諸事情により途中で一人称と三人称が切り替わってます、ご注意。
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「キツい…」
TSなんて望みもしない事を押しつけられて以来、最大呪怨中の高町静香(19)です、こんにちは。
ただいま俺こと高町静香さんはベッドの上に横たわっています、キツいです、生理痛。
枕元でライキが頭撫でてくれてます、静電気で腰まである俺の黒髪が凄い事になってますが嬉しいので無害です。
前に2○hとかで金○蹴られる痛みと生理痛どっちが辛いかとかアホな質問があった気がしたんだが…
その答えをリアルで体験出来るとは思わなかった、そんな答え知りたくなかったけど。
ちなみにどっちが辛いかといえば生理痛、痛いのと怖いのは蹴り上げられる方。後者は機能停止の危険があるから怖い。
生理痛は基本的には正常な生体反応だからな……あと生理の前~最中はエッチな気分になるってのはマジだった。今もだが。
もう横島でも良くね? とか元男の俺が真面目に考える程度にはそういう気分になった、これも個人差があるみたいだが…勿論、独りで処理したし横島にも近づけさせなかったけどな、ライキマジプリティ。
つーかマジつらいんですけどっ! 小錦が腹の上に乗っているかのようだ。
生理痛と言いつつ痛いというよりは重苦しい感じだが……これ、俺が――中の人が慣れてないせいなのか?
高町静香の赤飯は小学6年の時だからもう数年来の付き合いのハズなんだが…
そして記憶にある限りではここまで酷いのは初めてだぞ。
人間の防御的反応として、酷い痛みや苦痛は脳内再現出来ないようになっているという。
それなのか? それとも単に体調的な巡り合わせなのか…
温泉旅行中じゃなくて良かったと言えば良かったが……そんな訳で旅行から帰ってきてから数日後の今日、目出度く生理痛で学校どころか朝の修行も朝食の支度も弁当作りも午後のバイトも総てオフとなりました。
前世では、女は生理痛で休めて良いなぁとかバカな事考えて、ホントごめんなさい。
黒羽とはきっちり話をつけたのでとりあえずこっちは問題ない。元々俺にとってはどうでも良いしな、泥棒なんぞ。まあイリヤの為に赤石は返してもらったが……そもそもなんでイリヤのトコにあったのかは気になるがな。
あーこれがあるって事はジョースターの一族が存在すると言うことで、即ち宮城県の方へ行けば「何でも治せるスタンド使い」がいる訳だ…この赤石、治してもらいに行くか? GWが始まったら、というか世間的には明日から始まるんだが。
…まあこれは持ち主のイリヤに返す事になるから良いか。
俺が変化系だったらオーラを波紋に変えて赤石で増幅とかやるんだけどなぁ。放出じゃ相性悪い。
遠野の奴がイギリス行ったとか琥珀さん(遠野家に電話したら出たのが琥珀さんだった)が言ってたのが気になるが、現状何も出来ん。
確かギリアムだかグレアムだか、ネコ姉妹の主人がイギリス在住なんだよな……
なんか伸展あったんだろうけど、何も出来ん。遠野の携帯なんぞ知らんしそもそも持ってるかどうかも解らん。
発信器なら付けられてそうだけどな、遠野家的に考えて。
しっかし、観光地でもあるここ、海鳴で全国でも有名な喫茶店経営してるというのに、このかき入れ時に寝っ転がってなければならないとは……情けないにも程がある。辛いにも程がある。
妊娠すれば生理自体なくなるんだよなぁ…とかアホな事考える位だ、全く。
…生理痛でこれなら出産ってどんだけ痛いんだろうな…スイカを耳から出す痛みとか聞いた事あるが…こえぇ。
こんこん
「静香、大丈夫? お薬持ってきたよ」
「ラァイ」
「人間は不便だねぇ。あたしはそんな事ないけど」
「まあアルフは狼だからね、基本は」
ホント狼とか羨ましいぞ、こんな時は。
で、学校行ってないフェイトとユーノと、フリーダム無職使い魔ことアルフがうちで俺の看病してくれるらしい。
別に生理なんだから要らんとは思うが……
ちなみになのはも学校休むと騒いでたが、珍しく高町母に説教されて渋々学校へ行った。
なのは自身が生理痛なら兎も角(まだ赤飯前だが)、ここは高町母が正しいと言わざるを得ない。
なのはとフェイトもあと二年、下手したら一年で赤飯か……そういやユーノってもう男なのかな。俺の前世の時は小六位だった気がするけど…
横島はセクハラ自重しようとして手だけ自重出来なかったり美由希にぶっ飛ばされたり…まあ通常運転だった。
心配そうにしてたのは確かだがね。
恭也? 心配するハズがない。病気なら兎も角。その点は美由希や両親も同様だが、むしろ正しい反応だ。
しっかしこんだけ辛いと病気なんじゃなかろうかと考えてしまうが…まあ次の生理の時次第か。
「はい、お薬。ご飯は食べる?」
「食欲がないな。薬飲んだら寝る」
「ライ!」
「大丈夫だ、独りで飲める」
意外とお節介な、薬を飲まそうとするライキをユーノに押しつけてから、半分が優しさで出来てる薬を飲む俺。
ちなみに魔法でどうにかするのはお勧めしないそうだ、ユーノ談。
疲れてるんで細かい理由は聞いてないけど、まあイヤガラセでそんな事する奴じゃないからホントに駄目なんだろう。
「まあ今日が過ぎればどうにかなるだろ。別に病気という訳でもない、構わんで良いぞ」
「ライ!」
「どうしたライキ」
ぺしぺしとベッドの端をぷっくりお手々で叩くライキ。怒ってますと言わんばかりだ。
「ライキも心配なんだよ、きっと」
「そうだよ、心配だよ」
く、可愛いじゃないか…ライキはマジ可愛い。
そういやポケモンの生態ってどうなってるんだろうな……ゲームの卵云々は間違いなくお子様に配慮した結果だろうし…
まあ深く考えるのは辞めよう、マジでダルいし。
「まああたしとライキがいるからフェイト達は外行っても構わないさね」
「ライ!」
敬礼するかのように手を挙げるライキ。
「ううん、今日はうちでお菓子作るんだ」
「僕も手伝うから大丈夫ですよ」
「…火と刃物には気をつけてな」
雷とか武器とかで戦闘してるようなのには無駄な注意かも知れんが。
「じゃあ何かあったら呼んでください」
そういってフェイトとユーノが出て行き、アルフが子犬モードになってライキと共にベッドに潜り込んでくる。
なんという至福…!
動物は良いのぅ。
ま…とりあえず寝るか。生理痛がどうにかなったら、生理とか女性の身体についてマジで勉強しないと不味いな、色んな意味で。
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「という訳で今日はコンビニ弁当な訳だが」
昼休みの風ヶ丘高校の風景は雑然としていた。屋上や裏庭、校庭に一部の特殊教室、学食と各クラスの教室と生徒達は思い思いの場所で食事を取る。昨今の学校では珍しく、屋上も開放されている為、横島達はここで昼食を取るのが習慣になっている。
「しかしあの高町と一緒に暮らすとかよくやるよな、お前も」
「羨ましいかゆっきー」
「アホか。あんな怖い女はお断りだ。まあスタイルだけはママに似てるが」
「確かに怖いかも知れませんね、目つき鋭いし、背は高いし。何より雰囲気というか、プレッシャーが凄まじいですから。
正直、横島さんはよくつきあえるなと感心しますよ。恭也さんとかは家族だからと納得出来ますが」
「そーじゃノー。こないだ、高町サンが睨んだだけで犬がお腹見せたのを見たケン。高町サンは恐ろしい人ジャー」
「お前ら表出ろ」
「ここは屋上ですけどね」
横島、そして同級生のピート(月村家に居候中)と雪之丞、そしてタイガー寅吉である。
仲良し四人組、という程でもないが、男同士でつるむ時、横島はこいつらと付き合う事が多い。
衛宮とかは周りに女性がいすぎて付き合いづらいのだろう。まあ、この学校で目立つ生徒は大概カップル成立しているのだが。
「しかしコンビニ弁当は不味いな。味気ねぇ」
往年の貧乏キャラ代表の舌も肥えたものである。
「そりゃ高町さんのお弁当は美味しそうですしねぇ」
「料理上手なのは認めるがなぁ」
「それで横島サン、何か進展があったんですカノー?」
明らかに手作りな弁当を食す雪之丞。そしてもらい物、というか貢ぎ物の弁当を食すピートにお零れに預かるタイガー。
「全然ないわ! あ、でも昨日、風呂場から下着は盗めたぜ、ふへへへ」
「…そういう事やってるから進展ないんじゃないんですか? そのうち追い出されますよ」
「ちゃんと洗って返すから大丈夫!」
下着が綺麗になって返ってくるなら気にしない辺りが高町静香という女性の異常性の一つと言える。
「いや下着盗む位なら押し倒せよ、男らしく。返り討ちだろうが」
「うーん、静香ちゃんは常にライキとアルフが一緒に寝てるから、夜這いも成功せんのだ」
「だから追い出されますって普通は」
「高町サンちは変わってるケン」
「あー、それは確かにそう思うわ。俺が言うのもなんだけど」
「恭也さんと忍さんもよくよく変わってますからねぇ。
こないだ、デート行くと言って出てって、帰ってきたら盆栽抱えてましたし。忍さんの部屋に飾ってありますが…」
「ああ、恭也の趣味なんだよな、盆栽」
「またえらい渋い趣味だなおい」
「何が楽しいのかノー、さっぱりジャ」
「俺もそう思う。まあ別に恭也の趣味なんざどうでも良い。
静香ちゃんの趣味がいまいち解らんのだ」
「そもそもアレに何かを愛でる習性があるとは思えん」
「雪之丞は自分より背が高い女には厳しいですよね」
「うるせぇ」
「大概の女性は雪之丞サンより背が高いケンノー」
「おめーが無駄にでかすぎるんだよタイガー!」
「ゆっきーはまだまだだな! 翠屋のケーキより甘い! この写メを見よ!」
横島の携帯に写るのは、ライキに激辛カレーをあーんしている静香の姿。協力・高町なのは。
「ペットに餌やる時もこの無愛想ヅラか」
「お前の目は節穴さんか! 目尻が下がってデレデレだろ!」
「そう言われると確かに普段より柔和な顔には見えますが…」
「ぶっちゃけ大差ないケン。無愛想なのは変わらんのジャ-」
間違い探しのレベル以上に大差ないと言わざるを得ない。この写真はなのは経由なので静香本人も知っているので無問題である。
「お前らの見る目のなさにはがっかりだ!」
「ああ、話は変わるがお前らGWはなんか用あるのか?」
「僕は特に予定もないので、忍さんのファリンおもしろ改造計画の手伝いでもしようかと思ってますが」
「ワシも予定はないノー」
「俺は翠屋でバイトじゃ」
「んじゃ他所当たるか…」
「なんかあったんか?」
「いや福引きで海馬ランドの無料チケットがあたったんだがな。葵の奴がちょうど試合でいけねーし、売りつけようかと思ってたんだが」
風ヶ丘一年、松原葵はエクストリームという格闘技の新進気鋭である。ついでに雪之丞とは格闘マニア同士なかなか良い関係。
「買った!」
「…横島さん、高町さんが付き合ってくれるとは限りませんよ?」
「高町サンが遊園地……果てしなく似合わないノー」
「えーい黙れ! 土下座して頼めば付き合ってくれるさ!」
「土下座って発想が既に負け犬ジャノー」
「まあらしいと言えばらしいですけど」
「まあ使い道がないからな、俺には。金さえもらえれば文句はないが」
「さあ、考えろ俺! 静香ちゃんを海馬ランドに誘う方法を!」
「ところで横島が無事デートにこぎ着けるか賭けないか?」
「無理に五百円ジャー」
「いや…意外に乗ってくるに千円」
「ほう、ギャンブラーだな。じゃあ俺が無理に五百円。勝った方が千円だな」
「最近の高町さんは以前より横島さんに甘くなってますからね、やりようによってはイケるんじゃないでしょうか」
「それは無理なんじゃないかノー。高町さんが遊園地とかあり得ないケン」
「いやお前の場合、横島がデートすんのが腹立つだけだろ」
「彼女持ちの雪之丞サンに言われたくないケンノー!」
「ばっ!? 葵とはそんな関係じゃねぇって!」
「くっ! リア充になる為にも頑張るぞ俺! 負けるな俺!」
「ところで無料チケットの期限、どうしてそんなギリギリなんですかノー?」
「ホントは出すつもりがなかった特別賞で、タンスの底から出てきたから景品にしてしまえという経緯らしい、よく分からんが」
「まあ応援してますよ。そろそろ昼休みも終わりですね」
「んじゃ眠りに行くか」
「雪之丞サンは寝過ぎジャノー。追試大丈夫ですカイ?」
「試験なんてのは赤点取らなきゃそれで良いんだよ」
「それを公言して実施出来てる雪之丞は大したものですねぇ」
「遊園地……お化け屋敷…ジェットコースター……うへへ…」
「横島さんどうします? 完全にイっちゃってますが」
「放っとけ」
「そのうち気がつきますケン」
その後、横島は放課後まで妄想の世界から戻ってくる事はなかったので――
結果的にサボった事になり桃子に説教される事になるのだが、それは完全に余談である。
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「珍しいねぇ、みゆきちがコンビニ弁当とか」
「そうね。いつもは高町先輩が作ってくれるんでしょ?」
こちらは一年の教室。
こなた、つかさ、みゆき×2と隣のクラスからかがみが集まって食事中。
「うん、静ちゃんが生理痛で寝込んじゃって」
「みゆきちはかがみん並に料理下手だもんねー」
そういいながらハンバーグを口に放るこなた。勿論自家製である。
「くっ…言い返せない…!」
「高町先輩でも寝込む事があるんだねー」
「生理痛は酷い人は本当に酷いらしいですからね。私はそうでもありませんが…皆さんはどうです?」
「私もそんな酷くないかなぁ」
「わたしもー」
「私は徹夜とかランニングとかすると酷い時はあるけどね」
「かがみんの場合はダイエットとリバウンドが原因でしょー」
「うっさいわ! 高町はダイエットとか無縁で良いわねぇ」
「そりゃ毎朝四時から六時と夕方、夜中と修行修行だもん。太ってる余裕はちょっとないよ」
「お姉ちゃんもたかちゃん位頑張れば痩せられるよー」
たかちゃん=美由希である。高良みゆきと高町美由希で「たか」「みゆき」と共有している為、つかさとしてもかなり頭を悩ました結果、美由希=たかちゃん、みゆき=ゆきちゃんに落ち着いたらしい。
「無茶言うな」
「かがみさんの場合、気になさる程太ってるとは思えないんですけど」
「みゆきさんが言うと嫌みだよねぇ」
「え? そうなのですか!? そういうつもりはなかったのですが…ごめんなさい、かがみさん」
「いや良いから。気にしてないから。てーかこなたが自重しなさいよ」
「みゆきちー、高町先輩もやっぱり修行とかしてるの?」
「無視かコラ」
「してるけど、静ちゃんのは護身術メインだから内容は私たちとは別だよ。それに朝だけだし」
「古流武術というのも大変なんですね」
「凄いよねぇ、わたし、朝四時とか絶対無理だよ~」
「つかさは朝弱いもんねぇ」
「流石に小学生の頃から続けてれば慣れるよ」
「やっぱり痩せるにはそこまでしないと駄目かしら…」
「まあ食事量>運動量のうちは痩せられないだろうねぇ」
「色々なダイエット方法が取り沙汰されてますが、やはり基本は運動する事ですからね」
「高町先輩と言えばさぁ、横島先輩とはどうなのさみゆきちー」
「そうそう! 去年までは横島先輩の一方通行っぽかったけど、最近は一緒にいる事も多くなったって!」
「横島先輩ってセクハラで有名な人なんだよね~?」
「余り良い噂がある先輩じゃないのは確かですね。高町先輩も似たようなものですが…」
「ああ、高町先輩が一睨みしただけでやくざが泣いて謝ったとかでしょ?」
「実はやくざの娼婦とかじゃなかったっけ?」
「わたしは援交で月100万稼いでるとか聞いたけど」
「静ちゃんはそんな事しないよ!」
だが静香と目があっただけの、通りすがりの子供が泣いた事はあるのを美由希は知っている、言わないが。
「わたしらは解ってるって。高町先輩優しいもんね、見た目に反して」
「そうそう。スタイル良くて背が高くて美人だから、逆に優しくされると印象強いわよ。こないだ、翠屋でケーキ奢ってもらっちゃったし」
「かがみんは餌に弱すぎー」
「でも高町先輩は無愛想というか口数少ない人ですから、誤解されやすいんでしょうね」
「まあやくざの女親分って感じ? 或いは女スナイパーとか」
「有名人なんだね~、高町先輩って」
「まあアレだけ美人でスタイル良いしね。北川先輩と並ぶとアニメでも滅多にないようなモデル体型が並ぶから圧巻だよ」
「北川先輩も変人で有名だけどね」
「そうそう、ガチレズなんでしょ、あの人」
「あー、それはホントっぽい。静ちゃんが「北川はレズ趣味は兎も角、マニアックなのがなぁ」ってライキに愚痴ってたし」
「狙いが鈴木先生ってのがマニアよね」
「じゃあこなちゃんも危ないんじゃ!」
「つかさ、それはわたしに対する挑戦かい?」
「大丈夫じゃない? こなたはロリっぽいけど鈴木先生とはタイプ違うし」
「あんまり安心出来ないのは何故だらう」
「それより横島先輩と高町先輩でしょ。どうなのよ高町」
「まあ確かに一緒にいる事は増えた感じだけど……どうもご主人様と下僕って感じが…」
「あー、解るかも」
「威厳ありますものね、高町先輩は」
「静ちゃんの態度も分かんないのよねぇ。優しくするかと思うと突き放す、そうかと思えば普通に接してるし…」
ここでため息を大きく一つ吐く美由希。
「昔からさ、静ちゃんは自分のスタイルとか美貌とかそういうのに無頓着で、恭ちゃんや父さんの前でも平気で…その、お風呂上がりに裸で冷蔵庫まで飲み物取りに行くような子だったんだけど…
風呂上がりにバスタオル巻いただけで居間に入ってきた時は流石に母さんと二人で説教しちゃったよ」
勿論、横島は即座に飛びかかろうとしてなのはに撃墜されたので無害である。
「それは…」
「ちょっと、あの横島先輩と一緒に住んでるのにソレ? マジで?」
「流石高町先輩、そこに痺れる憧れず!」
「フェイトちゃんとかユーノとか、なのはと同い年の子も預かってるって言うのにね……」
「ああ、ユーノ君ってアレでしょ、なのはちゃんの彼氏。こないだ買い物の時会ったよ」
「え!? 小学生でもう彼氏がいるの?!」
「まあ、最近の小学生は進んでるんですね」
「なのはちゃん凄ーい」
「ホント、こっちは良い出会いもないっていうのに…ソレは兎も角。
母さんも注意してるんだけどねぇ…でもそういう風に振る舞ってる割にはノゾキとか夜這いとかは即反撃して比喩表現でなく潰してるんだけど。
で、そういう事があった翌朝も普通に横島先輩に接してて、普通にお弁当作ってあげてたりするのよ」
「えーと、結局、高町先輩は横島先輩の事好きなのかな?」
「どうでしょうか? 少なくとも嫌ってはなさそうですが…」
「ああ、こないだなんて家帰ったら横島先輩が騒いでるから何かと訊いてみたの。
そしたら静ちゃんが横島先輩の部屋に勝手に入って、そのエッチな本を読んでたらしくて」
「…コメントに困るわね」
「たまにエロ本の一つも読みたくなるんだとかなんとか言ってたけど…」
「あー、ちょっと分かるかも。男性向けには男性向け独自のおもしろさがあるもんね、エロゲーもエロ本も」
「うちは女ばっかりの姉妹だから分かんないけど、そういうのってお互い気を遣うもんじゃないの?」
「そうだねぇ、うちはお父さんが普通にエロ本買って資料とか言い張ってるからなぁ。普通にエロ雑誌が積まれてるし」
「あんたんトコはホントアレだな…」
「私たちの家族は父親を除くと女性ばかりですからね。そういうのはちょっと実感しづらいです」
「恭ちゃんはそういうの全く興味ないって顔してヤる事やってたわけだけど…」
「みゆきち、顔怖い」
「たかちゃん落ち着いてー」
「大丈夫、落ち着いてるから。
でも前より静ちゃんもちょーっと横島先輩には優しくなってるのは確かなのよね。
静ちゃん達が二年の時からずっと、横島先輩の事はタダのクラスメートとしてしか対応してなかったハズなのに、三年になってからはちょっとずつ距離が近づいてる感じはするよ、確かに」
「あたしゃ別に驚かないけどね~、あの二人が付き合っても。
高町先輩、優しいからきっと見捨てられないんだよ、ああいう駄目男」
「横島先輩って割と一途なのかしら、噂だと下着泥棒の常習犯とか町内の銭湯を総て制覇したとか凄いのばっかりなんだけど」
「横島先輩って銭湯好きなんだね~気が合うかも」
「流石つかさ、ボケてくれる!」
「え? ボケ?」
「そういう意味じゃないわよ! というかつかさに近づいたらぶっ飛ばす!」
「かがみさん、落ち着いてください」
「大丈夫だよ、かがみ。横島先輩のタイプってグラマーで年上っぽい人だから。
まず間違いなくこなたとかつかさはタイプじゃないよ」
「貧乳は貧乳で需要があるから問題なし! 貧乳はステータスだと偉い人も言ってるし!」
「どう考えても負け惜しみにしか聞こえないけどね」
「むう、かがみんのお腹には負けるよ」
「つまむな! 気にしてるんだから!」
「つままれたくなかったら痩せたまへ~」
「ぐぬぬ…」
「前に横島先輩のセクハラについて、思う所はないのかって訊いたのよね、恭ちゃんが」
「そしたらー?」
「『男子高校生がエロ本一つも持ってないとかよりよほど健全だろうが、常識的に考えて』だって」
「高町先輩はその、変わった方ですね」
「どう考えても横島先輩のは行き過ぎだと思うんだけどなー」
「男の子ってエッチな本持ってるのが普通なんだ~」
「懐が広いというべきか大ざっぱに過ぎると言うべきか…」
「静ちゃんの考えは未だによく分かんないよ。昔っから何考えてるか分からないお姉ちゃんだったけど」
「綺麗だけど無口だとあんまり笑わない人だしね、凄い笑みなら見た事あるけど、ニヤリって感じの」
「私の近所に住んでる子も高町先輩と同じようなタイプで、やはり誤解されやすくて苦労されてるみたいです」
「高町先輩の話?」
「あ、那美」
「那美ちゃん、何処行ってたの? もうお昼終わっちゃうよ?」
「理事長先生とちょっとお話してたの」
「理事長と? ちょっと穏やかじゃないんじゃない?」
「私のバイトの件でね」
わーかめーわーかめー
「…このチャイム何とかならないのかしら」
「校長先生の趣味ですからねぇ…」
「さあ午後の授業も頑張るぞっ」
「あんたは寝るだけでしょうが」
「ご飯食べた後は眠くなっちゃうよねぇ」
「気持ちは分かるけどね」
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TSモノを書く上で外してはならない点だと思います、生理は。
未体験の苦痛やそれにより精神状態の変移などは、男から女へ変わったら普通に色々あって然るべきですから。
それにしても今回は…嫌いなんですがやむを得ませんでした、一話内の途中で人称変更。
まあ後半は蛇足に近いものがありますが…