「ねえ、どうやってプレシアを救出したのかしら?」
温泉で幸せそうに甘酒を飲んでいるリンディが、素朴な疑問とばかりに訊いてきた。
「ジェットエンジンで。魔法が使えんのならば、科学を使えばよかろう」
茫然。唖然。その発想はなかったわ。そう顔に書いてあった。
時は戻って――――
暗く寒く無機質な廊下を歩く。ここは地下深く。階層表示のないエレベータで延々と下り続けた場所。
「ここは何の施設なんだ?」
「始まりの地。もし未来のガイアに宗教があれば、聖地とでも呼ばれたかも知れんな」
私は認めんがな、と、やっと見分けがつくようになった微笑みでエルテは話を切る。
確かに、宗教的な遺跡と雰囲気が似ている気がしないでもない。だが、そんな遺跡と違うのは、非常に近代的であること、清潔であること、何らかの研究施設であることだ。
保存状態のいい旧ベルカの遺跡に似ているが、ベルカというより、エルテが観ていた映画にあった地球の研究施設の方が近いように感じられる。
「既に気付いているだろうが、私は人ではない」
「…………」
「…………」
僕も母さんも、何も言わない。人造魔導師、いや、それでもあり得ないほどの魔力。
「クロノは知っているな、偉大なる破壊神、ルーデル閣下を」
「ああ」
偉大かどうかはわからないが、一応うなずいておく。その言葉には、ちょっとした悪ふざけが感じ取れた。
「私とアルトは、このガイアに人がいた頃に造られた、ルーデル再臨計画の為の、魂の器。長い時の中で、閣下の偉業は過大解釈され、文字通り『破壊神』と謳われ信仰の対象となった。過去に確実に存在し、遺伝子情報もあり、その人間とは思えん戦果を叩きだした人物。復活させれば、そして強化すれば、更に数を確保できれば、この大戦も勝てる。当時の人間はそう思ったのだろうな。私が女なのは、当時のここの所員の悪ふざけだ。最終的には、笑顔の素敵な閣下そのものの器が造られただろう」
表情も口調も雰囲気も、いつもと変わらない。だが、一歩ずつ嫌な予感が増していく。
「過去の人間を現在に再臨する、それには非常に観測の難しい素粒子群による情報体が必要だった。人間のみならず、あらゆる生命にこれは存在する。高度な量子AIにすらあったという。これを当時の研究者は魂と呼んだ」
魂。普通に聞けば、胡散臭く感じただろうその言葉は、何故かそうは感じなかった。
「結局、閣下の魂を再現する前にこの施設が強襲され、人は皆殺しにされ、自力で動けぬ私達だけが残り、封鎖された。瀕死の研究員が施設全体に冷凍睡眠を実施した。この施設の時は止まり……地上では大戦とそれによる汚染で人類は滅びかけ、そして人はガイアを捨てた。別の星へ旅立ったか、別の世界へ逃げたか……ああ、ここだ」
壁一面の巨大な扉だ。幾つもの円柱で、物理的に開けられないようにしてある。おそらく大規模魔法であって破壊できないだろう。
エルテはその扉そのものについている端末を操作し、金属のぶつかる音を立て、円柱が次々に引き抜かれ、扉は不気味な低い音を立てて開いてゆく。
扉の向うは闇。未だ何も見えない。エルテも母さんも、動かない。
人が入れるくらいに開くと、扉は止まった。エルテは、何も言わずに奥に進んでいく。その姿を照らすように、明りが灯いていく。
「!」
「…………」
薄暗くとてつもなく広い空間に、延々と並んだインキュベータ達。その中に、裸の少年少女が浮いていた。眠っているのか死んでいるのか。
「私の子供達は、管理局の言う『違法な研究』で生まれた失敗作。死んだり弱かったり、生物として致命的欠陥があったり。あるいは兵器としてしか生きられなかったり、強すぎる力を制御できなかったり。私は名もなき彼らを奪い治療し蘇生して、普通に生きていけるようにする。限度はあるがな。この世界は、普通の世界ではまっとうに生きられない者達の、最後の楽園だ」
エルテは、特に何でもないように先に進んでいく。エレベータや階段がある。まだ下の階層があるらしい。
エレベータに乗り込み、更に降りる。今度はそれほど深くはない。
降りた先はまた暗闇。今度は明りは灯かず、だがエルテの周りだけが明るい。
「管理局が知れば、ガイアは制圧されるだろうな。管理局上層部にとって、絶対知られるべきではないことを知っているのだから」
「どういうことかしら?」
「管理局が主導で行っている違法研究がある。無論、上層部が裏で行っていることだが……」
「なんだと! そんなこと!」
「黙っていろ、管理局の犬。組織を盲信するだけでは、いいように使われて捨てられるぞ。巨大な組織だ、暗部もあれば恥部もある」
「何故、そのことを?」
一気に周囲が明るくなる。
当然僕らは眼を灼かれて、しばらく視界を失う。
「これが、答えだ」
眼が慣れるのを見計らってか、絶妙なタイミングでそのセリフを言う。まるで役者だ。
薄れていた色が、形が鮮明になっていく。
上とそんなに変わらない風景。延々とインキュベータが並んでいる――――
「これは!?」
エルテと同じ顔の、いや、背も体形も何もかもがまったく同じ少女がずらりと並んでいる。
「人造、魔導師……」
流石の母さんも茫然と、その光景から連想できる単語を呟いた。
この光景がどれほどの意味を持っているか、どれほどの恐怖を僕らに与えたのか。『エルテ・ルーデル』と同じ、あるいは同程度の魔力を持つ存在が、ここには無数にいる。世界をあっけなく壊せる、そんな存在が。
「違う。戦略兵器だ」
その言葉を口にするのにためらいもなく。その言葉の意味することの一切にまったく感情を抱いていない。
戦略兵器。確かに、エルテが一人いれば、どんな世界もあっさり破壊、あるいは消滅させることができる。地表に存在する文明の一切を昇華させたりもできる。それが、視界に収まりきれないほどにいる。
「違法研究だ! これだけは、見逃すことは……」
「クロノ。私は説明と同時に脅迫している。今こうしている最中も、私は管理世界全てにアヴェンジャーの砲身を向けている可能性がある」
「だとしても、こんな非道が許されるはずがない!」
『これは、私の倫理に悖るものではない』
同じ声が幾つか、同時に別の場所から聞こえる。声の主は見えず、しかし聞き覚えのある声。
今まで静かだった培養層が、一斉に動きを見せる。すでに排水が始まっている。
「ここにいる私はそこに並んでいる私と同一存在。私の意思は一人だが、躯は一つではない。私は複数で個を形成している」
排水が完了し、一斉にインキュベータのガラスが下がっていく。エルテ達の動きを阻むものは、もう何もない。
「私は一である」
『同時に、全でもある』
インキュベータに立ったまま、エルテが一斉に言葉を放った。ずれて聞こえたのは、距離の問題か。
「例え私を捕えようが閉じ込めようが封じようが凍結しようが殺そうが」「一人でも私が存在する限り、エルテ・ルーデルは自由だ」「捕えられず閉じ込められず封ぜず凍結できず殺せず」「止めることすらできない強大な力と、把握すらできない膨大な数」「アースラのクルーに私はいるかもしれない」「リンディの上司は私かもしれない」「クロノの同級生かもしれない」「エイミィの初恋の相手」「レティの茶飲み友達」「クライドの友」「誰かの仲間」「誰かの家族」「汝の隣人を疑え」「私はどこにでもいるかもしれない」「そして、どこにもいないかもしれない」「エルテ・ルーデルは抑止力となるべき『絶対不変の恐怖』」
まるで輪唱だ。次々に繋がる言葉は、綺麗な声で、だが言っていることの意味が、その声の美しさの一切合切を台無しにしてくれていた。
まったく同じ、そこにある光も込められている意思も。聞かされただけでは理解できなかっただろうその光景、その意味は、その場に居合わせるだけで理解できた。洗脳や刷り込みなどというちゃちな小細工でこの光景は作り出せない。文字通り『同じ』なんだと。
「あなたの目的は何かしら?」
「幸せであってもらうこと。私の大事な人たちに」
「……なら、他の人がどうなってもいいと言うの?」
「ダウト。管理局の崩壊は、私の大事な人たちの不幸を意味する。ミッドチルダ。本局、地上本部、管理世界、管理外世界、未発見世界。その全てに私は存在する。そしてあらゆる人間関係を構築している。友、敵、仲間、同僚、戦友、etc...」
『エルテ達』は一斉にどこかへ移動する。ばらばらに、一人を残して。一切の合図も、そこには見られない。だが整然と、一切の迷いもない。
インキュベータは閉じられ、また液体が充填されていた。そのずっと向うに、エルテではない、歪んだ人影が見えた気がした。
「私は次元世界の状況をほぼ完全に把握している。フフ……Big sister watching you、といったところか」
そのフレーズには聞き覚えがあった。そう、あれは……彼女に渡された小説の中。もしかして、いや、微妙に違う。
「君が世界を管理しようというのか!」
「みーえーなーいーしすたーがー、か。さすがクロノ、よく覚えている。だが、それはあまりに安易な発想だ。超管理社会系ディストピアの実現には、ある程度の『人類の意思の統一』が必要だ。長い時間をかけゆっくり洗脳する、武力制圧ののちに状況に慣れさせる、ほかにもいくつか方法はあるが、どれも次元世界全てを統一するには非現実的だ。要は監視だ、次元世界のバランスの、安寧のための」
そしてまた、エルテは歩き始める。
「何故僕らに教えた? こんな秘密、管理局に知られれば困るんじゃないか?」
「『私』という存在を、管理局員が知ってしまった。管理局上層部は、私の存在を徹底して秘匿しようとする。異常な程の魔力量と出力を誇るリンカーコアを持つ、恐らく人造魔導師。恐らく、私がおとなしくしていればこの躯を調べ尽くそうと幽閉するだろう。反管理局組織などに私の情報が漏れれば、即座に行動を決するはずだ。今までとは比べ物にならない脅威が管理局にあるのだから、それが本格的に動き出す前にケリをつける必要があると考えるだろう。死人に口なし、残念だが上層部にとっては現場の人間など消耗品だ。消耗率の高い管理局なら余計に。アースラは任務中に事故で全員死亡あるいは行方不明。シナリオとしてはそんなところだろう」
「そんな……」
「力は強ければいいというものではない。適材適所、パワーバランス、この概念があって初めて国家間の安全はなされる。逃げる軽犯罪者相手に戦略兵器は使わんだろう。本当に強い力は、水面下でひっそりと作り上げていくべきなのだ。そして組織は秘密のために人を殺すものだ。軍であれ、企業であれ、管理局であれ。リンディは知っているんじゃないか? 不自然に死んだ同僚や部下、ああ、クロノも一人知っているかもな」
僕の管理局に対する信頼が、砂上の楼閣だったことを知った。そして楼閣は今、崩れ始めていた。
エルテの言う『一人』。もしかしたら、初恋だったのかもしれない、あの大人びた少女。
「今から調べようにも、既に何も残ってはいないだろう。私は全てを知っているが、一切の証拠はない。諦めろとは言いたくはないが、報復するのはやめておけ」
今度は、床そのものがエレベータらしい。かなり広い面積が、ゆっくりと沈んでゆく。
「何故だ! エリーゼは!」
「同類になるつもりか」
一瞬で頭が冷えた。
「それに、彼らはもう存在しない。報復は無理だ」
「殺した、のか?」
「いや。ただ、あまりに酷い連中は……」
その先がひどく気になるが、僕の中の何かが、『それ』を訊くことをかたくなに拒んでいる。
エルテもその先を言うつもりはないらしい。ちょうど、エレベータが止まる。
シャッターで隔てられたその空間。5mはあるそれは、かなり広大なこの地下空間の中でも、かなり大きいことを示している。
カタカタと、存外軽い音を立てて、シャッターが上がっていく。
「ここから先が、最後の秘密。プレシアの望み……だ」
シャッターの先、そこには特に驚くようなものはなかった。円形の広間、外縁の壁一面に旧式のモニタとコンソール、そこに座るおそらくはエルテであろう人達。中央には巨大な機械が鎮座していて、それには空っぽのインキュベータが挟まれている。
「ここには何があるの?」
「11年前、私は取り返しのつかない失敗を犯した。災害からとある青年を救出したが、その後の処理を誤り、殺してしまった」
エルテはいくつもある扉のすべてを無視して、何もない壁――――いや、あまりに巨大な扉に向かう。
「26年前、もはや私の手は届かない。ある母娘に襲いかかる悲劇、これは止めようがなかった」
ガゴォン、ゴォンと、今までの扉とは比較にならないほどの重い音を立てて、その扉の戒めが解かれる。数多のシリンダーが順々に抜かれ、円盤が回転し、ゆっくりと隙間が開いてゆく。隙間は紅く光を漏らし、しばらくしてそれが光の格子であることに気づいた。
「この先は、たとえこの星を爆滅したとしても、この世界を破壊したとしても残る。ガイアで最も安全な場所だ」
そして、ある程度開いて、扉は止まる。同時に、光の格子も消え、扉の幅の溝を足場が覆う。
「私は秘密裏に世界に介入し、誰にも知られず私の理想のために動く。そのためなら、世のコトワリにすら抗う」
一切の迷いのないその眼。睨むようでどこか優しいその眼を、懐かしく思った。
時が止まった世界で、私とクロノは戦う。
「物理法則を無視するだけでは魔力の無駄遣いだ。状況によって切り替えろ」
「くうぅっ」
クロノを可能な限りエミュレートして、射撃戦から接近戦を交互に繰り返す。
「フッ!」
「がっ!」
隙を見て、思いっきり頭部を殴りつけた。
意識を失い、落ちてゆくクロノをだき抱え、地面に寝かせる。
「まったく。相変わらず頭が固い。多少はましになった、というところか」
模擬戦を望んだから、軽く戦ってやった。クロノと同じ身体能力で、こちらは射撃魔法は使わず、機動戦のみというハンディキャップのもとでさえ、こうして勝てる。フェイクにフェイント、心理戦。予測と相手の反応速度。人間に存在するあらゆる盲点を突いた。
人間は上方向の探知能力が極端に低い。あるいは、背後からの接近よりも。種としての欠点であり、気付きにくく、故に慣れにくい。
そして可能な限り死角へ回り無音で上昇すれば、完全にロストする。
「数年。案外、長かったのかも知れないな」
リーゼ達の訓練の形跡はしっかり残っていた。しかし、エリーゼの教えは片鱗が見え隠れするだけ。
「トラウマか。失敗だったな。所詮は子供か」
あれから立ち直るには、受け入れるか拒絶するか。クロノは拒絶したのだろう。
「ラインの乙女と対戦させてみるか」
「――――管理局」
そこにいたのは、あの悪の魔女チックな服ではない、普通の服を着て眠る娘を背負う紫の魔導師。
「やっぱり。説明してもらえるかしら?」
リンディは私を睨む。次元犯罪者を目の前に、それをどうすることもできない現状に腹を立てているのか。あの時話さなかったからか。それとも別の理由なのか。
クロノは珍しく黙っていた。
プレシアには『問題ない、黙っていてくれ』と念話で伝えた。
「プレシアは、書類上は行方不明。そう処理されていたな」
「それがどうかしたのかしら?」
「訂正しろ。死亡だ」
「ここにいる彼女はそうは見えないのだけど」
「フフフ……一切の問題は存在しない。ここにいるプレシアは、諸君の知っているプレシアとは別人。そういうことになる」
モニタが、エルテとリンディの間に現れる。そこには、『生命還元法に関する実験と結果』というタイトルの論文が映し出されていた。
――――死者をそのまま蘇生させるのは難しい。ならば、どうするか。生きている、あるいは生きている状態に近い存在に、死者の記憶・魂を定着させればいい。先人の記した『生命還元法』により初めは――――
「生命、還元法?」
「プレシアが望み。いや、大切なものを失った誰もが望み、実現できなかった。だが、かつてのガイアでは、あるいは可能だったのかもしれない」
――――生物には、素粒子の集合体による情報体が存在する。ここではこれを『魂』と呼称する。生物の死後、それはどこかへ霧散してしまう。これをなくして、死者を甦らせることは不可能だ。例え躯が医学でいう『生存状態』にあったとしても、情報体『魂』がなければ、そこに対象の意思・性格・個性などの再現はできない。これは後述の実験により――――
「死した個人の、生きた完全なコピー。プロジェクトFに似てはいるが、しかしこれは魂の存在が前提となる。そして、コピーのための生きた素体が必要だ」
――――この『ルーデル式生命還元法』は、正しくは生命還元法ではない。故人の意思・性格・記憶を別の器に移植するものである。故に、新しい器となる生きた人間が必要であり、その躯を故人と同じ容姿にする必要がある。これは精神と肉体の齟齬を無くすためであり――――
「その、素体。『あなたの子供達』を使っている、だから蘇生した人は別人、そういう理屈かしら?」
リンディの言葉に怒気が含まれていた。
「惜しい。私の子供達は代替不能だ。あの子たちは救われなくてはならない。素体にしては、何のために助けたのか判らない」
「だったら、誰を?」
「量産可能かつ代替の存在する個人。私以外に適役はいないだろう。生命還元法に必要な、平均的な魔力炉5基分の魔力出力も賄える。なにより、元より私の躯は消耗品だ」
蘇生のためのイケニエ、そう言うとまるでファンタジーの魔法だな。
「ここにいるのは、プレシアとは別人。そして彼女の存在には違法性がない。そういうこと?」
「概ね、その認識で合っている。ただ、違法性はある。管理局の法ではな」
「ここでのことで法には問えないわ。爆薬に火種を持っていこうなんて、そこまで馬鹿じゃないもの」
「私は爆薬扱いか。まあ、それほど間違ってはいないが」
先程の脅しを、充分に理解できている。あなたの隣人は戦略兵器かもしれません。デモンストレーションと同時にそんなことを公表すれば、ミッドチルダはパニックになるだろう。いや、管理世界・管理局までも。
「まあ、あなた達なら、いつでも歓迎しよう。シルヴィ元帥に言えばいつでも来れる」
「やっぱり……シルヴィ元帥は」
「地球の動物学者が聞いたら笑うだろうな」
プレシアの方を向く。いつの間にか、クロノと何か話していた。
「そう――――ね。目的はエルテが果たしてくれたもの。あとは、アリシアとここで静かに暮らしていこうと思うわ」
「フェイトは……どうするんだ」
「あんなことを言ってしまったのよ? どんな顔して会えばいいの? そもそも、死ぬはずだった私からあの子を解放するための芝居だったのに……」
「…………」
「フェイトは、全て知っているよ。私が教えた。プレシアの真意も、アリシアのことも、フェイトの存在も、フェイトの過程における失敗作のことも」
「は?」
「なんですって?」
爆弾を投下した。
一日がもうすぐ終わる。浄化済みの大地で、同じ顔の少女たちが元気に駆けずり回っている。
それを、プレシアが複雑な表情で見ていた。
「まさか、庭園を回収しているとはね……」
「使えそうなものはなるべく回収している。それに、プレシアの『娘たち』も、蘇生の対象だった」
金髪で鮮やかな紅の眼。それはフェイトに、アリシアによく似ていた。
「どうする? 私の子として預かるか、プレシアの子として育てるか」
「私が……育てるわ」
「そうか。アリシアは、眼が醒めるまでもう少し待ってもらうことになる。フェイトは……裁判をクリアしてから、だな」
蘇生して未だ眼を醒まさないアリシアは、プレシアの背で寝息を立てている。こうして見ていると、ただ遊び疲れて眠っているようにしか見えない。
「……フェイトには、会えないわ」
全てを諦めた、まるであの時と同じ顔だった。
「一度だけ会ってやれ。罪滅ぼしがしたいのなら、それからだ」
「そう……なら……一度だけ」
《あとがき》
これで本当に無印は終了です。
答え合わせ、ネタバレ編でした。説明ばかりですね~。力量が足りないのを思い知らされます。
時系列としては、アースラがガイアに上陸してから、本局へ旅立った後の話になります。
アースラクルーを身内に引き込むためのフラグです。
残念ながら、クライドはまだ隠されています。彼が表舞台に出られるのは、まだまだ先、StSくらいですかね。
ちなみにガイアの研究施設にはまだまだ秘密があります。今回ハラオウンズに見せたのはまだまだ片鱗です。ルーデル機関の秘密はこんなもので全貌は明らかにはなりません。
では次回、A's編をお楽しみください。
あ、ちなみにタイトルが違和感なくなる魔法を見つけてしまいました。
手にしたのは、破壊の力。
得たものは、無限の兵力。
そこには私の意思しか存在しない。そして私は未来を知っている。
(原作)破壊少女、デストロえるて。はじまるぞ。
うん、これならぴったりだ。
ということで、これからも破壊少女デストロえるてをよろしくおねがいします。
Jun.9.2010
27との矛盾を修正。
ついでに少し書き足し。