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No.16611の一覧
[0] エミノート(Fate×デスノート)[蒲生ゆひ](2010/02/19 03:12)
[1] プロローグ1[蒲生ゆひ](2010/02/19 03:53)
[2] プロローグ2[蒲生ゆひ](2010/02/19 03:54)
[3] プロローグ3[蒲生ゆひ](2010/02/19 03:54)
[4] プロローグ4[蒲生ゆひ](2010/02/19 03:54)
[5] プロローグ5[蒲生ゆひ](2010/02/19 03:55)
[6] プロローグ6[蒲生ゆひ](2010/02/19 03:55)
[7] プロローグ7[蒲生ゆひ](2010/02/19 03:55)
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[16611] プロローグ1
Name: 蒲生ゆひ◆980efe31 ID:4db69d89 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/02/19 03:53
じいさんがよく言う言葉は、正義の味方のあり方だった。
この多感な時期に、じいさんによって刷り込まれた正義の味方像は強烈で、子供心に大きな影響を及ぼした。
更に、最後の言葉が、正義の味方を継いでくれ、といううまの発言だ。
当時、小学生の俺としては、これは正義の味方にならんとあかん、とがんばらざるをえなかったのだった。

正義の味方。
正義とは何だろう。
中学二年生のとき、俺はずっとそんなことばかり考えていた。
そのとき、既に出しゃばり君と虐げられていた俺は、それでも正義を貫こうと不良相手に喧嘩を繰り返していたのだが、
しかしとうとう被害者にまで、うざいと言われてしまっていた。
頑張っていた自分としては、それはすごくショックなことで。
一体どうすればいいのか、分からなくなってしまっていたのだ。

退屈な人間。
退屈な風景。

ニュースでは、凶悪犯罪者の名前ばかりが聞こえてくる。
テロの話のせいで、好きだった戦隊もののアニメがつぶされた。

世の中は混沌としているが、日本は平和だった。

俺は、生まれてくる場所を間違えたのかもしれない。
被災地とかに生まれていれば、俺は迷わずに正義の味方としてふるまえたのかもしれない。
中学二年生なりの、妄想だった。

俺は、どうやったら正義の味方になれるのだろう。
誰を救えばいいのだろうか。
俺を、求めているものはいないのか。

……。


ふと、庭を見た。

黒いノートが落ちていた。

すべてはそこから始まる。










エミノート










「であと、のて?
なんだこれ、英語か?
読めない」

拾ったノートは、表紙に文字が書かれていたが、中学二年生―――しかも若干成績の悪い俺には、英語力が欠けていて、読み解くことができなかった。
パラパラとめくってみても、きれいな白紙がのぞくだけで、何も書かれていない。
タイトルはあるくせに。
意味不明だ。

しかし、よく見てみると、表紙をめくった1ページ目には、何やら表紙と同じ筆記で文章が書かれていた。

「ほう、と、うせ?
だめだ、おれには読めない」

過去動詞の段階で英語を投げ出した俺にとって、その文章は難解すぎた。
俺は基本、ローマ字読みしかできない。

そうだ、藤ねえに読んでもらうか。
藤ねえは確か、じいさんにそそのかされたおかげで、英語が得意だったはずだ。





「デスノート、死のノートね。
使い方、このノートに名前を書かれたものは、死ぬ。
うわー、物騒ね。なに、士郎。今はこういう遊びが流行ってるの?
だめよー。縁起でもない。
しかもこういうの、いじめの発端になりやすいのよねー」

このノートに名前を書かれたものは、死ぬ?
藤ねえから教えてもらった内容は、中学二年生の俺には衝撃だった。
本気で信じてはいなかったけど、好奇心はそそられた。

早速、名前を書いてみよう。
部屋に戻る。

誰がいいだろうか。
本当に死ぬわけでもなし、誰でもいいんだけど、どうせなら悪いやつがいい。
どうしよう。藤村のじいさんの名前でも書こうかな。
いや……ここは、こないだ強姦罪で捕まった、俺の中学の教師、渋井丸拓男の名前を書こう。
俺、あの先生には冤罪を何回もかけられている。
さすがの俺も、少しいらっときている。
書くしかないな、少しは憂さを晴らせるだろう。
大丈夫、本当に死ぬはずがない。

『渋井丸拓男 死ね 死ね! 死ね!! 死ね!!! レイプされて死ね!!!』

我ながら、自身の暗黒面がにじみ出た文章だったが、しかし誰が見ているわけでもない、日記のようなものだ。
これくらいはいいだろう。

その日は、よく眠れた。





翌日、新聞を読んだ。

『渋井丸拓男、自身が性的暴行を受け、死亡』

「……」

……。
…………!?





やばい……。
デスノート……本物なのか……?

いや……偶然ということも……。
だが……こんな偶然……あるのか……?
タイミングが……よすぎるぞ……。

「うっ」

吐き気がする。
もし本物なら―――俺は、人一人を殺したことに。

確かに渋井丸拓男は犯罪者だが、殺すほどだったか?
……。
俺は……人殺し……に……。
いや……やはり偶然では……。

そう……偶然……偶然だ。
そんな……名前を書いただけで死ぬなんて……ありえるはずが……。


『ノートを使ったようだな』

バサッという、鳥が羽を動かすような音がして、僕は振り返った。
そこには。

「うわああああああああああああああああああああああ!!!!」

化け物が、いた。





『俺の名前はリューク、死神だ』

「し、しにがみ」

しにがみ、だと。
しかしその容貌、醜い容貌、とてもこの世のものとは思えない人型の容貌。
否定はできなかった。

「し、死神があらわれたということは……このノート、本物なのか?」

心臓は尋常なく脈動しているが、頭は冷静だった。
冷静に、ここに死神が現れた理由を推察する。

『おお、本物だ。
そしてお前の考えている通り、俺はこのノートの元所有者でもある』

あ、ああ、本物……。
ということはやはり、渋井丸卓男を殺したのは……俺……。

しかもこの死神は、俺がノートを使ってから現れた。
ということは……俺は……。

「くっ、あ、あ……俺を、殺すのか?」

『いや? 何か勘違いしているようだが、俺はお前を殺さない。殺す理由がない。
さっきも言ったが、俺は元所有者、今の所有者は、お前だ』





死神リュークから教わった真実。
デスノートの効力。
死神の存在。
この世も死神の世界も、腐っているということ。
退屈さ。

『どうするんだ、エミヤシロウ?
今なら、デスノートの所有権を放棄させてやってもいいぜ』

「……」

……。
……。
俺は……。

「駄目だ……俺には……これは、こんなものは使えない。こんなものは間違ってる」

『そうか? もう一人殺っちまったんだから、何人殺っちまっても同じだと思うんだがなあ』

「! ……」

……ああ……。
確かに俺は既に、一人殺してしまっている。
ここでこれを捨てるなんて……逃げるのと同じでは……。
いや……でも……。

『このノートは使いようによっちゃ……正義の味方にだって、なれるんだぜ』

……!
そんな……こんなものを使って、正義の味方と呼べるはずが……。
俺は、すべての人間をすくいたいのに……こんな、絶対に人が死ぬものを……。
でも……。

……。
じいさん……。
…………。





そして舞台は2004年、冬。
個人情報保護法が、異常なまでに発達しきった社会。
その背景には、『キラ』という存在があった。



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