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No.17719の一覧
[0] (ネタ/転生) 劉宏伝 (真・恋姫†無双)[心海2000+](2011/03/23 05:43)
[1] プロローグ[心海2000+](2011/03/23 05:44)
[2] 第一話[心海2000+](2011/03/23 05:43)
[3] 第二話[心海2000+](2011/03/23 05:45)
[4] 第三話[心海2000+](2011/03/23 05:44)
[5] 第四話[心海2000+](2011/03/23 05:45)
[6] 第五話[心海2000+](2011/03/23 05:45)
[7] 第六話[心海2000+](2011/03/23 05:45)
[8] 第七話[心海2000+](2011/03/23 05:46)
[9] 第八話[心海2000+](2011/03/23 05:46)
[10] 第九話[心海2000+](2011/03/23 05:46)
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[17719] 第七話
Name: 心海2000+◆22d0e021 ID:1cfa5910 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/23 05:46
太陽が空高く見下ろしてくる。時刻はちょうどお昼頃だろうか。仕事が無い一日は、時間の進みが少し早く感じる。俺は本を床に置いて、外に出た。
先ほどまでは窓から漏れた日の光を眩しいと感じていたが、外に出ると直接当たるのでさらに眩しく感じる。
日中、お昼時。屋台や飯所がさぞや繁盛しているかと思って行って見る。

街の中は別に屋台や飯屋があるだけで、そこまで賑わっているわけでも無かった。だからと言って沈み込んでいるわけでもない。
変に活気付いてしまうと犯罪も酷くなるからだろうか、この街ではあまり積極的な商工業の奨励は行われていないようだ。
ここ、廬江の人口がそこまで多くないので、そもそもの需要が無いと言うのもあるかもしれない。
ただ、所々から漂う食事の匂いは、俺の鼻腔をくすぐって食欲を掻き立てるのは事実だった。

俺は、その商店通りでお酒を一つ購入しておく。それと簡単に食べられる物。食べる方は俺のためだけど、酒の方は違う。俺は酒は嗜まない。
チャポチャポと音を立てつつ買ったばかりの肉まんを頬張る。蒸してからあまり時間が立っていないはずなのに、あまり熱くない。少し熱が残ってるか否かと言う感じだ。少しションボリとしてしまう。
もぐもぐと食べる。別にそこまで美味しくは無いが食べれないほどじゃない。熱々が食べたかったが、時間が合わなかったんだから仕方ない。
饅頭系の店は他にもあるが、さらに食事を買う金は無い。はっきり言うが熱いのが食べたくてお金を使うとか言う馬鹿なことは出来ない。節制は重要なことなのだ。

俺は商店街を抜けて、住宅街をさらに越えた所にある門まで来た。
四つの門の北。そこの近くにある階段を上まで行けば、広大な野原が一望出来る。
そして、そう言う所には大抵兵士が見張っているものだ。
今回は、見た顔。


「やぁ、どうも」


挨拶をする。相手は一応顔見知りなので、そこまで礼儀正しくする必要は無い。これがそうでないと、色々と敬語を使ったりして気をつかう。
この人に関しても初めのうちは、中々に気を使いながら会話したものだ。今ではそれなりに仲の良い相手となった。


「ん?あぁ、卯金殿か、また何か話を聞かせて欲しいのかな?」

「えぇ、前回の話も面白かったし、為になる話ばかりだったのでまた来ました。あぁ、これは差し入れです」


そう言ってお酒を差し出す。話を聞かせてもらう代わりに、こうして色々と物を渡して俺は警邏達と仲良くなっている。
とは言っても、別に中の良い警邏兵がそこまで多いわけでは無いし、何より街中を巡回している人とは全く接点が無いので知り合いにすらなっていない。
と言うか街中を巡回する人物は、それこそ巡回が仕事なので話を聞くのに最適とは言えない。だから、門の上で暇を持て余している警邏兵に的を絞っている。


「おぉ、酒か。最近飲んでなかったな、そう言えば。いや、いつも悪いな。こっちはただ話をしてるだけなのに」

「一応官吏を目指してるもので。人の話は聞いておかないと。書物だけじゃわからない事もありますからね」

「そうだろうとも、そうだろうとも。まぁ、そこに座って。今回はそうだなぁ、アレだな……。あー、どんな話をしたら良いんだ? 何が聞きたい?」

「前回は夜盗討伐の話でしたね。今回は……そうですね、太守様についての話を聞かせてもらえませんか」

「太守様? 太守様か。私はそんなに位が上じゃないから直接あった事は無いし、噂とかが中心になると思うけどかまわないか?」

「大丈夫です。お願いします」

「太守様はなー。そうだなー。何かあんまり噂が流れて来ない人でな。昔は兵を率いて自ら戦闘に参加していたと聞くんだが、実際に見た事は無いな」

「俺はこの街に来て日が浅いんでまだよくわからないから聞くんですけど、統治とかはどう思います?」

「統治な。うん、上手だと思うよ。住人同士のいざこざに対してもちゃんと耳を傾けてくれるし、何よりちゃんと法律を守らせるし賄賂も横行してないしな」


俺がやってる事は賄賂スレスレな気もするけどな。兵士に勝手にお酒を振舞ってるんだし。
まぁ、でも、それで俺が利を貪ってるわけでも無いし、そこまで問題無いだろう。これで推挙とかさせたら最低だけど、この人にはそんな権限ないしな。


「基本的には当たり前の事を当たり前のようにして下さるお方だな。趣味とかもあまり聞かないし、私腹を肥やすと言う事もあまりなさらないな。
街に住んでいる私としては悪くないと思ってるよ。それに仕事もやりがいがある」

「なるほど……」


この時代で賄賂をしてないと言うのは大きいな。もちろん、全てを摘み取れているわけじゃないだろうけど、本人がやるのとやらないのとでは全然違ってくるだろうしな。
それに私腹を肥やしはしない、と言うのも好印象だ。もちろん、有る程度は必要だとは思うが、行き過ぎるとマズい。ここではそう言うことも無いのか。


「良い人そうだなぁ。試験の時には会わなかったからなぁ……」

「あぁ、そう言えば試験受けたと聞きましたぞ。残念な事に落ちたとも聞いたが」

「落ちました、まぁ、次の機会まで待ちますよ」

「卯金殿はまだ若いし、機会はあると思うから気を落とさないようにな。それに、こうして色々と話を聞いてるんだから大物になるって」

「大物かぁ……。でも、まずは下っ端役人でも良いから雇ってもらいたいもんですけどね、こっちは」

「気持ちはわかる。俺は本屋とか行かないから全然わからないけど、やっぱり仕事はきついのか?」

「仕事ですから楽では無いですよ。ただ生活出来る分はきちんともらえるから問題は無いと言えばないですけどね。
それに知識が深まるから一石二鳥ですかね。本も最近はよく売れてるようだし」

「そりゃあ、あれか。陸家名義で大量に買われてるって奴だろ? 太守様の親戚筋のお方が本好きとかで」

「そう聞いてますよ。やっぱり、太守様の親戚筋ともなるとお金の使い方が違いますね。かなりバンバン買ってってますよ」

「はー……ま、いずれこの地を引き継ぐであろうお人ですし、当然と言えば当然か。今のうちに勉強しておくって感じなのかなー」

「…………? アレ、太守の任命は都が決定してませんでしたっけ? 世襲は確か認められてないはずじゃ……」

「……ここだけの話だぞ?形式的には認めていないが、多くの場合はそうなるんだ。何故なら、この辺りの土地を切り開いたのは陸家と他の三つの家が中心だからな。
川を越えた先の土地は最近は孫堅様が治めてらっしゃったけれども、その基礎を築いたのは陸家とその他の豪族の人達だ。
その功績で形式上は都で選ばれた人がと言う話になってるし、州牧に就く人は多くの場合は都で権力のあるお人だが、ここら一帯の太守となると話は変わって来るんだ。
江東の地も、陸家が治める権利を持っていると言っても過言じゃないくらいだ」

「元々は陸家が治めても良いほどに貢献していた土地だったと。けれど、今は亡き孫堅様が江東を治めていたんでしょう?反対意見は出なかったんですか?」

「まぁ、実際に一時期、江東の有る一帯を陸家が治めていたらしいんだ。と言っても本当に治めていただけで異民族との衝突が頻繁に繰り返されていてな。何度も征伐に出てる。
最近みたいに江東が落ち着いたのは孫堅様の代になってからだからな。そう言う意味では認めてはいたらしいし、何より周家が孫家が仲が非常に良かったからな。陸家は文句は言えないよ。
それに預ける事でこの地域一帯が安定するなら、それが一番良いと判断されたのさ。今の太守様は民をきちんと見てくれる人物だしな」

「なるほどー、だからいっぱい本を読んでるわけですね。確かお名前は陸伯言様とか」

「そうそう、伯言様。ただ、本を読んでるって言われるけどそれにしては外でよく見かけるんだよな。体が弱いのか、いつもちょっと熱っぽい感じでさ。本当に大丈夫なのか心配だけど、頭はそうとう良いらしいからな。問題は無いだろう」

「噂では伯言様は武も嗜まれるらしいから、訓練の後なんじゃないかな」

「あぁ、なるほど。確かに、そうかもしれない。訓練の帰りなのか。武にも勤しんで文も行うお人か。実際に太守にならないとわからないが、ここ廬江は安泰かもしれないな」

「廬江の未来が明るいと思うと、来て日が浅い俺でも安心して暮らせると言うもの。今日は色々と有意義な話をしてくれてありがとう」

「いやいや、こう言うのは兵士とか下っ端の文官ならすぐに聞こえてくる話だから、こんなんで良かったらいつでも聞かせてやるから、また何か用があったら言うんだぞ。出来る範囲なら協力するからさ」

「ありがとう。それじゃあ、俺はこれで」

「おう、気をつけてな」


■■


「元気にしてましたか?」


声をかける。厩舎で馬を洗っている音が止み、その中から一人の老人が出てきた。薄汚れた服を身に纏った老人だ。


「おぉ、卯金さんかね。どうなされた。また話を聞きに来てくれたのか?」

「あなたの話は聞いていて面白いですから。従軍経験なんて、文官志望の俺には新鮮で新鮮で」

「いやぁ、もう歳とってあんまり鮮明には思い出せねぇんだけどな? ほら、座って座って」


そう言って切った切り株の上に俺を促す。もう何度か座っている定位置なので、俺も遠慮なく座る。
目の前にもう一つ大きな切り株があり、そこにお酒と持っていた毛繕い用の道具を置いて座った。


「よいしょっと。ふー、ちょっと歩き詰めで疲れてたんで生き返りました。これお土産のお酒です。あ、この前みたいに話してる最中で飲み始めないで下さいよ? 大変だったんですからね、あの後」

「あー、すまんねぇ。じゃあ、これは後でな。それで、今日はどんなことが聞きたいの?」

「お爺さんは、この街に暮らして長いんですよね?」


俺がそう言うと、少し言葉を反芻してから大きく首を立てに振る。
うん、うんと何度も思い返すように首を振る様は、自らの生きた年月と人生を誇りに感じているようにも見える。


「長い、長ーいよ。生まれも育ちもココだからね」

「太守様について聞かせてもらいたいんですよ。何でも昔は軍を率いていたと聞いたものですから」

「今の太守様が? あぁ、そうねえ。今の太守様がこの町の太守になったのはね、最近と言えば最近なの。
10年立つか立たないかくらいなのよ。だからね、軍に入れてもらった経験は無いね。ただ、噂は聞こえてたよ」

「噂?」

「そう、あの、でっかい川。あれ、海だと思ってたけど川なんだってね? まぁ、あの川を越えた先にある街で頻繁に戦争が起きてて、皆疲れて逃げてくるのよ。川を渡って。それでー……」


言葉に詰まる。時々、思い出すのに苦労するのか、言葉じりがつっかえてしまうのだ。


「あぁ、そうそう。それで、こっちに来た人が皆言うの。数が違うって。まだ今みたいに安定してない頃だから、わしらと同じのじゃなくて、他の人達がね、多いのよ。
だから、治安も悪かったって聞くよ。その頃のあの辺りの太守様が今の太守様なの。
あの太守様がこっちに来たのは、孫堅様が活躍し出した頃だねえ。だから、今の太守様が軍を率いたって言うのは、多分そのことだね。
努力はされてたと思うんだけど、太守様は優しいからあんまり戦争には向かないと思うよ」

「会った事あるんですか?」

「ある。今の太守様は、今はあんまり表に出てこなくなっちゃったけど、昔はよく街に出て色々と話しを聞いてたのよ。
多分、不安だったんだろうね。あっちで上手くやれなかったから。それで、凄く小さな事でも自分で進んで出てきて、皆すぐにこの人は良い人だーって思った。
それで、太守様に従うようになったの。そうすると治安とかも安定するし、何より孫堅様が頑張ってくれたおかげで川向こうからの流民も減ったから、太守様は安心して執政出来たんだろうね」

「なるほど……」

「それと、太守様は本当は川向こうでもう一度やり直したいって思ってるんじゃないかなって思う。
元々、あそこの土地を切り開く努力をなさってて、今ようやく実を結び始めたからね。もしかしたら、孫堅様の死が切欠であっちに行っちゃうかもね……」

「思い出深い地だと」

「だろうねえ。やっぱり、一番頑張ってたのはあそこ何だろうね。戦争の才能があれば違ったのかもしれないけど、やっぱり従軍した身から言うとね、優しすぎる将軍は勝てないのよ。
兵を死なせないから。わしもそう言う将軍に連れられた事あるけど、あの時は酷かったなぁ……。優しくしたいのはわかるんだけど、優しくしすぎると全員死んじゃうからね。
卯金さんは多分、軍なんて関係無いと思うけど、もし良い地位にいったら気をつけるように新米の将軍に教えてあげてね?」

「えぇ、そうします」

「もう太守様については話す内容なくなったし、仕事まだ残ってるから、今日はもう帰りなさい。また来た時に、暇ならお話するから。お酒ありがとね」

「いえ貴重な話をしてもらって嬉しかったですよ。それじゃあ、ありがとうございました」


■■


遠くに日が落ちるのが見える。城壁の上。確固たる太陽の円が揺らぎ、世界は赤く染まる。赤く染まるのが、光の波長の関係だと証明されるのはずっと先の未来の事だ。
よく通る風に砂が混じってうねる。乾いた空気が肌に心地良い。住宅地を見れば、ポツポツと明かりが灯るのが見える。それは、どの時代でも変化しないものだ。

買ったお酒はもう無い。全て配り終えた。今日一日、多くの話を聞くために買ったものだ。その意義は果たせただろう。
城壁に体を預けつつ、色々と思い返す。例えば、それは人々の営み。例えば政治の動き。例えば警邏の仕方。それら全ては、本来は知っていて当然の物なのだろう。生活と密着している物なのだろう。
もし仮に皇帝たるものが、これを見たことが無いのならば、語る言葉の多くが空虚に満ちている事だろう。人の話や書物だけでは理解出来ない境地が確かにそこにある。

書物には書いた人間の息遣いが満ちていても、実際に人の動きは時代と共に大きく変化していってしまう。それを捕らえる事は時が止まった書物には出来ない事だ。
人に聞いた話だけでは物事は図れない。その人間の気持ちが大きく入ってしまった眼では、全体の動きは見えない。巨視的に見れば小さいものが見えず、小さい物からは大きさがわからない。
結局のところ、書物を読み解いても人の話を聞いても、最終的に必要になってくるのは経験だ。俺には圧倒的にそれが不足している。


「経験。知識。知恵」


三つ揃っても人は大事をなせるかは才覚による。俺は何処まで物事の根本を引き出せるだろうか。
感傷的になるのは世界が綺麗だからだろうか。それとも、遅々として進まない己の道程故か。物事が思い通りに進むなどと思ったことは無いが、それでも漠然として捕らえ難い何かを追いかけている気がする。
目標が見えている方が、歩くのも楽だと言うものだ。ただ何も考えずに歩き続ける事は精神的に辛いものがある。休もうかと言う誘惑もある。やめてしまおうかとも思う。

逃げ道が常に目の前にあると言うのは、個人として考えればとても恐ろしい事だ。人がいつ何事をやめて良いのは恐ろしい。奮起するよりも逃避することの方が容易だからだ。強い感情や精神性が、必要になって来る。
それは、まだ懐に仕舞い込んだままだ。それを出すのは早いと俺は思っているが、もしかしたら胸の中で既に腐りきって残骸すら残っていないかもしれない。
必要なのは剛直さよりも流動性だ。強い力を持たない者が意固地になった所で何の意味も持たない。強い土台の無い強さは強さとして認められない。当たり前の事しか言っていない。


「強くなる。その為には、まだ俺が足りてない」


強さとは、将を率いる事か。兵を率いる事か。民を率いる事か。
今は自らの弱さを率いて旅の途中。



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