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No.11386の一覧
[0] 【チラ裏より・完結】常春の国より愛を込めて【Fate/stay night×パタリロ!】[へいすけ](2009/10/11 20:16)
[1] 常春の国より愛を込めて 第一話[へいすけ](2009/10/11 06:27)
[2] 常春の国より愛を込めて 第二話[へいすけ](2009/08/30 08:55)
[3] 常春の国より愛を込めて 第三話[へいすけ](2009/08/31 22:25)
[4] 常春の国より愛を込めて 第四話[へいすけ](2009/09/01 20:05)
[5] 常春の国より愛を込めて 第五話[へいすけ](2009/09/03 21:12)
[6] 常春の国より愛を込めて 第六話[へいすけ](2009/09/05 22:20)
[7] 常春の国より愛を込めて 第七話[へいすけ](2009/09/05 22:24)
[8] 常春の国より愛を込めて 第八話[へいすけ](2009/09/13 08:56)
[9] 常春の国より愛を込めて 第九話[へいすけ](2009/09/13 15:32)
[10] 常春の国より愛を込めて 第十話[へいすけ](2009/09/14 19:34)
[11] 常春の国より愛を込めて 第十一話[へいすけ](2009/09/16 20:17)
[12] 常春の国より愛を込めて 第十二話[へいすけ](2009/09/17 21:05)
[13] 常春の国より愛を込めて 第十三話[へいすけ](2009/09/19 20:31)
[14] 常春の国より愛を込めて 第十四話[へいすけ](2009/09/22 00:08)
[15] 常春の国より愛を込めて 第十五話[へいすけ](2009/09/22 21:01)
[16] 常春の国より愛を込めて 第十六話[へいすけ](2009/10/11 00:24)
[17] 常春の国より愛を込めて 第十七話[へいすけ](2009/09/27 03:00)
[18] 常春の国より愛を込めて 第十八話[へいすけ](2009/09/27 15:26)
[19] 常春の国より愛を込めて 第十九話[へいすけ](2009/10/01 21:15)
[20] 常春の国より愛を込めて 第二十話[へいすけ](2009/10/03 19:54)
[21] 常春の国より愛を込めて 第二十一話[へいすけ](2009/10/04 20:31)
[22] 常春の国より愛を込めて 最終話[へいすけ](2009/10/11 00:26)
[23] 常春の国より愛を込めて エピローグ[へいすけ](2009/10/11 06:48)
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[11386] 常春の国より愛を込めて エピローグ
Name: へいすけ◆ad21b800 ID:26520f52 前を表示する
Date: 2009/10/11 06:48



   常春の国より愛を込めて  





エピローグ:陳恩頼実行同性間交流抵抗不能、我菊落花。阿ッー!



 マリネラに新しい朝が来た。

 夜中の騒ぎもこの国には決して珍しいものではない。この国の住民はいつも通りに、いつも通りの生活を始めようとしていた。

「やれやれ、夜中起こされたと思ったら結局徹夜だ。…………ああ、そちらもお疲れでしょう、今日の仕事は休みますか?」

 ビビッ!

「…………ははあ、疲労はない。仕事に問題ない、と。流石は機械の身体ですな」

 ビッ!

「いえいえ、私等こそいつもお世話になって…………では、お世話になりました。ご家族にも宜しくお願い致します」

 そう言って鉱山の採掘責任者は頭を下げる。慌てて返礼をした彼に、責任者は苦笑する。あれだけの力が有ながら相変わらず腰の低い方だ。
 それがまた、彼の魅力なのだろう。

 そうして彼は轟音を上げながら飛んで行った。家族の元に帰るのだろう、彼の家族も彼に匹敵する力の持ち主である、別の場所で現れた怪物と戦ってはいたが、滅多な事は起こるまい。それでも彼は家族が心配なのだ、特に前妻を亡くして後この採掘の仕事に就いてからは、その家族への愛情を隠す事もない。そしてそんな彼の心情を、責任者はとても気に入っていた。

「…………前妻さんは知らないが、いまの奥さんも良い人だしなあ…………うらやましい」

 仕事上がり、エネルギー缶片手に家族自慢が終わらない彼の姿は、この鉱山の誰もが知っている。彼がロボットである事など気にする様な者はこのマリネラに一人も居ない。


  ニャア

 
 別の人物(?)が責任者に話しかけた。

「ああこれはどうも按摩師さん、ご無事でしたか? …………ほう! 義弟さんがたまたま遊びに来ていたから何の問題もなかった、それは良う御座いました」

 按摩師自身も昔取った何とやらで戦っていたらしい。何事も無かったというから大したものだ。

「成る程、義弟さんの惚気が中断して丁度良かったと…………あの方のお付き合いしている方なら私も見てみたいものです…………はあ、腕っ節も義弟さんに負けてない女性ですか!? それは凄い!」

 ちなみにその女性(猫らしき何か)の一人称は『あちし』
 最強かつ最狂のカップルである。すくなくとも猫じゃねぇ。






 翌日の午後である。

 パタリロは客人であるヴァン・フェムと御茶をしながら高尚な会話を楽しんでいた。

「…………この前の学会で発表されたトゲアリトゲナシトゲハムシについての論文は御覧になりましたか?」

「うむ、あのトゲの構造は非常に興味深い。…………外骨格構造は常々私の作品にも参考にしている部分が有る」

「確かに、サイズによる構造材の選定は慎重にすべきですが、あの構造は参考になりますな」

 …………何の話なのだか。


 マリネラ市外の復興は既に殆どが完了している。被害の殆どが王宮だった事もあるし、住民の避難も素早かった。何より対応が適切だったのだろう、少なくともマリネラ市民が被った被害は充分に補償範囲だった。
 市民生活はほぼ回復している。被害の少なかった空港などはその日のうちに、港も今日の朝までには平常の8割まで問題なく稼動していた。

 現にメレムはヴァン・フェムの話によると保護者に連れられて昨日の内に帰国の途についたらしい。本人はかなり駄々をこねたらしいが、保護者が許さなかったらしい。

「マリネラよ! 必ず僕は帰ってくるぞー! あいるびーばーっく!」

 そう喚きながらの帰国だったらしい。お前はイタリア人じゃないのか…………違うかもしれないが。


 王宮もそこかしこに被害は出ていたが、元々が対悪魔用要塞に改造してあった場所である。少なくとも通常の運営体制に支障が出るレベルではなかった。
 今日もマリネラは平常通り運営されている。パタリロがこうして御茶を楽しむ事が出来る位に。

 これぞ王の特権だろう。そんな時にでも、勤めが降って来る事は止められないが。

「…………殿下、報告書です」
「こんな時に気の利かん…………ヴァンデルシュターム卿、ちょっと失礼する」
「気にしないでくれたまえ、パタリロ君」

 というかこの人も財閥の総帥の筈、仕事はどうした。

「どれ…………」

 渡された報告書に目を通し始めたパタリロは、いきなり噴いた。


「な…………何だこの被害額は!!!」

 パタリロが想定していた額を何桁か超えていた。マリネラ本土の被害は大した事は無い、王宮も内装や物品の被害、使用した兵器の補充もそれなりの額だが、その範疇を軽く超えていた。乱暴に報告書の項をめくる。
 タマネギが説明する。

「主な項目として離宮の再建費と、消えたオークション商品の値段が入っています」

 パタリロの顎が、床に転がる。

 あの時、確かに人類最強の幻想は確かに異形の大本を消滅させ尽くした。ただし離宮とその中に転がっていたであろう煌めく商品の数々諸共に。
 現在離宮の在った場所は、野球どころかモーターレースでも開催出来そうな位の範囲が更地と化していた。
 元々迎賓館も兼ねていた建物の一つである、建物自体も内部の調度品も結構な値が張る揃えだったのだ。更に痛撃なのがオークション商品だろう、消し飛んでしまえば一銭にもならない事は当然だった。

「…………あと、意外と高額なのが海底ケーブルの被害でしょうか。上で相当の重量物が暴れたらしくかなりの広範囲が要修理の報告を受けています」

 思わずジト目で正面に座る紳士を睨むパタリロ。しかし殆ど不死身の死徒最古参も然る者、平然とその視線を受け流した。額に少々の汗は滲んでいる様だが。

「殿下―!!!」

 そこにまた騒動が駆け込んでくる。タマネギらしいが、身体は雪に塗れ、脱ぎかけの防寒具を引きずったままだ。

「おお44号、久しぶりだがどうした」

「どうしたじゃありません!! 一体今度は何をやらかしたんですか!? いきなりの帰還命令に散々苦労して帰ってきたら王宮どころか国土全体の霊的構造が滅茶苦茶じゃないですか!! ただでさえこの国は霊的に不安定だというのに! これじゃ何が起きるか解りませんよ!?」

「冷たい! 離れんか!!」

 極寒の地からはるばる戻ってきたら国がえらい事になっていた結果、少々錯乱気味の44号である。食って掛かった拍子にパタリロに雪が付く。


 今回の事件、結局原因の究明は頓挫していた。マザーコンピュータが解析した結果、パタリロ抹殺の為に魔界のベールゼブブ一派が仕掛けていた策の残滓に、ピョートル大帝の組織の末端の動きが干渉した結果、両派の予想しない不可逆的変化をおこした事件の可能性がある事を導き出した。
 それでも検証不能な蓋然性の低い予想でしかない。
 さらに可能性としてパタリロを気に入っている東カリマンタンのホステスの一人が噂を聞いてパタリロの気を引こうと仕掛けた悪戯という項目が目に入った時点で、パタリロは原因の究明を完全に諦めた。


 更に問題が来訪する。

「パタリロ! 貴様宝石はどうした!? 届かないから日に日にマライヒの機嫌が悪くなっている! さっさと持って来い!!」

 英国情報部きってのエリートが何かえらく情けない事を言いながら入ってきた。

「それとこの前のオークションの参加者名簿を寄越せ! 私の追っている奴が参加した可能性が有るのだ!!」

 宝石も犯人も奇麗さっぱり無くなりました――――――――――とはとても言えない。


 今回の事件で出た死者の大半は、参加していた魔術師たちである。

 最初はそれへの保障などを心配したパタリロだったが、凛やヴァン・フェムの言葉に胸を撫で下ろしたものだ。
 曰く、魔術師は常に死ぬ危険が有る、その対処法を怠った者が死んでも気にする者は殆ど居ない。
 曰く、魔術師は秘密主義である、ここに来ていた事も知らせていない様な人物が殆どである、追及の手がここに及ぶ危険は少ない。
 他人の死を軽んずるものは自分の死も軽んぜられる。
 しかしそう言っても何かしら調べに来る奴も居るのではないのか? そう考えたパタリロに、共に戦った魔術師たちは事も無げに言い放った。
 そういう奴が来たら、正直に全て話してやれ。恐らく十日は何も出来なくなる。そのまま来た所に送り返せば良い、と。




 これより約半年後の事である。時計塔と中心に、魔術師達の間でほんの一瞬だけ“マリネラ”の名が口に上った時期が有った。

 ―――――――――――あの国に関わるな――――――――――――――。

 これより後、魔術師の間ではこの国の名は禁忌となる。




 それからも次々何かしら舞い込んでくる。

「殿下! 予算が足りません!」
「殿下! この書類に判子を!」
「殿下! 森に残りものが居ました! 討伐隊を!」
「殿下! まだしばらく出てきますよ!? どうするんですか!?」
「殿下! 宝石商から請求書が!」
「殿下! 便所が詰まりました!」
「殿下! 夕飯のメニューどうします?」
「殿下! 子猫が生まれました!」

「パタリロ! はやく両方寄越せ!」



  「うがー!」



 その超人的な能力で仕事をやっつけまくったパタリロは、くたくたになりながら楽しみの夕食の席に付く。

「そういえば、あいつ等はどうした?」

「? 遠坂さん達ですか? 何やらロンドンに仕事が有ると先程帰られましたが…………」

「そうか、まあ良い。これ以上あいつ等が居るとまた何か起きるかも知れん。さっさと帰ってもらった方が良かろう」

 自分の事を棚に上げ、散々な事を言うものだが、正直暫く魔術やら変な化け物は御免被りたい。
 そう思いながら、パタリロは気持ちを切り替える。

「よし! 夕飯は何だ?」


「えー、蛸と烏賊のごった煮と、マグロの兜焼きがメインディッシュです…………殿下? どうしましたひっくり返って」




 この国の全ては王のものである。世界の幸も不幸も、善も悪も、美しい花々も醜い異形も、森羅万象全てが彼のものであり、全てを彼が面倒見なければならない。


 まことに、王という使命は過酷である。








 マリネラ航空238便ロンドン行きは定刻を十分遅れで大西洋上空を進んでいた。

「考えてみると…………結局今回の目的だった宝石は手に入ってないんだよな」

 士郎が呟く。契約によりこちらからこれ以上出費が有る事は無いが、戦闘中に使った凛の宝石も当然戻ってこない、滞在費は浮いたが交通費も決して馬鹿にならない。
 全体的に見れば―――――――赤字である。

 無論得たものも有る、特に士郎は非常に満足していた。
 あのブレスレッドは確かにパタリロの言葉通り、異形が駆逐された後煙の様に消えた。しかしその記憶は衛宮士郎の中に確実に残った。あらゆる悪を完全に消し去る“力”というものを、士郎は知ったのだ。
 早々結論が出るものではないし、簡単に生き方を変える事は出来ない。だが少なくとも“正義の味方”が振るう力とはどういうものかを、彼は理解した。
 僥倖だろう、奇跡的な幸運だろう。彼はまた一つ、答えを得た。

 彼がこの先どうなるかなど、誰も知らないが――――――一つだけ、彼が間違う可能性が減ったのは確かだ。

 しかし士郎は心配する、彼のパートナーにして師匠でも有る彼女は何か得たのか。どう考えても赤字の旅だったのだ、恐る恐る彼女の顔色を伺う。

「…………遠坂?」

 彼女は意外な事に至って普通だった。

「…………まあ、そうね。確かに想定していたモノは何一つ手に入らなかったわね」

「それにしちゃあ…………何時もと変わらないが」

 女性はぎろりと、士郎を睨んだ。

「何、アンタわたしの事なんだと思っているの?」

 イエスマム! 血の代わりに金が身体に流れている守銭奴であります! 何て事を言うほど彼は無謀ではない。

「…………まあ、わたしも今回の事は勉強になったわ。授業料と思えば高くは無いでしょう?」

「…………水が悪かったのか?」

 ゴッ!

 訂正する、無謀だった。

 悶絶しながらも士郎は何かに気付く。如何に今からマリネラより寒いロンドンに帰るとはいえ機内からえらく厚着なのだ。

「…………太ったのか?」

 ガッ!

 駄目だコイツ。

 悶絶する拍子に狭いエコノミー席だ、士郎の手が凛の身体に触れた。何かの感触を士郎は感じた。
 ゆっくりと事態を把握する士郎、彼の予想はとんでもない方向に向かって驀進する。

「…………アノ、トオサカサン…………?」

 凛が視線をそらす。

「…………必要経費内よ………… …………」

 服のポケットには、何だかえらく青い石が、何個か。


「遠坂ー!!」
「うるさーい!」

 「…………お静かに願います」
 「「すいません」」


 魔術師はあらゆる手段を持って根源を目指さなければならない。そこに人の法が入り込む余地は無いのだ。
 この逞しさは、これからも彼女の大きな武器となるだろう。是非とも気合と根性で第二魔法を目指してもらいたいものである。




 二人の騒ぎと、キャビンアテンダントに叱られて小さくなっている姿を横目で見ながら、セイバーは目を閉じた。

 多分、有意義な旅だったのだろう。現代では数少ない――――――いや歴史上でもまず見ない王が、其処には居たのだ。それが見られただけでも、彼女にとっては充分に有意義だった。

 王が王たる資格など無い、ただそこには賢王か、愚王が居るだけだ。何故なら王は全てなのだから。
 彼女は―――――――――セイバーはやはり疲れていたのかもしれない、非業で無慈悲な運命との戦いに。今ここに居るのはアーサー王で有りながら王ではない。ただ一人の人間アルトリアである。

 やはりアーサー王は常春の国で眠っているのだろう、ならばこれは王が夢見る実在の幻想。何も変わった訳では無い、既に終わった彼女の生が変化する筈も無い。

 少女アルトリアは考える、ただの人間の他愛も無い夢想だ。もし、もう一度王になるとしたら――――――――多分、王になるのだ。そうしたら、全てを手に入れよう、子供も、国も、裏切りも、悲しみも。


 そうして、また、常春の国に還ろう。


 少女は夢を見る―――――――――――良い夢だ。




 三人を乗せた飛行機は、ロンドン・ヒースロー空港に向け降下を開始する。

『――――――当機はまもなく、ヒースローに到着致します。
 皆様、本日はマリネラ航空をご利用頂き、まことに有難う御座いました。マリネラ滞在中快適にお過ごし頂けましたでしょうか? マリネラで過ごされた時間が皆様にとって有意義なものでありましたら、我等マリネラ国民一同、存外の幸せで御座います。

 常春の国マリネラは――――――――地上の楽園。皆様に決して退屈させない時間を、いつでもご用意致しております。それでは皆様のまたのお越しを心よりお待ち申し上げます――――――――常春の国より、愛を込めまして―――――――御機嫌よう、さようなら』








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 この話を呼んでいる間、皆様が少しでもお楽しみ頂けたのなら、筆者としては至上の幸福で御座います。
 それでは、皆様に愛を込めまして―――――――――幻想の楽園より、御機嫌よう、さようなら。

 完結で御座います。




 世界は理不尽です。残酷で、無慈悲で―――――――――決して優しくない。

 Fate/stay nightなどのタイプムーン作品ではそれが更に顕著です。その残酷な運命に巻き込まれる、あるいは飛び込まざるを得ない哀れで無力な人間たち、しかし彼等はその運命に逆らい戦う―――――――――――そんな者たちの美しさ、格好良さを描く。それがタイプムーンの作品の魅力なのではないでしょうか。
 少なくとも筆者はそんな部分を気に入っております。

 そんな地を這い、反吐を吐く世界の住人が訪れたのは、お気楽極楽な年中春爛漫の国マリネラ。しかしこの世界も決して優しいばかりではない、その裏には理不尽な悲しい運命が、非業の人生が、絶望の悪魔が、そこかしこに転がっている。
 ですが、違う所があります。それはこの国の支配者にして、あらゆる運命をぶち壊す人類の裏切り者(この表現は秀逸だと思う)パタリロ・ド・マリネール8世の存在です。
 彼は主人公にして国家の絶対権力者、彼はこの世界を司る存在です。だから彼も我侭で、理不尽で、偶に残酷です―――――――――――――しかし、彼は優しい。

 この少しだけ違う優しい世界に、Fate勢が巻き込まれます。

 ファンフィクション、あるいはSS、これを書く動機は様々でしょうが、私がこの作品を書いたのはちょっとしたFate登場人物の救済でした。
 平行世界の可能性に何十回も殺されて、お姉ちゃんズに死後もいじられる主人公。
 ヒロインルート以外もあれだけ主人公に尽くしながら、腹は掻っ捌かれるわ、妹はラスボスだわ、散々な目に遭わされるヒロインその一。
 ヒロインその一とはいえ性転換させられる(!)わ、所詮扱いはサーヴァント(奴隷)だわ、食事ネタはそろそろ英国人に怒られやしないか心配な騎士王。
 …………最後は何か違うか。

 私なりのSS最強モノの一種でしょうか? クロス先がとんでもないですが。
 ちいとくらい彼等にええ思いさせても罰は当たらんでしょう…………そんな気分で書き始めました。

 パタリロは強烈なキャラクタです、全てを受け入れ、全てを壊す、万能の存在です。原作でも後になればなるほど彼は“状況”として扱われる話が増えます。

 彼が世界なのです。

 常に問題と大混乱を起こす“元凶”でありながら、同時に全てを収める“デウス・エクス・マキナ”なのです。
 彼にかかれば全ての善は報われ、全ての悪もやはり報いをうける。現実では当然有り得ない優しい、そして退屈しない世界―――――――そこに踊るは決して曲げない信念と、決して負けない心を持った世界への挑戦者たち。
 楽しんでいただけましたでしょうか?


 元々のプロットが起承転結4行だけという無茶な状態から毎回即興で書き上げておりましたので荒い構成は反省点ですが、意外なほどの皆様の反応に、一気に完結できました事は個人的に喜ばしい事です。

 それでは皆様、また別の作品でお会いできる事を願います。










 (ホントになのは書かなきゃ…………! こっちも何かおまけ出すかも)


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