こちら高町家他貸し切り専用バス車内ですが五月蠅いです。
大人連中は酒も軽く飲み始めてるし、子供達+横島はわいわい五月蠅いし。
美由希と恭也と忍、衛宮とアルトリアは比較的静かだが、放っておくべし。
俺は騒ぐ気にもならないのでライキを腹に抱えて寝てる。こういう時は貸し切りだから便利だよな、バスの中で座席を全開まで後ろに倒しても文句言われないのは。
「らぁぃ」
ぽわっと欠伸をするライキ。着ている服にアホみたいに強力な静電気対策施してるから全然痛くない。月村工業の新技術の実験台なのでタダでもらった。デザインが無難、色も濃い青なので問題ないが、俺の場合、胸の部分がすぐに伸びてだらしなくなるのが玉に瑕だな。販売される時は安く買えるといいんだけど。
しかしライキは暖かいな。ぷにぷにのもふもふだし。
アルフは今、人型でドッグフード食べてるのでもふもふ出来ないのだ。
念能力を生かす意味でもせめてもう一体はポケモン欲しいなぁ。ムクホークとかギャラドスとか。
ギャラドスって常時宙に浮いてるイメージだが鱗が乾いたり生臭かったりしないのかな。
ライキはちゃんと清潔にしてるからかあんまり獣臭くないんだけど、マタドガスとか凄そうだ。
オオスバメとか足でトレーナーの肩捕まえて空飛んでる漫画があったけど、すげー痛くね?
あとオオスバメって平均全長70㎝だから無理じゃね? とか思ってたらこの全長って嘴から尻尾までの長さであって、足から頭までの高さとか羽を広げた時の端から端の長さとかは関係ないんだってな。
だからシラサギとカルガモが同じ平均全長60㎝とかになる訳だ。初めて知った時は目から鱗だったわ。
対してムクホークは1.2mなので、ゲットするならムクホークがいいなぁ、上に乗れそうだ。アニメでは普通に乗ってたし。
手持ちを増やすと言えば海鳴ではポケモンゲットは買うしかないが、前世での影響かあんまりポケモンを買うとかしたくないんだよね。ネット通販もあるけど。
あとパチンコ屋でポリゴンゲット出来るかと思ったら出来なかった。というか、トレーナー資格とは別に、猟銃所持的な免許が必要なんだと、ポリゴンとその進化形は。勿論、電脳犯罪対策である。
諾なるかな。ポリゴン一匹手懐ければそれだけで美味しいもんな、犯罪的に。
他にも色々ポケモン所持に関する法律とかがあって、もらったポケモン図鑑には一匹ずつどんな対応法律が配布されてるとかも書かれてる。
ゲームのようにはいかないねぇ。
あとポケモンバトル(勿論ゲームではなく現実のスポーツとして)をネットで見たけど、トサキントとかネオラントとか、所謂魚類系は水フィールドじゃないとバトルしないらしい。宙に浮くのはゲーム的演出で、何処でも戦闘出来るのもゲーム的バランスの問題なんだろう。
よって、無制限ポケモンバトルだと飛行系と陸上を普通に走れるポケモンが人気で、前述のネオラントやケイコウオなどはペット感覚で金持ちの池にいる場合が多いらしい。
余談だけどチャンピオンはレッドさんだった。日本人の名前じゃねーよとか突っ込んではいけない、今更だから。もしかしたらリングネームとかかも知らんけど。
それにしてもライキは可愛い。暖かい、眠い……
ぐう。
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海鳴一の温泉旅館、海鳴温泉『鶴来屋』に到着。
仲居さん達がずらっと並ぶ中、バスから降りて中へ入る俺たち。横島や衛宮が挙動不審なのは根が庶民だからなんだろうなぁ、高そうだし。
そしてなにより女将が俺らと殆ど大差無い柏木千鶴さんっていう方だし。
まあいいや。気にしない方が幸せになれるってばっちゃが言ってた。
ま、兎も角ノエルの運転するバスが到着したのが昼前だったのでそのまま昼食へ。3Fの小さい方の宴会場にずらっと山海珍味が並ぶ様は流石に絶景だった。アルトリアが呆然とする程には。
後は昼過ぎだというのに飲めや騒げやの大騒ぎ。高校生に飲ますな、衛宮は酔うと抱き癖でもあるのかアルトリアにずっとひっつきぱなしだった。それを物ともせず食べ続けつつ衛宮に飲ませて食べさせるアルトリアパネェ。
父・士郎とデビットのおっさん、それから鮫島のじーさんと松尾さんの旦那さん、オーフェン、横島と恭也は普通に飲んで騒いでる。しかしオーフェンが普通に食事してる様というのは違和感があるな。
アルフはフェイトと隣に蟹の甲羅割ったり食べ方の分からない料理を教えてあげたりしてる。意外と食い物の事はフェイトより詳しいアルフであった。
フェイト隣に座るユーノとなのはもピンクな雰囲気にはならず、すずかとアリサとお喋りしたり、松尾さんの子供(5歳)に食べさせてあげたりと楽しそうである。
その様を余すトコなくビデオに撮るリニス。
余談だが車中、フェイトが結界も張らないでフォトンランサー乱れ撃ちした件でリニスに偉く怒られていた。管理局法に触れるとか何とか。そもそも先に結界張るべきとか。まあ終わった事でもあるし、アリサが謝ったりしたからそれで話は終わったが。まあわざわざアリサの前で説教する辺り、甘いと言わざるを得ない。
その間プレシアは若さを保つ健康法について高町母と松尾さん、忍と美由希に対して大いに語っていた。
魔法を使うと云々でなのはにも教えてやってくれとかどうとか。
俺は寝てたので後から聞いた話だけどな。
俺か? 酔って横になってる。
前世では酒豪とまでいかないまでも普通に飲める人だったから完全に不意打ちだったわ。ビール一杯で頭がくらくらする。一方ライキは湯水のように日本酒の辛いの飲んでいた。大丈夫なのか知らんが楽しそうにライライ歌まで歌う始末。子供達大喜び。ほっぺが真っ赤になって可愛いったらありゃしない。俺は気持ち悪いが。
ところでポケモンの技・歌うの「命中率」が50%なのは納得いかない俺であった。
どうでも良い事は兎も角、マジで頭くらくらするというか意識が朦朧とするというか。トイレでリバースするべきか?
こんな弱いとは思わなかったぜ。
「あの、大丈夫ですか?」
従業員であろう兄ちゃんが料理運んだ後、声を掛けてくる。
「大丈夫だ、放っておいてくれ」
大体顔が熱くて真っ赤になってるんじゃないか俺。どんなに驚こうと殆ど無表情だった俺が。
むう、なんか恥ずかしくなって来たな、後で横島の携帯は破壊しておかないと。
「そうですか。薬もございますので、何かあったらお呼びください」
「ありがとう」
一応礼は言っておく。
出て行った後でやっぱり巨乳がとか言う言い争う声は聞こえなかった事にしておいて。
身体を起こして…水を、水、水……
「はい、静香お姉ちゃん」
「ああ、ありがとう」
水が旨いよ全く。
酒弱い奴に飲ませるのはイヤガラセだという事を実感で知ったわ、全く。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だ、まあこんなに自分が酒に弱いとは知らなかったが」
「無理しないでね」
わらわらと集まる子供達。可愛いのぅ。というかこいつら子役として俳優にでもなったらいいんじゃね。美形過ぎて笑うんだが。将来的な意味でも。
「ちょっと動かないでくださいね――妙なる光よ」
辺りを一回り見回してから、小さく呟いて手をこちらへ翳すユーノ。翠の光が俺の周囲を覆うように小さく輪を作り、消えた時にはさっきまでの不快感は何処へやら、気分爽快である。
「驚いたな、もう大丈夫だ」
「うちの一族は飲兵衛が多いんでこういう魔法も需要があるんですよ」
まあ傷を癒せるなら応用で肝機能とかブースト出来るんだろうな。生活に実に優しい、魔法ウラヤマシス。
「ありがとうユーノ」
「あー!?」
ちゅっと頬にキスしてやる、と目をつり上げてユーノの引っ張っていくフェイトとなのは、そして今度は真っ赤になったユーノ。
「ユーノ君はなのはのなの!」「静香でもユーノは渡せない」
そして呆れるアリサに平然とニコニコしているすずか。
ユーノからかうと面白いなぁ、普段は兎も角、こういう事の耐性なさ過ぎる。無限書庫なんかに何年も籠もってたから女性との触れあい少なかったのかもな。なのはとは(設定的には)一週間に一度は直接会う位には連絡取ってたようだが。
む?
「天ちゅぅぅ!」
横島の飛び蹴り!
「ラぁイ!」
ライキの電光石火!
「ぐはっ!?」
ホントに速いな、これ。実質的には単なる体当たりなんだが。
横島と折り重なるように床にダイブしたライキはそのまま横島にしがみついた。何がしたいのか、稲妻型の尻尾でぺしぺしと横島を叩く。痛くはなさそうだが。
「オノレユーノ許すまじ! 放せライキ! この世の不条理というものを――」
「黙れ」
「はい」
何という弱さ。
「ユーノのおかげで食事ももう少し取れそうだ。付きあえ」
「イエッサー!」
ライキは横島の腹にしがみついたまま尻尾まで身体に巻き付けて寝始めた。
オノレ横島め。
「もう! 忠夫お兄ちゃん、ユーノ君を苛めちゃ駄目!」
「いじめは駄目なんだってリニスが言ってた」
「分かったから散れ。飯が喰えん」
「おう、ガキども。温水プールがあるらしいから行くか?」
オーフェンが例によって黒ずくめなんで雰囲気がめちゃくちゃ違和感感じるようになってるな。
こいつは酒飲んでないっぽいな。まあ暗殺者として躾けられてる訳だから飲まないだけかも知れんが。
「いいじゃない、行きましょ!」
「水着も持ってきてるしね」
スク水なのかなとか一瞬思った。そして、ふと思う。
俺も夏の体育でスク水着るのか? このバスト101㎝Iカップで?
自分の事ながら何という違和感。むしろコスプレのようだ。まあエロゲのヒロインなんてみんなそんなもんなのは否定出来ないが。
今日は俺はプールは最初から興味の範囲外だったから用意しなかったけど、風高の指定水着ってどんなんだ。
いやどんなんでもこの胸一つでエロいんだが。まあ腰も足も綺麗な自信はあるがこういう風に考える辺りそろそろ元男としては終わってる感があるな。
…というか今気付いたが頬とは言え、ユーノにさらっとキスしてる辺りもう終わってるな。
考えても仕方ないからやくざでも弄ろう。
「しかしオーフェンが子供の引率とはな」
「俺は子供好きのナイスガイなんだ」
はいはいと軽く流すと、荷物を置いた部屋へ移動する子供達についていくオーフェン。
「アルフはいかんのか」
「泳ぐなんて何が楽しいんだい?」
まあ心底不思議そうですな。狼ってどうなんだろうね、水入るの。
「静香ちゃんは――」
「水着がない、入る気もない」
「ですよねー」
くっと涙を払う横島。そして八つ当たりのように料理に手を付け始める。
「ウマいウマい」
しかし腹をライキに抱きつかれたままよく食べられるな。ちょうど胡座かいた横島に対面の形で横島の足に座って抱きついている。小さく寝息が聞こえるとか酒に酔って頬が赤いとかもー可愛いにも程があるな。
「落ち着いて喰え馬鹿者」
ん、恭也達は酔い覚ましかデートか、どっか行くみたいだな。
衛宮はセイバーに抱きついたまま寝こけてるし。
「ふむ、食事を済ませたら散策でもするか」
「付き合うっす!」
「要らん。独りにさせろ」
「えーえーえー」
ウザい。
縋り付く横島を軽く投げ飛ばそうとしてライキが寝てるのでそれもならず。
とりあえず頭引っぱたいておいた。
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書くペース自体はそう大差ないんですけど、年末という事もあって書く時間自体を取りづらくなってきましたね。
温泉編はまだ続きます。