・Scene 38-4・
「異世界の聖機師物語……じゃと?」
「そう、些か語呂が悪いけど、ストレートで良いかなって。運命に導かれ、戦乱の続くジェミナーに召喚された異世界人の少年が、復活した魔神を退治する―――そういう筋書きの物語さ」
剣士がお茶を配り終え、改めて―――俯き沈んでいたキャイアも含め―――全員でテーブルを囲み直した後、口火を切ったラシャラに対する返答として、アマギリはそんな風に、肩を竦めて返した。
「脚本家はお主か、従兄殿?」
「まさか。―――僕はアレだよ、野次を飛ばして舞台を台無しにする係りだね。もしくは別番組のADがスタジオ間違えた感じだ」
「では、お主以外の誰がそのような夢と愛に溢れたろまんてぃっくな筋書きを思いつくのじゃ。盤面の駒に人を見立てて世を裏から動かそうなど、お主以上に得意な人間おったかの」
「殿下、得意そうですもんね、そういうの。―――でも、今回のは殿下じゃないんですよね、コレが」
未だ眠り続けるリチアの頭を膝の上に乗せたままのアマギリを見やって苦笑しつつも、ワウアンリーがラシャラの言葉を否定した。
「今回の一件に関しては、相当根深い物があるんで……」
「僕みたいなぽっと出の異邦人如きじゃ、演出家として相応しくないらしいですよ」
ここへと来る前に先に話を終えていたのだろう、苦い顔で言うワウアンリーに対して、アマギリは何処かさばさばとした口調で、いっそ投げやりですらあった。
同様に既に事情を聞き終えているであろうアウラに視線を送ってみるが、彼女も何か人を寄せ付けない空気で黙考している所だった。
「……解らんの。そもそも、妾には何故ババルンのヤツが聖地を侵したかすら、解らぬ」
ラシャラもまた、場の濁った空気を反映するかのような疲れた態度で言葉を吐いた。
「目的は一つです。”聖機神ガイア”」
「……聖機神?」
「聖地に封印されているんだそうですよ、そういう名前の物騒なロボットが」
重たい響きをこめたワウアンリーの言葉で眉を顰めるラシャラに、アマギリがやはり投げやりな態度のままでそう付け足した。
「封印―――いや、待て。聖機神と言うのは、あの普段から置物として使われておる鉄屑であろう?」
一般的に、聖機神といえばラシャラの言うとおりの物を指す。
聖機人の原型となった”と言われる”、発掘された先史文明の遺産の事だ。
通常は教会によって管理されており、それは聖地にて安置され、外へ持ち出される事は滅多に無い。
聖機神は超高度文明の遺産であるが故に、現在では再現不可能な超技術を以って作られておるが―――だからと言ってそれに危険性があるかといえば、そんな事は無い。
何故なら、聖機神は決して動く事が無いからだ。
聖機神を解析して作られた聖機人は問題なく現代で活躍しているが、肝心の聖機神は一向に動かない。
かつては、あらゆる聖機師達がその起動に挑み、そしてその誰もが失敗していった。
何時しか聖機神は、”動かないもの”として認知されるようになって今に至る。
「まさかババルンめ―――アレの起動法を発見したとでも言うのか?」
確かに、聖地学院への入学前夜に発生した襲撃事件の最中に於いて、飛行宮殿スワンに搭載されていた聖機神に反応があった。
あの反応が起こったときは、そう。
チラと、ラシャラは視線を横に滑らせる。
俯き口を閉ざすキャイアの隣に腰掛ける、話の内容を理解しているのか、どうなのか、何時もどおりの自然な顔を浮かべている少年。
異世界の聖機師、柾木剣士。
この少年がラシャラの命を狙いスワンを襲撃したその日その時にこそ、聖機神は反応を示していた。
「剣士が主役、と言っておったな、そう言えば」
「へ?」
呟きに混じった自分の名前に、聞き役に徹していた剣士が目を丸くする。
「ええ、剣士殿が主役らしいですよ、解説のオバサン曰く」
「誰がオバサンですか、百歳過ぎた爺さんのくせに」
「あ、やっぱアマギリ様って見た目どおりの年齢じゃないんですね……」
ジト目になったワウアンリーの横で剣士がどうでも良いことに納得していた。その惚けたような態度を見て、ラシャラは呆れ混じりに言った。
「良く解らんのう。つまりアレか? 剣士には聖機神を起動する能力でもあると―――なんじゃ、その顔は」
「いや、良く解ったなぁって」
感心した顔で、あっさりとラシャラの疑問に応じるアマギリ。ラシャラは目を丸くした。
「まさか、本当に―――いや、確かに聖機神は剣士に反応を示しているようにも見えた。―――そうじゃ、それに剣士は、”向こう”からこちらに”送られてきた”」
何ものかによって。
星辰を無視してこの世界に顕現した異世界人である剣士は、状況と本人の言葉から推察する限り、何がしかの目的を持って”向こう”から送り込まれてきたと考えるのが妥当だった。
ワウアンリーは根が深い問題だと言った。
わざわざ人を―――それも、あらゆる職種、武芸に於いて一流とまで言えるほどに鍛え上げられた人間を送り込もうと言うのであれば、そこに何かの目的が無い筈が無い。
「つまり、聖機神を起動するため―――いや、待てよ?」
では何故、現在進行形で聖機神を復活させようと―――違う。間違っている。
何か思い違いをしていると、ラシャラは眉根を寄せた。
聖機神―――これが全ての中心である事は間違いない。しかし。
「そうか、ガイア」
聖機神”ガイア”。
個体名として、暗い響きでワウアンリーはそう名指した。
ジェミナーの人間の共通認識として聖機神と言うものは物言わぬ鋼の骸として確定しているのだから、わざわざ誰も知らぬ個体名を名付ける必要は無い。
「つまり、妾の知るあの聖機神とは違うものが―――封印されていると言ったな、従兄殿」
「ええ。ガイアと言う危険な聖機神が存在する。そしてそれを復活させようとしているのが、ババルン・メスト」
「―――では、その危険な聖機神とやらを退治するために送り込まれてきたのが……」
部屋中の視線が、柾木剣士へと集う。
話の内容を理解しているのか、そうではないのか。しかし彼は真剣な表情でそれを受け止めていた。
「流石に柾木の直系ともなると、肝が据わってらっしゃる」
―――ウチの殿様とは大違いだ。
その顔に郷愁を感じたのか、アマギリがポツリと呟いていた。
「従兄殿?」
瞬きをして尋ねてくるラシャラに苦笑を浮かべて応じながら、アマギリは気分を切り替えるように言った。
「いや、何でもない。―――それより、ごっちゃになってきたから少し話を整理しよう」
「そうじゃの。聞き始めから脇にそれ過ぎたせいで、正直よく解らなくなってきおった」
「だろ? ―――じゃ、説明オバサン、宜しく」
「はいはい解りましたよー」
オバサン呼ばわりに突っ込む気分にもならなかったらしい、ワウアンリーは溜め息混じりに応じた。
ガイア、と言う聖機神があった。
教会の伝承に残る”悪魔”そのものである。
先史文明の末期に開発され、そして先史文明を崩壊に追い込んだ存在だ。
そも、何故先史文明は自らを滅ぼすような存在を生み出す事になったのか―――戦争? いいや、違う。
”娯楽”だ。
娯楽と言っても、死や滅びに美学を見出す虚無主義的な物ではなく、純然たる、大衆に向けて広められた、ある娯楽を発端としている。
現代に於いて戦争代理人として活躍する全ての聖機人―――しかしその原型となった聖機神とは、その実際は先史文明時代に流行した”巨大ロボット同士の対決を観戦する”と言うショー的要素の強い娯楽に用いられていたものなのである。
しかし何故、そんな娯楽用のロボットが文明崩壊の引き金となったかと言えば―――単純にして愚かな話だ。
ショーとは即ち、客に飽きられぬように、常に進化していかなくてはならない。
より派手に、刺激的に、エキサイティングに、ファンタスティックに、そんな風に、求めるニーズに応じて、初めは現代の聖機人以下の能力しか有していなかった聖機神は、改良に改良を重ね、やがて恐るべき力を持つ事になる。
―――只人には、御しきれぬほど強大な力を。
人の制御を超えた聖機神を操るために用意されたのはまた、人を超え、人の望む通りの形として生み出された、人造のヒトガタ達だった。
先史文明はゼロから人間をデザインする事すら可能なほどに高度な文明を有していたのだ。
作られた人は目的に応じて調整され、強化され、先鋭化を重ね―――やがて、当然の如く人の静止を振り切った。
暴走―――人間にとっては、明らかな暴走。
しかし作られた人と、巨人にとっては生まれた意味を果たすための当然の行動であった。
只、少しだけ忘れていただけ。
破壊こそが生み出された目的で―――しかし、破壊すべき”目標”を、愚かな人間たちは設定し忘れていた。
かくして、先史文明の崩壊に繋がる。
先史文明末期に開発された、全ての聖機神の中でも最高傑作として名高い―――筈、だった―――ガイアは、破壊すべき対象を選ぶ権利すら与えられず、それ故、全てを破壊する事に決めた。
都市も人も、何もかも。
その人知を超えた圧倒的な力で以って、全てを灰燼に帰した。
「ガイアとはつまり、そう言う物です」
そこまで言って、ワウアンリーは一端言葉を切った。アマギリがすかさず茶化すように言葉を重ねた。
「そして誰も居なくなった。―――めでたしめでたし……ってトコかねぇ」
「過ぎた欲望は身を滅ぼす、とでも教養の講義の題材にでも使われそうな話じゃのう。―――しかし、聖機神がありふれた大衆娯楽として存在しているなど、先史文明の技術力は驚かされるな」
「力の使い方は、明らかに間違っているがな。―――リチアが寝ているから言える事だが、現在の教会が文明の発達を推奨しない理由と言うのは、やはりその辺りの事情を知っているからではないのか?」
黙って話を聞いていたアウラが、そこで初めて口を挟んだ。アマギリの膝の上のリチアに視線を送りながら、そんな風に言った。
「知らなければ、知らさなければ等と、そういう消極的な対処法は確かにお前の好みでは無いだろうし―――なるほど、お前が教会を好まない理由がそれか」
「”教える会”なんて自称しておきながら、現実は”教えない会”ですからね。それでいざって時が―――まさに、今のこの状況ですから。自分だけが知っているなんてやり方が、自分たちの嫌いな先史文明と同じ奢り高ぶったやり方だって気付いてないんですよ」
リチアの髪を愛しげに撫でながらも、その口調は辛らつそのものだった。集団と個人に関して明確に線引きをしているアマギリらしい意見とも言えた。
「しかし、詳しいのワウアンリーよ」
幾度か頷いた後で内容の理解を深めたのか、ラシャラが説明を担当したワウアンリーに言った。
ワウアンリーは苦笑交じりに応じる。
「あたしが聖地に居続ける理由って、その辺も絡んでますから。結界工房―――引いては教会の命令の一環で、監視していたんですよ」
「―――ガイア、とやらをか?」
「いえ……」
ラシャラの問いに首を横に振った後、ワウアンリーはある人物に視線を送った。
「俺?」
視線を受けて、剣士が自身を指差した。ワウアンリーはそれに頷く。
「でも、俺……」
この世界に来たのは、最近だけどと続けようとした言葉に、アマギリが口を挟んだ。
「去年までは、僕だったらしいよ? その少し前は、皺くちゃの爺さんだ」
「―――つまり、聖地におる異世界人の監視と言う訳か」
口元に手をやっていたラシャラが、なるほどと頷く。
「ええ、ラシャラ様の言うとおりです。あたしは、異世界人を監視し、”そう”であるならば教会へと招聘する義務を負っていました」
「しかし、何故―――などと、考えるまでも無いか」
自身の疑問に、余りにもはっきりとした答えが浮かんでしまったため、ラシャラは苦笑を浮かべた。
ワウアンリーも頷く。
「はい、ガイアを完全に破壊するためです」
「全てを破壊しようとしていた聖機神ガイア。しかし先史文明は確かに崩壊したが、我等人類は未だこうして生き残っておる。それは即ち、一時的にとは言えガイアと言う脅威の排除に成功したからに他ならず―――なれば、その理由は何かと言えば……」
「先史文明末期においては、その名が示すとおり神の如き力を得るに至った聖機神を操るには、ジェミナーの人間はもとより只の異世界人ですら不足するような有様でした。それ故、用いられたのは聖機神を操縦するためだけに作られた人造人間。ガイアにより崩壊の瀬戸際にまで追い込まれた先史文明人たちは最後の賭けとして、ガイアを倒すという目的のためにのみ存在理由をもたせた、三人の人造人間を生み出しました」
「口を挟んですまないが―――我等ダークエルフはつまり、元は聖機神を動かすために召喚されたのだという解釈で良いのか?」
眉根を寄せながら尋ねるアウラに、ワウアンリーは頷く。
「ハイ。少なくとも結界工房の記録ではそう伝えられています。ダークエルフの各種特殊能力は、つまりジェミナーの生態に適応しきれないからこその……」
「ああ、その辺りは既に聞いている」
詳しく説明しようとしたワウアンリーを、アウラは苦笑交じりに遮る。
今朝、雑談交じりにアマギリに説明された内容が真実だったのだなと、そのアマギリの発想の飛躍性に感嘆していた。
「あたし言いましたっけ? ―――まぁ、良いですけど。えっと、それでですね。先史文明は最後の力を結集してガイアに対抗するために、三体の聖機神と三人の人造人間を用意しました。しかしガイアは強大で、それら三体の力を結集しても勝てるかどうかは未知数でした。それ故に、先史文明人たちは敗北の可能性を考えてある策を練りました」
「―――策、か。いよいよ核心が近そうじゃの」
次々と埋まっていくピースに、集った者たちの顔も真剣なものへと変わっていく。
ワウアンリーがその空気に答えるように、静かな面で口を開く。
「人工的に生み出された聖機神の操縦者―――人造人間。どのような力が作用したのか、彼らには遺伝的な特徴が存在しました」
「―――人工的に作られたのに、”遺伝的”?」
「はい。競走馬などと同じようなものです。雛形を作り上げ、後は優良な素体同士で交配を繰り返し、更に優良な存在へと昇華させる。後には更に高度な技法を以ってゼロから、作った後に鍛える必要も無い、完成された人造人間を製造する術も開発されたらしいですけど、人造人間と言う存在が生み出された当初はそういう風に改良を繰り返していたんです」
ラシャラの疑問に、ワウアンリーは私情の一切を挟まない淡々とした口調で告げる。
「現代の聖機師のやり方がそれだね。―――案外、現代の聖機師そのものが、人造人間の子孫なのかも知れないけど」
「ありえる話だな。先史文明時代に呼び出された異世界人ですら、今日この時に子孫の繁栄があるのだから」
推察を述べるアマギリに、アウラも自らを示して頷いた。
一応の解が得られたと判断して、ワウアンリーは言葉を続ける。
「それで、ですね。つまり人造人間は人と同じく生殖行為が可能で―――それは、人造人間同士、それ”以外”の存在とであっても、可能だと言う事なんです」
つまり、普通の人間との間でも、子をなす事が可能と言うことだ。
「―――当然、異世界人とも、か」
「はい。どのような神の悪戯か―――先史文明の高度技術による技かもしれませんが―――、人造人間と異世界人との間に生まれた子は、聖機師として絶大な能力を有していたのだと記録されています」
ワウアンリーの返答に、ラシャラはパズルの最後のピースが埋まった事を感じた。
答えを纏めるように、自らの考えを口にする。
「異世界人の召喚には、星辰の寄る辺に期待する部分が大きい。我等は異世界人の召喚に先史文明期の遺跡の力を用いて行っておるから―――それは、先史文明の代であっても歪められぬ理であったのであろう。なれば、必要とされるその時に異世界人を召喚できぬという事態も当然起こりうる」
「作られた最後の人造人間たち。先史文明人たちはその内二名をガイアとの戦いに向かわせ、そして残った一人を―――送ったのです、何時かのために。異世界へと」
「そして巡り巡って、二体の人造人間たちだけでは滅ぼしきれなかったガイアは遂によみがえり―――相打ち共倒れって感じだったらしいですけど―――そして先史文明の最後の希望が」
「―――俺、ですか」
「直接の母君か、先祖かは知らないが―――そこの説明オバサンが言うには、剣士殿には先史文明の遺産の遺伝子が確かに継承されている、らしい。向こうから送られてきたって辺りも、いかにもだしね。僕個人の解釈から言っても、まぁ、間違いないと思う」
居住まいを正して尋ねる剣士に、アマギリが軽い口調で応じた。断言するようなその言葉に、ラシャラが首を捻る。
「何故、そう言い切れる? 剣士と同様に、従兄殿とて異世界人であろうに」
ラシャラの問いに、アマギリは薄く笑って肩を竦めた。
「―――女神の翼」
「女神の……って、それ殿下の事じゃないですか」
疑問を口にしたのはワウアンリーだった。説明役だった彼女も、アマギリの発言を理解し損ねたらしい。
しかし、アマギリは首を横に振った。
「僕じゃないだろ? この世界で女神の翼と言うのは、”かつて地に降りた龍”とやらが纏っていたものだ。そして僕は―――何となくだけど、それについて心当たりがある」
「―――それは?」
「黙秘する」
尋ねるアウラに、アマギリはあっさりと拒絶の言葉で応じた。誰にも反論の隙も与えずに、更に続ける。
「まぁ、それが僕の想像通りのものだった場合、それの持ち主―――龍とやらは、こちらの世界を一度確認するために訪れていた”向こう”の存在の筈なんだ。次元の一つ二つ飛び越えるのも容易いだろうその力で―――まぁ、一度飛んできて、そして帰っていったんだろうね。そのときの様子が伝承として残ったのが、即ち”女神の翼を賜りし龍”と言うものだと思う」
「なるほどな。送り込むのなら、当然下見くらいはするか。―――しかしアマギリ、その聞くからに恐るべき力の持ち主と同等―――かは、解らぬが、まぁ同等なのだろう、お前の口調からして。同等に女神の翼を有しているお前のほうが、送り込まれてきた存在としては相応しい気もするが?」
「剣士も出せるのではないか、女神の翼」
アウラの疑問を受けて、剣士に話を振るラシャラだったが、彼は首を大きく横に振った。
「そんな無茶言わないで下さいよ、兄ちゃん達じゃあるまいし!」
「その言い方だと、剣士、お前も女神の翼に心当たりがある事になるのだが―――まぁ、アマギリもそうなのだから可笑しくは無いか」
アマギリと違って余り深く内情を突っ込むのもかわいそうだと思い、アウラは苦笑するだけに留めた。
その隙間に、アマギリが口を挟む。
「そんな訳でさ。下見に来た連中が僕の想像通りの側に居る人たちだった場合、―――僕を送り込むなんて、絶対にありえないね。断言しても良い」
「その、根拠は?」
首を捻るアウラに、アマギリは堂々とした態度でこう答えた。
脳裏に浮かぶのは、何時か、何処かの人々たちの姿。
―――あの人が知らぬ筈が無い。知っているのならば、アマギリを送り込むなど感がる筈が無い。
だって、あの人は言っていた。
「―――僕じゃ、面白みに欠けるからさ」
※ 超ネタバレ祭り。 ガイア(の説明)と言うサブタイの由来だったりしたのには皆様お気づきだろうか。
原作見てない、と言うか見れない人多いと思うんで設定周りは細々書いて行こうって開始当初から決めてたんですが、
それにしてもまぁ、ネタバレ度が恐ろしい事に。
……まぁ原作でも全13巻中正味10分位で語りきった些細な内容だしって言っちゃえばそれまでなんですが。
絶対尺の取り方間違えてるって……。
一応注意ですが、モロに原作ネタバレそのままの部分と、このSS用に歪曲してる部分がまぜこぜになってますので、
その辺の原作との齟齬は仕様です。