小ネタ集 パート1
本編に関係あったりなかったり。
深読みすると、足元を掬われる小ネタ集です。
時間軸は無視してください。ついでに、さくっと呼んでいただければ幸いです。
『日常 ~学校にて~』
深夜、寝ていると部屋の鍵を開けようとする音がする。
外は星の明かりしかなく、しかし奇妙に明るい夜。
俺はそんな夜こそと、言うよりほぼ毎晩なんだがエヴァの愛らしい寝顔を見ながら周囲を警戒し続けている。
俺の主であるエヴァは吸血鬼で夜型だが、寝たら起きない。
勝手に起きるまで絶対に起きない。
まぁ、そんな中でも学校に遅刻しないのだからたいしたものではあるが、
今の問題は、
カチャ・・・・・・・・・、カリ・・・・・・・、
部屋の扉、窓の鍵、後は天井裏。
そのほかにも何ヶ所から音がする。
そして、
カチン・・・・・。カチャリ・・・・・・・・。
次々と、鍵の開いた音がする。
今日はどこからだ?
一番最初は扉からだった・・・・・。
次は窓から、その次は天井裏から。
と、なると一番怪しいのは、
「ここか!」
小さく叫ぶと言う変なスキルが研かれている事に多少疲れながら、床に槍撃をはなつ。
手ごたえはない。
「ならば、そこか!」
扉を槍が貫通するが、手ごたえはない。
いや、精霊を貫いた感覚はあったが、本命ではない。
そう思っていると、
「騎士くん、クンフーが足りないよ~ 戒めの風矢」
そう言いながら現れるエルシア。
「って、ちょっと待て!?何でそんな所から?ってかいつ入った!?」
現れた場所はエヴァのベッドの下。
本当に、いつ入ったんだろうな?
「騎士くん、乙女には色々と秘密がつき物なんだよ~。では、眠れる姫君、今宵は貴女を奪っちゃいます。」
そういいながら、ベッドに飛び込む。
飛び込み方は伝統的なルパンダイブ。
しかし、
「じゃま・・・・。」
「へっ?やっ、ちょ・・・・・。」
宙を飛び、あと少しでベッドにたどり着けると言うところで、エヴァの魔法が発動。
哀れエルシアは空中で氷付け。しかも、ご丁寧にそのまま空中で浮いたまま。
エヴァ、いつの間にか成長して・・・・。
そう思い、戒めの風矢が解けたのでエヴァのベッドの方に近寄っていったが、
スー、スー。
すご~く安らかに寝てるんだが、もしかして、これ寝魔法?
寝相?いや・・・・、うん怖いから考えないでおこう。
次の日
「ふぁ~、もう朝・・・・・うぉ!?チャ、チャチャゼロ、何が起きた!?」
起きて最初に目に入ったのは空中に浮く氷付けのエルシア。
凄く幸せそうな顔をしていたのが余計に不気味で、危うく落として砕いてしまう所だった。
そう思っていると、
「あぁ、エヴァの寝相によりと言うところだ。」
そう返すディルムッド。
昨晩が気になりすぎる・・・・。
『風呂場にて』
「あぁ~、今日も終わった。」
資料整理に戦闘訓練、写本に研究。
1日が48時間ぐらい・・・、あっても1日は1日か。
そんな事を思いながら、風呂に入ろうかとしていた所で目に入るのはディルムッド。
そういえば、こいつが風呂に入っている所を見たことないが
「おい、チャチャゼロ、キサマは風呂に入っているか?」
そう聞くと、少し考えた後に、
「入ってはいないが、拭いているから大丈夫だろう。」
そういいながら何処かに行こうとする。
多分、これは野生の感のなせる業だろう。
だが、それを見送るほど俺も甘くはない。
着ているメイド服の背中をもちあげ、
「ならば今日は風呂に入ろうか。たまには裸の付き合いもいいだろう。」
そう言うと、ジタバタと手と足を振り暴れだす。
こいつ、風呂嫌いだったのか?
「いや、エヴァ、君、女、俺、男OK?」
「変に片言なのはいいとして、OK。ならとっとと一緒に入ろうか。
どうせ、今の私の体なんぞ見ても面白くないだろう?」
そういいながら、ジタバタしているディルムッドをつれて風呂へ。
今は観念したのか、大人しくしている。
「とりあえずはっと。」
「いや、いい、いいから!自分で脱ぐから!?」
メイド服を引っぺがそうかとディルムッドに掴みかかろうとしたら、自分で即効脱ぎだした。
まぁ、脱ぐなら構わんのだが。そう思い、俺も自分の服を全部脱いでディルムッドの方を見ると、まだジタバタしている。
「はぁ・・・・、羽が邪魔になるだろうと思って脱がしてやろうと思えば、案の定か。」
そう思いながら、服を脱がし風呂へ投げ込み俺も風呂へ。
その後は体を洗ったり、洗ってもらったり。
ただ、一緒の湯船に使っている間ディルムッドがずっとブツブツ言っていたがなにを言ってたんだろ?
(煩悩退散、煩悩退散、煩悩退散・・・・・・。)
まぁ、何か行っているかは無視して綺麗に丸洗い完了。
次の日教室にて
「騎士くんえらく今日は綺麗だね~、ついでにいい匂いもするし。」
そう言ってくるのはエルシア。
「チャチャの字何かあったのか?」
と、聞いてくるのはアノマ。
「あぁ、昨日エヴァと風呂に入って丸洗いされたり、エヴァを洗ったりした。」
そういつと、アノマとエルシアが顔を見合わせながら、アンコンタクトを取り、
「・・・・・・・、アノマ、犯人確保!!」
「アイサー、エルシア!!!」
そう言って、襲い掛かるアノマと指揮するエルシア。
いったい何が起こった?
「待て、いったいなんだ!?」
「黙れチャチャの字!!お前の事が別にうらやましくて、ちょっと匂いとか嗅いでみようとか思った訳じゃないんだからな!?」
「私は羨ましいから、匂いを嗅いでついでに立場を変われ!!」
「無茶だし、断る!」
向こうで、アノマとエルシアとディルムッドが追いかけっこをしている。
見慣れた光景だが、朝からよくもまぁ体力が持つものだ。
しかし、アノマが血の涙を流し、エルシアは、魔法を使って追いかけようとしているがなんとも。
「はぁ、今日もまた忙しくなりそうだ。」
『ハネムーン旅行出発前に』
「カラクリ、これあんたにやるよ。言っとくけど女狐に見つからない様にこっそり見るんだよ。」
そう言って、俺が受け取ったのは封筒。
中身は見えないが、手紙かなんかだろう?
「ドクロ、これはなんだ?エヴァに見つからないようにって?」
そう言っている間に、外からキールの出発を知らせる声がする。
「今行くよキール。まぁ、お楽しみって事だねぇ。じゃ!」
シュタッっと手を上げてドクロは行ってしまった。
流石に、今の幸せそうなドクロに水をさす勇気はない。
何せ、キールの所に向かうのにスキップしながら向かっているのだから。
まぁ、それはさておき封筒なんだが、
「とりあえず、開けてみるか。」
封筒から出てきたのは一枚の手紙のようなもの。
とりあえず、開いてみると、
「ふにゃ~。」
「ごふっ・・・・、こ、これは・・・・?」
鼻を摘んで、上を向き首をとんとん叩きながら見る。
今手紙に映っているのはエヴァの蕩ける様な笑顔の入浴シーン。
当然、子供ではなく、今の大人の姿で、耳と尻尾が生えている。
そして、聞こえてくる声は、
「ふにゃ~。」
なんだろ、撫でくりまわしたい・・・・・。
いますぐ、今すぐ、エヴァに会って耳を撫でくりまわしたい。
ついでに言えば、その時にこんな笑顔で、こんな声を出してくれたら・・・・・。
「ゴフッ・・・・、刺激が強すぎる・・・・・・。」
いかん、想像でダメになるところだった。
そんな事を思っていると、
「お~い、チャチャゼロもうドクロ達は出発したか~?」
エヴァの声が聞こえてくる。
もし、ここでこれが見つかれば・・・・。
「ほぅ、これはなんだチャチャゼロ?」
そう言って手紙を取り上げてヒラヒラさせながら俺の顔を睨むように見上げてくる。
「いや、あのこれはだな・・・・、そう!ドクロに預かったんだ。うん。」
そう言って、エヴァの目を見ながら話すが、
「そうか、これはドクロの物か・・・・・、
ならば、あいつの幸せの1ページをその後絶対に忘れらないようにどす黒く塗りつぶそう。
何せ、人の入浴シーンを保存しているのだからな。」
結果、ドクロー、キールー遠くへ逃げてー。な展開になるので却下。
うん、これは俺の心の中にしまって、絶対に見つからないようにしよう。
そう思い、折りたたんでポケットにしまった直後にエヴァが姿を現した。
「もう行ったのか・・・・。」
そういいながら俺の横に立つエヴァ。
「あぁ、幸せそうに行ったよ。」
そういうと、エヴァが微笑みながら俺を見て、
「お前がそう言うならそうなのだろう。何せ、今のお前もムチャクチャ幸せそうなオーラを出してるからな。
幸せのおすそ分けでもされたか。さて、私は先にダイオラマ魔法球の中に行くよ。」
そう言って、先に行ってしまった。
はてさて、この手紙はどうするかな。
とりあえずは、家宝にするか。
『占い』
ロベルタを作成して、色々話を聞いていると、ふと、
ロベルタが占いと、言うか統計学的な占いができる事がわかった。
なので、占ってもらおうと、今までの事を話してみると、
「そうですか、中々にヘヴィーで波乱万丈な暮らしをなさっていたのですね。」
そう、イスに座りながら対面で話す俺とロベルタ。
「まぁ、今考えると綱渡りばかり見たいな気もするがな。で、結果はどうだ?」
そう聞くと、ロベルタは眼鏡が全反射して、目が見えないようになり、
「結果としては、お嬢様はこれからも厄介後とだらけの人生を歩みます。
そして、一番大きな出来事はお偉いさんを轢く事でしょう。」
そう言って黙る。はて、お偉いさんを轢く・・・・。
そっち系の方々のボスでも轢くのだろうか?
「ロベルタ、詳しくは分からんのか?」
「分かりません、ただ、轢きます。120%の確立で。」
それは占いとかではなく、確定した未来だろ。
「はぁ、まぁ、そうなったらどうにかしよう。」
ちなみに、ディルムッドの方は、このまま俺と同じように波乱万丈らしい。
はぁ、何処かに幸運の種でも落ちていないかな。