ダイ視点
なんだろこれ…
目の前で黒い服を着て、全身に包帯を巻いた綺麗なお姉さんが倒れてて…暗闇のような黒い目でボクを見ている。
ボクの足に何かが触れて…拾い上げて見ると、それは姫って呼ばれてたお姉ちゃんに押しつけられたナイフだった。
「うああああ…こ、これって…血!?」
慌ててナイフを投げ捨てようとして、ボクの右手も血で真っ赤になっているのに気付いた。
「え…? 何で? も…もしかして…ボクがやったの!?」
「チューッチュッチュッチュッ!! よくやったでチュウ!! これだけ弱れば贄蝕みの炎(にえはみのほむら)に抵抗する事はできないでチュウ!!」
「…えっ!?」
振り返るとネズミのように前歯を出したシスターが気持ちの悪い笑い方をして立っていた。
「思った通り、聖なる巫女はお前にだけは気を許していたようでチュウ! こうも容易く事が進んで逆に不安になるくらいでチュよ!!」
「や…やっぱりボクがこのお姉さんを…!? ぼ、ボクはなんて事を…」
「ヘッ! なーにその女の云う事ォ真に受けてンだよ…こちとら戦闘のプロだぜ? 餓鬼に殺られてたまるかい!」
銀色の髪をしたお姉さんはお腹を押さえながらゆっくりと自分の足で立ち上がった。
「なにが、これだけ弱れば…だ。急所は外れてらァ…浅手じゃァねーが、致命傷には至ってねーよ!!」
「チューッチュッチュッチュッ!! 無意味な強がりはやめる事でチュウ! この結界の中では精霊の力を借りた魔法は使えないでチュウ!!
急所を外れてようと、治療もできずそのまま失血が続けば、貴女の体力がすぐに限界に来ることは火を見るよりも明らかでチュウ!!」
「舐めンじゃねェ!! 血を止める手段なんざいくらでもあらァ!!」
お姉さんの右手に金色の炎が噴き出して、そのままお腹に押し当てしまった。
お肉が焦げるような嫌な臭いとお姉さんの苦しそうな声にボクとメルルってお姉ちゃんは目を丸くする。
「なっ…贄蝕みの炎で傷を焼き潰すとは!? や、やめるでチュウ!! 太陽神の伴侶の体を贄蝕みの炎で焼くなどあってはならない事でチュウ!!」
「物を焼かずして何の火だ、馬鹿野郎!! この炎には散々泣かされてきたが、漸く俺の役に立ちゃァがったな!!」
「ち、違うでチュウ!! 偉大なる太陽神の炎は魔界に生きる人間へ与えられた希望であり、邪悪な敵を焼き滅ぼす為の力でチュウ!!
その炎は巫女の胎内へ宿り、貴女を穢そうとする無頼な者どもから護り、そして将来、太陽神にお仕えする為に体内の不浄を浄化する為の炎でチュよ!!
それなのに、その炎が貴女の身を焼いたとなれば、貴女は邪悪な存在という事になり、貴女を選んだ太陽神もまた間違いを犯した事になりまチュウ!!」
シスターは両手をわたわた動かしてお姉さんを止めようとしてるけど、お姉さんは聞かない。
「変な理屈捏ね回すな、ボケッ!! この炎に助けられた覚えは一度もねーや!! そもそも贄蝕みって字面からしてまともじゃねーだろ!!
つーか、贄蝕みの炎にはダチをみんな殺されてたンだよなァ…そんな腐れ炎の何を有り難がれってーンだ、ざけンじゃねー!!」
お姉さんの背中から金色の炎が噴き出して、まるで鳥の翼のように広がった。
そのせいでお姉さんのシャツと包帯が燃え落ちちゃって…そこでボクは見たんだ。
「お…お姉さんのお腹の傷が無い…? ううん、それどころか火傷もしてないみたいだ!!」
「み、見て下さい!! エターナルの炎を避けるように、床や壁の肉片が消えていきます!!」
本当だ。あの気持ち悪いグジュグジュがお姉さんを中心にしてどんどん逃げていく。
「おお…おおおおおおおおおおっ!! 素晴らしい!! 贄蝕みの炎との同化が進み、貴女はまた一つ偉大なる太陽神へと近づかれた!!」
「近づいてたまるか、盲信野郎!!」
炎がエターナルさん(だったよね?)の体を覆って、まるで黄金の鎧を着ているように見えた。
そして感激してるシスターの顔面をエターナルさんの拳骨が襲った。
「今更だが、テメェ…太陽神信仰の生き残りの末裔だな? 五百年前にとっつぁんが魔界にあった人間の国ごと滅ぼしたらしいが、存外にしぶてェな!?」
「チューッチュッチュッチュッ!! 太陽神信仰は不滅でチュウ! 教皇スカイオーシャン様の指導の下、五百年の歳月の中で力を蓄えていたのでチュウ!!
最早、太陽神信仰は権力者やモンスターに怯える弱者の集まりにあらず! この世を平定し地上に太陽神と我らの楽園を作る事も不可能ではないのでチュウ!!」
顔の右半分を凹ませられながらもシスターは目を爛々と輝かせて叫ぶ。
「そういうのを誇大妄想ってンだよ!! なら、俺はこの力を使ってテメェらに引導を渡してやる!!」
「それは結構! 貴女がその力を使えば使うほど偉大なる太陽神に近づくのでチュから、私は喜んでこの身をその炎に捧げるでチュウ!!」
シスターがラッパを思いっ切り吹くと、物凄いうるさい音が出て、衝撃波が生じた。
「しゃらくせェ!!」
エターナルさんの前に巨大な炎の壁が現われて、衝撃波とぶつかり合ってお互いに消えてしまった。
「クソっ! 使い方は漠然と解るンだが、使いこなせるだけの技量がねェや!!」
「チューッチュッチュッチュッ!! 今の衝撃波を防ぐだけでそれだけの炎を使ってしまっては後が続かないでチュウ!
炎は太陽から無限に供給されまチュが、それを扱う貴女の生命力は著しく消耗してしまいまチュウ!
そして生命力を消耗すればするほど贄蝕みの炎は貴女の体を神にお仕えするに相応しい巫女の体へと作り変えていくのでチュウ!!
始めはナイフで刺され、体力を消耗した貴女を儀式にかけて一気に太陽神の巫女として覚醒させるつもりでチュたが、これはこれで思惑通りでチュウ!!」
「俺の体は俺ンだ!! それ以上、巫山戯た事ァ抜かっしゃーがると、丸焼きにしてヴェルザーの親父ンとこ遊びに行く時の土産にすンぞ!!」
でも、エターナルさんの炎は徐々に勢いを失って、背中の翼も最初の半分以下になっていた。
「無理をするからでチュウ! 云ったはずでチュウ。贄蝕みの炎を扱うには生命力を消耗すると!」
シスターはもう一度ラッパを吹いて衝撃波を放ち、エターナルさんも負けじと炎の壁を作って迎撃する。
しかし炎の壁はさっきよりはかなり小さく衝撃波に掻き消されてしまった。
「ぐうっ!!」
炎の壁でいくらか勢いを殺されていたのか衝撃波はエターナルさんを少し後ろへ押しやっただけに終わった。
けど、今ので炎の翼も鎧も消えてしまう。
「チッ! テメェらへの皮肉のつもりで使った炎だったが、予想以上に扱いづれェ…逆に振り回されるたァ情けねーぜ、まったく!!」
エターナルさんは全身から汗を噴き出しながら腰に差した二本の剣を抜いた。
炎の鎧が消えた事で今気付いたけど、エターナルさんって刺青してたんだ…炎のような模様の黒い刺青は白い肌に映えて凄く綺麗だ…
「けど、まだテメェを仕留めるだけの力は残ってンぜ? テメェの衝撃波を放つ“タメ”のタイミングは見切っている!!
この間合いなら衝撃波を放つ前にテメェの首を取れる!! この気色の悪いとこから早くオサラバしてーし、そろそろ決着をつけさせてもらうぜ!!」
「それは構わないのでチュがね…子供とはいえ殿方の前でその恰好は如何なものでチュか?」
あ…あわわわわわ…そう云えばエターナルさん、上半身が裸だった!
けど、エターナルさんはボクをちらりと見ただけで平然としていて、おっぱいを隠そうともしなかった。
「見られて減るもんじゃねーや…むしろ重くて邪魔だから減ってくれると助かるし…」
そう云ってエターナルさんは一度小さく体を反らしてかなり大きいおっぱいを揺らした。
「それに軍人ってェ職業柄、男と一緒に風呂に入る事も少なくねーし、お姫様ってェ商売は侍女に湯浴みとかの世話させっから不特定多数に裸を見られンのは慣れてンだよ」
慣れてても少しは隠してよ…目のやり場に困っちゃうから…
「それにほとんど毎晩のように精霊達と夜伽を重ねてるし今更だな」
「…よとぎ?」
「ええと…一緒のベッドで眠る事ですわ! …って、え、エターナルさんも子供の前で変な事を仰らないで下さい!!」
メルルさん? なんで顔を真っ赤にさせてるの?
「悪ィ悪ィ…ダイには早すぎる話だったな」
エターナルさんはシスターから目を離すことなく苦笑して答えた。
あれ? シスターの様子がおかしい? 俯いて体を震わせている。
「夜伽? 夜伽でチュって? 偉大なる太陽神にその身を捧げるべき巫女がおぞましい精霊と肌を重ねている?」
「そりゃま、俺も人間だし? 人並みに性欲はあるわな。けど、忌々しい炎のお陰で惚れた男はみんな焼け死んじまったからな…女に走るのも仕方ねーだろ?」
さばさばした云い方だったけど、エターナルさんの目は今にも泣きそうだった。
夜伽とか肌を重ねるとか、意味は分からないけど、好きになった男の人がみんな死んじゃって哀しい思いをしてきたのはボクにもよく分かった。
「そうではないでチュウ!! 百歩譲って女色に走るのは許すとして、貴女は精霊と房事を通じて気を通わせ合ったと云うンでチュね!?」
「じゃなきゃ人間の俺が四百九十八歳まで生きられる訳ねーだろ? 精霊達と気を循環させてる内に自然から気や魔力を吸収できるようになったからな。
お陰で飯を食わなくても腹は減らねーし、魔法も闘気を用いる技も使い放題よ…って、調子こいてたら、いつの間にやらこの姿のまま数百年が過ぎてたって訳さね」
いやー、とっつぁん達と一緒に生活すると時間感覚が狂うね、と苦笑するエターナルさんにメルルさんは何故か頭を抱えた。
「人間が完全に老化と寿命を克服した? いえいえ、そんな神をも畏れぬ事がこの世にあってなるものですか…」
顔を真っ青にして風邪でも引いちゃったのかな?
「そ…そんな…折角見チュけた奇跡の巫女が既に精霊によって体を蝕まれていた? これでは太陽神にお仕えするという大事なお役目はどうなると…?」
「いやまあ、元々太陽神に仕えるつもりはねーし、これで巫女の資格が無くなるンならそれでOKじゃねーか?
俺は俺で魔王軍で愉しくやってくし、テメェも精々太陽神を信心して世のため人のために生きな…な? それでみんな幸せだろ?」
エターナルさんはカラカラと笑ってから、急によろめいた。
「あれ? 血ィ流しすぎたかな?」
「許さない…」
「あん?」
「許さない…やっと見チュけた奇跡の巫女をこのままにしておくことは許さないと云ったのでチュウ!!」
途端にエターナルさんがお腹を押さえて苦しみだした。
顔を真っ赤にして、目は涙がどんどん溢れて、口元からもよだれが凄いことになっている。
「あ…熱い!? 体が熱い!? ち、違う! 子宮が煮えるくらい熱くなっている!?」
「我ら十二使徒ともなれば、命と引き替えに貴女の胎内にある贄蝕みの炎に干渉する事ができるでチュウ!!
こうなっては仕方がないでチュウ…我らが太陽神信仰の栄光を見ることができないのは残念でチュが、我が命と引き替えに貴女を覚醒させるしかないでチュウ!!」
シスターが両手を組んで祈りの言葉を囁く度にエターナルさんの体は大きく跳ねて一層苦しんだ。
「苦しいでチュか? それは貴女を蝕む精霊の気と贄蝕みの炎が戦っている証拠でチュウ!!
人の体が発熱して病気の原因である菌を殺すように、戒めの炎が邪悪なる精霊の気を貴女の体内から排除しようとしているのでチュウ!!」
「や…やめろォ!! お、俺は巫女なんかになりたくない!! ダチを殺した太陽神に仕えるなんて…嫁ぐなんて…死んでも嫌だ!!」
「何故、拒むのでチュウ? これは名誉な事…人間が直接神に触れる事ができるようになるのでチュよ? そして太陽神と共に我らに救済を!!」
エターナルさんが苦しんでる…神様と結婚できるみたいなのは凄いけど、その為にここまで苦しまないといけないのかな?
それにエターナルさんと結婚しようとしてる神様は、エターナルさんのお友達を殺してるみたいだし、ボクが同じ立場だったら、やっぱり嫌だ!
あと微かに覚えてる…エターナルさんはボクを抱きしめてくれた。ただギュッって抱いて、無事で良かったって微笑んでくれたんだ!
そんな優しい人をボクはナイフで…助けないと! ボクはこの人を助けないといけないんだ!!
「や…やめてぇ!! エターナルさん、苦しんでるよぉ!! それに嫌がってる人を無理矢理結婚させるのも酷すぎるよ!!」
「は、離すでチュウ!! 我が最期の大祈祷を邪魔チュるな!!」
ボクはシスターの背中にしがみついてお祈りの邪魔をする。
シスターも物凄く暴れてボクを振り落とそうとするけど、絶対に離すもんか!!
「ダイさん! 無茶です!」
「だ…ダイ? お前…何やってンだ!? そんな事をしてる暇があるンなら、そこの嬢ちゃんと婆さん連れてさっさと逃げやがれ!!」
「嫌だ! 戦うのは怖いけど、エターナルさんが苦しんだり泣いたりするのを見るのはもっと嫌だ!!
だからボクは戦うんだ! もう誰が敵で誰が味方なんてどうでも良い!! エターナルさんを苛めるシスターはボクがやっつけるんだ!!」
「だ…ダイ…お、お前…俺の為に戦うと…?」
エターナルさんの目はまだ涙で濡れてたけど、そのキョトンとした顔はお姉さんなのに可愛かった。
「姫ってお姉ちゃんが云ってた、ボクが勇者ってやっぱり嘘だったんだね…勇者だったらシスターをやっつけたいと思わないもんね!
勇者だったら魔王軍のエターナルさんを助けたいとは思わないよね? だからボクは勇者じゃない!! 一人の男の子としてシスターと戦う!!」
「だ、ダイさん、なんて事を!!」
「うわ…ヤベ…餓鬼の言葉なのにドキドキしてきた…」
メルルさんは哀しそうな顔をするけど、仕方ないよ! ボクはどうしてもシスターが許せないんだから!!
でも、シスターのお祈りを止めたのに、どうしてエターナルさんは顔がまだ真っ赤なんだろう?
「いい加減に離すでチュウ!! 巫女に一傷つけた褒美に命だけは助けようと思ってたでチュが、もう許さないでチュよ!!」
シスターがラッパを今度は床に向かって吹くと、衝撃波でボク諸共宙に浮いて凄い勢いで天井にぶつかった。
「あぐっ!?」
ボクの口から沢山の血が出てきた。
痛いよ…怖いよ…でも絶対に離すもんか!! ボクは男の子だからエターナルさん達を守らなきゃいけないんだ!!
「エターナルさん! 逃げて!! シスターはボクが捕まえてるから、その間にメルルさん達と逃げて!!」
「馬鹿云ってンじゃねェ!! その吐血、内臓までダメージを受けてるはずだ! そんな餓鬼を残して大人がおめおめと逃げられるか!!」
「そ…それを云ったらボクは男の子だい! だから女の子は守るんだ!!」
エターナルさんは泣き出しそうに顔を歪めると、シスターに向き直った。
「俺の負けだ…巫女だろうと太陽神の嫁でも妾でもなってやる!! だからダイの命だけは許してくれ…こんな泣かせる事をいう餓鬼を殺さないでくれ…」
「だ、駄目だよ…なんでそんな事を云うの? 諦めちゃ駄目だよ…エターナルさんはボクが絶対に守るから!!」
「その気持ちで十分だ…お前はさっき自分は勇者じゃないって云ってたが、それは間違いだ…お前は紛れもない勇者だよ…
勇者とはその名の通り勇気を持つものだ…しかも、その勇気を見てる奴らにも分け与えることができるお前こそ真の勇者だよ」
そう云ってエターナルさんは優しそうな…綺麗な顔で微笑んだ。
「ありがとう、ダイ…もうその手を離して良いンだ…俺はお前から勇気を貰ったよ…太陽神の巫女となってでも太陽神と戦う勇気をな…
さあ、ネズミ女…さっさと儀式とやらをしやがれ…ただし巫女になったからといって俺を容易く御せると思うなよ? 必ず太陽神の喉元に食らいついてやる!!」
「チューッチュッチュッチュッ!! 結構でチュウ! 太陽神の御心を知れば、そんな恐ろしい事は云わなくなるでチュウ!!
我らと共に世界に蔓延る邪悪な異教徒を殲滅し、この世に真の楽園を創造する聖なる巫女となる事を自ずから望むようになりまチュウ!!」
「さあ、ダイ…手を離すンだ…太陽神信仰の事は全てこのターさんに任せておけ…な?」
そんな…どうしてこうなるの? ボクはエターナルさんを守りたいだけなのに…
そうだ! ボクはエターナルさんに勇気を与えたかったんじゃない! エターナルさんが泣いたり苦しんだりするのが嫌なんだ!!
「嫌だ…」
「ダイ?」
「嫌だって云ったんだ!! ボクはエターナルさんが苦しむのを見るのが嫌なんだ!! だからボクはこの手を絶対に離さないぞ!!」
「ピイイイイイッ!!」
その時、ゴメちゃんっていう新しい友達が強い光を放った。
「ウチュアアアアアアアアアアアアッ!! 眩しい!! こ、これはまさか神の…!?」
ボクと同じ光を浴びているシスターは苦しんでいるけど、逆にボクは良い気持ちだった。
まるで全身から力が漲ってきて、額が物凄く熱くなった。
「う…器が壊れる!? 太陽神から賜わった力が暴走して器が耐えきれない!?」
光が収まるとそこにはシスターの姿はどこにもなかった。
ただ呆然としているエターナルさんとメルルさん、そして倒れているナバラお婆ちゃんの姿しかなかった。
勿論、ゴメちゃんはボクの右肩に乗っている。
「だ…ダイ…おまえ、記憶が戻ったのか?」
「記憶? エターナルさんもそんな事を云うの? お兄ちゃんや姫ってお姉ちゃんと同じ事を…」
「記憶は戻ってないのか…なら、その額の紋章は本気で俺を助ける為に発動させたのか?」
紋章? ボクの額に何があるんだろう? 確かに物凄く熱いけど、不快じゃない…なんか力が体の奧から湧いてくる感じがする。
「ダイさんが竜の紋章を…魔王軍を助けるために、邪教とはいえシスターを倒すために竜(ドラゴン)の騎士の力を…」
竜の騎士? いや、今はそんな事より!
「あのシスターは!? さっきの光で消えちゃったの!?」
『そんな事ある訳ないでチュウ!! よくも私の器を…神より授かりし力を得てなお人として生きるための器を…』
「気ィつけろ!! 闇の奧に何かいやがる!!」
エターナルさんはメルルさんのスカートの裾の生地を少し貰って胸に巻きながら前を警戒する。
『ゆるさないでチュウ!! 邪神の堕とし児よ!! この報いは爪先からゆっくりと喰らって恐怖と苦痛を存分に味わわせてから受けて貰うでチュウ!!』
地響きを立てて闇から巨大な何かが来る!!
『否、最早、巫女だろうと何だろうと関係ない!! この醜い姿を見られたからには全員、私の胃袋の中へ招待してやるでチュウ!!』
「醜いねェ…むしろテメェの性根にお似合いの姿だと思うぜ?」
『神の僕を侮辱するのもいい加減にするでチュウ!! 嬲り殺しでチュウ!! この世に生まれたことをたっぷり後悔するでチュよ!!
太陽神信仰・武装異端審問会(アームド・パニッシャー)・十二使徒が一人、クンビーナ様の真の恐ろしさを存分に愉しむが良いでチュウ!!』
全身に灰色の毛が獣みたいにビッシリと生えた筋肉質の女の人を想像できる?
顔はネズミのように長くなってるけど、目だけは人間のままでシスターが被る布もそのままだ。お尻からは細長い尻尾が生えている。
だけど、その大きさはさっきの比じゃない! 巨大な熊さえも一口で頭を食い千切れそうなくらいの巨体を誇っている。
『太陽神よ、ご照覧あれ!! 貴方様の忠実なる僕、クンビーナの最後の戦いを!!』
化け物になったシスターはどこに隠し持っていたのか、その巨体に見合った大きなラッパを咥えると大きく息を吸い込んだ!!
あとがき
おかしい…プロットの段階ではポップのメガンテイベントまで書くつもりだったのに、興が乗りすぎて加筆、加筆でご覧のありさまに(汗)
でも、これも丁度良い区切りなので今回はここで締めました。
ギャグが書きたいのにシリアスが続く…多少の茶化しはあったけど、ギャグとは呼べないですしね(苦笑)
しかも今回もちょいとエロい描写が…時代小説を愛読しているせいか、自重しないとエロ描写を普通に入れてしまうのも悪い癖です(汗)
それとターさんは今のところ、ダイに惚れたって訳じゃないです。ちょっと見る目が変わったというかフラグが一本立ったというか(笑)
そしてシスター・クンビーナの変身…好きなんです。変身するボスキャラって。燃えますものね(笑)
次回はバランやアバンの使徒とも合流して大バトルになります。戦闘描写は苦手ですが気合で書ききります。
でも次回で全てに決着がつくかなぁ…こればかり書いてみないと分かりません。
それでは、また次回に
10月19日 誤字修正