一頻りポケモン達と戯れた後、朝食である。
これもバイキング形式で、大広間だが大食堂だかで時間内なら各々好きな時に食べる事が出来るらしい。
まあその前に粘着テープ――通称コロコロ、これ正式名称なんて言うんだろうな?――でポケモン達の抜け毛を落としてからだけどな。
で、食事中である。
「でねっオタチとかサンドとかもーとっても可愛いのっ」
「ええなぁ、私も見たいわぁ」
はやて達にポケモンの魅力を語りながら食事を取るなのは達。
昨晩は流石に体力限界だった事もあってやれなかったから、今日はちょっと張り切って見るか。
大皿にケーキ、フルーツ・ゼリーの類を綺麗に配置、フルーツソースやチョコレートソース、スプレー、粉砂糖etcで彩るだけでバイキングのデザートには見えない程の進化である。
味に関しては今まで食べた事のあるどのバイキング形式のソレより旨いが、やはり見た目のグレードを上げるだけで一つ味が進化した気さえするな。
「おお、綺麗っすね」
ふん、伊達で働いてる訳ではないのだよ。
デザートは特に見た目が大事だしな。
同じように大皿(と言っても直径30㎝に足らない位)にケーキやら何やらを盛り付けてっと。
あっという間に五皿分完成。
「ほれ、ガキども」
「静香お姉ちゃん、口悪いのダメっ」
「ならやらんぞ」
「もっとダメなのっ!」
やれやれ。
「静香さんおおきに。綺麗やわぁ」
「おうっありがとな」
はやてとヴィータにも配る。
何処まで飛んだか知らんがいつの間にかシグナムも食事に参加していた。
まあ旅の鏡があればどっからでも引っ張ってこれるんだろうが。
視界の端ではザフィーラとアルフがバカップル化してるし…
なんでそんな仲良いんだよ一目惚れかよ訳わかんねーよあーんとかしてんなヴォケ。
大体フェイトの護衛はどーしたってんだ。
全く護衛の必要はないけどな、こんな世界じゃ。
「静香お姉ちゃんっ! はやてちゃん達も一緒に上野動物園っ」
「唐突になんだ」
「静香様、八神家も今日、上野動物園に足を運ぶ予定なのです」
「それならってなのはちゃんが一緒に行こうって誘ってくれたのよね」
リインフォースとシャマルの状況説明。
「それは構わんが」
「静香お姉ちゃんと忠夫お兄ちゃんはデートしてて良いからね!」
「なぬ?」
「シャマルさんやリインフォースさんもいるし、大丈夫なのっ」
「僕もいますから…まあ、そういう心配は要りませんよ」
保護者的な意味では『ユーノ』がいる以上、心配する気にもならんが。
「今日の予定はどうなってるんだ? 八神家は」
「本日は上野動物園を楽しんだ後、アメ横・秋葉原にて買い物。
その後、庵様のライブへ招待されているので、六本木まで足を運ぶ予定になっております。
ライブ後、予約してあります東京駅付近のホテルへチェックインする予定です」
「………庵…だと…?」
「はい、主はやての又従兄弟(またいとこ/はとこ)殿です」
一応説明すると、親が従兄弟同士の場合、その子供同士が又従兄弟になる。
「すげーっ! KOFの常連じゃないっすか!」
ここ数年開催されてないが、何年か前までは結構な頻度で開催されていたらしい。
「ってこたぁ、はやてちゃんも炎出せるの?」
ホットドッグをがっつきながら、興味津々な横島。
まあ、確かに炎出せるってのは厨二病に犯された心をダイレクトに擽ってくれる設定だが。
「いやあ、うちは無理や。血が薄すぎるんよ、本家から大分遠いし」
こんな時どんな顔して良いのか分からん。
もう大概驚かんと心に決めたハズなんだがなぁ。
しかしあの庵がどんなツラしてはやての相手するんだろうな…
気になるぜ。
「残念ながらライブの方はチケットが当日分が無く、既にソールドアウトしておりますのでなのは様達をお連れする事は出来かねますが、15時頃までは動物園内で過ごし、その後は買い物巡りを行う予定ですので、概ね17時頃までは静香様と横島様に於かれましてはお二人でご緩りと過ごして頂けるかと」
めっちゃ腹立つなリインフォースめ。
目が笑ってやがる、絶対に志貴辺りから何か吹き込まれてるぞ。
とは言え、ガキども連れて東京中ぐるぐる回るよりは大分楽なのは確かだな。
「お前らはそれで良いのか?」
「うん! はやてちゃんと遊びたいしね」
「パンダ見たいんだ」
「…まあ逆らっても無駄ですし、個人的にも興味はありますしね」
三者三様。ふっと肩を竦めるユーノが年不相応で可愛いな。
「まあ、なら良い。
横島も動物園な」
「なんでっ!?」
「いやたまには独りが良いし」
「いやじゃー!」
「おお!? 血の涙とか初めて見たで!」
「忠夫お兄ちゃんは割と気軽に流してる気がするの」
「うん、シズカと一緒にいる時は結構流してるよね」
「騒ぐなみっともない。…阿呆な事はするなよ」
ナンパ避け位にはなるだろ。
「ツンデレって奴ね」
黙れ腐女子。
「兎も抱かせてもらえるらしーし、楽しみだよなっ」
「パンダ♪ パンダ♪」
口元にチョコソースとかヴィータマジ幼女。
フェイトのテンションも上がりっぱなしだ。
「シグナムが大人しいな?」
「いや…そのなんだ。スクライア達に迷惑かけないようにな…」
なんつーか、普段は常識人なだけに哀れだな、シグナム。
端っこの方でこそこそしなくてもよいだろうに。
まあ俺としてもこそこそしたい気持ちはあるんだが。
なんせ視界の端に死神達が朝食取ってるからなぁっ!
昨日、何もなかっただけに怖くて仕方ないわ、全く。
コナンの場合は身内は殺さないが金田一は容赦なく美雪・剣持・明智以外の誰でも殺す、という差はある。
あるがどのみち他人の俺にしてみれば大差ないわ。
いつか確実に当たる宝くじを買い続けるようなもんだ、こいつらと同じ場所で同じ時間を過ごすというのは。
****
「さて、浅草だ」
正確には松屋・仲見世通り入り口前辺りだ。
「いやあ、人多い。俺は東京初めてっすけど、静香ちゃんは違うんすかね?」
「違うと言えば違うし、初めてと言えば初めてだな」
前世では東京の下町生まれの下町育ちだしな、浅草なんざ自転車で通える距離だったし。
「なんすかそれ」
しかし、普通に怪人やらヒーロー? やら歩いてる辺り、かなりシュールな光景だ。
イメージ的には秋葉原のメイドさん程度には怪人だのが歩いてる感じか。
空を見ればポケモンも飛んでるし、シュールだな、今更だが。
外国人も多いが、そこは観光地だからだろう。
まあどうでも良いわ。
満月堂で和菓子買わんとな。
「味皇料理会発行、今年度のグルメマップによると満月堂は浅草寺の側らしいな。
ついでに参詣してくるか」
五番町飯店とかもしっかり載ってるが日之出食堂は載ってないな。
味皇の実家になる訳だし、載せない方が無難なのかも知れんが。
まあ、場所は調べがついてるから別に載ってなくても行けるし、問題はない。
「了解っ。で、美味いんすか?」
「不味かったら味皇料理会の出すグルメマップに載る訳がなかろう」
「まあそれもそっか。そういえばそれの静岡県版に、翠屋も載ってるんすよね」
「ああ。味皇が復帰してから方針が変わってな、傘下以外の料理店にも星配ったりちゃんと紹介したりと昔のような空気に戻って来てるという話だ」
味皇帝のじーさんが復活するとはこのリハk(ry
「さて、行くぞ」
いやしかしこの空気・雰囲気は東京だよな、雑然として、歩くの速くて。
人混みが凄くて、うん、なんか帰って来たって感じだわ。
やっぱ店開くなら東京でだよなぁ。
正直翠屋はアレだ、跡継ぎが必要な年じゃねーしな、高町母が。
仲見世通りを適当に冷やかしつつ通り、浅草寺にお参りをして。
到着しました満月堂。
まあ店構えは普通にそこらに一束いくらで並んでる程度には普通な和菓子屋さんである。
「ふむ、間違いないな」
ガイドブックに照らし合わせて最終確認。
「邪魔をする」
「どーでも良いっすけど男前すね、静香ちゃん」
やかましい。
「いらっしゃいませー」
店内は混んでる、という程でもなく閑散としており、身なりのこざっぱりとしたじーさんが独り茶を啜ってる程度。
あまり広い店でもないし、どちらかというと販売がメインか。
そして笑顔全開で接客しているのが安藤奈津、か。向こうに女将さんも見えるな。
「朝飯後だが少し喰って行くか」
「うーす」
「適当に頼むか」
和菓子は詳しくないからな、それこそ見た目で綺麗なのを千円ほどとお茶を頼む。
…あのじーさんなんか…なんだっけ? なんかあんどーなつと関わりがあったような…?
単行本買ってた訳でもないからなぁ、ビックコミックの流し読み程度だ。忘れてもしかたねーか。
「おお、こりゃうめー」
「洋菓子にはない美しさと美味さ、だな。一概に上だの下だのは言えんだろうが」
練り物にしろ打ち物にしろ、洋菓子とは根幹の発想が違うからな。
にしても久しぶりに喰う和菓子は旨い。
落雁( ゚Д゚)ウマー
「お姉さんも作ってるんすか?」
モテないだの騒いでる割にこいつのコミュ力は結構高いんだよなぁ。
セクハラと妄想の暴走がいかんのだな、うむ。
「はい、まだまだ未熟ですけど、幾つか作らせて頂いてます」
人当たりの良い性格、お人好しな性格、美人でないにしろ愛嬌のある優しい笑顔。
まー、嫌な奴は嫌だろうな、鼻につくというか、お人好し過ぎるというか。
万人に好かれるなんてあり得んし。
「土産の配送はやってるのか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
と、実家にいくらか送るよう手配して、絶品の和菓子に舌鼓を打つ俺と横島であった。
和菓子うめぇ。
****
短いけどこれで。
時間たちすぎですね、申し訳ない。待っていてくれた人、ありがとうございます。
ぼちぼち更新頻度あげていければと思ってます。
ハンターがこんな連載再開して続くなんて思わなかった、ミスター味っ子Ⅱも連載終了しちゃうし。
いやはや…
注意1:作者の中ではオロチ編でKOFは終了してます、続きなんてなかったんです。
というか格ゲーについて行けません、年取りました…なのぽGODも苦労しました…
注意2:無意味に裏設定ではいおりんとはやての曾祖父母が同じで、曾祖父母の長男(炎出せる)がいおりんの祖父、次男(炎出せない)がはやての祖父とか何とか。最初はいおりんの妹設定流用しようとしたんですが、両親死んだ時点でいおりんと一緒に暮らさないのはおかしいですし、猫姉妹と喧嘩位しそうですしと考えると却下でした。
注意3:ミスター味っ子。日之出食堂は『関陽地区』という架空の区――或いは独立行政区? そもそも地区ってなんだ地区って――に存在するのですが流石に面倒なんで東京の下町・台東区・墨田区・葛飾区・荒川区辺りのどっかに適当に放り込む予定です、悪しからず。
原作で味皇のじーさん復活とかもうね(´Д`;)
年取らなさすぎだろ、ミスター味っ子時代と見比べて老けた感じしないんですけどー(´Д`;)
イブニングHPでの後日談でのじーさんも老けてないんですけどー(´Д`;)
あのパツキン娘が11歳とかね(´Д`;)
あと満月堂で落雁扱ってるかどーかなんてシラネ(゚⊿゚)僕が好きなだけですw