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No.17719の一覧
[0] (ネタ/転生) 劉宏伝 (真・恋姫†無双)[心海2000+](2011/03/23 05:43)
[1] プロローグ[心海2000+](2011/03/23 05:44)
[2] 第一話[心海2000+](2011/03/23 05:43)
[3] 第二話[心海2000+](2011/03/23 05:45)
[4] 第三話[心海2000+](2011/03/23 05:44)
[5] 第四話[心海2000+](2011/03/23 05:45)
[6] 第五話[心海2000+](2011/03/23 05:45)
[7] 第六話[心海2000+](2011/03/23 05:45)
[8] 第七話[心海2000+](2011/03/23 05:46)
[9] 第八話[心海2000+](2011/03/23 05:46)
[10] 第九話[心海2000+](2011/03/23 05:46)
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[17719] 第一話
Name: 心海2000+◆22d0e021 ID:4302e8ed 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/23 05:43
そうだ、将来の偉人に会おう。
そう思い立ち、洛陽を出る事にした。ちなみに6歳なので、もちろんそんな勝手が許されるはずもなかった。
仕方ないので自らの身を守れる程度に武術を習おうとしたが王族なのでダメと言われた。あと、王族としての自覚が足りないと凄く怒られた。
全て正論なので何も言えないのだが、どうにも王族の規則やらなにやらは苦手だ。元々が小市民なのに王族として生きると言うのは色々難しいと感じる。
周りの人間の扱いも慣れないし、娯楽は毎日やる勉強だけ。勉強が娯楽と言うのは非常に不健全だ。出来れば外に出て遊びたい。
遊びたいが、そもそも後宮から出してもらえる事が稀だ。相手は皇后か宦官だけ。そりゃあ皇帝も宦官びいきになりますがな。これ体制が悪いんだって。他に頼れる人いないじゃん。
宮殿内でも実際に働いている人には中々会えないし。強いて会いたいなと感じる人物となると……。

「やぁ、曹騰。勉強が終わったから、また市中の事でも聞かせてくれないかな?」

「これは、これは……えぇ、喜んで話させていただきますよ」

曹騰かな。まともだし。それに曹操のお爺さんだし。ちなみに曹操は既に生まれているらしい。可愛くて仕方ないそうだ。
ちなみに、曹操に兄はいるのかと聞いたらいないと言っていたので本格的に別世界のようである。ここは後漢っぽい何かだな。俺、天子になれそうもないし。

「勉強はしてもしても頭から抜け出る。教える方も教えがいが無いだろうな」

「いえいえ、出来の悪い生徒ほど可愛がりたくなる物です」

「はは、これ以上可愛がられてもどう対応して良いかわからないよ。俺は充分に甘やかされているからな。本当は市中に出て色々と学んでみたいのだがなぁ、どうにも頭の固い者達ばかりで困る」

「劉宏様は自由であられますな」

「自由。そうだな、心はそうかもな。最近になって色々な事が吹っ切れたんだ」

「吹っ切られた、ですか。吹っ切れて道が見えたのですかな?」

「逆。あると思っていた道がふと消えたよ。だから嬉しくてね。俺が生きる道は天に決められていると思ったが、どうやら天はそう思っていなかったようだ。そして、それを理解した俺の心は自由だ。他人は縛ろうとするが、今後はもっと色々やるぞ」

「これ以上、劉宏様が自由に振舞われたら教育係りは大変でしょうなあ」

笑みを浮かべている。気持ちの良い笑顔だ。老いて皺のある顔がどうしてこうも美しく見えるのか。
人柄の良さを顔で判断できるほど俺は慧眼では無い。この男とて心の奥底がどうなっているかなんて俺にはわからない。黒い思考で俺を眺めている事だってあるだろう。
しかし、例えそうだとしても見られて嬉しい笑顔と言うのはある。憎めない笑顔は歳を重ねた形だろうか。それとも自然体でこうなのか。好漢とはこういう男を言うのかもしれない。

「なぁに、問題ないさ。もう少しすれば俺は俗世に出る予定だ。あ、これは他の者には内緒だぞ?こんな事を言っているなどと言われたら怒られるからな」

「まったく、この後宮にいて俗世に出たいと思うその心は何処から出てくるのですかな?」

「不思議か?」

「不思議ですな」

今度は俺がニコリと笑う番だ。俺の笑顔はどうだろうか。良い笑顔だろうか。客観的に自らの笑顔を論じられるような人間ではないが、しかし、俺の笑顔は無垢であると信じてはいる。

「簡単だ。勉強すればするほどな、民が大事だと語るのに王族だからと言って外に出さないあいつらが矛盾してて嫌いなだけさ」

純粋に、覚悟を一度決めて反故にされたから居辛いと言うのもあるけどね。

■■

劉志はいまだ健在だが、名士と宦官の戦いは激化している。まぁ、名士と言うのは豪族で豪族に力があるのは確かに王朝としてはマズいのだが、だからと言って宦官に力が行き過ぎるのもマズいのだ。
政治とはバランスが重要なのであって、どれかに突出した政治形態や権力集中は大抵衰退の一途を辿る物だ。
これをどうにかしようにも、そもそも俺には名士の知り合いなどいないのだ。後宮から出て名士の中に入るのは別に悪くは無い。
悪くは無いが……誰に会えば良いのかはわからない。結局、知り合いは宦官だけ。何度も言うが体制が悪すぎる。
とは言っても宦官が全て悪いわけではない。人間なのだから当然有能なのも居れば凄く公務員気質なのもいる。宦官の全てが悪いわけではない。
前世では宦官=悪と言う見方が主流ではあったが、そもそも名士に力をつけさせてどうするの?と言う話もあるのだ。
名士の多くは豪族であり、豪族が力をつければその代わり衰退するのが王朝なのである。力をつけた豪族は、そもそも従わない。誰が自らより力の低い者に頭を下げるというのか。
もちろん、後漢の制度によってソレらはかなり緩和はされているが、皇帝に成り代わりたい者なんて腐るほどいるだろう。

「ふー……大変だぁ」

結局のところ、世が乱れれば割を食うのは民なのである。俺は小市民の出……のような何かなので出来ればそういうのは食い止めたい。俺が皇帝になればそういう事も出来ると息巻いていたが既にその機会は失われた。
世の中を正そう等と大きな事を考えるのは馬鹿の考える事である。そんなの、わかるはずがない。そう切って捨ててしまえば今日から俺は馬鹿で良い。だが、それはどうしても嫌なのだ。
俺が転生した事に意味があると思いたい。そもそも、二度目の生など本来人にはいらない物である。人生は一度で良い。余分な物だ。余分な物なのだから宵越しの銭を持たぬと言い放ち使うのが本来の使い方なのかもしれない。
しかし、人生は……重たい。何度も失敗をして、成功して、成功に溺れたり失敗に嘆いたり……そこには俺の全てがあって、それを背負って俺は生きてしまっているのだ。
どうして適当に生きる事が出来ようか。どうして人を苦しめて楽に生きる事が出来ようか。俺には出来そうもない。
死んで三欲はかなり減ったが、今はどうにも高潔な生き方をしたいと願うようになってしまっている。
もちろん、この高潔は前世に照らし合わせてなので、この時代背景には合わない。だから、きっと思った通りにやったら色々と文句を言われる事だろう。
だが、それが良い。誰も理解出来ない行動をとる俺を見て人がどう対処するのか知りたい。そして、それが国のため民のためと言う視点で行っていると気付く人間が出てくるのかどうかも見てみたい。

「大変だけど……やりがいはあるよな」

一日が楽しみになる。味気ない日々が鮮やかになるような気がした。
それでも今はこの灰色の宮殿に留まるしかないのだけれど。

■■

宮殿から見える世界はひどく狭苦しい。一日を家の中で過ごし続ける事に等しい。それでもパソコンがあれば、色々な方向で人と交わる事も出来るのだろうが……そんなものがこの時代にあるはずがない。
狭い世界でわかる事は、深いかもしれないが応用は出来ない。治世においては問題ないかもしれないが、世が乱れ始めている今にはふさわしくない。深化が悪いのではない。狭い事が悪いのだ。
狭い価値観は狭量な人間しか生まない。己の限界を決めてしまえばそれ以上に広がれない。人の選択肢は多くて然るべきなのだ。多すぎる選択肢は無いに等しいかもしれないが、それでも選択出来る事は幸せな事なのだと思い知る。

「宮殿は全てが集まるが何も無いな、曹騰」

「劉宏様は時々よくわからない事を仰られますな」

「そうだろうか。曹騰ほどの人物なら意味がわかると思うが」

文字の練習をしながら答える。最近は暇なので写本ばかりしている。写本しても書いてある中身の半分も理解が出来ないが、ただ文字を追うだけと言うのも、それなりに楽しい物だ。
写本した内容は、曹騰に渡して好きに使ってくれと言ってある。清流派の人物に渡すのか、それとも曹操が読む事になるのか。何にせよ、賢人は本を読む。いずれ俺の行為が間接的に役立つ事もあるだろう。

「さて、私のような者が憶測で物を言う物ではありませんからな」

「憶測でと言うが曹騰が考え付いた答えは多分正しいぞ。ただ、それを言ってしまうのはマズいがな」

「そうですな」

「認めたな?ふっ、やっぱりわかってたんじゃないか

「ほほ、そうですな」

硯にて使い切った墨汁を作るために水を入れる。と、既に墨汁を用意していたのか曹騰が既に作られた墨汁を俺に渡してきた。心配りが絶妙。

「……曹騰の教育を受けた人間がどんな人物に育つか見てみたい気がするな。あぁ、もちろん才ある者という意味でな」

「ふむ…………それは私の子供を見たいと言う意味ですかな」

「はは、わかるか。いや、実際に教えているのは君の義息なのだろうが……君はきっと孫に影響を受けさせずにはいられないのでは無いか?」

「はて……?私に義息はおりませんが」

「……は?」

あ、あれ?息子いるのではないのか?じゃあ生まれた孫って何者?

「私が養子にしたのは夏侯の娘ですが」

「……聞くが、孫は男だったかな。女だったかな」

「女ですが」

「名は曹操で良かったな?」

「えぇ、そうですが。何ですか、今まで男だと思っていたのですか」

「うむ、その通りだ。凄く勘違いをしていたようだ……」

……この世界は後漢じゃない。やはり、ここは後漢っぽい何かだな。間違いない。曹操が女だったり劉志に子供が出来たりと意味がわからない……。
意味がわからないが二度目の人生だ。これくらいの意味分からなさがちょっとだけリアルだ。人生万事上手くいくと思うなよ?と言われているようで何処か心地良い。

「まぁ、男だろうと女だろうとどちらでも良いわ。優秀なのだろう?」

「それはもう。将来、私を越える器と思います」

「ふふ、君を超える器か。現皇帝でも扱いに困りそうだな。それが中央に来たら宦官が好きに振舞う術は無くなるかもな」

「またその様な……」

「良いでは無いか、言わせてくれ。今現在、宦官に力が行き過ぎているのは確かなのだ。それを直す劇薬として君の孫が出てくるのだとしたら、中々運命的ではないか」

「運命的……ですかな?」

「皮肉と言っても良い。宦官の権力が増えて養子を取れるようになったから、宦官が横暴を振るう事が出来なくなる。面白いとは思わないか?」

「そもそも宦官が権力を持つ事が間違っております。自然体に還るだけでしょう」

「宦官の君がそれを言うか。さすがは清流派に好かれる宦官だ。今政を行おうとしている者とは違うな」

カラカラと竹簡を回して横におく。長々と文章を書いていたせいか腕が痺れている。筆は中々どうして重たいし、斜めにして書くと字が竹から溢れてしまう。
だから背筋を伸ばし、筆を出来るだけ真っ直ぐにして書く必要がある。これが慣れないと中々大変な作業なのだ。

「今、中枢にいる宦官の多くは権力に憑かれている。まぁ、権力に憑かれない存在なんていないのかもしれないが……」

「それは、私を含めてでしょうか」

「馬鹿な……全人類を含めてだよ。漢だけの話じゃない。五胡も、この前来た西の果ての国の者も……人類の全てが権力を手にすればいつかかかる病だ。それはどれだけ諌めても諌めても、どうしても膨れ上がる欲求だ」

新しい竹簡を手に取る。再び写本。横にある文字が美しいとするならば俺の書く文字は下劣だな。読めなくも無いが面白くもない。
字の美しさと言うのは案外重要なことだ。まぁ、そのために練習をしているわけだが。

「そして……欲の無い人間は権力を手に出来ない。そうだろう?」

「……その通りかと」

「さて、二度の党錮の禁を経て、どちらも勝ったのは宦官だ。どれほど深い病気になるかな……」

そこからはお互い静かになった。ただ、時折硯で墨を擦る音だけが響くだけだった。




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