若干駆け足&推敲不足はお許しください。
誤字脱字はいつもなら殆どないのですが(アインツベルンとか根本的な勘違いは別としても)今回は推敲する時間も殆ど取れなかったのでちょっと不安ですが。
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旅行二日目の朝。
「朝から温泉なんて贅沢よねぇ」
それには同意するが何という若々しい身体。プレシアマジパネェ。
というか俺の周りの女性は皆若すぎる。なんなんだこれは。高町母もそうだが何か秘訣でもあるのか。
プレシアは本気で何歳なのか分からんな…本気で肉体年齢は25歳かも知れん。
朝風呂から上がったら子供達がウサコッツに群がっててワロタ。カーメンマンとメダリオは土産物屋でインスタント食品だの見てるだけだった、まあウサコッツが騒がれるのは慣れてるだろうしな。
見てるだけでも楽しかったがバーベキューの時間が迫って来たので子供達を止めるとウサコッツに大変感謝されてしまった。
ウサコッツは可愛いなぁ。
で、バーベキューを楽しむ為皆で河原へ移動。
そこにまた遊びに来たイリヤとバーサーカーと合流。子供達がバーサーカーに人間お手玉で遊んでもらってる間に用意したりして、その間にヴィレッタ先生にメールしたりして。
横島を適当にあしらって焼き肉を食して。
後片付けの段階で再びメールしておいて片付けが終わってからバスに移動して。ちなみにこの時間で余計な荷物は鶴来屋側がバスに突っ込んでおいてくれた。
現在、死屍累々のバスの中。
まあはしゃいだし温泉に浸かりまくったし当然と言えば当然か。
かく言う俺も些か疲労感に襲われてるのは事実。椅子を倒し、ライキを腹に抱えるようにして寝ているのだが。
とりあえず帰ったら片付けして明日の仕込みしないといかんのか。
で、学校始まったらキッドこと黒羽の奴と話し合って、志貴とも話し合わねばならんな。後はそれこそ後回しで良いだろ。
ユーノも闇の書どうにかするまではこっちいるみたいだしな。
まあ原作通り進めばリンカーコア狙われるのは分かってるんだから、ユーノが心配になるのは当然だが。
フェイトもいるけどまず先にプレシア狙いそうな気はするな、魔力量的に考えて。
まあそもそも蒐集してくるかどうかも怪しいが、こんな世界ではな。
いっそ原作知識なんてなきゃ楽だったかも知れんな……明日の仕込み云々は兎も角、なんでこんな先の事まで心配しなきゃならんのだ
先の事と言えばドクタースカも放っておけないのかもしかして。揺りかごはStSの作画崩壊の方が記憶に残り過ぎてていまいちディテールを思い出せないんだが、確か次元攻撃とか何とかで他所の世界まで破壊しまくれるんじゃなかったかアレ。
…めんどくせぇ。大体だな、死神だの魔王星だの次元の番人だの死亡フラグ満載のこの世界、今更揺りかご一つ心配するのは間違ってる気がするぞ、しかも手の届かない範囲だし。
そら闇の書は極論、はやて一人どうにかすれば終わる話だから良いようなものだから手を出してるんであって。
見捨てるという選択肢だって十分有りなんだよな、俺は正義の味方でも何でもないんだから。
……まあ性格的に見捨てるという選択肢を本当に選べるかどうかは自信がないが。
見捨てる気だったらそもそも暗殺すべきだよな、御神不破流的に考えて。
まあはやてと闇の書の事は良い。志貴がどうにかしてくれる、きっと。主人公的に考えて。
揺りかごはまずユーノの意見を聞くべきだよな、うん。当事者の一人だったんだから、というか無限書庫知識がなかったら解決しなかったんだから。
で、揺りかごはユーノの意見聞いてからで良いとして。
専門学校の下見に行かねばな。
調理師免許に関して調べた限り、まあ前世の世界と大差ないんじゃないかと思われる。
学校卒業後自動でもらえるパターンと試験受けて合格するパターンだな。
前者は時間と学費がかかり、後者は試験合格しなきゃもらえないのと2年以上の実務の経験が前提となるわけだ。
ぶっちゃけ親がアレだから、今すぐ試験受けようと思えば受けられるんだが…悩むぜ。
専門学校行くとなると海鳴にない以上、東京の「味王料理会公認の学校」へ通いたいところだ。
ちなみに二代目味王、ではなく三代目味王が今仕切ってて、味吉陽一が三代目なんだとさ。もう突っ込まないぞ。
これは後日判明した事だが、家庭料理部とかも出来てて主任のトコにヴァンプ将軍の名前があった時はくそ吹いた。
試験問題の過去問みたら、まあ解けないLvじゃない程度だったから後者でもいいんだが。
こんな機会でもなきゃ親元離れられそうにないしな。正直、味王料理会にも興味はある、まして味王が陽一ならなおさらだ。
あと海鳴には支部はないんだよ、まあ県庁所在地にはあるみたいだが。
東京行ったら、新宿の駅の伝言板探すか? まあ何となくだが向こうから寄って来そうな気がしないでもないが。
学費はバイトするなりすれば間に合うだろ、正直なのはじゃないが俺もそれなりの額貯金してるし、何なら奨学金借りれば問題ないしね。味王料理会はその辺しっかりしすぎてる程しっかりしてるから助かる。
恭也と忍は海鳴大学辺り行くだろうが、横島とかどうすんだろうな? 衛宮はもう既に調理師免許持ってるらしいから、就職なんだろうな。
ああ、調理師免許だけとっとと取って、高町母よろしく海外へパティシエ修業に出るというのもありか。
ちなみに高町母は15歳でイタリアに飛びイタリア・フランスと渡り歩いて20歳で帝国ホテルのパティシエに、22歳でパティシエ長になったという天才パティシエなのだ。父士郎と出会ったのが23の時で一年後なのはが生まれました、現在33歳の高町母です。
本気でパティシエやるならそれくらいすべきかなぁ……
問題は英語は話せるけどイタリア語もフランス語も話せないという点だな、俺が。
英語話せるのは前世の知識な、普通にビジネスマンしてたし。
料理とかさ、まあお菓子でも何でもいいんだけど。
有名どころって軒並み英語圏じゃないのが何ともはや……イギリスに至っては某王様が雑でしたと嘆くLvだしな……
まあ諸々含めて、先達――高町母に相談するか。
しっかし高町祖父母も良い度胸だよなぁ…今ですら何処か幼く見える高町母を15歳の時に海外修行に許可出すなんて。
普通の親ならせめて高校行ってからとか言いそうなもんだが。
まあ高町母なら笑顔で押し通しそうではあるが。
あー…視線感じるけど無視だ無視。胸くらい好きなだけ見るが良いさ。気持ちは分からんでもないからな。
流石に疲れたしな、お休み……
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夕刻。
バスの中で一眠りしたせいかすっきりした俺。
そして各々の家を回り、恭也以外を高町家の前で降ろすとバスはそのまま月村家へ向かっていった。
ちなみに今日はテスタロッサ家も高町家泊まりである。
「楽しかったね!」
「うん」
フェイトとなのはがユーノを挟んで仲良く頷いている。間にユーノがいなきゃ微笑ましいで済むんだが。
まあ別にいいけどね。俺自身は一夫多妻制だろうが一妻多夫制だろうが好きにしてくれって考えだし。
「こっちは人数的に問題なかろう? 高町母と私は翠屋で仕込みをしてくる」
俺の腕の中で丸まって寝てるライキテラカワイス。一通り撫でまくってからボールに仕舞う。
うーん、ポケモンってマジで便利だな、こういう点は。それでいて普通に犬猫とか動植物が存在する点は訳分からん。
まあその手の、それこそオーキド博士とかの著書でも見れば分かるかも知らんが。
「そうね。じゃあ忠夫君、オーフェンさん、宜しくね」
横島、オーフェン、美由希、アルフ、リニスもいるしな。プレシアは知らん。
飯は美由希には期待してないが…リニス辺りか?
「あいさー」
「りょーかい」
「アップルパイのお土産よろしくねぇ」
「アレだけ飲んでまだ食べる気ですかプレシア」
「なのははどうするの?」
「早速ビデオを編集するの! ユーノ君が組んでくれたプログラム使ってレイジングハートでいっぱい撮影したから!」
「バルディッシュの中のデータもあるよ」
「サーチャー使ってまで撮影してたよね、わざわざサーチャーにステルス機能付与とか器用な事して」
どう考えてもアニメの十割増しで技量が上です、本当にありがとうございました。
「魔法ってそんな事も出来るのね、便利ねぇ」
「ユーノと付き合うようになってからフェイトの魔法も精密さが増して来ましたね、良い傾向です」
「なのはちゃん! 是非焼き増しを!!」
「ちゃんと静香お姉ちゃんに許可取ってからなら良いよ!」
騒がしい事で。しかしサーチャーにステルス付与……
どんな写真撮ってるんだ? 俺に許可? もしかして入浴シーンすら?
……ここはなのはの良心を信じよう。ユーノもいるし。
「夕飯は……どうする?」
「たまには店屋物でも良いんじゃない?」
「ピザ頼もうピザ! 美味しいんだって!」
「アルフがピザ知ってるとは……まあピザでも何でも構わんが」
まあ好きにしてくれ。だからそんなピザ好きな人と知り合った話とかしなくて良いから、俺の精神衛生の為に。
「私たちの分は残しておかなくても良いからね」
「はーい」
と言うわけで高町夫妻と俺は翠屋へ。
しっかし若いと言えば父士郎も若いというか童顔だよな。次は大学かってガキがいるのに自分自身が大学生と間違われるとかどんだけ。
まあ高町母も高校生に間違われた時あるけど。ありえねぇ。
プレシアは顔はそれなりだからな、いや予想される年齢――恐らく40~50歳――からしてみたら遙かに若い方だけど。身体はもっと若かったけど。
……この世界の空気には若返り促進効果が含まれておりますってか。
アニメなら原作者が年寄り描くの苦手なんだろプギャーで済むんだが。
自分の身内というか両親が若すぎるとなんかもにょもにょするな。
そんな事をつらつら考えつつ歩いていると程なく商店街へ入り翠屋の前へ。
「先に軽く埃を飛ばして掃除機掛けるか」
「掃除なんて士郎さんにやらせなさいな」
「その言い方は傷つくぞ桃子…」
「ふむ」
「厨房で仕込み手伝って頂戴」
「了解した」
ふむ。高町母と二人きりというのは珍しい。
…まあ憑依というか転生というか、こんな事になってから一ヶ月とちょっとだが誰かしら側にいたしな、基本的に。
「最近ね、静香、変わったなって思うの」
「…自分ではそんなつもりはないがな」
ピンポイントな話題を…すげービビったわ。
とりあえずプレシア用のアップルパイの為か生地を練りながら話しかけてくる高町母。
そして俺はモーニング用の水出し珈琲でも作っておくか。モーニング限定メニューで結構な人気なんだぜ。
「忠夫君と付き合うようになってからね、少し優しくなったというか、人間らしくなったというか。
今までの貴女、何処か冷めてたからね。自分を客観視しすぎてる所があって、心配だったんだけど」
「横島とは何でもないぞ」
「忠夫君、でしょ」
く、性格悪い母親め…
「まあ、良い傾向だなって思うわ」
「知らん」
まあ、異物と言えば盛大な異物が混じってるからな、今の高町静香は。もはや一体化してどっちがどっちか分からないが。
……ああ、かなり混じり合ってるというか馴染んでるな、一ヶ月前は感じてた自分の行動や肉体、考え方に対する違和感とかもう殆ど感じない、ただし異性関係を除く。こうなった以上男と付き合うのが正しいと頭では理解も納得もしてるんだが……
その相手が横島かアキラか、他の誰かかどうかは兎も角、本気で男に惚れるような事があればもっと変わるかもな。
少なくとも今はそんな事考えられないが。
「二つ林檎剥いて。八つに割って半分」
「了解」
水出しコーヒーの用意が終わったところで林檎の皮むき命令。まあ大した事ないぜ。
ところで手にちょっと凝をしてそこから円をやりつつ皮むきすると果肉と皮を100%完全に切り分ける事が出来るという大道芸じみた真似も出来たりする。皮を透かして見ると向こう側が見える程綺麗に剥けるぜ。
まあそんな無意味な事はしないが。
練と円は同時に出来ないが、周と凝と円(使用例:耳かきに周、先っぽに凝した上で円で広げ耳の中の様子を探りながら耳掃除。子供達に大好評)とか出来たりする。正直放出系と操作系はバトルより日常生活や商売、情報戦向けだな。
「それに最近は特にお店の手伝い頑張ってくれてるでしょう?
何かあったのかなって思うわ」
「…高町母のように海外に修行しに行くのと、味王料理会麾下の専門学校へ通うのと。
迷ってる所だ」
「…嬉しいけど、翠屋を継ぐなんて考えなくても良いのよ?
私も士郎さんもまだまだ若いんだし」
「そうだな、来年辺りなのはに妹か弟か出来てもおかしくない程度には若いな」
そして生まれた子も異世界転生者とかだったりしてな。ちっとも笑えないが。
「もう! 嫌な子ね」
「…割と本気なのだが。
それは兎も角、別に流されてるわけじゃない。高町母と同じ道を歩きたくなっただけだ」
戦闘とか厨二バトルとかマジ勘弁だし。
……海外行くとX-MENとかいるんだろうかとは思うが考えるだけ無駄だしな。
「そうねぇ…私としては大学で栄養学学ぶってのも有りだと思うけど?」
「ふむ。海鳴大学にあったかな?」
「焦る事はないわ。まだ時間はあるんだし、本気でやるなら遅いなんて事はそうないもの」
「中学卒業直後に海外へ飛び出した方に言われてもな」
「若かったわねぇ、私も」
今も十分若いです。
冷蔵庫の材料は特に痛んでるものとかはなし、が、ガムシロとかそろそろ心もとないか。メモメモ。。
まあ朝一で朝市から食材は持ってくるけどな、サラダ用の野菜とかは。
ああ、コーンスープも作っておくか。
「それに忠夫君も離ればなれじゃ可哀想じゃない?」
「…どうしてそこまで奴に肩入れする」
「そりゃあ、静香があそこまで心許してる男の子なんですもの。応援位するわよ」
いつそこまでの仲になったんだ俺と横島は。
俺と家族との間に日本海溝並の溝がありそうだ、横島に対する認識に関して。
「と言うかね、あれだけセクハラされて許せるって凄い事よ?」
「そのセクハラ男を娘が三人もいる家に同居させてる母親っていうのもどうなんだ」
「なのはにセクハラするような子じゃないし、美由希も静香もちゃんと自衛出来るでしょう?
と言うより、自衛出来るような相手にしかセクハラしないというべきかしら。
なのはやフェイトちゃんの面倒もよく見てくれるし。セクハラ癖はそのうち治るでしょう?」
まあ彼女でも出来れば止まるかもな。
それにしても…別に許してる訳ではなく諦めてるだけなんだが。
というか個人的にセクハラしない横島は横島じゃないというか。自虐島とか聖人君子最強YOKOSIMAとか何が楽しくて横島がそんな…
いやいや考えると実現してしまうかも知れんからそういう事は考えてはいかん。
ともあれ、他所からだとセクハラ許す→気があるんじゃ? と見えるのか。
…冷静に考えると風呂や着替えを覗かれるわ夜這いしに来るわ下着をガメるわ。
……………警察に連れて行かないのがおかしい位だな、確かに。
下着ドロも個人的にはよく分からんのだよな。下着盗む位なら強姦した方がよくね?
そもそも俺の下着盗んでもなぁ……いや美人だよ? 自分で言うのもアレだけど美人だよ?
けど中身はアレだよ? 元男だよ?
まあ他所から見た俺は兎も角、TSなんてモノの影響か、俺自身、確実に世の女性と倫理観とか男の行動に対する好悪とかがズレてる気はする。
別に困らんけど。
ともあれここでだ。『横島とは何でもないんだからな!』 などと強く発言をすればする程ツンデレ乙になってしまうじゃないか。
くそ、なんて時代だ。
「…納得いかん」
「まあそういう可愛い所が見られるようになっただけでも、忠夫君には感謝よね」
憮然とした顔してるハズなんだが。可愛い顔って俺みたいなキツい美人には使われない表現なハズなんだが。
と、視界の端に厨房に入って来づらそうにしている父士郎の姿。
ああ、女同士の会話には入りづらいかもな。
「父、掃除は終わったのか?」
「ああ、ハタキも掛けたし掃除機もな。後はテーブルを拭くのと窓拭きだ」
「窓は俺がやろう。高町母、ざっと見た上でメモしておいた。確認を頼む」
「はいはい」
これ幸いと話を打ち切る。
全く。女というのはすぐ誰かと誰かをくっつけたがるというのは本当かもな。
****
「流石にちょっと遅くなったわね」
「恭也達には悪いが何処かで食べて帰るか」
「なら雪谷食堂へ行こう」
と言うわけで仕込みや掃除が終わった俺達は一路雪谷食堂へ。
久しぶりにテンカワ特製ラーメンwktk。あ? 勿論雪谷食堂を確認した時点で食べに行ったわ。
とりあえず携帯で確認してみたが向こうも店屋物で夕飯は済ませたらしいし、問題なし。たまに喰うと旨いよね店屋物も。
ちなみに雪谷食堂はうち(翠屋)と同じ商店街に存在するぞ。この世界マジパネェ。
なので移動に大して時間かからず到着。
「「いらっしゃいませー」」
む? 女の声が二つ? 片方はユリカ先輩(風校の卒業生)だとして?
「あ、高町先輩、チワっす!」
「静香ちゃんいらっしゃい! サリーちゃん、席案内してあげて!」
「はい! こちらにどうぞ!」
「相変わらず才蔵さんトコは流行ってるなぁ」
アキトと一緒に鍋を振るってるおっさん。これで商店街の顔役でもある。人が良いって事なんだろう。
「ホントねぇ」
翠屋も十分流行ってるけどな、東京の方から取材が来る事もあるし、全国版のそういう雑誌には殆ど毎回載るし。
「新人か?」
満席寸前の店の中、進められるまま席について水とお絞りを運んできた新顔のバイトに声をかける俺。
「はい! 先日からバイトで雇ってもらいました! 吉永サリーです、宜しくお願いします!」
ぶほっ
「あ! 大丈夫ですか?!」
「何やってるんだ静香」
黙れ父。お前に俺の気持ちが分かるまい。
ここはヌーベルトキオシティじゃないんだぞ全く……旋風寺財団とかあるのかな……路線図見た限り、俺の前世のソレと大差なかったハズなんだけど…
しまったな、昔過ぎて余り覚えてない……スパロボのトウマ並にバイトしまくってた貧乏少女で最終話でイケメン金持ちのマイトと結婚した現代版シンデレラだというのは覚えてるんだが、なんで貧乏だったんだっけか。定番の身内の入院だっけ? まあ、この子自身は普通…だったような気がするから問題なしか? そもそもこの子よかマイトが存在する方が死亡フラグに近い気はするが。
「ああ、大丈夫だ」
お絞りで口元を拭う俺。お冷やに口を付けた瞬間吹かされるとは思わなかったぜ……
両親がいぶかしげな面してるが無視だ無視。
まあどうにかなるだろ。ならなかったらならなかった時考えよう。
「半チャンラーメン」
「酢豚定食で」
「チャーシュー麺と餃子一皿」
「はーい、少々お待ちください」
しっかし大学は良いのかね、放課後はアキト見かけるたびに何故かユリカ先輩が側にいる訳だが……
まあ他人事だが。
「碇君、チャーシューあげる」
「ありがとう綾波」
「肉嫌いって珍しいわよね」
ん? 閣下の声が。
と、某声優の声が聞こえた方を向くと予想通り、両手に華状態の碇少年。
まあ向こうは俺の事は知らない訳だし声を掛けるつもりはないが、美少年だな、シンジ君は。
と言っても普通に道歩いてそうなLvではある。アルクェイドとかありえねぇぞ、美しさ的に。
がらぁ
「らっしゃいっ!」
「いらっしゃいませーっ! 3名様ですか?」
「あら、高町じゃない」
む?
「……北川、鈴木先生か」
「あわわ。高町さんこんばんわ」
「先生?」
高町母がこてんと首を傾げる。我が母ながらなんて可愛らしい。というか33歳じゃないだろ絶対。
「ああ、隣のクラスの担任だ、鈴木みか先生。
なのはと同い年のような外見だがこれでも30歳だ」
所謂合法ロリだな。
身長147㎝(小学六年女子の全国平均146.9cm)の小柄な身体で来ている服は子供服。大人用のはオーダーメイドでもしないとまともに着られないらしい。
隣のクラスの生徒である北川理央は俺の親友の一人である。(ちなみに俺は2組、北川達は3組)
身長175㎝、バスト96㎝、ウエスト58㎝のHカップ。
うん、モデル体型仲間なんだ。他にも胸がでかいのならクスハ(葛葉。リュウセイの幼なじみ)とかもいるけど、身長と乳とスタイルのバランスがそっくりなのだ、俺と北川は。なのでよく下着とか買いに行く時とかは北川に付き添ってもらってる次第。
ちなみに初めて女性用下着売り場に「自分のモノを買いに行った」時の恥ずかしさと居たたまれなさったらなかったぜ……
男として、下着売り場で彼女の買い物待ちしてる時以上に恥ずかしかった、何というかイケナイ事をしているような感じが。
まあそれは兎も角。この世界で珍しく漫画だのアニメだののキャラじゃないくせに俺と互角のスタイルと美形度と成績と運動神経を持つ北川なのであった。
「静香ちゃんの同級生? なら席は一緒で良いね!」
流石ユリカ先輩。こちらの意見も聞かずにささっとテーブル二つくっつけて並べやがった。
「あの、高町さんのお姉さんとお兄さんですか?」
おずおずと鈴木先生が尋ねる。とある理由で俺は彼女から大層恐れられてるからな。
「いえいえ、私、静香の母で桃子と言います」
「静香の父で士郎と言います」
「えー!?」
「鈴木先生、五月蠅い」
「だってこんな若いんだよ!? どう考えても兄姉!」
「高町士郎、37歳。高町桃子、33歳だ」
「若っ! 若ーっ?!」
バカみたいに騒ぐ鈴木先生。全く落ち着きのない人だ。
だいたい若いとかいうなら鈴木先生も十分若いだろ。正確には幼いだが。外国人に「小学校」の場所訊かれて困る程度に。
「大丈夫ですよ、みかセンセ。みかセンセも十分幼いですから♪」
「ううー、北川さんがイジめる~」
「面白い先生ね」
落ち着きがないだけだろう、鈴木先生は。見た目通り子供っぽいから困る。
「とりあえず注文したらどうだ」
「あ、そうね」
やれやれ。やかましい連中だ。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「チャーシューメンで」
「半チャンラーメンと餃子ー」
「はーい。アキトさん、店長-、チャーシューメンと餃子、半チャンラーメン追加ですー」
「りょーかい!」
「学校でもこんな調子なのかな? このバカ娘は」
「言っておくがそこの北川と私は学年20位以内キープしてるからな」
3年は全部で200人弱。このご時世になんというマンモス高校。昨年、近隣の高校が潰れてそっちの生徒も受け入れた影響もあるらしいが。
「そうですよー、高町さんは頭よいし運動神経凄いし何やらせても上手だし胸もおっきいし背も高いし足も長いし美人だし」
と、ここで影を落とすように口ごもる鈴木先生。
「ズルい」
「そう言われてもな」
俺にどうしろというのか。
「みかセンセ、本音だだ漏れですよ? 親御さんの前で」
「はっ!?」
「学校生活、楽しそうですな」
どう対応して良いのか分からない父士郎。まあそうもなるか。
その後、注文した料理が来たり美味しかったりしながら、学校の生活とか海鳴大学の事とかつらつらと話しつつ。
「馳走さん」
「ありがとーございましたぁっ」
威勢の良い声を後ろに店を後にする俺ら。
「また明日な、北川、鈴木先生」
「おやすみなさーい」
去って行く鈴木先生と北川を見送る俺ら。どうでも良いが姉妹にしか見えんな、妹が30歳の。
「良い先生ではあるんでしょうけど…」
「静香達の担任でなくて良かったな」
「同感だが口にするもんではないな」
良い人ではあるんだけどね、教え方は上手いかも知れないけどね。
決定的に威厳とか教師らしさとかそういうのが欠けてる人だからなぁ。生徒受けは良いけど保護者受けは微妙な教師なんだよな。
そして家に帰ったら簀巻きの横島が庭先にぶら下がっていたが丁重に無視し、居間に入ると温泉旅行の思い出試作一号と書かれたアルバムが置いてあった。
子供達は就寝、プレシアとオーフェンは風呂、リニスは店屋物の片付けをしていた。
「訊くまでもないがよこ――……忠夫の奴はどうした?」
約束は約束だからな! ……誰に言い訳してるんだ俺は。
「ヒント1、写真」
「もう良い」
進歩のない奴だ。
「リニスさん、ごめんなさいね、片付けまでやらせてしまって」
プレシア所望のアップルパイを冷蔵庫に仕舞いつつ、高町母。
俺はとりあえず紅茶を四人分用意する事に。
「いえいえ。うちのフェイトがお世話になってる事ですし、こちらこそありがとうございます。
おかげでフェイトも少しは物怖じしなくなってきたようですしね」
「最初の頃は借りてきた猫宜しくオドオドすること甚だしかったからな」
「俺は今でもちょっとびくびくされてるぞ」
「すいません、フェイトは余り大人の男性には慣れなくて」
父士郎、ざまあと言わざるを得ない。まあオーフェンはどうなのかは兎も角、フェイトは人見知り激しそうだし実際激しいし。
しょぼんとしながらアルバムを手繰る父。
「なのははカメラワークが上手いなぁ」
「ふむ?」
紅茶を運びつつアルバムに目をやると、確かに良い写真ばかりだ。
特にユーノの表情とかな。選び抜いた一枚って感じだ。勿論他の写真、アリサ達やうちの両親、バーサーカーやライキなども良い写真ばかり。サーチャー使ったせいかアングルが斬新なのも良いな。
流石レイハさんとバルディッシュさん、マジパネェ。
各人一枚ずつは独り立ちの写真があり、グループショットも多彩だ。
……これ小学生の撮った写真じゃねーぞ。プロだと言われても俺は納得する。
特にグループショットが凄いな。高町夫妻と恭也・忍の親子カップル同士の写真とかオーフェンがライキにご飯食べさせてるシーンとか、よくぞ撮ったわと言いたい位だ。
とりあえずバーサーカー登り中のライキの写真は焼き増し…いや携帯待ち受け画像に加工してもらうとして。
まあそんなこんなでプレシアとオーフェンが風呂から上がって来たので、アップルパイを食しつつ、なのはとフェイトが撮った写真を肴に盛り上がりつつ、翠屋の社員旅行は終わりを告げるのであった。
追記、俺と横島のツーショットは総て処分した。…まあレイハさんごと処分しない限り何度でもよみがえるんだろうが。なのはに言っておかねばな。
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鈴木みか&北川理央→原作、ももせたまみ「先生のお時間」です。
静香が知ってる作品からばかりクロスするとは限らないんです。