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No.17719の一覧
[0] (ネタ/転生) 劉宏伝 (真・恋姫†無双)[心海2000+](2011/03/23 05:43)
[1] プロローグ[心海2000+](2011/03/23 05:44)
[2] 第一話[心海2000+](2011/03/23 05:43)
[3] 第二話[心海2000+](2011/03/23 05:45)
[4] 第三話[心海2000+](2011/03/23 05:44)
[5] 第四話[心海2000+](2011/03/23 05:45)
[6] 第五話[心海2000+](2011/03/23 05:45)
[7] 第六話[心海2000+](2011/03/23 05:45)
[8] 第七話[心海2000+](2011/03/23 05:46)
[9] 第八話[心海2000+](2011/03/23 05:46)
[10] 第九話[心海2000+](2011/03/23 05:46)
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[17719] 第四話
Name: 心海2000+◆22d0e021 ID:4302e8ed 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/23 05:45
筆を動かして字が出来上がっても、前世の影響で文字はどうにも丸みを帯びてしまう。漢字の多くも崩すと言う事が苦手で文化的に見れば悪癖の部類になるだろうか。
後世の人にとって読みやすいかもしれない俺の字は、この時代に完全に溶け込む事はしない。
文字一つ取ってみても俺にとってこの世界は生まれ故郷と言うわけではない現実が常に付き纏って来る。一概の寂しさを感じる事は、別におかしい事では無いだろう。


「……っと。この内容でなら、名士を束ねる事も出来るだろうな」


内容に関しては長すぎるので要約するが、要するに連盟確約状みたいな物だ。清流派名士の多くを動かせる力はあるだろう。
……その時に、漢の力が残されている事が条件になるのだが。
しかし、もしその時に既に力を失っていても漢は漢。名分だけは立つ。そうなれば多くの人物が、この曹操の下に募る。
人材好きの曹操としてはどうしても欲しい一筆だろうと思ったので先に渡しておく事にした。


「もしも漢に忠誠を尽くそうとしている有能の士に出会った時に使えば良い。きっと君によく尽くすようになるだろう。まぁ、余程の人物でない限りは使わない方が良いかもしれないがな」

「ありがとう、これがあれば確かに人を動かす事も出来るわ。本当は勅が一番望ましいのだけれど」

「勅は天子が出す物であって俺が出す物じゃない。もちろん一番望ましい形はそれだが、偽勅を作るにしても宦官の目が光っているから正直難しいだろうな」


そもそも俺の立場は江戸時代の部屋住みに近い。いわゆる公認ニートだが、その生活の多くは悲惨である。江戸時代の部屋住みの多くは家から出られず、家中では穀潰しと罵られたりする。それが仕事だ。
全くニートも楽じゃないぜ、と呟く資格があるという希少な存在だ。そもそも好きで部屋に住んでいるわけでは無いのにそう言う扱いだ。部屋住みも当たり前だが結婚したり子供も出来たりするのだが、その後悲惨な目にあう事が多くて正直、世の無常を感じたりもする。

俺の立場はまさにこれで、いわゆる公認ニート……のような物だ。似たような立場の人間で有名なのは韓非子がいる。この時代だと、まだ韓子と呼ばれていた気もするが、この世界であんまり細かく考えても意味は無い。
この世界は変な所は律儀に同じなのに、何処か平然と意味のわからない事が同居している世界でもあるのだ。
例えば今さっき普通に紙を使って物を書いたりしている所とかね。ちなみに部屋には鏡が備え付けられていたりもした。俺の王宮生活とは一体何だったのか。問わずにはいられないが……今はやめておこう。

話を戻す。韓非子は、韓という国の諸公子であり、諸公子と言うのは、まぁ、身分の低い家で生まれた人間や外戚の支援が無いため一生を不遇に過ごさなければいけないような人々の事を言う。
俺に関しては少し特殊で外戚が既におらず俺に対して資金援助をする人間がいない。さらに俺の系譜を辿れば何代か皇帝を出している家柄なので家柄に関しても決して悪くないはずなのだが、俺以外の人員は既に全員お亡くなりになっている。そして俺に昔から仕えてくれている存在なども別にいない。
要するに今現在経済的に自立しようにも商人や農民に身を落とすしかない。それでは話にならない。ダメだしで自由に外に出れない制限付きだ。どうやって権力を持てと言うのか。この状態まで持って行かれた時点で俺の負けはほぼ確定である。宦官は朝廷政治をよくわかっていると言わざるを得ない。

韓非子に関しては俺ほど酷くは無いが同属なので悲惨な事に変わりは無い。しかもその当時韓の国は貧しく財貨、糧食に乏しい状態であり待遇は悪かったと伝えられている。
そこで韓の国で大活躍!となればまた話は変わってくるのだが韓非子は生来口下手で、何度忠言しても聞き入れられる事が無かった。
なので出世に恵まれず、学友に誘われて秦に赴いて色々忠言したらそこの王に気に入られて、これから日の目を見るかと思えばあっさり謀略にかかって投獄、自殺と言う偏析を辿る人物だ。
俺も形は違ったとしても、謀略に関しては似たような事が起きてもおかしくなかったのだと思うと非常に胸が痛い。口下手じゃなくて良かった。人を説得出来る実力があって良かった。俺はまだ恵まれている。
まぁ、その様に色々と恵まれない上に悲しみの人生を送るのが我々部屋住みである。そんな部屋住みだが、一応俺は天子候補なので本当に、本当に名前だけは十分使うに値する。
今の政治状況は宦官が取り仕切っており、天子の入る余地が無い。皇帝の徳が民に届かない。立ちあがって今中枢に住まう宦官を排除してくれ!と言う発言がもしあったら立ち上がる大義名分には充分足りるのである。だから俺がこうして、こんな謀をしているのだが。

……余談だが、桓帝には奥さんが3000人近くおり、もう貴賎だの何だのが入り乱れているが、そのせいで俺が今、こんな資金的に苦しい可能性がある。しかも生まれた子供は一人だ。しかも俺の世界では子供すら生まれなかった。
そう言う意味では劉宏が俺の世界で天子になれたのは奇跡だと思う。普通だったらなれないよなぁ……何か色々思う所もあるけどきっと天運とかあったんだと思うよ。使い方を間違い続けていたけど。


「それで華琳、俺の名前を使うのは良いんだが、一つ提案があるんだ」

「何かしら」

「……俺としては、それを名士に対して使うのは少々待って欲しいんだ。理由は……まぁ、わかるか」

「えぇ、例えコレを私が持っていても盟主になる事も無ければ政治的優位に立つ事も無いわね。これで得するのは今力ある名士だけで、私に得がないと言いたいのでしょう?」

「その通りだ。もちろん、それを上手に使えば政治的優位に立つ事も出来ないわけじゃないが、基盤が無いから危ういだろう。
そもそもソレは名に意味があるのであって君自身に意味がある物でも無いから奪うために君が危険に晒される可能性もある。だから、名士を先に集めてしまうのはマズい
俺は君こそがこの時代で最も強く輝くと思っている。なのに、他の人間に足を引っ張られては悲願を果たせない」

もしも俺が名士だったら、基盤の薄いこの少女なんてすぐに殺して自らがコレを持って盟主になろうと考えるだろう。もしくは圧倒的な物力や権力に物を言わせて合法的に奪っても良い。
今、これを使うにはまだ基盤が足りていない。華琳の基盤が、だ。土台が無ければ強く立ち続ける事も覇道を貫く事も出来ない。
親の権力をそのままそっくり引き継ぐ事は出来なくも無いが、いきなりそんな事をしても家臣は納得しないだろう。今からその作業にかかるとしても、少々時間がかかる事は否めない。


「だから、それを使うとしたら在野の人間にした方が良い。特に今の漢のあり方に疑問を呈しながらもどうにも出来ない歯痒さを感じている人間とかな」


この世界で起こったかは調べて無いからわからないが、俺の世界では少し前の時代に国を省みろと言った一人の人間がいる。その人間は身分が低かった。
地方の役人で、はっきり言えばそんな事をいえる立場の人間ではないが、自らの官職に努めるのではなく、国に仕えると言う気概がある。この時代は、下の人間が上に対して不満を持っている時代だ。
書生の多くは自らが仕えるに値する人材を求めて放浪し、義侠の人間もまた同様に世を憂えていない者はいない。そう言う時に俺の名前は役に立つだろう。同じ志を皇族も持っているとなれば、自らの願いは大義でもある。義見て動かざるは勇無き也。
それは勇ある者に動いて欲しいと言う俺の願いでもある。だから華琳なら、きっと上手く使ってくれる。


「まずは人材を集めて地固めをしろと言いたいのね。私はそれで構わないけれど……良いのかしら?」

「……そんな時間が残されているのか?と言う話か」


時間には俺も思う所がある。もしも漢を救おうと思うのならばそろそろ時間が足りなくなって来ている。救いの手を差し伸べる事が果たして出来るのだろうか。例え存続したとしても……天意なしと見做されれば皇帝の座は挿げ替えられてしまう。
天子と言うのは実に曖昧な物だ。人であり天である存在を、どう認識すれば良いのか。天運、天意、神懸り……仁義礼智信の全てを兼ね備える存在?
一体天子とは何なのか。だが、一つだけ決まっている事がある。それを選ぶのはいつでも人間であるという事だ。
天下は庶民の物、天下は全ての者。故に人が選んだ天が天子であるのか。天意は人を動かすのか。それとも、人は人の中に天を見出したのか。あるいは全てか。
だが、一つの天が終わろうとしている事は確かだ。俺は……選択し終わっているのだから、気兼ねなく実行すれば良い。


「時間は多分もうあまり無いが、それで良いよ。地盤固めを進めてくれ」

「……本当に良いの?」

「あぁ、良い。少し未練があっただけだから」


漢王朝の腐敗は、正せない場面まで来てしまっている。俺は……残せるのならば漢王朝を残したいと思いながら過ごしてきた。
だが、それは民の為であって間違っても漢王朝に名を残して欲しいという願いからでは無い。もしも漢王朝を残す事が世の為にならない段階まで来てしまったのならば、最後は俺の手で引導を渡そうとすら考えている。
もちろん、まだ救いはあるかもしれない。まだ間に合うかもしれない。そう信じないわけじゃない。でも自浄作用は恐らくもう無い。
ならば、どうするのか。名士に頼るしか無いのだ。外部の力でどうにかしなければいけない段階まで行ってしまったら、王朝の力は徹底的に弱まっている証拠だ。
一応王朝を保つ方法は幾つか考えていないわけでは無いが……全てを行うのは俺が朝廷から出ない限り無理だろう。


「未練ね……。未練と言うのは心残りとも言うと思うのだけれど、何か考えている事があったりするのかしら?」

「よくわかるな。もちろん考えたりもしているさ。実行に移せるとは思わないけどな」

「聞かせてちょうだい。今は貴方の思惑が凄く知りたいの。話を聞いたら面白そうだわ」


どうするか。話して良いものか。信用も信頼もすると決めたが、今話すのはちょっと心情的にな……。


「……触り程度なら、話すよ」

「えぇ、お願い」

「何をどう話すべきか……俺の考えではだけど、多分な、もうちょっとで大乱が起こる。そんな予兆を感じるんだ」


後に言う黄巾の乱の事だ。これは起こる事は恐らく確定しているのだろう。宦官勢力が幅を利かして庶人の暮らしは悪くなる一方。悪政が蔓延り、いよいよ民の生活は苦しくなって来ている。
これは、誰もが感じる事だ。そしてこれが三国志の世界と同一ならば、黄巾の乱は何かしらの理由で必ず起こるだろう。
それがどういう理由なのかはわからないが、しかし、ここを舞台として見ると起こると感じる事は多分間違っていないだろう。


「それは、例えば赤眉の様な大きな形となって王朝を破壊しつくそうと動く気がする。これは、大きな流れとしてほぼ確定事項なんじゃないかと感じるんだ。王朝に対する民の我慢は、かなり限界まで来ていると思うから」

「えぇ、そこまでは良いわ。続けてちょうだい」

「だけど、民主導で大きな流れと言うのは絶対に作れないと俺は思っている。反乱を起こすのはいつも頭の良い奴だ。赤眉に関しては反乱と定義されたのは後年で当時はただの大規模な賊集団だ。反乱ではなく、ただ荒らして奪うだけの存在……それが、民主導の戦だ」


一瞬、言うのを戸惑う。大それた考えだから。俺は大きな事を考えるのは好きだし、それを実行に移そうとする事は多々あるが、ふとした瞬間、そんな大きな事が出来るのかと自問自答してしまう。
本当に俺が考えている事が出来るのか。俺の手に余るのでは無いか、そもそも、今考えている事は人々にとって害悪になりえるのでは無いか……そんな風に考えてしまった。
それでも、口からは出ていた。それはきっと、自らの心の内側を誰かに見せたかったからかもしれない。


「俺はその賊に、意志を与えたい。俺が動かす、軍隊にしてしまいたいんだ」


告白してしまえば、俺は黄巾党の全て奪ってしまいたい。起こる事がわかっている大乱。大きな時代の変動。人災と言う形でのゴング。その人災を己の物にしたい。
欲しい、あの軍事力が。熱狂が。苛烈さが。現体制に対する怨みに燃えたあの力が、俺は欲しい。不満の全て。吐かれる感情の波。
俺、俺は……この手で人災を起こしたいのだろう。人心と言う大義名分を得て、現体制を引っ繰り返したい。その第一歩として、怒りに燃える民を利用したいと考えている。


「その為には、俺は宮廷から出ないといけない。けど、宦官に見張られていて出られない。もしも機会があるとしたら今しかない。近衛兵を殺して、俺は、自由になりたい」


眼に意志が宿ってきた。あの日、置いてきた物が心の中に舞い戻るようだった。苛烈さは俺と共に、まだあった。
捨てて来たのでは無いのだから、あるに決まっている。今まで心の奥底にしまっていただけだ。それは風化なんてしていなくて、何処までも大きな狂気。
大きさを測って一切物怖じしない度量。劇物を扱って一切躊躇わない冷徹。人の感情を食って成長する意志。俺の中に、禁忌はあるのか。


「怨嗟を力にしたい。他人の恨みや怒りを統べたいという欲求が俺にはある。それは大きな力だから。時代の唸り声だからだ。変革を求める声に、俺は応えてやりたいんだ」


小市民の声はどうしても小さい。今のような体制ならば、尚更だ。それを無理すればどういう事になるのか、知っているから俺が彼らを統べる者になりたい。
徳では無い。この感情は、美しい何かじゃない。恐ろしく汚らしい何かだ。俺は、大事な何かを前世に置いて来たのかもしれない。それでも、人を助けたいと言う想いには真摯だ。
それは……………俺の小さな矜持。その為なら、命を投げ出してやったって良いと感じているほどに。


「なぁ、華琳」


息が熱い。体全体が熱に支配されている。


「俺を、自由にしてくれないか」

「……えぇ、喜んで」


覇王は、優しく微笑んでくれた。
俺は、どんな顔をしていたのだろうか。


■■



近衛兵の始末に時間はかからなかった。人を殺したことに関して色々と思う事もあるが、俺がやろうとしている事はこれよりも多くの命を奪う事だ。既に覚悟は終わっていると言っても良い。
俺は自分が着ていた服だけを脱いで、適当に切り裂いた後に近衛兵の血で濡らしてた。こうする事で、俺の生存を疑われないためだ。捜索隊が来て発見するのは、血まみれで貴重品が取り外された服と近衛兵だけである。
賊の仕業にするに違いない。これが華琳の領地内にあるとマズいので、全く関係ない方向への道に捨てておく。ついでに一筆書いておいた。
曰く、俺を匿ってくれると言ってくれてありがとうと言う手紙である。誰が、とは一切書いていない。しかも華琳の領内とは全く別方向だ。疑われる事もあるまい
。華琳の方も知らぬ存ぜぬで通すだろうし、何より俺は遅れて来たので清流派名士で俺を確認した人物はいない。
そもそも宮廷内で名士と会っていないので俺が俺だと気付く事が出来る人間は数少ない。俺を皇族だとする証は持って来ていた宝剣だけ。
ちなみに実用性は皆無だ。鞘には宝石がゴテゴテつけられていて、刃も使い物にならない鈍らだ。
ちなみに名前を書いた紙に関しては信用出来る人物には本当の事を話して、信用できない場合に関しては遺志を継ぐとでも言えば良い。大義名分がある事が大事なのである。


「華琳……ありがとう。ようやっと宮廷から開放された。長かったけど、今は清々しい気分だ」

「元々無かった政治的価値が更に減ったわね。使えと言っておいて自ら価値を手放すなんてどういうつもりなのかしら?」

「耳が痛いなぁ……。まぁ、あの文書があるって事で少しの間我慢してくれないか?」

「……少しの間だけよ?私はあまり気が長い方じゃないのだから」


そう言って微笑む。俺もほうも微笑み返した。良い関係を築けそうだ。きっと……世界は良い方向に向かうと思わせてくれる。
空を見上げた。明るい太陽。眼を細める。広い大地は俺を待つ。この世界に大乱を起こすなんて……きっと愚かな事なのだろう。それでも、やらなければいけないという使命感だけは確かに持っている。
俺の意志は、この世で最も大きくならなければいけない。全てを包み込む度量が無ければならない。俺の意志は―――大きく、大きく。大局に向かって歩まなければいけない。
せっかく、華琳が俺の為に機会を造ってくれたのだから。


「……じゃあ、行って来る。手紙は定期的に出すよ」

「えぇ、頑張ってらっしゃい。私も、速やかに基盤を固めて見せるわ」


固い握手。前は盟約の証として。今回は期待に応える事を約束して。
あぁ―――今日は良い天気だ。




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