今現在、横島君はどうしてこうなったのかと遠い目をしながら思い出していた。
周囲にはそれぞれの得物を持ち構える六女の生徒たちがおおよそ50人。
(あ~、なんでこんなことになってるんやろ・・・。ワイただ単に理事長に言われた通りに挨拶して自分がどんな授業するか言っただけなのにな・・・)
いまにも飛びかかってきそうな生徒たちを見ながら、盛大にため息をつく横島君。
「それもこれも・・・・理事長のせいやー!ドチクショー!!」
そう叫ぶと同時にバリアジャケット展開。瞬く間に準備を整える。
「よぉし!こうなったら・・・・予定外だがさっそく授業を始める!第一回いや・・・第0回目の今回の内容は」
一瞬の変化に驚くも飛びかかる気満々の生徒たちとにらみ合いながら宣言する。
「1対50での模擬戦や!遠慮はいらん!どっからでもかかってこいや!」
その合図とともに一斉に襲い掛かる生徒たち。それを迎え撃つ横島君
どうしてこうなったかというと・・・
数時間前 六女体育館
「それでは~特別授業の先生を~紹介します~」
理事長のその声とともに生徒たちからの殺気が膨れ上がる。
「まあ、皆さんが崇拝する美神さんを倒したってことで恨まれているのはわかるんやけどな・・・こう殺気をぶつけられるってのも・・・まあいいけどさ。・・・というわけで特別授業を担当することとなった横島忠夫です。どうぞよろしく」
そういって一度体育館を見渡すが・・・・
「やれやれ・・・こりゃ相当嫌われてるな。ふぅ・・・それでは自分の授業の内容を伝えます。授業内容は・・・「戦闘で生き残る術」を教えます。といっても、自分は細かい・・・それぞれの距離やタイプにあった教導・・・授業はできませんので自分の同僚たちにそこは頼むことになるでしょうがいいですよね?理事長?」
「そうね~・・・細かいところまで教えてくれるならそっちのほうがいいかもしれないわね~。わかりました~、それを認めましょう~」
理事長の許可を得たことに安堵しつつ授業内容を考える。
「とりあえず・・・質問がある人は挙手を・・・」
そういい質問に答えようとしたところ一斉に上がる手。全校生徒の実に9割が挙手。顔が引きつる横島君
(アカン・・・いやな予感しかせーへん・・・どないしよ)
が、自分で言っておいて指さないというわけにもいかず・・・・
「それじゃあ・・・・一番最前列の君、どうぞ」
ほかの生徒が手を下す中、一歩前に出た少女が横島君をじっとにらみながら口を開く。
「私たちは貴方の実力を知りません。ですので・・・・希望する者全員と模擬戦をしていただきたいのです。よろしいですか?」
「・・・それ質問じゃなくって挑戦だと・・・・はぁ~。理事長・・・」
あきらめの表情を浮かべながら理事長をみるといつも通りの何を考えているかわからない笑みを浮かべながら模擬戦の準備を指示していた。
うなだれながらも希望者を集めると全校生徒の75%が希望。これにはさすがの理事長もストップをかけ理事長自身が50人を選び戦うことになった。もちろん、理事長が選んだだけのことはあり全員が結構な腕前を持っていた。
そして冒頭に戻る。
「俺はなのはほど上手くはやれないで!」
そういいながら突き出される薙刀や木刀を回避し飛びあがる。すると威力は低いが霊波砲が次々と飛んでくる。しかし、ばらばらに飛んできたそれらを難なく回避するとスフィアを15個展開。さがりながらそれらを微調整する。
「シュートッ!!」
一つにスフィアから10発ずつ合計150発の魔力弾が生徒たちに降り注ぐ。それにより10人ほどが吹き飛ばされるがほとんどの生徒はこれを回避した。もっとも、至近距離での着弾によろけたりたたらを踏む生徒が何人もいた。
その間に、砲撃魔法(威力は訓練用の低威力)を準備し放つ。
「ウィンド・・・バスタァー!!」
直射型で低威力なため数人の回避し損ねた生徒が吹き飛んだが、一斉に他の生徒が反撃に転じる。霊波弾を回避しつつ斬りかかってきた生徒に対しシールドを展開しそれを防ぎ逆にグローリーで斬りこむ。
それから10分後、校庭には横島君とギャラリー以外立っている者はいなくなっていた。それを見て呆然とする生徒たち。何せ横島君に対して一撃も当たられないまま挑戦した50人は倒されたのだから、彼女たちからすれば悪夢以外の何物でもなかった。
「って・・・・やりすぎたか!?」
周囲で気絶している生徒たちを見てあわてる横島君だが・・・
き~んこ~んか~んこ~ん・・・
「あら~・・・模擬戦の準備に戸惑ったせいで~今日の授業がおわちゃったわ~」
「あ、ならこれで俺の仕事終わりっすよね?」
理事長の授業終了の宣言とともにほっとした表情を浮かべる横島君。
「そうね~。これじゃあ、今日は居残り授業もできそうにないし~今日はこれで終わりにしましょ~」
(時間外でも授業させる気だったんかい!!)
理事長のさらりと発せられた発言に肩を震わせる横島君。が、ここは必死に我慢。
「それでは~、金曜日の特別授業もお願いね~」
「水曜と金曜でいいんですね。わかりました」
そういうとそそくさと六道女学院を後にする横島君。あとには横島君の戦闘力に驚愕した生徒と教師が残された。
帰宅後、ヴィヴィオとアルフ(子犬ver)と戯れ癒される横島君。そこにリインとアギトも加わり子供と遊ぶお父さん状態の横島君。なのはたちはそれを微笑ましそうに見ながら夕飯の準備をしたりテレビを見たりと過ごしていた。
その夜・・・
「ちょ!すずか!?血を吸いながらそんな・・・アッー!!」
久々に暴走したすずかにおいしく頂かれる横島君であった。
ここからは横島君が動いているのとは別の場所の出来事。ただし、以後ちょくちょく関わってくるため書いときます。
世の中、職場の上司からのお願いほど断りにくいものはない。お願いであって命令ではないのだが『上司』というだけで断りにくいのであった。
そして、運悪くお願いをされた男がとあるホテルのエントランスに足を踏み入れた。見ると自分と同じ職場もしくは同じ職票であろう者たちがあちこちにいる。
職場を出る際、上司から渡されたメモを見ながら指定された部屋まで行く。
指定された部屋の前で一度深呼吸をしドアを二回に分け合わせて四回ノックする。
すぐにドアが僅かに開く。そこからメモと身分証を提示する。
「・・・確認した。どうぞ、中に入ってくれ」
「失礼します」
軽く会釈しながら室内に入る。室内には応対に出たものも含め4人。
「工藤雄介一等陸尉であります」
この中で唯一椅子に座り外を眺めている男性に声をかける雄介
「よく来てくれた・・・。さ、掛けたまえ」
「!?さ、坂上陸上幕僚長・・・・!?」
自分を呼び出した人物がだれか知り驚く雄介。それに対して・・・
「はははっ・・・そう硬くならず。陸幕長である坂上忠昭は今は執務室で書類整理の真っ最中でここにはいない・・・・わかるね?」
「はっ!・・・・それで陸幕ちょ・・・いえ、坂上・・・sんはなぜ自分を?」
坂上の言っていることは分かっているがどうしていいか悩みつつも尋ねる雄介。
「・・・・先日の市ヶ谷の件はしっているね?」
「・・・・あれですか。ええ、たまたま現場に居合わせましたから・・・」
数日前、自衛隊の市ヶ谷駐屯地で悪霊が出現した。対応に遅れ数名の自衛隊員が負傷、2名の自衛隊員が殉職するという事件が発生。霊能力を持った自衛隊員たちがこれに応戦。悪霊を倒しはしたものの対応の遅れは問題となり現在対応が協議されている。
「そのとき、霊を退けるための指揮を執ったのは君だったね。いい手際だった」
「ありがとうございます。しかし・・・」
「ああ・・・2名。2名の自衛官が殉職した・・・負傷者も出た・・・。このようなことはこれ以上起こしてはならん・・・」
重々しい口調で言う坂上。それにうなずき返す雄介
「昨日、私も含めた幹部会議を開いた。そこで自衛隊の編成に一部変更が決定された。対霊・妖怪専門の部隊・・・対霊特科部隊の編成がな」
「・・・まさか」
自分を見ながらいう坂上に驚きの表情を浮かべる雄介。
「そうだ・・・東部方面隊の対霊特科部隊第1部隊初代隊長は・・・君だ。工藤雄介三佐」
「そんなっ!?待ってください!確かに自分は霊能力を持っていますからその部隊に所属することに異存はありません。しかし、なぜ自分が初代隊長なのですか?」
「・・・・東部方面隊に属している自衛隊員の中で霊能力を持っている者はおおよそ500名。うち実戦で使えるものは約210名。構成人数は中隊規模で30名。各部隊ごとに人員を割り振ったが最も早く編成が終わる第1部隊では君が最高位の階級だ。ゆえにこうなった」
「・・・・」
「これは非常時における急造編成もいいところだ・・・が、だからこそ第1部隊にはそれ相応の働きをしてもらわなければ困る。だからこそ、君を指揮官とするのだ。君の指揮官適性の高さや状況判断の正確さなどは報告書で読ませてもらった。それを読んで、私は君なら大丈夫だと判断したのだ。受けてくれるな?」
言い切られ頭を掻きため息をつく雄介。立ち上がり坂上に対して敬礼する
「どこまでできるかわかりませんが・・・微力を尽くします」
「そうか・・・では、明日1300時をもって対霊特科部隊第1部隊発足。以後、その任に就け!」
「はっ!!」
こうして対霊特科部隊第1部隊は発足し以後次々と部隊が編成されていった。
あとがき
・・・なんかかなり変な文になってるような?・・・orz
中間試験やらレポートやらで時間がとれずすみません。
なんとか年内にあげられた・・・次は年が明けて学校が始まってからか。
お読みになってお分かりかもしれませんが、この自衛官の雄介、自分が書いているもう片方の作品に出てくる彼と同じです。並行世界だと思ってください。(もしくは某作品で言われている因果律量子論とかでいいです)
次は・・・・ちょっと早いけど蛇姉さんだそうかな?横島君の人外キラースキル(?)は強化されていますのできっと・・・。
それではよいお年を・・・。