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No.14604の一覧
[0] 【習作】執務官の事件簿 (仮面ライダークウガ×魔法少女リリカルなのはSTS サウンドステージX後)[めいめい](2009/12/21 04:40)
[1] 執務官の事件簿 1話[めいめい](2009/12/07 21:22)
[2] 執務官の事件簿  1話(中)[めいめい](2009/12/08 04:43)
[3] 執務官の事件簿  1話(後)[めいめい](2009/12/17 15:20)
[4] 執務官の事件簿  2話  “変身”  (上)[めいめい](2009/12/11 23:15)
[5] 執務官の事件簿  2話  “変身”  (中)[めいめい](2009/12/15 20:13)
[6] 執務官の事件簿  2話  “変身”  (中その2)[めいめい](2009/12/20 00:15)
[7] 執務官の事件簿  2話  “変身”  (後)[めいめい](2009/12/21 04:51)
[8] 執務官の事件簿  3話  “転機”  (上)[めいめい](2009/12/29 05:16)
[9] 執務官の事件簿  3話  “転機”  (中)[めいめい](2010/01/08 03:02)
[10] 執務官の事件簿  3話  “転機”  (下)[めいめい](2010/04/24 00:56)
[11] 執務官の事件簿  4話  “審判”  (上)[めいめい](2012/08/07 23:12)
[12] 執務官の事件簿  4話  “審判”  (中)[めいめい](2012/08/14 23:27)
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[14604] 執務官の事件簿  3話  “転機”  (中)
Name: めいめい◆3b0582e4 ID:6ccf35fd 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/01/08 03:02
新暦78年   11月26日   AM 11:02    ミッドチルダ市街

眠っていた街が、その目を覚まし、今ようやく本調子でその機能を活動させている時間…
外気の寒さにその身を強張らせながら人々は仕事や買い物、観光といった各々の目的のためにその中を歩き回る。
一見自由気ままに動いているように見える人の流れではあるが、そこには団体行動と言える法則が存在し、そこから逸脱する者はいない。
理由は簡単だ。
彼らは同じ時を生き、そして誰しもが同じような“倫理”という考え方を“教育”という方法で子供の頃から植え付けられているのだから。
個人差はあるにせよ、それは“常識”というテーブルの範疇を越えない…あっても微々たるものでしかないだろう。
しかし、その中で異質と呼べるような存在が、今ここにいる。

アウトレットモール入口
男がいた。
こんな寒い中にもかかわらず、上には肌の上に皮製のノースリーブのジャケット1枚、首には赤と迷彩色が入り混じったマフラー、だらしなく着こなした枯れ草色のパンツ…
細身であることが彼を見ている人間までも寒くする。
そして、特徴的なのが、その時代錯誤的なアフロヘアと顔の刺青、そして何か狩りをしているようなギラついた目つきだった。
彼の手元には、先程自分を引き止めようとした人間から奪った手のひらサイズの装飾品のような板きれがあった。
あまりにしつこかったので、自分が少し本気を出して殴ったら、まるで武器とも言わんばかりに、手に取り何か呟こうとした物だ。
目の前の男が何をしだすのか…彼にとっては非常に好奇心をそそる事ではあったが、今、この状況でゴタゴタを引き起こすわけにはいかない。
しょうがないので、そのまま大人しく眠ってもらうことにした。
首元を殴った時に、なにか生鈍い音がしたので、そう簡単には起きないだろう。
もう一度彼は後ろを振り返る。
どうやら自分を追って来る人間はいないようだ。
微妙な安堵感と大部分を占める物足りなさに溜息をつきながら、彼はもう一度、先程の人間から奪った板きれを取りだした。
何だったか…さっきあの人間は何を言おうとしたのか…もしかしたら自分がこれを言えば何か分かるのかもしれない。
これくらいならばいいだろう…
ちょっとした楽しみを持ち、しばしの逡巡の後、件の台詞をようやく思い出し、板きれを口に寄せる。

「セ…ト…ア…p」

なにも起こらない…

「ヅラサン…」

落胆したように呟くと彼は、それを放り投げようとした…と、振り上げた手が止まる。

そうだ、あの“落第者”にこの土産をやろう…

彼は面白そうに少し口を歪めた。しかし、それは喜び、嬉しい、といった正の感情ではなく、嘲笑といった方が正しい、そんな笑い方だった。




7丁目交差点付近
そこにも男がいた。
前述の男と似ている格好はしているが、筋骨隆々、髪は短くトップで逆立つように纏められている…その姿はスポーツマンを彷彿させるものであった。
彼は何かを探すように、周囲を睨みつけながら辺りを練り歩いている。
車のクラクションや、エンジン音を聞くたびに、その表情はより激しく憎悪のこもったものとなっていく。
彼の纏っている物は分かりやすく言えば“殺気”だった。
しかし、コミックやゲーム等に出てくる武術に秀でた者が放つ独特のものではない、もっと動物的なモノ。
それに威嚇され、彼の周囲に人は近寄って来ようとせず、そこには彼の空間(縄張り) が出来上がっていた。



遊歩道交差点前
そこにも男がいた。
しかし、前述のような格好はしていない。
肌の上から…という点では変わりないが、銀と黒、2色の斑模様のノースリーブのジャケットを羽織り、黒革のパンツをはいている。
時期が時期ならば、普通に街中で見かけそうな若者向けの服装をしていた。
針のようにツンツンに伸ばした髪の毛は銀色に染まっており、唇は赤黒く塗られておいる。
その唇を愉快そうにゆがめながら、彼は交差点を行きかう人々の「口元」を凝視する。


最近、お小遣いが…、手、つないでいいかな?おかあさんどこ!?午後の講習さぼろう
待ち合わせ時間の変更、管理局ってつまるところさー、どうしよう、今月カード使いすぎちゃったよ…
あー、家に帰りてー、昼ごはん何にする?このタレントって後輩芸人侍らせて宗教活動みたいのしてるよねー
落ちた―、じゃあ車取ってきます!先方との待ち合わせ時間に遅れるぞ!俺だって好きでこんなこと…


交差点を往復しながら、聞こえてくる会話を“見る”。
そして、彼はそれを見終わったら、嬉しそうに舌を伸ばして自慢げに動かすのだった。







執務官の事件簿  3話  “転機” (中)








新暦78年    11月26日  PM 13:23  管理局本局  提督室

「じゃあ、入って」

会議室で「ついてきて」と言ってからここまでの道中、一言も言葉を発さなかったフェイトがここでようやく口を開いた。
いつもは温もりがある彼女の言葉なのに、今の台詞はどこかよそよそしい。
ティアナ、スバルは促された通りに、提督室横にある控室へと入っていく。
初めて入るスバルはもちろんのこと、少し経験のあるティアナでさえも緊張していた。
2人とも借りて来た猫のように、黙りこくり、着席する際の「失礼します」以降、何も喋らずにお上りさんさんの様に辺りを見回している。
部屋のドアを閉め、フェイトは一息つき、机を挟んで2人の正面に座った。
そして「2人とも忙しい中ゴメンね」と一言。
ようやくフェイトにらしさを見た2人は少し安堵の表情を浮かべる。

「あのー、フェイトさん。それで、私達をここへ呼んだ理由は何ですか?」

この雰囲気にようやく慣れたスバルが小さく手を挙げ、もっともな質問をフェイトに投げかけた。

「うん、そうだな…」

フェイトは少し頷き、腕時計を見ながら少し考えた素振りを見せる
答える気も、そして答えも既に用意してあるらしいが、今が言うべき時期なのか、少し考えている様子だ。

「もうすぐだし…そうだね、2人にはもう言っておこう」

そして数秒の後、意を決したように、まずはティアナに話しかける。


「ユーリの正体を一部の人間には話しておこうと思う」

「え…それってどういう…」

「そのままの意味だよ。ユーリ・マイルズが未確認生命体第2号、そして第4号であるということを話そうと思う」

「ちょっと待ってください!それって…!」

スバルが思わず立ち上がり抗議する。

「マイルズさんの事が管理局内に知られてしまえば、彼がどういう扱いを受けるか分からないんですよ!?」

自分も人ならざる身…戦闘機人であるが故に、未知の人体構造に興味を持つ好事家達の恐ろしさは彼女も分かっているのだろう。
しかし、それはフェイトも同じだ…彼女もプロジェクトフェイトの残滓であるが故に、親友にも相談できないような苦しみを持っていた。
だからこそ、自分が考えうる最善の策をスバルに話すことができる。
フェイトはそのままスバルから目を離さずに自分の考えを告げる。

「わかってる。言ったでしょ?“一部”だって…」

彼女の落ち着いた凛とした雰囲気にスバルの食ってかかる様な勢いが止まる。

「とりあえず、機動六課のメンバー、この中の数人には打ち明けようかと考えてるんだ」

「とりあえず?」

「うん、とりあえずね…
なのはもはやても、そして守護騎士も信用に値する人物じゃないかな?」

「なのはさん達に…ですか?」

確かに彼女達は信頼おける人物だ。なにより、幼いころからの付き合いのフェイトがお墨付きをしている。
疑う余地はないだろう。
納得はしたが、どうしてここで、かつての直属の上司達の名前が出てくるのか、スバルは少し府に落ちない所がある。

「もちろん、勝手に話を進めているのは本当に悪いと思ってるよ。
でも、事態は思った以上に逼迫している。私達が為すべきことは山積みなんだ」

「だからこそ、マイルズに対する現場方面以外でのバックアップが必要なんですね」

ティアナがここに来て、ようやく口を開いた。
彼女の納得している様な口ぶりにスバルは「どうゆうこと?」といった顔を彼女に向けた。
それにしょうがない、といった口ぶりでティアナは説明し始める。

「あのね、まだ未確認に対する有効な対策が出ていないのよ。
だけど未確認は7体も確認されていて今もこの時間に誰かが殺されているかもしれない。
そんな状況になったら、マイルズだったら突っ走って奴らと戦いに行く」

「うん…」

「私もなるべく彼の手助けはするつもりよ。
でもね、私達は現場の人間なの。それに今日の公式見解を聞いたでしょ?
上層部は未確認生命体第2号と第4号を射殺の対象にしてるわ
彼を庇いだてする様な、そんな無茶はそう何度も出来ない。」

「うん…」

「だからこそ、様々なコネクションを持つなのはさんや、はやてさんの力が必要なの。
これから未確認達と戦っていたとする、その度にマイルズは最前線にいるわ。“私達の味方”としてね。
その評判を各方面から回してもらえば、上層部が4号への抹殺命令も取り下げてくれる可能性もある。
それにもしかしたら、現場に来た際にマイルズを援護するような指示系統も期待できるしね」

「あー!」

ようやく納得が言ったのか、スバルが膝を叩いた。

「もちろん、元機動六課のメンバーが揃って“4号”を庇っていたとあっては、どこからか正体を嗅ぎ付けられる可能性もあるでしょうけどね…
まぁ、それについてはコッチでボチボチ進めてるけど」

ふぅ、と一気に捲し立てたティアナが少し疲れた様に溜息を吐く。
スバルは最後の「嗅ぎ付けられるかも」発言に、ティアナの底意地の悪さを感じたのか、少し納得にいかない顔をしていた。
やはり、解説やアドバイスをするのであれば、最後はしっかりと自分達に希望を持たせる締め方にしてほしいのだろう。

「それで、その上層部の一人が僕と言う訳さ」

ようやく温まってきた会話の中、後ろから男性の声がした。

「あ、提督、お待ちしておりました」

フェイトは静かに立ち上がり敬礼する。
一方スバルとティアナはフェイトが口にした「提督」という単語に背筋が凍る。
2人はそのまま勢いよく立ち上がると直立不動になり、フェイトと同じように敬礼をした。
自分達がいる場所が提督の部屋の待合室ということを失念していたことからくる後悔の色を含んだ表情に“提督”と呼ばれた人物は苦笑した。

「いいよ、そんなにかしこまらなくても」

背丈は彼女達よりも頭2つ分は高く、肩幅もあるスーツの似合うモデル体型。
そして、まるでトレンディドラマの主役もかくやという優しい笑顔をティアナ、スバルに向ける。

「お久しぶりです、ハラオウン提督!」

「あぁ、久しぶりだな。ランスター、今は執務官か。
おめでとう、夢をかなえたんだな」

「はい、これも4年前の提督の御助力と御指導の賜物です」

「いや、僕は本当に何もしてないよ。結局は君自身の実力で掴み取った夢なんだ。誇っていい。
それと、そう固くならないでほしい。こちらが呼びたてたんだからな」

「は、恐縮です」

そう言って、どこか懐かしい目でガチガチに萎縮しているティアナを見つめる、ハラオウンと呼ばれた人物。
クロノ・ハラオウン提督、XV級艦船「クラウディア」艦長。
かつての機動六課の後見人でもあり、そして今、この場にいるフェイト・T・ハラオウンの義理の兄でもある人物だ。
今は現場からは退いてはいるがAAA+クラスの猛者でもある。
かつては彼も執務官を夢見て己を研鑽していたこともあり、過去の自分と今のティアナの姿を重ねているのかもしれない。
緊張するなと言っているのに、肩肘を張って気をつけをしている彼女の不器用さには思わず笑みがこぼれた。

「それで、どこまで話したんだ?」

フェイトの隣の席に腰をかけ、クロノはフェイトに話の進捗状況を尋ねる。

「とりあえず、六課の皆に話そうってところまでは」

「そうか、じゃあ僕からこの先は言った方がいいな」

コホン、と咳ばらいをし、クロノは自分の喉の調子を整える。

「早い話、フェイトからユーリ・マイルズの件については伺っている」

ティアナ、スバルは特に驚きもせずに黙ったままだ。
それはそうだろう、この話をしている室内に来た人間が知らないのはどう考えたっておかしい。

「僕も一応階級だけはある身だからね。よって、彼が本当に戦う気があるのなら全力でサポートする気だよ」

その発言を聞いて、正面にいる彼女達の顔に安堵と喜びが混じった色がつく。
バックに高名な現役提督の名前があるのはありがたい、これによってユーリにかかる負担は大きく減ることになるだろう。

「「はい、ありがとうございます!」」

ティアナとスバルは声を合わせて頭を下げた。
しかし、クロノはそれに困った様に頭を掻いた。

「一応、繰り返し言っておくが“戦う気”があるなら…という前提条件付きだ。
フェイトの報告や訓練校時代の評価を調べる限り、彼は戦いを避ける傾向があったと言うからね」

「それは…」

ティアナが上半身を前方に傾けながら口ごもる。
そういえば、ユーリが第4号になった経緯、教会で自分に勢いよく切った彼の啖呵のことはフェイトにもスバルにも話していない。
報告しようとも思ったのだが、クロスミラージュに記録された当時の映像はピントのブレも音声のノイズも酷い物があり、とてもじゃないが見せられたものじゃなかったのだ。
説得するのに良い材料はないか…先程の会議室のようにティアナが押し黙っていると、クロノは穏やかな声で告げる。

「安心してくれ。まずは、彼と直接話をしてみようと思う。
そこで判断していく。もちろん厳しくいくがね」

“厳しく”という形容詞に一抹の不安を感じつつも、クロノにはユーリを助ける意志はあるらしい…
「そうですか…」という気の抜けるような声を辛うじて発し、切羽詰まった顔の緊張をティアナは少し解いて、再び座席に深く腰を落ち着かせる。
手に取るように分かる彼女の表情を見て、クロノは再び「さて…」と場を仕切り直す。

「君達を今日呼びたてた理由はあともう1つあるんだ」





11月26日  PM 18:00 ミッドチルダ廃棄都市区画

ミッドチルダ廃棄都市区画…かつて栄えていた地域ではあるが、現在は新都市開発や大規模な事件によって廃棄された区画の事である。
現在は管理局やその他公務防衛隊の訓練のために利用されているが、1日中そんな状態のわけではない。
一部の区画ではガラの悪い連中のたまり場となり、治安が乱れている箇所もある。
その区域で、女性がたった一人で廃ビルの壁面に体を預け、辺りを見回している。
ホットパンツ、ノースリーブ…身につけている着衣は黒で統一されており、髪は色とりどりの髪留めで数本ずつ纏められている、ドレッドヘアーと呼ぶべきだろうか。
気だるそうに辺りを見回しているが、露出している太ももや二の腕等の筋肉は引き締まっており、モデルのような体型を維持している。
そんな彼女の前に、2台のバイクが止まった。
マフラーを改造しており、けたたましいエンジン音を鳴り響かせたまま、2人はヘルメットを外す。
一人は髭の濃い男性、もう一人は精悍な顔つきをした2枚目の香りがする男性だ。
髭の濃い男性の方がまじまじと女性を眺め、興奮した声を上げる。

「っほー!いい体してんじゃねーの!」

品のない笑いを止めようともせず、そのままバイクを降り、彼は女性へと小走りで駆け寄る。
2枚目の方は“始まったよ…”的な表情でハンドルに体を預け、止めようともせず、呆れた表情でその様を眺めていた。

「なぁなぁ、ここで誰待ってんの?」

顔を女性に近付け、髭の男性は尋ねる。
しかし、彼女の反応は全くない。一応、目はあっている。しかし、その目は自分を見つめてはいるがどこか別の所を見ている様な…そんな奇妙さがあった。
そんなどこか引っかかる彼女の様子に気付きながらも、尚も彼は彼女の気を引こうと言葉をかけ続けた。
しかし、一向にその反応はない。
業を煮やした彼は、ついにどなり散らす。

「オイ!何とか言えよ!」

それすらも彼女は受け流す。

「なんだぁ?ビビってんのかぁ?」

彼は指で彼女の顔を少し持ち上げる。
しかし、女性はそれに抵抗せずに為されるがままだ。
それに味を閉めた男性は、彼女の前に跪く。そのまま、彼女の足を掌で撫でながら、何がおかしいのか笑い始めた。
“また始まったよ”小さな声で呟きながら、2枚目の方も釣られて笑う。
そこで、ふと女性が足を組みかえた。

「ん?」

髭の男性が、疑問の声を上げる。それと同時にバットの芯がボールに当たったような爽快な音が響き渡った。
2枚目の男性の方も女性の方を見たまま、呆気にとられる。
何かがおかしかった。どこか前の光景と、変わっている所ある。
そのまま違和感に気付こうと、その場で固まり続ける2枚目の男性。

「あ」

ようやくその違和感に気付いた後、何かが上から女性めがけて降ってきた。
それは彼女の背丈以上の大きさ、落ちてくる速度もますます上がり、直撃したら即死は逃れられないだろう。
しかし、彼女はその場で軽くステップをすると、その足を高く掲げそのまま振り下ろした。
“それ”は二枚目の男の横を過ぎ去り、ビルの壁面に激突する。
重い物が崩れ落ちる騒々しい音にその方向を彼は見る。

「あ…ア・・・!」

それは先程まで、目の前の女性の太ももを撫でていた、自分の連れであった男性であった。
そう…あの違和感…あれは自分の目の前から急に髭面の男性が消えたことへの違和感だったのだ。
顎を蹴りあげられたのか、口元は大きくひしゃげており、そこからは帯びた正しい量の血がペンキと見紛う程に流れている。
蹴りあげた、そして2発目の踵落としの驚異的な脚力…どう見ても人間のものでもない…

ばけもの……

そう思うが早いか二枚目の男性はヘルメットをするのもおざなり、バイクのアクセルをかける。

「うあああっあああはあああ!!」

そして悲鳴と共に、その場を去る。
その悲鳴を心地よいもののように聞き届けると女性は“その身体(すがた) を変えた”。

「ラズパ ガギヅバ…!」

その姿は豹を彷彿させるようなしなやかな肢体をしている。
しかし、鋭く爪は尖り、肌の色も黒く、顔も人間のそれとは大きく異なる、化物の形だ。
髪型には人間の頃の名残か、ドレッドヘアーのままではありアンバランスな外見をしている。
逆にそれが彼女の姿の不気味さを際立たせていた。
彼女…いや、ソレは準備運動をするようにその場で軽くジャンプし、足首を回す。
そして、男性が去って行った方を見ると腰をかがめ力を溜める。

「…」

何も言わず息を吐き、その貯めた力を一気に解き放った。
その勢いは弾丸と形容するには余りにも荒々しく、そして砲弾と形容するには余りにも鋭いものであった。









<あとがき>
あけましておめでとうございます。
本年も拙作“執務官の事件簿”をよろしくお願いします。
すいません、1週間以上経っているのに、コレはないですよね…
これも全て極魂ファイズAFとGOD EATERって奴のせいなんだよ!!!

いや、ホントに申し訳ありません。

対策室の面々や、みのりポジション等に皆さん関心がおありの様ですので、少しここでネタバレ…といいますか私が今考えている案を掲げてみたいと思います。

まず対策室について
1) 完全新規キャラ(オリキャラ)
しかし立ち位置は原作「仮面ライダークウガ」と同じ様な感じです(五代雄介→ユーリみたいな関係ですね…)

2) 一部の人物に某版権キャラを出そうかと思っております。
これは私の描写力不足の補てん、そして皆さまに簡単にキャラ構造を把握していただくためでもあります。
多重クロスとでも言うのでしょうか?キャラの性格はまんまですが、立場や地位はなのはの世界観に合わせた感じにしようかと思っております。



ヴォルケンズ等を対策室のレギュラーメンバーにしようとも考えたのですが、それでは余りにもティアナとスバル、そしてクウガの魅せ方が難しくなってしまうので、このような形にしました。



みのりポジション
これは上記の2)を流用してみたいと思います。
ちょうどいい、妹キャラを見つけたので…
というか、なんで一人っ子設定にしてしまったんでしょうか、自分…



このような感じで何となくですが、頭の中で纏めています。(実際に書き起こしはずっと先ですが)

ご意見、ご感想お待ちしております。


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