サーチャーが私のお昼寝スポットに到着しました。もう夜なので月明かりしかないんですが、他の部分よりも上が開けているので月明かりでそれなりに明るいです。
夜のここも中々良さそうですね・・・寝るのはともかく、のんびりするのにはいいかもしれません。
「へー、ちょっと良い場所ね」
「ここでツチノコと一緒にリスとか野ウサギも見たんだ」
「海鳴って野ウサギ居たのね・・・」
なにやら盛り上がっていますが、あまり気にせずに植物に話しかけて情報収集です。
「(すいませーん、ツチノコ見ませんでした?)」
『---』
「(えーと、胴の部分が膨らんでる蛇みたいな生物です)」
『---』
「(川の方ですか、ありがとうございます)フェイトさん、サーチャーを川の方へお願いします」
「あ、うん。まかせて」
さて、とうとうツチノコの正体が白日の下に晒されます。夜ですが。
川の付近に到着したので周囲を見渡して情報収集しながらみんなで探します。
ここまで来ると大人の皆さんもかなり興味が湧いているのか、結構真剣になって探しています。・・・ツチノコを捕まえた時、この場合だと賞金は山分けになるんでしょうか。
別に宝くじでいくらでも稼げるので問題はありませんが・・・なんとなく勿体無いですね。あ、でも一人でツチノコを捕まえたとなると面倒な事になりそうなので丁度いいのかも知れませんね。
間違いなくマスコミとか色々来そうですし・・・いや、まだ捕まえていいのにこんな事を考えるのは早計ですね。ほぼツチノコっぽいだけでツチノコでは無いかも知れませんし。
「む、今そこの草むらにいなかったか?」
「え?士郎、どこ?」
「俺も見た、この辺りだった」
「恭ちゃんも?」
なのはさんのお父さんとお兄さんが指で指し示したのはサーチャーの位置から大体200m程離れた距離にある草むらでした。よく気付きましたね・・・
そういえば植物達が話していた海鳴人外魔境の噂の一つに高町家と思われるものがあった気がしますが・・・その辺の技術や能力が関係してるんでしょうか。
ともかくサーチャーを移動させてお二人が行っていた場所周辺を捜索する。
そして捜索を始めて数分で、とうとうその姿は現れました。
蛇の様な体と、膨らんでいる胴体。全体的に茶色っぽいその姿は・・・まさしく噂通りのツチノコ。
「ほ、本当に居た!?」
「すごーい!大発見だよ大発見!!」
「ふふふ、とりあえず私がここから遠隔操作で植物を操って捕縛を・・・」
「あれ?ツチノコって妖怪だったの?」
・・・ん?忍さん、何だか興味深い台詞を言いませんでしたか?
「忍さん、あれって妖怪なんですか?」
「うん、私も一応そういうのには関わってるしわかるのよ」
なんとまあ・・・魔法生物かと思いきや妖怪ですか。まあ吸血鬼が居るんですからおかしくはありませんけど、ちょっとびっくりですね。
「・・・あれ?じゃあツチノコを公表する事ってヤバいのでは?」
「あー・・・確かにそうだね。一応裏の事だし」
話を聞いてみんなガッカリしてしまいました。私も勿論ガッカリしています。せっかく見つけたのに公表出来ないなんて・・・無駄な事をしてしまいました。
見つけた時はちょっと嬉しかったですけど、今はもうどうでもいいですね。
「でもちょっとおかしいのよね。妖怪にしては何か違う様な・・・」
「違う?」
「うん、何というか、得体の知れない力が混ざってる様な感じ」
得体の知れない力って、妖力とかじゃないんでしょうか。というか妖怪なんてみんな得体の知れないものだと思いますが・・・
まあそんな事はどうでもいいです。今考える事は、このツチノコをどうするべきかです。
正直もうどうでもいいので放置でいいと思いますが・・・
そんな事を考えていると、突然モニターに映っていたツチノコが悲鳴を上げ始めました。
全員その声に驚いてモニターに目を向けると、そこには札の様な物が貼られて動きが制限されているツチノコ。
「え?退魔師がいるの?」
「妖界の次は退魔師ですか・・・じゃあ次は式神ですかね?」
「妖怪は、でも退魔師さんなんてのも居たんだね」
「というかコレだけ異能に溢れてて何で管理外世界なのかしら・・・」
魔法じゃないからでは?
「まあ折角です。ここは退魔師の方の姿を見て終わりにしましょう」
「え?いいのかな・・・」
「いいんですいいんです。どうせバレません」
「そーそー、フェイト早くー!」
「う、うーん、じゃあちょっとだけ・・・」
ナイスアシストですアリシアちゃん。
さて、退魔師さんはいったいどんな姿をしているんでしょうかね・・・おぉう。
「あれ?これ希よね?」
「希ちゃんだね」
「希だね」
「希さんですね」
「希ちゃんのなの」
「希さんだね」
・・・一般人じゃなかったんですね、希さん。