出発は明朝かな第42話
「リーベルト、森にいる盗賊達はどんな感じでした?」
そう、レメリオ館長が聞いてくるが、どう答えた物か少々迷う。
交渉そのものは、金貨35枚に成功報酬で更に倍。
一応は、館のヘソクリと商品の販売ルートを一部売り払って作ったから、
金を買う分にも盗賊を雇うにも問題はないが、借金を返せる額ではない。
後は、倉庫にある、値の暴落した武器の一部と鎧数点。
と、いう事で話がつき、仕事内容は検問の襲撃に、
羊飼いと商人、後はその商人の連れの殺害で話がついた。
もっとも、羊飼いと連れの女は盗賊たちが好きにすると言っていたが。
が、問題はそこではないだろう。
私がその傭兵崩の盗賊達を探すために、鬱蒼と茂る森に入り彷徨っていると、
目の前に、私よりもはるかに巨大な獣の死体と、その上に私に背を向けて腰掛ける男に出会った。
辺りからは、その獣の物だろうと思われる血の香りと、不気味な鳥か、あるいは虫達の鳴き声。
ただただ、森は不気味な場所で、如何なるモノが潜んでいても不思議ではない。
行商人達の話では、ジャンヌと言う騎士の処刑には天使が降臨し、
また、ある行商人の話では、未開の地で巨大な竜に出会ったと言う話も聞く。
そして、今目の前にいる怪物もそれらの類で、
その上に腰掛ける左肩からマントを羽織る男が多分仕留めたのだろう。
その男の体のあちこちには、赤黒く変色したモノがこびり付き、
着ている鎧は所々すすけ、或いはその獣の爪を受けたのであろうか、一部が切り裂かれたようになっている。
森で、そんな男に出会えば一目散に逃げ出したいが、逃げた先も逃げ道がなく、
帰るべき家は火の車となり、その火がもう足の裏をとろ火で燃やすどころか、
首のすぐ下まで、蛇の赤き舌のように這い上がってきている。
だが、結局の所私は商人で、商人は人と話して初めて商人となれる。
「すまない、この辺りで人を探しているのだが知らないか?」
そう男に言うと、男は体ごと振り返りながら、
「死体なら向こうにいくつかあるが、お前の知り合いはいない。
あの死体達は、私のかつての仲間だったモノだからな。」
そういった男の顔には、右額から目を通り唇に抜ける傷があり、
更には、左手の有るべき所にはフックのような鉤爪がついていた。
その姿を見て、戸惑っている私に向け、男は更に顔を歪ませながら口を開き、
「人探しなら町に行け、死体を捜すなら森の奥に潜れ、
そして、そのどちらでもない物を探すなら神に祈れ。」
そう言い終ると、男は獣のように獣の死体の上から飛び降り、
フックを私の顎の下に突きつけ、
「で、お前は何を探している?
ここは死の国だ、あるのはカビの生えた死体に、かつて人だったモノ。
下手に隠し事を知れば裁きが下るぞ?」
そういいながら、歪な顔の男は更に顔を歪ませる。
だが、顔を歪ませながらも顔の下に突きつけられているフックは微動だにせず、
まるで、そのフックだけが男の体から切り離されたように静止している。
多分、この男の前で下手に隠し事をすれば、今突きつけられている鉤爪で喉を掻っ切られ、
私も、この森に打ち捨てられるだろう。
「盗賊を探している。」
そう、男に言うと、男は顔を歪ませたまま、
「探してどうする?
見たところ、お前は騎士でもなければ兵士でもない。
そんな男が1人、森で盗賊探しとは早々穏やかじゃない。
それに、この森にいるのは、盗賊ではなく誉れ高き修道騎士の成れの果てだ。」
そう、男は口を歪めながら語る。
修道騎士・・・、先の戦で教会が徴兵した人々の事だが、
戦が終結した後は、そのほぼ全てと言っていい騎士達が打ち捨てられ、
ほんの少しの者だが貴族に取り入り落ちぶれた騎士として身をやつしている。
「私は商人で、この森に巣食っているそれを雇いたい。」
そう言うと、男は獣のように喉を鳴らしながら笑い、
「なるほど、お前は俺達を雇いたいのか。」
そう言って、男が右手を上げると森のあちらこちらから、
ボロボロの鎧を着た男達が、私を囲むように出てきた。
軽く見積もって数は20はいるだろう、男達は皆首から十字架のネックレスをつけている。
そして、目の前の男も右手を上げた時にチラリと十字架が見て取れた。
「商人、雇うと言うなら金次第だ。
俺達は神位しか信じないが、それでも腹もすけば女も欲しい。」
そう言って、神位しか信じないと言った顔を歪め、
森から出て来た他のかつて修道騎士だったモノ達も顔を歪める。
「ならばお前達に、この仕事はうってつけだ。
金と女、両方手に入る。」
そう言うと、男は鉤爪で十字を切り、
「神の思し召しか!
人に裏切られ、使えた主に裏切られ、
そして国に裏切られた俺達は、神位しか信じる物が残っていなかった。
ならば、これは神の思し召しだろう!」
そう言うと、周りの盗賊たちも次々に十字を切ると言う異様な光景。
その、あまりにも異様な光景に『こいつ等を雇うのは危険だ』と、直感が告げ、
今から帰って、館長に穏便に密輸だけで済まそうと提案しようとたじろぎ、
1歩後ろに下がろうとすると、それより早く、目の前の男が抱きすくめるかのように首に手を廻し鉤爪の先を喉に当てる。
「戦場での逃亡は死罪だが商人?
私達はまだ、仕事の内容すら聞いていないぞ?」
そう、男が言っている間にも、鉤爪のあたっている辺りが熱を持ち出す。
多分、薄皮か、或いはそれ以上に鉤爪が喉に刺さり血を流しているのだろう。
引けば死を、進めばこの打ち捨てられた騎士達を。
天秤の上にあるのはこの2つ。
ならば、一体どちらが・・・、そう、一体どちらがより多くの利益を生む?
それはあまりにも明確だ。
赤子の目で見ても、天秤の傾きは今目の前にいる、打ち捨てられた者の方に傾いている。
「座って話しましょう、内容は簡単だがそれでも失敗は出来ません。
あなた方が騎士を名乗るのなら、円卓に座るのは栄誉な事でしょう。」
そう言うと、男は顔を歪ませながら、
「切り株の円卓なら、ここにいれば好きなだけ据わって囲める。
が、私達の武器が剣なら、お前の武器は口だろう商人?」
そう言って、お互いの視線が絡む。
男はこのまま首に鉤爪を当てて交渉を勧める気で、
こちらは対等な席について話そうと提案しているのだ、
それならば、私だって喉元に鉤爪を突きつけて話すと言う有利は譲らない。
だが、それでも私は商人だ。
「なら、私はこのまま武器を使うとしよう。
修道騎士、名は何と言う?」
そう男に聞くと、男は修道騎士と呼ばれたのが嬉しいのか、
顔をニヤつかせながら、
「修道騎士、アレクサンドロ・ディアール。
この打ち捨てられし騎士団の団長だ、好きに呼ぶがいい商人。」
そう言って、鉤爪はそのままに空いた手を差し出してくる。
「レメリオ商会リーベルトだ。」
そう言って、男の手を握る。
その男の手は皮が厚く、まめが出来てはつぶれて、
またまめが出来ると言う事を繰り返したのだろう、岩のようにごつごつとした感触が帰ってくる。
「交渉は常に天秤の上で対等に行う、それが商人の常です。
鉤爪を喉から外していただきたい。」
そう言うと、男は顔を横に向け、
「副長、お前は外していいと思うか?」
そう言うディアールの視線の先には、右頬に皮を裂いたような傷のある短髪の男。
その男が首を縦に振るのを見ると、ディアールは鉤爪を首から外しながら、
「神はお前を救ったようだ。
ヤツが首を横に振ったなら、私はお前の首を切っていた。」
そういいながら、ディアールは鉤爪を外しながら体を離す。
「アレがお前の言う神なのか?」
そう言って、先ほど副団長と呼ばれた男の方を首をさすりながら見る。
手が首に触れたときにヌルリとした感触から、やはり首に鉤爪の一部が刺さっていたのだろうと思う。
そう思い、首をさすっていた自身の手を見ても、やはり赤い物がついていた。
「アンデルセンが神?はっ、笑わせるな商人。
アレは副団長でただの人間だ。」
そう言って、ディアールは顔を歪ませているが、
なら、一体私はどの神に救われたというのか。
そう思っていると、森の奥から一人の男が私の乗ってきた馬を引き連れてやってくる。
その男を見ていると、ディアールが口を開く。
「あいつ等がお前の馬を見つけていなかったならば、お前の首を掻っ切っていた。
だが、お前の馬は、お前の首が掻っ切られる前に見つかった。
まさに、お前を生かせと言う、神の思し召しだろ?」
そういって、顔をゆがめているディアールに、
「退路遮断でしょうこれは。
そもそも、貴方の様な用心深い方が団長だからこそ、ここのと・・・。」
盗賊と言おうとすれば、ディアールは右手で剣を抜き私の目に前に突きつける。
その、ディアールの眼は暗い光をたたえている。
「失礼、修道騎士ディアール。」
そう言うと、ディアールは威嚇するように、
「神は光りあれと言われた。
その光を失いたくなくば、自身の武器が一体どういったものか考えて使え商人。」
そう言う、ディアールの剣の切っ先を手で目から外しながら、
「なら、尊き労働を運んできた私はさしずめ、神の使いだろう修道騎士。」
そういい、ディアールの片目と私の両の目の視線が絡む。
そして、ディアールがフッと顔を歪め、獣のように笑いながら、
「さて、その使い、神は神でも地獄の亡者を取り仕切る神の使いかもな、商人v。
では、早速お前の依頼を聞こうか。」
そういい、ディアール達と交渉を開始し、
交渉の決着がついた時にはもう日が暮れて、天高くに月が上っていた。
「では、私は商館に帰る。」
そう言って、馬を返してもらい歩を進めようとすると、
背後からディアールが、
「副長送ってやれ。金の亡者でも化け物から見ればえさだ。
ここを出る前に、他の化け物に食われてはかなわん。」
そして、私が振り向いた時には副長と呼ばれていた男が、こちらに向かって歩き出していた。
歩き出して暫くするが、暗い森の中を歩くのは生きた心地がしない。
そう思い、副長と呼ばれた男に話しかける。
「お前はあの団長をどう思う?」
そう言うと、男は前を向いたまま口を開き、
「敬虔な信徒だ。
人に裏切られ、主に裏切られ、国に裏切られた俺達はもう、神ぐらいしか信じる物が残っていない。
いや、戦場で血河屍の山を築き、敵を殺すに殺し地獄に亡者どもを送り込んできた俺達は、
神しか信じる事ができない。」
そう言う男にも、やはりの狂気が渦巻いている。
そこで、ふっと思ったことを口にする。
「そこまで神を信じるなら、教会に戻ればいいでしょう。」
そう言うと、男はどこか疲れたような顔をしながら、
「神の家に神はいない。
今の教会など肉を蓄える豚と同じだ。
そんな豚と俺達を一緒にするな!俺達は敬虔なる信徒だ!
だからこそ、森に潜み化け物を狩る。教会がもう少しマシになれば神父になってもいい。
が、どちらにせよ俺に出来るのは神に使えることだけだ。」
そう言って、胸の前で十字を切った。
その後、特に話もなく森を抜けるまでの間は終始無言。
そして、森を抜け街道に出て馬に乗った時に、
まだ、この副長と呼ばれた男のなお聞いていない事に気がついた。
「副長、名は何と言う?」
そう聞くと、男は目を細めながら馬上の私を見て、
「アンデルセン。」
そう、一言のみ放ち森の中に戻っていった。
「・・・、ルト。・・・・・、ベルト。・・・・・・、リーベルト。」
「はい、館長。」
「いきなりどうしたんです?」
そう言って、レメリオ館長は私の顔を見てくる。
どう答えるかで考え込み、ほうけていたらしい。
「彼等はそうですね・・・・、狂気と言う物の具現化でしょうか。」
そう言うと、館長は頬をゆがめながら、
「ならば、計画は成功でしょう。
狂気が凶器を持ち狂喜しながら検問を破壊にかかるのですから。」
そう言ってほくそ笑んでいる。
ロレンスと言う商人と、それの仲間には悪いが、
もう、動き出した歯車は止まりそうにない。
ディアールが金の亡者と私の事を呼んだが、それは間違いなく、
更には私の属していた商館の館長も、やはり金の亡者なのだろう。
いや、彼の場合亡者を操る軍団の長といった所か。
そう思う、彼に1つ言っておかなければあるのだった。
「館長、彼等にもし対面する事があっても、盗賊と言ってはなりません。
名前か、或いは修道騎士と呼んで下さい。」
そう言うと、館長は訝しげな視線を向けながら、
「盗賊の正体はそれですか。
どうりで、町の警備兵では歯が立たないわけだ。
そんな戦場帰りの血濡れの獣相手では、いくら警備兵が挑もうとも、
獅子に兎を謙譲しているような物ではないですか。」
そう言いながら、下を向いて首を振っている。
そして、気を取り直したかのように顔を上げ、
「そう言えばリーベルト、出発時に付加人員が付く事になりました。」
そう言って、レメリオ館長はその人員が着く事になった経緯を話し出した。
ーside俺達ー
酒盛りを終え、ロレンス達とはそれなりに打ち解けれたと思う。
ついでに言えば、ディルムッドはロレンスと、嬉しそうに酒を酌み交わし話し込んでいたが、
多分、男同士で話せるのが嬉しいのだろう。
普段の俺達のパーティーは女性が多く、純粋な男性と言うとディルムッドしか居らず、
俺の場合、既にこの体になって多くの時を過ごしたので、男とか女とか言うモノが希薄になっている。
まぁ、思考上男だと思っているが、少なくとも、そうとでも思っていないと早々無茶は出来ない。
と、それはいいとして、今は教会の部屋で、
どうレメリオ紹介に、俺達が着いて行く事を説明しようかと頭を捻っている所。
当の昔にロレンス達から金の密輸の事を聞いて、驚くフリをすると言う、
事を俺1人でするのは、何だか蚊帳の外にいる気分だったがなんとも。
事実ディルムッドとロベルタは知らなかったのだから仕方は無いか。
ついでに言えば最初ロレンスが、俺達がこの町で待っていれば問題ないのではと言って来たが、
即効で却下を下し、付いていく事を前提とした話し合いをしている。
まぁ、付いて行くのはあくまで保険だし、たぶん早々酷い事はおきないだろうから大丈夫だと思う。
が、保険はあくまできっちり施行されての保険であって、ここで寝ながらふんぞり返っていては雇われた意味も無くなる。
そう思っている俺の目の前では、
「密輸がばれて強請られたと言う。」
そう、ロレンスが言えば、
「non、それは計画自体が誤和算になりんす。」
そう、ホロが答え、
「別の商人がノーラを先の取ったんで、手を組んだというのは?」
そう、チャチャゼロが言えば、
「non、儲けが減ると商館側は儲けが減ると拗ねるでしょう。」
そう、ロベルタがかえす。
まぁ、言えることがあるとすれば、
「ぬしよ、わっちらはこやつ等を馬車に乗せ、
なおかつ、それが可笑しくなく異常ないようにしないといけん。
そんな方法を見つけないといけないでありんす。」
そう、ホロが言う。
うむ、地味言いたかった台詞を取られた・・・・・、
と、まぁそれは置いておいて、多分ホロはその方法を知っているんだろうし、
そのせいで、俺の顔をニヤニヤ見てくるのだろう。
ん~・・・、そう考えながら魔法薬を吸い、
俺の膝を枕にして寝る、ノーラの額に濡れたタオルを置きながら頭をなでる。
とりあえず、ノーラは酒に弱いと言う事は無いのだが、それでも今晩ははしゃぎすぎたのだろう。
中盤頃からは目がトロンとしてニコニコしながら酒を飲み、終盤には皆より先に寝ていた。
まぁ、そのまま皆寝はしたのだが、朝になると置きだしてこんな会話をしている。
「エヴァよ、ぬしはどう思うかえ?
ついでに言えば、そうしておる姿もにおうとるよ。」
そういいながら、目を細めている。
さて、方法ね・・・、ホロと俺の違い。
その一番違う所は、人の中で生きたかそれとも、人を見て生きたかだろう。
そして、そこに俺達がロレンス達の馬車に乗る方法がある。
「誉め言葉だと受け取っておこうホロ。
さて、皆で頭を捻っているわけだが、クィーンであるノーラをないがしろにしすぎだろ。」
そう言うと、ホロ以外の面子がキョトンとする。
が、考えを話だけなら問題はない。
「私は医者で、チャチャゼロは薬売り。ロベルタにいたっては宣教師だぞ?
それならば、事は簡単だろ。異教徒の町に改宗を呼びかけにいくロベルタに、
ノーラに病を見つけた私と、その夫で薬を持っているチャチャゼロ。
これなら不思議はないし、相手も宣教師相手に強くはいえない。」
そう言うと、ロレンスはふっと考え込み、
「帰りはどうします?
ロベルタさんの目標を、改宗のためラムトラ間で行くことにすると、
帰りについて来れなくなりますよ?」
そう言ってくるが、ようは言いようとやりよう。
お互いの事を知った上で言うなら、取り繕うことはできないが、
まったく知らないならどうとでも言える。
それこそ、嘘の成分が100%嘘で作る初対面用か、
お互いの事を知った上で着く10~20%嘘で後は真実で固める嘘か。
まぁ、どちらにせよ嘘と本当は、一緒の物なので単なる見せ方の違いでしかない。
「この部屋の面子は皆協力者で、一芝居打つにもどうとでもなる人数だ。
それなら、ラムトラでノーラに一芝居打って貰えばいい。
最悪、魔法もあるしな。」
そう言うと、ロレンスが、はぁと溜息をつきながら、
「エヴァさん、嘘に嘘を重ねると、
いつか本当のことがわからなくなりますよ?」
そう言って、俺の事を見てくるが、
「ならばロレンス、お前の目の前にいる私達はホロを含め人から居ない、嘘だといわれる存在だ。
だが、それでも私達はここにいる。さて、それは嘘か誠か真実か?
私は卵と鶏だと思うよ。」
そう言うと、ロレンスは両手を上げながら、
「真実の嘘と言うやつでしょう。どちらにしろ、ノーラの事は任せます。
では、私の方はこれからレメリオ商会に向かい、エヴァさん達の事を報告するとしましょう。
出発の日取りは多分明朝です。」
そう言って立ち上がったロレンスについて行くホロ、
そのホロがロレンスの横に着き、
「あやつらの仕事、たっぷりといい交渉材料になりそうじゃの。」
そう言って、ロレンス達は部屋を後にした。
「エヴァさん、旅立ちまで時間がありますが、何かすることはありますか?」
そう、聞いてくるが特にこれといってない。
強いて言うなら掃除ぐらいか。
だが、ノーラが寝ているのでそれも後回し。
「特には無いな。
したいことがあるならしていいが。」
そう言いながら、魔法薬を吸い。
魔道書を取り出して読む。
「分かりました、少々魔法球の方に行って来ます。」
そう言って、中に入って行き、
ディルムッドの方は町に出るのだろうか、コートを羽織りだす。
ふむ、外に出るなら頼むことがあった。
「チャチャゼロ、すまないが今が何年ぐらいか分かる物か、
話があれば聞いてきてくれ。
一応目印は戦か、さもなくば話でもいい。」
そう言うと、ディルムッドは、
「あぁ、わかった。」
そう言って、町に出て行った。