『うおおおぉおおぉおぉおぉぉりゃああぁあぁあぁぁああぁああぁ!!』
「その叫びいるのか?」
青色のエステバリス、ガイ機のラッシュをブラックサレナに乗ったアキトは避ける。上手くスラスターの出力を調節し、脚部スラスターで後退しながら僅かな動きで回避する。
『ちっ、だったらこれはどうだ!!』
ガイはラッシュを途中で止め、エステバリスに搭載されたワイヤードフィストを使う。完全に隙を突いた一撃。にも関わらず、
「おっと」
アキトはそれをテールバインダーで弾く。そのままディストーションフィールドを展開し、
「じゃ、そろそろ終わりにしようか」
加速。最高出力で突進し、ガイ機に激突した。
『おわああぁああぁぁあぁぁ……』
悲鳴を上げながら飛んでいくガイ機は徐々に離れていき……、爆発した。
「くっそおおぉ!! アキト、おめえ強すぎるだろぉ!!」
「当たり前さ、俺は最強だからな」
『YOU LOSE』と表示された画面を見た後、シュミレーターのハッチから出たガイは怒鳴る。アキトは『YOU WIN』と表示された画面を見た後、ニヤリと笑う。
「畜生……。もう一回勝負しろ!」
「ああ、幾らでもどうぞ」
「言ったなぁ! よ~し、見てろよ~!!」
再びシュミレーターに入るガイ。フッ、と小さく笑いながら続くアキト。
「うぎゃ~!!」
数分後、ガイの悲鳴が再び響いた。
「……喧嘩売る才能でも持ってんのか、お前は?」
「え~、だって~……」
「だってじゃねえよ」
怒りを通り越して呆れの色を見せるアキトに、ユリカは拗ねている。
アキトたちがシュミレーションで特訓(アキトのリンチとも呼ぶ)している頃、連合軍との話し合いがあったらしい。ナデシコの要求は、ビッグバリアの一時的解除。当然、軍はそれを拒否。……本来なら、そこまでなのだろうが。
「そんなかっこで出るとか、お前はホントに……」
「だって~、折角のお正月なのに、着物を着ないなんて損でしょ?」
そう、ユリカは着物を着て、司令部に赴いたのだ。当然、相手は激怒し、全軍でのナデシコ撃沈という判断を下してしまったのだ。
「はぁ……。けど、それにしちゃあ迎撃が少ないな」
「ああ、そのことですか。ルリさん、お願いします」
ルリはウィンドウを表示する。そこには、青い矢印と赤い矢印が何個もぶつかりあっている画像。
「……青いのを連合軍だとすると、この赤いのは?」
「今まで停止していたチューリップです。どうやら、連合軍に刺激されて再起動したようです」
「なるほど、ね。となると、現在はミサイルによる追撃だけ、か」
機内を襲う振動を感じながら、アキトは呟く。
「と、いうことは第三防衛ラインのデルフィニウム部隊までは安全か」
アキトはそれだけ言うとブリッジを出て行く。
「アキト、何処行くの?」
「シュミレーションルーム。ガイと再戦の約束してるんだ」
言い残して、手を振りながらアキトはブリッジを出て行った。
「……ああっ! アキトに着物の感想聞くの忘れてた~!!」
ユリカも叫びながら飛び出した。
「……馬鹿」
それを見て、ルリが呟いた。