「あれ? エリカちゃん?」
「や、紫苑さん。」
例の遺跡の再調査。その出発当日。集合場所に伊良部教授をはじめとした発掘スタッフに交じって、優喜の同門の一人、大宮エリカが待っていた。日本人ばかりの中では、ゆるくウェーブのかかった天然の金髪と青い瞳はとても目立つ。彼女はハーフなのだ。
背の高さは紫苑とそれほど変わらないが、異国の血のなせる業か、胸部のボリュームは二段ぐらい上だ。もっとも、紫苑も日本人としては大きい方に分類されるので、それほどコンプレックスの類はない。第一、大きかろうが小さかろうが、意中の人が振り向かないのであれば関係ない。
発掘スタッフに男性が多いこともあって、西洋と東洋のいいとこ取りのような美貌のエリカと、体型はともかく容姿は純和風の美女である紫苑が並ぶと、非常に引き立ってより一層目立つ。この割と正体不明の一団は、二人の美女のおかげもあって、非常に人目を引いていた。
「何でエリカちゃんが?」
「それはね。今回の発掘作業のスポンサーが、私の叔父さんだから。」
優喜の同門の中では唯一、血縁のある身内に金持ちが居るエリカだが、実際のところ、彼女の父親は実家から勘当されていた身の上である。それもそのはずで、留学先の日本で知り合った娘と恋に落ち、政略結婚を嫌って駆落ちしたのだ。日本で職を得るために帰化し、母親の姓を名乗るようになっていた。
なので、エリカが自分の父の実家が金持ちだと知ったのは、両親が亡くなった後の話である。母親は出産の後に病で亡くなり、父親は祖父が危篤だと言う理由で実家に呼び出され、渡欧中に飛行機事故で帰らぬ人となった。エリカが難を逃れたのは、単純に直前に熱を出し、日本に残ったからだ。なお、この時エリカの面倒を見ていたのが、日本で寮の管理人をしていた、彼らの師匠の息子である。
母親は母子家庭で、祖母はエリカを抱く前に亡くなっている。そのため、日本に残ったエリカは、身寄りもないまま一人取り残される羽目になってしまった。その事を気に病んだ父親の弟が、後見人として全面的に面倒を見ることにしたのだ。幸い、後継者として金だけは余るほど持っている。
また、エリカ自身も、父親の保険金に航空会社からの慰謝料などを受け取っているため、大学を院まで行ってさらにしばらくは食いつなげる程度のお金は持っている。そこら辺が、生命保険の類がなかったり、医者代ですべて食いつぶしたりしている竜司や優喜との違いだろう。
「何も言ってないのに、おじさんがポケットマネーで、さっさと話をまとめちゃったの。あの人、お金だけはいっぱいあるから。」
「そうなんだ。」
「それで、気になるだろうからって、麗(うらら)も呼んでるらしいんだけど、まだ連絡がない。」
「すまない、待たせた。」
噂をすればなんとやら。エリカのもう一人の待ち人で、優喜の同期の同門の最後の一人が現れる。滝沢麗、旧名黄美麗。百七十センチをいくつか超える、背の高い女性だ。この場の三人の中では一番胸が小さいが、その分、体のラインが非常に美しい。名は体を表すを地で行く男装の麗人だ。エリカ達は「うらら」と呼ぶが、大体の知り合いは「れい」と呼ぶ。当人はそこらへんのこだわりは薄い。
旧名から察せられるとおり、彼女はもともとは中国人である。彼女の事情は簡単で、人身売買もどきのブローカーに売られて、日本で過酷な労働に従事していたところを、彼らの師匠に保護されたのだ。どうせ親元に帰ることもできない身の上だったので、保護してくれた師の紹介で、武家の家柄である滝沢家と養子縁組し、日本国籍を取得して日本人名に改名した。今ではそこらへんの日本人以上に日本人である。
名前を美麗のままにしなかったのは、本人が昔を思い出したくないからと強く主張したからだ。せめて親からもらった名前の痕跡ぐらいは残しておこう、という滝沢夫妻の言葉に妥協し、今の名に落ち着いた。
ちなみに、麗と優喜は、服装のセンスが近い。優喜のようにジャージを常用したりはしないが、麗は男物やユニセックスタイプの服が多い。優喜が顔の問題で男物が絶望的に似合わないのに対し、麗は性別意識が異常に薄いため、動きにくい女物を嫌う傾向が強い。
なお、優喜の同期生は全員同い年で、身寄りを亡くした時期も大体同じである。
「そういえば、竜司は来ない?」
「残念ながら、会社の行事と日程がもろかぶりだったんだって。」
「なるほど。会社員というのも大変だ。」
麗のしみじみとつぶやいた言葉に苦笑する紫苑とエリカ。麗はまだアルバイトぐらいはしているが、紫苑とエリカはまともな労働とは縁がない。今回の場合、紫苑は炊き出しと調査補助と言う形で同行しているが、旅費その他を負担してもらうだけで、バイト料をもらうわけではない。エリカと麗に至っては、スポンサーサイドと言うことで、単に見学だけである。
「それで、調査隊はこれで全員?」
「ちょっと、伊良部さんに確認してくるね。」
麗の質問に、エリカが確認を取りに行く。まだ飛行機が出るのは先だが、いろいろと手続きがあるし、挨拶も必要だ。
「何か手掛かりぐらいはあるといいんだけど……。」
「まあ、何か見つけたところで、すぐにどうこうできるとは思えないけど。師匠が最低半年と言うのであれば、半年はどうにもならないと考えた方がいい。」
麗の言葉に、小さく頷く。そもそも、まだ優喜が行方不明になってから、一カ月しか経っていないのだ。元々、海外で行方不明になった人間の消息など、一カ月で確かめられることはそれほどない。しかも、今回は普通の人間が見れば、生存は絶望的、と言う類の事故である。人が住んでいるような地域ではないため、まだ瓦礫の撤去すら始まっていない。
「それはそうと、紫苑は海外は初めて?」
「うん。優君の事がなかったら、夏休みにお父さんの出張について、アメリカにいくつもりだったんだけど……。」
事故がなくても、優喜はこのぐらいまで、発掘作業で帰ってこないのだ。発掘調査について行くのは周りがいい顔をしないし、アルバイトの枠も大してあいていない。今回のようなケースでもなければ、体力に不安のある紫苑が、その数少ないアルバイトの枠を食いつぶすのは申し訳ない。なので、紫苑は紫苑で、単独行動の計画を立ててそれなりに過ごすのが、大学に入ってからの二年間のパターンである。
「なるほど。ちょっと意外かな。」
「だよね。紫苑さん、英語ぺらぺらだし、結構いろんな国のマナーについて知ってるから、よくあっちこっち行ってるのかと思ってた。」
「お父さんがね、これからの世の中、日本の国内だけで人生が完結する可能性は低いから、関わる可能性が高い国の文化風俗ぐらいは、勉強しておいて損はない、って言っていろいろ教えてくれたの。」
「……私たちが言うのもなんだけど、その理由で勉強して、生きた知識としてそういうのが身につくのって、何気にものすごい事だよ?」
エリカの言葉に苦笑を返す。単純な話、世界から見た日本、日本から見た世界、地域による常識の違いと言った事柄全てが、紫苑にとってはとても面白い内容だっただけの話だ。勉強なんて言うものは、面白いと感じたものはいくらでも学べるものである。それに、頭に入っている内容など、欧米の主要な国と一部東南アジアの風習ぐらいだ。
「まあ、それはそれとして、もう全員揃ったの?」
「うん。これから手続きだって。」
「じゃあ、私たちも挨拶を済ませて、手続きかな?」
「そうするか。」
「遠かったね。」
「優君、長期休暇の度にここに来てたんだ……。」
「まあ、感慨に浸るのは後回しにしよう。まずは車に荷物だ。」
「紫苑さんは、私達から離れちゃダメだよ。中央アジアのこういう国は、見た目の牧歌的な風景と違って、結構物騒だから。」
さっそく物騒な事を言いながら、さりげなく警戒を始めるエリカと麗。その会話を聞いていた伊良部教授が、懐かしそうに思い出話を披露する。
「やはり、君たちも竜岡君の同門だね。彼も、空港から出て荷物を積む時に、まずそこを気にしていたよ。」
「まあ、そうでしょうね。」
「それに、発掘調査中に、三度ほど武装勢力が出てきたことがあったが、追い返したのは彼だったよ。」
「優喜が来る前は、そういう時はどうしてたんですか?」
「どうするもこうするも、そのために金品や物資を多めに用意して、そういう連中との交渉を専門にしている人間に任せて、我々素人は下手にしゃしゃり出ないようにしていただけさ。それに、連中だってそれほど愚かではないから、我々に余計な手出しをして死人を出して、政府や国際社会に睨まれるような真似は避けるさ。」
さすがにフィールドワークのベテランだけあって、そういった状況には慣れているようだ。なお、優喜が関わってから四度目に出てきた武装勢力は、優喜はどういう交渉をしたのか、食事とわずかばかりの金品、それから日本語の漫画をいくつか渡すことで、護衛兼現地の発掘スタッフとして引きこむことに成功していた。
「正直なところ、君たちと同じで、私も彼があれぐらいのことで死んだとは、到底思えないんだよ。常人なら、あの状況での生存は絶望的だろうけど、竜岡君はそういう面では一般人のカテゴリーからはかけ離れている。調査隊が何らかの原因で全滅しても、彼だけは生き延びる。彼に限らず、君たち一門はそういうタイプの人間ばかりだ。」
伊良部教授の意見は、優喜達一門を知らない人間にとっては荒唐無稽な話であっても、当人達をよく知る人間からすればある種当たり前の認識である。
もっとも実際のところ、優喜は遺跡の機能が生きていた事に気がつかなかった。何しろ、エネルギー源が完全に沈黙していて、優喜の感覚器をもってしても、漠然とした不安や危機感を覚えるのがせいぜいだったのだ。その直感にしたがって慎重に、いつでも逃げ出せるように作業をしていたにもかかわらず、ブービートラップのように発動した遺跡の機能に対処しきれなかった。異世界に飛ばされることがなければ、彼はその時点で死亡確定だっただろう。
エネルギーによる攻撃に対しては、たとえ核弾頭でも即死しない自信がある彼らだが、辛うじてまだ普通の生命体であるため、大質量に押しつぶされるケースには弱い。そして、作業場所が結構深い位置にあったこともあり、落ちてきた瓦礫は優に数百トンの重量におよぶ。孫悟空でもあるまいし、そんな重量に長時間押し潰されれば、ただの人間である優喜は、いずれエネルギー切れで死ぬ。
「まあ、少なくとも、優喜があの事故で死んだかどうかは、崩落現場を掘り返せばすぐに分かります。」
「うん。ただ、路面状態が悪くて、重機の到着が遅れる見通しなんだ。」
「それはまた……。」
「日本じゃあるまいし、一カ月やそこらで大型車が通れるほど道を復旧させることは無理だってことかな。」
伊良部教授の言葉に、思わず納得してしまう一同。影響を受けた範囲こそせまいが、震度六クラスの地震が起こったのだ。周囲の道が無事でなくてもおかしなことは一切ない。
「まあ、我々が乗るぐらいのサイズのオフロードカーは普通に走れるから、現地に荷物を持ち込むのはそれほど困らないよ。」
「そうでなければ、私たちがそもそも現地入りできません。」
「違いないね。」
麗の言葉に、真顔で頷く伊良部教授。
「何にしても、今日は現場近くの町まで行って一泊、現地入りは明日の午後だ。本格的な調査は明後日からになるかな?」
「分かりました。」
伊良部教授の提示する日程に一つ頷く彼女達。こうして、紫苑の滞在予定二週間の発掘調査、その初日はゆっくり過ぎていくのであった。
「……この覚えのある気配は。」
「……なんで居るんだ?」
初日の晩。夕食を終え翌日の話を聞いている時に、不意にエリカと麗が座った目でつぶやく。
「どうしたの?」
「竜司がいる。」
「え?」
「ちょっと、問い詰めてくる。」
エリカが立ち上がって、部屋を出ていく。麗も一緒だ。慌てて後を追う紫苑。果たして……。
「む?」
「こんなところで何やってんのよ、竜司。」
普通に地酒と土地の郷土料理で夕飯を食らう竜司がいた。
「何と言われても、会社の特別研修だが?」
「酒造系メーカーが、こんなところでどんな特別研修をしてるのよ。」
エリカの厳しい突っ込みに、非常に困った顔をする竜司。どうにも、彼自身あまり腑に落ちていないようだ。
「大体、他の社員はいないのか?」
「うむ。どうやらこの特別研修と言うやつ、会長が面白そう、もといおもちゃにしてよさそう、いや、見どころがあると判断した社員に、研修期間と言う名の特別休暇と特別手当を与えて、用意した企画をどうこなしたかをレポートさせて、それを見て大爆笑するためのシステムらしい。」
「……ああ、あの会長さんならやりかねないわ。」
「あの会長だからな。」
竜司の言葉にひどく納得するエリカ。実物を知らない紫苑や麗は分かっていないようだが、竜司の勤め先の会長は、彼らをしてアクが強いと評させる人物である。伊達に非上場の世界的名門企業を経営しているわけではない。
「それで、何でまたここなんだ?」
「俺に聞くな。研修があるからパスポートを用意しておけと言われて、先々週に急に日程を提示されて、先週チケットを渡されてここに送りだされたんだからな。」
「あの、竜司君。」
「む? どうした?」
紫苑がおずおずと質問しようとしているのを見て、一口酒に口をつけてから彼女の方を向く。
「結局、研修の内容ってどういうものなの?」
「うむ。大したことではない。単純に、この国で指定された期間、観光以外の事をして過ごすと言うだけの話だ。何をしていてもかまわんが、やったことは詳細にレポートせよとのお達しだ。」
「……それって、なかなかハードなんじゃ……。」
「そうなのか?」
言葉の通じないであろう、前情報なしの文化風習など一切分からない国で、サポートなしで観光以外の事をして一カ月近く過ごすと言うのは、普通の人間にはかなりの苦労だ。しかも、牧歌的ではあっても治安がいいわけではない中央アジアを指定するあたり、中々恐ろしいセンスだ。
「普通の人は、いきなり一人で知らない国に放り出されたら、かなり苦労するんだよ?」
「そういうものか。まあ、毎年内容は変わるらしいから、俺がやったことを他の人がやっているとも限らんが。」
毎年変わる、ということは、この一昔前のバラエティ番組のような内容の研修を、毎年毎年考えているということで、大企業の会長とは思えない暇人ぶりだ。
「それで、竜司はここでその研修とやらで、実際には何をしていた?」
「うむ。ここから見える山があっただろう?」
「うん。」
「一日一回、あれに登っていた。」
竜司が言っている山、と言うのは、ヒマラヤ山系に連なる六千メートル級の山である。山頂に万年雪が見える、素人が見ても一日二日で登りきれるとは思えない類の山だ。
「今更、普通に山登りしたぐらいじゃ、修行にもならないでしょ?」
「別に、修行のつもりではないぞ? 単にやることが思い付かなくてな。山があったから登っていた。」
どこぞの登山家のような事を真顔でほざく竜司。酒盛りをしながら聞くとは無しに聞いていた日本人スタッフが、修行にもならないのかよ、と突っ込んでいたのが聞こえてくる。普通なら一日一回登っていた、という単語に突っ込むのだろうが、いい具合に優喜に毒されているらしく、そこは誰も触れない。
「大体、よその国の山をふらふら上るなら、まず富士山頂で御来光を拝んでから降りる荒行を、一カ月続けるのが日本国民の責務だろう。」
「俺もそうしたいところだがな。降って湧いた研修で場所まで指定されているから、どうにもならん。」
麗の突っ込みに、心底同意しながらぼやく竜司。あまりの突っ込みどころの多さに、日本人スタッフ達も突っ込むのをやめたようだ。
「竜司君。山登りの事を、レポートに書くんだよね?」
「うむ。レポートと言う名の日記だがな。」
「それだけだったら、ただの与太話にならないかな?」
「問題ない。証人がいて証拠写真がある。」
そう言って取りだしたるはデジタル一眼レフカメラ。それを写真鑑賞モードで起動して、順繰りに写真を切り替えていく。高山植物やら高所での絶景、さらには山頂で一緒にピースサインをしながら写っている登山家など、実際に登っていなければ撮影自体不可能であろう写真が、いっぱい写っている。
「なんだか、吹雪いてるみたいに見えるんだけど……。」
「ああ。四千を超えたあたりだったか、少々天候が荒れている場所があってな。まあ、俺の足で十分もあれば抜けられる範囲だが。」
「それ、前見えてるの?」
「少々視界が悪い程度で、俺達が困ると思うか?」
無駄に説得力のある言葉に突っ込むだけ野暮であった事を悟り、次の写真に切り替える。
「あれ? この人たち……。」
「俺がこっちに来たあたりで出発した一団だ。急な吹雪で立ち往生していてな。」
ヨーロッパあたりの一団らしいその登山家たちが、竜司が持ち込んだ温かいスープや大量の防寒具を、地獄で仏に出会ったような顔で受け取っている。どこかの洞窟らしい場所だ。おそらく、そこで遭難するのを避けているらしい。
「毎日持って行ってるの?」
「ベースキャンプの連中に頼まれてな。吹雪き出したのが一昨日ぐらいだったから、明日か明後日には回復するだろう。さすがに、今回はあきらめると言っていたな。他にも登っている連中は居たが、吹雪いている事を教えたら、別ルートで降りていった。」
「そういう場所に、その恰好で登ってるのがシュール……。」
「こんな気候もよく知らんような場所に、そうでなくても売ってる服が少ない俺が、どんな格好で来れば不自然でないのかなんぞ判断出来る訳がなかろう。」
ジーンズにTシャツ姿の竜司が、無駄に力強く断言する。
「まあ、大体の事は分かったよ。それで竜司、暇なんだよね?」
「ああ、暇だ。あまりに暇だから、明日は二往復にチャレンジしようかと思っていたぐらい暇だ。」
「だったら、お前も発掘調査を手伝え。どうやら重機がすぐに入ってこれないらしくて、瓦礫の撤去に困りそうだ。」
竜司に手伝いを強要するエリカと麗。瓦礫の撤去を竜司にやらせようと言うあたりがひどい話だが、押しつぶされたならともかく、どけるだけなら問題なさそうなのが業が深い。
「分かった。だが、さすがに立ち往生してる連中に届け物をする必要がある。昼からで構わんか?」
あっさり承諾する竜司に、一つ頷くエリカ。この後日本で、竜司はこの登山家の一団から命の恩人として大層感謝されるのであるが、そこは関係ない話である。
結局、今回の調査では、優喜が潰された痕跡が発見できなかったことと、奇跡的に無傷で残っていたデジカメのデータから、優喜が調べていた遺跡の姿が確認できた程度であった。なお、今回は、
「このバランスだと、エリカが斬るのと竜司が砕くの、どちらが安全に撤去できるサイズに落とせるかな?」
「そうだな。……エリカ、滑り落ちんように上半分だけ斬ってくれ。」
「了解。」
最後まで瓦礫の撤去に重機を使わなかったことだけ、ここに記しておく。