さて、四十九面倒を二乗して二千四百一面倒なのですが、時空管理局とやらの人達が居るというアースラ?へ向かう事になりました。
どうやら転送で向かうみたいです。いかにも魔法的ですね。ちょっとだけワクワクしてきました。
・・・あ、二千四百一であってますよね?ちょっと空いた時間で計算してみたんですけど。
そんな事はどうでもいいですね。
さて、転送してもらってアースラ?に来たわけですが・・・なんでしょうこの近未来的な場所。というか戦艦?宇宙戦艦なんですか?
いやこれはこれでアリなのかも知れませんけど、私個人としてはもっとファンタジックな感じが良かったです。せっかくの魔法なんですから。
まあそんなこんなで責任者らしき人とお話しすることになりました。
途中でマスコットキャラの筈のフェレットが人間に変身したり、しかもそれが本当の姿だと高町さんが知らなかったりして大騒ぎになっていましたが面倒なので関わらない事にしました。
そして通された場所はなんちゃって和室。和室で炬燵に入ってのんびりするのが大好きな私としてはちょっと許しがたいのですが、まあ魔法の世界の人なので仕方ないのかもしれません。
でも今時外国人でもここまで中途半端に偏った作りには・・・ってなんという事を!?
「い、今何を緑茶に入れたんですか?」
「ミルクと砂糖だけれど?」
くっ・・・ここは耐えるべきです。たとえ安らかな一時を演出してくれる緑茶が酷い飲み方をされていたとしても、それを指摘したら面倒な事になりそうです。
そうです、きっと魔法の国の人は味覚がファンタジーなんです。きっとお菓子の家とかに住んでるせいで甘味が無いと口に出来ないんです。そうなんです。
・・・よし、落ち着きました。良く頑張りました私。ちょっと前ならすぐさま指摘してましたが、私も成長しているようです。さっさと帰りたいですから余計な話題は必要ありません。
「なるほど、そうですか。ジュエルシードを発掘したのはあなただったんですね」
「それで僕が回収しようと・・・」
「立派だわ」
「だけど同時に無謀でもある」
いやいや、責任を感じて迅速に回収に来た人に言う台詞じゃ無い気がしますよ黒い人、たとえ事実だとしても。まあ面倒なので口には出しませんが。
というかこの話に関しては私は全然関係が無いので全部スルーします。・・・あれ、私がここに来た意味って無いんじゃあ?
「(どうしましょうアースラさん、私流されて来ましたけどここに居る必要性がありませんでした。時間の無駄です)」
『---』
「(あー成程。じゃあアースラさんとお話する為だけに来た事にします。・・・いややっぱりそれも時間の無駄ですよ)」
『---』
「(拗ねないで下さいよ。だって実際来た意味が無いんですもん。確かにアースラさんとお話出来ましたけど・・・)」
『---』
「(いやいや流石にアースラさんと遊んだら面倒な事態にしかなりませんって)」
アースラさん、宇宙戦艦なのに結構甘えん坊というか何というか・・・外見に相応しい強い心を持った方がいいんじゃないんでしょうか。
でもまあやる事もありませんし、このままお話が終わるまでアースラさんとお話してましょうか。暇ですしね。
・・・はあ、ソファーでダラダラしながらテレビでも見ていたいです。今日は疲れたので帰ったらココアでも飲みましょう。
「これよりロストロギア、ジュエルシードの回収については時空管理局が全権を持ちます」
「君たちは今回のことは忘れてそれぞれの世界に戻って元通りに暮らすといい」
おおっと、ずっとアースラさんとお話してたら気が付けば結論らしき言葉が。
時空管理局さんがジュエルシード回収をする事になったんですか。それなら私もジュエルシード探しはもう終わりですね。
まあお願いを二つも叶えてもらってますし、これ以上はちょっと欲張りになってしまいますから丁度いいといえば丁度いいでしょう。
「次元干渉に関わる事件だ。民間人に介入してもらうレベルの話じゃない」
「でも!」
何故か高町さんが抵抗を示していますが・・・ああ、魔法少女卒業が嫌なんでしょうか?でもどこかの美少女戦士みたいに高校生にもなってセーラー服で戦う様な事態になるよりは今卒業したほうがいいと思いますよ?
まあ私はたとえ協力要請されても絶対に手伝いませんけどね。面倒ですし。
ジュエルシードを放置しておいたらちょっとだけ危険みたいだと今回知りましたけど、組織が出張るならもう海鳴の平和は乱されないようですし。
なら私はいつも通りの堕落した生活を送るだけですね。
最近はあり得ないくらい精力的に活動してましたし、明日からはひたすらだらけましょう。ああ、楽しみです。
「まあ、急に言われても気持ちの整理もつかないでしょう。今夜一晩ゆっくり考えて二人で話し合って、それから改めてお話をしましょう」
え?いやいや今の高町さんを見たら手伝いたがるのは当たり前だと思うんですけど、なんでわざわざそんな事をするんでしょうか?
・・・まあどうでもいいですね、私には特に関係のない話ですし。考えるのが面倒です。
「さて、次に・・貴女にお聞きしたい事があります」
「あ、私ですか?」
話が終わって帰れると思ったら話しかけられました。あー、やっぱり能力に関してでしょうか。あからさまに私がジュエルシードを止めてましたもんね。
うーんどうしましょう。正直に話しても面倒事になりそうな予感がしますし、離さなくても面倒な事になりそうな予感が・・・もうどうでもいいですね。
よし、聞かれた事に答えてしまいましょう。消極的に。
「まず、あの時ジュエルシードに何をしていたんですか?普通はあんな簡単に押さえ込めるものではありませんが・・・」
「お話して落ち着く様にお願いしました」
周りの空気が停止しました。ああ、やっぱり誤魔化した方がいいんでしょうか。でもわざわざ嘘を考えるのも面倒なんですよね。
「もう一度、教えてもらってもいいかしら?」
「ジュエルシードさんとお話して、落ち着いて止まってくれる様にお願いしました」
「あり得ない!?」
「そんな事言われましても事実ですし」
緑の髪の責任者さんが手で頭を押さえています。頭痛でしょうか。大変ですね。
黒い人は「そんな事不可能だ!!」とか言ってますけど、私には事実ですとしか言い様が無いんですよね。なので反論されても困ります。
ちなみに高町さんと元フェレットさんは呆然としています。まあそんなものでしょうね。
しかし、初めて家族以外でまともに私の能力を明かしてしまいました。大雑把にではありますけど。面倒な事にはならないで欲しいですね。
「と、とりあえず・・・貴女はジュエルシードと会話が出来て、なおかつ暴走を止める事が出来るのね?」
「暴走を止めるというか、意のままに操れるといいますか、むしろ使いこなせますね」
今度はさっきの比ではない位に空気が停止しました。ピシッという擬音が響き渡った様な感じもしました。
今のうちなら帰ってもバレない様な気がしないでもないですけど、どうでしょう?
「・・・ゴメンなさい、流石に到底信じられないのだけど」
「じゃあ証拠見せますね。七番さーん来てくださーい」
「何を・・・なっ!?」
確かそっちの黒い人が持ってましたよね?まあ今持って無くても聞こえる範囲に居たら出てきてくれる筈ですが・・・ああ、出てきてくれました。
なにやら放っている青い光の力が弱い気がしますけど、どうしたんでしょう?病気ですか?あ、物に病気はありませんか。
「何か元気が無いですね。どうしたんですか?」
『---』
「封印?成程、じゃあ解いてあげますねー」
『---』
「はい解けましたよ」
途端に七番さんがいつも通りのジュエルシードらしく強い光を放ち始めました。うんうん、やっぱりこれくらいの元気が無いとダメですよね。
でも周りの人達が慌て過ぎですね。何をそんな慌てているんでしょうか?・・・ああ、そういえばジュエルシードって危ないって思われているんでしたっけ。
「仕方ないですね。じゃあちょっと大人しくしててもらえますか?」
『---』
「ありがとうございます」
お願いすると七番さんが快諾してくれました。ふぅ、これで何も問題はありませんね。
「何だか頭痛がしてきたわ・・・」
「母さん、僕は疲れて夢でも見てるのかもしれない・・・」
「ユーノ君、私結構苦労して今まで集めてきたのに、何だったんだろうね・・・」
「なのは、比べちゃいけない。これは非常識だから比べちゃいけないよ」
む、元フェレットさんが失礼ですね。確かにちょっと非常識な力ではありますけど、魔法なんてものを使ってる人には言われたくないです。
まあ高町さんの心に無用なダメージを与えてしまった事については少しだけ心苦しいですが・・・あまり気にしない事にします。面倒ですし。
「・・・背に腹は変えられないわね」
「艦長?・・・まさか!?
「ええ、想像通りよクロノ。・・・貴女のその力で私達に協力して貰えないかしら?」
「嫌です」
本日三度目の時間停止のお時間が参りました。どうやらここだけ時間の流れが不安定なようですね。時空管理局ならちゃんと時空を管理してください。
というかこんな近未来な戦艦で時空がどうのこうのって、魔法じゃなくてSFですよね。あれですか、発達しすぎた科学は魔法と変わらないって事なんでしょうか。
「何で?松田さん、何で手伝ってあげないの?」
「いやいや高町さん、さっきジュエルシードに関しては時空管理局の方々が解決するって言ってたじゃないですか。それに一般人が関わるべき事でもないと」
「でも!」
「なら高町さんが私の代わりにお手伝いしてあげて下さい。私は譲りますよ?」
「にゃ!?」
だって面倒ですし。
「何故、嫌なのか聞いてもいいでしょうか?」
「面倒だからです」
「・・・そ、それだけですか?」
「はい、面倒なだけです。私は面倒な事が大っ嫌いなんです。自宅のソファーでダラダラしながらテレビを眺めている事が私の幸せなんです」
全員顔が引きつってます。失礼な人達ですね。私がどんな事を好んでいても人の勝手じゃないですか。
「あの、じゃあいつも学校でボーっとしてたり寝てたりしてるのって・・・」
「動くのが面倒だからです。人間は言葉を発するのにもカロリーを消費するんですよ?今でさえ帰りたくて仕方が無いくらいなんです」
「さっき暴走体に捕まってた時に暫く自分で何とかしようとしてなかったのは・・・」
「だってこの能力の事がバレたら面倒になるじゃないですか。実際面倒な事になってますし」
というかもう帰っていいですよね?協力しないって言いましたし、もうここに残る理由はありませんよね。
「いい加減帰りたいので帰りますね。というわけで七番さん、送ってくれませんか?」
『---』
「ありがとうございます。では、みなさんお疲れ様でした」
そして私は七番さんの放った青い光に包まれ、その直後には自宅の玄関に転移していました。
何か途中で全員が何かを叫んでた気がしますけど気にしない事にします。面倒ですし。
さて、ココアを飲みながら今日もテレビでも見ましょうか。