来てしまいました。なんだかんだでまた来てしまいました。来る気は無かったのに来てしまいました。むしろ魔法で運ばれてしまいました。
月村家です。以前うっかりメイドロボさんを凝視して何か感付かれて以来出来るだけ避けていたのですが、なのはさん・フェイトさん・アリシアちゃんの強力タッグで運ばれてしまいました。
こういう半強制的なイベントに巻き込まれると大抵変な事件に巻き込まれてる感じがします。プレシアさんの所に連れて行かれた時とか、守護騎士に襲われた時とかですね。
まあ今回は魔法は関係無いと思うのでそこまで面倒な事にはならないと思いたいですが・・・いや、超科学も十分面倒になりますよね。
今回も特に問題無く済めばいいんですが・・・
「まあ猫が可愛らしいので今は気にしない事にしましょう」
「何を気にしてるの?」
「何でもないですよフェイトさん。私は猫と戯れているのでお気になさらず」
「いやお茶会に参加しなさいよあんた」
アリサさんに御指名されてしまったので参加する事にしました。ここで逆らうと面倒そうですし。
しかし・・・何でしょう、今日はメイドさん以外にもカメラ的なもので見られている様な気が・・・盗撮されているんでしょうか。なんて恐ろしい。
「(この辺り一帯の植物の皆さんに聞きたい事がありますが、いいでしょうか?)」
『---』
「(私、月村家の方に警戒されていたりしますか?)」
『---』
「(されているんですか・・・すずかさんは知らないみたいですけど)」
やはり知ってはならない事だったんでしょうか。でもメイドロボなんて魔法を使えば簡単に作れそうな気がするんですけどね。ほら、守護騎士なんて似た様なものでしょうし。
・・・ん?魔法を使わずに科学技術だけで恐らく守護騎士と同等の出来のメイドロボを作るのって、むしろ魔法より凄いんでしょうか。月村家恐るべし?
それにしてもカメラがちょっとうざったいですね。メイドさんは給仕の役目がありますから別にいいですけど、カメラは邪魔です。
まあカメラならちょっと故障した様に誤魔化せますし、弄っておきましょうか。
「(というわけで、この辺りのカメラは撮影禁止でお願いしますね)」
『---』
「(はい、ありがとうございます)」
ふー、これで多少は気が楽に・・・なったんでしょうか?まあもう終わった事なのでどうでもいいですね。
「ねぇねぇ」
「はい?」
溜息を漏らすとアリシアちゃんに小声で話しかけられました。何でしょうか?
もしかしてまたフェイトさんが天然的なボケをかましてしまったとか・・・あ、その場合はツッコミ体質っぽいアリサさんが突っ込むでしょうし、それは違いますか。
じゃあ何でしょう?
「杏お姉ちゃん、さっきつかってた?」
「あれ、何でわかったんですか?」
「うん、なんかへんな方向みながらボーっとしてたから」
あ、成程。そういった行動からもバレる事があるんですか。これは気をつけないといけませんね。
突然そんな事をした直後に何らかの異変が起きたら感付かれる可能性が・・・あれ、もしかして今私やっちゃったんじゃないでしょうか?カメラで撮影されてたでしょうし。
・・・ま、まあ証拠も無いですし問題無いでしょうね。うん、大丈夫です。気にしません。気にしないで下さい。
「杏、何か困ってる?」
「にゃ?困ってるの?ただボーっとしてるだけだと思ったけど・・・」
「杏でも困る様な事があるのねぇ」
「アリサちゃん、それはちょっとどうかと思うけど」
おぉう、フェイトさん何を言ってくれてるんですか。思いっきりメイドさんが聞き耳立ててるのにそんな事言ったらカメラの異常と関連付けられるかもしれないじゃないですか。
普段のフェイトさんの気配り体質がこんな所で仇になるなんて・・・いや、まだきっと大丈夫です。これでも証拠にはなりません。
・・・あ、メイドロボってロボなんですよね。当然人間よりも性能が高い筈・・・つまりさっきのアリシアちゃんとの小声話も聞かれている可能性が・・・最近平和だったせいで油断していたかもしれません。
これは不味いですね。いや、私自身の能力に関しては別に変な事にならなければバラしても問題は無いんですけど・・・うぅむ、月村家の方が許してくださるかどうか・・・
漫画とかテレビだとこういった場合って大抵口封じとか・・・いや、その場合はあらゆる方法を用いて逃げますけどね。
って、落ち着きましょう。なんで私は友人の家をそんな危険地帯に認定しているんでしょうか。確かに海鳴とその周辺は割と人外魔境だと植物や無機物に聞いてはいますけど、流石にこんな身近にそんな人は・・・
「(・・・テーブルさん、月村家って何か秘密があったりします?)」
『---』
「(そ、そうですか。あ、ありがとうございます・・・)」
吸血鬼って本当ですか?こういうのは両親の分野の筈なのに何故私がこんな状況に?というか吸血鬼なのに日光に当たって問題無いんでしょうか?
・・・とりあえずいざという時の為に情報収集しておく事にしましょう。備えあれば憂いなしです。
「またボーっとしてる。やっぱり何か考え事?」
「あ、いえ、大丈夫ですよフェイトさん」
・・・ところで、吸血鬼とメイドロボってどんな繋がりなんでしょうか?