TS・多重クロス・オリキャラメイン・憑依・転生その他色々な要素を混ぜてみた実験作です。
よほどウケれば続きも書くかも知れませんが今のところは一発ネタです。
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皆さんは自分の不運を呪った事はお有りだろうか?
俺は今現在進行系で呪怨中である。
二次創作大好きですよ? 憑依系とか現実来訪系とか転生系とか大好きでしたよ?
逆行系も再構成もどんと来い、でも多重クロスとTSは勘弁な! でしたよ?
でも自分が体験したいとはあんまり思ってなかった訳で。
死んだ後――だと思う、主観的には――神様とやらが現れて。
そこはたとえるなら星一つない宇宙空間ような上下左右も光さえない場所で。
しかしその人――いや神?は自ら光ってたのかその周りだけ明るくて。
暇つぶしにつきあってもらおう。
そう曰ったのだ。
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「おはよ-、静香お姉ちゃん」
我が妹、高町なのはが朝を告げる。
「…ああ、おはよう」
多少、ぶっきらぼうになったのは寝起きだから、という事もあるが、概ね別の理由である。
この少女――たとえるなら「冥王なのは9歳Ver.の完璧にして究極たるコスプレ少女」であろう。
実写版デビルマンだのドラゴンボールだの北斗の拳だのとは比較にならぬ、月と鼈どころか月とミトコンドリアほどは違う、それほど完璧な、「高町なのはが実在の人物だったらこういう少女であろう」という俺――高町静香――の想像通りの少女である。
そして19年、いやなのはが生まれてから今年9年目なので9年間、共に家族として過ごした少女でもある。
このような言い回しをおかしく思った人もいるかも知れない。
しかしこの俺は所謂、「転生系主人公」と同時に「憑依系主人公」でもある「オリ主」なのだ。
19年間の記憶、そして人格を持った高町静香――恭也の双子の兄妹――に、冒頭で神様にアホな宣告された俺が憑依、人格融合を果たした結果が今、ここでなのはの頭を手をやりベッドから起き上がった俺である。
自分で自分の事をオリ主とか言っちゃう痛い人生に用はなかった筈なのに…
そら思わずため息も出ようと言うものだ。
「静香お姉ちゃん?」
捨てられた子猫も斯くやという瞳で俺を見上げるなのは。
「気にするな、悩み多き年頃なのだよ、19歳で高校三年生というのは」
恭也もそうだが、父・士郎の内縁の妻・香織(旅先で知り合ったらしい)に捨てられた、或いは金で売られた俺たち双子は父の武者修行に付きあって全国放浪の旅に出ていたのだ。6歳の頃、秘密結社『龍(ロン)』の爆弾テロで一族ほぼ皆殺しにされた後――金がなくて放浪先の青森から、俺たちは戻れなかった為助かった――、熱出して入院していた3歳の美由希を、美由希の付き添いで病院にいて助かった士郎の妹・美沙斗から預かり紆余曲折の後、海鳴市に定住を始め、そのうち士郎と桃子が結婚、現在に至る。
その頃のツケで、俺と恭也は一年留年しているのだ。ついでにどちらが先に腹から出てきたのかも分からんという。
なにせ生みの母、香織は産んで数日しか経っていない俺ら双子を士郎の部屋に置き去りにし、預金通帳ほか当時の士郎のほぼ全財産かっぱらって書き置きが一つ。
名前は恭也と静香がいいと思います。 香織
実母香織、この時から今を以て消息不明である。
確かに「とらハ3」の設定では恭也は上記の生い立ち――勿論静香の部分は除く――だけどさぁ…と思わず愚痴をこぼしたくなる俺の気持ちは間違いではないと思う。
「姉の着替えなんぞみてて楽しいか?」
「うん」
他の家族といる時は普通になのちゃんとなのはちゃんを行ったり来たりな雰囲気なのだが、俺と二人きりの時は構って欲しそうな子猫のようだ。
原因を過去に探るとどうも、この高町静香は御神流に興味がなく――健康の為、護身術程度は習っているらしい――士郎が下手打って入院してた時もアホみたいに修行している恭也を横目に遊び呆けていたようだ。その当時から美由希の面倒(修行)は恭也、なのはの面倒は静香と何となく役割分担していたらしい。
こんな言い方になるのも俺が「高町静香」と憑依・融合したのがつい先日だからだ。
主観的な時間では死んだ直後に憑依・融合させられたと言った感じなので日々違和感ばりばりである。尤も客観的には違和感など感じられてはいないようだが、周りの反応を見るに。
自身の事よか風ヶ丘高校へ行けば行ったであり得ない世界が広がってるのが問題だ…いやこれは嫌でも後ほど遭遇するが。
「待たせたな、朝ご飯と行こうか」
風ヶ丘の制服に着替えて、最後に伸び放題に伸びて腰まで届く黒髪を持ち上げ、所謂ポニーになるよう適当に結わき、なのはを促し部屋を後にする。
当然なのはも私立聖祥大学付属小学校の制服に着替えている。
髪を伸ばしているのは短髪だとどうも恭也との区別が付きづらく、間違えられるのを嫌ったかららしい。
鏡を見れば、なるほど恭也女版、というより美由希の実母、美沙斗に似てる俺の顔。えらい美形ではあるが、どことなく険のある表情と男言葉、そして基本的に無表情という点が大いに減点対象になっている。
我が事ながら笑えば可愛いだろうなと思わせる顔である。スタイルも良い、ブラのカップはEカップでトップが90㎝を軽く超えていた。しかしウェストは60㎝を下回ってるという。なんというモデル体型。身長は170㎝ジャスト。
以前の俺は確かに巨乳好きであった。しかし自分の胸が大きくなって欲しいとは欠片も考えた事はない、当然だが。
何が違和感があるって胸が重いのと股間がすーすーするのが一番キツい…泣きたい。
女体化したらまずやるであろうアレも非常に気持ちよかった事も鬱になる原因だ、色んな意味で。
マジで泣きたい、というか最初の数日は独りになるとガチで泣いた。
家族に無駄に心配かけたようで、そのせいもあって先ほどのなのはの態度な訳だが…
人生ままならんにも程がないか? 全く…
「おはよう」
居間に入り挨拶。
士郎に桃子、恭也に美由希、全員揃っていた。
定位置に座り朝のニュースを見ながら食事と雑談。
「――光の歌姫フィアッセ・クリステラの来日公演が――」
「ああ、もうニュースになったんだな」
なのはのトラウマ発生事件たる士郎の負傷、長期入院の原因はこのフィアッセをテロから守った事が原因である。桃子と士郎が結婚する前からの付き合いな上、去年までは喫茶翠屋でチーフウェイトレスとして働いてくれていたり。そんな訳で今でも彼女は日本に来るたび、うちに寄って泊まって行く事を習慣している。
まあとらハ3設定という奴である。
ちなみに恭也は忘れ果てているが昔、彼女と結婚する約束もしていた。今、恭也は月村忍と付きあっているが折を見て盛大にバラしてやろうと思う。
それにしても見事にリリカルなのはととらいあんぐるハートの設定が融合してるなぁ…はぁ…
まあ融合してるのはリリなのととらハだけじゃないんだが…
「フィアッセお姉ちゃん、凄い人気なんだよー! アリサちゃんやすずかちゃんも大ファンなんだから」
フィアッセによく懐いていたなのはが、我が事のように嬉しそうに話す。
アリサ・ローウェルではないので注意。
暫く、美由希のクラスでもファンが、だの忍はSEENAのファンだとか取り留めのない話題が続く。
「ほらほら、もうバスが来ちゃうわよ」
「はにゃ!」
ああ、もうそろそろ家を出ねばならぬ時間である。
ちら、と恭也に視線を送ると小さく頷いた。この兄妹、他人とはいざ知らず兄妹同士だと極端に会話がなくなるというか、視線だけで意思疎通出来る桃子曰く悪癖がある。
他人事のような書き方だが、実際今の一瞥で恭也の次の行動がほぼ読めた、或いは読めた気になれる辺り俺も大概である。厨二病乙と言わざるを得ない。
心で小さくため息を吐くと、ご馳走様と一声かけて立ち上がる。ほぼ同時に恭也と美由希も続いた。
「にゃっ!? お兄ちゃん達、ちょっと待ってよぅっ!」
「慌てずゆっくり急いで食べるが良い」
「え? えぇ?」
よく分からなくなったらしい。
「静香、なのはで遊ぶな」
士郎から一声。まあ笑いをかみ殺したような口調では何ほどの意味もないが。
「ほら、早く食べて一緒に行こう?」
美由希がお姉さんぶってなのはの頭を撫でる。
その間、食い終わった食器をシンクに放り込む俺と恭也。
なのはをバスに送り込んだ後、俺達三人は私立風ヶ丘学園に足を運ぶ。
桜が舞い散る海鳴の道路は美しく、柄にもなく良いなぁ…などと思ってしまう。
そう、季節は四月。ついこないだ始業式が終わり学年が繰り上がったばかり。
つまり、りりかるなのはが始まる時期というわけだ、この世界がそうであるならば、だが。
まあ静香の過去を振り返ってみても、クロノ=ハーヴェイとの邂逅はなかったみたいだし、なのはの誕生日が3月15日でない事からも、りりかるなのは寄りの世界なんだろうとは思われるが。
ユーノとジュエルシードが舞い込んで来たとして…どーすっかね?
もう頭がパンクしそうですよ…
死んだと思ったらアニメの世界を元にしたような世界に憑依融合とか訳ワカメな状態で、更にその世界はカオスも良いところだし…
「よお、高町兄妹!」
こんな風にな。
「…おはよう、乾有彦」
おそらく俺は('A`)みたいな顔で返事をしたであろう。続けて恭也と美由希も挨拶をした。割とどうでもよさげだが。
「珍しいな、有彦がこんな時間に学校に行くなんて」
「ホントホント、雪でも降るんじゃない?」
「いやいや、最近物騒だからな。
変な化け物が現れたとか妙な噂が流れてるし。金もねーし暫くは健全な高校生でいようかと」
「変な化け物、ねぇ」
美由希がうさんくさそうな目で有彦を見る。まあ実際うさんくさい男だが、マジで頭がオレンジ色だし。
マジパネェっす有彦さん。
と、いうか。
「有彦」が「変な化け物」って[吸血鬼フラグ」じゃねーの? ホントマジ勘弁して欲しいぜ…
「おっはよーみゆきちー!」
後ろから声がかかる、脳天気を具現化したような声。
「おはよー、こなたー」
美由希の脳天気な声が続く。
そう、泉こなた高校一年生である。
春日部に帰れ! と俺的な意味で初対面の時に叫びそうになった俺は悪くないと主張する。
言っておくが別に青い髪ではない。長さは俺と負けず劣らず長い上に寝癖なのか常にアホ毛が飛び出ているが、真っ当な黒髪である。
というか、アニメ的記号でしかない青髪だのピンク髪だのを実写で再現しようとする方が間違ってる訳で。茶髪程度ならまだしも。
話がずれた。兎も角…多重クロスは嫌だって言ったじゃないですか!
この後教室に入ると担任は知恵留先生だわ遠野志貴とか横島忠夫とかクラスメートだわ、隣のクラスには黒羽快斗とか中森青子とかいるし…ワールドカップには日本代表として高杉和也とか騎馬拓馬とか出てたしな! マジ格好良かったぞ和也! 愛子ちゃんラブリー! ちなみに柔道78㎏級日本代表は粉川巧だったぜ! 笑うしかねぇ!
美由希(高校一年)の方には天河明人とか高良みゆきとか柊つかさとかいるしっ!
別にどうでもいいけど美由希のクラスメートで委員長の高良みゆきは「みゆきさん」と呼び、うちの美由希はみゆきちと呼ぶのがこなたクオリティ。たいていの人は名字で分けて呼ぶが。
閑話休題。
さらには海鳴市を記憶頼りにふらついてたら金髪紅瞳の白い外国人とクラスメートの志貴が腕組んで歩いてたり、ちょっと裏路地行ったらマッコイ・カンパニー直販店とかあるし…この感じだと柳生新陰流や二天一流の継承者がいてもちっともおかしくないな…しかも女性で。
全く…世界はこんなはずじゃなかった事ばかりだよ…
割と本気でそう思う。
俺の明日はどっちだ……
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ちなみに続き書くとしたらユーノは逆行者決定です。
あとどんな要素がありますかねぇ…ヘイト・アンチ以外で。
くすりとでも笑って頂ければ歓喜コレに勝る事なしです(・∀・)
20091125ちょっと訂正