杏です。地球に帰還したら地球が大変な事になっていました。
「よしいい所に来たわね!ちょっと手伝いなさい!」
そしてアリサさんも大変な事になっていました。地球の転送ポートがローウェル貿易にあったせいで、あっという間に捕獲されて何やら手伝わされる事になってしまいました。
何か電話が止まらなかったり社員が走り回ったりしてますが・・・って、普通に魔法使ってますけど大丈夫なんですか?
「いいのよ!ちょっと前に魔法技術を公開した奴がいるから!」
「えぇ!?管理局法違反じゃないか!?」
「その管理局も大変な事になってるのよ!おかげでこっちも大変だっての・・・ほら早く手伝って!!」
「あ、うん!」
あ、なのはさんが勢いに負けましたね。・・・それにしても、管理局も大変とはいったい何があったんでしょうか。あと地球も何がどうなってそんな事に?
とりあえず管理局がどうなったのか情報を仕入れますか・・・えーと、あ、そこの端末が丁度いいですね。
「とりあえず管理局で何があったか教えてもらえませんか?」
『---』
「そ、そんな面白そうな事が!?何故私はもっと早く気が付かなかったんですか・・・!!」
「おかーさん、杏お姉ちゃんがジェイルさんと同じセリフ言ってるよー」
「そんな事より早く書類終わらせないとアリサに怒られるわよ」
あ、プレシアさんとアリシアちゃんただいまです。・・・とりあえず何がどうなってこうなったのか詳しく教えてくれませんか?
それさえ判れば私がどうにでも出来ると思うので。
かくかくしかじかという訳で何があったか教えてもらいました。
地球が凄まじい勢いで魔法に目覚めていくのは別にどうでもいいです。そんな事よりやはりミッド自動人形事件が面白すぎますね。
しかし劣化量産した結果ロボット三原則に喧嘩を売る様な出来になって、しかもそれが原因で反旗を翻されるとは・・・管理局最高評議会は随分と愉快ですね。
そしてそれをより面白おかしくする為に、最近私の家の近所に引っ越してきた変態さんがミッドに行ったとは。もう何が何やら。
「とりあえず、暴走している自動人形がTBL製じゃないと知ってもらえればいい訳ですね」
「ええ。でも向こうも混乱しているから満足にいかないのよ」
成程。では今回の事件は新たな私の能力を試してみるのに丁度いいかもしれませんね。よーし物も者も操っちゃいますよー。
えーとまずはミッドが見えないといけないので通信を開いてもらいましょうか。
「映像通信は無理よ」
「杏、本当みたい。なんでだろう?」
「あーそれならどっかの変態がポートを介した直接通信以外妨害する様にしたのよ。管理局に通報されたら面倒だからって。何処で妨害情報発してるのかもわからないし」
「はあ、そうですか。じゃ解除しますねー・・・はい終わりました」
「流石杏お姉ちゃんは何でもアリだね」
まだ教えてませんけど生き物も世界も操作出来る様になっちゃいましたしね・・・代わりにクトゥルフ的なフラグが見え隠れしてますけど。
さて、それじゃ通信を
『やっと繋がったぁぁぁぁぁ!!杏ちゃん助けて!!』
「おぉう・・・はやてさんですか。目の下の隈がヤバイですね」
『そうなんよ!もう限界やから助けて欲しいんや!』
いや助けて欲しいといわれても何をどうしろと。
管理局の事でしょうか。自動人形を止めればいいんでしょうか。それともミッドで起こってるっていう民衆デモを止めればいいんでしょうか。
っていうかテンション高いですね。色々振り切れるくらい大変なんでしょうか。
『両方や!でも杏ちゃんは物しか操れんのはわかっとるから、せめて自動人形だけは何とかして欲しいんや!』
「いや全部出来ますけどね」
『ホンマに!?もう何でもええから何とかして!!』
うわぁ、必死・・・
さてどうしましょう。自動人形に関してははやてさんに従う様に命令したら何の問題もありませんけど、民衆デモはどうにもこうにも。
いっそ以前プレシアさんに使った様にアレしちゃいましょうか?ただし今回は本も使って最大出力ですけど。・・・洗脳は管理局的に不味いですかね?
ならそれ以外には・・・あーもう考えるのが面倒になりました。後から色々考えて調整すればいいですね。とりあえず何とかしちゃいましょう。
「あ、私の能力はともかく、本の力もモニター越しで大丈夫ですよね?」
『---』
「あ、そうですか」
ちゃんと使いこなせれば見る必要すら無いそうです。そりゃ世界単位でなんとか出来る能力ですしね。という事は私もまだまだという事ですか。
それはさておき・・・えーと、本を能力で使いつつモニターの向こうを、こうしてこんな感じで・・・あ、成程、こうなんですね。
で、こうしてこうなって・・・こうこう、はい完了です!
『杏ちゃん、ちょっと聞いてええか?』
「はい」
『何か民衆デモの声が抗議から「はやて!はやて!」になったんやけど』
「一時的な措置として、民衆と自動人形の反抗心やら何やらをはやてさんへの人気や信頼に変換しました。今信任投票したら100%管理局トップになれますよ。勿論指示にも従ってくれます」
所謂英雄とかアイドルとか、そんな感じです。「はやてさんなら何とかしてくれる!」って奴ですね。他にも方法があったかもしれませんけど、とりあえず今はこれくらいしか思いつきませんでした。
ついでに暴走している自動人形はローウェル貿易と関係が無い事も頭に直接叩き込んでおきました。これで万時解決!
『なぁぁぁんでそんな事になんねん!!』
「っ!?おぉぉう耳が、耳が・・・」
『っていうか洗脳やんそれ!?大体キィィィィィンキィィィィィンキィィィィィン』
「はやてさん!ハ、ハウリング!ハウリングしてます!・・・えい」
回線を切断しました。ふぅ、これでまあ一安心。
「いや全然安心じゃないと思うよ・・・」
「はやてマジ切れしてたね・・・相当ストレス溜まってたんだなぁ」
「杏、今回のこれは流石にちょっと・・・」
「・・・その、近いうちにはやてさんに謝罪に行こうと思います」
でも、今のところそれくらいしか思いつかなかったんですよ?ほら、それに後から調整しますし・・・その、あの。
・・・えっと、家!家に行きましょう!元々それが目的で来たんですし!ほら、行きましょう行きましょう!
「それにしてもここまで無茶苦茶やってるのを見ると、杏ちゃんが旧神とか旧支配者って言われても納得しそうになるよ」
もう否定はしない事にします。
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「という訳で、最高評議会に色々と面白い事をしようと思って来たのさ」
「成程。犯罪者を見逃すのは少々納得出来ませんが、戦闘能力も敵わないでしょうし諦めます」
最高評議会の元までやってきたジェイル一行。見張りとして自動人形が一体存在したが、特に抵抗される事も無く辿り着く事が出来た。
外では今世紀最大の犯罪者といった扱いを受けている最高評議会だが、部屋の中では以前までと代わらず脳髄のままそこに存在していた。
『ジェイル!?よく来た!早くこいつらを何とかしろ!』
「何をおっしゃります。私は貴方達を助けに来たのではありません」
『なんじゃと!?』
「くっくっく・・・さて、どういった事をしようか。殺しはしないが精神的に死にたくなる様なものもいいかも知れないね」
『き、貴様!?』
わめき散らす三つの脳髄と、ニヤニヤと笑いながらどんな目に会わせてやろうかと楽しそうに思考するジェイル。
ドゥーエとトーレは、逆らう気は無さそうだが念の為に自動人形を警戒し、自動人形もまたそれを感じて余計な事はしない様にしている。
最高評議会の進退はジェイル・スカリエッティの手のひらの上・・・かと思われた。
「よし決めた!そんなに管理局の正義が好きならば再び働かせてやろう!但し、無力な美少女型自動人形に搭載してだ!」
『なっ!?ふ、ふざけるな!?』
『その様な事が許されると思っているのか!?』
「また管理局の為に働く事が出来るのだから本m・・・かと思ったが管理局ではなく八神はやての為に働かせてやろう」
『む、八神はやてか・・・なら仕方が無い』
『そうじゃな。それなら仕方が無い』
『むしろ望む所だな』
「私も彼女の元で働くのもいいかもしれないな。いや、その前に懲役か・・・」
「ドクター。では私も」
「私も彼女の元へ行きましょう」
杏の洗脳はこんな所にまで及んでいた。