「大豆に胡麻、とな……?」
「はい。現在大豆は搾油用、胡麻は漢方薬として栽培されていますが、どちらも食用として人が生きるために必要な力が多く含まれています。また、大豆は様々な用途が可能であり、胡麻も搾油用としても期待出来るのです」
「ふぅむ……。どう思う、玄菟?」
「そうさな……異国の知識なら、間違ってはおらんやもしれん。検討の価値は十分じゃな」
石城の一角に設けられている田畑に、俺は早朝から徐晃に呼び出されて赴いた。
と言うのも、先日は張遼と華雄の手伝いをしたと思ったら、今日は徐栄や李確、徐晃の手伝いをしろと言われたのだが。
またも書類の分別かと思った俺の期待を裏切って、田畑に連れてこられた俺は、唐突に切り出された言葉に頭をひねることになった。
食用のもの以外で、何か栽培するに値するものはないか。
この時代の主食としては主に米や麦などが栽培されているが、何故だか唐辛子やピーマンなども栽培されていたりするのだが、そこら辺はまあ追求はしないでおこう。
16世紀の大航海時代ぐらいに伝わってきたものなんだけどなぁ。
そこで、異国出身ということにしてある俺の知識から何かないかと問われて、一番に思いついたのは油である。
現在流通している多くの油は、魚を搾って取る魚油か、先の大豆から取る大豆油、少数ではあるが菜種油などがある。
主なものとしては魚油なのだが、用いられた魚の量からでは酷く効率が悪く、また動物性のためか時間が経てば生臭くなる。
そのため、専ら料理に使われるのは大豆油などの植物性のものなのだが、大々的に生産していないためにどうしても量が少なく、それによって高価なものとなってしまうのだ。
それならばと、比較的効率がよく、また大量に仕入れることが出来るものと言えば大豆や胡麻であり、またその二つは様々な用途で使用することが出来る。
そう思って、これだ、と勧めたのだが。
「……北郷殿の言うことが本当ならば、我が軍だけでなく、この大陸にとって非常に有益なものとなる。その情報は、如何なさるのですか、父上?」
「大量に栽培し、食料とすることで多くの飢えた民を救うことが出来る。月様という人を鑑みるに、恐らくは広めようとするじゃろうな」
「左様、目に浮かぶようじゃ。だが、かといって無償と言うわけにもいくまい。何かしらの益が我らに入らねば、敵を富ませるだけとなってしまう」
ううむ、と考え込み始めた三人から視線を逸らし、田畑を耕す民達に向ける。
比較的寒く乾燥した石城ではあるが、それでも作物の実はなるらしく一生懸命に豊作を祈って耕している。
旱魃や蝗害がほぼ毎年各地で発生している時代の中で、それでも逞しく生きる人々に、俺は少しでも役に立ちたいと、思ってしまう。
それは平和で、食料が飽和する世界で生きてきたエゴなのかもしれない。
それでも、その気持ちは本物だった。
「……それでは、特産として売り出す、というのはどうでしょう?」
結構な時間を思案していたのだが、それでもいい案が浮かびそうにない三人に、俺は漏らす。
というかですね、どんだけ悩んでんだよ。
「胡麻や大豆が食用に出来るというのはある程度有償の情報として広め、それから作り出せる加工品はその方法を明かすことなく、安く売り出す。これならば、各地に流通させつつ財を得ることが可能かと」
「……なるほど、恩を売りながら財を得る、か。異国の知というのは、中々に興味深いものばかりです。この若輩、勉強させてもらいました」
「琴音の言う通り、異国とはまこと面白き所みたいですな。これは一度、よく話を聞く席を設けねば」
「その時は儂もじゃぞ、稚然。この歳になっても、己の知への欲があることには驚きじゃが、北郷殿からはさらに驚きが得られそうじゃ」
作り方占有して、加工品売り出せばいいんじゃね?
と軽い気持ちで言葉にしたのだが、思いの外良策だったらしく、また知らない知識という興味に、三者三様に瞳を輝かせる。
いつの時代にもこういった学知を求める人はいるものなのだと知り得たのだが、それを追い求める人もいるということを、俺は後に知ることになる。
俺としてもこの時代の飯は嫌いではないが、どうしても食べ慣れたものを食べたいと思っていたのだから、これ幸いである。
豆腐などは既に存在しているのだが、その前の豆乳などは無いらしい。
また、大豆を熟す前に採取する枝豆などはもの凄く不思議な顔をされたので、今度試してみることにした。
ごま油などは中国料理には不可欠だったため、製造に成功すれば安定した需要を得るはずである。
次々と浮かび上がる未来予想図を前に、遅くまで俺は三人といろいろ話し合ったのだ。
**
とまあそこまでは良かったのだが。
徐栄ら三人と存分に話し合った俺は、翌朝にまたもや賈駆に呼び出された。
しかも、今度は広間ではなく彼女の政務室になのだが、何故かその場には賈駆以外にも三人の人物がいたのだ。
「やっと来たのです! ほら、さっさと座るがいいのですぞ!」
「一刀……隣」
その内の一人である陳宮に急かされ、空き椅子が用意されてあった呂布の隣へと腰を落とす。
楕円形の机に、陳宮と呂布が隣り合って座っており、その横に俺。
その反対側には、俺を呼び出した張本人である賈駆と、三人目の董卓がいた。
「皆さん、おはようございます。……何で俺は呼ばれたのでしょう?」
その顔ぶれを見て思ったことだが、今いち呼び出された理由が不明である。
董卓と賈駆と陳宮ならば、当主と軍師が集って軍事関係について聞かれるとは思うのだが、そこに呂布がいるのがよく分からない。
妥当にいけば、陳宮がここにいるから、というのはあるが、わざわざいる必要があるのか。
うーん、と悩む俺の心中を察してか、いつもの口調で呂布が口を開く。
「ご飯……おいしい。…………いろいろある」
うむ、全くもって意味不明である。
さらに頭を悩ませることになるのだが、そんな俺を見かねてか、溜息混じりに賈駆が説明してくれる。
「稚然殿から上がってきた昨日の報告書をねねと確認してたら、恋に見つかっちゃって。そこであんたが異国の料理の話をしていたって書いてあるもんだから、付いて来ちゃったのよ」
「ああ……なるほど」
要は食い気か。
呂布らしいと言えばそれまでだが、当の本人は至って気にする風でもなく大あくびをかましていた。
そんな俺と賈駆の視線に気づいてか、頭にハテナを出しながら首をかしげるのだが、そんな彼女になんかどうでもよくなってくる。
さらには、お腹空いた、なんて言うものだから、脱力してしまって最早どうにもならない。
「……あとで食べに行きましょう? それまで、少し我慢してくださいね」
「…………………………ん」
今すぐ食べに行きたいのか、俺の言葉にすっごい悩んだ末に、承諾と頷く。
それと同時に、ぐー、と可愛らしい音が鳴るのだが、音の持ち主は気にもせずに、机の上にある菓子をぱくつく。
なんて言うか、すげー和むわぁ。
「まあ恋は置いておいて……この報告書のここなんだけど」
「何です……衛生について? これが何か?」
「その……そこに書かれている石鹸、というものなんですが、作ることは出来ますか?」
「はぁ?」
賈駆に見せられた報告書の中に、確かに衛生関係の項目に石鹸という文字が見える。
そう言えば、風呂の話をした時にそんなことを話したっけ、と今いちよく覚えていなかったりするのだが、そこに書いてあるので確かに言ったのだろう。
そして、董卓はそれを衛生管理に使えないかと言ってきたのだ。
この時代において、死者の多くは餓死と疫病が理由とされているらしい。
特に食料を用意すればいい餓死と違い、疫病においてはその対策法が確立されておらず、そもそも疫病とはどういったものなのかも知られていなかったらしい。
そこで、俺が病気なんかの菌、元を石鹸で洗い流すとか言ったものだから、それを使うことが出来ないか、という話になったみたいである。
確かに、石鹸が作れれば多くの病気にかかることは減るだろう。
また、その石鹸自体も特産として売り出すことが出来れば、董卓軍としても損にはならない。
ゆえに、俺のその作り方を教えて欲しいということなのだろうが。
「……食べ物、違う?」
うんごめん食べ物じゃないんだ、と心中で心底がっかりしている呂布に謝りながら、俺はどうしたものかと悩む。
石鹸を作る上で一番簡単なのは水酸化ナトリウムを使うことだが、この時代ではそれを作り出すことは難しい。
海水を電気分解すれば作れるのだが、そもそもその電気を作ろうにも知識も設備もないのだ。
となると、残るは古い製法である炭を使ったものなのだが、悲しいことに俺はその製法で作ったことがない。
一度、何の因果か及川が自由研究と称してしていたことがあったのだが、この時ばかりはそれを真面目に聞いていなかった自分を悔やんだ。
何で女の子にモテるために石鹸を作ろうとした及川を信じられなかったのか、まあ意味不明だったからだが。
とりあえず、炭と油で作れるとは思うということを伝えてみることにした。
「ほぉー、異国にはそんなものがあるのですか。 むぅ、知らないことばっかりなのです」
「とは言っても、実際に作れるかどうかは分かりませんよ。作り方の話を聞いたことがある、というぐらいですから」
「それでも何にも知らないよりはマシよ。……材料自体はすぐ手に入るから、後は作り方ってことね。月、後で職人達と相談してみるわね」
すると、意外にも悪くはなかったのか、その場にいる俺以外がやる気らしく、俺としては失敗されると非常に悪い気がする。
一言ことわっておいたのだが、それでもいいと言ってくれた賈駆を、どうしても疑ってしまう。
っていうか、その瞳が嘘だったら許さないと暗に言ってるので、ぶっちゃけ石鹸のことを話したのを後悔しました。
女の子がいい匂いしたらいいなと思っただけ、とはさすがに言えなかった。
「うん、お願い詠ちゃん。 ねねさんも、詠ちゃんを手伝ってあげて下さい」
「任されるのですよ!」
勢いよく自分の胸を叩いて軽く咳き込む陳宮が面白いながらも、ふとこちらを見る董卓に気づく。
ニコニコしたと思いきや、何故か顔を赤くしながら見続ける董卓に頭を傾げながら、次の言葉を待つのだが。
「か、一刀さんは、他に何か使えるものがありましたら、また報告をお願いしますね」
「はい、承知しました。…………えと、まだ何かありますか?」
「…………はぁ、いえ何もありません。……………………一刀さんの馬鹿」
何故だか溜息つかれた?!
後半は声が小さくて何て言っていたのかよく分からなかったのだが、賈駆と陳宮は聞こえたみたいで、何故だか睨まれた。
ええと、俺何かしたのかな、泣いちゃうぞ。
そんなこんなで奴隷という肩書きに相応しく、その日その時によって様々な将について仕事をこなすようになった俺は、あっちに行ったり向こうに使いっ走りになったりと、色々な方面にて顔を広めることになった。
元々それが目的だったのか、と思わないこともないのだが、明らかに張遼や華雄、陳宮は俺に任せっきりという感じがする。
朝、政務室に行けば聳える竹簡が俺を待ち構え。
昼、親睦を深めるという名目で飯を奢らされ。
夜、仕事が終わったのを見計らって酒を呑まされる。
俺未成年なんですが、なんて文句が聞いてもらえる筈もなく、慣れない酒を翌日に残しながらも仕事を続ければ慣れるもので、三日もすれば酒を翌日に残すことは無くなってきた。
えっ、仕事には慣れないのかって? 無理に決まってるだろ。
始めのうちは、というか始めだけ簡単なものだったに段々と難しいものが回ってくるようになって、仕舞いには部隊の兵全員と手合わせとか、石城の農耕人口から取れる作物食料の目安の算出とか、乗馬訓練のついでに偵察任務とか、とりあえず無茶言うなというレベルばかり回されるのである。
朝から晩まで働いて、翌日にはまた同じことをして。
サラリーマンのお父さんもびっくりと言えるほどの仕事量に、もはや元の世界に戻る方法とか探す元気さえ無かったのだ。
その心中を、察してほしい。
まあ華雄の乗馬訓練のは、俺としても有り難かった。
それでも乗り慣れないものだから、次の日には尻がやばいことになっていたけど。
そんな慌ただしくも平穏な日々に、俺は忘れかけていた。
時は後漢王朝末期、三国時代という歴史の扉の前。
困窮した民が黄巾として乱を起こし、群雄が幸いとばかりに力を蓄えるそんな時の流れの中で。
多くの命が散っているということに。
そんな中、俺はある一つの決断を迫られることになる。
涼州石城の隣県に位置する都市、安定からの急使。
その者から発せられた言葉は、否応なしにそれを俺に強いたのだ。
「安定、黄巾賊の襲撃を受け陥落寸前ッ! 至急援軍をお願いしたいッ!」
~補完物語・とある日の夕食~
仕事が一段落したその日、俺は張遼に誘われて、城の食堂へと向かった。
彼女から食事、というか酒に誘われることはよくあるのだが、城の食堂にというのも珍しい。
大抵は街に出て、飯を食べた後に酒屋をハシゴするというおっさんルートだったのに。
そうして、食堂の扉を開いた俺の視界に、張遼以外に、というか董卓を筆頭に首脳陣が集っていた。
「え……っと、これは一体?」
「ふふ。なに、月様の発案でお主の歓迎会をしようとなったまでよ」
「そうじゃ、ほれ主賓が座らねば儂らも食べられん。早く座るがいい」
徐栄と李確にそう勧められ、言われるがままに空いた席へと座る。
丁度上座になる所で、隣にはそれぞれ董卓と張遼が座っていた。
「遅かったやんか、先に始めるとこやったで」
「お疲れさまです、まずはお茶でもどうぞ」
「あーっ! ちょっと何月にお茶汲みさせてんのよッ!? あんたなんかコレでも呑んでればいいのよ!」
腹ぺこや、と喚く張遼の頭を抑えながら席に着くと、反対側の董卓が近くにあった急須でお茶をついでくれる。
かと思えば、それはすぐさま賈駆によって奪い取られ、代わりに彼女の手元にあったお茶を渡される。
俺が来る前に淹れていたのか、既に冷め切ったものだったが、喉が渇いていたのでまあいいやと一口飲む。
冷えたお茶独特の苦みが口の中に広がるが、それでもほっとすると、身体が食物を求め始める。
「むぅー…………詠ちゃん」
「うぅ、だって……えと……その……ええぃ、あんたが悪いんだからねッ!」
何でっ、理不尽だ!
そう思って視線を賈駆に向けるのだが、ギロリと睨まれてすぐさま視線を逸らす。
隣の張遼に視線を移せば……既に呑み始めていた。
「おいしい。……一刀も食べる」
「あ、ああ。ありがとうございます、奉先殿」
そして例の如く肉まんを頬張っていた呂布が差し出した肉まんを受け取ると、やはりと言うかなんと言うか、その隣にいる陳宮が呂布にもの申した。
「恋殿、わ、わたしも肉まんが欲しいのですぞ!」
「まだ、一杯ある。……はい」
「ほぉぉぉ、恋殿からの肉まん! この陳公台、感激ですぞッ!」
「……ん」
まあいたっていつもの光景であるので、特には気にしない。
見れば、李確と徐栄はそれぞれ少し離れたところで酒を呑みながら何かを話し合っている。
「最近はどうだ?」
「うむ、中々の働きぶり。聞けば、女中や侍女の中にも好感を抱いている者もおるらしい」
「なんと、やはり人柄としては合格であったか」
「近頃は恋や葉由に鍛えられ、武においても成長しとるしな。いずれ董家に相応しい将となるだろう」
「ふむ、楽しみじゃのう」
相も変わらず、何を話しているのかはよく分からないのだが、とりあえず身の危険を感じるものでは無いはずだ、多分。
さらに視線を移せば、華雄と徐晃も何やら話し合っている。
こちらは至極真面目な顔なのだが、話していることは物騒極まりない。
「華雄殿、武とは一体何なのでしょう?」
「公明か……。武とは力、いかに早く戟を振るい、いかに強く叩き伏せれるかが、武にとって精進すべき課題だ」
「なるほど、若輩の身には勉強になります」
「うむ、最近は北郷がいい動きをしている。やつを叩きのめせるか、それが一つの目安となる」
…………そこから先は聞かないでおこう、眠れなくなりそうだ。
とまあ普段通りのその食卓を囲んでいると、不意に董卓に袖を引かれる。
「一刀さん、これ私が作ったんですけど、お味は如何ですか?」
そう言って差し出されたのは餃子。
パリパリに焼かれた少しだけ焦げた皮の中に、細かく、しかし濃厚な味を示すそれに、俺は素直な感想を口にしていた。
「美味しいですよ、仲頴殿。料理上手いんですね」
「はい、こういうの好きなんですけど、詠ちゃんが許してくれなくって……」
「えぅ……だ、だって月が料理したら侍女が仕事無くなるんだよっ?!」
「もぅ、いっつもそう言って誤魔化す」
若干ふて腐れた董卓に賈駆が狼狽するのが面白くて、ついつい口がにやけてしまう。
そのいつもとは逆の力関係ににやにやしていると、不意に視線を感じて、その発信源である張遼へと向く。
すると、そこには董卓と同じようにむくれる張遼がいた。
「えっと……文遠殿?」
「…………月、いつの間にや?」
「えっと……霞さん、何がですか?」
ええっと、何がなんだかよく分からないのだが。
俺と同じようにハテナを出す董卓に、そっかそういうやつやった、と意味ありげに呟いた張遼は、空いてあったお猪口を俺へと押しつけて、それに酒を注ぎだした。
「ほれ、一刀! ウチの酒も呑めやッ!」
「ちょ、ちょっと文遠殿、溢れてますって!? ありがたく頂きますが……」
酒塗れになった手を布巾で拭いて、注がれた酒をちろりと舐める。
そんな俺を見ながら、何やら上機嫌で一気に杯をあおる張遼に、今度は俺が酒を注ぐ。
「では、今度は俺が文遠殿に注ぎますよ。どうぞ?」
「おおっ、ありがとな。……………………なんや、気づかんのかい」
何がでしょう、と視線を張遼に向けるのだが、何故だか彼女は再びむくれてその顔を背けてしまう。
頬を少し膨らませて、まるで子供がその感情を表現するような顔に、思わずくらりとしてしまうのだが、不穏な空気に視線を移せば、今度は董卓がむくれていた。
否、むくれていると言うよりは睨まれていた。
そしてそれに反応するかのように賈駆にも睨まれ、こちらは若干怒気もこもっていたが、その空気に触発されたためか、李確と徐栄はいつの間にか席を外していた。
逃げられた、そう思った時には既に遅く。
董卓からは、何故だか執拗に食事を勧められ。
張遼からは、執拗に酒を注がれ、注げと言われ。
俺の歓迎会だった筈の席は、いつの間にか俺を四面楚歌へと誘っていたらしい。
結局、張遼を大量の酒で酔い潰し、董卓を誘って酒で酔い潰すまで、それは続けられた。
余談ではあるが、董卓を賈駆が、張遼を俺が寝室にまで運んでいく際に、一言釘を刺されたのだが、本当にそれだけでよかったと心底安堵した。
漫画にすればとげとげの吹き出しで言われたであろうそれは、実剣で刺されなくてよかったと思わせるものだったのである。