突然走り出したはやてを追って、たどり着いたのは鬱蒼とした森の中。
はやてに何が起こったかは知らないが、一瞬見えた表情には何か鬼気迫るような物があった。
もしかしてこの行動は、はやての「スタンド能力」に関係しているのか?
関係しているとしたら、一体はやては何を「体験」したのだろうか?
わからない事ばかりだ。
はやての車椅子がつけた車輪の跡だけを頼りにして追跡する。森に深く入り込んだようで、太陽の光が見えなくなっていく。
そういえば、もうそろそろ日が傾いてくる頃だな。道に迷ったら大変だ、早めに見つけなければ…。
「なのは!何処に居るの!?」
「ねえ、アリサちゃん。どうしたんだろう、なのはちゃんは?」
「そんな事知らないわよ!」
別の獣道から、突然制服を着た二人の女の子が乱入してきた。一人は金髪、もう一人は紫髪。どちらも年ははやてと同じぐらいか?
彼女たちもなにやら急いでいるようだ。しかも、はやてが行った道を辿っている。
…まさか彼女たちも「スタンド使い」?昨日会ったあの「翠屋の女の子」と何か関係はあるのか?
そう考えながら進んでいるうちに、ついにはやての所まで辿りついた。
はやては呆然としながら止まっていて、その前には傷ついている小動物がいる。そして向かい合うように立っているのが…「翠屋の女の子」!?何故此処に!
「なのは!」
「なのはちゃん!」
私の前に居た女の子達が「翠屋の女の子」の元に駆け寄る。
当然私もはやての傍に着く。
「う、嘘……なんでここに…」
「翠屋の女の子」が私に気付いて…おい、何故「悪魔が来た」様な顔をしているんだ?彼女にはただ「スタンド」を見せただけだぞ?
…とりあえず、警戒を解かねば。
「…あー、勘違いしているようだが私は敵ではなく」
「Shut up!あんた、なのはに何をしたの!」
金髪の女の子が、「翠屋の女の子」――なのはというらしい――をかばいながら罵声を浴びせてきた。
あまりにきつい口調だったので少し頭に血が上ったが、落ち着いて説得に掛かる。
「君も少し勘違いをしているようだ、私は彼女に対して危険な行為は何も…」
「嘘をつくんじゃないの!なのはの表情でバレバレよ!」
「なのはちゃんは、何の理由もなしにあんなに怖がったりはしません!」
「ええ!すずかの言うとおりよ!きっと、今日なのはが元気なかったのもあいつのせい!さあ、何をやったのかとっとと吐きなさい!」
どんどん変なレッテルを貼られている。このままでは不味い。
「違う!ポルナレフさんはそういうことする人やあらへん!」
ああ、ありがとうはやて、お前が天使に見えるよ。
「じゃあ何でなのはが怖がってるの!」
「そ、それは…きっとそっちが勘違いしてるんよ!何かの誤解やて!」
「そんな事なーい!そいつから悪人のにおいがプンプンするわよ!」
「な、なに失礼なこと言うてんの、私の命の恩人に!」
「命の恩人ですってぇぇ~、眉唾ねぇ。どうせ後であんなことやこんなことするために助けたんでしょ、見え見えよ!」
「あ、あんなことやこんなことするため!?…言うに事欠いて、な、何を言うだァー!許さん!」
「よかろう、やってみろ…このアリサ・バニングスに対して!」
「ハッタリぬかすなやーッ!金持ちのアマちゃん!」
なんか混沌としてきたな…ていうか二人ともどこか違うような気がする。
…おや、なのはが私の隣に。何か訴えようとしている。
「えと、ポルナレフさん、ですよね…どうしましょうか。アリサちゃんとあの子」
「なのは、というんだったな…何とかして止めないといけない。このままじゃ殴り合いだ」
「殴り合いって、あの子車椅子ですよ!?」
「売られた喧嘩は買う。はやてはそういう子だからな」
相談している間にも、二人はどんどんヒートアップしていく。
「いい…こういう場合!かたきを討つ場合というのはいまからいうようなセリフをはいてたたかうの……『我が名はアリサ・バニングス!我が友なのはの心のやすらぎのために………この私が貴様を絶望の淵へブチ込んでやる』八神はやて………こう言って決めるのよ」
「『アリサ・バニングスをぶちのめす』『ポルナレフさんの名誉も守る』「両方」やんなくっちゃあならないってのがつらいところやな。覚悟はいいか?あたしはできてる」
…今にもお互いから殴りかかりそうな勢いだ。
「のんびり相談している暇は無いな。急ごう」
「は、はい!」
「…てことは、私たちがやってたのは唯の誤解だった、て訳!?」
「う、うん、そうなるみたい・・・だからアリサちゃん、落ち着いて」
「なんだ。あの子が昨日話してた女の子だったんですか。なら納得や」
「なんでそうなる」
「だって、いきなり騎士の像が現れるんですよ。誰だって驚くと思わないんですか?」
…確かに。考えてみるとそうだった。
「ポルナレフさん…」
解った、解ったからそんなに呆れないでくれ。凄い傷つく。
「…えーと、終わりましたか?」
「ああ、終わったよ」
紫髪の女の子…すずかちゃんが話しかけてくる。その手には…
「じゃあこの子、どうします?息絶え絶えですけど」
死に掛けのフェレットがいた。
… to be continued !!
後書き
なんか真ん中らへんでハジケた。正直後悔している。