らなく気持ち良くて……。
「ふふっ、先からエッチな汁が出てきとる。男の子ってこうなっとるんやね、クス……。ねえツカサ? お姉ちゃんが舐めてあげよっか?」
ゾク……とするような絵里ねぇのセクシーなかすれ声。右手で僕のちんちんを上下にゆっくりしごきながら、左手で黒髪をサラリと耳へかき上げる。悪戯っぽく輝いている切れ長の瞳。どことなく潤んだ黒目が、嬉しそうに僕を見つめる。
「ば、馬鹿な事……、あっ、いい加減……、手、手を止め……」
「あはっ、可愛い声だしちゃって。姉ちゃんの唇で、ツカサのおちんちん……、ふやけるまで舐めしゃぶって欲しいでしょ? 全部舐めちゃうから……、ツカサの汚いお尻の穴から、おちんぽの根元を舌でペロペロして、そして汚い精子を全部飲んであげる。ふふ、シテ欲しいって言いな。『絵里ねぇ、僕の童貞ちんぽ、ふやけるまでおしゃぶりして下さいっ』って、くすくすっ、ほらっ、はやく言わんと手コキでイかせちゃうで?」
シコシコと強烈な勢いで絵里ねぇの手が上下に動く。下着姿で微笑みながら腕を動かしている姉の異常な姿を、見てはいけないって思うのに、目が吸い付いたように離れない。
少しクーラーが弱いのか、絵里ねぇの細い首筋を汗が流れ、その透明な雫が胸の谷間へと吸い込まれていく。筋肉のついたむっちりした絵里ねぇのふとももと、両足の間にある白い布に包まれた絵里ねぇの股間……。
ビクビクとカラダを痙攣させて快楽に抵抗するが、絵里ねぇの唇から、トロトロの唾液が再びちんちんへと零れ落ちてくる。
ヌルヌルを亀頭へとこすりつけてくる姉の掌……。クスクスと笑いながら、尿道をほじるように動く白い指……。
「あっ……くっ……、だ、駄目っ、え、絵里ねぇっっっ!! あっ、で、出そうっっ!!」
「なんや、お姉ちゃんの手コキでイクん? せっかくフェラしてやろうって言ってるのに。ふふっ、まあええよ。それなら……」
クチュクチュと音を立てながら、僕のペニスが弄りまくられる。凄まじい気持ちよさに、今にも噴出しそうな精液……。
その時、微かに頬を赤く染めた絵里ねぇが、右手を動かしながら、僕の顔……唇ギリギリまで、その顔を近づけてきた。まるで……、キスをする直前の恋人同士のような距離。
目の前にある絵里ねぇの綺麗な瞳、潤んだ唇がとてつもなく妖艶に見えて……。
「ふふっ、ツカサ……、このままお姉ちゃんの手でイカせてたるわ。だから、その情けない口を開けて舌を伸ばしや……。姉ちゃんがベロベロに舌を舐められながら、情けない位、いっぱい射精させたるから。ほら、はよ出し?」
囁きながら、べろ……と絵里ねぇの舌が僕の唇を舐める。唇の周りがジンジンと痺れたように気持ちよくて堪らない。
あまりの快楽に、素直に従いたくなる。が、ギリギリで理性を保とうと、僕は顔を背ける。
「あっ……ツカサったら、姉ちゃんのファーストキスを拒むか? この、生意気っ!!」
「うああああっっ!!」
その瞬間、僕のおちんちんの先端に、ガリッ……と強く爪が立てられてしまう。あまりの痛みに、僕は顔を避けることを忘れ、大きく悲鳴をあげてしまう……。
悲鳴で開いてしまった僕の口……。ソコを逃さず、絵里ねぇの柔らかく、熱い舌がウネウネと入り込んで来て……っっ!!
「んっ、んんんんんっっっ」
「んっ、んっ、うっ、ちゅっ……、ん…………」
一瞬のうちに、僕の口の中へ大量の熱い唾液が流し込まれる。どこか甘く、絵里ねぇの匂いがするそれ……。そして、歯茎の上を滑るように動く舌。
僕の脳がとろけるような気持ちよさと、甘い香りに支配されていく……。
「ん……ちゅ……。ふふっ、ツカサ、このまま……、遠慮せんと、いっぱい出してええからね……」
「うあ……」
どこか優しい声の後、姉さんの舌が僕の舌へと絡みつく。ベロベロと柔らかいモノ同士が絡みつく、溶けるような気持ちよさ……。
そして再び、絵里ねぇの右手がシコシコと上下運動を始める。さっきまでのからかうような動作じゃなくって、それは本当にイカせようとするように激しい。
「んっ、んんんっ、んんっっっ、んんんんっっっ」
僕の胸へと押し当てられる絵里ねぇの柔らかすぎる胸。クチュクチュと部屋に響くキスの音と、絵里ねぇの甘い吐息の音。
僕の足に、絵里ねぇの裸のふとももが熱く絡み付いてっっっ!!
「うっ、うううううううっっっっ!!!」
ベロベロと舌を思いっきり吸われながら、耐え切れずに大量に射精……。腰が抜けそうなほどの快感がわきあがり、何度も、何度も、僕はガクガクとカラダを震わせた。信じられないくらいの量の精子を吐き出しながら、僕はなおクチュクチュと舌を絵里ねぇへと吸われ続ける。
だんだんとゆっくりになっていく絵里ねぇの右手……。イッったばかりのペニスを、優しく撫でるように、コスコスと柔らかくシゴく。
「ん……、ふふ……、ツカサ、いっぱい出したね」
微笑みながらペロっと、僕の鼻を舐める絵里ねぇ。その笑顔は、幼い時に体の小さかった僕を守り続けてくれた時の笑顔と全く同じで……。
僕の胸に、何故か締め付けられるような痛みが湧き上がる。
何か言わなきゃ……、そう思うけど、僕の脳は何も良い言葉を見つけてくれない。何かを伝えたいのに……、それはどうしても言葉にならなくて。
「ふふっ、お姉ちゃんの勝ちや。まだまだ、ツカサはお子様って事。わかった?」
僕の横へと寝そべったまま、嬉しそうに微笑む絵里ねぇ。月明りが照らし出す、その美しい横顔を見つめながら、僕はそれでも、何一つ言葉を返すことが出来なかった。