<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

ゼロ魔SS投稿掲示板


[広告]


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[6951] (更新9/18)【ルイズは】>>1がハルケギニアに召還されるようです ゼロスレ目【俺の嫁】
Name: shibamura◆f250e2d7 ID:d801e7ad
Date: 2010/09/18 03:56
はじめに
このSSは、多くの人の目が触れる場所に投稿しておいて言うセリフではありませんが……
貴方の貴重な人生の一部である"時間"を支払って読む程の価値は間違いなくありません。
また、このSSを読んだ人間の多くが「気持ち悪い」と思うか"なんだかよくわからない病"に掛かる事が感想板で判明しています。
なんだかよくわからない病を発病した方からは、「アン派だったのにルイズ派になった。どうしてくれる」「HENTAI最高!」「わっふるわっふる」と意味の解らない報告があがっているため、ご注意下さい。

それでもかまわないという方、大歓迎です。
以上、shibamuraでした。



【ルイズは】>>1がハルケギニアに召還されるようです ゼロスレ目【俺の嫁】

※いろんな意味でヒドイよ!

googleで調べてて思った。
ハルケギニアなのかハルゲニアなのかハルゲキニアなのかどれかにしろと。


 今日の仕事が終わり、いつもと同じ電車に乗り、いつもと同じルートでアパートへ帰る。
 毎日が同じ繰り返しだ。
 昨日と同じ今日、今日と同じ明日。
 先週と同じ今週、今週と同じ来週。

 生活には癒しってモンが必要だ。そうだろう?
 誰だってそう思う。
 俺もそう思う。

 じゃあゼロの使い魔の新刊を読んだ俺がこんなスレを立てるのも仕方が無いってモンさ。

 俺はそんな事を考えながらgoogleで「ルイズ」を画像検索する。

 出てくる出てくる。いろんな「ルイズ」が。
 ただ俺にはコレじゃちょっと物足りない。
 こんな検索を掛けてすぐ出てくるようなルイズじゃなくて、もっと可愛いルイズが見たい。
 いや、この世に存在するルイズはすべからく可愛いワケだが。(反語)

 とりあえず一枚適当にURLをコピーして、俺は2chにスレを立てた。



(こっちは実際に立ったスレ、まとめブログニュー速クオリティより)
【ttp://news4vip.livedoor.biz/archives/50792124.html】


ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの可愛さは異常

1 魔法使いの名無しさん2009/02/23(月) 22:37:05.58 ID:hirgsvrie0

 ソース
 ttp://xxxxx

 マジハルケギニアに召還される方法とかねーの?


2 魔法使いの名無しさん2009/02/23(月) 22:37:49.20 ID:2coijsdn

 >>1
 "さん"を付けろよデコ野郎!

3 魔法使いの名無しさん2009/02/23(月) 22:39:12.01 ID:laighikn

 ルイズ可愛いよルイズ!!(*´Д`)ハァハァ
 ttp://yyyyy

4 魔法使いの名無しさん2009/02/23(月) 22:40:01.43 ID:owaheflwej0

 とりあえずいつもの

 ルイズ!ルイズ!ルイズ!ルイズぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
 あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ルイズルイズルイズぅううぁわぁああああ!!!
 あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
 んはぁっ!ルイズ・フランソワーズたんの桃色ブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
 間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
 小説12巻のルイズたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
 アニメ2期放送されて良かったねルイズたん!あぁあああああ!かわいい!ルイズたん!かわいい!あっああぁああ!
 コミック2巻も発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
 ぐあああああああああああ!!!コミックなんて現実じゃない!!!!あ…小説もアニメもよく考えたら…
 ル イ ズ ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
 そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ハルケギニアぁああああ!!
 この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵のルイズちゃんが僕を見てる?
 表紙絵のルイズちゃんが僕を見てるぞ!ルイズちゃんが僕を見てるぞ!挿絵のルイズちゃんが僕を見てるぞ!!
 アニメのルイズちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
 いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはルイズちゃんがいる!!やったよケティ!!ひとりでできるもん!!!
 あ、コミックのルイズちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
 あっあんああっああんあアン様ぁあ!!シ、シエスター!!アンリエッタぁああああああ!!!タバサァぁあああ!!
 ううっうぅうう!!俺の想いよルイズへ届け!!ハルゲニアのルイズへ届け!

 ttp://ggggggggggggggg

5 魔法使いの名無しさん2009/02/23(月) 22:43:17.51 ID:lsdjbngjseng0

 LV0 ゼロの使い魔?どうせ典型的萌えアニメだろ?どうでもいいよ…
 LV1 ふーん…どっちかってーとファンタジーアニメなのか?サイトって日本人?
 LV2 このシエスタとか…ちょっといいかも…
 LV3 やっべシエスタマジヤッベ
 LV4 やべぇアンリエッタとかモンモランシーとかタバサもすげぇ可愛い… ルイズだけ邪魔だ
 LV5 マジこのルイズどうにかなんねぇのか?マジウゼェ…
 LV6 ルイズ結婚してくれ!
 LV7 やべぇルイズ最高!ルイズと水さえあれば生きていける!
 LV8 ルイズと結婚した!俺はルイズと結婚したぞ!!
 LV9 やっぱコルベールは最高だわ
 LV11 なんだよじゃねーか!
 LV13 ルイズだか三杯酢だか知らねーけど
 LV46
 ●
 ┠~~~┐リアルな魔法に
 ┃  ●  ∫かかったみたいに
 ┠~~~┘この胸に焼き付いた
 ┃      まぶしい笑顔
 LV121
 もう本当にいじめられたい
 アン様の足の親指の爪の間の雑菌を主食として生きていきたい
 いかん、勃起がおさまらん
 アンリエッタ姫…姫ぇ…
 そんな、勿体のうございます…いえ、姫の糞尿なら喜んで頬張らせて頂きます…
 あああ!咀嚼する度に口の中で姫が!姫が踊ってらっしゃるぅ!!
 MAX これは たんなる 絵では 無い

 ttp://aaaaaaaaaa






「ハハッ」

 そうさ、別に俺が探さなくても、2chにスレを立てれば"同志"達が勝手に「俺のルイズフォルダが火を噴くぜ!」とアップしてくれる。
 何て素晴らしい世の中だろう。ネット社会!
 そうこうしている間にもスレは進む。
 俺は片っ端から右クリック保存を繰り返す。内容は後で確認すればいい。

「ん?」




252 魔法使いの名無しさん2009/02/23(月) 23:11:45.21 ID:slfehewlg0

 >>1のIDがヒラガシュヴァリエな件について

254 魔法使いの名無しさん2009/02/23(月) 23:12:37.84 ID:lfewbl0

 神IDktkrwwwwwwwwww
 マジだwwwここまで来るとキメェwww

257 魔法使いの名無しさん2009/02/23(月) 23:12:37.84 ID:slefknwekg0

 これは今日中に1000行ったら案外行けるかもな、ハルケギニア

 まぁこの時間じゃどうせ無理だけどなwwwwwwww




「オイオイマジじゃねーか、こりゃ他の板にも書き込むしか…お?」

 まさかの神IDだったが、俺が思いついたのは片っ端からいろんな板にスレを立ててIDを自慢する事くらい…
 そう思ってとりあえず最後にF5でスレの伸び方を見た瞬間、俺は固まった。



386 魔法使いの名無しさん2009/02/23(月) 23:15:11.45 ID:ofweinlwef0

 ハルケギニアに行ける>>1が居ると聞いて



 加速、加速、kskの嵐。
 いつの間にか他のスレに誘導書き込みしたヤツが居たらしく、めまぐるしい勢いでスレは伸びる伸びる!

「これは…イケちゃうんじゃないか?」



1000 魔法使いの名無しさん2009/02/23(月) 23:59:38.12 ID:lfweihglwe0

 1000なら>>1が召還される。
 
 *     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。     +    。     *     。
      +    。  |  |
   *     +   / /   イヤッッホォォォオオォオウ!
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +    。   *     。
      ,-     f
      / ュヘ    | *   。 +このスレッドはVIPが1000を取りました。
     〈_} )   |      次スレも…VIPクオリティ!!
        /    ! +     *http://ex10.2ch.net/news4vip/
       ./  ,ヘ  |
 ガタン ||| j  / |  | |||
――――――――――――  



「届きやがった…」

 そう、スレ立てから1時間と少し、俺の立てたスレは1000に届いてしまった。
 かといって新しいスレを建てるのも空気が読めていないので、「まとめブログに乗るかな」とか思いながらオナニーして寝た。



つづけ。


作者所感

プロローグになってねぇwwwwwwwwwwwwww

小説新刊読んでついカッとなってやった。

反省は全くしていない。



[6951] 【問おう、貴女が私の】>>1がハルケギニアに召還されたようです 1スレ目【マスターか?】
Name: shibamura◆f250e2d7 ID:d801e7ad
Date: 2009/03/11 23:51
【問おう、貴女が私の】>>1がハルケギニアに召還されたようです 1スレ目【マスターか?】
※あいかわらずいろんな意味でヒドイよ!



 人は夢を見る。
 寝てる時に見るアレだ。

 そんな時、例えば夢の中でちょっとした段差を踏み外した時、道路の縁石から片足が落ちた時、ビクッと足をつっぱらせながら起きる。なんて体験は無いだろうか?

 当物語の主人公にはソレがあった。
 しかし今回は彼も驚いた。

 一瞬の浮遊感。
 そして次に感じたのは、高いところからいきなり体が丸ごと落ちてゆく落下感なんだから。


「ぐおっ!」


ドウッ

 彼たまたま体が下を向いていた為足からに落下し、しかし膝を思いっきり打ち付けてしまった。
 痛みで目が完全に覚醒してしまう。

「なっ」

 驚いた、朝である。
 辺りは明るく、今が決して夜出ない事を証明するように、人工では決して真似の出来ない太陽光が辺りを彩っていた。

(仕事に行かないと……って青空?)

 彼は落ちた地面を手で探る。草原だ。

 顔を見上げて回りを見渡すと、自分を見つめる人、人、人。
 それもどこかで見たような、そしてどこでも見ていないような人々。

(どこだよ…ココ、夢か?夢の中なのか?)

 どうにも事態が把握できずに起き抜けの頭を回転させ始めた所で、彼は顔を両手でグイと掴まれて上を向かされた。
 そして彼の顔を掴んだ…いや彼の目の前に居た人物は…


チュッ


「もう、なんでこんなのが私の使い魔なのよ」


 悪態をつきながらもその魅力は1万分の1も劣化しない、いやだからこそ輝く桃色髪の天使…


 ゼロの魔法使い、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールその人だった。






【問おう、貴女が私の】>>1がハルケギニアに召還されたようです【マスターか?1スレ目】





-サイト-


 生の釘宮声だ…いやそんな事はこの際どうでもいい。

「ははっ」

「な、何笑ってんのよ!使い魔の分際で」

「いや、嬉しくてつい…」


 俺を睨むルイズを尻目立ち上がり、パンパンと膝の汚れを落とす。
 その時に気付いたが、着てる服は"あの"パーカー。
 左手の甲には熱と共に何かの力を感じる。


(こりゃあいよいよもって…)

 どうやらマジでハルケギニアらしい。
 1000getしてくれと名前も知らない誰か、ありがとう。
 俺は本気で天に向かって感謝した。

 俺は出来る限り真面目な表情を作って、ルイズと向き合う。
 どうやら身長もオリジナルサイトと同じ…というかは鏡を見ていないから断言は出来ないが完璧に体はサイトっぽい。
 確か身長が150cmに満たない筈のルイズがそれほど小さく見えないのだ。
 というかあとで鏡で確認して解ったんだが、まんまヒラガサイトその人であった。
 一瞬でとりあえず何もかも受け入れてしまう事を即決した俺は早速行動に移す事にした。

 そう、「ルイズは俺の嫁」計画である。

 シンプルイズベストプロジェクト


 新婦・ルイズ・ベスト・プロジェクトである。

 たしかルイズは今まで回りにゼロゼロと馬鹿にされていて、相当に傷付いている筈だった。
 俺を召還するのにも何度も失敗を重ねていると思う。
 だから魔法使いとしての第一歩、使い魔の召還には彼女の中の期待は小さくなかった…んだよな?多分。
 そしてよりにもよって人間の、平民が召還されたもんだから、やっぱりショックを受けているに違いない。

 だったら俺が"しっかりした使い魔"っぽい所を見せれば、彼女の中の評価もうなぎのぼり間違いない。

("こういう儀式"はソレっぽい方がいいよな)


「問おう」

「な、何よ?」

「貴女が私のマスターか?」

「そ、そうよ!だからアンタは下僕らしくしてればいいの!」


 俺を見上げ、敵意すら見せながらルイズが主張する。
 まぁ人間の男が召還されるとは思って無かったんだろうし、それは仕方が無い事だった。
 しかもそれが自分と同年代の男ならなお更だ。
 だから俺は警戒心を解くためにその場で方膝を付き、追加で宣言をした。


「使い魔ヒラガ・サイト、召還に応じここに参上した。契約は成された、これより私は汝が剣、汝の盾となろう」

「な、なに当たり前の事言ってんのよ、当然じゃない!」


 ルイズとしても従順な使い魔であるに越したことは無いのだろうが、そもそも人間が召還される事自体が想定外であり、しかもアッサリと自分を主と認めた事に驚きを隠せないようだ。
 しかしツンデレって実際どうなんだ?どっからデレになるんだけ?


「ぬっぐ!しまった!忘れてっ…つぅ…」


 しかし場は停滞を許さず、次の瞬間には俺は手首を掴んで唸る。
 使い魔の刻印が契約によって焼き付けられたのだった。
 のた打ち回る事は何とか避けた俺だったが、先ほどのキザなセリフとあいまってなんとも格好がつかない。
 ルイズも"やれやれ"とため息を付いている。

 畜生、いつか本物のサイトみたいに胸揉みながらチューしてやる。
 いや、もっと先までしてやる。




 男のやたら低俗な野望は、その日ついに動き出した。






-ルイズ-

 夕食時。

「…聞こえなかった?平民のアンタは床」

「聞こえているし、理解もしてるんだがその命令は受けられない。マスター」

「何よ、ご主人様に歯向かおうっていうの?」

「そんなつもりは無いんだが…人間食事をしている時間が一番気が弛むからな。護衛しないと使い魔の立場が無い。それに平民は貴族が食べた後じゃないと」

「平民の分際で何偉そうな事言ってんのよ…」


 拝啓始祖ブリミル様。わたくしがこの様な仕打ちを受ける程何か悪い事をしたのでしょうか。

 人間の、しかも平民にしては使い魔として使えるかもしれないと一瞬でも思った私がバカだったのかもしれない。
 そもそも平民の時点で使い魔として使えない事を完全に忘れてしまっていたのだ。
 しかもその平民が私を護るとまで言い出した。
 そんでもって私に仕えている割には言葉遣いがなっていないというか態度がデカイ。
 何その上から目線。
 ご主人様の命令が聞けない犬には躾が必要よね?そうよね?


「魔法も使えない平民風情が偉そうな口を叩くんじゃないわよ!」

「そりゃヒドイな。魔法は確かに使えないけど、君を護るくらいは出来る」

「ハァ?」


 何?護るって。
 あぁそう、弾除けになるのね。
 炎や氷魔法の盾になってくれるのね。

 ってなるわけ無いでしょこのバカ犬ー!
 もうこんなのバカ犬で十分!
 生身の平民一人で魔法が防げるなら苦労しないわよ!

 けど私のそんな怒りを全くキレイサッパリ無視して、真顔でバカ犬は、今まで私が一度も聞いた事の無い、いや聞いた事はあるけど私には向けられた事のない言葉を放った。


「君という最高の魔法使いが呼んだ使い魔なんだから、その使い魔が弱い筈無いだろう?」


 なんて事を真顔で言ってのけたのだ。


 最高の魔法使い。

 今までゼロゼロとバカにされて来た私には一度も掛けられなかった言葉。
 例え掛けられたとしても、それは私をあざ笑う為の比喩とかであって…
 それを、このバカ犬は、真顔で、本心から、本気で言ったのだ。

 そんな言葉を掛けられて一瞬嬉しくなってしまった私は、すぐさま自分の考えを頭を振って振り払った。
 そうだ、コイツは私の魔法をまだ見てないんだ。
 見たらきっと、他のクラスメイトみたいに笑うに違いない。
 一瞬嬉しくなってしまってからの温度差で私は目の前が少し暗くなってしまった。

 メイジと使い魔といえば主人と下僕。
 その下僕にだけはナメられてはいけない。
 そんな事になったら私の、私の中で傷付きながらもなんとか保ってきた"何か"が崩れてしまう。


「バカな事言ってんじゃないわよ。私が言ってる事が聞こえないの?そ・こ・の・ゆ・か・で・食・べ・な・さ・い」

「ぐあっ…解った、マスターがそこまで言うならそうする」


 スネに蹴りを入れて命令したらこのバカ犬はしぶしぶ床に座った。
 どうやらこのバカ犬には蹴りが有効らしい。覚えておこう。








翌日

-サイト-


 昨日の晩は、原作通り床で寝る事を命令されたので、少し時間を貰って馬のエサの飼葉を集めて寝床にした。
 結果めちゃくちゃ体中が痛い。
 サイトのヤツこんな寝方を平然としてたのか…実はスゲェヤツだったんだな。
 まぁ俺の嫁に惚れられるくらいだからそのくらいは当然か。


「マスター、朝だ。マスター」

「むにゅむにゅ…へぁ?アンタ誰?」

「君の使い魔になったサイトだよ。水飲むか?」


 元々夜遅かった俺はルイズが目覚めるかなり前に目が覚めた。
 つーか夜は電気も無いんで10時には確実に殆どの生徒が寝てるようだ。
 おかげで朝はバッチリである。
 二度寝さえしなければ確実に毎朝ルイズより早く起きれるだろう。


「…制服」

「どうぞ」


 昨日寝る前にルイズが脱ぎ捨てた制服も、ハンガーにだけ掛けておいた。
 この世界にアイロンは…少なくとも電気式のは無さそうだ。


「下着」

「スマン場所が解らない」

「そこのクローゼットのー…一番下」

「了解」


 ルイズのパンツである。
 皆があこがれたあのルイズのパンツである。

 しかし落ち着いて欲しい諸君(?)
 こんな誰かが洗濯したパンツで満足してよいものか?

 否!断じて否である!

 そう、落ち着いて欲しい、落ち着け!俺!
 俺は動悸を押さえ、ルイズにパンツを渡して背を向ける。


「…服」

「あぁ、りょうか…い…はふん」

ドスッ


 振り向いた瞬間、思わずストーンと。
 本当にストーンと両膝を地面に落としてしまった。
 そうだな、ルイズの黒いネグリジュの抱き枕あっただろ。
 もしくはお前らの中で一番可愛いルイズを想像してみろ。


 現実のルイズはその100倍は可愛い。
 しかも下着姿な上に寝ぼけているのである。
 そりゃあため息もついて膝から崩れ押しても誰も責めらられないだろうよ。そうだろう?兄弟。


「…何やってんのよ」

「いや、余りに可愛いんで気絶する所だった。すまない」

「いいからさっさとしなさい」


 俺は腕の震えをなんとか抑えながらルイズにシャツを着せてやり、ボタンをとめてやり、スカートを履かせてやった。
 すると全ての服を着せた所でベッドの上を指差してついに、ついに俺のずっと待っていた言葉をおっしゃってくれやがったのである。

「後で洗濯しときなさい」

「了解!」


 そうだ諸君…お待たせした。
 クローゼットから出したてのパンツに何の価値があろうか。

 今俺の前にはついに、"脱ぎたてのパンツ"が光臨したのである!

 …後で絶対くんかくんかしよう。
 いや、ここは露伴先生にならってよりリアリティを追求するためにも"味も見ておく"べきか?




 使い魔ヒラガサイト、日本が世界に誇るHENNTAIであった。








-ルイズ-

 少なくともこのバカ犬は使用人としては使えなくも無い事は解った。
 でもそれなら使い魔を召還するんじゃなくて使用人を雇えば良いのよね…

「はぁ…」

 私は食事中だけど、今あのバカ犬は居ない。

「洗濯する場所とか解らないし、厨房の人に聞いてくるんで食事は気にしないでくれていい」

 とか言い残して消えてしまったのだ。
 まぁ貴族である私があれこれ平民風情に教え込む事もありえないので、自分で方法を探してくる事に越したことはない。
 人間だって事は少し…いやかなり不服だけど、あのバカ犬はどうやら使い魔らしい使い魔ではあるようだった。
 私は午前の出来事を思い返してへにゃっと笑ってしまう。

 午前は練金の授業だったのだが、運悪く私が名指しされてしまったのだ。
 普段ならば失敗も恐れずに挑戦するのだけれど、今の私にはそう、私を主として見ている使い魔が居たのだ。…そん、足元に。
 絶対にナメられちゃいけない。
 絶対に失敗しちゃいけない。

 こんな平民にまでバカにされたら、私は流石に始祖ブリミルを本気で恨む事になるだろう。

 でもそんな不安は、物の見事に外れてくれたのだ。
 …残念な事に魔法は失敗してしまったけれど。

 爆破してしまった教室をアイツは無言で片付けた始めた。
 流石にの私も主人としてのプライドがあるので手伝おうとしたのだけれど、アイツは"使い魔に働かせるのが君の仕事だ"と私の手から雑巾を取り上げてしまった。
 その後は無言で黙々と働いていたのだけれど、その時私は使い魔に失望されたと思った。
 魔法に失敗した私を責めてるんだと思った。
 けど私の予想は、次のアイツの一言で粉砕された。


「いやぁ安心した」

「…何がよ」

「君のクラスメイトが君の魅力を100万分の1も理解していない事が解ったからな」

「ハァ?」


 その時は何かまた良く解らない事を言い出したのかと思った。
 というか貴族に対してまさか口説き始めたんじゃと蹴りの準備をしたくらいだ。


「君は魔法使いの才能がある。俺が保障する。ただ今は系統が安定してないだけだ」

「アンタに言われなくても解ってるわよそのくらい」

「いや…気休めとかではなくてだなマスター」

「何よ」

「使い魔とその主は印を通して特別な絆で結ばれる。だから解るんだ。君は自分自身の事を疑っているかもしれないけど俺には解る。君は世界で最高の素晴らしい魔法使いだ」


 そう言ってくれやがったのだ。
 魔法使いと使い魔が特別な絆で結ばれるのは知っているけど、本当にあのバカ犬にそんな事が解るんだろうか?
 でも嘘を付く理由が無いし…もしかしたらあのバカ犬が言うように本当に自分には魔法使いの才能があるのかもしれない。
 他の誰に言われた言葉よりなぜかそう思えた。
 それは慰めでも、哀れみでもない、本気の断言だったからだ。

 使い魔は確かにヘンなのが着たけど、これは今まで魔法使いとして不遇の運命を辿って来た私の人生がガラリと変わる始祖ブリミルの知らせかもしれない。
 そう思えば自然に笑顔にもなるしクラスメイトの嫌味も流せるというもの…


「決闘だ!ギーシュとルイズが呼んだ平民が決闘するぞ!」


 訂正、やっぱアイツただのバカ犬だ。

 食堂に響くクラスメイトの声を聞いて、私はこめかみをおさえて唸ってしまった。


「アイツ…あとで気が済むまで蹴ってやるわ…」







-サイト-


 ぶっちゃけた話。肉が食べたかったのである。

 ルイズの前では大人しく出された物を食べたけど、思春期のこの体にあの量は足りなさ過ぎる。
 そんなワケでイロイロ理由をでっちあげて厨房にやってきたのだ。
 洗濯する場所を聞いた最初は変な目で見られたが、ルイズが平民を召還したというのは既に使用人にも噂が広がっているらしく、なんとか賄い料理のごちそうまで頂ける事になった。


「…うめぇ。うめぇよコレ…ありがとうな、シエスタ」

「いえ、いいんですよ。ここで働く平民の人たちは何と言うか…家族みたいなものなんです」

「そうなのか…いいな、そういうの」


 やはり身分の差というのは相当に辛いようで、この学園で働く使用人は男女関わらずかなりのストレスの下働いているらしい。
 そんな中で助け合いの精神が生まれるのは、ひどく人間として健全で、なんだかちょっぴり嬉しくなってしまった。

「おかわりもってきましょうか?」

「いや、もう十分だよ。ホントありがとう。…んでさ、お礼と言っちゃなんなんだけど何か手伝う事無い?」


 というか手伝わせてくれ。
 これからもたまに食べに来たいし…

 何よりコレから俺はギーシュにケンカを売らなければならん。

 シエスタにデザートのトレイを受け取り、こっそり果物ナイフを2本失敬してトレイにさりげなく置いた俺は食堂へ向かう。


「おぉ、ホントに落ちてるよ」


 食堂には午前に顔を確認したギーシュが原作通りにバッチリ居て、その足元にはやはり原作通り香水のビンが落ちていた。
 俺は一度空いている席にトレイを置いて、そいつをひょいと拾った。
 無視されるのもムカつくので最初から机の上に置きながら俺はギーシュに声を掛ける。

「落とし物ですよ」

「君は何を言ってるんだね?それは僕のじゃないよ」


 すまし顔で言いやがった。
 あぁそうですか。
 ってオメーのだろうがゴルァ。
 チラっと横を見るとギーシュの斜め後ろ、死角の少し離れた位置ににモンモランシーが座っている。
 脇役だと思ってスルーしてたし縦ロールは趣味じゃねーけど結構美人じゃねぇか畜生。
 リア充税って知ってるか?


 テメーみたいのに課税する法律だよ。俺が作った。今。

 そんな訳で俺はお前から税金を徴収しなければならん。


「これはこれは失礼しました。女性の中には好きな男性に香水を送る方もいらっしゃるそうですから。貴族殿は女性に人気がありそうなので勘違いしてしまいました。何なりと罰をお与え下さい」


 そう主にモンモランシーに聞こえるように言ってやったが、ギーシュのアホは気付かない。


「あぁ、君は平民にしては中々見る目があるじゃないか。本来ならそんな間違いをした平民は魔法で懲らしめてやる所だけど、僕の機嫌が良いから見逃してあげるよ」

「感謝の言葉もありません。失礼します」


 そう言って俺は香水をトレイの端に載せ、スタスタとモンモランシーの横に進む。


「デザートでございます」


 これでモンモランシーにスルーされては意味が無い。
 俺はデザートをモンモランシーの目の前にでは無く、少し横に逸らして置いた。
 モンモランシーはデザートを見るために視線を移すが…

 そこにあるのは彼女があのアホにプレゼントした香水だ。


「ねぇ、その小瓶、どこで手に入れたの?」


 俺はニヤニヤを必死に抑えながら完結に答えてやった。


「あちらの貴族様の足元で見つけたのですが…尋ねてみた所自分の物ではないとおっしゃられまして」

「…それ本当?」

「もちろんでございます。お嬢様」


 モンモランシーは俺の言葉を香水の小瓶をトレイからブン取り、ツカツカとギーシュの元へと向かう。
 俺はその間に最後の確認作業だ。

 つまり、ガンダールヴの印の確認である。

 トレイの中の果物ナイフを左手で握って見た。
 これで印が反応するならギーシュにケンカを売る。

 反応しなかったら…逃げよう。



「はっ…来た来た」

 ナイフを持った瞬間に左腕が光り始め、そこから力が体中に伝わった行くのを感じる。
 …これならイケル!
 俺が一人でニヤニヤしてる間にも、後ろでは狙い通りケンカが始まったようだ。


「ねぇギーシュ。私の見間違いかしら。この香水は私が貴方にプレゼントした物に良く似ているのだけど」

「あぁ!モンモランシー!間違いなくその香水は君がプレゼントしてくれた物だよ!部屋に置いて来たのだけれど、どうやら恋の魔法に掛かってここまできてしまったようだね!」

「ギーシュ様…やっぱりミス・モンモランシーと…」

「いや、これは…違うんだ」

「何が違うの?ギーシュ」

「さようなら!」

「最っ低!」



「ブフッ」

 想定していた通りに修羅場が発生した上に、モンモランシーがギーシュにワインをブッ掛けたのがツボにハマってつい俺は噴出してしまった。


「何がおかしいのかね?平民君」

「いや、別に?」


 黙れ腹筋ブレイカー。俺を殺す気か。
 ワインを頭から被って薔薇を咥えるとかどこのコントだよお前は。


「君が軽率に小瓶をトレイの上に置いたおかげで二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?平民君。おや?君はあのゼロのルイズが呼び出した…じゃあ品が無いのも頷けるな」


 だから黙れつってんだろ。
 俺はハッと笑いながらケンカを売ることにした。


「二股すんならバレないようにやれよ色男。若い時に直さないと女癖ってのは抜けないらしいからな」


「ぎゃはははは!確かに!ギーシュ、今のはお前が悪いぜ!」
「平民もたまには良いこと言うじゃねぇか!」


 周りで囃し立てるクラスメイトの声。
 ギーシュの目が光る。
 咥えてた薔薇を手に移し目から殺気…をだしているつもりなんだろうけど全く怖くない。


「どうやら、君は貴族に対する礼を知らないようだな」

「だったらどうする?教えてくれんのか」

「いいだろう。ちょうど昼の腹ごなしだ。クラスメイトの使い魔の粗相を修正してやるのも貴族の情けってものさ」

「そいつはありがたい。ただしアンタは魔法を使うんだ、俺も2本ナイフを使って良いよな?まさか魔法を使える貴族様がナイフを2本持った平民に後れを取る訳無いもんな」

「好きにしたまえ、そんなもので貴族に勝てると思うのならね」


 クルリと背を向けたギーシュの後を、果物ナイフを2本掴んで追う。



「決闘だ!」


 ギーシュの取り巻きが後ろで叫んでいるのを聞いて、俺はニタリと笑いをこぼした。




-ルイズ-


「サイト!」

 私が観客と化した生徒の波を何とか潜り抜けてサイトの下に辿りつく頃には二人はもう広場の真ん中で対峙していた。

「サイト!」

 もう一度叫ぶ。
 今度はようやくあのバカ犬もこっちに気付いたらしく、こっちに歩いてくる。

「何アンタ勝手に決闘なんてしてんのよ!」

「いや、ケンカを売られたんで買ったんだが…アイツは君をゼロと呼んだんだ。君の居ない場所で。逃げ出したら主の君の名誉に関わるだろう?」
(まぁ売ったのは俺なんだけどな)


 私はため息をついて、ふるふると頭を振った。

「謝っちゃいなさいよ」

「は?」

「私の名誉なんていいから、怪我したくなかったら謝ってきちゃいなさいよ」

「いや、いやいやいやいやいや。待て、待ってくれマスター」

「何よ」

「まさか君は俺が負けると思ってるのか?」

「思ってるか?思ってるかですって?思ってるんじゃなくて解ってるのよ!平民が貴族に勝てるとでも思ってるの?」

「あー、わかったわかった!」


 私がせっかく善意で止めてあげようとしてるのにこのバカ犬ときたらそれを事もあろうか手を上げて"もういい"と言わんばかりに止めたのだ。
 これはもう、私の蹴りを発動するしかないわねと覚悟した時には彼はもう振り返ってギーシュに向かって歩き出してしまっていた。


「ちょっと!待ちなさいよ!」


 走って肩を掴んだらなんとか止める事が出来た。


「ご主人様の話が聞けないってワケ?!」

「いやそうじゃなくて…君は俺の能力を何も知らないんだろう?」

「知ってても知らなくても関係ないわよ!アンタ平民なんだから」


 私が何度言っても、何度説明しても…
 それでもこのバカ犬は、平民<貴族という簡単な不等式を全く理解できていないようだった。

「まぁ見ててくれ。君と言う偉大な魔法使いがどれほどの使い魔を呼んだか証明してくるから」


 そう言った次の瞬間にはギーシュの元に走って行ってしまったのだ。


 もう知らない、あんなバカ犬。







-サイト-

「待たせたな」

「逃げなかったところは褒めてあげるよ、平民君」


 そう言って薔薇の花弁をひとひら地面に落とすと、そこから青銅で出来た鎧衣が…
 いや青銅で出来た女戦士が現れた。


「僕はメイジだ。当然魔法を使わせて貰うよ?よもや文句はあるまいね」

「ハッ、上等」

「威勢がいいね。言い忘れてたけど僕の2つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って僕の魔法、ワルキューレがお相手するよ」


 俺は左手のナイフを逆手に、右手のナイフを順手に持ち、左半身を前面にボクサーのファイティングポーズような半身になって構える。
 とりあえず相手は一体だ。
 左手で防御、右手で攻撃。
 ガンダールヴならその一合で済む。

 俺は全身に流れる力を意識しながら向かってくるワルキューレを見据える。

 遅い!

 手持ちのナイフの刃渡りは目算でだいたい15cm、ワルキューレの胴体の幅より短い。
 ならば―――――


ベキンッ


「何だとっ?!」



 ならばと関節に切りかかったのだけど、右手で付いた果物ナイフはアッサリ途中でヘシ折れてしまった。


「おいおい、もう終わりかい?平民君」

「チィッ!」


 素早く距離を取って考える。

 何故折れた?

 切れ味が悪いから?
 いいや、ドットメイジのギーシュがポンと作成した剣でも斬れたんだ。切れ味は関係ない筈。

 ガンダールヴの印が全力を発揮していない?
 心の震え…つっても最初はアイツもルイズとは関係無しにやりあった筈だ。

 何が…何が足りない?


「何だギーシュ、平民風情に苦戦してんのか?!」

「おいおいさっさと片付けてくれよ!メイジの名がすたるってもんだぜ!」


 ギャラリーの余計な野次のおかげで、ギーシュはさらに2体ワルキューレを土から産み出す。


「ただでさえ硬ェっつーのに…」


 ワルキューレの攻撃を左のナイフで逸らし、胴体に思いっきりケリを入れてやる。
 …が、多少バランスを崩すだけで転倒には至らない。
 速さはこちらが上だから攻撃は避けられるが、倒せないんじゃ意味が無い。


「話が違うぞ畜生」


 刃が通らないんじゃ話しにならない。
 どうする?

 ワルキューレが倒せないなら…直接ギーシュを狙うしかない。
 しかしギーシュも自分に狙いが定まればもう3体ほど産み出して自衛に回すだろう。
 …となると


「そらよ!」


 またゲシッとワルキューレを蹴るが、やっぱり効果は見込めない。
 それでも回り込むように移動し続け、ギーシュとワルキューレと俺で三角形ができる形に持っていく。


「あっぶねぇ!」


 それでも俺はギーシュを責めずに逆方向に移動をして俺、ワルキューレ、ギーシュの並びに戻す。
 これを何度か繰り返せばギーシュは"俺はギーシュを直接は狙わない"と思い込むだろう。
 そうすればギーシュの元までたどり着ける。

 というか逆にそうしなければ無理だ。
 意外に詠唱時間が短い。
 今さっきの3角形の配置になった時に突っ込んでも接触する前にワルキューレを召還されてしまう。
 ガンダールヴの本来の速さならどうにかなるとは思うんだが…
 こうなったら根競べだ。


「はっ…はっ…はっ…はっ…ぐおっ!」


 そしてついにワルキューレの一撃が、俺を捕らえた。


 ズシャァッと軽快な音を立てて俺はふっ飛ぶ。
 周りからは歓声の声が上がるがそんなのはどうでもいい。
 つーかワルキューレに殴られたくらいじゃ普通は数メートルも吹っ飛ばない。
 俺が自分で飛んだんだ。ダメージの軽減のために。
 笑いたいやつには笑わせておけばいい。


「どうしたんだい平民君。もうギブアップかい?」

「はっ、どっちが!」


 それでも、今の一撃を貰ったのは痛い。
 あれは"避けれる筈"だったんだ。
 それが避けられなかったって事は…
 既にかなりの疲労が表に出ている。
 誰だ羽みたいに軽くなるつってのは。あぁ、サイトだったっけ。


 ドンッ…ズシャアッ

 また一撃、避けられずに地面を転がるハメになった。
 この時点でギーシュを直接狙うのは諦めざるをえなかった。
 もうどう隙を突いてもギーシュの詠唱前に突っ込むのは無理だ。

 …となると負けるしかないのだが、その場合どうやって負けるかだ。
 ある程度は善戦しないと意味が無いし、俺にもそれなりにダメージが無いとギーシュも納得しないだろう。


 ギャリィ!

 ワルキューレの蹴りをいなした左手のナイフの刃がざりざりと削れていく。
 もうコイツじゃせいぜいバナナくらいしか切れないだろう。

 ドスン!

「ぐぅ…あっつ!」


 また地面に転がり、即座に跳ね起きる…が。


「あれ?」


 ガクリと一瞬膝が折れる。
 次の瞬間にはもう一歩を踏み出して堪えるが、そろそろ足にもきているらしい。


「サイト!」

「?」

 けどその瞬間、勝負の途中だというのに声を掛けてきた主を見た瞬間。


 左腕の印が、ぞわりと反応した。





-ルイズ-

 あのバカ犬は、平民にしては少々できる犬だったみたい。
 私はギーシュのワルキューレから逃げ回るサイトを見て評価からバカを抜いて犬にする事にした。

 でもそれだけ。
 結局あの犬はワルキューレを倒せない。


「あっ」


 決闘が始まってどのくらい立っただろう?
 ついにあの犬はワルキューレの一撃を受けてしまったのだ。
 それでも直ぐに立ち上がるけど、明らかに最初の頃より動きが遅くなってる。

 痛くないの?
 今の絶対あざが出来てるじゃない。

 また一撃。

 何でそんなに向かっていくの?
 勝てないって言ったじゃない。

 また一撃。

 なんで決闘なんてするの?
 やめなさいって言ったじゃない。

 何で?
 何でって…

"アイツは君をゼロと呼んだんだ。君の居ない場所で。逃げ出したら主の君の名誉に関わるだろう?"

 そう言ってた。
 私は唇を噛んでようやく思い出す。

 私の為じゃない。
 だってサイトは私の使い魔なんだから。
 そんなの当たり前の事なのよ。


"君は世界で最高の素晴らしい魔法使いだ"


 何で、そんな事思い出すのよ。


 また、一撃。


 ねぇ、何で?


 さらに、一撃。
 サイトはもう、見るからに足に力が入っていなかった。


 何でそこまでするの?


 私は――――――――ゼロのルイズなのに。


「サイト!」



 もうやめてと、思わず叫ぼうとした私とサイトの目が会った瞬間―――――

 "それ"は、起きた。







-サイト-


「サイト!」


 ワルキューレとの戦闘中だというのに、ついルイズの声に反応してしまった。
 まずっ今攻撃されたら…何?!

 ルイズを見た瞬間。
 いや正確にはルイズの目から流れる涙を見た瞬間。
 左手のルーンが眩しい程に光り、力が体中を駆け巡る。

 それは飢えだった。

 それは渇きだった。

 それは欲求であり、渇望であり、慟哭であり、咆哮であり、要求であり、それらは全て、声だった。



 求めろ!求めろ!求めろ!
 もっと強く!もっと貪欲に!喰い漁れ!探し出せ!


 その声を聞いた瞬間。
 俺は"このルーンの本当の使い方"を唐突に理解した。


「こんな簡単に…いや…まさか」


 想像していた"ガンダールヴの全力"を遥かに凌ぐ何かを感じる。
 左手を見れば既にルーンの光が指先を伝わってナイフを包んでいた。


「よそ見かい?余裕だね。平民君」

「ん?あぁ、スマン」


 完全にギーシュの事が頭から抜けていた。
 いや、そんな事どうでもいいと、脳が勝手に判断したらしい。
 俺の中でギーシュのワルキューレ等、最早路傍の石ころ程度の障害でしかなかった。


 シュッ

 その手ごたえはまるでバターを熱したナイフでスライスするような…

「なっ」


 バラバラになって俺の足元に転がるワルキューレにギーシュは驚愕の色を隠せない。
 そうだよな、俺の手にあるのはもう完全にボロボロになった、ただのナイフ一本きりなのだから。
 俺は走る訳でもなく、ただまっすぐにギーシュに向かって歩き出す。


「出ろ!ワルキューレ!」


 何かあると焦りに駆られたギーシュが新規に6体のワルキューレを出す。
 ワルキューレが俺に踊りかかりバラバラにされ、そしてまた俺はギーシュに歩き出す。


 それが何度か繰り返されている内、ギーシュも、そしてギャラリーの誰もが理解せざるを得なかった。


 土のメイジが作ったゴーレムが、俺に対し足止めにもなっていないという事実に。

 ギーシュが息を切らす頃には、俺は既にギーシュまでの距離を5メートルに縮めていた。
 もう魔力も尽きかけているのだろう。
 肩で息をするギーシュの目にはもう戦闘を続行する意思は見られなく、焦りと疲労、敗北感が漂っていた。

 逆に俺は、むしろバリバリの絶好調。
 四肢は今まで感じた事の無い力の脈動に喜びの歌を歌い、耳はどんな音も聞き逃さず、目はあらゆる敵の呼び動作を見抜き、頭は――――


「どうした?"人間"」

「ヒッ」


 頭は何か危険な薬物でも打ち込んだんじゃないかと自分でも疑うほど、ハイになっていた。
 怯えたギーシュに一歩近づき、俺の口はほとんど俺の意思とは関係なく勝手にセリフを吐いていく。


「挨拶がまだだったな…始めましてギーシュ、そしてさようならだ。…貴様は私の主を『ゼロ』と呼んだ」


 さらに一歩。
 ギーシュは薔薇の杖をコチラに向けるが、スペルを唱える気力も残っていないようで、ただ口をパクパクさせるだけだ。
 そして、俺はついに、ギーシュの目の前に立つ。



「お前…生きてこの広場から出れると思うなよ…


 ブチ殺すぞ、ヒューマン!」


「解った!悪かった!私の負けだ!」



 杖を投げ出してギーシュが叫んぶ。
 ゼロの使い魔・サイトが初めてメイジを倒した瞬間である。




-コルベール-

「第六系統、萌えです」

 彼は私達の目の前で、彼は始祖ブリミルの英知を解析してしまった。



 話は少し巻き戻る。
 私は図書館で調べ物をしていた。
 そう、あの生徒ヴァリエール嬢の使い魔のルーンについてだ。

 そこで私は、歴史に失われた1ページを埋めるような発見をしてしまった。
 そう、"空白の1ページを埋める"発見である。

 わたしはすぐさま学園長であるオールド・オスマンにこの報告を持っていった。
 私の報告を聞き学園長の顔色が代わった瞬間、そう、あの決闘騒ぎが発生し、使い魔君がメイジを倒してしまったのだ。
 彼の動きは明らかに平民、いや身体に強化系のスペルを唱えた上位メイジのそれを上回るもので、我々は彼がガンダールヴである"可能性が高い"事を確信した。

 "可能性が高い"と言ったのはガンダールヴと言い切れなかったからである。

 彼の左手に刻印されたルーンが…
 始祖ブリミルが記したどのルーンとも一致しなかったのである。
 いや、正確には余計なものが多かったと言えばいいだろう。
 私はサモンサーヴァントの時点で彼が特異な存在、といっても人間が召還された事など始祖の伝説を除いてただ一度だりとも確認されていないのだから当然と言えば当然だったが、彼のルーンについても気付いた。

 今まで見た、どのルーンとも違うその刻印。
 私はなるべく詳細に彼のルーンを記憶し、記憶が風化しない内にそのルーンをメモに残す事に成功した。
 そして始祖ブリミルの伝説に纏わる書物と検証を行ったのだが…

 どうにも彼には、ガンダールヴのルーンと少々違う、というよりガンダールヴのルーンに少々何かを付け加えたルーンが刻まれているようだった。
 といっても伝説というだけあって、始祖ブリミルがハルケギニアに光臨したのは6000年の昔。
 我々人間の寿命や世代交代を考えると、そこに何がしかの欠損や改変があったとしても驚く事ではない。
 よってオスマン氏を私は、彼を"ガンダールヴらしい者"として認識したのだった。

 しかし、それは違っていた。

 その夜、誰もが眠る頃に彼はなんと私の研究室を訪ね、オスマン氏との面会を求めてきたのだ。
 "自分のルーンについて説明したい"と。
 まるで我々の心を読んだかの様に。
 また彼は私にも同席を求めた。

 知的好奇心に対する忠実な下僕である私は、すぐさまオスマン氏に取り次ぐ事を選択した。

 オスマン氏に面会をした時、と言っても就寝中に私が起こしたのだが、オスマン氏は非常に不機嫌であった。
 何しろ彼の眠りを妨げる存在など、よほどの事が無い限り学園内に存在しないからだ。
 それでもオスマン氏は私の用件を伝えると"少し待て"と言ってすぐさま寝巻きから正装に着替えた。
 ここで私も失念していたのだが、始祖ブリミルの流れを汲む使い魔と対峙するのだ、私も正装にすべきかもしれなかった。


 オスマン氏の執務室に3人が集まった時、彼は自分のルーンについて、自分が何者であるか語りだした。


「お二人は俺がガンダールヴなのではと考えていると推察しますが…如何ですか?」

「うむ、その通りじゃ。伝説の書物とはちと違うが…6000年前の記述なぞアテになるかもあやしいからのう」


 だが彼はその推測を肯定する事も否定する事も無く、全く別の用件を切り出した。


「俺の話に入る前に…学園長の使い魔を見せてもらって良いですか?」

「む…?別に構わんが」


 オスマン氏は自身の、ネズミの使い魔を呼ぶ。
 すると彼は、右手でその使い魔に触れたのだが…その瞬間。


「何と?」
「そんな…バカな」


 彼の右手にも突如ルーンが出現したのだ。
 2つのルーン。通常ではありえない事だった。
 しかし我々の驚愕をよそに、彼はさらなる衝撃をその口から零す。


「よぅ、ヒラガサイトだ。よろしくな」

「チュイ」


 彼の言葉に、主の許しも無くオスマン氏の使い魔が返事をしたのだ。
 いや、返事くらいの許可を主に求める必要は通常無いのかもしれないのだが、他でもないトリスティンに唯一であり絶対であるこの魔法学園の長の使い魔が、そうそう簡単に初見の人間の意志に従う事は通常ありえないことだった。


「エロイ主だろ苦労するだろ?あぁそうでも無い?でもアレだろ?スカートの中とか覗かせたりするんだろ?え?秘書の?いや俺パンツ見るだけどか興味ねぇし…黒が好み?あぁまぁそれも解るんだけどさ、地味なパンツには地味なパンツの色気ってのが…」


 彼は突然、使い魔と会話をし始めたのだ。
 それも学園長秘書に対するセクハラの話題である。
 いくらこの学園長が自分の欲望に忠実とは言え…それを使い魔が公言する事はありえない。
 ましてやそもそも主人以外の人間と意思疎通するなど…

 衝撃に目を見開く我々の目の前で、次に彼が行ったのは机の上にあったランプを触る事だ。
 触れた瞬間、今度は額にルーンを輝かす。
 流石に3つめともなると慣れるかと思ったが、そうではない。

 先ほどの右手…あれはやはりヴィンダールヴのルーンに何かを付け加えた形状をしていた。
 そして彼の額に宿るルーンは…ミョズニドニルンの刻印に矢張り何かを付け加えた形状をしているのだ。

「へぇ…なるほどねぇ」

 パチン、と彼が鳴らすと、ランプに灯がともる。

 その誰でも出来る操作は…しかし"彼には出来ないはず"だったのだ。
 なぜなら彼はメイジではないのだから。

 しかし彼は我々の目の前でランプを灯して見せた。まるで使い慣れた道具を使うかのように。

 そしてついに彼は、我々に視線を戻し、口を開いた。


「俺はガンダールブでもヴィンダールヴでも、ましてやミョズニトニルンでも無い…記されなかった四番目、ドスペラードですよ」


 伝説は伝える。

 始祖ブリミルが使い魔は4つであると。

 神の左手、ガンダールヴ
 神の右手、ヴィンダールヴ
 神の頭脳、ミョズニトニルン


 そして記すことさえ憚られる最後の名前。

 それを彼は、埋めたのだ。

 もしかするのでは、と思った。
 彼のルーンは伝承のそれとは少々違ったのだから。
 しかし私はそれを一度頭から打ち消したのだ。
 なぜなら彼のルーンは左手に現れたわけだし、基本的にはガンダールヴのルーンを内包していたのだから。


「ドスペラードは先に作られた全ての使い魔の能力を超える唯一にして絶対の使い魔…」


 ゴクリ、とつばを飲む音がイヤに部屋に響いた。
 否定できないのだ、果物ナイフでメイジを倒した彼を。

 今目の前で他人の使い魔と会話してみせた彼を。

 初級とはいえメイジにしか使えないマジックアイテムを使った彼を。


「むぅ……」


 オスマン氏も黙って唸ってしまった。

 この発見は、あまりに大きすぎる。
 あの歴史の1ページ。
 始祖ブリミルの最後の使い魔の名前とルーンが今、判明したのだから。


「ひとつ聞いてもよろしいかね?」

「何なりと」

「伝説には記す事も憚られる…とあるが君の能力は非常に素晴らしいものじゃ…何故か聞いてもよいかね?もし、君が知っているのならば」

「知ってますよ」

「何と!」


「この力の源が原因です」

「"虚無"では…無いのかね?」

「いえ…俺のドスペラードの力の根源は第五系統のそのさらに上。第六系統、"萌え"です」

「"萌え"?」


 聞いた事の無いスペルワード、聞いたことの無い響きだった。
 さらに追求したいと思う私の欲求を感じてくれたのか、彼は私に一度頷き説明を続ける。


「例えば水のメイジは魔法でアイスエッジを作れますね」

「うむ」

「そのアイスエッジは使ったあと…どうなりますか?」

「まぁ…溶けるじゃろうな」

「そうですね。じゃあその溶けた水はどこに行くんでしょう。地面に染み川となるか、空に上り雲となるか」

「む?」

「土も火も、風も、何かを生み出す事が出来る。そしてそれはこの世界に存在するものと全く同じです」

「ふむ」


 そして彼は一呼吸置くと、この世界の誰もがとっかかりすら理解できなかった"虚無"を、いともあっさり我々に話してみせた。


「ならばこの世界にある全ての"物"は須らく何らかの系統の属性を持つ。そしてその"物"と"系統"の密接な関係を持つ、全ての系統の根源。それが"虚無"です」

「…なんと…そんな…事が」

「これで前置きが終わります。そして俺の系統についてですが…お二人とも両手を手のひらを上にして胸の前に置いて下さい」


 そういって彼も我々に要求したものと同じポーズをとる。
 前置き。
 誰もたどり着くことも、理解することも出来なかった"虚無"を前置きと言い切り、彼は自分の属性について語り出した。

 我々はもう質問する事すらできず、彼の言葉に従うだけだった。
 質問しようにも、何を質問すべきか見当もつかないのだ。
 ただ驚き、感嘆の声を上げる事が関の山だった。


「こちらはより解りやすいと思うんですが…まず右手の上に雑巾が載っているのをイメージして下さい。なるべく汚いヤツを。メイジはイメージが専門でしたよね?」

「ふむ…雑巾とは。うむ、出来た」


「この雑巾は布で出来ています。先ほどの虚無の理論からすれば…何で出来ていると思います?」


 私はすぐさま答える。
 それならば簡単だ。


「魔法で生み出す事と同じならば…土と風だね」

「そうですね、じゃあ次に左手に集中してください」

「ふむ」

「まず自分がこの世で最も美しいと思っている女性をイメージします」

「ふむ…んん??何故かね?」

「いいからやって下さい。候補が出ないなら"秘書の人"でいいですから」


 言われた通りにイメージする。
 私はそう言われなくても決まっている。
 ミス・ロングヒルだ。

「あなた方の左手には、今その女性の脱ぎたてのパンティが乗っています」

「何ィッ!?」
「何ですと?!」


 真面目な話から一転、なぜミス・ロングヒルのパンティに話が飛ぶのか。
 始祖の系統は元より意味が不明だが流石にこれは…


「フンフン、で、これからどうするんじゃ?!」


 あぁ、もうだめだこのジジィ。
 鼻の穴ふくらませてやがる。



「このパンティ、何で出来ていますか?コルベール先生」


 一瞬何もかもに嫌気がさしてしまった私に、彼は声を掛けた。
 しかし答えは先ほどと同じだ。

「土と…風だね」

「ならば学園長、この薄汚く汚れた異臭漂う雑巾と、男にとって無限の可能性を秘めた嗅ぐ事すら禁忌を思わせる魅惑の香りが漂うミス・ロングヒルのパンティ。同じものですか?」




 衝撃が、走った。


「違う!断じて違うぞ!サイト君!それは違う物だ!」


 オスマン氏がハナから炎でも噴出さんばかりの勢いで叫ぶ。
 出遅れてなかったら私が叫んでいただろう。

 そして彼は、ニヤリと笑ってこう〆たのだ。



「そう、その違いこそが…第六系統である"萌え"なのです」







 萌えを携え、萌えを欲求し、萌えを消費し、ただひたすらに男の真理を追究する使い魔。


 ハルゲニアにHENNTAIが光臨した日である。


 続かない。



作者所感

じゃーん。実はこのSS。ギャグSSでした。

ぶっちゃけ同じチラ裏のマブラヴSSの方がスランプ。


ついカッとなってやった。

…ルイズとどうなるのかね。俺アン派なのに。
アンチルイズSSで面白いのが多いのでデレが多めになったかもしれない。



[6951] 【キャッキャ】>>1がハルケギニアで放送コードに引っかかるようです 2スレ目【ウフフ】
Name: shibamura◆f250e2d7 ID:d801e7ad
Date: 2009/03/11 23:51
「まだ終わりじゃないゾイ。もうちょっとだけ続くんじゃ」


 夢の中で亀仙人が言ってた。

 亀仙人に言われちゃしょうがないよね。






-ルイズ-


 まさかの勝利、あの犬は…いや、私の頭の中でもサイトと呼ぼう。
 あの私が召還した使い魔サイトは、なんとナイフ一本でメイジを…ギーシュを倒してしまったのだ。

 美しくも無く、気高くも無い、けれども唯只管に強い私の使い魔。

 それが私が召還した、平民・ヒラガサイト。

 そのサイトを、今多くのクラスメイトが、他のクラスの生徒が、他の学年の生徒が、教師が見ている。
 そしてその視線を物ともせずに彼は私の元に歩いてくる。

 何て声を掛ければいいのだろう?

 よくやった?

 でもこの決闘、私は反対してた。
 それを言ってしまえば、私の意志に反して動く事を容認する事になってしまう。


 何勝手な事してんのよ、このバカ?

 でも彼は、"ゼロ"と私を呼んだ相手に、私の名誉を護るために決闘をしかけたのだ。
 それを無碍にするほど、私は厚顔無恥ではない。


 どうしよう…そう頭を悩ませている内についに彼は私の目の前に立ち、こう言ってのけたのだ。


「遅れてすまない、洗濯に行って来る」



 ……やっぱりアイツ、バカ犬でいいや。


 ちなみに、後から気付いたけどこの瞬間から学園内で私を"ゼロ"と呼ぶ者は居なくなった。
 ヴァリエール家の三女である私の使い魔が、長男ではないとは言えゼロと呼んだグラモン家の息子に決闘で勝ったのである。

 つまり私の使い魔は、私を侮辱した全ての貴族にケンカを売る事を恐れていないこと。

 そして並のメイジでは、サイトに勝てる事はまず無いだろうという事。


 最早誰も、私をバカにする人は居なくなった。

 私は、一人のメイジとして認められたのだ。




【キャッキャ】>>1がハルケギニアで放送コードに引っかかるようです 2スレ目【ウフフ】




-サイト-

 学園長室でルーンの説明が終わった後、俺は追加で藁をゲットしていた。


「生活向上委員会、委員長は私、ヒラガサイトがお送りします」


 なんて事をブツクサ言いながら部屋にシーツと追加の藁を運ぶ。
 よくよく考えれば、何も藁の上で直接寝ることは無いのだ。
 服に繊維がついてチクチクするし、体は痛いしで大変じゃないか。

 そんな訳で今までの3倍の藁を用意して、その上にシーツを敷く事にした。
 簡易ベッドだ。
 用は発想力と応用力だ。そうは思わないかね?君ィ。

「出てって」

 しかし意気揚々と部屋に戻った俺を待っていたのは、ルイズの辛辣な言葉だった。
 何がいけなかったのだろうか。
 そうか、スペースだ。
 いくら床に寝る事を許したと言っても、あの部屋はルイズの部屋であり、部屋主はルイズである。
 つまり彼女の頭の中の使い魔の居住スペースを越える量の藁を持ってきたため、拒否されたのだろう。
 どうせなら最初から「こっからここまでがアンタの生活空間」と教えてくれればよかったのに。


「廊下か…」


 正直、寒い。


「きゅるきゅるきゅる」

「ん?」


 廊下で寝るか他の場所…場合によっては厨房か食堂もここよりは暖かいのではと頭を捻っていた所に、キュルケのフレイムが現れた。


「きゅる」

「なんだ、慰めてくれんのか?優しいな、お前は」


 そう言ってポンポンとフレイムの頭を撫でてやった瞬間、右手が光った。
 そういえばこの右手ヴィン…ダールフだっけ?
 あのロマリアのイケメンと同じ能力があるんだっけか。

『ついて来て頂けないか?ミス・ヴァリエールの使い魔殿』

「ん?あぁ、いいよ」

『何!! 君は私の言葉が…いやそれよりも今君の言葉が!!?‘』

「まぁ使い魔同士だしね。お前も他の種族の使い魔と会話が出来るだろ?」

『そう言えばそうだな…して、話の続きだが、ご足労願えないだろうか?主殿が君を呼んでいる』

「返事はさっきしたろう?ついていくさ」


 触れば会話ができる…というか使役もできるのだけど、味方というか友人というか友人候補というかメインキャラの使い魔を奪うような趣味は、流石に持ち合わせていない。
 というか原作だかタバサの本だったかのどこかで使い魔同士がサイトの事を語り合ってるシーンがあったような気がするけどどうなんだい?
 むしろ何でサイトは他の使い魔と会話できないんだい?
 まぁ俺もそんなわけで?ルーンを使った設定を持ってきているのだけれど。
 あれ?何言ってるんだろう、俺。

 たどり着いた場所は…隣の部屋、キュルケの部屋だ。

 薄暗く、フレイムの明かりをおぼろげに輪郭しか見えないその部屋は、どこか…というか、ぶっちゃけ風俗店っぽかった。いや、行った事ないけど。

「ねぇ、そんな所に居ないでもっとこっちへいらっしゃって?」

 入った瞬間、パタンとドアが閉まった。
 まぁ魔法かフレイムだろう。どっちでもいい。

「こっちと言われてもこうも暗くてはね…ミス……?」

「キュルケよ」


 パチンと指を鳴らす音。
 部屋の蝋燭が灯った。
 成る程…やっぱり風俗店っぽい。




-キュルケ-

「もっとこっちへ…」

 ベッドに寝転んでいた私は体を起こし彼を誘う。
 彼――――ルイズの使い魔サイトはヴァリエールのモノ…ならばツェルペストーとして、それを奪わないわけにはいかない。
 それに…

 昼間のあの決闘!
 最初はまたトリスティンメイジの平民イジメが始まったと思ったら、なんと平民であるはずの彼が勝ってしまったのだ。
 それも果物ナイフ一本で!
 しかもそれは、あのゼロのルイズをギーシュがゼロと呼んだからですって!

 あの時からクラスメイトの間じゃ絶対にルイズをゼロと呼ばないなんていう暗黙の了解まで出来てしまった。

 なんて素敵!
 トリスティンに来てからというもの、寄って来るのは私の見た目にほだされた中身のない男ばかり。
 それがヴァリエールのルイズの使い魔だもの、絶対に逃がさないわ。

「いや、ここまでだよ」

 でも彼は、他のココの貴族なら絶対にベッドまで来るはずのこの状況で、部屋の中央でその歩みを止めてしまった。
 強さとは裏腹に見た目通りのウブな方なのかしら?
 それともルイズに忠誠を誓ってるから?
 フフッどっちも同じじゃない。
 難易度が高ければ、私の中の"微熱"は益々温度を上げ行くのだ。


「もっと近くに寄って下さらない?アナタの顔が見えないわ。そんなの悲しいもの」


 それでも彼は、その場で首を振るだけでその場から動こうとしない。
 でも私は微熱、奥手な殿方の相手もして差し上げられましてよ?
 シーツをどかし、ゆっくりと立ち上がる。

 立ち振る舞いにしても、全て計算した物。
 どの角度から見たら私がどう見えるか、そんな事は完璧に理解してるのだ。
 そうでなければ流し目を送ったり軽くぶつかったりしただけの男が私に交際を申し込んでくる訳が無い。

 だから私は、自分の魅力を全開に押し出すつもりで、見せ付けるように彼に歩み寄る。

「昼間のアナタ…素敵だったわ。私夕食も食べれなかったの。アナタの所為よ。アナタが私の中に住み着いて居なくなってくれないから、もう我慢できなくなっちゃったの。恋してるのよ、アナタに。恋はまったく、突然ね」

 ここまで言って堕ちなかった男は過去に存在しない。
 …と今までワザと外していた目線をサイトに戻すと

「あれ?」

 酷く気まずそうな顔をした、男が一人立っていた。

「キュルケ、気持ちは嬉しい。嘘じゃないのも解ってる…けど」

「けど?」

 彼が喋る。

「ここまで届かないんだ…君の言葉は」


 そう言って彼は、彼の左胸を人差し指でトントン叩いた。


「え?」

「微熱も悪くないと思う。暖かい温もりはきっと気持ちいいと思う…それでも、俺はたった一つの灼熱が欲しい」


 そう言って、クルリと踵を返し部屋を出て行ってしまった。


「え?」


 断られた?

 この"微熱"のキュルケが?

"それでも、俺は灼熱が欲しい"

 侮辱だった、屈辱だった。
 彼は私の微熱が、温いと言ったのだ。



「フ…フフフ、ウフフフフ」


 素敵じゃない。
 彼はやっぱり違う。
 そんじゃそこらの生ぬるい男どもとは違う何かがある。
 それなら火を司るこのキュルケが教えて差し上げねばなるまい。
 どんな火も最初は小さい微熱から始まる事を。

 そして恋の炎は、瞬く間に大きく炎上する事を。


「逃がさないわよ、サイト」


 その名を、私は心に刻み込んだ。




-ルイズ-

 私の為に戦う使い魔。
 …いや、人間だし剣を使うから…"騎士(ナイト)"って呼んだ方がいいのかしら?
 私の、私のためだけの、騎士。
 まるでどこかの物語みたい。


 私はそう思ったらひとつ問題が発生してしまった。

 ……彼の目の前で着替えるのが、恥ずかしくなってしまったのだ。
 そんなわけで、着替える直前に入ってきた彼をつい追い出してしまった。

 そもそも年も近い男の前で着替えるのってどうなの?
 いやだわ、朝の私ったらまるっきり…

"いや、余りに可愛いんで気絶する所だった。すまない"

「あ…」


 そして寝ぼけて記憶から抜けいた彼の言葉を思い出してしまった。
 可愛いって。
 それって私の事好きって事?
 少なくても嫌ってはいないわよね?

 ん…?

「しまった!」


 彼は多分、ドアの外にまだ居るだろう。

 そして隣は、ツェルプストーのあの女の部屋だ!
 彼を取られるなんて事は断じてあってはならない。
 あぁ、ひいひいひいおじい様やひいひいおじい様もこんなお気持ちだったのですね…
 早速部屋を出た私だけど…

「居ない…」


 イヤな予感がする、私は迷わずキュルケの部屋のドアに耳をつけた。


「恋してるのよ、アナタに。恋はまったく、突然ね」


 いやな予感は大当たりだった。
 すぐさま突入して、彼を奪い返さなければ…と普段の私ならすぐにドアを開けただろう。
 開かなければ叩いてわめきちらしていただろう。

 でもそれを、私はしなかった。


 違う、できなかった。


「嫌…」

 指も、唇も、足も、カタカタと震えるだけでちっとも動いてくれない。

「嫌よ…」

 怖い、今までに感じた事の無い程心の底から。
 彼が、サイトが他の誰かのものになってしまうのが怖い。

 彼は私の使い魔で、私を最高の魔法使いで可愛いと言ってくれて、私を馬鹿にしたやつをやっつけてくれて…
 私を一人前のメイジにしてくれたのに…

 そんな彼が居なくなったら、私はまたゼロのルイズに戻ってしまう。
 いや、それだけじゃない。
 何かもっと、私の中で大切な"何か"が崩れ去ってしまう気がした。
 気がした。というよりも、むしろそれは確信だった。
 このままでは彼は居なくなってしまう。
 それでも…私の体はゆうことを聞いてくれなかった。

「そんなの…いやぁ…」

 ただつぶやいて、ドアにカリカリと爪を立てるだけだ。


「キュルケ、気持ちは嬉しい。嘘じゃないのも解ってる…けど」

「けど?」

「ここまで届かないんだ…君の言葉は」



 そしてそんな私の、理解を超える言葉が、部屋の中から聞こえてきた。


「……え?」


 私はハッとして、ドアに耳をまた押し付ける。


「微熱も悪くないと思う。暖かい温もりはきっと気持ちいいと思う…それでも、俺はたった一つの灼熱が欲しい」


 ヴァリエールの恋人達は皆、ツェルプストーに奪われてきた。
 彼もきっと、奪われてしまうんだろう。
 心のなかで、そうやって諦めていた部分があった。

 だからこそ衝撃を受けた。

 彼は、断ったのだ。




-サイト-

「いいわ」

 廊下以外の寝場所を確保するにも、とりあえず主の許可がいるだろうと部屋の前に戻ってノックしたんだけれど…
 入っていいそうだ。
 とりあえず入る。


「お、遅かったじゃない」

「ごめん」

「ま、まぁいいのよ。アンタにもやることがあ、あるんだろうし」


 部屋に入った俺を待っていたのは、なんとベッドの上で布団の中から亀のように顔だけ出したルイズだった。
 事情はよくわからないが、手に持った藁についての突っ込みが無いのでいそいそと寝床の回想を始める。

 …なんてこった!掛け布団の類を全く考えていなかった。
 幾ら部屋の中がいくらか暖かいといっても、暖炉は寝るときは火を落すし、ここの作りは基本的に石と木だ。
 廊下よりマシというだで寒い事にはあんまり関係無いだろう。
 明日はなんとかしなきゃな…


「ね、ねぇ」

「ん?」

「アンタさ…使い魔クビ」

「は?」


 え?ちょwおまw俺何かしましたか?
 ギーシュにケンカ売るのは原作もしてただろ?
 あと何かした?
 まさか洗濯の時にパンツをくんかくんかしたのが見られ…

「ア…アンタは今日から…私の"騎士(ナイト)"なんだから」


 あ、なーるほど…

 つまりアレですね?

 ナイト・オブ・ゼロですね?
 なんだルイズもコードギアス好きだったのかー、そうならそうと…

 ってんなわけねぇー!
 で、何故にwhy?
 何故騎士が?
 俺関係なくね?
 でも逆らって鞭とか死んでも嫌なので俺は逆らわない。
 考えて見ろよ、馬用だぜ?
 毛皮来た動物と生身の人間の痛さに関する耐久力って知ってるか?
 打撃に関しては100倍近く違うんだぞ。
 拷問にも使われてんだぞ。
 俺は無理だね。

「構わないが…何故か聞いていいかい?」

「と、とりあえずその中途半端な敬語を止めなさい、気持ち悪いわ」

「いや…あぁ、うん。わかった」


 気持ち悪いって言われた!今俺ルイズに気持ち悪いって言われた!
 けどできればキモイって言って欲しい!
 …で、結局どうしたんですか?亀のルイズさん。


「こっち来なさい」


 そう言ってぺしぺしとベッドを叩くので、俺は迷わずベッドに近づく。
 まぁ、さっきのキュルケとはケースが違うのさ。俺死亡フラグ立てたくないしね。
 そもそも巨乳派では無いのだ、俺は。
 かといって貧乳派でも無いのだが。
 口に出したら殺されるなと思いつつもベッドに近付くと、やはりルイズはご立腹のようだ。
 いや本当に俺なんか悪いことした?
 キュルケも断ったし…
 

「…新しい契約」

「ん?」

「アンタが騎士になったんだから!新しい契約!」


 そう言って目を閉じずいっと唇を突き出してルイズは固まってしまった。
 契約っていうと…あの使い魔の?

 …そうか、理由はわかんないけどルイズはキスがしたいのだ。…と思う。多分。
 いわゆるアレか?ご褒美的なアレなのかい?
 これでおたおたしてると"雰囲気が"とかどうので怒りそうなので、俺は地球を代表してルイズの唇をありがたく頂く事にした。

 つっても雰囲気も何もルイズさんベッドの上で亀になってるじゃん。コレどうしろっつーんだよ。

 確かテレビでキス講座してた時はキスの前はイロイロ触れつってたな…
 頭を撫でたら怒られそうだったのでそっと頬に手を添えて見た。

「んっ…」

 ぴくっと震えるルイズが可愛い。
 そのまま俺は両膝を地面に着けて顔の位置を下げ、そっとルイズにキスをした。





 15秒くらい。




「…っぷは!」


 そうか、ルイズはキスの時息止めてる派か。


「な、ななな…」

「契約完了だルイズ……ん?」

「長いわよバカ犬ー!」

「オウフッ」

 その体勢からどんな攻撃をしてくるのかと思ったら…
 頭突きだった。
 成る程、めちゃくちゃハナが痛い。





-ルイズ-
 
 あんなに長くキ、キキキキスするなんて、バカじゃないの!このバカ!
 でもまぁ、ちょっとだけ、ちょっとだけなら許してあげちゃう。
 これはその…そう、ご褒美なんだから!

 プイッと目を逸らすと、サイトが今持ってきて作った藁の簡易ベッドが見える。
 そうよね…動物じゃないんだから藁は可哀想よね…
 それに火とか吐けないから体使うし、寝るところと食べるものくらいはしっかりしてあげようかしら?
 そそそそうよね、メイジを見るならまず使い魔を見ろって言うくらいだしね、だからこれは必要な事なんだわ。


「サイト」

「ん?」

「き、今日から私の…ベッドで寝ていいわ。光栄に思いなさい」


 言っちゃった。
 …まさか嫌がったりはしないわよね?

 不安になってサイトの顔をチラっと見ると…


「うぬぅ………」


 両手で頭を抱えていた。


「嫌なの?」

「いや、決してそういうわけでは…」

「じゃあなんなのよ、ハッキリ言いなさいよ」


 もしかして、本当に嫌なの?
 キュルケを断ったからって私の勘違いだったの?
 そんな悲しみが、私の中から沸いて出る。
 理由はよくわからないけど、また涙が出そうだった。


「なんというか…その…つまり…」

「何よぉ」


「早い話、同じベッドだと…その…劣情を我慢する自信が無い」

「な…なななな何ご主人様に欲情してんのよ!犬!このバカ犬!!」

「いやだから寝床は別にしようと…」

「我慢しなさいよそんなの!」

「しょうがないだろお前可愛いんだから!」

「え?」

「はっ!」



 サイトは「しまったぁ!」と言う文字をそのまま人にしたような表情で固まってる。
 何何何?私が可愛くて我慢できないの?
 発情しちゃうの?
 もう、ダメなバカ犬ね。
 そんなバカ犬には調教が必要ね。

 …でも調教はアメとムチって言うわよね。
 今日はギーシュに勝ったし、アメにしよう。
 そう、これも調教なんだから。ばか。


「じゃ、じゃあご主人様の体、一箇所だけ触って良いわ」

「へ?」

「それで我慢しなさい!ほらベッドに入る!早く!」




-サイト-

 靴を脱いでごそごそとベッドに入る。
 まともな寝床で寝るのは一日振りだけど…ふかふかだぁ…ふかふかって素晴らしいことだったんですね。
 で、問題は…

「う~…」

 この俺の右隣に居る美少女が、「どっか触れ」という目でこちらを睨んでくる事だ。
 ………どうしよう。 無難なのにするか。


「ルイズ」

「な、何よ」

「ちょっと頭上げて」


 疑問の表情を顔に貼り付けたまま顔を上げたルイズと枕の背中に、スッと腕を入れる。


「腕枕」

「ま、まぁいいわ。光栄に思いなさい」

「イエス、マイロード」


 夜は更けていった。






 …眠れん。

 というか寝れるか、ヴォケ。顔が近いんじゃ。

 というか腕枕をして話しかける際、体を横にしてルイズの方に向けたまんまにしてしまったのがまずかった。
 せめてその後すぐに仰向けに戻ればよかったんだが、タイミングを外してしまったので…ルイズの顔が10cmくらい前にあるのだ。
 しかもルイズも体をこちらに向けて寝てるもんだから、もう正面から寝顔が見放題である。

「ん…」

 腕の中で、ぶるっとルイズが震える。
 目線を移すと、肩が毛布から出て夜の空気に晒されている。

「ほら」


 空いてる左腕で、ずり落ちた毛布を首付近までもっていってやる。


「…一箇所だけって言ったじゃない」

「起きてたのか」

「寒い…」


 ちょうど毛布を掛けた腕がルイズの右肩に乗っていたのでそのまま背中に回し、ついでにルイズの頭の下にある右腕も曲げてルイズを抱き締める。


「暖かくなった?」

「…ちょっとは」

「そっか」

「うん」


 俺はルイズの後頭部を右手で撫でながら、ルイズの体温を楽しんだ。
 頭が乗ってなくて右腕の感覚が麻痺してなかったらもっと髪の感触を感じられるのにな…
 そんな事を考えながらふとルイズを見ると、ルイズもこちらを見ていた。


「あ…」


 目線が重なる。
 先に目を外したのはルイズだった。
 目を閉じて、唇を突き出す。
 さっきの"おねだり契約"と同じだ。
 ちょっと悪戯心が沸いた俺は、キスをしながらルイズのシルクのような背中に指を這わせる。

「んっ…んんっ!」


 ばたばたと腕の中でルイズが暴れるが、右腕で頭部をガッチリ固定してるので逃げられない。

 背中を腰から首筋までなぞってみたり。

「んむっ!」

 両手で求めるように頭を撫で回したり。

「む”ぅっ!」

 顎や鎖骨、首筋に指を這わしてみたりした。


「んっんっ…」

 最初はぽかぽかと力なく俺を叩いていたルイズだったけど、いつしか俺の首に両手を回し、ルイズから唇を求めるようになってきた。

 そろそろ頃合かなと思い左手を少しづつ下げていくが、腰辺りでルイズに気付かれてしまった。


「ぷはっ!そこまでは許してなっうむっ!」


 とりあえず舌を口の中に入れて無理やり黙らせる。
 そして俺の指先がルイズの泉に辿り着くと、そこにはヌメリと


























 省略されました。
 全てを読むにはワッフルワッフルと書き込んでください



 *     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。     +    。     *     。
      +    。  |  |
   *     +   / /   イヤッッホォォォオオォオウ!
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +    。   *     。
      ,-     f
      / ュヘ    | *   。 +
     〈_} )   |      次スレも…VIPクオリティ!!
        /    ! +     *http://ex10.2ch.net/news4vip/
       ./  ,ヘ  |
 ガタン ||| j  / |  | |||
――――――――――――  

















     ∧_∧
     (・∀・` ) ワッフルワッフル
   _| ̄ ̄||_)_
 /旦|――||// /|
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| . |
 |_____|三|/

     ∧_∧
     (´・∀・`)
   _| ̄ ̄||_)_
 /旦|――||// /|
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| . |
 |_____|三|/

     ∧_∧
     (・∀・` ) ワッフルワッフル
   _| ̄ ̄||_)_
 /旦|――||// /|
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| . |
 |_____|三|/


正直、わっふるがしたいだけだった。



[6951] 【ツルペタロマン派vs】>>1がハルケギニアで手柄を立てるようです 3スレ目【モサモサ原理主義】
Name: shibamura◆f250e2d7 ID:d801e7ad
Date: 2009/03/12 00:03
「これで終わりじゃないゾイ、もうちょっとだけ続くんじゃ」

夢の中で亀仙人g(ry





「……ふぅ」

 人は何故、争いをやめることが出来ないのだろう。

ガチャリ

 そんな事を考えながら、俺はルイズの部屋に戻った。

【ツルペタロマン派vs】>>1がハルケギニアで手柄を立てるようです 3スレ目【モサモサ原理主義】



「遅いわよ」

「いや…ごめん」

 ルイズに"ベッドに入れ"と命じられた俺は、とりあえず持て余した性欲を開放すべく少々時間を貰い……その、息子を叱咤激励して来た。
 チキュウの男にのみ伝わる精神安定の魔法、俗に言う"スーパー賢者タイム"である。
 今回は頑張ったので5分で詠唱を終わらせたんだが…果たしてそれはルイズには随分長く感じられたようだ。
 何?手を出すと思った?
 馬鹿だなぁ、あんな無理矢理展開あるわけないじゃないかjk。
 それこそ妄想でもない限り…ねぇ?

「寝る前は見回りをしないと眠れないんだ…多分このルーンが刻まれたせいだと思うけど」

「ならしょうがないけど…しょうがなくないけど…」

「それじゃ、失礼するよ」


 とりあえずなし崩し的にルイズのせいにした上に今後の詠唱時間を確保しつつ、俺はベッドに入り腕枕をして寝る。
 自分以外の体温のヌクモリティを感じながら、直ぐに意識は睡魔の沼の底に沈み、その日は非常によく眠れた。

「何よ…ちょっとくらい手出しなさいよ、バカ」

 非常に残念ながらその言葉は、俺の耳には届かないのであった。


-翌日-

「はいこれ」

「あ…ありがとう」


 ここ食堂で、ちょっとした珍事が起きていた。
 なんとルイズが自分の分の食事を皿にとって別けてくれたのである。
 まぁ自分の分と言っても個別に出てくるのはスープくらいで、他は大皿から自分で取るのだが。
 兎に角助かる。味はまぁ食えればなんでもいいとしても、肉と野菜は最低限取りたい。

「どう?」

「美味しいよ、昨日のとはダンチだ」

「そう」

 ぷいっとそっけなくしているが、どことなくルイズは嬉しそうだ。
 ま、施しを喜ばれれば悪い気はしないか。
 魔法学園は今日も平和である。

 ここで俺の一日を紹介しよう。

 朝、ルイズが起きないように腕をそっと引き抜き、3分ほど痺れと無言の格闘をする。
 ようやく腕に違和感が無くなったらルイズの寝顔で"萌え"を補給。
 ちなみに補給中は左手のルーンが淡く光る事を初めて腕枕をした翌日の朝に発見した。
 どうも俺の中の特性が一番高いのがガンダールヴらしい。
 他の印はオリジナルを超えているのか、下回るのかは不明。
 多分多少劣るんじゃないかなと思う。くらべようがないからわからないけど。
 髪を撫でたりほっぺたをふにふにしてひとしきり萌えを補給したら、水を汲みに行く。
 コップに水を入れて起こしたルイズに飲ませてやり、ルイズが着替えている間(2日目以降は自分で着替えるようになった)にタオルをバケツでざぶざぶといじる。
 このタオルはルイズの顔を拭くためのタオルなので濡らして絞ればいいんだけど、それだけだとまぁルイズの着替えが間に合わないわけで、いいわよと言われるまでバケツでタオルを弄る事にしたのだ。
 正直冷たいが、仕方ない。
 着替えがおわったルイズの顔を拭いてやり、朝食を床で食べる。
 基本的にはルイズが渡してきたのを食べるだけでおかわりは請求しないので、足りなかったら追加で厨房に遊びに行く。
 授業中は興味がある授業はルイズと共に受け(もちろん床で)、興味がなければ「掃除とかしてくる」という事にして手早く終わらせて他の使い魔達と談笑したり。
 特にシルフィールドとはよく話す。
 なんせきゅいきゅい言うだけで俺が理解するもんだから、普段話せない鬱憤をぶつけるように喋り捲るのだ。
 夜はさっそく作った露天風呂を沸かし、お湯で先に洗濯を済ませてから火の傍で干しつつ風呂。
 ちなみにスノコや小屋の骨組みを木で作って布をかけてある。
 温泉っぽい感じだ。
 ナベは料理長のマルトー氏からのプレゼントなので、使い方を話していつでも使ってくれと行ってある。
 翌日には古いナベがもう2つ軒先に転がってたが…増やすつもりだろうか。

 そして夜はG行為を行ってからルイズに腕枕をしつつ寝る。
 いやはや、なんとも平和である。
 俺がG行為に使った右腕でルイズが寝ていると思うとまたちょっとおっきしそうになったりするのが問題と言えば問題だが、概ね平和である。
 レコンキスタとか死ねばいいのに。

-ルイズ-

「なっ、テメェ!ガンダールヴかと思ったらドスペラードじゃねぇか!やめろ!放せ!コイツにだけは買われたくねぇ!」

 初めて見た。買われるのを拒否する剣なんて。
 や、インテリジェンスソードも見たのは初めてだけど。

「まぁまぁ、そうツンケンすんなって。武器屋の一本幾らのタルに放り込まれてるよりマシだろ?」

「タルの中の方がマシだ!」

「ま、いいんだけどな。無理矢理連れてくから」


 そう言ってサイトは騒ぐ剣をパチンと鞘に仕舞ってしまった。
 とたんにピタリと声が止むけど、カタカタと鞘が震えてるって事は多分中でも騒いでるんだろう。

「剣士様、本当にコイツをお買い上げで?」

「うん、あと短刀を2本と投げナイフ。それとセスタスある?出来れば鉄板のガードが付いたのがいいんだけど」

「へい!今いくつかみつくろいますんで!少々お待ちを!」

 サイトがいくつか注文をつけると、ヘコヘコと店主は店の奥に引っ込んでいった。
 どうも最初はぼったくろうとしたみたいだけど、サイトが斧の試し切り用のおっきい木の塊を片手剣でスライスしたら急に親切になってしまった。
 私も主として鼻が高いんだけど…セスタスって何?

「ねぇねぇサイト、セスタスって何?」

「んー、早い話"殴る"ための武器かな。皮紐を腕にグルグル巻きにしてパンチの威力を上げるんだけど、拳にトゲを付けたり甲とか手首に鉄板付けて刃物をガードしたりできるんだよ」

 また平民らしいというか原始的な…

「…何に使うの、それ」

「いや、ルーン隠しにもなるし左手にいつも付けてようかな、と。アレならつけたまま剣持てるし」

「まぁ、サイトが必要って言うなら構わないわ。どうせ安い武器なんでしょ?」


 とにかく、サイトの欲しがる武器は安かった。
 私としては見栄えのいい剣がいいと思ったんだけど、サイトが「飾り用と斬る用は別」と言うので大人しく従う事にした。
 私武器の事知らないし。
 その位は、信用してやってもいいかなと思う。

「なぁルイズ、こっちとこっちどっちがいいと思う?」


 なにやら50サントくらいの長さの短剣を両手に持って嬉しそうにしてるけど…
 わかるわけ無いじゃない、バカ。
 ちょっとだけ女の買い物に付き合わされる男の気持ちがわかった気がするわ。
 ま、当然私の買い物には付き合わせるけどね。当たり前じゃない。私の騎士なんだから。


-サイト-


「なぁ、いい加減機嫌直せよ」

「いーや!やだね!お前もどうせその内パンツを盗んで回るように…うべらっ」

 なんか危険な事を言いかけてたのでバチンッと鞘に突っ込みなおす。
 どうもデルフリンガーは俺の事が御気に召さないようだ。
 …原因はなんとなく想像つくけど。

「なぁ…そんなに川の底に沈みたいのか?それとも海がいいか?1万年くらい。それとも火山の火口の温泉にでも漬かってくるか?1億年くらい」

 カタカタと震えるデルフリンガーを、もう一度鞘から引き抜く。

「しょうがねぇな…俺の事は"デルフ"と呼びな、相棒」

「サンキューデルフ、所でなんでお前そんなに俺の事嫌うのよ」

「だってお前ドスペラードだろ…ドスペラードつったら能力を使う度に女を泣かせなきゃ戦えねぇとかよ…俺の最初の娘っこが何度アイツに泣かされた事か」

「あぁ…やっぱり」

「だろ?」

「まぁでも今は萌えの補給方法は幾らでもあるから、そうそう簡単にはそうならないと思うぜ?」

「ホントか?」

「まぁな」


 萌え大国ジャパンを舐めちゃあかんぜよ。
 とりあえず俺はデルフを始めに、買った武器を振り回したり投げナイフを投げたりしてみる。

 ま、悪くないかな?

 んでフーケさんのご登場である。
 いつものアレなので割愛。俺は黙って見てた。
 ちなみに俺の様子を覗きに来たキュルケと巻き込まれたタバサも明日呼び出される。
 ま、いつもの事ッスよね。

「あぁそうだ、フーケの事で今まで忘れてたんですけど気付いた事が」

「何かね?」

学院長室から追撃メンバーとオスマン、コルベール以外が退室したタイミングで、俺は声を上げた。

「ミス・ロングヒル」

「はい?」

 首を傾げるロングヒルことフーケに近づき、相手にしか聞こえない程度の声で俺は呟く。
 ちなみに両手にはセスタスが既に装備済みだ。
 邪鬼眼ぽくて非常に楽しい。

「(ボソボソ)オスマンにバレてる…合図したら逃げろ」

「はい?」

 トン、と素早くフーケの首筋を手刀で叩く。
 ほんとに軽く当てただけなので痛くも痒くも無い筈だけど、3秒程して納得したのかフーケはコッチに倒れてきた。

「サイト君!何をしてるのかね!」

 予想してたけどコルベール先生がキレた。
 でも想定の範囲内なので無視する。
 フーケをうつ伏せに寝かせ、こっそり彼女の懐にあった杖を手首付近に移動させてやってから俺はオスマン氏に振り返った。

「オスマンさん…如何に緩みきった学院に活を入れるためとはいえ、秘書にフーケを雇うのは些か過激過ぎじゃないですか?」

「うむぅ?」

「それに…」

 オスマン氏が「なんぞ?」と首をかしげた瞬間、俺は目線をルイズに移す。
 注目を集めてる俺がルイズを見たもんで、全員の視線がルイズに向かう―――――

 瞬間


 トン

 俺は足の先で小さく地面を叩く。

 起き上がるフーケ、振られる杖、既に完成していた呪文は壁を軟化させ、土くれのフーケは3階から見事脱出したのであった。


「追撃の許可を」

「行くわよっ!」


 場合によっちゃ一人で追っかけるのもやむなしと思ってたけどルイズ的にはパーティで行くらしい。
 とりあえず俺達はあからさまな侮蔑の視線をオスマンとコルベールに投げつけ、盛大なため息を置き土産に部屋を後にしたのだった。


 ちなみに俺のドスペラードには一つ大きな欠点がある。
 人間一人から引き出すには余りに過ぎた力を捻出するだめ、憑依者の精神に多大な不可を掛けるのだ。
 そして精神はそのストレスを回避すべく自身を変化させる。
 だがその変化が本人にとっていい結果を齎すかとなるとまた別だ。
 最終的に、この反動は当人の"ある病症"を致命的なまでに悪化させる。
 進行が進めば、日常生活にも影響が出るだろう。


 その病の名は


 "厨二病"という。




-キュルケ-

 ミス・ロングヒル、もといフーケが事前に齎した場所へ、私達は馬車で向かっている。
 でも本当にいるのかしら?
 ダーリンは何か確信してるみたいだけど。

「ねぇダーリン、フーケは本当にさっき言ってた場所に居ると思う?」

「居る」

 胸を押し付けながらそう尋ねてみたけど、彼は全く動揺しないでサラリと答えて見せた。
 私の体に無反応なのは頂けないけど、何を根拠にそう断言できるのか、私は気になってしまった。

「何で?」

「これで逃げる位なら最初から呼ばないからな。…どっちかっていうと理由の方が問題だ」

「理由?」

 それはつまり、何故フーケが自身を追撃するように誘導しようとした事だろうか?

「とりあえず思いつくのは3つ。1.単純に破壊の杖をメイジに対して試してみたい。2.破壊の杖の使い方が解らなかったので学園内の知ってそうな実力者が少数精鋭で来るのを待ってる。それとも…」

「それとも?」

「追撃に来るだろう人間に…恨みがある、かな。この場合俺はその条件を満たしちまうんだけど」

「でもダーリンが恨みを買ったのはフーケが破壊の杖の場所を言った後よね?」

「そうだといいんだけどなぁ…」

 大丈夫よ、私が守ってあげるから。
 どこか遠くを見ている彼の横顔を見たら、その言葉は何故か口から出てこなかった。



-ルイズ-

 逃げない。

 私は逃げない。
 例え相手がトライアングルクラスだとしても、スクエアクラスだとしても。

 私は逃げない。

 例え相手が、30メイルのゴーレムだろうとも。
 私は逃げない。

 名誉とか、国とか、貴族とか、誇りとか。
 そんな物なんて最早私にとってはどうでもいいんだから。
 だってそうでしょう?

 未だ胸に鳴り響くそれよりも、尚大きな声が私の奥底から響くのだから。


 "私の騎士の前で、格好悪い姿は見せられない"と。


 私は素直にその声に従い、スペルを唱える。
 目の前にはもう、ゴーレムの足。
 例え私の魔法が万に一つ成功したとしても、トライアングルのキュルケやタバサでも駄目だったのだ。
 倒せるとは思えない。
 でもそれでいい。
 私は最後の瞬間、胸を張らなければならないのだから。

 他の誰でもない、私の騎士に対して。

「ディ・ヴムー・スティン…ファイヤーボール!」


 ボン

 私の魔法は必然の様に爆発し、当然の様にゴーレムを倒す事は適わない。
 ゴーレムの足の裏が私の視界を覆う。
 それでも構わない。
 私は最後の瞬間彼の前で、私で居られたのだ。

ズン…

 でも予想していた衝撃は、目の前からではなく…

ドシャァッ

「何ボサッとしてんだよ、ルイズ」

 横から来た。
 ゴーレムの一撃が私を襲う直前、サイトが私に飛び掛ってくれたのだ。
 何か声を掛ける時間も私には与えられず、サイトは私を抱えて走り出す。

「ルイズを頼む、あとそれ貰うぜ」

 そう言い残して私をタバサの風竜に預け、事もあろうか破壊の杖を持って振り返ったのだ。
 彼の俊足で距離を取ったため、ゴーレムまではまだいくらかの距離があるにしても…
 杖一本でどうになかるとは思えなかった。
 それにそもそも彼は、メイジではない。


 私と同じなのだろうか。
 彼も私と同じなのだろうか。
 勝てぬと解っていても引けない何かがあるのだろうか。

 一瞬だけサイトはこちらを振り向き、獰猛な笑みを浮かべた。

 違う。
 アイツは違う。
 勝てなくても立ち向かうんじゃない。

 サイトは"勝つ"つもりだ。


「クロスターゲットスコープオープン!」

 サイトの声で、破壊の杖から四角い板が飛び出す。
 それはまるで、破壊の杖が彼を主だと認めたかのように見えた。



-サイト-

「You lose big guy」

 ドンッ

 バイオ2のクレア裏だったか表だったか。
 ロケランを使うならあの台詞を使わねばなるまい。
 十分に引き付けてから直接標準余裕でした。
 あんだけデカけりゃね…

 俺は最早唯の筒になったロケランをカランと地面に捨て、ルイズ達と合流する。
 ゴーレムを倒した今、脅威は去ったと言えるだろう。
 一言二言彼女達と会話をした所で――――

「おっと、動くんじゃないよ」

 フーケ本人が出てくるんだから。
 なんか杖の秘密がどうとか色々言ってるけど知ってるし興味もないのでさっさと捕縛する事にした。


「動くんじゃないよ!クロ・ス・ターゲ・ト・オー・プン!」

 しかしなにもおこらなかった!
 当たり前だ、その折りたたみ照準機は言葉じゃなくてスイッチで動作するんだから。
 しかしそれを知らないフーケは焦る。


「な、何で――――」

「その杖はな、持ち主を自分で選ぶんだよ」

「チィッ、私としたことがっ――――」

「状況終了…っと」

 ルーンを発動し、フーケを殴り倒して捕縛する。
 大盗賊にしてはあっけないと言えばあまりにあっけない幕切れだった。


-馬車内-

 お供に来るメイドなんて居なかったんで、馬車の御者はキュルケとタバサがやっている。
 乗馬しかしてないのかとおもったら"貴族のたしなみ"だそうだ。
 いや、貴族は普通御者しねぇだろと思ったけど、タバサはアレがある関係で覚えたんだろう。キュルケもそのついでに違いない。
 シルフィと契約したのも俺と同時期の筈だしな。

 ルイズも今はフーケの仲間が来ないかの警戒を兼ねて外側の御者の座る場所に居てもらっている。
 俺はフーケの見張りだ。
 伝えたい事もあったし。

「ったく、だから逃げろつったのに…大きな声出すなよ?」

 もうこれでもかという真っ赤な嘘の前置きをしてからフーケに近付く。
 猿轡を外しても問題なかろう。
 両手両足縛って杖も没収してるしね。

「ヤキが回ったもんだね私も。まさかこんなガキに捕まるとは」

「まぁまぁ、それよりちょっと話を聞いてくれません?」



 学院までの距離は、まだ地味に遠い。



-某所-

 その部屋は薄暗かった。
 窓はあるので地下ではない。
 しかしそれらは全て厚いカーテンに覆われ、日の光が室内に進入する事は無かった。

 部屋の中には火の付いた蝋燭が数本。
 テーブルには2人の男。

「さて」

 壁には一枚の紙が、大きく貼り付けられていた。
 蝋燭の揺れる光により、まるでゆらゆらと風になびいているような錯覚を受けるが、勿論室内に風はない。

「始めようか」


 紙にはこう書いてあった。





”第一回ルイズはインゲモサモサか会議
          -朝まで徹底討論-
 ツルペタロマン派ヒラガ vs モサモサ原理主義者サイト”


 なんかもう。いろいろ台無しだった。



 ダンッ!

 男が机を叩いて立ち上がる。

「いいか!これは決まってる事なんだよ!ルイズはツルペタ!ぺたんこでありツルツル!これは宇宙の真理なんだ!誰にも曲げられない!俺にも!お前にも!悪魔でも!神でもだ!」

「ツルペタねぇ」


 しかし受ける男も、余裕を崩さない。


「お前にだってわかるだろう!一点の穢れなき乙女の証!ツルペタフニフニなんだよ!顔を埋めたら良い匂いがするのは当たり前で、じょりじょりなんてのはありえないんだ!」


 尚もほえ続ける男、ヒラガに対し…サイトはどこか冷めた目でそれを流すだけだった。


「妹萌え、貧乳教、そしてツルペタ…何も変わって無い。いや、6年前から何一つ成長していないんだな…ヒラガ、お前は」

「何だとサイト!」

「そんなにステレオタイプの萌えが好きか?極端なのがいいか?お前は6年掛けて…少女嗜好とは何なのかすら理解できなかったのか?」

「何が言いたい…」


 歯をギシリと食いしばるヒラガに対し、サイトは余裕の表情で話しを始める。


「基本的に男という生物は、自分で腹を痛めないために子供に対して愛情に欠けると言われている。自分に自信が無い人間にその傾向は強く、男はより清楚な…存在を求めるようになる」


 そう言うとサイトは立ち上がり、ゆっくりと部屋の中を歩き始めた。
 まるで自分の思考の迷路を歩くかのように。


「つまるところそれは究極として処女信仰へと…さらに言えば"まだ常識的に純潔であるだろう年齢"への嗜好へ時代と共に変化した。それが少女嗜好の根源と言われているが…お前はそれでいいのか?」

「悪いか」

「悪いとは言わない。ただそれで満足すべきか?という話さ。他人に与えられた価値観で、ただ極端性を求めて有り難がるステレオタイプそれがお前だ。探そうって気は無いのか?自分の萌を」

「自分の…萌え…」


 そこでサイトは歩みを止めると、両手を広げ天上…もとい天井に向かって宣言するかのように吐き出した。


「ルイズがツルツルでフニフニ?舐める時にジョリジョリなんて嫌だ?そんな物になんの価値がある?

 むしろウブ毛と本格的な毛の中間という刹那的な美に何故目を向けられない?

 そうだ、まだ生え揃っていないから手入れもしておらず、また太さも中途半端なのでストレートではなくちょっとチリチリ。

 このリアリティの前にはツルツルなぞ…モームスは全員処女等と抜かすアホと何もかわらん」


「でもそれじゃじょりじょりが…」





「愛があれば…




 剃る楽しみがあるだろう?




「て…剃毛(テイモウ)プレイ…だと?!」


 ざわ…ざわ…


「それは…オプションで…」


「そうだ、ローションプレイもセットになる



「ヌルヌルだと?!そんな…いやまさか…しかし…そうか!そうだったのか!……俺が……間違って…いたのか」

「解ってくれたか」


 ヒラガとサイトは互いに手を取り、互いの健闘を称えた。




ジリリリリン


「む?」


 しかしそんな和気藹々とした空気を引き裂くベルの音。
 テーブルの中央に置かれた電話からだ。


「もしもし、ヒラガだが」







「ねぇ、私ルイズ。今アナタの家の近くにいるの」





「「ヒ、ヒィィィイイイイイ!!!!!!!!!」」



「何で!何で今この場所にアイツから?つけられたのか?」

「今それを話してる場合じゃ…とにかく1メイルでも遠くへ…」


ジリリリリン


「出るな!絶対出るなよ!」


ジリリリリン…ピッ






『ねぇ、私ルイズ。今アナタの部屋の前にいるの』




「うわぁぁあ勝手にスピーカーになってるぅぅぅうううううう」

「窓だ!逃げるぞ!」




「撃滅のぉ…エクスプロージョン!!」










 世界は、核の炎に包まれた。



 -完-





駆け足で書いたんで結構中身適当。

というか自分で何を書いてるのかよくわからなくなってきた。
俺はもうダメかもしれん。



[6951] 【アルビオンで】>>1がハルケギニアでまたしても放送コードにひっかかるようです 4スレ目【僕と握手】
Name: shibamura◆f250e2d7 ID:d801e7ad
Date: 2009/07/28 00:29
最近のゼロ魔板の名作ぶりを見て

「何だよ何だよお前らオモシレーSSばっか書きやがって。しっかたねぇなぁじゃあ生きる価値の無いミジンコ以下の俺様がちょっと駄作分を補充してやるしかねぇじゃねぇか」

と一念発起して久しぶりに更新。


※駄作分
 養分、塩分、糖分等と同じ必要とされる要素、もしくはそれ以外の何か。
 適度にあると相対的に名作がより輝いて見える。
 また無くても問題無い。



亀s(ry「まだ終わりじゃないゾイ、もうちょっとだk(ry」








「ヴァリエール嬢のおな~り~」

 ざわつく舞踏会場。
 誰もがヴァリエール家の三女の美しさを再認識する夜。
 そんな夜に両の手に大きな取り皿を乗せて会場の隅で活動をする男が一人。
 …いや、女も入れれば二人。

「ったく料理つっても肉かサラダか酒ばっかじゃねぇか…肉つったら米だろJK(女子高生って可愛いよね。の略)…ん?あのバスケットは…パンか…そうか!そうなると話は違ってくるぞ…此処にある全ての料理がオカズとして立ち上がって来る…そうだな、ここはローストビーフで決めよう。ソースの味って男のコだよな…むむ、ステーキとローストビーフで牛が被ってしまった。成る程、このテーブルはローストだけで十分なんだな…どう思うタバサ?」

「ハシバミ草…」

「ハシバミ草!成る程、そういうのもあるのか」

「ある」


 なんかもう、ダメダメだった。

 ハシバミ草の味はだいたいゴーヤとイコールくらいだった。見た目は春菊に似てなくもない。
 単品じゃだめだけど肉と一緒にいくか卵でとじればイケル感じだ。

「じゃあ俺は外で食ってくるから」

「行ってらっしゃい」

 僅かな時間で戦友と書いてトモと呼べるような間柄になった俺達には、余計な気の使い方は必要ない。
 タバサはまだあの戦場(食事コーナー)に立つのだろう。
 彼女の満腹中枢が満足するまでは…


 大きいトレイに料理の皿と水を注いだグラスを乗せてバルコニーへ。
 頬を撫ぜる夜風は涼しく、体に纏わり付いた嫌に上品な熱気を洗い流してくれるようだ。

「よう相棒、戦果はどうだったよ」

 俺に声を掛けたのは、先に場所を確保するために置いておいたデルフだ。
 まぁ社交会場のバルコニーっつったら逢引のメッカだからな。
 せっかく料理を持ってきたのにおアツい二人に場所をとられていたなんてたまらない。

「上々」

 俺はトレイをちょっと持ち上げて、デルフに返事を返す。
 そんなに広いバルコニーでもないので本来は何も無い場所なんだが、小さいテーブルと椅子を二つ用意しておいた。

「しっかし相棒は何で中で食わねぇのよ?どっちかっつーと騒がしい方が好きなタイプだろ?」

「いや…メシを食う時はこの位がいいんだよ」

「何で」

「男が物を食べる時はな、誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃダメなんだ。独りで…静かで…豊かで…」

「俺は?」

「賑やかなのと騒がしいのは別さ」

「褒められてんのかねぇ、それって」


 持って来た料理はどれも俺が最高のを用意したつもりだ。
 大皿の端から食うなんて事はしない、皿の中でももっとも脂が乗っていて、味が染みている部分、肉の塊だったらもっとも旨そうな部分、大きい塊、見栄えのいい果物やデザート、すべて吟味して持ってきた。
 他の貴族?シラネ。
 こういう時は如何に貪欲になるかが重要だと思うんだよ俺は。

 俺は二人分のグラスに水を注ぎ、持って来た取り皿の横にフォークとナイフを並べ始める。
 もちろんテーブルにはテーブルクロスも掛かってるんだぜ。

「あっきれた、中に居ないと思ったら」

「お待ちしておりました、我が主」

 さて、主賓の登場だ。

 独り静かで…って言葉は何処に行った?なんて聞いてはいけない。
 なぜなら女は、男のロマンに優先するからだ。




-ルイズ-

 今まで私を馬鹿にしてた人達が私をダンスに誘う。
 使い魔を召還し"土くれ"を捕縛した私は、今までとの自己に対する扱いの違いに戸惑っていた。
 …というか、正直気持ち悪かった。

 思い出せば入学当初にもこんな事があった。
 "ヴァリエール家"という灯りに引き寄せられた虫。
 それは余りに吐き気を催す程に甘く、眩暈がする程にドロドロするような、水面下での権力争い。
 やれ誰々と会話しただの、誰々と食事しただの…
 まだ今よりも生徒の脳に家柄が強く残っていたあの時期、春を迎えると毎年学園を覆う瘴気。
 ウンザリするようなその瘴気は、私が男を誰も相手にしなかった事、ゼロである事で比較的早く消えた。
 その代わりに、私にゼロという名の傷を残して。
 もし私がもっと下級貴族だったら。
 家柄もせいぜいがラインクラスしか輩出していない貴族なら、鼻で笑われて終わった筈だ。
 それが"ヴァリエール"という看板を背負ってしまったがために、その看板に触れる事の適わなかった男からの反動は辛かった。
 正直言って限界だった。
 一年間なんとか気力だけで過し…あの日、あの使い魔召還の儀でも失敗したら、私は学園を中退し教会に出家しよう。そこまで思っていた。

 そして私が召還した使い魔はそんな状態から私を一日で救い出してくれて…もっと高い場所へ、私が最初に居た場所まで戻してくれた。


 戻してくれた―――――けど。

 楽しくない。

 この手の平を簡単に返す貴族達に囲まれて、何が楽しいというのだろう。
 薄っぺらい賞賛の言葉も、ダンスや食事の誘いも、私に取っては全て等しく価値の無いものだった。

 "会いたい"

 だから私は探す、私の使い魔を。
 しかし見つからない、私はそんなに背が高くないし、誰かに聞いても"後で探しに行こう、今は踊ってくれないか?"なんて言い出す始末。
 会場の給仕は忙しそうだから例え尋ねても知りはしないだろう。
 結局、私は一人でサイトを探すハメになった。

「…私に探させるなんていい度胸じゃない。後で蹴りね」

「サイトはバルコニーに居る」

「え?タバサ?」

 突然の後ろからの声に振り向けば、そこにはどこか満足した表情で遠くを見つめるタバサの姿があった。
 何故かお腹がぽっこりと膨れているのはスルーした。レディには触れぬ高貴さも必要だ。

「バルコニーに居る」

「わかったわ、ありがとう」

 何故タバサがサイトの居場所を知っているのかは気になったけど、それはあとに置いておく事にした。
 一口にバルコニーといっても、この広い会場にはバルコニーがいくつもある。
 間隔はそんなに広くはないけれど、人が多いし話しかけてくるヤツも居る。
 カーテンを捲れば逢引しているクラスメイトを見つけ、次に移ろうとすればダンスに誘われる。

「あっきれた、中に居ないと思ったら」

 そしてようやく確かめたバルコニーが半分に届こうとした時、私はついにサイトを見つけた。

「お待ちしておりました、我が主」

 方膝を着いて頭を垂れるサイトの横を見れば、二人分の食事を用意したテーブルが見える。
 きっと私と食べるために用意してくれたんだろう。
 この舞踏会場内で私がどういう目に合って何を考えているのか、この使い魔はきちんとわかってるみたいだった。
 何より誰より望むもの、私を理解して肯定してくれる存在。
 誰より頼れる私の騎士。
 私だけの騎士。
 だからちょっとだけ、彼の"ごっこ遊び"にも付き合ってあげよう。

「そんな所に座ってないで、椅子を引いてくれないかしら?私の騎士」

「喜んで、我が主」

 私達は椅子に座ってサイトが用意した料理を食べる。
 見ると彼の皿は肉が多く、私の皿にはデザートが多いいようだ。
 私達は"ごっこ遊びをやめて"食事をしながら、サイトが元居た世界の話や食べ物の話、そしてサイトのルーンの話をした。

「そういえば…知ってるか?」

 そう言って左手のルーンを見せながら彼は微笑む。
 その目は"使い魔のルーン"という答えを求めて居ない事、そしてその答えを彼が持ってる事を物語っていた。

「私なりに調べてみたけど…わからないわ」

 知らない事を知っていると騙るようなプライドは持ち合わせていない。
 彼はその事に満足したように頷き、私にそっと教えてくれた。

「始祖ブリミルの使い魔も…人型だったらしいよ」

「じゃあ、私は伝説の魔法使いね」

「そして俺は、その伝説の魔法使いの騎士さ」

「それならフーケくらい簡単に倒せるわよね……フフッ」

「そりゃそうだ……ハハハハハッ」


 彼の言った事が本当だろうが、そうでなかろうが、その時の私には何も関係が無かった。
 きっと嘘は言ってないのだろうけど、実感もわかない。
 ただ、楽しかった。
 小さい子供同士が秘密を共有しあって喜ぶような、そんな小さな楽しさだけが、そこにあった。







-幕間、もしくはCM、または展開予告。厨二病的プロローグのようなもの-


 降りしきる雨の中、その雨の激しさとは対照的に時が止まったかのように静止する影。


 その幾つかの影の中に、剣で結ばれた影が一組。



 キャストは交代し、演目は変更され、結果は捻じ曲げられてしまった。


 雨は剣を伝い、流れる。

 その色は透明ではなく、マーブリングのような模様を絶えず変化させながら、流れる。

 かの色は赤。

 二人は刃で結ばれてしまった。


 何故、こうなってしまったのか。
 いつ、ボタンを掛け違えてしまったのか。

 この瞬間になっても、"彼"は解らないで居た。



 でもそれは、まだ少し、ほんの少し、先の話。




 はいはいその前に打ち切りその前に打ち切り。











 神様神様、もうデウスでもゴッドでもアッラーでもヤハウェでも仏でもブリミルでもいいんで神様!!質問があります。

 俺はまさに天に祈っていた。割とマジで。


-何でしょう、HENTAI騎士サイトよ-



 Oh MY GOD.
 愛してるぜ。返事があった。

 まぁいい。
 何せ俺は伝説なんだ、神と会話が出来たっておかしくないのさ。

 え?ブリミルの使い魔だからブリミルと会話出来てもおかしくないとか無茶設定だって?


 何言ってんの?


 俺の伝説はな、そんなちっぽけなモノじゃないんだよ。

 どれだけの想いが俺の肩に乗ってると思ってるんだい?


 俺はな?










 1000GETされて二次元に来た男だぜ?





【アルビオンで】>>1がハルケギニアでまたしても放送コードにひっかかるようです【僕と握手】





-どうしました生きる価値の無いゴミクズからHENTAI騎士にジョブチェンジした迷える子羊サイトよ-


 扱い悪化してる?!
 いや、そんな事より…

 神よ!答えてくれ!
 俺は……その………

-煮え切りませんね。しかし人は悩み、選択し生きていく生物です。大いに悩みなさい。では-


 あ、まってー!行かないでー!言うから!超言うから!!


-何でしょう?-


 つまり……その、ルイズの事なんだけど。


-あぁ、アナタの右腕を枕にして今眠っている少女の事ですね?-


 うん、具体的な説明ありがとう。
 どっからか嫌な視線を感じるよ。
 そうなんだ、質問ってにはルイズの事なんだよ。


-残念ながら例え私と言えども彼女が自慰行為経験者かどうか、また普段していた場合はどういったシチュエーションで妄想、もとい空想して行為に耽っているか、もしくはその現場ないし脳内の映像を見せる事など到底できる事ではありません。せかいのほうそくがみだれます-


 聞いてないよ!聞いてないからそんな事!!聞きたいけどね!すごく見たいけどね!!
 やっぱ最後は「んっ」とか言いながら枕とかぎゅって左手で握っちゃったりするのかな!!ねぇ神様!!
 当然枕もシーツもタオルケットも全部純白だよね!それ以外認めないからね!!
 あの小さい杖を使うんですよね!!パンツは脱がずに!!パンツのうえかr(ゴスッ)イテェ!!どっからともなく後頭部に痛みが!!
 あぁっ!またどっからか痛い視線がっ視線ビームが痛いよ神様!!
 でもそのパンツ欲しいです!!


-じゃあ何が聞きたいのです?-



 いや、ルイズの事なんだけど……つまり何て言えばいいのかな、端的に言うと……











 "美味しく頂いちゃってもいいんでしょうか?"神様。



-貴方はまた非常に危険な事を問うのですね-



 人を物扱いするのは好きじゃないんだけどさ、ルイズはやっぱ世界遺産だと思うんだよ。
 俺一人が手を出すなんてマネしちゃマズイんじゃないかい?


-貴方は根本的な勘違いをしています-


 なんだって?!神よ!!俺が間違っているって言うのか?


-貴方が手を出すのではなく、貴方しか手を出せないのです-


 成る程、つまりこういう事かい?
 "俺は地球の全L型釘宮病患者に代表して、ルイズにルパンダイブしなければならない"


-そうとも言えますね。それに-


 なんだい?神様。


-立ち入り禁止で、この世の誰一人として足を踏み入れた事の無い雪原があったとしましょう-


 ふむふむ。


-その中に一人飛び込んで足跡を残したり転げまわったりしたら、さぞ気持ちいいでしょうね-


 な、なんだって!?
 そいつはスゴイや神様!!
 ルイズの純潔を雪に例えるなんてアンタ最高のロマンチストだよ!!
 俺もう迷わない!!ありがとう神様!!


-ただあまりオイタが過ぎると敵性地球外起源種と戦っている並行世界の貴方が居る世界ごと因果律もといアルカディアから削除がががgggggザリザリザリザリツー、ツー、ツー、ツー……プツン-


 スネーク!!何があったんだい?!スネェェェェェェェクゥッ!!


 神は死んだ。








「ん?」

 ふと、目が覚めた。
 次の瞬間カッと目を開き、部屋の"明るさ"を確認する。
 ……何だ、まだ夜か。
 目覚まし無しで起きるとどうにも落ち着かない。
 っていうか目覚まし無いんだけどね。携帯もバッテリー上がったし。
 安心した俺は、目を閉じてポスリと枕に頭を戻した。

「ふぅ……(ビックリさせんなよ)」


 ついつい鼻でため息。

 ため息をするという事は、息を吐くという事。
 つまり次の瞬間、息を吸う。

 スン…

 鼻をくすぐる甘い香り。
 何だろうと目を再びあけると、ルイズの寝顔が正面にあった。

 ――――そういや向かい合って寝てたんだっけか。

 何度見ても寝顔の愛くるしさは衰えようが無いが、流石に慣れはしたのであたふたはしない。
 腕枕に使っていない左手でルイズの髪を一房掴み自分の鼻に押し付ける。

 そして目を閉じ思い切り吸う。

 まるで花束に顔を突っ込んだかのような芳醇な香り。
 いつまで嗅いでいても飽きなさそうだ。


「何やってんのよ」

「え?いや、うん。いい香りだなぁ…………と」

「シャンプーよ…貴族の女はみんなこんな匂い」

「違うさ」


 寝ぼけているのかは解らないが、まだ眠そうなルイズの顔を胸元にグイっと引き寄せる。


「もがっ…ちょっと、く、くるしいわよバカ」


 そんな声をスルーしつつ、ルイズの頭頂部に鼻を埋め、これまた盛大に息を吸い込む。


「きゃっ!何?何してるの?」


 初めての感覚に戸惑っているルイズを尻目に、気付いたら俺の魂は肉体から昇華しかかって居た。
 何この匂い。
 なんか脳内麻薬がドバドバ出てるような気がする。
 髪の房は純粋にいい匂いだったのだが、頭皮は少し汗の匂いも混ざっていた。
 そのリアル感がいい、というか自分と同じ次元にルイズが居ると感じられてすごい安心する。

 頭皮の汗臭さで安心する、HENTAI使い魔ドスペラードの面目躍如であった。
 この男ならルイズのヘソの匂いでも確実に興奮するだろう。というか絶対する。




 いい感じに下半身が第一種戦闘配備についてしまったので、腰を引いて"くの字"になってルイズを開放した。


「ちょっと!レディの頭を嗅ぐなんてどういうつもり?」

「いい匂いだよ、ルイズの匂い」

「聞けっ!」


 ドスッと耳心地の良い音が布団の中に響いた。
 ルイズの膝が理想的な角度でサイトの腹に決まったのだ。


「もう一回」

「ひゃうっ」


 ただ彼女に取って誤算だったのは、頭皮の匂いを嗅いだ瞬間サイトの左手のルーンが光り始め、蹴りが完全に無効化されてしまった事だ。
 布団でルーンの発光が見えなかったのが原因だった。

 そしてサイトが今度はルイズを"正面から抱き寄せた"
 "このままじゃキスしてしまう"というロマンチックな理由ではなく、単純に"このままじゃ顔がぶつかる"と思ったルイズは反射的に顔を起こしてしまう。

 そうなるとどうなるか。
 抱き寄せるサイト、近付く顔、すれ違う顔。

 今ルイズの顔は折り重なるようにサイトの顔の上にちょこんと乗っていた。
 頬同士が触れた瞬間に随分可愛い声を出してしまったルイズは、これ以上好きにさせるものかと口を強く塞ぐ。

 これが失敗だった。


 またサイトが鼻で息を大きく吸い込んだのだ。

 位置的には


















 ルイズの















 耳たぶの真横で。












「ひゃぅうんっ!だめっらめサイト!!ひゃっ…バカ!バカ犬!!んあっ…このっ…んっヘンタイ!!」


 ドストライクだった。
 サイトが吸えばそれこそ耳の周りの髪が空気で"持って行かれる"ような錯覚を感じ、サイトが吐けばそのまま耳をくすぐる。
 押しても引いてもアリな見事な一点二面攻撃だった。


 幾ら身じろぎしようにも脱出できない。
 というか体にまるで力が入っていない。
 足もぱたぱたと動かしていたが、ただ前後に動かしていただけだったのでいつの間にか足で絡め取られてしまった。
 空いている手、体の上側、つまり右手で殴ろうと振りかぶった瞬間手首をはしっと掴まれてしまう。


 ルイズはいつの間にか脱出できなくなっていた!!


 最近ルイズもこの男にも性欲がキチンとある事を……そして若干性癖に難がある事に気付いていたのだが、何の対策も取って居なかったのがこの瞬間バッチリ裏目に出た。
 この場合危険を知っていて放置していたので裏目どころか順当、と言うべきだろうが。
 それでもルイズは"一緒に眠りたい"と思ってしまったのである。
 寝たい、ではなく眠りたい、である部分にルイズの少女性が垣間見えるが、そんな甘ったるい子供向けの感傷をこの男に求めるのがそもそもの間違いである。

 何か反撃しなくては―――――

 なにせ今まで恋人など居なかったし、ワルドのおっさんと乳繰り合うなんて事も当然なかったのでルイズにこういう経験は皆無だ。
 有効な打開策を打ち出せないまま、間違った行為でドツボにはまり続けてしまう。

 この場合本気でルイズが脱出したかった場合、本気で嫌だという事を音声で表現すればよかった。
 そうすればこの男はすぐさまベッドから離れて土下座しただろう。
 最もそうなったら二度とこの男はルイズと同衾しなくなっただろうが。
 (因みに冷めた声で「アンタ何やってんの?」は逆効果である。やっぱりHENNTAIであった)


 そんなルイズの思いついた反撃は……


「はむっ」

「うぁっ!!そこっ…はっ!!」


 耳をやられたら耳をやりかえせ。


 サイトの耳に食いついたのだった。

 どうせなら食いちぎるくらいの気持ちで噛み付けばよかった物を、中途半端に噛んだためにその痛みは男に取って全て快楽に変換されてしまった。
 むしろ"そうか、それはアリなのか"とトンでも無い勘違いをされてしまったようだった。

 だからこれから起きることも、有る意味ルイズの自業自得と言えなくもなかった。
 一番悪いのはこのHENNTAIだが。


「あふっ…わかった?もうやめってやあぁぁぁあんっ!」


 サイトはぐいっとルイズの顔を引き剥がす。



 そしてお返し(この場合"仕返し"ではなく"中元返し"のような感謝の意味で)にとルイズの耳の穴に舌を突っ込んだのだった。

 こうなるともう、ルイズは体に力が入らない。
 抵抗する気力も無くなってしまい、頭がぽーっとしてしまう。

 後はもうサイトの舌の動きに合わせて"ひゃんっ"とか"らめぇ"と呟くだけの楽器になってしまった。


 とにかく直接胸を揉もうとする原作サイトとどちらがマシか、と問われると難しい所である。
 いや、原作の方が遥かにマシだろう。誰が見ても。


 このサイト、とにかくねちっこい。
 ルイズの指を触りだしたらそれこそ30分でも1時間でも触ってるし、寝ているルイズの頭を撫でたら最低で1時間、長いと3時間は撫で続けるのだ。

 この時サイトがはっと正気に戻った時には、やはり20分近くが経過していた。
 もう耳はふやけてるわ唾液で髪の毛までべとべとだわで局所的に凄いことになっている。

 ルイズ本人は目こそ開いているものの意識はあるのかないのか、くてんと四肢は力が入っていないようだ。
 ただルイズの右ひじがサイトのわき腹に乗り、腕から先がその向こうに消えているあたりどうやら無意識に抱きついていたらしい。
 全身は噴出した汗でヌルリとしていて、とても朝このまま制服を着て授業に出られる状態ではなかった。

 サイトはルイズの上半身を自分から少しだけ引き剥がし、ルイズの顔を正面から見つめる。
 上気した肌は焼けるように熱く、汗ばんだ皮膚の質感と匂いは鼻を掴んで話さず、潤んだ目は今にもとろけきってしまいそうだった。
 今のルイズの色気にはアンリエッタだろうがキュルケだろうがシエスタだろうが太刀打ちできまい。

 そんなルイズがその潤んだ目を閉じて顎を少し動かす。
 サイトは抱き寄せてキスをした。
 鼻と鼻が当たる、相手の体温が、蒸気が出てるんじゃないかと思うほど感じる汗の湿気を肌で感じる。
 唇の形が変わるくらい強く唇を重ね、互いの呼吸が妙にくすぐったくて気持ちいい。

「んっ」










 省略されました。
 全てを読むにはワッフルワッフルと書き込んでください


*     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。     +    。     *     。
      +    。  |  |
   *     +   / /   イヤッッホォォォオオォオウ!
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +    。   *     。
      ,-     f
      / ュヘ    |*  。 +   このスレッドは1000を超えました。
     〈_} )   |         次スレも…VIPクオリティ!!
        /    ! +        http://ex16.2ch.net/news4vip/
       ./  ,ヘ  |
 ガタン ||| j  / |  | |||
――――――――――――  


あとがき。

ゼロ魔板のクソ下らないSSオブザイヤーは俺のもの。
誰にも譲らない。



[6951] 【キュルケ】>>1がハルケギニアで…あれ?何しに来たんだっけ? 5スレ目【涙目】改(一箇所もっと酷くした)
Name: shibamura◆f250e2d7 ID:d801e7ad
Date: 2009/07/28 22:52
「……という夢を見たわ」

「ルイズ、貴女疲れてるのよ」





~~~「"わっふる支援"それは諸刃の剣。最初は数が飛んで嬉しいが、
            次第に"わっふる以外の感想が無い事に気付く"」作者談~~~




「で、そっから先は?夢の中で二人は結ばれちゃったワケ?イヤン、それアナタ、絶対に欲求不満よ」


 頬を押さえクネクネするキュルケとテーブルに両肘を着き俯きながら落ち込むルイズが居るのは、意外にもキュルケの部屋だった。
 部屋の主が朝からため息ばかりで遠くを見ているルイズを引きずり込んだのだ。


「ねぇねぇ、教えなさいよ。アナタ夢の中でサイトとどこまでしたの?っていうかそんな知識あったの?」

「はぁ……」


 キュルケの質問は耳に届いているのだが、いや耳に届いているからこそ、ルイズは窓の外を見ずには居られなかった。
 誰が言えるものか、そのまま全身の汗を下は足のつま先から上はおでこまで舐め取られたなんて。
 今でもハッキリ覚えている、膝の裏から太ももの内側まで一気に舐め上げられた時の電気が走ったような快感とか、うつぶせでバンザイの格好で両手を押さえつけられて背中を舐められた時の不自由感と恍惚感のミキサーとか。
 しかもそれが頭が痺れて何も考えられなくなる程気持ちよかったなんて言ったら……確実に自分の人生は破滅する。


「全く……っ…あのっ…あのバカ犬がっ……」


 なんだか色々思い出して勝手に赤くなったルイズは紅茶に突っ込んだままのスプーンをかちゃかちゃ鳴らしながらブツブツと独り言を始める。


「ル、ルイズ?」


 因みにキュルケの存在は完全に意識から外れていた。
 彼女のタスクマネージャーは今日の朝の時点から"バカ犬.exe"にCPUメモリ共に100%だった。
 なんだかこう書くと悪性のコンピューターウイルスのようだ。
 まぁ、あながち間違ってはいない。


「こ、ここここの前だってゆ、ゆゆゆゆ指をしゃぶってくるし」

「あら、随分可愛い所があるじゃない。そういうの好きよ?私」

「良いワケないでしょ?!指はふやけるしブラウスは肘までビショビショだし……た、たたた大変なんだから!?ま?まぁアンタみたいな年中発情期にとっては毎日の事なんでしょうけど!!」



 カチャン

 と


 キュルケがスプーンを取り落とした。






 え?何?

 指がふやけるって何?
 指ってしゃぶられてふやけるの?

 っていうかふやけるまで舐めさせておくルイズもルイズでどうなの?

 え?肘までって………唾液で?


 キュルケはメダパニに掛かった!!

 一方ルイズは普段のサイトの奇行のせいで男女間のそれに対するハードルがガン上げされている事に自分では気付かず、次々に爆弾発言を投下する。


 見た目とは裏腹にウブだったキュルケにはあまりに耳に毒だった。

 この時期の彼女達と言えば、せいぜいが夜部屋に呼んで一緒に愛を語り合ったり、お菓子を食べたり、ちょっとキスをしたり、腕を絡めて見たり……かなり頑張って抱き締めあって相手に顔をうずめる程度だった。
 いくら水魔法で妊娠しないと言っても貴族の処女はそこまで安くは無いのだ。


「あの犬ったら蹴っても殴っても踏んでも喜ぶしちょっと隙を見せたら抱きついて匂い嗅いでくるしこの前なんて私が部屋で食べようと思ってたロイヤルベリーークッキーを毒見って言って食べたのよ?!それであの犬どうしたと思う?よりにもよって残った半分のクッキーを咥えたまま私にキスして食べさせようとしたわ!!あんな…あんっな……舌なんて入れられたらクッキーが噛めないじゃない!!何考えてんのあのバカ犬??!!」

 混乱しているキュルケの耳にはルイズの更なる爆弾が連続で投下されてゆく。大空襲だった。
 これが普段散々男女関係でからかっていたたツケだとしたら、キュルケは過去の自分にファイヤーボール1年分をプレゼントしたい気分になってしまった。

 そしてルイズ、アナタそれ食べたのね………
 っていうかさっきからの話、全部ノロケでしょう!!
 途中から顔がニヤケてるし。

 何これ。
 何なの?
 何この格差。

 何で私がこんなぺたん娘に嫉妬しなくちゃいけないの?

 あーそうですか。
 そんなにあのサイトと居て楽しいんですか。

 じゃあ良いわよ、本気出して奪ってあげるから。
 せいぜい枕を濡らして泣く事ね。



 ………それにサイトとそういう事するの、ちょっと楽しみかも。




【キュルケ】>>1がハルケギニアで…あれ?何しに来たんだっけ?【涙目】



「いや、別にいいや」


 しかしキュルケの狙いがうまくいく筈が無い。
 だってこの男を1マイクログラムも理解していないのだから。


 バッサリと断られたのは今は懐かし"だっちゅーの"ポーズで固まっているのは自称・恋に生きる女キュルケだ。
 もうダメである。ダメダメである。
 0点だ。落第。ボッシュート。山田君、全部持ってきなさい。

 よりにもよって「ねぇ、私の体に興味は無い?」と来たもんだ。

 サイトの中でキュルケへの興味はゼロではなかった。
 100かゼロかで言えば大分ゼロ寄りだったのだが、それでもゼロでは無かった。
 理由はサイトにとって褐色肌が萌えポイントの一つであったに過ぎないのだが。

 それがその一言とポーズで完全にゼロになってしまったのだ。


 サイトは和の心、ワビサビを重要視する男であった。


 その心意気の真髄こそ



 "恥じらい"




 この一言に尽きる。

 ツンデレも有る意味恥じらいと考えれば、成る程日本人に対し絶大な効果があるわけである。


 ルイズのツンデレ等恥じらいの極みであるし、いろいろこう行為に及んだ時も最初は嫌がっているが段々と目に力が入らなくなっていく過程など最高にアレなのだ。
 その対極、つまりまったく心の琴線に触れないのがいわゆるオープンエロなのだった。

 こういうのは事に及んだ時の反応もパッと想像できてしまう。
 ベッドの上で四つん這いになってシーツを握り喘ぐ様は見る人間に取っては確かに興奮するシーンなのだが、それで満足するこのHENNTAIではない。

 先ほど述べたシーンをキュルケで脳内再生して欲しい。
 できただろうか?

 では次の問題だ。


 ルイズを仰向けで寝かせて見よう。勿論全裸では無く着崩れた制服で。
 着崩れた、では無く正確には俺が半分脱がせたのだがそこは気にするな。
 ボタンは全部外せ。スカートのもだ。
 そして両手は耳から15cm横にそれぞれ置くんだ。

 よし、出来たな?

 そしてまず右手。

 そうだ、想像力の乏しい貴様らに解り易いように片手づつ説明してやるんだ、黙って聞け。

 まず手の配置だが、手の甲がベッド側、手の平が上だ。
 これは絶対に譲れない。
 そしてシーツを巻き込むように掴む。
 この時ルイズの指には力が入らず、小指はシーツを掴み損ねてしまう。
 よってシーツを巻き込んだ人差し指から薬指はシーツに隠れてしまうが、かわいらしいルイズの小指だけは見える事になる。

 そして左手、そうだ左手だ。
 左右で違うだと?当たり前だバカ者、貴様一体何を考えている。

 いいか、今度は右手の状態からシーツを一度離し、180度内側に手首を反転させろ。
 そうだ、できるじゃないか。
 その常態で軽くシーツを掴む。うむ。
 解ってるだろうがまだ完成じゃない。

 左手の方をやや顔に近付け、右手は少し頭から離して上に移動しろ。
 ほんの少しだぞ?

 そう、その常態で顔をほんのちょっと右手側に倒す!
 ほんのちょっとだと言っているだろうがバカ者!!そんな事で戦場で生き残れるか!!

 そう、その常態で頬を赤くして目をうるませろ!!そしてこうだ!!


「やぁっ……は、恥ずかしい……やっドコ触ってんのよ、そんな、ダメなんだから…やっ……ん……」



 こうだ!解ったかカス共!!これがルイズの正しい夜の魅力だ!!
 まぁキュルケなんぞに色気を感じる貴様らボンクラ共に解り易いように今のは本当に初期の初期、魔法で言えばフライのフの字を読めるようになった程度の初級だがな。


 気付けばサイトは男子生徒を前に如何にルイズが可愛いかを大演説をしていた。

 キュルケ?いや知らないけど。

 おいそこのデヴ。キュルケ見たか?
 何?そこに居る?
 あぁホントだ、部屋の隅で体育座りしてら。
 彼女も萌えってモンが理解できてきたじゃないか。

 まぁ諸君らはまだ出会っていないが彼女がティファニアのようなタイプだったら俺も危なかったかもしれない。


 恥ずかしがり屋な彼女は胸が大きくて男から変な視線で見られる事を気にしていて、いつも厚着だ。
 そんなキュルケが上目遣いで、「ねぇ、私の胸ってヘンじゃないかな?触って確かめて見て?」とか言って見ろ?!!

 すごいだろうが!!

 もう…なんというか……滾るだろう?!


 そうか!貴様達も解ってくれたか!!

 何?そうなった場合のキュルケとルイズが居たらどっちを取るんだ?

 ルイズに決まっているだろうがバカ者!!

 貴様何も理解していないな!!出て行け!!不愉快だ!!!!


 あー、ゴホン。すまない。

 いいか、まず最大の論点は胸だ。
 でかいほうがいい?死ね。百回くらい死ね。
 もしくはコルベールの頭に落書きをするかオスマンのメガネを割って来い。

 いいか、デカい乳はな、眺めるのが一番いいんだよ!!
 触っても楽しいのは最初だけだ!!!

 どうだお前!!どうせ触りたいとか思ったあとは何も考えて無いんだろう?!

 接し方に困るんだよヴォケ!!

 良いか、小さい胸はな!!揉んでよし!!撫でてよし!!吸ってよし!!舐めてよし!!愛でてよし!!だ覚えとけゴミクズ共!!!!

 そして最大のポイントはここでも"ワビサビ"だ!!

 基本だと言っただろうバカ共め!!

 いいか、胸を触っている時にだ!!

 胸が小さい事を気にしてる女がだ!!


"ねぇ、私の胸って小さいでしょ?触ってて楽しいの?"


 とか聞いて見ろ!!

 そして全力で肯定した瞬間……

"ばか…"


 とか言いながらちょっと嬉しそうにしてたら…………

 ギーシュわかるか!!!この熱い思いが!!!流石だな。

 キュルケには目もくれずモンモランシーに熱を上げる貴様なら理解できると思っていた。
 今日から俺達は戦友と書いて友だ。

 貴様らも同様だ!!よく着いてきてくれた!!!

 貴様らはもはやウジムシでは無い!!!戦士だ!!!!

 鬨を上げろ!!

 勝鬨の蛮声を上げろ!!!




うおおおおおおおぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!




 サイトはギーシュと友達になった!!
 キュルケは欝キャラにジョブチェンジした!!
 この日からルイズはやたら男からちやほやされるようになった!!!
 しかしルイズは気持ち悪がってますますサイトに入れ込んだ!!!!




あとがき。

本来のストーリー?なにそれ?おいしいの?

アン派の俺がルイズを書いてしまったのだが今更アンに浮気もできず……どうしよう。



[6951] 【ちょっと】>>1がハルケギニアで真面目に……過ごすワケが無かった 6スレ目【頭冷やそうか?】
Name: shibamura◆f250e2d7 ID:d801e7ad
Date: 2009/09/15 21:55
「なぁ、君の言ってたこの前の初級だがね、あれがちょっと上のランクになるとどうなるんだい?」

「ふむ……そうだな、ギーシュ。お前なら理解できるかもしれない。
 まず前回の仰向けルイズを思い出せ。
 俺は言ったな?ボタンを全部外せと。
 あぁ?1つ残すだぁ?誰がそんな事言ったんだよ。
 そんなのは胸のデカイ女にやりゃいいんだよ。
 いいか、まずルイズのブラウスのヘソ周りの裾だ。
 左は入れて右は出せ。
 そんでな、スカートのボタンも外して緩めるつっただろ。
 左側は初期位置のまま右だけずり降ろせ。パンツが少し見えるくらいだ。

 これで着崩れ、腹チラ、パンチラの3コンボだ。

 ちなみに左右は間違うなよ。
 何でかって?何だ何だお前も全然じゃないか。

 忘れたか、ルイズは今顔を僅かに右手側に向けてるんだぜ。
 つまり全体のイメージとして体を曲げている……あくまで雰囲気としてだぞ?
 横に反っているんだ。
 この時に反りの内側にはだけている部分が来るか、外側にはだけている部分が来るかには大きな拘りが必要だと俺は思う。
 いいか?何度も言うがルイズの魅力の根源はワビサビであり"恥じらい"だ。
 後は言わなくても解るな?」


「君には一生勝てないと深く理解した」










【ちょっと】>>1がハルケギニアで真面目に……過ごすワケが無かった【頭冷やそうか?】








「ちょっといいかね?」

「またお前か」


 午後の授業が終わり、剣の素振りにでも……と考えていた所でギーシュが声を掛けてきた。
 正直、めんどい。


「いや、今度こそ君を唸らせてみせるよ」

「はいはい、解ったから言うなら早くしろ」

「せっかちだね、君は。まぁ聞きたまえ。話というのは僕の麗しの花、モンモランシーの事さ」

「モンモランシー……ねぇ?」


 チラリと教室の出口を見ると、見慣れた縦ロールとピンクが出てゆく所だった。
 コイツ気付いているのだろうか、先日の貧乳祭りからこっち、クラスで貧乳が急にモテ始めたのが。

 モンモランシーのそっけなさが逆に萌えポイントとして今株が急上昇な事を――――

 そして本人も持て囃される事に対して満更な気分になっていない事に……気付いてないだろうなぁ……

 そもそもクラスの男子が狙ったのも、"あの浮気性のギーシュからなら取れるかも"と思ったのが原因なわけだし。
 逆にルイズには俺が居るからと手を出そうとするヤツは居ない。
 3人ほど居たが全員決闘で血祭りにしてやったわ。フハハハハハハ。

 男子からルイズへの風当たりは大分マシに……というか生ぬるくて気持ち悪いくらいの人気になってしまったのだが、そこは本人の「気持ち悪い」の談でますます俺との仲が深まるばかりである。
 全く、お前らがヴァカでホント助かってるよ。

 先ほどモンモランシーとルイズが仲良く出て行ったのは、ルイズからしてみれば男子避けの意味合いが強かったのだが、モンモランシーからしてみると"気持ちの余裕"から生まれた性格の矯正による友愛行動だ。
 所謂"勝ち組の余裕"というヤツである。
 そんなモンモンを放置して俺に話しかけるあたり、コイツはもう……ダメだろう。
 救済する積りもないし。


「君はモンモランシーが髪を下ろした所を見たことがあるかね?」

「無いな」


 興味も無いな。


「そうか、よかった。僕はある……そして気付いたんだ、この世でモンモランシーの首筋を超える美しいラインは存在しないという事に!!!!」


 何がよかったんだ?ギーシュ?


「…………え?それで?」

「は?いや、だからモンモランシーの首筋がだね」

「まさか……それで………終わりなのか…?……ハハッ…いや、解ってたんだ。失望なんてしないさ。お前に希望を持った俺が悪かったんだ」


 所詮、この程度か。
 早々に見切りをつけた俺は次の行動に移る。
 体を鍛えなければ。
 俺の平穏には力が必要なのだ。
 ガリアのボンクラやロマリアのカマ野郎、ついでにレコンキスタの連中と、俺の平穏な時間(=ルイズといちゃつく時間)を邪魔するヤツは大勢いる。
 それに……俺には……



 手柄が必要なのだ。


 女王陛下、いや今はまだ姫君だがいずれ女王になるアンリエッタやルイズの両親に認められる程の手柄が。

 ならばこの時代に、この世界に必要なのな何か?


 武力。

 ただただ純粋で、圧倒的な武力、そして手柄、名声、伝説。

 そして俺はそれを手に入れる事が出来る。
 俺の壮大な計画―――――――


 "シンプルイズベストプロジェクト"



 "新婦 ルイズ ベスト計画"は現在も進行中なのだから。

 男としてこれほど心踊る事は……何だギーシュ、そこをどけ。
 教室から出られないではないか。



「どうかこの私めに女性の奥義をお授け下さい」


 土下座だった。
 うん。よく解ってるじゃないか、自分の立場ってもんが。
 しかしお前、土下座とは……何処で覚えた?
 ……見てたのか?まぁそれについては今度問い詰めよう。
 俺は教室に戻りイスに座った。
 ギーシュは正面で正座している。……やっぱ見てたなコイツ。

「モンモンのうなじに感動を覚えた所まではまぁいい。着眼点は」

「うむ。でだ、僕に何がたりないのかね?」

「何ってお前……愛だろ……常識的に考えて」

「な、なん……だと……君は…僕に愛を説くと言うのかね」


 BLEACHか?意外と芸が深いな。
 ギャグの才能はあるんだけどなーコイツ。


「別にうなじのラインにグッと来るのはどの女もそうだろうが。問題なのはどういうシチュエーションでモンモランシーのうなじを見た時に一番グッと来るかだろうがよ」

「何ってそりゃあ風呂上りにだね」

「はい5点」

「それは何点満点でだね?」

「100点で」

「ぐっ……ならば聞かせて見たまえ、君の言う愛とやらを!!」


 そうだな、まず服装だけど……薄い緑のタンクトップだな。
 肌着みたいなやつ。
 貴族だしシルクやサテンみたいな光沢があって滑らかなタイプだ。
 ストレートに下ろした髪は後ろでポニーテールに、勿論全てをまとめるんじゃなくて、もみあげのちょい上くらいから肩の前に一掴み流す事も忘れちゃ駄目だ。
 寝る前に湯上りの体にふっと軽めの香水を振ろうと思ったらストックが無い。
 そういえばあの娘が無いって言うから分けてあげたんだっけ。
 じゃあしょうがない、自分で作ろう。
 そしてポーションを作っている最中、ちょっと熱中しすぎて姿勢が前のめり気味になる。
 重力に引かれて前に流れる垂らしていた髪!!!
 それを片手で背中に掻き揚げる動作の瞬間!!!!

 この時だろうが!!!うなじのラインが最も美しいのは!!!!


 まぁコレはシチュエーションというヤツで、まぁ落第点ギリギリ……といった所だ。

 問題は、"自分"と"モンモン"の二人が居る空間でどういった空想をするかだ。
 空想、空を想うか。
 いい言葉じゃないか。
 現実逃避ではない、現実"離陸"。
 その場からふわっと浮き上がる。
 空想は人類が唯一神に挑戦できる武器ではないかと俺は常々思っているんだが…"空想が神を殺す"とかかっこよくね?おっと話がそれたな。

 例えばギーシュ、さっきのモンモンの格好の場合、配置はこうだ。
 モンモンはベッドにうつ伏せで寝そべってポーションの調合書を見ている。
 もちろん足をぱたぱたさせながら。
 お前はそのベッドに腰掛けて愛を語っているんだ。
 だがいつも他の女を追いかけているお前に少し意地悪してやろうとモンモンは調合所を見ているフリ。
 もちろんフリだから耳はお前の言葉をしっかり聴いている。

「ねぇギーシュ、もう夜も遅いし私調合書で研究したいの。出てってくれないかしら?」

「嘘はいけないねモンモランシー、君のその美しい髪は調合書のページを読ませたくないみたいだよ」

 そう、フリで開いていた本に、いつの間にか前に流していた髪が乗っていたのだ。

「バ、バカ言ってるんじゃないわよっ」

 そして怒って誤魔化して髪を背中に掻き揚げる瞬間!!!!

 脇チラ!!!二の腕!!!!うなじ!!!!掻き揚げ動作の4連コンボ!!!!!!!!!!

 そしてその全てを収められる位置、斜め上後方にあるお前の両眼!!!!


「愛を語るなら自分と相手の存在があってだろうが!!!このウンコクズが!!!貴様には失望した!!ガッカリだ!!!」


 さて、剣の素振りにでも行くかな。
 ギーシュ?なんか白くなって燃え尽きてたけどシラネ。




 -パイツァダストして夜-

 キュルケは一度"こう"と決めたら見た目を裏切らず実行するタイプである。
 もっとも時間を挟んでしまうとすぐに興味が無くなってしまうという側面も持っているのだが。
 そんな彼女にとって今回のミッションは何としてもやらなければならないものだった。
 時間なんて置いてられない、タバサと交渉する時間も惜しい。

 そんな理由から、何故か彼女は女子寮の屋上に居た。
 腰にはロープ。

 フライを使う気が無いあたり、長期戦覚悟の様だ。

 この時誰か彼女に「目に毒よ」と助言できる存在が居ればよかったのだが……いや、居ても耳は貸さないだろうから意味は無いか。




 目的は勿論、ルイズの部屋の覗きだった。

 彼女はこの時生涯で唯一自分の使い魔が空を飛べない事をブリミルに恨む。



 春の使い魔の儀からまだ1月も経つかどうかという所、進級が掛かる試験が3月半ばだとしたら季節は地球で言う4月半ば。
 まだ何も掛けずに寝るには少々寒い季節である。
 そんな中、ルイズ・フランソワーズ・ルブラン・ド・ラ・ヴァリエールの寝具は以下の構成となっている。

 自分が着る寝巻き

 ベッド及びシーツ

 タオルケットとその上に掛ける羽毛布団

 そして抱き枕である騎士ことHENNTAI使い魔サイト


 以上であった。

 幾ら寝具は差別が発生せぬように学園からの支給とはいえ、貴族が使う物である。
 その値段は到底平民が買える物ではなく、また保温性能も値段相応に有する………ハズだった。
 あくまで、学生一般論では。

「うぅん………」

 夜、寒さを感じたルイズは無意識に暖かい所、温かい物を探す。

「んっ……」


 それはすぐに見つかる。
 だって同じベッドで寝てるのだから。

「むぅ~……」

 それ…というか抱き枕であるサイトにもぞもぞと体を押し付けると、表情はふにゃっと崩れて安心したかのような声を出す。
 今までとは違う匂い。
 外の草の匂い、鉄の匂い、自分以外の人間の匂いを求めて鼻と頬をそれにグリグリと押し付けると、また静かな寝息を立て始める。
 そしてまた密着しすぎて熱くなれば離れ、冷えればサイトを求めてベッドの中をもぞもぞと移動する。

 ここ最近のルイズの夜の行動はおおむねこんな感じだった。
 もちろんこの裏にはサイトの弛まぬ創意工夫がある。


 主人にバレぬよう…………






 毎日羽毛布団の中身を少しづつ減らしていったのだ。




 今はもう最初の7割程度の厚みしかない布団だが、サイトの存在もあり本格的に寒いと感じないルイズに気付いた様子はなかった。
 むしろルイズはルイズで最近寒いからサイトにくっついても違和感が無くてラッキー程度に思っていた。

 そこまで計算していたかは知らないが、恐るべきHENNTAIの成せる技だ。


「私……何やってんだろう………」


 部屋の中の幸せオーラバリバリのベッドに比べ、キュルケが居る外(しかも4階)は寒い。
 風も吹く。

 今ごろ自分の部屋ではフレイムが体を冷やしている自分の為にホットミルクワインを作ってくれているだろう。
 無性にそれが飲みたくなった、というか飲まずにはやってられないキュルケだった。


「悔しくなんか……なっへくちっ……ぐすっ……泣いてないわ、私泣いてないから」


 誰に言い訳をしているのかは自分自身解らない、というか自分に言い訳している感が強かったが、クシャミ1つで彼女の心の最後の堤防はどうやら決壊してしまったらしい。


「もう…何よ……こんなの……え?……何?え?ちょっ」

 そんなキュルケにドトメを刺したのは、やっぱりルイズだった。
 彼女は気付いてしまったのだ。気付かなければよかったのに。

 ルイズの部屋に、というかベッドの上のルイズに新しい発見をした彼女は窓に顔をくっつける。
 1mmでも目を近づけて、その真相を確かめると言わんばかりに。


「う……無理!もう無理!!」


 自分の気付いた事が事実だと気付き、キュルケは堪らなくなって自分を吊るすロープを焼き切って部屋に飛び込んだ。
 多分明日"も"彼女の目の下にはクマが出来ているのだろう。


 ここで一つ、キュルケが気付いた事をちょっと見て見よう。

 ベッドの上、相変わらずルイズはサイトにひっついている。
 それは先ほどまでと一緒だ。

 サイトの体に腕を回している。

 抱き枕扱いしているのだからこれも普段の事だ。



 ……ならば何故キュルケは涙目になって、おっと言ってしまった。涙目になって部屋に戻っていったのか。

 正解はルイズが顔を押し付けている場所。
 いや、正確には顔を押し付けている場所の常態が問題だった。

 別にサイトが上下逆に寝てるから股間に顔を埋めているなんて事は無い。
 ちゃんと二人とも頭と足は同じ方向を向いて寝ている。
 サイトが横向きに――――ルイズの方を向いて寝てるのもいつもの事だ。
 ちなみにルイズの指示である。
 緊急時に私を咄嗟に庇えるように、だとか。

 別に護るだけなら背中越しでも問題ないし、敵を見つけるためにはむしろそちらの方がいいのだが……別に部屋を襲う賊がいるでもなし、夜襲される予定もないのでサイトは大人しく指示に従っている。


 ルイズが顔を押し付けているのはサイトの胸。
 サイトは学生用のYシャツをいくつか貰って着ているのだが……


 その胸元がはだけていた。


 解りやすく言うと、サイトのYシャツのボタンが上半分ほど外れているのである。
 ちなみにサイト本人は第二ボタンまでしめてから寝ている。

 外したのは寝ぼけたフリをしたルイズだ。
 今日に至っては完全に寝ている状態で無意識に外せるようになったあたり、ルイズにもHENNTAIの血が流れているのかもしれない。

 とにかくルイズはサイトの素肌に顔をすりすりしてニヤけていたのだ。


 肌と肌を合わせて寝るというのは、それだけで気持ちがいいもの。
 それを知識として知っているのではなく、実践して知っている人間だけが出せる幸せオーラをルイズは全開に放っていた。

 これはまずい。

 知っているだけで実践した事の無いキュルケにとってはアスファルトの上のミミズに降り注ぐ真夏の太陽だった。


 ちなみにその気持ちよさは、合わせる肌の面積に比例する。

 ルイズは最初、温かさを求めてサイトに抱きついた。
 腕を回し体を押し付けて、ただただより近くに、より温かく、それだけを求めていた。

 しかし次第に温まると、ルイズは今度は気持ちよさを求めて、サイトの胸に顔を摺り寄せ始める。
 サイトの体に回していた手はいつの間にか胸に添えられ、徐々にYシャツの中に入りこんでサイトの背中に回っていた。
 その時点で偶然か必然かルイズの袖がきちんと限界までめくられていて、より素肌の接触表面積が増えている。

 この時点で離脱を図ったキュルケは有る意味正解だったかもしれない。


 サイトが、目を覚ましたのだ。









 省略されました。
 全てを読むにはワッフルワッフルと書き込んでください


*     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。     +    。     *     。
      +    。  |  |
   *     +   / /   イヤッッホォォォオオォオウ!
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +    。   *     。
      ,-     f
      / ュヘ    |*  。 +   このスレッドは1000を超えました。
     〈_} )   |         次スレも…VIPクオリティ!!
        /    ! +        http://ex16.2ch.net/news4vip/
       ./  ,ヘ  |
 ガタン ||| j  / |  | |||
――――――――――――  




[6951] 【ワルド】>>1で作者は何がしたかったんだろう 7スレ目【ざまぁwww】
Name: shibamura◆f250e2d7 ID:62682b13
Date: 2009/09/15 22:00
ギリギリ系ワッフルSS書き十家訓

1つ、削除覚悟で書け

1つ、限界を超えて書け

1つ、一線を越えずに書け

1つ、迷ったらとりあえず書け

1つ、喰うのを忘れて書け

1つ、よく寝てから書け

1つ、明日も書け

1つ、常に心にワッフルを忘れず書け

1つ、後悔は公開してからしろ

1つ、失敗したら潔く消せ






「暑いと思ったら……」

 夜中に起きたサイトは自分に引っ付くルイズを見て苦笑する。
 自分の作戦がそりゃあもうバッチリと上手く行った事を確認すると、自分の頭の下から右腕を引き抜いた。
 余談ではるが、理由はわからないがサイトは女と寝るときは女が右、男が左と決めていた。
 本当に何の意味も無いのだが、何故かそうでないと落ち着かないのだ。
 そしてこれまた深い意味は無いのだが、サイトは高い枕が好きだった。
 もちろん高さ的な意味でである。
 そうするとルイズの枕(ベッド用の横に長いタイプだったので2人でも使えた)では少々高さが足りず、枕の下に腕を突っ込んで高さを増やしていた。
 
 まぁそんな感じの位置関係で2人は寝ていたのだが、サイトは引き抜いた腕で胸元にあるルイズの頭をそっと抱きしめる。
 指先に軽くルイズの髪を絡めると、やや癖のある艶やかな桃色のそれはシュルリと流れて逃げていった。
 その感触に満足したサイトは、ズルズルと足元の方向に体をずらしてゆき、胸にあったルイズの顔が自分の首くらいに来る位置まで下がった。

「ルイズ」

 まるでサヨナラをいう様な、耳を澄ませていないと聞こえないような、今にも消えそうな声で発したその言葉は確かにルイズに届いたようで、サイトの顔のすぐ下でルイズはイヤイヤをするように顔を動かしてサイトに頬を押し付ける。

「ルイズ」

 今度は感情を込めて、深く、包み込むように呼ぶ。
 そうするとルイズはピタリと動きを止め、安心したかのようにむにゃむにゃと言葉にならない音を発した後、静かな寝息を立て始める。

「ルイズ」

「ルイズ」
 
「ルイズ」

「ルイズ」

「ルイズ」



 何度も呼ぶ。
 音を変えて、音量を変えて、感情を変えて。
 呼ぶたびにルイズは何らかの反応を返す。
 サイトはそんなルイズが可愛くてしかたがなくなり、頭…というか髪の毛にそっとキスをした。
 ふるっと震えたルイズがやっぱり可愛くて、サイトはまたルイズを撫でながら名前を呼ぶ。

 いつまでも。






 100回から先は神も数える事を諦めたらしい。

 ひとつ間違いないのは、キュルケがこのラブオーラ漂う空間を目撃しなかった事は、彼女の精神衛生上非常に幸運だったと言う事だ。





【ワルド】>>1で作者は何がしたかったんだろう 7スレ目【ざまぁwww】




 毎度毎度サブタイをアルビオンの話っぽく書いてから本編を書き始めると毎回アルビオンのアの字もでず結局書き直しているのはガチ。
 ちなみに4スレ目は完全に修正を忘れたので、そのままなのは口に出してはいけない。
 感想でもストーリー進まねぇって言われたし、とにかくいい加減アルビオンを消化しなきゃいけないのでサックリ消化する事にした。
 消化試合なので年表にしようかとも思ったのだけれど、せっかくなので駆け足で。



「それでいいのか!ウェールズ!!ウェールズ・テューダー!!!」

「よく……あるものか……あるものか!!そんな事!!到底許容できる事ではない!!!」


 本編冒頭から吼えるサイトとキレるウェールズ。
 流石に誰もついて来れないので、時間を少し巻き戻そう。
 ちなみに"王が背負う名は国だから貴族にしては名前が短い"という設定は非常にアリだと思うのだけど、こういう場合長いほうがシマリがいいよなときっと誰もが思うと思う。



 話はズキューンと戻って数日前、トリスティン学園は今日も平和だった。
 学園が平和ということは、サイトの日常も平和だと言うことである。非常に結構な事だ。
 今日は同じクラスの使い魔達と、グダグダどうでもいい話をしながら釣りをしていた。

 針は釘を曲げたもの、竿は木の枝、糸は縫い糸、餌はその辺の虫という全国の釣り好きにケンカを売るような装備だ。
 流石にここまで酷いと"神の頭脳"も味方してくれないようだった。
 そもそもマジックアイテムじゃないし、武器でもないし。
 ハンターハンター的にはアレじゃないだろうかとも一瞬思ったりしたが、勢いよく振ったらそれだけでこの竿は確実にポッキンと折れるだろう。

 当然、釣れない。

 川でぼーっとする理由が欲しくてやっているので、別にそれでよかった。
 本音を言うとオスマンとかちょっと偉い人がやってきて「釣れるかの?」と尋ねられたら「大物が釣れたみたいですね、今」とカッコいい(と本人は思ってる)セリフを言うつもりだったのだが、生憎誰も尋ねてはこなかった。
 本命はそれではないので、まぁ、良い。

 サイトはちょっと考え事をしたかったのだ。

 今後の女性関係である。
 サイト(の様な何か)はルイズ一筋である。
 浮気はしない。というかできない。
 単純に2人以上の女性を愛せるように精神が出来ていないためである。
 厨房に行く回数もオリジナルより少ないのでシエスタと会話する回数も少なく、キュルケはキッパリと断り、タバサは余計なフラグを立てなければ問題ない。
 学園内のフラグはこれで全て片付くのだ。意外と簡単である。

 ただ例外があった。
 学園外、つまりアンリエッタだ。
 こればかりはどうしようもない。

 アンに頼まれたらルイズは手紙を何としてでも取りに行くだろう。
 となるとアンがルイズの部屋に来る前に説得して自分がソロで行くか?
 いやいや俺なんてルイズが居ないとそれこそ犬以下だし、平民ですらないし、無理だろう。
 結局ルイズを守るためにアルビオンに行く……いや、ルイズとフラグを立てるためにアルビオンに旅行に行くのだ。


 これは……婚前旅行だ。

 かなり無茶があるがそう考えるとなんか楽しくなってくる。
 というかガチ戦争の中に行くとかマジカンベンなのでそう思わないとやってられない。

 となるとウェールズかぁ…

 よし、ちょっと全て丸く収まるようにプロットを立ててみよう。

 アルビオン-ウェールズ生還
 アンとウェールズが結婚しレコンキスタ壊滅。
 よってレコンキスタのタルブ侵略は無くなるのでゼロ戦+虚無バレイベントキャンセル。
 流石にタバサが可哀想なのでお袋さんを治療してやりジョセフをSA☆TSU☆GA☆I。
 忘れてたけどティファの事は誰にも話さず誰にも知られずのんびり暮らして貰う。
 後は野となれ山となれ。ロマリア?しらねーよ。
 カトレアを治療して長女と次女が両方家を継げるようにしてルイズをフリーにしやすくする。
 あれ?カトレアって自分で家興してたっけ?エレオノールだっけ?(※カトレアです)
 でも確かそれって病気のせいだよな…まぁ治療すればおk。
 そしてルイズは家を出て俺と結婚。
 トリスティン郊外の小さい家でひっそりと暮らし、俺はその家の犬小屋におしおきで体育座り。




 完璧だった。



 美しいまでに完璧過ぎるサクセスストーリーだった。




 サイトの脳内では、という条件付きで。

 実際問題こんなのを素でやったら物語が崩壊でマッハな上にいくらワッフルSSだとしても叩かれる事間違いなしだった。
 だがどうだろうか。

 世の中には「人間が想像できる事は可能性を別とすれば可能である」という言葉がある。

 つまり





 「諦めないで運命をブチ壊せば妄想は具現化する」





 そんな馬鹿な、と誰もが笑うだろう。






 ただ、色んな意味で笑えないのがこの男だった。
 全てはワッフルのために。
 そのためだけに、サイトは運命に挑む。





"『ルイズとワッフルする!』それだけよ!!過程や方法なぞ、どうでもよいのだァーッ!!"
by 石仮面をつけて吸血鬼になった作者





 所変わって魔法学院女子寮テラス。
 
 貴族の少女達はお茶会を好む。
 それは男達に邪魔されず、自分が呼んだメンバーだけでどうでもいい噂話が出来るからだ。
 他はどうか知らないが、少なくともここトリスティン魔法学園ではそうだった。


「それでそれで?また使い魔君がやらかしたの?」


 最近のお茶会の議題は「如何に愚痴を通してルイズからサイトとの情事に関する話を引き出すか」である。
 当然ルイズ本人は知らない。多分愚痴を言い合う場あたりだと思っているだろう。
 今日もルイズのウッカリ発言にきゃあきゃあと黄色い声を上げていた。


「でもいわねぇ、ルイズの使い魔は」

「うんうん、羨ましいわぁ」

「は?」


 そんな会話の中、"サイトが羨ましい"という発言がポロリと出てルイズは首を傾げた。
 "他のメイジがサイトに関心を示す"とは夢にも思っていなかったのだ。
 だってサイトは魔法が使えない。
 つまり平民である。
 まぁルイズは異世界から来た話を聞いているので一概に平民とは言わないのだが、他のメイジから見たら間違いなく平民である。
 いくら使い魔とは言え平民とイチャつく事を是とはしないだろう。
 しかしギーシュを倒しフーケの捕縛ではキュルケやタバサの手伝いをして一役買った(学園内ではそうなってる)男だ。

 困る。

 それは困る。

 自分がメイジとして生きていくには、貴族として生きていくには、もう絶対あの使い魔が必要なのだ。
 他の誰かに取られたりしたら、それこそ終わる。自分の中にあった最後の何かが。
 指先の振るえが紅茶のカップに伝わりチャプチャプと音を立て始めた。


「ジャックスも彼くらい真面目だったらいいのに」

「ねー。ウチのルードにも見習って欲しいわ」

「…………ふぇ?」


 ガタガタと震えだしたルイズだが、クラスメイトの一言で辛うじて正気に戻る事に成功した。
 そういえばこのお茶会の参加者が全員彼氏持ちだったなとルイズが気付くのはさらに5秒後である。


「ウチの使い魔の……何処が真面目なの?」

「え、もしかしてルイズってば気付いてないの?」

「いえいえまさかそんな事……ありませんわよね?」

「でも今までのお話を聞く限り…そうとしか」

「「「えぇー?!」」」



 次の瞬間お茶会のルイズを除くメンバー全員が"信じられない"という顔でルイズを見た。
 何でそんな目で見られているのか全くわからないルイズはどう対応する事もできず、もじもじと身動ぎするだけだ。


「ルイズ、彼って貴女にベッタリするのって二人きりの時よね。普段は出来る"使い魔"って感じだし」

「……そ、そうね」


 メンバーの一人が口を開くと、ルイズは肯定する。
 確かに外や他の人間の目がある時はふざける事も少ないし、まるでお姫様と護衛の騎士のような関係になっている。


「それで夜中に二人でベッドに入って抱き合ったりキスしたりしても襲って来ないんでしょう?」

「そ……まぁ……最後までは…………無いわね」


 ルイズの言葉に全員がため息をつく。
 まるでいつの間にか自分一人が悪役になったような気分になって、ルイズはますます小さくなってしまった。
 


「ルイズ、それができる男が他に居ないから私達はため息をついてるのよ」

「…………は?」

「だからね、一度付き合うと他の目があっても平然と馴れ馴れしくしてくるし、一緒のベッドに入ったら襲ってくるのがこの学院の男なの」

「そ…そうなの」



 よくわからないが、他の貴族のカップルは大変らしい。
 周りの彼女達の表情が何もかもを物語っていた。
 ただ、ルイズにとっては男と付き合うのはサイト(無論正式に付き合ってる訳ではない)が初めてのため、言われた事にイマイチ実感が持てなかったのだ。


「例えば彼って夜見回りをしてるでしょう?」

「私達もたまに見かけるのだけど、夜這いに来た男を毎回彼が叩き出してくれてるのよ?」

「お陰で安心して寝れるって最近じゃ評判もいいんだから」

「一言伝えておけば融通も利くしね」

「ティーナ……貴女まさか」

「な、何にもなかったわよ?!ただちょっとお話しただけよ」

「相手は誰よ?やっぱり噂になってたドレン?キャー」

「「キャー」」


 女子の話題の移り変わりの速度というのはそれはそれは虚無の加速も真っ青な程で、次の瞬間にはルイズは完全に置いてけぼりにされていた。
 そんな中ルイズは思う。
 彼が現れてから、自分を取り巻く環境は凄まじい変化を遂げつつある。
 これから何が起きるのか、まったく予想のつかない日々。

 "昨日と同じ今日、今日と同じ明日"

 これが今までの自分。

 "昨日と違う今日、今日と違う明日"

 これが今の自分。
 世界の色が塗り変わるような錯覚を覚えるほど新鮮な日々。
 自分の周りを吹き抜ける風の爽快感と、自分を包み込む優しさの安心感。

 それが今の自分、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。

 彼無くして今の自分は有り得なかった。

 ずっと彼と一緒に居たい。

 彼が見せてくれる新しい景色と、彼が包んでくれる温もりを手放したくない。




「……なら私に、何が出来るっていうの?」

 呟いた彼女に答える術は誰も持たない。

 それは彼女が自分自身で、見つけなければならない物だから。







 基本的に昼間はルイズからサイトに干渉する事は少ない。
 だからこの日も「本人が必要だったら来るだろう」と思い「来い」とは言わなかった。
 またサイトも昼間はルイズにあまり干渉しない。
 だからこの日も「本人が必要だったら呼ぶだろう」と思い自分から「ついて行く」とは言わなかった。

 よってサイトはこの日、女子寮の見回りで見つけたギーシュを殴り倒した後にルイズの部屋に戻っ来た時、一つの可能性に掛けていた。
 或いは何かの願掛けだったのかもしれない。
 そう何でもかんでも原作通りになるものかと。
 "そうならない"可能性もあるのではないかと。


「あら?貴方は……」

「私の使い魔のサイトです。姫さま」


 だが現実は容赦無かった。






 アルビオン行きのイベント――――発生である。







「そういう訳でアルビオンよ。明日直ぐに出るわ」


 ルイズのその言葉を正面から否定する事は出来ない。
 彼女の、ルイズの一番の友達の頼みなのだ。
 それを断らせる事など、出来るわけが無かった。
 だからただ頷き、背のデルフをコツンと軽く叩く。


"コイツ一本あれば今この瞬間からだろうとも、何処にだってついてゆく"


 その動作だけで言いたい事は、全てルイズに伝わると信じて。

 直ぐ横でそんな二人を見ていたアンリエッタは「彼が…」と一人納得していた。
 ルイズの使い魔の事は彼女からの手紙で多少は聞いていた。
 とりあえずやたら強い事。
 破壊の杖に認められた人間である事。
 そして主従としての関係は、概ね良好であるとの事だった。


「貴方はルイズの使い魔さんね?手紙で話は聞いてるわ。私の友人をよろしくお願いします」


 そう言って右腕をスッと差し出す。


「いけません姫さま!例えわたくしを守護する者だとしても、彼は使い魔であり魔法の使えない者なのです!!」


 右手を差し出す。
 その意味を即座に理解したルイズは今までの静かな態度が嘘の様に猛烈にアンリエッタに抗議を始めた。
 気に食わない。
 気に食わないのだ。
 例え手だろうが、自分以外の人間にサイトがキスをするなど。

 もっともそれはルイズの深層心理で揺らいだ陰のような物で、本人はその気持ちにまだ気付いていなかった。
 表向きは彼女の貴族としての矜持とメイジと平民の関係、王族としての権威とその血を僅かながらでも流す自身へのプライドだ。

 つまりまだ現時点では彼女の心は貴族のまま、という事だった。
 どんなに衝撃的な出会いがあったとしても、これまでの生き方というのは早々簡単に変わるものではない。


「よいのです、ルイズ。忠節には報いねばなりませんから。さぁ」


 そう言ってサイトに微笑むアンリエッタ―――――の顔が凍りついた。

 サイトは、アンリエッタを見ていなかった。
 トリスティンの花と謳われたアンリエッタの手の許しをスルーしていたのだ。
 繰り返して言うが、アンリエッタから見たら平民の、サイトがだ。

 彼の目線は最初から、この部屋に入ってから現在に至るまで自己紹介の時を除いてずっとルイズに固定されていた。
 それは今も変わらない。


「え?」


 ルイズはルイズでビックリである。
 今までの話の流れでどうこうなったかは彼女には解らないが、今部屋に居る自分以外の2人は両方とも自分を見ているのだ。
 しかもアンリエッタの方は、どうも怒っているようである。

 つまり

「いくら何でも平民が王女に手を許されたのに無視するってどうなの?いくら貴女が私のお友達だからってこればかりはスルー不可よ?不可不可よ?」

 そう目で言っていた。
 一方サイトの方は、いつもと同じようにルイズを見ていた。
 普段通り、"いつもと同じように"だ。

 一瞬沸騰しかけたルイズの頭がその視線で急速に冷めて行く。

 彼は何かを自分に訴えてるのだ。
 自分では出来ない何かを。
 何に対して?
 この部屋には他にアンリエッタしか居ない。
 彼に出来なくて私に出来ること?
 平民だと思われてる彼はアンリエッタに対し話しかける権利が無い。
 なら私が話すべき事は………私でないと意味が無い事。


「申し訳ありません姫さま、先にお話しておくべきでした」

「なんでしょう?ルイズ」


 突然深々と頭を下げたルイズにアンリエッタは戸惑う。
 その反応は想定していなかった。
 あのプライドの高いルイズが言っちゃ悪いが平民のために頭を下げるとは。


「この者、私の使い魔サイトはサモン・サーヴァントのゲートより始祖の導きで現れた者です」

「え…えぇ、それは解っています。ルイズ。それが…」

「お聞きください。ですがこの者の持ち物や服をディテクト・マジックや錬金で調べたのですが、このハルケギニアに存在するどんな材料とも全く違う事が解りました。全てです。靴も、服も。さらに言うなら、ハルケギニアに完全な闇色の頭髪を持つ人間は居ません」

「…どういう事ですか?」

「この者は別の世界から私を守護するためにやってきたのです。彼の世界には魔法も、ブリミル教も、ハルケギニアは勿論メイジもアルビオンも……そしてトリスティンもありません。この国の人間でも、私たちが知る他の国の人間でも無いのです」

「………つまり、トリスティンの国民でない彼は私を敬う理由は無く、トリスティンと国交を持つ国の国民でもない彼は私に礼を尽くす理由も無い。そういう事ですか?」

「はい。この者に対しては如何なる身分も肩書きも称号も何ら意味がありません。ただ、一人の人間として接する他にないのです。ですので、わたくしはヴァリエール家の三女としてではなく人間・ルイズ・フランソワーズとして彼と付き合っています」

「メイジと使い魔として」

「それは勿論」


 アンリエッタはしばらく考えるように首を捻った後、サイトにもう一度手を出した。
 ただし、今度は手のひらの角度を90度変えて。


「ではルイズの友人として、一人の人間・アンリエッタとしてお願いします。どうか私のかわいい友人をお守り下さい。そして、出来れば私の友人になって下さいませんか?サイトさん」


 その手を握り返し、今度こそサイトは答える。


「是非もありません。我が主の御友人、アンリエッタ殿」


 そう言ってサイトはニヤリと笑った。
 どうにも胡散臭い笑い方だったが、それでも宮廷で政戦を行っている連中と比べれば随分マシに見えてしまうあたりアンリエッタも相当疲れているようだ。





(そういえば、政治が絡まない握手なんて何年振りで――――)

「で、アンアン。一つ確認をしたいんだけど」
「ブッ…ちょ!サイト!!」


 せっかくいい雰囲気で纏まりそうになってルイズがため息をついた瞬間、サイトがまた爆弾を放り込む。
 どうもオチがつかないとダメな性格らしい。
 慌てて止めに入るルイズを、アンリエッタが片手を上げて制した。

「一人の女が友人の部屋で一人の男友達とお話しているだけです、構いませんルイズ。なんでしょう?サイトさん」

「現在目的地のアルビオンは戦争中だっけ?アルビオンの王族を殺そうとしている反乱軍より先に接触するとなると反乱軍と間違いなく杖を交えるハメになるんじゃないかな?」

「は、はぁ……」
「何が言いたいの?アンタ」

「我が主は今の所人を殺した事が無いんだが……そうすると殺されるか、殺されない為に相手を殺す事になるんだけど。その辺は二人とも了解してるんだよね?まぁなんとかするけど。準備しよっか、ルイズ」


「いえっ……その……決してそのような…そんな……そうだわ、なんで気付かなかったのかしら。私、ルイズに何て事を」

「何言ってんの?当たり前でしょう。私が出来なかったらアンタがやんのよ」

「ルイズ!!」


 やっぱり、切羽詰ってたんだろう。
 6000年続いてきた王政が崩れるなんて誰も思わなかっただろうし、若さに任せて送ったラブレターで国が傾くなんて思わなかっただろう。
 彼女は頭が良い。
 だから今更ながら気付いてしまった。
 戦争中の国に、しかも負けている方を訪ねるという行為が、どういう意味か。
 だが同時に年齢相応の愚かさという物も持っていて、それをマザリーニに知られない内に処理してしまおうと思ってしまった。
 それほどまでに初恋の相手の死が確定しかかっているという事実は、アンリエッタから冷静さを奪っていた。



 一方ルイズはそれ程事体を重く考えていなかった。
 本当にダメなら正面から反対するだろうサイトは。そう思っている。
 だけど彼は聞いてきた。
 つまり…

 "これは、自分の覚悟を試している"

 他にもいくらでも解釈のしようはあった。
 例えば警告してるとか、使い魔の身分だから正面から否定出来ないとか。
 それでもルイズはそう判断した。
 サイトの中にアルビオンの知識など殆ど無いはずなので彼の判断があんまりアテにならない事は完全に棚上げした。
 ようは彼を信じられるか、彼に命を任せられるか、使い魔を信じ抜けるメイジであるか、その一点なのだ。
 その問題なら答えは出てる。
 当に出ている。
 そしてそれが変更される事は無い。

 人間・ルイズ・フランソワーズは自らの騎士・ヒラガ・サイトの魂を決して疑わない。

 それが絆だと信じて。
 自分にはその覚悟があるとハッキリ伝えるために。
 サイトの目をまっすぐ見て答えた。

「私とアンタで出来ないことがあると思ってるの?」

「バナナはおやつに入りますか?」

「3本までなら許可するわ」

「よーしテンソン上がって来た!デルフ!大暴れできるぞ!」

<俺の時代か!>

「お前の時代だ!」


「ちょ!ちょっと待って下さい!!今のナシ!!ナシです!!!」


 ばたーん!!


「そうだ待ちたまえ!!!このギーシュ・グラモンを抜きに話しを進めないで貰おうか!!!」

「…アンタ見回りしたんじゃなかったの?」

「おかしいな、朝まで目が覚めない程度には殴っておいたんだが……」

「はっそんなもの、我が忠義の前には何の意味も持たないのさ!!アンリエッタ様!!我らがトリスティンの最も美しい花と謳われるアンリエッタ様!!このギーシュ・グラモンも姫の手紙を取り戻すお手伝いをどうかさせて下さい!!」

「お知り合いですの?サイトさん」

「グラモン元帥の息子さん。見た目より骨のある男です。役に立ちますよ」

「まぁ!あのグラモン元帥の?!」

「ちょ、アンタ何テキトーな事を「なぁに、いざとなったら囮に使ってポイよ。ククク」あぁ、深く理解したわ」




「ってですから!さっきのはナシです!!」



 ギーシュの乱入によりgdgdな流れになったが、アンリエッタは強引に元の話題に戻す。
 が、今更行くなと言われても困るし、アンリエッタと友達になった以上ウェールズが居ないと後々碌な事が起きない。
 それは確定事項だった。
 しかしウェールズさえ居るなら友達というのも中々悪くないポジションだ。
 何ら権力とも責任とも無縁で、かつアンリエッタと直通回線を確保できるのなら、この関係は今後の平和な日常に大きく貢献してくれるはずだ。

 そんなワケなので


「駄目だな」


 何としてもサイトはアルビオンに行かねばならなかった。


「あぁ駄目だ。全然駄目だぜアンリエッタ」

「な、何を……おっしゃるのです?」

「この一件、"マザリーニ卿にも知らせていない"んだろ?」

「何故……そこまで……?」

「もうどうにもならなくて、誰にも頼れなくて……だから最後の希望を探してここに来たんだろう?」

「それは…そうですが……でも」

「どの道アルビオンが滅んでゲルマニアとの協定も失敗すりゃ次に滅ぶのはこの国さ。そうなったら公爵家の人間が国から逃げ出すかい?いいや、絶対に一歩も引かず最後まで戦って、全員討ち死にするね。だからさ、誰かがやるしかないんじゃない?」


 そう、決まっているのだ。
 ルイズの命が危険に晒される事は、最初から決まっている事。
 この貴族の鏡である我が主は、祖国の窮地を前に亡命など……絶対にしないだろう。


「結局今危険な目に会うか、少し後で戦って死ぬか。その2択しかないんじゃないかな?」

「あぁ……なんて……始祖ブリミルはなんて辛く悲しい選択を迫るのでしょう……わたくしは……どうすれば……」

「……煮え切らないなぁ……しかたねぇ、5円玉と糸ー!!」

「何それ?」

「ふーふーふーふー(ドラえもん的なアレで)、…まぁ見てなって」

 


 そんなワケでアルビオン行きが確定した。
 糸の先に結んだ5円玉が暗示系マジックアイテムとして神の頭脳に認識されたのはイロイロもうビックリである。





-深夜-

「どうしたの?二人が帰ってからサイト、変よ?」

 アンリエッタは王宮への帰路につき、壁(ギーシュ)は明日に備えて男子寮に戻った。
 今ルイズの部屋に居るのは部屋の主とその使い魔だけ。
 明かりの無い部屋の唯一の光源は、窓から差し込む僅かな星明りのみ。

 その星明りを背に、使い魔は立つ。
 先程から何かを言おうとしてはやめ、頭をポリポリと掻く姿はどこか打ち明け辛い事実を持った兄が妹に見せる態度に似ていたかもしれない。


「……ちょっと、真面目な方面の話をしよっか」

「な、何よ突然、気持ち悪いわね」 


 ルイズの自室内ではここ最近見せなかった真面目顔に、ルイズは唾を飲んでイスに座った。
 座る事はベッドにもできるが――というか普段はベッドなのだが、今は何故かイスの方がいい気がしたからだ。


「前にさ、ブリミルの使い魔も人型だとかルイズが虚無って話……しただろ?」

「覚えてるわ。あの夜、あの場所で、貴方に聞いた言葉、今でも全部」


 それは初めてルイズの騎士がルイズを命の危機から救った日。
 そして、それは初めて二人で笑い合いながら食事を食べた日。
 ルイズはその日の事を全部覚えていた。
 覚えようとして日記になるべく詳しく書いて何度も読み返して。
 その日記は、サイトすら知らない場所に隠してある。


「あれさ、ホントだって言ったら……信じてくれるか?」

「信じるも何も……最初から疑ってないわよ」


 何度でも彼女は言外に伝える。
 "ルイズ・フランソワーズはヒラガ・サイトを疑わない"と。 
 伝わっているような気もするし、伝わってないような気もする。
 それでもいい、それはルイズ本人が勝手に決めたルールなのだから。


「……こっから先の事は出来れば誰にも言わないで欲しい」

「いいわ、始祖ブリミルに誓って」

「そのブリミル様が問題なんだがなぁ…」


 そう言って頭をがしがしと掻く。
 どうにもならない現実、世界を激震させる渦の中心にこの少女を引きずり込むフラグは、産まれた時から達成されていたのだから。


「まず虚無系統のメイジは基本的に他の4系統を使えないから、コモンマジックが使える使えないに関わらず落ちこぼれ扱いされる」

「………うん」


 ルイズにしてみれば、"昔のルイズ"だったならば、到底許容できない侮辱の言葉だったかもしれない。
 でも今は違う。
 理由があるのだ、魔法が使えない理由が。

 "虚無"

 もしそれが本当ならば、自分が他の系統を使えないのは当たり前。

 そして4系統を使えないならば落ちこぼれ扱いされることもまた、当たり前。

 未だ自らの虚無を発動した事こそないが、それでも、サイトが虚無だと言うならば……


「虚無系統を持つ条件は"一定以上の割合で王家の血、つまり濃いブリミルの血を引いている事"」

「……つまり、姫さまが目覚める可能性もあった。けど、虚無はラ・ヴァリエールに……私に宿ったのね?」


 そう、一定以上のブリミルの血。
 直系子孫や親戚同士の交配により残された血筋こそが、虚無へのチケット。
 魔法は、血で遺伝する。
 どこかで聞いた話じゃ、全てのメイジは少しづつブリミルの血を引いているとか。
 ブリミルの子は各王家の祖に1人づつ。
 つまり全てのメイジは第一世代をブリミル1人、第二世代をその子供3人が担う巨大な系譜に名を連ねている事になる。

 そして、絶対に平民の血が混ざらず、純度の高い血を維持しつづけるのは、王家とそのごく近い周りだけだ。
 最も、ブリミルの子は平民と結婚した筈なのだが。


「現在他国に名が知れている中で"王族の血を引いていて4系統が使えない"のは2人」

「ひとりは公爵家3女の私……ってまさか……!!」


 ルイズの知識の中で該当する人間は唯一人。
 ハルケギニアで最も巨大で最も高い軍事力を持ち、そして最も無能とされる男を王とする国の……王だった。


「間違いなく、ね。そして今アルビオンを打倒しようとしてる反逆者グループも、虚無使いが居るって話。こっちはまぁ誰とは解ってないから嘘かもしれないけど」

「王家から分家されて没落した貴族の末裔の可能性が……ある……のね……アルビオン王家を狙って……私……"虚無"同士が敵対するって事?」


 サイトはルイズの言葉に首を振った。
 重要なのは、重要なのはそこではないのだ。

 実際はレコンキスタの虚無は偽の虚無なのだが、今ルイズが知りえる知識の中に指輪の存在は無い。
 だから、あくまで虚無が居る"かも"しれないのだ。
 だが仮に"虚無"が居たとしたら……?

 いや、レコンキスタに与する者の中に虚無はいるのだ。
 ガリア王その人が。
 そして、その使い魔が。

「もし本当に虚無に目覚めたメイジが居たら、"そいつは4系統を使えないメイジが虚無である事を知っている"んだ。だから………」



 だから、もし……




 もしも、ルイズ……




 君に"隠れた力がある"と囁くヤツが居たら………






「敵なのね?虚無を使ってアルビオンを滅ぼそうとしている虚無の仲間……」










 あとがき


 ワルドざまぁwwwwwwwwwwww

 宣言どおりサブタイにまたしても内容が追いつかなかったぜ!! 


 次回【卍解 超光剣 エクス・カリバル・デルフリンガー】をお楽しみにね!!
 アンのワッフルもあるよ!



[6951] 【升?】ウチより酷いサイトが居たら連れて来い、俺の>>1は更にその下を行く 8スレ目【いいえmoeです】
Name: shibamura◆f250e2d7 ID:62682b13
Date: 2009/10/21 00:30
 結局サイト達は、ほとんど原作沿いでアルビオン王宮、ロンデニウムに辿り着いた。
 パッと見、一番の違いはサイトが無傷―――ライトニング・クラウドのダメージを全く受けていない所だろうか?

 此処までくるまでの道程も、ワルドから観測できる範囲では原作とそれほど変わらなかった。

 トリスティン魔法学院前で合流し、盗賊を撃退し、決闘ではサイトが負けた。
 あまりのアッサリ振りに間違いなく手抜きだとルイズが気付いた点だけは原作と違うが。

 彼が、いや、デルフリンガーが"ガンダールヴでは出せない力"を出した所も違う点だ。

 では、そのあたりから見てみよう。





「だから俺は言ってやったのさ、『コレの上を行くチートがありゃ持って来い』ってな」

~shibamura氏 インタビュー"ワッフルSSとは何か?"より抜粋~



【升?】ウチより酷いサイトが居たら連れて来い、俺の>>1は更にその下を行く 9スレ目【いいえmoeです】



「囮作戦」

「二手に別れるしかない……か。囮ってのは敵を倒す事じゃないからな、ムチャすんなよ」


 時間的な余裕がない、というのは本当だ。
 あと数日で王宮は落ちるかもしれないし、船だって明日の船すらキチンと出るかあやしい。
 なにせ今は戦時だ。
 交通制限や積荷のチェックの厳重化をされるだけでアルビオン行きは困難になってしまう。
 クラスメイトと別れの会話を交わした数分後、やはり原作どおりワルドの偏在が現れる。

 アレは不味い。

 如何にサイトが色々人外とは言え、雷より早く走れる訳ではない。
 ライトニングクラウド発動前に潰すか、発動後の対策が必要だった。

1.雷を受けたサイトは電撃の"発"が使えるようになる。

  ノン、サイトは念使いではないし、ゾルディックの血も引いてない。

2.デルフリンガーを地面に突き刺し、アースにする

  ノン、既出ネタ。

3.助からない、現実は非情である。



 NO!NO!!NO!!!

 痛いのはイヤだ!!


「仕方ねぇ、ちっと本気だすぜ?第二印開放!!デルフ!!!」

<お、おおおおおおおお!!!!>


 光を放つルーンは2つ。

 1つは当然、神の左手ガンダールヴ。
 己の身体を強化し、武器の性能を引き出す能力。


 もう1つは神の頭脳、ミョズニトニルン 。
 デルフリンガーの"魔力を吸収する"という"マジックアイテム"としての性能を限界まで引き出す能力。


 それらは各ルーンに追加されたドスペラードの導きの元、何ら不整合を発生せずに同時に力を発揮し、デルフリンガーの性能を限界まで引き出し、使いこなす!!


「っ!?」


 つまり結果は簡単だ。

 雷撃が剣先から手に伝わる前に、全てを純粋なマナに還元し吸収してしまえばいい。


<薄味だなァオイ。見た目は派手だが大したこと無ェじゃねぇか、"若いの">

「ハハッ流石!!流石は"世界を喰らう"と謳われた魔剣だけはあるぜお前!!そこっどけよぉぉおおおおお!!」


 ライトニングクラウドの直撃を受けて無事な人間を見たことが無かったのだろう。
 というかサイト以外ありえないのだが、偏在が一瞬怯んだ隙に斬り付けた上時点でデルフに完全に"喰われた"。
 カランと落ちたのは仮面だけだ。
 コイツ……まさか同じデザインの仮面を何個も買ってるのか?
 薄暗い店で仮面を物色してるヒゲの姿を想像すると少し笑えるんだが。


「急ぐぞ、二人とも。次の追っ手が来る前に船に乗るんだ!!」


 確かこれ以上の追っては来ない…というかワルドが潜在を唱えない限り出現しない筈だ。
 事前に知ってるサイトの実力も過小評価してる筈なので、予備が居るとも思えない。
 だが、早く乗る方が良いだろう。
 空を滑り出す船を早く見れば、それだけギーシュ達の生存率も上がるのだから。


 一方、そんなサイトの心使いは無用と言わんばかりに、宿屋の方では戦闘が終了してしまっていた。
 ワルドの姿が見えなくなった瞬間、フーケが撤退したためである。
 残った盗賊崩れでは、例えメイジが混ざっていようともキュルケとタバサの敵ではなかった。


「ま、ひとまずはこんな所ね。フーケの言ってた"ボーヤに感謝しなさい"ってのも気になるけど……直接会って確かめるしかないわね」

「出発は明け方から可能」


 ラ・ロシェールまでの運搬でシルフィードには疲れが溜まっている。
 アルビオンに行くならアルビオンが最も近づき、かつシルフィードの疲れが癒える朝を待つしかなかった。

 そして朝出発して夕方に付けば、さらに次の昼過ぎには……つまりルイズの結婚式にはギリギリで間に合う時間だ。

 物語は、奇妙なほどに"原作と一致"して進んでゆく。
 まるでこれからの嵐の前触れのように。



◇◇◇◇



「どうだい?楽しんで頂けているかい?」

「えぇ、旨いワインですよ。少なくとも自分が飲んだ今までのどれよりも」

「それはよかった。代々伝わる蔵にずっと眠ってた物なんだ、それは。…まぁ、反徒共に飲ませるよりは…な」


 アルビオン王家最後の宴。
 そう、まさしく最後の晩餐と言うべきパーティーの片隅で食事をしていた使い魔に話しかけてきたのは、意外な事にウェールズだった。
 原作でも話しかけてきたっけか…と妙にサイトは納得しながら魚を食べる。
 本人は気付いていないが、それはこの空間の中でも希少な"海魚"の料理だった。
 なんせ、アルビオンには海がないのだから。
 それを食べれるのは一部の貿易所近所に関わるものか、王家くらいなのだ。
 最も固定化が掛けられて保存されていたソレは、少々古いものではあったが。
 まさに"最後の晩餐"で食べるための料理と言っても差し支えないだろう。

 何故自分に声を掛けてきたのか?
 そう視線で問うサイトにウェールズは答える。


「なに、我がアルビオン王家への最後の客だからな。全員に挨拶はしたいと思ってね」

「あぁ、成る程……ワインどうです?自分の故郷では目上の人間には酒を注ぐ風習があるんですよ」

「頂こう。正直ソレが目当てでもあったのだ。周りに人が居ない今だから言うが、実は子供の頃から憧れていたのだよ。というよりよく見つけてきたな。父上の席の隣のテーブルにあった筈なのだが」


 サイトが注いだワインを眺めるウェールズ。
 何も知らないサイトが伺い知れる筈も無いが、このワインはもう500年も前にトリスティンとの友好の証として交換した15本のワインの内の最後の一本だったのだ。
 まさしく親から子へ枕元で伝えられてきた伝説のワイン。

 水の国から伝わった"アクアヴォルドールシリーズ"。

 今サイト達が飲んでいるのはその最後のナンバー。

 "No.15 グラドリアス"

 名前の通りグラドリアンの水を治水工事と水車、そして風石や魔法の力により湖より海抜の高い山地まで態々運び育てたブドウ。
 それを樽に詰めて3年間湖に沈めて熟成するトリスティン王室御用達の一本だ。

 またグラドリアスはグラドリアンとグラジオラスを捩った銘。
 グラジオラスの花言葉は、"忍び逢い"
 偶然にも、ウェールズの心情を反映した銘だった。

 残念ながら工法や施設は長い時の中で失われてしまったため、ハルケギニア中を見ても5本残って居ないだろうと言われる正に幻の銘柄である。
 まだシリーズの残数が5を割って居なかった頃は戴冠式や結婚式で飲まれる事もあったが、ここ100年の王家の歴史にこのシリーズの封を切ったという記述は無い。

 余談ではあるが当時の公爵家からはそれぞれ1本、つまり現在では取り潰しや戦争で断絶したワインも混ざっていた。
 全シリーズが揃っていた場合、今であればその100倍の質量の黄金やダイヤ以上の価値があっただろう。
 白に赤にロゼと多種多様なワインを内包したシリーズであるが、一番旨いとされたのは、
 (トリスティンから各ワインに関する注釈がそれぞれ辞典並みの本で付いてきた)


 "No.08 ロッタヒル・ルージュレス(白)"

 それにこの"No.15 グラドリアス(赤)"であった。


 うん、でもそんなの関係ねぇ。

 1分近く黙ってグラスを眺めていたウェールズはついに決心したのか、グイとワインを口に含む。
 すると其れは、味わおうとする本人の意思を丸で無視して、自分から進むように喉の奥へと流れる。
 しまった、と目を開いた瞬間鼻から脳に突き抜ける強烈なブドウの香り。
 まるで自分の口や顎や歯や舌が全部ブドウになったのかと勘違いするほどに濃厚な香りはそれでいて決して不快ではなく、甘すぎず渋すぎずの絶妙なバランスの後味はまるで無限に飲み続けられると錯覚してしまう程に口当たりがよかった。


「確かに……旨い」


 ほぅ、と視線を空中に泳がせてウェールズは呟く。
 今この瞬間、彼の頭の中に戦争は存在しなかった。
 家臣もレコンキスタも、もしかしたらアンリエッタでさえこのワインに追い立てられてしまったかもしれない。
 
 しかし別のこのSSはワインSSではないので本題に戻る。




「部外者の君に我々は……いや違うな。これは逃げだ」


 至高のワインを暫しの間楽しんだウェールズは、改まってサイトに質問を投げかけてきた。


「君から見て、一人の男から見て……私はどうだろう?私はこのまま戦って死ぬ事が貴族として、男として立派な事だと思っているのだが………」


 アンリエッタの手紙を見たからか、それともトリスティンから500年前に伝わったワインを飲んだからか、言葉に出来ない感傷に包まれたウェールズはサイトに尋ねてしまった。
 自分は男として、正しいのかと。
 死に行く男に対しては、サイトも真面目に答えようとする。


「間違ってはいない……と思います。自分の国でよく言われる言葉にこんな言葉がありまして」

「聞いていいかい?」

「お互い残りの命が少なくなった時の話ですが、"女は最後の一瞬まで男と共にありたいと願う"。そして、"男は女に一秒でも長く生き延びて欲しいと願う"……と」

「つまり僕は君の国で言う男の矜持を貫けたと?」

「さぁ、どうでしょう……」

「違うのかい?」

「額面通りに受け取るなら、正にウェールズ王子の言うとおりですが、自分としては少々違いますね」

「どんな風に」


 サイトは空になったお互いのグラスに"グラドリアス"を注ぐ。
 ちょうどワインは、それでなくなってしまった。
 ご主人様の分が無くなったな、と一瞬思うがそういえば酒は駄目だったっけと思い直す。
 こんな日に酔いつぶれられても堪らないし、男同士で飲み干すというのも悪くないとも思ったからだ。


「男がそう思っていいのは、自分が出来る事を全てやり尽くした後だと思いますね、自分は」

「私は最後まで戦って死ぬつもりだが、足りないと?それとも逃げ出すとでも思っているのかね?」

「いや、そうは思ってませんが……例えば今からトリスティンへ行ってアンリエッタ王女を掻っ攫い、追っ手を倒しながらひたすら逃げて……この世の果てで追い詰められた最後の瞬間、彼女を背に戦いを挑むならそれもアリだと思っただけです」

「そんな事……できるわけ……なかろう……ッ」

「そう、つまり貴方は、一人の女に対して男であるよりも王子である事を選んだ。まぁそれはそれで立派な事だとは思いますが」

「冒涜しているのか…君はっ……私をっ!!」

「滅相も無い、ただもうちょっと素直になってもいいと自分は申し上げてるんです」

「先ほどから……君は何を言いたいのだね?」


 激昂しかけたウェールズに対しサイトは話題をそらしつつ、ウェールズを追い詰めてゆく。


「アンリエッタ様とは随分お会いになってないと思いますが……今の彼女の姿はご存知で?あぁやはりお知りにならない。美しく育ってますよ、貴方が知っている最も美しい姫の姿よりも更に美しく。俗な言い方をするなら胸もかなり大きかったです。見たくはないですか?」

「ぐっ…」

「そうですね……例えば、こんな話はどうです?」



◇◇◇◇



「待たせたね、アンリエッタ」

「いやですわ、アンとお呼びになって下さい。ウェールズさま」

「それなら君も、"さま"は無しだよ。アン」

「……はい、ウ…ウェールズ」


 ウェールズに対してアンと呼んで欲しいと言いながらも、自分でも様を外す事に慣れていないアンリエッタは名前を呼ぶだけで真っ赤になってしまった。
 ここはトリスティンの中でも田舎の部類に入るド・オルニエールの領主の館、その地下室。
 トリスティンへの亡命を果たしたウェールズだが、王家の肩書き以外に何物も持たない彼の立場は正直かなり微妙だった。
 彼には部下も、領地も、領民も、財産すらも……最早このハルケギニアの何処にも在りはしないのだ。
 宮廷貴族からすれば、いや正直マザリーニから見ても、彼は邪魔者でしかなかった。
 亡国の王子、何もかも捨てて逃げ出した王子。
 かといって"かつて友好国であった"アルビオンの王子を無下に扱う事もできず、当座の領地を押し付けてトリスティンは完全な戦争状態に入らねばならなかった。
 しかも、負け戦のである。
 王家の打倒を果たしたレコンキスタはついに独立国家ネオ・アルビオンを名乗り急速にその戦力を増強、その圧倒的な力は今にもトリスティンを押しつぶそうとしていた。

 そんな中、2人の恋人は1つの奇跡に出会う。

 それは、かつての王達が使っていた秘密の通路。
 ド・オルニエールの地下室と王の寝室を結ぶ固定化された魔法。

 以来2日に1度、アンリエッタはウェールズを訪ねて夜を共にするようになった。

 本来訪ねてくるのはアンリエッタなので先の言葉は逆の筈なのだが、彼が地下室に来た再、既にアンリエッタは居たのだ。
 この所来る度に訪ねてくる時間が早まってきている気がする。


「アン、アン……」

「はい……はいウェールズ…」


 そして気付けば、抱き締めていた。
 右手に触れる彼女の髪はさらさらと流れてウェールズの"髪"という概念を打ち壊す程にさわり心地がよく。
 背中に回した腕で感じる彼女の肩幅は"男女で肩幅は違う"と知識の中では知っていたが、実際にここまで違うのかと驚かずには居られないほど細く華奢だった。
 耳元で囁く彼女の声は、体の芯に染み込むように心をくすぐる。

 その全てが、いとしい。

 ウェールズはアンの両肩に手を添え、そっと体を離そうとするが、アンリエッタはイヤイヤをするように顔を振り、ウェールズの体を更に強く抱き締める。


「顔を、見せてくれないかい?アン」

「だ、ダメです。今のわたくしの顔は……ウェールズに見せられる顔じゃありませんわ」

「いいんだ、君の笑った顔も、怒った顔も、恥ずかしがってる顔も、僕は見てみたい。ずっと、ずっと僕は、ただ想像する事しかできなかったんだ」

「ウェールズ……んっ」


 観念したのかおそるおそる離れたアンリエッタの顔を見た瞬間、思わずキスをしてしまった。
 あまりにアンリエッタの顔が可愛すぎて。


「もう、ウェールズったら」

「ごめん、凄く…可愛くて………自分でももうすこし抑えられると思ったんだけど」

「許してあげます、だからもう一度、ね?ウェールズ」


 そう言って微笑むアンリエッタの頬を撫でると、気持ちよさそうにアンリエッタは目を閉じる。
 口を近づけると気配で分かるのか、目をぎゅっと閉じる仕草に惚れ惚れする。
 彼女の震える長いまつ毛は、どうしようもなくウェールズの男の部分の嗜虐心をくすぐった。


「んっ……ん?」

 
 口付けをしながら、背中に再度まわした手をゆっくり腰に回し、少しづつアンリエッタに加重を掛けていく。
 当然支えきれないアンリエッタは、少しづつ、後ろに倒れてゆく。
 一歩下がったそこには、極上の柔らかさをもったベッド。
 ぽふっと綿に卵を落としたような音を立て、アンリエッタはベッドに押し倒された。


「アン……」

「ウェールズさま……」

「また"さま"が付いたね」

「あ……ひゃっ…そこ……はっ」


 お仕置きとばかりにウェールズはアンリエッタの首に吸い付く。
 シルクのように滑らかなそれは、唇に今まで感じたことのない感触を返してくる。


 ココヲ舌デナゾッタラ、ドンナ感ジガスルダロウ?


 ついにウェールズは、その欲望に耐えられなくなる。


「だ、だめですウェールズっ……だめっ…だ……んっ」


 既に彼女の両手首はウェールズによって押さえられていたので反撃は出来ない。
 それを良いことにウェールズはアンリエッタの首筋に顔を埋めて頬を擦り付けたり、自身の額を押し付けてみたり、鼻の頭でつついてみたりと、出来る全てでアンリエッタの感触を感じていた。

 そして男ならどうしても目が言ってしまうのは、アンリエッタの胸だろう。

 アンが着ていたのは寝巻き…しかもガウンの前を紐で結ぶタイプだ。
 蝶々結びされたそれを両手が使えないウェールズは咥えて引っ張ってゆく。


「放して……放して……恥ずかしいです。お願い、ね?」


 そんな声が自分の頭の上から降りかかってくるが、そんな声を聞けばなおさらやめられない。
 解けてしまったガウンの端を咥え、アンリエッタの胸を露にする。


「いや……いやぁ……」


 目を閉じていたアンリエッタも、胸が外気に晒されれば今自分がどういう状態なのかくらいわかる。
 自分の胸に掛かるウェールズの吐息がくすぐったく、また最高に恥ずかしかった。
 そしてそんな羞恥の心に燃えるアンリエッタの内面を表すように、赤く火照ったその大きな胸はまさに熟れた果実と表現するしかないような、全ての男に"食べたい"と思わせる魅力を放っていた。


「綺麗だ……アン」

「し、知りません!」


 首筋から喉の真ん中、男だったら喉仏がある部分を唇でなぞり、まっすぐに下に下りてゆく。
 それた谷間に差し掛かると、汗に濡れてしっとりとした胸が頬にぴったりと張り付く。
 そのまま無視してさらに顔を下ろすと、頬から剥がれた胸がぷるんと揺れ、その揺れにカッと顔を赤くしたアンリエッタの震えがまた可愛い。
 とうとう胸の谷間を通過した時、まるで「し」の字を描くようにウェールズの唇の進行方向が変わる。
 女性の第二の谷間、下乳の谷に。
 左の頬にはたぷたぷと揺れる柔らかい胸に、左の頬にはうっすらとアバラの感触が伝わってくる。


「だ、ダメですウェールズ……そんな……汗で汚なっ……」

「汚くなんてないよ。アンの体で汚い所なんて無い」


 そう言って胸とわき腹の境目に舌を這わす。
 女性独自の甘い体臭と汗のしょっぱさが混ざり麻薬のようにウェールズの脳をかき混ぜる。

「あっんぅ…だめぇ…ウェールズさまぁ……」

 
 

 省略されました。
 続きを読むにはびっくりするほどユートピア!と3回書き込んで下さい。


 え?卍解?ちゃんとするよ?最終話に。


 以下駄文
 二次SSの後書きと同人誌の後書きにはクソの価値も無いと思う方は避けたほうがいいと思う。
 (作者と、脳内住人である"涼宮ハルヒちゃん"の長門(ウサヘッドホン装備)の会話です。解らない人はハルヒちゃんで画像検索しよう)


「……おおぅ、なんという神シナリオ(ノートPCでトリ革を見ながら)」

「やばい」

「何か問題でも発生?」

「この前の更新からオレの中で「スルー不可よ?不可不可よ?ウフフフ」とか言いながらすっげぇ良い笑顔で両手を伸ばして草原でくるくる回るアンリエッタが頭から離れない。しかも素足で」

「間違いなく病気、早急に病院に行くべき」

「はっ!草原で素足だったら草で切れてしまうかもしれん!!」

「破傷風に感染する可能性がある。しかし彼女は魔法使い、問題ない」

「大問題だ!!早急に何か敷物を用意しなくては……しかしそこらの素材にアンリエッタのおみ足を果たしてガードできるのか問題だ。固定化と柔軟化の魔法が必要かもしれん」

「そんな魔法は無い」

「くそっなんてこった!ブリミルは俺達を見捨てたのか」

「貴方は……(もう、手遅れかもしれない)」

「俺?………な……そう、か……その手があったか……簡単な事だったんだよ!!長門さん、やっぱアンタ天才だ!!その手があったんだ!!」

「え……何?」







「つまり、くるくる回るアンリエッタの俺が下敷きになればいいんだ!!


「もしもし、黄色い救急車を呼ぶ番号ですか?早急に1台横浜へ」 



[6951] 【そろそろ】ハルケギニアに召還された>>1がクライマックスを迎えるようです 9スレ目【ゴールしてもいいよね】
Name: shibamura◆f250e2d7 ID:62682b13
Date: 2009/10/21 08:05
「びっくりするほどユートピ……はっ?!」

「どうした?"顔色が悪いぜ"?王子様」








「正直、これは掛けだ。が、このゲームに参加しているのは俺だけ。それなら俺はただ、笑うだけで勝てる筈だろう?」

~shibamura氏 インタビュー"最終章を書くに当たって"より抜粋~





【そろそろ】ハルケギニアに召還された>>1がクライマックスを迎えるようです 9スレ目【ゴールしてもいいよね】

最終章






……は当分先です。










「確かに、確率としてはそんな未来もある。それはとても儚くて、今にも消えてしまいそうな光だけど、確かにそこにある」


 ゼロではない。
 限りなくゼロに近いだけで。

 だが諦めてしまえば、今度こそゼロになってしまう。


「れでいいのか!そんな役目を他の男に譲っても!ウェールズ!!ウェールズ・テューダー!!!」

「よく……あるものか……あるものか!!そんな事!!到底許容できる事ではない!!!………僕だって……いや……僕が一番……アンリエッタを愛してるんだ……」


 セリフの後半は傍に居るサイトにすら聞こえるかという程に小さくなってしまったが、それでもサイトの耳には届いた。
 そう、届いたのだ。
 言いたい事を吐き出して抜け殻のようになってしまったウェールズに、今度こそサイトは本音を話す。


「やっと本音が出たな……鏡見てみろよ、今男の顔をしてるぜ、アンタ」

「だから……どうだと言うのだ……全ては……今更さ」

「俺が何とかする。そのために、トリスティンから来たんだ。今から言うことを信じても、信じなくてもいい。けど正しい事は、明日の朝にも証明される筈さ」


 新しいワインの栓を抜きながら、世間話をするようにサイトは話した。
 偽の虚無、アンドバリの指輪、本当の虚無の持ち主。


 そしてウェールズ暗殺計画を。


「俺の話がアテにならければ明日の昼まで何も起きない。ただ本当だったら"何かが起こる"。その予兆を見てからでも、きっと遅くは無いさ。そうだろう?」

「……………少し、考えさせてくれ」


 サイトの話に混乱したウェールズは、その場で固まってしまった。



 余りに"辻褄が合いすぎる"。

 偽りの虚無?
 アンドバリの指輪だと?
 死者蘇生だと?!
 蘇生させたゾンビを意のままに操るだと!!

 まさに今のアルビオンの現状ではないか!!!
 あぁ成る程、納得したさ。
 裏切る事なんて有り得ないような有力貴族が敗戦後に即寝返った理由も解った。
 お陰でこっちの威信はガタガタだ。
 全く合理的で卑怯な手段を使ってくる!!

 最も笑える所は、今更そんな事実を知った所で全てが手遅れだという事だ。
 仮に話を聞いてくれる貴族が反乱軍に居たとしても、信じはしまい。

 それにしてもアルビオンの虚無が"あのサウスゴータの地"から産まれていたとは、何たる皮肉!!
 僕もあの件については横暴が過ぎるとは思ったが、エルフだぞ?
 常識的に考えてエルフなんぞを妾にしている方が間違っているだろう。
 それが虚無とは!
 しかもハーフの息子の外見は完全に人間と同じで港町の平民として生きているとは、見つける事など不可能だろう。
 (これはサイトの嘘)
 探した所で「私がそうです」と名乗りでる訳が無い。

 僕の命だと?
 明日の夜を待てずに死ぬ僕を暗殺してどうすると言うのだ?
 いや、そうか、奴らは死体が欲しいのだ。
 大砲や上位スペルで粉々になっては困るのだ。
 下僕にして自分達の権威を高め王家を辱め、もしかしたらアンリエッタの居るトリスティンに対する駒として使うために。
 いや、絶対そうする筈だ。
 僕にアンリエッタを殺させる気か?

 畜生、絶対にそうはさせるものか。
 貴様らの都合になど付き合うつもりは更々無いのだから。


「あぁ。じゃあ俺はそろそろ失礼します。無礼の数々、すみませんでした」

「いや、些細な事だよ。君が教えてくれた事に比べたら余りにもね………ひとついいかい?」

「なんでしょう?」

「もし、君の言っている事が本当だと証明されて………いや、何でもない。今日はゆっくりしてくれ」


 その言葉を受け取ったサイトは、今度こそ与えられた部屋を目指して廊下に向かった。
 ウェールズが何を言いたいのかはいくつか候補が推測できたが、どれも死亡フラグって程じゃないだろう……多分。
 石造りの廊下を歩きながらサイトは窓から見える夜空を見る。
 大気汚染が無いせいか、それとも光源が少ないからか、もしかしたらより空に近いからか……アルビオンの夜空はため息が出る程美しかった。
 この世界の人間から見れば、もしかしたら当たり前の事かもしれないが、サイトから見れば、今までの人生で見た全ての夜空をかき集めたより尚多い星々がきらめく空は、まさに宝石箱の渾名が相応しいだろう。
 背後に聞こえていた晩餐会場の音もやがて聞こえなくなった辺りで、足を止めて夜空を眺めた。


「サイト?」


 5分?いや10分は眺めていただろうか。
 そんなサイトに声を掛けた人間が居た。


「そろそろ君も寝るのかい?ルイズ」


 ルイズだ。
 サイトの視線は夜空に向けられたまま。
 声を聞けば、いや声を聞かずとも、これだけの距離ならば気配でルイズが居る事くらいは解る。
 そしてルイズが今酷く傷付き、今にも泣きそうな顔をしていて、そんな顔をサイトに見られたくないのに、それでもサイトに話しかけているのも解る。



「ねぇ……そのままでいいから、ちょっと聞いて欲しいの」

「うん………」



 そして彼女が何を言いたいのかも、大体解っていた。




「私さ……ワルドさまに結婚を申し込まれたの」

「……………うん」


 ルイズが結婚の話を持ち出してから、返事をするのに少々勇気が必要だった。
 まさかいくらなんでもここで結婚を承諾するワケがねぇ、してもどうせブチ壊れるし。
 そうは思っては居ても、絶対では無いわけで。
 それでも返事はしなくちゃいけなくて。
 だから少し、時間が掛かった。


「"君の中には君が知らない力が眠ってる"ですって………笑っちゃうわね………ねぇ、結局……アナタの……言う……通りに……聞いてる?……サイト」

「あぁ……ちゃんと聞いてる」


 聞いてるだけじゃなくて、"聞こえている"。
 うつむいたルイズの顔から落ちた涙が、地面を叩く音まで、"聞こえている"。


「私………初恋だった……と思うの………でも……わた………サイト……」


 小さな足音が2つ、3つした時、ルイズはサイトの袖を掴んでいた。


「ねぇ……サイトは……私が……誰かと結婚した……ら……イヤ?」

「ルイズが選んで、ルイズが望んだ相手なら。使い魔として祝福する」


 ルイズの問いに、全く間を空けずにサイトは答えた。
 使い魔としての模範解答を。

 やはり、視線は夜空に固定されたままで。


「……そう」


 私は何を勘違いしていたのだろう。
 この世界には、私を愛してくれる人が居るなんて。
 そんなの幻だって、さっき初恋の相手に言われて解ってた事なのに。

 ルイズは悲しかった。
 ただただ、とてつもない悲しみだけが心の中に湖の如く広がり、自分がその中に沈んでいくような気がして、サイトの横顔も見れなくなって、俯いてしまった。




「けど男としてはイヤだな」

「?!」


 一度緩んでしまった、放してしまいそうになったサイトの袖をきゅっと握り締める。


「イヤだ、あぁイヤだ。認められるかそんなもん。俺が生きてる限り俺と結婚する以外ゼッテー認めねぇ。邪魔すんならワルドだろうが"烈風"だろうが"飛竜"だろうが、トリスティンだろうがレコンキスタだろうがエルフだろうがブリミルだろうがまとめて全部フッ飛ばしてやる」



 ビクン!と跳ね上がるようにルイズが顔を上げると、いつの間にかルイズを見ていたサイトと目が合った。
 これプロポーズ……なのだろうか?
 冗談で済ませるような表情ではなく、その黒瞳に宿る光は何処までも真剣そのもの。
 


「ねぇサイト、それって……」

「好きだ」

「え?」


 今まで、一度もサイトの口からは出なかった言葉。
 遠まわしに好意を表す事はあっても、決して直球を投げなかったサイトが投げた、ド真ん中ストレート。


「好きだ」

「そんな……急過ぎるわよ」


 今自分はなんというか、「フラれた直後」なのだ。
 確かに嬉しい。
 それは嬉しいけど、このタイミングはちょっと無いんじゃないだろうか。


「うるせぇ、好きだ」

「だとしてももっと言い方があるでしょ?」


 普段はやたらと言葉を飾る癖に、どうとでも取れる言い方をする癖に。
 何でこう、こんな時だけどうしようもなく不器用で、誤解する方法がゼロの言葉を私に投げるの?


「そんなのわかんねぇよ、好きだ」

「もっとロマンチックなのがいい!」


 肩を両手で掴んで好きだとかそういうのじゃなくて、もっとタイミングとか場所とか、あるでしょう?
 一大事なのよ?今。
 解ってるの?
 私にとっては世界が明日滅びるなんて事よりもよっぽど一大事なのよ?


「じゃあルイズはどうなんだよ」

「ば……馬鹿じゃないの……」


 アンタさ、デリカシーとか、そういうの持ってないの?


「お前はどうなんだよ」

「好きに決まってんでしょこのバカ!!」

「俺と結婚してくれ!」

「言うのが遅いわよ!」

「ダメなのかよ」

「するわよ!!」

「言ったな!」

「もう取り消せないわよ、私絶対忘れないから!!」

「じゃあ丁度良いからそのまま一生忘れんな!」

「言ったわね!」

「あぁ何度でも言ってやるさ!好きだ!」

「私だって好きよ!」

「いーや俺の方が好きだ!」

「私の方が好きに決まってるでしょ!」



 なんかもうお互い自分でも何を言っているのか良く解らなくなってきて、気付けばルイズはサイトの胸倉を両手で掴んでいて、喧嘩腰の愛の告白を態度で示すように、睨みあった二人の顔は徐々に近づいていった。



「絶ッ対俺の方が勝ってる!!」

「スッッゴイ好き!」

「負けねぇ!」

「だーい好き!!」

「負ける気がしねぇ!!」

「だーーーい好きーーーー!!!」


 ルイズにしてみればこの勝負、負ける訳には行かなかった。
 この世のどんな想いより、自分のサイトへの思いは重いのだ。
 例えそれが、サイトから自分に対する想いが相手でもだ。

 だから

 言葉じゃ好きの大きさが伝わらないなら


 
 態度で相手が察せ無いなら




 行動しよう。




「むぐっ…!!」

 
 抱きつくように、サイトの首に両手を回して、自分に縛り付けるように、キスをした。

 もう、昔みたいに長いキスで息を止める事も無くなった。
 お互いの息が頬にあたる感覚がくすぐったい。


「………なら、証明して」

「じょ………」

「じょ?」



「上等だァーーーーーッ!!」

「きゃあ!」



 その時ルイズをお姫様抱っこしながら廊下を駆け抜けるサイトの速度は、光を越えていたかもしれない。







 完







































 いや、あぁ、うん。ごめんね。
 まだ完じゃないよ。
 あと前話のワインの知識の下りは後から読み返すとなんかサンホラっぽいというか厨二っぽくて非常に気持ち悪くて書いてて気分が良かった。


 次から原作を1話で10回くらいレイプするようなクラウザーさんもドン引きな展開になる……予定です。
 ただワルドが影薄すぎてもうどうしようというか……どうしよう。



[6951] 【むしろコレでも】>>1がルイズと結婚したようです 10スレ目【自重している】
Name: shibamura◆be57115b ID:6b55b61c
Date: 2009/12/29 22:49
 その日も、彼はいつものように眠りについた。
 つまらない仕事をこなし、2chをチェックし、まとめblogも巡回した。
 ついでにニコニコのランキングチェックも忘れない。

 今日も特別な事は何一つ起きずに終わり、それを繰り返し日々を過ごすと思っていた。
 しかし、その日、その時、彼は彼女と出会い、契約し彼の日常は、確信は、あまりに呆気なく、燃え落ちた。
 あるいは萌え上がった。




 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは魔法が使えないメイジである。
 いや、使えない訳ではない、失敗するだけだ。
 しかしそれだけしかない、それしかない存在だった。
 その日もいつものように魔法を失敗し、学園の広場にクレーターを量産する作業を彼女の心が折れるまで続ける筈だった。
 けれど、彼と出会い、それ以外を得た。
 彼女は「人間・ルイズ・フランソワーズ」になった。

 彼、ことヒラガサイトとルイズ・フランソワーズ2人合わせて1つの存在である。
 この物語の始まりであり、終着点でもある。
 これは終わりではない、終わりの始まりですらない。
 しかし、あるいは、始まりの終わりなのかもしれない。






「ねぇ、ワガママ言っていい?」

「ん?」

「結婚式したいの。どんなささやかでもいいから。明日嘘の結婚式をする前に。貴方と」

「ルイズ………」



 夜、与えられた部屋に入ったルイズは開口一番にそう呟いた。
 イヤなのだ。
 演技とは言え自分の人生最初の結婚式が、自分を見ていない男とのモノなんて。
 そんなの絶対耐えられない。
 だからささやかでいい。
 ほんの一言愛を宣言してくれるだけでいい。

 結婚式を、ルイズは挙げたかった。




【むしろコレでも】>>1がルイズと結婚したようです 10スレ目【自重している】



「ルイズ……」

 手を伸ばし、そっとルイズの頬に当てる。
 手の平から伝わる滑らかさと熱量に、思わずサイトは呟く。


「年末進行なんだ……」

「え?」

「すまない」










 ついに誰かが望み、誰かが望まなかった朝日はその顔をハルケギニアに見せはじめてしまった。
 浮遊大陸であるアルビオンの朝日は特殊だ。

 全ての端が断崖絶壁のため、朝日は大地から空に延びるのに太陽の姿は見えない、そんな状態が小一時間ほど続くのだ。
 オーロラとはまた違った揺らめくことの無い光のカーテン。
 毎朝起きる、ここアルビオンでは普通の日常である。

 光は空で反射し、アルビオンをやさしく包み込む。

 戦火が今やそこと迫りくる礼拝堂も、その例外では無かった。


「誓えません」


 しかしその光も、この場で行われていた婚礼の儀を祝福する事はなさそうだった。
 天井で息を殺しているサイトの目に力が篭る。
 コードギアスにおけるルルーシュ皇帝宣言時のスザクをリスペクトしたので天井にしがみ付いていたのだ。
 ドスペラードが内包するガンダールヴの恩恵だが、明らかにルーンの無駄遣いである。
 
 一応、万が一、ワルドがレコンキスタじゃなかったら困るのでこうやって天井で待機していたのだが、間違いなかったようだ。


「……ミスタ・ワルド。ここは男らしく」

「黙れ!」


 窘めるウェールズにワルドが杖を向けた瞬間、サイトは天井を蹴り妨害に入ろうとして………


パシィィィィン

「なっ」


 固まった。


 カランカランと音を立てて地面を転がる杖。
 あまりの出来事にその場にいた全員が硬直してしまった。
 転がったのはワルドの杖。
 そしてワルドの手首には、ルイズの手刀が振り下ろされている。

「ちょ……おま……」

 とサイトでさえ固まってしまう。
 スクールデイズ最終話の言葉を超えたんじゃないかと思わせる見事な一撃だったからである。

「ルイズ、君は――――」
 
「使えない魔法なんて要らないわ。私には、心の底から湧き出る力があるもの」

「何を言って……?ルイズ!」


 杖を叩き落される、というメイジとして最も恥ずべき事をされワルドは戸惑った。
 しかも、それをやった相手は目の前にいる小さい少女である。

 今現在弓を引くように右腕を引き絞る少女にである。
 背景に「握力×筋力×速度=破壊力」の文字が見えるのは気のせいであろうか。

「人はそれを―――― "絆"とも呼ぶのよ!!」

 顎へ吸い込まれるような右ストレート一閃。
 ワルドは意識を手放してしまった。
 ついでに呆気に取られたサイトは天井の梁を手放してしまった。
 落下先であるワルドの背中に無事着地したのは言うまでも無い。


「ないないない、最近一部で流行ってるけどそれは無いと思うんだルイズ。真紅ファンに怒られるよ。俺は水銀党だからいいけど」

「仕方ないわ、だってあと3話しかないんだもの」

「あぁ、それは仕様が無いな」

「一体君たちは何の話をしてるんだ?」


 なにやら不穏な会話をする二人にウェールズが待ったを掛ける。
 あぁ、この人が居なかったら一体このSSは何処に行ってしまうのだろうか。

「ま、とにかくこれで証明されたかな?」

 げしげしとワルドの頭を蹴りつつウェールズに声を掛けるサイト。
 先ほどの会話は完全にスルーするつもりのようだ。

「王宮の中にすらアンリエッタに安息の地は無いのか……と僕としては溜息しかでない状況だがね………解った、君を認めよう。我が友サイトよ」

 結局、晩餐会でのサイトの話は本当だったのだ。
 虚無に魅入られた者、金で魂を売った者。
 トリスティンに最早、アンリエッタが本当に安心できる場所は無い。

(はは、説得されるまでもない。之では尚更……)


 死ぬ訳にはいけなくなってしまったではないか。
 いや、死んでなるものか。
 自分が死んでもアンリエッタを守れないなら……

 生きて、守り抜くしか無いのだ。


 決意を新たに教会内にある始祖像を見上げた瞬間、轟音と振動が室内を包む。


「……始まったか。秘策はあると聞いたが、アテにしてよいのだな?」


 ついに、レコン・キスタの軍勢が、戦争を


 再開したのだ。





「ひゅー、万単位の人間ってのは圧巻だなぁ。ま、コミケの参加者全員殺すよりは簡単だろうけどさ」

 城のかなり上階にあるウェールズ私室のベランダからの景色は、絶景と呼ぶに相応しかった。
 城壁を越えて遥か先まで見渡せるこの景色は、戦争相手が地面にびっしりと並んでなければさぞ壮観だっただろう。
 サイトは後ろに立つウェールズをチラリと一瞥し、獰猛な笑みを浮かべた。


「私に"ここで見ていろ"とは、信じていいのかね?君を」



 トリスティンから来た男は真実を持ってきた。
 しかしそれだけだ。
 この戦争を一人でどうにかするなど、正気の沙汰とも思えなかった。
 だがしかし、彼の主人たるあのミス・ヴァリエールの堂々たる佇まいは何だ。
 何が彼女をそこまで真っ直ぐに立たせるのだ。

 そうウェールズが一瞬の現実逃避をした瞬間、剣を突き出すように構えるサイトの手の中に変化が起きた。


「さぁ、やろうぜ……これが俺の卍解だ!!」

『う、うお…うおぉああああぁアアああァおおオオオオオ!!!』


 突然青き光がその手から零れたように見えた瞬間、サイトの持つ剣、デルフリンガーが叫び声を上げる。
 それは誰がどう控えめに聞いても、断末魔の叫び声にしか聞こえなかった。


「もっとだ……!もっと…!もっと!!」


『ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!!!!』


 刀身にヒビすら入り始め、今まさに4000年を生きた魔剣デルフリンガーはその機能を破壊されようとしているようにしかみえなかった。


「もっと……輝けぇええええ!!!!!」


 パァン、という小気味のいい音と共に、ついにデルフリンガーの刃は完全に砕け散る。
 だがその次の瞬間。


『は、ハハ、ハハハハハハ!!くはッ!!ははははははは!!』

 
 砕けた筈のデルフリンガーの声がベランダに響き渡る。
 その声は、普段の彼の声をより肉声に近づけたような、非常に滑らかな響きだったという。


「サイト……その光の剣は……?!」

「あぁ、ウェールズ。これが俺の全力全開、レイジングスターライトハート・エクスカリバルブレイカー・デルフリンガーだ!!」


 完全な青き光にのみによって構成された”超光剣 レイジングスターライトハート・エクスカリバルブレイカー・デルフリンガー”である。
 どうでもいいが混ぜすぎな上に長い。
 短くして超デルフと呼称する事にしよう。

 つまり、こういう事だ。


「刀身に見えた先ほどの金属部分は……その光の剣を収める鞘に過ぎなかったのか……」

「じゃあ、ちょっと行ってくるわ」

「えぇ、行ってらっしゃい」


 "知っているのか雷電!"役を見事にこなすウェールズを華麗にスルーしつつサイトはルイズに笑いかけ、ルイズも答えた。
 次の瞬間、ベランダの壁が轟音と共に弾け、サイトは姿を消した。


「くっ無事かミス・ヴァリエール……サイト!何処に……まさか、あの光がか!!」


 ウェールズがサイトの姿を探すと、先ほどサイトが放っていたものと同色の光がレコンキスタの軍勢のド真ん中に生まれていた。
 壁を蹴って敵集団に飛び込んだ際、単純な脚力でこの城壁に大穴を開けていったのである。
 


「さぁいくぜェデルフ!!」

『おぉ!!いけいけ!!今の俺はサイコーにクライマックスだぁ!!!』


 手始めにと自分の周りの兵士を次々に切り倒してゆくが、そこには血の一滴も流れない。
 なぜなら超デルフには物理的な刃は無いのだから。
 しかし物理的な特性を持たない光の刃は、次々に兵士の肉体の内部を抜けてゆく。
 その肉体が内包する魔力を根こそぎ奪い取りながら。
 新たな魔力を獲た光の刃はその長さを更に更に伸ばし続け、周りの魔力を縦横無尽に貪り尽くしてゆく。


「来い、来い来い来い来い来い来い来い来いコイコイ!!!」

『来たぜぇ!!来た来た来た来た来た来た来たキタキタァッ!!!!』

「『飛天御剣流・九頭龍閃!!!」』


「「「「「「「「「ガオオオオオオオォォォォン!!!!!!!!!」」」」」」」」」


 叫んだ瞬間、刃から”9匹の青き光の龍”が現れ、さらに魔力を喰らいながら成長してゆく。
 どっかの社長が見たら「美しい、これがブルーアイズ・アルティメット・ドラゴンソードか!」と喜びに打ち震えただろう。
 現時点でその全長は100メートルを超えていた。
 辛うじて混乱から精神的再構築を果たしたメイジが魔法を浴びせるが、当然龍に餌を与える行為に等しい。
 ただでさえ魔力を殆ど持たない平民から、例えメイジのスクエアまで、その青い光が過ぎ去った後には地に倒れ伏すしかなかった。
 アンドバリの指輪効果でリビングデッド(歩く死体)と化していた哀れな犠牲者達は、魔力を根こそぎ奪われただの死体に戻る。



 数分後、ニューカッスル城の外に立つ男はヒラガサイトただ一人しか残っていなかった。


「ハッ…ハッ…ハッ…ふぅ~」


 一仕事終えた後のイイ笑顔で回りを見渡すサイト。
 見渡す限り倒れ伏す人、人、人。
 これで1人も死んでいないというのだから驚きだ。
 しかもデルフ経由で余剰魔力を受け取っているので全くという程疲れを感じなかった。
 この世界における対軍戦闘ならほぼ無敵である事は間違いない。
 しかし全ての物に"天敵"は居るのだ。
 例えばそう


「やはり貴様は危険だな、それはそれで面白そうだが」



 目の前にいる、虚無の使い手とか。


「なっ、ジョセッ……」


 突然聞こえた声にサイトが振り向けばそこに居るのは”どこかで見たような顔”
 ガリアの無能王ことジョセフだった。
 だがそんな事より、ジョセフが此方に向けて構えているカードと、”腰に付けているベルト”にサイトは絶句する。


「変・身」


 そう呟いたジョセフは構えたカードをベルトのバックル部分の機械部品に差し込む。
 その瞬間、どこかで聞いた覚えのある機械音声が場に響いた。


<KAMEN RIDE KA・KA・KA・KA・KABUTO!!!>


 一瞬の閃光、サイトの視力が戻った時其処に居たのは、天の道を行き総てを司る戦士、仮面ライダーカブトだった。


「消えよ、<加速魔法(クロックアップ)>」


 さらに一枚のカードを追加でバックルに差し込むと、同じ声で今度は先ほどと違う内容が響いた。


<ATTACK RIDE "CLOCK UP"!!!>


 声が聞こえた瞬間、サイトの体は刃により貫かれていた。
 前から刺されたのか、後ろから刺されたのかも解らない。

 ただ、段々と暗くなる意識の中で



 自分を呼ぶ



 少女の声を聞いた気がした。







以下駄文



shibamuraです。
感想で「真面目にゼロ魔書いても面白いんじゃないの?」とのお言葉を頂きました。
えぇ、無理です。
無理無理のムッソリーニです。
どちらかというと設定厨のshibamuraはオリジナル路線とか無理です。
憑依とかクロスとか多すぎて他の作品より面白そうなの書けそうにありません。
とか言いつつやっぱり設定厨のshibamuraは設定だけは考えたので以下に晒します。

主人公・ジェシカ

彼女はある日押し入れから魔法に関する書物を見つけ、暇つぶしに読んでいた。
客相手の商売で相手に飽きさせないためには、それなりの知性も必要である。
当然のこと魅惑の妖精亭で働く彼女らは全員字が読めた。

「使い魔召還ねぇ……何処かに居る私の運命の使い魔よ、我が呼び声に答えよ……ってね」

「え?此処どこ?」

「…え?」

なんと大昔の王様と魅惑の妖精亭の誕生秘話には残されていない事実がある。
物語の英雄と違って血の通った当時の王様はイヤーンなキャッキャウフフな事をしてしまいなんとジェシカは王族の血を引いていたのだ。
杖を持ったことが一度も無かったので本来魔法を使えるはずのスカロンですら気づいていない始末である。
そして彼女には、知り合いにトリスティンの王女も居なければガリアの元王女も居ない。
異世界からやってきたサイトとジェシカのドタバタな日常が始まるのである。


………肝心の日常の話が全く浮かばねぇええええええええええ!!!!!!!!!!

無理だよ、やっぱ俺には真面目なオリ路線とか。



[6951] くぎゅが歌った恋愛サーキュレーションはやばい。5月30日は勿論くぎゅの誕生日を祝ったよね?
Name: shibamura◆f250e2d7 ID:6b55b61c
Date: 2010/06/11 00:45
サイトに魔改造、ジョゼフはライダー、そしてヴィットーリオは東方。
コレを超えるダメ構成は存在しないと思う。

~Shibamura氏インタビュー「もうどうにでもなーれ」より~





「……満たされん」

 ここは異界。
 万を超える人間が倒れ、努力どころか才能すら超越した「選ばれた者」が集う決戦の地。

 しかしそれでも……


「魔法も使えぬ歴史上最低の無能王からハルケギニアの頂点、か」


 彼、ジョゼフの心は全く震えて居なかった。

 かつての自分は最低だった。
 どんなに求めようが、努力しようが決して自己に答えることの無い魔法。

 同じ血を引いてもその才能で若くして周囲から羨望の眼差しを一点に集める。

 そして、手に入らぬと諦めていた時に渡された王位。

 ジョゼフは魔法が使えない、それだけで周囲から侮蔑の目で見られていた。
 だがだからこそ、魔法という物がどれほど価値があるか誰よりも知っていたのだ。
 なぜなら魔法以外で全てに勝っていた筈の自分より、弟を周りは評価していたのだから。

 そんな自分に王位が回ってきたのが、思えば始まりだった。
 そして、自分が虚無に目覚めた時もやはり、全てに嫌気がさしブリミルが作った世界を破壊しようと思った時だったではないか。

 全てはジョゼフが諦めた瞬間、もう要らないと思った瞬間にその手に転がり込んできた。
 だから、それらはジョゼフに何の感動も齎さなかった。

 忌々しい、ただ憎いだけだ。


 だから壊そう。

 神を殺せぬなら、その神が守り作ったというこの世界を壊そう。
 そう思って今まで生きてきた。


 だがもしかしたら、いや間違いなく――――


 同じ虚無の使い手ならば何かが共感できるのではないか。

 そう、思っていたのだ。

 この魔法主義社会で爪弾きにされた王家の血を引く者。
 自分と同じ、周り全てに見限られ、しかし全てを手に入れる力を押し付けられた者。

 会ってみたかった。
 話をしてみたかった。
 下らない不幸自慢をしてブリミルを罵倒しながら酒を飲んだらそれはどんなに楽しいひと時を過ごせるだろうか。

 そういう風に考えていた時期が、ジョゼフにもありました。

 完。



 というのは冗談で、同じ虚無の使い手が居たとして、それがどうしたと彼は考えていた。
 もしかしたら、先に書いたようにルイズと意気投合して笑いあう日がどこかの世界ではあったかもしれない。

 だが、それはそれだ。

 ジョゼフは見てしまった。
 自分の使い魔のマジックアイテムを経由して見てしまったのだ。

 もう一人の虚無の使い手、ルイズがウェールズと談笑している所を。

 繰り返すがこの社会において"階級"と"魔法"の関係の絶対性を彼は誰よりも知っている。


 だからこそ……

 魔法の使えない公爵家の三女が……

 亡国の皇子と話をしているという事実が……


 それだけが彼には許せなかった。


 アイツだけ上手いこと世の中渡りやがって。
 まぁ、台無しだがつきつめるとそんな感じだった。



「速さは全てに勝る。杖を持つ相手は口を開く前に殺そう、剣を持つ相手は鞘から抜く前に殺そう。さすれば、誰が私を止められる?教えてくれぬか、神に最も近き男よ」


 誰にでもなくそう呟いたジョゼフだが、その彼の正面の空間に黒いヒビが入る。
 やがてそのヒビは裂け目として広がり、その中に広がる闇のような空間から人間の手足が、体が、頭が、そしてついに全身がズルリと姿を現す。


「始祖から受け継いだ至宝を嫌悪する貴方の考えは私には解りかねますが……いえ、言葉は必要無いでしょう?私たちは余りに違いすぎる」


 神に最も近い男、ブリミル教が教皇にして虚無に目覚めた3人目、ヴィットーリオがそこに居た。


「そうだな、全てが今更だ。私は壊す。この世界を壊す。神の座になど興味は無い、それで正しいとも思っていない。だが、この歪んだ世界はそれで少しはマシになるであろうよ」


 旧友に出会えたような懐かしい目でヴィットーリオを見ながらも、どこか諦めたような口調でジョゼフはそう呟いた。
 

「奇遇ですね、私も神となるつもりはありません。ただ厄災を防ぎたいだけに過ぎません。ヒトが滅ぶか、繁栄するかはやはりヒト自身が選ぶべきでしょう」

「あぁ、そういえばそのような話もあったな。それこそお前らが言う神の意思では無いのか?ヒトは……傲慢が過ぎた」


 魔法主義な世界などクソくらえだと、壊してしまおう、後は放って置いても今よりマシな世界になる。
 そう主張するジョゼフ。

 ヒトが栄えるか滅ぶかはヒトが決める。私はただ大隆起という厄災を防ぎたいだけで、他は知った事か。
 そう主張するヴィットーリオ。


 お互いに共通するのは、自分が王や神になりたい訳ではなく、ただ何かしらの形で世界を救いたいだけ。
 その後の事はその時に生きている人間がなんとかするだろう、統治になど興味は無い。

 ただ、お互いが邪魔だという点だけはどうしようも無かったが。


 ジョゼフにとってみれば、大隆起は世界を壊すのに丁度いいイベントに過ぎない。
 コレがブリミルの意思ならばむしろ始祖ブリミルという個人を尊敬したっていい。勝手に捻じ曲げたのはその子孫達だ。

 ヴィットーリオは大隆起を防ぐために聖地を奪還する以上、聖戦の足並みを揃える気が無い大国ガリアの無能王は邪魔だ。


 お互いが邪魔というわかりやすい理由、そしてここは戦場。
 ならば、する事など決まっている。


「ならば、仕方があるまいよ」

「ならば、仕方がありません」



 ジョゼフはもう一度加速のカードを掴む様に掲げ、人差し指でトントンとカードの側面を叩いて戦いの意思を示す。
 対するヴィットーリオは、自らの左右に空間の裂け目を展開、交戦の意思を露にした。



<<ATTACK RIDE>>

恋符弐連【マスタースパーク】


 ジョゼフが純粋にその速さで世界から姿を消すと同時に、ヴィットーリオが左右に展開した空間の裂け目から極太の魔砲が放たれる。


 世界を破壊する男と、幻想と世界を繋げる男の戦いが、始まった。








 ルイズの前回のセリフが正しいなら、後2話らしい。

 あとサイトとルイズどこいった。


キャラクター紹介

・ジョゼフ
 速いです。
 加速できるから仮面ライダーにしてクロックアップにしました。
 一対一ならほぼ最強。
 これはひどい。


・ヴィットーリオ
 ワールドゲートがなぜかスキマになり、開いた隙間からスペルカードの弾幕が飛びます。
 面制圧させたら一人でハルケギニアの全空軍相手にしても勝てる。
 これはひどい。



 以下、ハイパー言い訳タイム。


まず1つ。
入院してました。まぁ半月くらいだけど。
職場で倒れて救急車乗って調べたら胆のうに石が2個できてて胆のう取りました。
総胆管結石の疑いがあって検査が増えたりして入院が伸びました。
結果有給が全滅しました。

2つ。
ノートパソコンが壊れかけたのでデータだけサルベージしてPC買い換えました。
バッテリーをはずすときに動かすツマミのバネが効いていなかったので交換しました。
修理に出しました。
帰ってきたらハードディスクが壊れてました。
もう一回修理にだしました。
ハードディスクは新品に交換されてました。
前のノートからサルベージした文章や音楽データが全部消えました。

ごめん……やる気でなかったんだ……ホントは前回からすぐ更新するはずだったんだけどね……

一応あと2話書く予定です。

そうしたら次はもう……どうしよう。
あと散々好き勝手やっててなんだけど他の作者さんもこう思ったりするのかな?



「SSってどうやって書くか未だに全くわからない」



[6951] とりあえず無理矢理にでも次で完結させるんだ……(sage)
Name: shibamura◆be57115b ID:3d2e0acf
Date: 2010/09/18 03:55
「ねぇ、ウソ……ウソよね……」

 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは目の前の光景が信じられなかった。
 例えるならそう、その光景は一つの芸術に近いものがあった。
 これが芸術なら、額縁に収められた絵画だとしたらどんなによかっただろう。

 だがしかし―――――――――



 目の前で背中から貫かれた槍のようなもので地面に縫い付けられ、倒れる事も許されず体を傾けている少年――サイトはどうしようもなく現実だった。

 ルイズはフラフラとサイトに近づく、近づけば近づく程ルイズの顔はくしゃくしゃになって、手を伸ばせば届く距離まで来た時には泣き出してしまった。
 優しく見守ってくれたサイトの目は瞬きを永遠に忘れ、最早何も写しては居ない。
 ルイズの手を握り締めてくれた両手も、だらりと重力に引かれるままに垂れ下がっていた。
 そしてなにより、サイトの胸の中心から地面に延びる棒状のナニカ。
 元は銀色だったろうそれは、サイトから流れた血によって真っ赤に染まっていた。

 ルイズはサイトの左手を握り締めてみる、まだ暖かい。
 まだ暖かいのに、生きる物に宿る圧倒的な"何か"が欠落していた。
 ついに耐えられなくなって、ルイズは嗚咽を隠すことを諦めた。


 そう、どうしようもなく、一点の疑う余地も無く、ヒラガサイトは死んでいたのだ。


 ルイズは、大きい、とても大きい扉が閉まる音を聞いた。
 体の奥、心臓か魂かは判らないが、確かにそういった何かから響くその音を、確かに聞いた。
 それは、絶望という名の音だった。

 まだ、何も始まってない。
 2人で実家に帰って結婚の許しを貰って、ダメなら家を出て、トリスタニアの片隅でひっそりと暮らそうと思っていた。
 自分にはお金を稼ぐ手段が無いが、きっと色々知恵が回るサイトならなんとかするだろう。
 サイトがどんな国でどんな風に暮らしてたか聞こう。
 子供は二人がいい、男の子と女の子が1人づつ。
 男の子が先だといいな。
 名前は、サイトに決めて貰おう。
 そして、父と母に、孫を見せに行こう。
 その時こそ私は言うのだ。
 自分を産んでくれてありがとうと、育ててくれてありがとうと………自分は今、最高に幸せだと。

 それは、ルイズが描いた小さく、ささやかな夢。
 ささやかだけれども大切で、それはこれから訪れてくる筈で、そしてそれは、何よりも暖かい時間に違いが無い筈だった。


 扉が閉まる。


 約束されていた筈の場所へと続く道が、閉ざされる。
 ガラガラと、道が崩れてゆく。

「……あ!」

 そして、気付いてしまった。
 涙で歪んだ視界の中で、握り締めていたサイトの左手の甲にあったルーンが、だんだんと薄れてゆく事に気付いてしまったのだ。

「そんな、消えちゃダメ……待ってよ……置いていかないで……お願いだから……何でもするからっ!……何だってあげるから!……だからっ!!」

 ルイズは目を閉じ、サイトの手の甲を額に当てて祈る。

 
 ブリミルでも精霊でも何でもいい、私の持っている物なら全て差し出すから、だから……っ!!


 目を閉じているルイズは気付かないが、ルイズの体の表面に魔力が溢れ始め、淡く発光を始めた。
 その光はルイズの上半身、そして額に集まり、サイトの手の甲へと消えてゆく。



 そして……
 
 
 
 サイトのルーンがやんわりと……
 
 
 
 輝きだした。







☆★☆★☆


 夢を――――見ていた―――――

 それは――――――少女を愛した少年の夢――――


「なぁ■■■■。俺っち、もっと強くなりてぇんだ。■■■■を守れる位に」



「何を焦ってるんだい?今でも君は十分に―――――」



「足りねぇ、全然足りねぇよ!!昨日だって■■■■は俺っちを守って怪我をして――――」







 ―――守りたい人が居た。

 ―――自分の全てを捧げても、守りたい人が。





「ゲホッ……っく……なぁ、コレで……最後だ……でも……俺っち……は……」



「すまない……僕が……」



「約……束……だ……ろ……?」



「あぁわかってる、わかっているとも。君の、魂は……死なせやしない。彼女を……頼む」











「ありがとうよ……ブリミル」

「なぁに、気にするな。僕の親友、デルフリンガー」


――――――――――――――――――
――――――――――――
――――――――
―――――
――






 以下本編より長くなるかもしれない駄文


俺は悪くない、カプコンがモンハンフロンティアを360で出すから!!

はい、本作のデルフ誕生秘話でした。
なんかブリミルが人間デルフの死後もサーシャを守れるように剣にしたりしなかったり。
初代デスぺラードにしようかとも思ったんですがやめました。
ゼロ魔新刊でデルフの製造方法出てましたね。
新刊出る前に更新してりゃ良かったんですが。
いやなんかですね、自分でこのSS読み返してキモッ!とかドン引きしちゃいまして。
うん、多分書いた時疲れてたんだろうなぁと思った。
本当は2~3話書いておしまいの筈でしたし。
一応次が最終話です。
なんか打ち切り的な終わりになるとは思うんですけどね。

書きたい話は一杯あるんですが文章力が全然追いつかないっていうね。
なるべく沢山書いて投稿して指摘された所直してって感じでやってくしかないんでしょうか。
まぁもうこの作品に関しては「とりあえず形だけでも完結しよう!」とバタバタ無理矢理終わらせようとしてるんでツッコミはご勘弁をって感じなのですが。
あとすいませんがoversはもう更新むりっぽいです。ホントスンマセン。


以下書くかどうかすら怪しいですが次回があればこんなの書きたいなぁっていうのをつらつらと。

レールガンの5話くらいの短編書きたいなと。
ストーリー頭から追っかけとかじゃなくて切り出した日常のifみたいなやつです。
シスターズモノで。
「番号しかないなんて悲しいこと言うなよ。なら俺が、名前をくれてやる!お前は今日から"御坂唯"だ!」
「ミサカ……ユイ?」
「あぁ、唯一のユイ。シスターズが一万人いようが、一億人いようが関係ねぇ。今俺と話してるお前は、お前ただ1人、唯一のお前なんだ!!」
「私が…私だけの?」
後日「そんなワケで他のシスターズにもパーソナルネームをつけて頂きたいのですが」
「一万人分?!」
「できればパーソナルネーム"ミサカユイ"のように思い出の名前……いえエピソード付きだとなおよいのですが……」
「まじで?!」
そして毎週のようにシスターズと命名式(という名のデート)に行く我らがウニ頭。
「学園都市を出るのは初めてだっけ?」「えぇ、"私は"初めてです。凄い、これが桜吹雪というのですね」「よし、お前は今日から"御坂桜"だ」
「雪……冷たい、本物を触るのは初めてです」「御坂……美雪なんてどうだろ」「安直ですね」「ぐっ」「冗談です、フフッ」
そんで赤ん坊の命名本を手にブツブツ呟くウニ頭に過剰反応するインデックスと美琴と神裂みたいな。
あ、なんかコレだけ書いたら満足しちゃったかも。

あとエヴァのギャグ再構成をアニメ1話をSS1話くらいのペースでサクッとやったりしたいです。

もしくはゼロ魔の新作をもうちょっと真面目に頑張って書くかですね。
ただまだ未読なんですがゼロ魔×モンハンは既に書いてらっしゃる方が居るみたいなので多分書かないです。
サイトがモンハンの世界⇒ゼロ魔の世界みたいな流れにしようと思ってたんですが、恐らくまた無謀な長編になるので多分書かないです。
タイトルは「神の盾はガード性能+2」にしようと思ってたんですがえぇ、書かないですよ。

「え?何?騎士?」
「あー、暁丸装備でよかった」
「シルフィールドが怯えてる……その槍は何?」
「希少種の火竜を倒して骨やら鱗やら牙で作ったガンチャリオットさ。そこらの竜じゃ見ただけでビビッて逃げ出すっていうシロモノなんだぜ」
「なんだコレ……スキルタトゥー[ガンダールヴ]?ガード性能+2 攻撃力UP[大] 防御力UP[大] ランナー 早食い ってほぼチートじゃねーか!!」
「無理よ!ブリミルだって倒せなくて大地の奥に封印するしかなかったのよ!?嵐を呼ぶ龍クシャルダオラ!マグマさえ物ともしないテオ・テスカトルにナナ・テスカトリ!見えざる龍オオナズチに山より大きいっていうラオシャンロンにシェンガオレン、伝説の龍が全部復活するのよ?!」
「何とか成るさ。俺だけじゃねぇ、あのいけすかねぇけど頼りになるジェリオだっているし、俺のハンターの師匠のシェフィ姉さんもいる。そしてなによりルイズ、お前が居る」
「おいサイト!なんだアレ!僕のトコの主もたいがいだがどんだけ常識外れなんだお前のご主人様は!!」
「うるせぇ知るか!!」

虚無の呪文 初歩にして最大の奥義 "タル爆弾の錬金"
「エクス<<全てを破壊する>>――――――プロージョン<<大タル爆弾G改>>!!」


神の盾ガンダールヴ、その槍はあらゆる敵を貫き、その盾はあらゆる攻撃から主を守る。
スキルタトゥー 主な性能 ガード性能+2 近接全体にスキル補正
神の笛ヴィンダールブ、 その笛はひとたび振り回せばあらゆる龍を気絶させる程度の能力を持つ。
スキルタトゥー 主な性能 笛効果倍増 近接全体にスキル補正
神の頭脳ミョズニトニルン、片手剣を手にあらゆる道具を使いこなし、どんな相手でも戦い抜くことが出きる。
スキルタトゥー 主な性能 高速設置 調合成功率+100%  アイテム全般補正

そして最後に、示すことすら憚られる
スキルタトゥー 主な性能 ボマー

4つのしもべをしたがえて、我はこの地にやってきた。



「あれ?ルイズいれば俺らいらなくね?」
「奇遇だね、僕もそう思ってた所さ」


~神の盾はガード性能+2~

えぇ、きっと書かないですよ。四度言って見ました。


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.19482707977295