「A-10神……まさか、そんな……」
「あはは……勝っちゃった」
私のサンダーボルトは、無残にも空中で爆発する。
対する赤い悪魔は口を開けたまま、いまだにレーザーを吐き出し続けている。
「あーっ! アリサちゃん、フェンリアはなし! LSWM撃たないでー!」
「勝負の世界に情けは無用。落ちなさい!」
衝撃波に巻き込まれ、アルトのサンダーボルトも落ちる。
「くそ、機動性が違う」
「足が遅いよー!」
何度やtっても、砲撃魔導師とくぎゅのタッグに勝てない。当然だ、ファルケンとフェンリア、どう考えてもワイバーンでも引きずり出さないと勝てない。
「……アルト」
「うん」
「ふふふ、ついにプライドを捨てたわね」
アリサが勝ち誇ったように言う。しかし、私は迷わない。
「ACX最強はカリバーンだ。ファルケンやフェンリアは、雑魚が最強の名に酔うためのフェイクに過ぎん」
「シルフウィングの威力を思い知るがいいのよ!」
最高速度、機動性、共に馬鹿みたいに高い機体、カリバーン。対空戦においては、これでもかという変態機動で比類ない強さを誇る。
「いい度胸ね、範囲攻撃の餌食にしてあげるわ!」
「アリサちゃん、それはやっぱりずるいと思うの」
「ファルケン使ってるおまえが言うな」
「にゃ!?」
結論。なのファルケンを袋叩きにして、フェンリアリサのケツを追いかけ回した。
「いやー! 来るなー!」
「フフフ……怖かろう、恐かろう」
「A-10神の恨み、晴らさせてもらうわ!」
「ブレイク! 避けてフェンリア!」
アリサの願いもむなしく、ミサイルと機銃の十字放火を食らって砕け散るフェンリアリサ。
「じゃあ、次は私と交代だね」
「うん」
なのはがすずかと交代する。
何をやっているかというと、我が根城のルーデル屋敷で女の子5人でPSPを握っている。未来の砲撃魔導師を育てるために、というのは冗談で、約三名が私の結界をブチ抜いて、抜き打ちの家庭訪問に来たのだ。
正直、あり得ない。
「機体何にする?」
「えーと、どれがいいのかな?」
「ファルケ」
「架空機禁止」
「ええええええ? あたしのフェンリア……」
「おとなしく空戦でケリをつけるべきではないか。私はA-10神」
「私もサンダーボルト」
「あたしは……メビウスラプターよ!」
「すずかはワイバーン許可」
初心者ゆえの配慮。ラプターより機動性は高く、なぜかミサイルがよく当たる。
「どれかな?」
「これ。一番端の方の。機動性が違う」
「わかった」
などと遊んでいるうちにも、私は結界を調べている。
そういえば、原作では結界の中に取り残されていたこともあったか。
もしかすると、魔法の適正もあるのかもしれない。バーニングアリサなんてものもあったし。
『破壊はされていません。純粋に無視されたようです』
「比較的弱いのを広範囲にしたからか……なのはの近くにいたからか?」
郵便や宅配まで来れないのは流石に嫌なので、それらは除外するように設定してある。
そのはずなのに、スクールバスが来れないのは何故だろうか? 特に困らないので放置しているが。
除外対象以外が来ると、戻ろうとするまで永遠に迷い続けることになる。
『憶測の域を出ません。アリサ・バニングスと月村すずかの二名には、魔力資質は感じられません』
「魔法の資質は無い。だが別のものはあるんだな?」
『主に、月村すずかから』
「警戒しなくていい。すずかなら、いや、月村家ならしかたない」
『ランナーがいうのなら確かなのでしょう』
とりあえず、なのは効果か夜の一族補正か、そういう結論に落ち着いたが。
「招かれざる客、というか」
『クーゲルシュライバー、Ready』
エイダが勝手にデザートイーグルを発動して、魔法をロードする。デバイスはここではないどこかに顕現し、それが勝手に『ソレ』を照準する。
「やめておけ。声までは聞こえてない。私は善良な市民、そうだろ?」
『了解』
ジャミングがもう癖になっている。魔法を発動したが、魔力反応は探知されていないだろう。
なるべく『ソレ』の方を見ないように警戒しながら、屋敷への道を戻る。
「やれやれ、監視か。誰だと思う?」
『フェイト・テスタロッサの可能性を提案』
「私もそう思う。屋敷の私をどうしようか……」
屋敷の中を調べられたら、センチュリアがお出迎え。怪しさ抜群だ。今、外にいる私は野宿でもなんでもできるが、監視包囲されている屋敷の私は逃げ場がない。
『『最初の世界』に転送することをお勧めします』
「それしかないか」
思い立ったが吉日。地下の転送ポートに全員が集まる。そしてすぐにあの施設へと飛ぶ。
「……あるいは、もうバレている可能性もあるか」
監視――――サーチャーがこの街にどれだけ放たれたのかは知らない。だが、複数個所で同時に私が発見されれば。
『ヘルゼリッシュ、Run』
天空の私は、フェイトの監視を始める。
「正解だ」
『セレスタルストライカー、Ready』
だからといって、ここで突撃しては意味がない。私と『あの魔導師』は別人と、フェイトに確信させなければ。
「許可しない。わざわざ私とセンチュリアを結び付ける気か」
『のぞきには死あるのみ、ではないのですか』
「あれがただののぞきだと?」
『冗談です』
この馬鹿とはきっちり話をつけるべきかもしれない。
「エイダ、終わったぞ」
『安心しました』
次元世界の境界越しでもリンクできる私と違って、エイダは同じ世界でないとリンクできない。どういうことか聞くと、『タチコマです』という返答が帰ってきた。どうやら、情報の共有で疑似的に私と同じ状態にしているらしい。
「屋敷に結界の祠を建てて正解だったな」
『ダンボール箱効果、でしたか』
「似て非なるような気もするが、そうだ」
結界の源が古びた祠であれば、昔からある『何か』だと思ってくれる。神社や、何か曰くのありそうな物を置いておくと更に効果は上がる。ダンボール箱は、あからさまに怪しい場所にあっても進路上や道のど真ん中になければ無視される。要はカモフラージュと言いたいだけなのだ。
「何か地味な呪いをかけて封印した適当な岩を、この前設置したしな」
『足の小指を箪笥の角にぶつけやすくなる呪い、です。箪笥がなければ何かの角に適用されます。調べようとした者は、遠隔地からの探査であろうと呪われる素敵な岩です』
「ああ、エイダの発案だったな」
どこからあんな発想が出るのだろう。案外、こいつの思考はもはや人間である可能性が捨てられなくなった。
機械にはできない、創造の力を得た可能性が高い。こんな馬鹿馬鹿しい呪いで。いや、予兆はあった。ブレインストーミングで魔法を作り出したあの時。
「フェイトの小指が心配だ」
『えげつないですね』
「おまえにそれを言う資格は無い」
テクテクと屋敷に戻り、庭の祠に手を合わせ、屋敷に入る。ただの散歩に見せかける。そして私も転送する。これで屋敷の中で矛盾は無くなった。
「うおおおおおおおお! 燃え上がれ俺の何かァァァァァァァ!」
「無表情で熱血しないでほしいの。怖いから」
「エルテちゃん、一人称が『俺』になってるよ!」
「あー、こうなったおねえちゃんはしばらく元に戻らないよ」
「逃げろ逃げろー、あたしを狙った罰よー!」
などと馬鹿騒ぎをする。エイダが念話であっちから見てる、あれを見てるなどと報告してくるので、敢えて見せつけてやる。
「避けッ……」
「お馬鹿さん! そこは機銃の巣よ!」
「なにィィィィィ!?」
ガリガリと削られていく俺のサンダーボルト。弾切れを狙われて更に追い込まれている。為す術なし、逃げるのみ。
「よくA-10ごときであたしの攻撃に耐えたものだ!
中略!
死 ぬ が よ い!」
ワイバーンが背後に回る。だが。
「かかったな!」
「え?」
俺を追いかけることに夢中で、高度と速度を見ていなかったアリサ。俺は急降下し、Rトリガーをこれでもかというほど引き、そして地表すれすれで反転したのだ。俺のケツを追いかけることに夢中だったアリサは、わずかに引き起こしが遅かった。
「嘘だー!」
「バーニング1、クラッシュ!」
地面にキスをした時の定番を言ってやる。
「ば、バーニング1?」
「アリサのコールサイン。似合ってるだろう? TACネームは……Goldene Flammeなんてどうだ?」
「ゴルテネフランメ? 何よそれ」
「ドイツ語で、金色の焔という意味だ。金髪が綺麗だし、いつもバーニングしているし、バニングスだし、ぴったりだと思うぞ」
「けなされてる気がするわ」
「だが、私はその髪が、性格がうらやましい。イトオシイ……」
「たしかに綺麗だけど……」
「けなしてるのは否定してないの」
最終的にはAC6に移行したりと、なぜか空を飛んでばかりだった。普通スマブラとかじゃないのだろうか。5人ともすさまじく攻撃的なのは言うまでもない。あのおとなしそうなすずかですら、隙あらば私さえもガンガン落とす。
「機体選びに性格が出るな。アリサはこう、『死 ぬ が よ い』、なのはは『薙ぎ払え!』、すずかは無難にラプターとかワイバーン」
「そういうあんたはサンダーボルトで急降下爆撃しかしないじゃない」
「まあ。そうだな」
あの感覚。重力加速度を超えて、Gが反転する時のゾクっとした感覚。あれがたまらない。
ゲームでは感じられないのが残念だが。
「アリサは完全に突撃・殲滅・制圧タイプだな。ACZEROでマーシナリーから抜け出せなかったろう?」
「なんで知ってんのよ!」
「アリサだからな」
「アリサちゃんだし」
「アリサちゃんならしかたないの」
「ごめんなさい、何も言えないよ……」
アリサへの集中放火が決まる。ああ、平和だ。
《あとがき》
ひさびさにACXやったら思いついた。後悔はしない。
なぜアリサがエスコン強いかというと、エルテが貸したからです。インメルマンターンやオーバーシュートのタイミングが神です。
ちなみに、うちの爺さんは逆タカ落しができます。ヤバイぐらい強いです。
なのはが砲撃による薙ぎ払いを覚えました。
考えてみたら、原作一話から二日ぐらいしか進んでいない気がする。
キャラ一人で何人もいると同時進行が難しいです。視点変更描写も。
Oct.25.2009
順番を時系列順に変えました。
Nov.8.2009
話数を変更するの忘れてました。