眼前に広がるは大量の機動兵器。自分の使っていたエステバリス。だが、全てボロボロで、酷いものはバラバラになっている。
その相棒達に黙礼し、その場を後にした。
行く場所がない。ただ、ふらふらと歩く自分。そんな自分の前に現れた、一人の男。男は愛想笑いを浮かべると、
「あなたをスカウトしに来ました。テンカワ・アキトさん」
そう言って、名刺を差し出してきた。
名刺には、『プロスペクター』と書かれていた。
ガイを30回位瞬殺してから、アキトはある場所の前にいた。無言でその扉を開け、中に入る。
「……ん? なんだ、あんたか」
「来てやったのにそれは無いんじゃないんですか?」
そこは、少し前に起きた反乱事件の実行者達を閉じ込めている部屋。誰かが、この扱いはどうたら言っているが、無視する。
「まっ、それはいいとして。これからナデシコは第三防衛ラインを突破して火星に向かいますけど、どうします?」
「付いて行く訳ないでしょ。私はまだ死にたくないわよ」
「でしょうね」
アキトは肩を竦めると、ナイフでムネタケを縛っている縄を切る。
「じゃっ、隙見て脱出してください。正直、あんまりあんたの顔見たくないんで」
「こっちの台詞よ」
一寸睨みあい、アキトは後ろを向く。
「そういえば、あんたのあの真っ黒いの、なんだっけ?」
「真っ黒? ……ああ、ブラックサレナの事か」
「そうそう、サレナよサレナ」
「略すんじゃねえよ」
アキトの非難を無視して、ムネタケは続ける。
「考えたわね~。あれなら、『機体殺し』のテンカワ・アキトの名を返上できるじゃない。今からでも軍に入らない?」
「……寝言は寝て言えよ」
アキトは振り返らずにその場を後にする。ムネタケは肩を竦めて部下の縄を切ると、
「さて、と。あいつらがドンパチやってる隙に、とっととこんな所からおさらばするわよ」
「機動兵器を確認。ステーション『さくら』から発進したデルフィニウム部隊です」
「数は!?」
「9機です」
ウィンドウに表示されたデルフィニウム。ユリカはそれを鋭い視線で見つめ、
「エステバリスで迎撃。その後、全速力でビッグバリアを突破します!」
『おっしゃ~!! 任せとけ~!!』
ガイの声と共に、青い空戦フレームが飛ぶ。だが、アキトのブラックサレナは未だ発進されない。
「あれ? アキトは?」
『俺は少し調整がある。だから終わるまでガイに任せるよ』
『おっしゃぁ!! 任せとけアキト!!』
イミディエットナイフを握り、デルフィニウム部隊に向かって行くガイ。応戦するデルフィニウム。だが、その攻撃をガイは容易く回避し、
『アキトの方が何倍もはえぇよ!!』
デルフィニウムの腕を切り裂き、殴り飛ばした。そのとき、後ろから何発ものミサイルが飛んでくる。ガイは舌打ちするとそれを上に飛んで避ける。だが、その進行方向に他のデルフィニウムが現れ、突進してくる。
『おっとぉ!!』
それを間一髪で避けるも、再びミサイルが飛んできて、攻撃に専念できない。
『ユリカ! 今すぐナデシコを地上に降ろすんだ!!』
「ジュン君!!」
そのときだった。ナデシコのウィンドウが開き、パイロットスーツのジュンが現れたのは。