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No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
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[10094] タヌキとキツネとだな第26話
Name: フィノ◆a5d9856f ID:3cc7fbc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/13 22:38
タヌキとキツネとだな第26話






ーsideサーヤー


「わかった、詳細な書類はそろっているのか?」

そう聞くと、部下のクライツは数枚の書類を取り出して渡してくれた。
しかし、この書類はあまり意味のないものだろう。
本当に真祖が現れているなら、先ずこんな資料ではなく、正式に討伐命令が上から下るだろうし、
町そのものが混乱の渦に包まれているだろう。
だが、現状ではそんな気配は微塵もない。
何時もの様に穏やかに時は過ぎ、何時ものように訓練をし、何時ものように穏やかに書類を整理する。
自身で勝ち取った地位ではあるが、多少の虚しさはある。

戦い朽ち果てる事を望んだ俺が、未だに生きている部下を指揮し、死なないように訓練すると言う矛盾。
戦闘が始まれば、その部隊で一番最後に死ぬ事を義務付けられた立場。
これならば、俺は一兵卒の方がよかったのだろうか?
部隊での死ぬ確立は、前線に出れば出るほど上がって行く。
もっとも、現状ではどの国もドンパチやっていないので、兵として死ぬのも今は無理か。
そう思いながら書類に目を通す。

書かれている文字の羅列は、さして重要な事を記していない。
拾える情報は、男が槍を持っている事。その男が狐の獣人と一緒にいる事。
そして、狐がメイドを連れている事。来た場所がヘカテス方面からである事。
必要と思しき情報はこれぐらい。
まぁ、正式な任務でもないのだから、個人で部下を使って集められる情報にしては上等だろう。

しかし、問題なのは真祖と符合する事が少ない事。
子供で人間の真祖、それと、つれているのは人形。
情報の人物は獣人と男とメイド。
この時点で同一人物か否かでいえば、否だろう。
真祖なんかと一緒に居たがる人間はいない。
いるとすれば、死にたがりか狂人、もしくは真祖に吸血され操り人形になっている人間。
風の噂では、奴隷達は真祖を待っているなんて言う事を聞くが、いったい何を考えているのだか。

まぁ、しかしである。
真祖がここまで姿を隠れきれる要素を探すなら、何かしらの種があるのは確実だろう。
あの狡猾で老獪な真祖はかならず、どこかに保険をかける。
アリアドネーで3年半気付かれる事なく魔法と錬金術を学んだ真祖。
その間、一度も尻尾をつかませなかった真祖。

真祖を評価するなら、それは魔法よりも、錬金術よりも、その狡猾さと老獪さだろう。
今まで事を起こしているが、その時は必ず子供で人形をつれている。
ついでに言えば、俺はその子供と人形と言う事で油断して仲間を殺されている。
つまりは、日常と言うものが全く読み取れないのだ。
真祖に日常と言うものがあるかは知らないが、それでも今まで捕まらない事を考えるなら、
何かしらの仕掛けを施して生活しているのだろう。

そう考えれば、こいつらに会って置くのも悪くはない。
はずれなら、それでも構わないし、当たりならば部隊が動かせる。
リターンは大きくリスクは皆無・・・・。
いや、会いに行く俺が殺される可能性があるが、あの真祖は俺を殺さないだろう。
出現した時から変わらず女子供は殺さず、撤退する者は追わないのだから。
何で、そんな事をしているかは知らないが、女を殺さない理由なら、たぶん、
血と肉が詰まった真祖の食事を生んでくれるからだろう。

「クライツ、この書類の人物達は今どこに?」

そう聞くと、クライツは自身の手に持った資料を見ながら、

「町に滞在してますが、それ以上は分かりません。ですが、映像ならあります。」

そういわれて手渡されたものを見ると、その3人組の姿が浮かび上がる。
顔に傷のある優男、白い毛の美しい獣人、黒い髪の眼鏡をかけたメイド。
何と言うか、統一感のない一団だな。だが、この容姿の面子がそろっていれば目立つだろう。

「最終目撃場所を割り出してくれ、私は明日から数日ほど休暇を申請するとしよう。」

そう言うと、クライツはこの資料を提供した者達の所に聞きに行くと言い退出した。
ふぅ、これから起こるのはバカンスか、或いは狩りか。
生きた死人のような俺が未だ現在動いているのは、死を真祖に持ち去られて死ぬ事が出来ないからだろう。
そんな無駄な事を考えながら、軍服から白いワイシャツと黒いスラックスに着替え、
愛用の軍刀サーベルを腰に下げ魔法発動媒体の指輪をつける。
昔は武器が苦手で、扱ってもナイフぐらいだったが、今ではこの軍刀サーベルと、指輪が一番信用がおける。
そして、休暇用の書類作成が終わった頃、クライツが戻ってきて、

「第2地区、町の宿と酒場と温泉が多数ある場所で足取りが途絶えてますね。
 しかし、隊長気を付けてください。真祖を狙っているのは隊長だけではありません。
 兵器開発部のシュヴァル技術長なんかは、生け捕りにして兵器転用できないかと事有る事に言っている位ですから。」

「分かっている。しかし、シュヴァルか・・・・、もう下がっていいぞクライツ。」

そう言うと、クライツは心配そうな顔をした後部屋を出た。
はぁ、出る前に嫌な名を聞いたものだ、シュヴァル・・・・、あの男は、はっきり言って気に食わない。
真祖を追うライバルとしても、その追って捕まえた後の使い方にしても、そして、人としても。
最近は鬼神兵なんていう訳の分からない物を研究だか、開発だかしているようだが、私には関係のない事だ。
目障りでは有るが、排除しなければいけないと言う事もない。

「あ~、そういえば、クライツに情報を破棄するように指示し忘れたな・・・・、下手にシュヴァルにばれなければいいが。」

そんな事を思いながら、部屋を後にして町に出る。
辺りは相変わらず平和だ。闘技場での歓声や、昼から温泉に向かう者。
取りあえずは、画像を基に酒場に向かうかって聞き込むか。


ーside俺ー


適当に酒場で宿を取り、現在は町の観光件逃げ道の確認の真っ最中。
いや、しかし一言で言えば広いな・・・。
町のあちこちに川なんかが流れているが、誰かが魔法で水を作っているのだろうか?
まぁ、そんな事を考えても始まらない、とりあえずはだ、

「温泉に行くぞ!者どもついて来い!」

手には風呂道具と着替え。
後は、ディルムッドお手製の浴衣。
服飾スキルの上がったディルムッド製の浴衣は、
一言で言い表すなら『パーフェクトだディルムッド』の、一言だろう。

「お嬢様、テンションが高いですね。」

「まぁ、温泉が好きみたいだからなエヴァは。」

後ろの方で、2人が何かブツブツ言っている。
まったく、せっかくの癒し。某使徒風に言えば、風呂は良いねぇ、風呂は人類の生み出した文化の極みだと言った所かな。
まぁ、この体になって、余計風呂とか温泉が好きになったような気もしないでもないのだがなんとも。

「ブツクサうるさい、洗面器は持ったか?石鹸は?シャンプーは?ハリーハリーハリー・・・・。」

「「お、温泉狂!?」」

「さぁ、入って上がるまでがお楽しみだ。最低でも、5セットはノルマだな。」

そんな事を言いながら、温泉へ突貫。
地味にディルムッドが立ち尽くしていたが、最終的には男湯に入ったようだ。

そして、女湯の脱衣場で、

「お嬢様、私は人形ですので、どうぞお嬢様・・・・・。」

ロベルタが何か言っているが、まぁ、問題にはならない事だな。

「知ってるか?チャチャゼロは丸洗いできた。
 と、言う事はだな、あの遺跡で壊れず稼動できて、
 更には現状コアだけのお前が今更風呂に入った所で問題ないだろう?
 まぁ、コアに水がはいってダメになるというのなら諦めるが。」

そういうと、ロベルタも諦めたのか、

「分かりましたお嬢様、僭越ながらお背中を流させていただきます。」

そういいながら服を脱いでいく。
ちなみに、ロベルタの体だが、今の所は原作の茶々丸のように関節部分が剥き出しになっている。
一応研究を進めて、新作ボディを作って間接部分が見えないようにしたいのだが、これはもう少し時間がかかる。
まぁ、いずれはドールマスターの称号を獲得するため大量の人形を作って、更にそれを操らないといけないが、
現状ではまだ人形を繰る技術が足りないので、そちらの技術向上もしていきたい所だ。

そんな事を考えながら、入る準備が出来たので中に入る。
しかし、普通に女湯に入るようになってそれなりに立つが全く持って恥かしくもなければ、
嬉しくも無いというのは俺が枯れたのか、それとも、他の理由か。
まぁ、問題はないな。ドクロと入った時も特に抵抗なく受け入れれたし。
ついでに言えば、俺はエヴァだし、今更女性が~と言うのもナンセンスか。

まぁ、何を置いても温泉である。
とりあえずは体を洗ってから入るとしよう。
そう思いながら、洗い場に座り、ロベルタに背中を流してもらい、
風呂に入って影から酒を取り出してロベルタにお酌をしてもらいながら飲む。

「ふにゃ~、そろそろ天国に行って良いですか~。」

「お嬢様、いい飲みっぷりなのは良いですが、天国には行かないで下さいね。」

ちなみに卵割の成果により、今回は失敗なく洗ってもらえたので気持ちよかった。
流石に、温泉を血で染め上げるのは勘弁願いたい

「ふにゃ~。」

気分は極楽~。
女の人が、エステとかそういった物に行く感覚が分からなかったが、今なら共感できるようなきがする。
そんな事を思いながら、風呂から上がり、ほろ酔い気分で浴衣を着て魔法薬を吸う。

「いや~、気持ちよかったな~。ロベルタはどうだった?」

「私は感覚がまだないのでなんともいえませんが、
 お嬢様の幸せそうな顔を見る限りいいものなのでございましょうね。」

そういいながら、微笑みかけてくる。
よし、これで気力がわいた。必ずロベルタは完成させよう。
元々完成させるつもりだったけど、確実に速やかに完成させよう。
そう思いながら外に出ると、すでにディルムッドが外で座って待っていた。
だが、心なしか疲れているような気がするんだが・・・・?

「何かあったのかチャチャゼロ?」

そう聞くと、疲れたような声で、

「エヴァ、この世界にはソッチ系の人もいるのか?いや、いて不味い事はないんだが、
 何か、風呂場で『ウホッ!いい男』って言った奴が擦り寄って来るんで離れた所に逃げたんだ。
 そしたら行った先で筋肉のムチムチしたヤツから一言、『やらないか』って聞かれたんで怖くなって即効であがったんだよ。
 あのまま中にいたらと思うとな、流石に俺も妻がいた身だから男の方に走るのはちょっとな。」

そういいながら、自身の体を抱いている。
あぁ、そう言えば、黒子は異性に対してのみ有効で、男には効かないからな~。
多分、神話では男とOKな世界観でも、女性の相手の方で忙しかったんだろ。
忠義や、礼節を大事にしそうなこいつが、男と女をとっかえ引返していたとはあんまり考えられないし。
そんなディルムッドにロベルタが追い討ちをかけるように、

「ガチムチですね。そちらの世界に行かれた際には、
 私がお嬢様をお守りしますので、どうぞ心置きなく行かれてください。」

それを聞いたディルムッドが更に落ち込んでいる。
やっぱり、幸運がEだと不幸に巻き込まれるんだろうか?
それとも、阿部さんが時空を越えて出現したのだろうか、くそみそ的な意味で。
まぁ、とりあえずはだ、

「ちょい顔かせ。」

「は?」

そう言って、ほっぺたをつかんで顔を固定する。
とりあえずは、顔の傷が再生しているようには見えない。
と、言うより再生したら宝具の名折れだろうな。
まぁ、確認と言う意味では見れて良かったか。見たかったらいつでも見れるけど。
そうやって、見詰め合っていると、ディルムッドの頬に朱がさす。
そして、

ドカッ!

「うぉっ!?」

そう言って、ディルムッドが足を押さえだした。
いきなりなんだと言うのだ。とりあえず、手を離すとつま先の方をさすっている。
そして、ロベルタの方を見ながら、

「ロベルタ、いきなり足を踏むなんて酷いじゃないか!?」

そういうと、ロベルタはしれっと、

「悪い虫がいましたので、お嬢様に付かない様にとの処置です。」

そういった後、今度はロベルタとディルムッドが見つめあ・・・・・、いや、睨み合ってるなこれは。
はぁ、この2人も仲が良かったり悪かったり忙しい事だ。
そう思いながら、魔法薬を吸った煙を吐き、

「とりあえず、行くぞボケナスども。
 いつまでも見詰め合っているな、こっちの方が焼けてくる。」

そう言ってやると、2人して俺の方に顔を向け。

「「そういう仲じゃない!(ありません!)」」

と、息を合わせたかのように返してくる。
ククク・・・、楽しい限りだな。

「なら、それでもかまわんよ。宿に戻って飲みなおすぞ。」

そう言って歩き出し、それを追うように二人が言い合いをしながらついてくる。
ふぅ、しかしよく喋るものだ。まるで、今まで眠っていて喋れなかった分を吐き出しているみたいだ。
それだけじゃなくて、良く動き働く。本当に早く完成させないとな。
そう思いながら、取った宿に戻り下の酒場に繰り出す。
付いて2~3日たつが、今の所は特にこれといった情報は集まっていない。
まぁ、見ようにも軍備関係の情報は早々流れてこないと言う事か。

そんな事を思いながら、浴衣姿で箒を手にした俺と、
同じく浴衣姿のロベルタ、ディルムッドをつれてカウンター席に向かう。
席順はロベルタを挟むように座り、

「ぴぴるぴるぴー1つ、お前達も好きな物を頼め。」

そういうと、ディルムッドは俺と同じ物を頼み、ロベルタは

「マスター、テキーラを一瓶。」

ある意味、飲む気満々なチョイスだな。
まぁ、俺もビールとか飲むよりはガツンと来る物の方が好きだから構いはしないが。
ちなみに、カクテルは別腹。アレは酔う物じゃなくて味を楽しむ物だしな。
そんな事を考えながら、飲んでいると、

「あちらのお客様からです。」

そう言って俺の前に店主が酒を置いた。
誰からかと考えていると、俺の横に誰か座った。
チラリと見ると、肩にかかるかかからないかの黒髪の飾り気のない女性だった。
角から見るに竜かな。まぁ、そんな事俺には関係ないか、そう思っていると、その女性が話しかけてきた。


ーsideサーヤー


目当ての人物達を探して半日。手がかりは映像と最終目撃場所。
ないよりはマシと言えばマシだが、ここが空に浮かぶ島だとしても町は広く人は多い。
だが、探さない事は1歩も踏み出せないと思い足で探して、今ようやく目的の人物達を見つけた。
バーのカウンターに三人でかけ、美味しそうに酒を飲みながら煙を吐く美しい狐が1人。
酒を瓶からラッパ飲みしているメイドが1人。その横で、呆れたようにメイドを見ている優男が一人。

はたから見ればちょっと変わった旅行者の集団だろう。
書く言う俺もそう思わずにはいられない。
これは俺の感が外れたかな、まぁ、外れても失うモノはないが、一応話を聞いておくか。
そう思い、狐の近くの席に座る。しかし、今の俺は相手の興味を引くものがなかったんだな。
これで俺が男なら、ナンパの1つでもすればいいが・・・・、すでに優男がいるからそれも無理か。
まぁ、でも、手が無い事はない。

「マスター。」

そう言ってマスターを呼び、狐に酒を一杯おごる。
酒場で話の口実を作るなら、一杯奢るのが手っ取り早いし、奢られた方も悪い気はしない。
それに、俺が女だから、女からは警戒されないだろう。
そう思い、マスターが狐に酒を出すのを見計らい席を狐の横に移す。

「やぁ今晩は綺麗なお嬢さん。見ない顔だな、一杯奢らせてくれないか?」

そう言うと、狐は一瞬目を細めた後、ニヤリと笑いながら、

「席が空いているなら好きに座ればいい。
 すでに目の前にはYESかNOか答える前に酒が出ている。
 それなら、好きにすればいいさ。ただし、ナンパは勘弁願おうか。
 私にそっちのけはないのでね。」

そういった後、狐は俺が狐に出すように注文した酒に口を付けた。
最初の接触はまずまずか。そう思いながら俺も酒に口を付ける。
優男とメイドは俺の方を見て来るが、あちらにも一杯奢るとしよう。

「マスター、この3人に一杯ずつ出してくれ。乾杯と行こう。」

そう言って、酒が回ったのを確認してグラスを掲げる。
そうすると、他の面子もグラスを掲げてくる。
それから、一口飲み口を開く。
このまま楽しく飲めれば良し、真祖ご一行ならなおよし。

「俺はサーヤ。所で狐のお嬢さん達のお名前は?後、どこから来たのかな?」

そう言って、横の狐に話しかける。
すると、

「サーヤか、私のはエヴァンジェリン。向こうの男がチャチャゼロで、隣がロベルタだ。」

そう狐が名乗ると、他の面子もグラスを掲げながら挨拶してくる。
はてさてどうするか。真祖とその連れていた人形の名前と合致する。
しかし、名前だけでは判断が付かない。本当にそういう名前かもしれないし、違うのかもしれない。
まぁ、先に会話の主導権を握って情報を引っ張り出そう。

「よろしく3人とも。オスティアは始めてかい?」

そういうと、煙を吐きながら狐が答える。
後ろの2人は2人で何か話しこんでいるが、話している内容はよく聞こえない。

「3人とも始めてさ。これでも私は魔法使いでね、旅をしながら世界を見て回っているよ。」

「そうか・・・・、真祖が闊歩するご時勢にご苦労な事だな。」

そういうと、狐は酒を飲みながら、

「あぁ、大変と言えば大変だが、怖がっていては始まらない。
 それに、目的があればこそだしな。そう言うキサマは何をしているやつなんだ。」

そう言って俺の目を見てくる。
彼女の瞳に映る俺が俺を見ている様な気がする。
いや、今はそれはいいな。

「俺は・・・、賞金稼ぎだった。今は普通に町で暮らしている。」

「そうか、店でも開いていれば、寄らせて貰おうかと思ったが、
 まぁ、そうは上手く行かんか。」

そう言ってパイプで煙を吸っている。
さて、この狐はどこまで本当を言って、どこまで嘘をついているか。
なんともいえないな。そう思い、話の矛先を変える。

「そういえば、チャチャゼロだったか、彼も魔法使いなのか?
 それとも、従者か?」

「ん?従者と言う呼び方は好かん。
 あいつは私の騎士だよ・・・・、惚れるなよ、ややこしい事になる。」

そう言って、横目で俺をチラリと見ながら、ため息を吐く。
あの優男の事で何かあったのだろうか?
まぁ、それはさておき騎士ときたか・・・・。
あの人形の2名に『騎士人形』と言うのがあったし、騎士と言うのは基本国に仕える。

目の前の旅人に騎士と人形のメイドが着くのは、それなりの身分の者だからだろうか?
しかし、それならばここで酒を飲んでいる理由は見当たらない。
まぁ、本人が呼び方が嫌いだからと言う事も考えられるが、
世界を救った魔法使いとその従者。つまりは、従者と言う言い方は悪いものじゃない。
それを騎士と呼ぶのだから、何かしら理由でもあるのだろうか?
そう考えていると、

「しかし、酒場に来るのに剣をぶら下げるというのは、中々に物々しい物を感じるな。」

「あぁ、いくら治安が良くても中々気が置けなくてね。」

「そうか、賞金稼ぎを止めて長いのか?」

「長いな、もう5年は越える。」

そう俺が言うと、狐は酒を飲み干し、メイドと優男に目配せした。
これで帰る気なのだろうか、それならばせめて、優男の得物を確認したい。
だめもとで聞いてみるか。

「チャチャゼロと言ったか、すまないが得物を見せてもらえないか?
 騎士と呼ばれるぐらいだから其れなりに見栄えの張るものを持っているのだろ?」

そういうと、立ち上がった男は何処からとも無く紅と黄の槍を取り出して見せた。
それを見て、俺はすぐさま自身の手に魔力を集める。
原理は分からないが、この槍が魔力を霧散させられるのなら、今の手の魔力を霧散できるだろう。

「これが俺の得物だ。」

「手にとって見ても?」

そう聞くと、優男は顔をしかめ、

「すまないが、それはよして貰おう。
 これは俺の相棒なんでね、早々簡単に人に貸すのはちょっとな。」

そう言って、男はすぐに槍を直す。
怪しいといえば怪しい。分からなくも無い見解といえば、分からなくない見解だ。
現状での怪しさは多く見積もって60%ぐらいか。
そう思っていると、

「今晩はエヴァが話し込んだようだな、礼を言うよ。」

そう言って、優男が手を差し出してきたので、それの俺も手を差し出して返す。

「あぁ、俺も楽しかった。
 また会う事があればその時は楽しく飲もう。」

そう言って、俺は酒場を後にする。
一応は、部隊を監視に付かせるか、あのメイドも人ではなく人形のようだったし、
すぐに槍を隠した男、真祖と符合する名前。そのほか、いくつかの合致点。
まぁ、これならば、監視を付かせる根拠足りえるだろう。
後は、空港の警戒レベルの引き上げだな。


ーside俺ー


横に座った女性が帰り、俺達も上の部屋に引き上げる。
サーヤと名乗ったヤツが酒場を後にするまで見守ったが、あの歩き方は訓練されているな。
軍と言う所は、基本的に規律に厳しい。歩き方、物の置き方、掃除の仕方その他たくさん。
まぁ、基準にしているのが俺の自衛隊の経験なのでなんとも言えないが、それでも歩き方を訓練する場所を俺はそこ以外知らない。
それに、

「チャチャゼロ、手の感触はどうだった?」

そう聞くと、ディルムッドは自身の手を見ながら、

「振ってるな、とてもじゃないが、あの手の感覚なら剣を置いて数年とはいえない。
 現在進行形で剣を練習しているはずだ。」

握手させておいて良かった。
俺なら看破出来ないかも知れないが、ディルムッドのように英霊まで上りつめられる者なら、
筋肉の付き方や、手の皮の厚さ、その他使用頻度などが読み取れうだろうと思ったが、
やらせて良かった。そこまで考えて、ロベルタが口を開く。

「お嬢様、現状ならまだ雲隠れできます。可及的速やかにここを出るべきです。」

そう、俺達を心配していってくる。
相手は多分、個人ではない。今の読み取れた情報では、多分そうなる。
となると、

「いや、それはダメだ。今出れば余計怪しまれる。それに、現状で私達はまだ見つかってはいない。
 ならば、身の潔白を知らしめるために行動を取る。」

そういうと、ディルムッドとロベルタは、どういう行動を取るのかと俺の方を見てくる。
今の曖昧な現状でやるのはただ1つ、監視が付くかはわからないが、それに無駄だと思わせる方法。

「明日から、思いっきり遊ぶぞ。何処の誰かは知らんが、遊んで潔白を見せ付ける。」

そう言って、ニヤリと2人を見ると、

「一応、逃げ道も見たし、エヴァがそういうなら従うよ。」

「緊急時の集合先や、そのほかも遊ぶついでに探った方がいいかもしれませんね。」

そう言って、2人とも納得してくれた。
まぁ、これで撒けると思うが、これからは持久戦だな。


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