「……何だ?」
「ブ、ブリッジに行って確かめてきます!!」
突然の揺れに、アキトは眉を顰め、プロスぺクターは慌てて飛び出した。他の整備班員も同様だ。
アキトは暫く揺れを感じていると……。
「……襲撃、か?」
呟き、ブラックサレナのコクピットに飛び乗った。
――何故そう思ったかは、分からない。
「敵の目的は我々の頭上に集中している」
低い声で淡々と告げる巨躯の男性――ゴート・ホーリーが言うと、その正面に居る老人――フクベ・ジン提督は小さく唸り、
「敵の目的はナデシコか……」
「そうと分かれば反撃よぉ!!」
奇声を上げるキノコ……じゃなくて、キノコ頭にオカマ口調の人物――ムネタケ・サダアキ副提督。
「どうやって?」
「ナデシコの対空砲火を真上に向けて、敵を下から焼き払うのよ!!」
「上に居る軍人さんとか、吹っ飛ばすわけ?」
ムネタケの作戦に、胸元を大きく開けた美人操舵士――ハルカ・ミナトは少し顔を顰めて問うと、ムネタケは小さく呻き、
「ど、どうせもう全滅してるわよ」
「それって、非人道的って言いません?」
「ムッキ~!!」
ミナトと顔を見合わせながら言う、そばかすがチャームポイントの女性通信士――メグミ・レイナードに、ムネタケは再び奇声を上げる。
「館長は何か意見はあるかね?」
フクベの言葉に、視線が艦長――ミスマル・ユリカに集まる。実はこの艦長、少し前にかなりはっちゃけた挨拶をして全員を驚かせたのだが、その時とは全く大違いの凛々しい顔で、
「海底ゲートを抜けて一旦海中へ。その後浮上して、敵を背後より殲滅します!!」
そう、言い切った。その際、全員が見直した。とでも言っているかのような視線を向ける。
「だが、今から発進しても間に合わないのでは?」
「その時間を稼ぐために、パイロットの方に囮をやってもらいます」
「そのパイロットのヤマダ・ジロウさん、コクピットで気絶してますよ」
「ほえっ?」
だが、その凛々しい顔はオペレーター――ホシノ・ルリによって呆気なく崩された。
……もうお分かりだろうが、そのパイロット、ヤマダ・ジロウ「ダイゴウジ・ガイ!!」はさっきアキトが吹き飛ばしたエステバリスのパイロットである。
「や、やっぱり対空砲火しか……」
「大丈夫ですよ」
ムネタケの言葉に、今まで黙っていたプロスペクターが、眼鏡を軽く上げ、笑みを浮かべながら言う。
「パイロットは、もう一人居ますよ。しかも、飛びっきりの上物が」
『テンカワさん、早速お仕事です』
「……やっぱり敵襲だったか」
『何か?』
「いや。で、俺はどうすればいいんだ?」
そう言いながらゆっくりと脚部スラスターを使ってカタパルトに移動するアキト。
すると画面が変わり、一人の女性が出てくる。
「えっと……ああ、艦長さんか」
『はい、ミスマル・ユリカです! ……って、そんな場合じゃなかった! ナデシコが上がるまで、囮をして時間を稼いでください』
「了解。そういうのは得意分野だ」
ユリカの言葉にアキトはニヤリと笑い、カタパルトに乗る。カタパルトはブラックサレナを乗せて上に上がっていく。
『あの……どこかでお会いした事ありませんか?』
「は? ……いや、あった事ないと思うけど」
『そう、ですか……』
アキトの返答にユリカは少し残念そうな顔をする。
『エレベーター停止。地上に出ます』
『は、はいっ! そ、それではナデシコと私達の命、あなたに預けます!』
「はいよっ。預かりましたっと」
そして、地上に到達した。
「……預けるなら、もうちょいマシなところに出してくれよ」
そして、大量の無人兵器に囲まれた。