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[8293] SDガンダムフルカラー劇場 出張INリリカルなのは(フルカラー劇場×リリカルなのは)
Name: かなや◆b02ab56c ID:15236eea
Date: 2010/01/30 13:47
※現在、部活動で漫画の原稿に取り掛かっているため。更新が大変遅れます。

初めてSSを書きます。


作品はリリカルなのはとSDガンダムフルカラー劇場です。

フルカラー劇場知ってる人がいるか心配ですが。ごゆっくりまったりどうぞ。

設定変更、キャラ崩壊ありですから注意して下さい。

※例
 死ぬ、または死んでいるキャラなんかいません。



[8293] プロローグ PT事件編【修正】
Name: かなや◆b02ab56c ID:15236eea
Date: 2009/04/28 01:29
 海鳴市。住宅街、学校やあらゆるビルが建ちならぶ都市部である。
 だが、周辺は海や山に囲まれており。それなりの自然が豊かに溢れていたりする。
 そんな海鳴市には、さらにほかの地域には無いモノが存在している。
 それは"れんぽーのホワイトベース"が海に浮かんでいたり、山の中に"じおんのムサイ"がひっそりと佇んでいるからだ。

 人類が宇宙や次元世界に移民してから数カ月経つ……。
 大きな事であるが、なぜか人々は余り気にする事も無く。

 れんぽー、じおんの他に。
 えぅーご、てぃたーんず、ねお・じおん、れんごー、ざふと、それすたるびーいんぐ等。
 あらゆる勢力の戦艦が空で、海で、住宅街で存在しても街中で見かけるSDのMS達とも気軽に接していた。

 そんなある日、一人の少女がぐったりとしたフェレットをホワイトベースに持ち込んだことからフルカラー劇場はより騒がしく--もとい、にぎやかになるのだった。


----
れんぽー軍、居住艦ホワイトベース。


『ガンダム[さ~ん]!』

 玄関からドタドタと慌ただしい足音と共に少女達の声が白いMSの名を呼ぶ。

「わ、どったの!?」

 艦橋で今の今までのほほんと湯飲みに入った緑茶を両手で持ってテーブルの椅子に座っていたガンダムは、駆け込んできた少女三人とMSの血の気が引いた表情を見て驚いてしまう。

「あ、あのあのあの! さ、さささっき! そこでこの子を見つけて、そのっ怪我しててたから」

「ちょ、なのは落ち着きなさいよ!」

 肩で息をしながらまくし立てるように事の状況を説明するが、混乱しているせいで何を伝えたいのかさっぱり解らず。
 ガンダムは茶髪をツインテールにしている少女の言葉をとりあえず通訳してみる。

「佐々木くんがそこでコロッケ丼食べてた?」

「が、ガンダムさん。ちがうぃますよ!」
「そそうだ違う。おち、おちつつついてききけ!」

 勢いよくぶんぶんと横に顔を振って否定する少女達の横で代わりに説明しようとするMS。
 こちらはガンダムもよく知っているヤツで。名は"ガンダムエクシア"、それすたるびーいんぐ(各勢力からの通称は"それ・びー")所属。
 「俺がガンダムだ」が口癖のMSなのだが。この世界で、その発言によってどれだけ自分の存在感の有無について心配させられたか。

 未だに自分の事をガンダム(仮)と認識しているんだろうなと思いながら。
 ガンダムは落ち着かない少女達とエクシアにとりあえずお茶を入れた湯飲みを進め、今一番この場に必要なことを述べる。

「おちつこーね」

「「はい」」
「うん」
「ああ」

 彼から手渡されたお茶を受け取り、走ってきたことで乾いた喉を潤す一同。
 ようやく一息ついたところでエクシアが此処にやってきた経緯を話し始めた。


----
 事の発端は数分前に遡る……。
 それ・びーの居住艦プトレマイオスから出て、何時もの業務活動である武力介入の対象を捜索しながら、海鳴市のスーパーで夕方専用おやつ・瓶のラムネを購入して。
 歩きながら飲み干した後、ガラス製の小さな瓶の底でコロコロと音を立てるビー玉をどのように取り出そうか悩んでいた。

「地面に叩きつけて割ってしまえば簡単に手に入れることが出来る……だが、それをしてしまえば俺が歪みを起こしてしまう」
 この事態に関しては、いかにトランザムを起動しても。解決することが出来ない……。

 取り出そうとして、逆さにひっくり返しても飲み口の下にあるゲートがビー玉の射出を阻む。

 もう一度。取り出そうとして、逆さにひっくり返すが。飲み口の舌にあるゲートがまたビー玉の射出を阻む。

 再び。取り出そうとして、逆さにひっくり返すが。飲み口の舌にあるゲートがまたまたビー玉の射出を阻む。

 三度。取り出そうとして、逆さにひっくり返すが。飲み口の舌にあるゲートがまたまたまたビー玉の射出を阻む。

 …………歪んでいる。何故ラムネの製造元はこんなに俺達に試練を与えるんだ。
 遊びたい。ビー玉をいっぱい集めて……こう、指で弾いて遊んでみたい。
 歩くたびにコロコロと瓶の中で音を立てる宝石にやきもきしながら街中をしばらく歩いていると。
『こ……こっ……レット?』
 突然、エクシアの※GN粒子が声を拾った。
※通称"電波"このGN粒子はラジオ等様々な電波を拾う。
 それ・びーはもうすぐ地デジチューナーを取り付けようか検討している。


 砂嵐やノイズ混じりではあるが、その声は若く幼い……女の子のように思えた。
 そして、何レットと言った発言はどこか悲痛そうに感じる。
 すぐにエクシアはあらゆる方向に身体を向けて波長が会う方角を見渡す。

『怪我してる! どうしよう……病院は』
『今から車を……』
『この近くだとホワイトベースが……』

 森、緑が生い茂る場所に目を向けた途端。電波はより確かに声を拾うことが出来た。
 ノイズが減り、明確に聞こえた声はやはり女の子のものであると確信がつき。その場には他に女の子らしき声が二人分も聞こえた。
 "ホワイトベース" れんぽーの居住艦の名前が聞こえた事でエクシアはより、対抗心が燃え上がってくる。
「俺がガンダム(真)だ! 負けるものか!」と。

「エクシア、これより怪我人(?)と発見者三名を武力介入する」

 手にした空のラムネ瓶を、急いで近くの公園の水飲み場で濯ぎ。バックパックに収納してエクシアはふわりと空高く飛び上がる。
 目指すは双眸に捉えている目的地の森、そこにいるであろう少女達まで急いで飛行していく。

 身体がどちらかといえば軽いので風の抵抗も少なく、三人の少女が傷ついたフェレットを抱いてオロオロしている姿が目下に拡がったのを見定めて。
 エクシアはそこに降り立って武力介入として彼女達に声をかけ、ホワイトベースまで案内して今に至るのだった。


----

「お兄さん、フェレットさんは応急処置して医療カプセルに入れてきました~」

「ありがとー」

 フェレットを医療室まで運び、戻ってきたアレックス。買い物から帰ってきたガンキャノン兄弟達れんぽーのMSを交えガンダム達は改めて少女と互いの自己紹介をする。

「えーと、俺はガンダムね。ヨロシクー」

 と名乗るものの。トリコロールカラー、丸い目付き、このれんぽーの顔とも言える彼は海鳴市でも有名でじおんのシャアと共に市を巻き込んで大運動会や文化祭を開催する。
 その為、なのは達市民からすれば周知の存在になる。
 ちなみに月村家とはメンテナンスなどで手伝って貰っているから初見ではなく。すずかとは既に知り合いでもあった。

「私はアレックスです」
「俺はきゃのっ八」
「僕はきゃの九」
「ぼく、がんたんくー」

 「よろしくね」とガンダムに続き、自己紹介をするアレックス、ガンキャノン兄弟にがんたんくも有名な面々である。
 そんな彼らとこうして知り合う事が出来たのがなのはとアリサには嬉しく思え、微笑んで自己紹介に応えた。

「私は高町なのは、聖祥大附属小学校の3年生です。なのはって呼んで下さい」
「私もこっちのすずかもなのはとはクラスメートよ。アリサ・バニングス、アリサで良いから」
「皆、久しぶり」

 互いに自己紹介を済ませ、落ち着いた雰囲気になり。そこで皆の視線は自然とエクシアに集中する。
 キョトンとした表情で「何だ」と言いたげだったか。皆の期待に満ちた眼差し。
 さらにガンダム(仮)がニッコニコしているのが視界に入りエクシアは。

 そうか、やっと認めたか!
「俺が真のガンダムだ「えぇぇぇぇっ」

《待てえぇぇー、貴様が真のガンダムならば勝負しろぉ「やっぱりきたー》
《お前が正義のガンダムか、はっきり白黒つけてやる「※ハロ巻牧場に行ってー》

※ジャスティスガンダムとガンダムデュナメスが設立した牧場。
 一つ一つがハロを象っているミルク生キャラメルが人気商品。

 予想するべきはずのエクシアのズレた自己紹介を予想していなかったガンダムは真っ白になって驚き、「さらにエクシアの言葉をどこで待機していたのか」と小一時間問い質したいぐらいにゴッドガンダムとガンダムナタクが映像付きの通信を繋いで現れ。
 ツッコミを入れていくガンダム。

《紛争云々というより、最近はエクシアくんが騒動を起こしてますよね「もっと言ってやって!》

 同じく映像付き通信でこの状況に適したツッコミを入れるストライクフリーダムにガンダムは涙を浮かべて同意する。
 突然の光景に唖然してしまうなのはとアリサだったが、くすくすと笑い声を漏らしているすずかに釣られいつの間にか笑顔になっていた。

「毎日がお祭りみたいでうらやましいな」と、なのは達はSDのMSにそんな印象を抱いているのだった。


----
じおん軍、居住艦ムサイ。

「で、何処から拾って来たんだ?」

 ホワイトベースが騒がしくなっていた同じ頃、海鳴の山でいつも足を休めているムサイ。
 そのムサイの艦橋では赤いMS--シャアザクが目の前でボロボロとなっている金髪少女と赤い犬をモノアイに映しつつ。
 彼女達を拾ってきた居候三つ子ガンダムの三女--スローネドライにそう述べた。

「あのねあのね大佐! 公園でコレにぎりしめて水溜まりのところで寝込んでて風邪引いちゃったら駄目だから拾ってきたの」

 ドライが差し出した濡れて柔らかそうな状態のダンボールを見て、足元で気を失っている彼女にある印象を抱く。

「…………何故だ、急に"麒麟"の文字が浮かんだのは」
「田村コレコレ?」

「ハッハッハッ、ソレは「志村後ろ後ろ」だろう。おちゃめだなララァは」

 ふよふよと彼の傍に浮かびながら、そう尋ねたララァにシャアは笑ってツッコミを入れた。
 その二人の姿は和気あいあい、またはラブラブといえるピンク空間が広がっている。
 ドライはもちろん、今傍にいない兄のアインとツヴァイはどこかそんな二人の姿が好きでこのじおんに居候となっている。
 そして足元でのびていた少女がパチっと瞼を開けた事に気付き。
 穏やかかつ、騒がしい日々が。楽しい思い出が増えそうな期待を彼女に寄せながら声をかける。

「私、ガンダムスローネドライ。よろしくね♪」

続く



[8293] オマケその1 ハロ巻牧場代表はジャスティスとデュナメス
Name: かなや◆b02ab56c ID:15236eea
Date: 2009/04/28 01:43
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翠屋

 なのはの実家、ケーキ屋に一人のMSが来店した。
 扉を開けて入ってきたMSに制服の上から黒いエプロンをつけた栗色の長い髪を黄色いリボンで留めた少女が懐かしそうに出迎える。

「あ、ジャスティスくんいらっしゃい」

「こんにちは美由希。コレお土産」

 インフィニットジャスティスが差し出した小さな紙製の小箱5つを受け取り、ソレらに表記されている商品名を見た美由希の顔がパァっと輝く。
 それは有名な人気商品。ハロ巻牧場のミルク生キャラメルだった。
 海鳴市の郊外に最近出来た牧場の人気商品であり、全国から家族連れやMS達が行列をつくるほど。
 キャラメル作りをこの翠屋でジャスティスとデュナメスがアルバイトしながら学び、卒業してから牧場を設立して。
 それから忙しくてなかなか来るのが難しかったそうだ。
 高町家でも一度は二人から送られてきて。口にした時の味わいが今でも忘れられず、このキャラメルをまた食べたいという話がよく出たりする。


「ハロ巻牧場の生キャラメル……ありがとう、これ美味しいのよね~♪ ありがとう。あ、お母さん」
「ジャスティスくん、いらっしゃい。久しぶりね」

「生キャラメルの作り方を教えてくれてありがとうございます、桃子さんや皆のおかげで牧場も繁盛しています。これは御礼に」

 殊勝なジャスティスの言葉に美由希も、彼女の母もこそばゆい気持ちになりながら久しぶりの顔に嬉しくなっていた。

「ジャスティスくん、今日ゆっくりしていってね」


 鼻唄が聞こえてきそうな笑顔でそう告げるに桃子にジャスティスも頷き、彼女の言葉に甘えようと美由希に声をかける。

「はい、カウンター空いてますか?」

「うん、一名様ご案内しまーす……で。デュナメスは?」

 営業スマイルでジャスティスをカウンター席に案内したところでボソリと耳元(?)で尋ねる美由希。

「牧場の近くでやってた祭の出店にある射的に行ってくるって」

 ジャスティスから語られたデュナメスの行動に若干、呆れながら思い出す。
 付き合ってかなりたつが、彼の口癖「狙い撃つぜー」のように。
 デュナメスは射撃の精度……というより射撃に特化したMSだ。つまり何が言いたいかというと。

「え、反則じゃないの?」

「多分、行っても出来ないとおもう」

 意外なジャスティスの言葉に思わず「なんで?」と聞くと苦笑しながら返ってきた答にこちらも苦笑いするしかなかった。


「それは……電話でもかけてみようかな」
「喜ばれると思うよ」

 友人達の恋を応援する。と言っているかのように優しく微笑んですすめるジャスティスに、ちいさく礼を述べてメニューを受ける。

「チーズケーキと紅茶……と。あれ、ところで背中のリフトは?」
「コインパーキングに置いてきた。入れないから」



----
 出店射的の、的となる商品達の隅に堂々と貼られた紙を見てデュナメスは真っ白に染まっていた。

【狙撃禁止】

「……なんで駄目なんだ、ドムのおやっさん」

「"コロニーしおさい"と"次元世界シーパラダイス"なら良いよ。こっちは駄目」

「こんなルールで満足かよ……俺はヤダね!」

 露店を出している主ドムの返事にデュナメスは泣きながら叫ぶが……。

「じゃあ、【デュナメス禁「ごめんなさい」

 あっさりと引き下がり、コルク銃を使って煙草の形したガムの箱を狙うものの……外すのだった。


----
あとがき

プロローグから漏れましたオマケです。

フルカラー劇場のSSってあんまり見ないからやってみました。
とりあえずはstsまでやってみたいかなと思ってます。

デュナメスと美由希で付き合ってる設定ですw

中の人つながりならケルディムですけど、アニューはアニューで出すつもりです。

ではまた。



[8293] PT事件編 第1話「入れるならお風呂はちゃんと入ろうネ」【修正】
Name: かなや◆5086b7d4 ID:15236eea
Date: 2009/05/11 16:44
 少女の名はフェイト、フェイト・テスタロッサと言った。
 従者の名はアルフと言った。

 シャアとララァがピンク色の世界を繰り広げていた間に少女は意識を取り戻し、そのことをスローネドライが教えてくれたことで二人は現実に帰還して少女達と自己紹介をすることが出来た。


第1話「入れるならお風呂はちゃんと入ろうネ」


「私はじおんのシャア、今のボディはザクだ」
「フフフフフ、私はララァ。シャアの奥さんよ」

 フェイト達と向かい合う形でソファーに腰掛けて名乗り、じおんの"顔"な二人は「よろしく」と付け加える。

「「…………」」

 先に名乗ったものの、何故自分達を拾ってくれたのか、目の前にいるMSとMA……そして自身とアルフの傍にニコニコと笑顔で座る小さな女の子(MS)。犬の身体であるアルフが喋ってもなんら驚いてもいない。
 そんな彼らにフェイト達はただただ困惑していた。
 また、自分達は内密にやらなくてはいけない事がある。余り他人と関わるわけにはいかないという気持ちからか、自然と身体が強張ってしまう。


「……あの、倒れていた所をありがとうございました」
「……ありがと」

 今の自分は一体どんな表情をしているか、鏡を見なければわからない。でも、傍で緊張している使い魔を見遣れば眉間から鼻にかけて皺が浮かんでいる。自分も彼女と同じように眉根を寄せているのだろう。
 しかし、恩人であるこの人達に失礼じゃないのか。そこで改めて考え直し、ハッとした表情になったフェイトは慌てて頭を下げる。

「ご、ごごめんつちゃゅい!」

 慌て過ぎたせいでたった六文字の謝罪を噛んでしまった。
 頬に熱を感じ、今自分の顔が赤く染まっていくのが手にとるように解る。

 は、恥ずかしい!! 穴があったら入りたい。無いからバルディッシュで掘って入りたい。
 いやそんな使い方したらかわいそうだけど。

 笑われてしまう。と思って両手で自分の顔を隠すフェイト。

 しかし……妙な空気が流れていた事に気付き、慎重に視線の角度をシャア達が見える位置に戻した瞬間。

「「「午後のめんつゆが飲みたい?」」」

(えー)

 伝言ゲームならばもうこの時点でスタート、つまり答えを当てるのは至難だろう。いや、そんな問題ではなく。
 シャア達の聞き間違いで真っ白に染まったフェイトの羞恥心の搭は砂に変質し、少しづつサラサラと風に乗っていく。


「フェイト……妙な物が好きなんだね、次から麦茶の入れ物の中身めんつゆにしてあげるよ」

(おねがいヤメテー)

 アルフの裏切りに搭が崩壊しながらも、ツッコミを忘れないフェイトは意識を手放すのだった。


----

「とりあえずムサイを自分ん家だと思え」


 羞恥心の搭が爆発してから、程なく意識を取り戻したフェイトと。主の好みを少し取り違えたままなアルフにかけられた言葉。

「えっ!?」

 何で!? と考えが現れた反応をフェイトはしてしまう。

「わぁー、よかったね♪」

 心から喜ぶスローネドライに二人は意味が解らず、ただ彼女に手を握られブンブンと振られる。

「知り合ったのも何かの縁だからな」
「旅は書き捨て世は情け。とも言うわ」

 先程の言葉に繋げるように答えたシャアとララァ。
 心の中でツッコミながら何故、こんなにもお節介を焼いてくれるのだろう。さらにフェイトはMS達というものがよく解らなくなる。
 集めなくてはならないものがまだ残り18個もある。のんびりなんかしてはいられないと言うのに。
 穏やかな雰囲気とやさしさを感じる言葉に逆らうことが出来ない事、それと……のんびりしたほうが良いのかな? と思ってしまう。

 そんな時、ふとスローネドライの視線が自分とアルフを捉えていることに気付く。
 アルフも気付いたみたいで気兼ね無しに「どうしたんだい?」と彼女に尋ねてみたのだが……。

「二人ともくさーい」

 スローネドライから放たれた純度100%の言魂は少女を今度は灰色に固まらせ、途端に頭の辺りにヒビが入る。

「あー、そりゃ。あっちこっち飛び回って野宿してたからあたしもフェイトもお風呂なんて公園の水道ぐらいさ」

「ウゲっ汚ぇ」

 アルフのぶっちゃけにザクの口(?)をひくつかせて反応したシャアの一言で、無数のヒビ--どころか爆発してしまうフェイト。
 そんな彼女を哀れに思いアラアラと言うもララァはどこかほほえましく感じていた。
 先程まで、少女達は何か切羽詰まった表情で身体を強張らせていたのに。こうして話をして数分とかからずにやわらかくなっている。
 後少しで笑顔が見れるような気がして、自然な彼女達の--心から笑ったフェイトとアルフを見てみたいと願う。

「こういうの何て言うか知ってる?」

 ララァの問いかけに、飛び散ったフェイトのカケラを集めながら「台なしだっけ?」と可笑しそうな声で答えるアルフ。

「正解、フフフフ」


 ……後はフェイトちゃんだけね。とアルフの尽力で形が戻り、気を失っている彼女を見て微笑んでいた。

「ねー、ねー臭いから。お風呂入っちゃえば良いよ♪ 私も入るからー」
「そーだそーだ。臭いから、とっとと入ってこい」

「アハハ、あんまりイジメられちゃ泣いちゃうよ」
 悪戯っ子のように、お風呂をすすめるシャアとスローネドライにアルフは苦笑しながらご好意に甘えることにする。
 勝てないねぇ。と何故かアルフの中ではシャア達はもう信を置く存在となっている。
 その笑みは先程までことくなな態度だった自分への恥ずかしさも篭っていた。


「こっちこっち♪」
「フェイト起きなー、お風呂行くよー」

 喧噪を残して、スローネドライに連なって艦橋から自動ドアを手で開けて出て行くアルフ達。
 そんな彼女達に混ざりたいとララァが目線で尋ね。それにシャアが快く承諾すると彼女も嬉しそうに手動でドアを開けて後に続いていった。


 途端にさっきまで騒がしかったこの部屋が急に広く感じ、シャアはとりあえず艦の窓から海鳴の景色をモノアイで眺めながら。スローネドライの二人の兄を思い出す。

「そういえば、買物行ったきりだな。アインとツヴァイは。
 まぁ、二人ともしっかりしてるし心配ないか。そんなことより……晩御飯はカレーにしよう」

----
 その頃、そんなことで済まされている噂のスローネアインとスローネツヴァイは。

「兄ちゃん、※プチプチ見つかんねーよ!」

「何処に売ってんだよぉ、あんなの!」

 半泣きで海鳴市中でプチプチの包装材を探し回っていたのだった。




「ム、幼きガンダムが二人も!? はぁ、はぁ……フハハハハハハハハこれは保護せねば!」

 海鳴怪談百物語 その百一の話で現れるという。自称"紳士"のグラハム専用フラッグカスタムが近づいてるとも知らずに……。
 そして。
「誰か、そこのグフカスタムさん!? あそこで黒い人(MS)が男の子達見てはぁはぁしてるで!」

「何っ! 黒い三連星、いつの間にそんな趣味に……わかったヒートロッドで長縄跳びをさせてやろう! 引っ掛かればビリビリときて肩凝り+疲労解消だ!」

「うわ、なかなか便利やんっ!? シグナム達呼ぼうかな」

 車椅子から普通に二本の脚で立ってれんぽーとじおん二世帯居住艦※アルビレンに駆け込む少女がいたことをグラハムフラッグも知らなかった。

※アルビオン+ケルゲレン、れんぽーとじおん友好関係十年を記念して製造。
 月村家とジャンク屋ギルドが関与。実際はアルビオンの後ろにケルゲレンが置かれただけで渡橋が掛けられた。

続く



[8293] PT事件編 第2話「用事の前にごはん、前編」
Name: かなや◆5086b7d4 ID:15236eea
Date: 2009/05/05 02:03
 ふわりと身体があたたかい……。
 故郷から放れ、一族の技術遺産を探す為に訪れたこの世界で、僕は怪我を負ってしまった。
 視界が霞み、暗転しかけた思考の中で僕は贈る相手のわからない言葉を放った。
 誰でもよかった。
 誰か……僕の声が聞こえていたら……。

 そう言って、意識を手放してどれくらいたったのだろう。
 いつの間にか、身体に出来た傷の痛みが癒え、心が安らかなぬくもりに包まれている。
 気付いた時、僕は瞼を開いて外の景色を捉えていた。
 横たわっている身体は白いシーツのベットのような場所にあり、辺りを見渡せば透明な壁のドームが外界と中に隔たりを作っている。ぼんやりではあるものの、そう視認する事が出来た。

 何処なんだろう此処は……。まったく見当のつかない場所だ。
 首を起こし、怪我を負った自分の横腹に視線を移そうとした時。

『あっ、目覚めたー』

 透き通った壁の向こうで水色のモニターが僕のいるこの世界を見つめて、そう声を上げた。
 純真で無垢な印象を抱くと共に僕はこの声の主が自分を助けてくれたのか……?

 疑問が残りながら、彼に尋ねる。

「あの……あなたが助けてくれたんですか?」


第2話「用事の前にごはん」


 あの傷ついたフェレットが呼び込んでくれた出会いから、一刻ほど経っていた。
 艦橋から望む海鳴の空はとっぷりと茜色に染まり、海の水平線には既に日が沈み。半円形から放たれる輝きがなんとも寂しさを抱かせる。

 先程まで騒がしかったこの場所にはれんぽーのMS達、なのはしかいない。

 アリサと言った強気な印象の彼女、既に友達となっていたすずかの二人は今日もこれから塾に行かなければならなかった為。
 なのはとガンダム達にあのフェレットが目覚めれば夜中にでも連絡してほしい。と心配した様子で約束を交わして帰っていった。


「エクシアも帰っていったら一気に静かになるなー」
「そうだね、きゃのっ八兄さん」

 エクシアの「俺がガンダムだ」発言でゴッド、ナタク。そして偶然二人と一緒にいたストライクフリーダムを巻き込んだ騒動はこのホワイトベースで繰り広げられ、エクシア本人が任務終了と判断したことで治まり。
 彼らもまたアリサ達と同じタイミングで自分達の母艦へと戻っていた。

 友人達とガンダム達のやり取りを眺めていたり、巻き込まれたりしたなのははガンキャノン兄弟の言葉で思い出し、「にゃはは」と苦笑いを浮かべる。

 正直、「さぁ、誰がガンダムだ!?」とガンダム、エクシア、ゴッド、ナタクに詰め寄られてものすごく苦悩したのは言うまでもない。
 しかも、なのは達の為にその中に加わらないでいたフリーダムとアレックスも心なしかジーっと自分達が答えるのを見ていて。それが優しさを纏った凶悪な行為だと心底思った。


 で、結局は誰を選んだかと言うと……。


「……ぐすぐす……いいもーん俺なんか何の取り柄のないノーマルガンダムだもーん」

 三者一致でガンダムがガンダムだということになったのだが。

なのはの発言
「飾りっけのないガンダムさん」

アリサの発言
「スタンダード・オブ・ノーマルなガンダム」

すずかの発言
「他のガンダム系MSさん達の中で一番、普通だと思った」

 "目立たない"と意味の含んだ発言に激しく落ち込んでしまい彼は布団を敷き、恨めしそうに掛け布団から顔を覗かせてなのはを凝視している。

「うにゃ、ちがうの~! ガンダムさんは没個性ってだけなの~」

「なんにもないのがお兄さんじゃないですか、元気出して下さい!」

 そんな彼に、安心してほしいと願い。慌てて慰めようと声をかける二人だが……。

「なのはちゃん、アレックスちゃん。フォローになってないって」

 きゃの八から冷静にツッコミが入り、二人はあっと自分の口から咄嗟に出た言葉を思い返して恐る恐るガンダムを見遣る。

「ぉぇ、ぅぃぁ……」

 そこにはぶつぶつと何かを呟く脱色した主人公機があっただけだった。

「燃え尽きたよ……真っ白に」

「ご、ごごごごめんなさい[なの]!」

「傷は深いがしっかりしろー、立ち上がれガンダムー」
「燃え上がれガンダムさーん」

 まるであのボクサーのように脱色してしまったれんぽーのリーダー。
 なのはとアレックスはただ謝りたおすしかなく、ガンキャノン兄弟も彼を再び立ち上がらせるために声をかける。そして……そんな皆のやり取りをずっと傍で見ていたジムとボールは未だに誰からも気付かれていなかった。

「……明日になったら気付いてくれるかな」
「?」


----

「ガンダムー」

 キャラキャラとキャタピラを回転させて艦橋に戻ってきたがんたんくの声はほくほくとした雰囲気を感じさせ。

「どったのー」

 何時もの無茶なことを言うのかと覚悟しつつ、呼びかけに答える。するとがんたんくは手に抱えていたフェレットを彼の目の前に差し出す。

「あ、この子……」

「あのねー」

 がんたんくが言ったのは、先程この子の容態が気になり見に行ったところ既に傷は完治し。
 さらに眼を覚ました際にこの子が声をかけてきた事を教えた。


「え、喋れるのっ!?」

 もちろん驚きの声をあげるガンダム。その感想は皆同じだったようで、なのははポカンと口を開けて固まっている。
 寝耳に水とはまさにこのことだろう。
 いやこの場合は、起目にフェレットだった。

 がんたんくの手から素早い身のこなしでガンダムの肩に跳び移る小動物。

「あのっ!? れんぽーのガンダムさんですよね!?」

「あ、うん--え?」




[8293] PT事件編 第2話「用事の前にごはん、後編」
Name: かなや◆5086b7d4 ID:15236eea
Date: 2009/05/05 02:06
 小さな口からの尋ねに思わず頷いてしまったが、よく考えてみれば不思議な事だ。
 がんたんくを除いたれんぽー軍のMS達となのはは混乱してしまう、どう反応すれば良いのだろうかと。

 あっ、と。そんな皆の気持ちを察して、フェレットはペコっと謝罪の意味も込めて頭を軽く下げ。真実を話す。

「突然ですいません、僕実はこの世界の者じゃないんです」

「……ということは次元世界を渡ってきたということ?」
「はい」

 傍にいたきゃの九の憶測に、強く頷いて答えたことでガンダムをはじめとしたれんぽーのメンバーは彼が何故話せるのか妙に納得できた。
 確かに数ある次元世界の中には"魔法"に関連する世界で動物が喋ったり、人間に変身出来たりする。ならばその中から来たというこのフェレットが自分達と話せるのも頷ける。
 とゆーか、難しく考えたってダメだということだ。事実はここにあるんだし。

「僕の名前はユーノ・スクライアといいます。れんぽーの皆さん怪我をして気を失っていたところをありがとうございます」

 ペコリと頭を下げるユーノにガンダム達は自分達では無いと言うように顔を横に振って、今日友達になったばかりの少女に視線を注ぐ。
 その行動になのはは一瞬、疑問符を浮かべて首を傾げるが……すぐに意味を理解して顔を赤く染める。

「あ。ううん、私はエクシアくんが居なかったらユーノくんをここまで連れてこれなかったよ。だから助けたのはエクシアくんだよ」

「なーに言ってるんですかー、第一発見者の癖に♪」
「はにゃっ」

 アレックスにトンっと背中を押され、ユーノの前に軽く一歩を踏み出してしまう。

「助けてくれて、ありがとうごさいます」

 ガンダムの肩から手に伝って移動して。礼を述べる彼に照れながら、なのははその小さな手を握って微笑む。

「どういたしまして。私、高町なのは。なのはって呼んでね♪」
「俺はガンダム、改めてよろしく♪」

 ガンダムとなのはが発端となり、二人に続くようにアレックスからがんたんくまでが改めてユーノに自己紹介をしていくのだが。……彼は先程から艦橋の隅っこに居る約二名が気になっていた。

 誰なんだろうか、何故先程から隅で体育座り(?)をしているのだろう。
「あの……ところであそこに居る方達は」

 ある一点に視線を合わせてそう尋ねるユーノに、ガンダム達は疑問符を浮かべ。彼が見ている方向にそって首を動かした瞬間。

「ジム[さん]、ごめん[なさい]!!」

 座り込んでぶつぶつと何かを呟いていたジムと、その横でふよふよとこちらをジッと見ていたボールがそこにいた。

 余談だが、自分達に気付いたユーノにジムは泣いて喜び。ボールはキャノンを撃ちながら喜んだそうな。


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 ジムとボールに謝り倒した後、ガンダム達はテーブルの席についてユーノから"何故彼がこの世界に来ることになったのか"という内容の話を聞いていた。
 今まで教えてもらった事をまとめると。

 遺跡探索を生業とするユーノの一族。そして今回発見されたロストロギア--名前はジュエルシード、クリスタルのような形状をしていて一から二十一の数字が刻みこまれている。
 その発掘作業の指揮をしていたのがユーノであった。だが輸送中、突然原因不明の事故が発生し。ほとんどのジュエルシードがこの海鳴市にばらまかれてしまう。
 その中から一つを見つけ、回収しようとしたのだが力及ばず怪我を負い、気を失ってしまう。そこになのは達が駆け付けたという事になる。

「ジュエルシード……願いを叶えるって言います、しかしロストロギアでもあります。大変なことが起きるかも」

 凄んだ表情でそう話すユーノに一同は緊張が走る。
 フェレットの表情の愛らしさがある。しかし、今の彼の真剣な顔からそれがどれほどのレベルかが汲み取ることが出来る。

「例えば……」

「例えば……?」

 いったいどのような事が起きるのか……。ガンダム達は恐る恐る、テーブルの上に立つユーノの言葉を待つ。

「炭酸飲料が、全部サイダーになります」

「そりゃ、大変だ[なの]!!」

 ユーノから放たれた言葉はガンダムとなのはに大きな衝撃を与えた。

 顔面を蒼白させ、冷や汗を垂らし。二人はプルプルと震え出す。
 コーラや、フ○ンタ等が好きな者にとっては一大事な話で、それほど彼が告げたジュエルシードによる被害の具体的な例は凄まじいものだと認識するのに充分足りるものだった。

しかし……。

「え、そうですか?」

「「そんなに驚くことか?」」
「ぜんぜんだいじょーぶ」

「僕達も別に」

 アレックス達、ガンダムを除くれんぽーメンバーはケロっとしている。むしろサイダー派からすれば望むところな話だ。

「よくないよ!」

「そうなの! これは歴史的、ううん。宇宙的なことなの!」

 全ての炭酸飲料がサイダーに変わった場合の悲劇は、二人にとっては恐ろしいことに外ならない。
 コーラの容器なのに中身はサイダー……想像しただけでも身体のふるえと涙が止まらない。

「ユーノ! 俺はジュエルシード集め手伝うよ」

「私も! フ○ンタやC.○.レモンの為なら天使でもMSにでもなってやるの!」

 身長差はあったものの互いの好きな炭酸飲料を守る為に、ガンダムとなのはは手を取り合って強く頷く。
 そんな熱き友情を見せ付けられ、ユーノはつい目頭が熱くなる……。

「ぼくらも、てつだうー」

 ああは言ったものの、ジュエルシードというロストロギアがこの街に有る限り。騒動が起きるわけで、がんたんく達はもちろん各勢力のMS・MA達。
 そして、この街に暮らす人達は願いたいものではないし。望んでいない。
 守らなくては……此処に住む皆を。


「ユーノ、困ったらお互い助けて合っていこうぜ」
「がんばりましょう♪」

 自分に差し延べられるMS達の白玉のようなもちもちとした丸い手。
 一人一人握っていくと、皆のんびりしていてあったかかった。
 これからジュエルシードを回収していく上で必ず迷惑をかけるかもしれない。

 一瞬だが、やはり巻き込む訳にはいかないとマイナスな考えが浮かんだ。
 なのに、今自分を助けてくれようと言ってくれたガンダムやなのは……それに皆のあたたかさを改めて実感したユーノは、ごめんなさい、そして。ありがとう……と心の中で謝罪と感謝を述べ。
 改めて彼らに--友人たちに頼ろう。僕は一人じゃない。と強く決意をした時。


「--っ!?」

 今まさに自分が探している物の存在を感知する。
 間違いない、これはジュエルシード!! だと。

「ガンダムさん! ジュエルシードを感じます!」

 瞬時に切り替わった空気にガンダムは動揺することなく、強く頷いて答える。

「今から出てくる、皆は此処にいて」

「ガンダムさん、私も行きます!」

「「な、なのはちゃん!?」」

 そう言い出したなのはに一同から自然と視線が集中する。
 無茶をするのではないか……。アレックスやガンキャノン兄弟は心配して止めようとしたが、彼女の表情は引き締まっていた。

「なのはちゃん……」

 顔を俯かせ、聞こえるほどの小さな声で名を呼ぶガンダムはいつになく真面目な雰囲気を纏っている。
 ダメだ。と言われるのだろうか……なのはは緊張した面持ちでガンダムの言葉を待つ。


 そして……。
「まずお家の人に電話して、晩御飯食べてから行こう。ちなみに今日はオムハヤシです!」

「っ、はい!」
 ガンダムから放たれた言葉で輝くような笑顔を浮かべてなのははアレックスから電話の端末を受け取り、ホワイトベース特製オムハヤシにありつくのだった。

「こ、このサイズならお腹いっぱい食べれるー」

 ユーノはテーブルの上でガッツポーズしていた。


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オマケ

 ガンダム達が晩御飯の準備をするためにキッチンに向かい、艦橋にはなのはとユーノがテーブルで待っていた。
 手伝いを提案したのだが、お客様は待ってて。と却下され。その場で待機していた。

 そんな時、なのはが気になっていたことをユーノに聞いてみようと思い。彼の名を口にする。

「ユーノくん」

「何?」

「ユーノくんはガンダムさんのことを知っていたの?」

 別の次元世界の住人で初対面だということは彼の話から理解したのだが、最初に"れんぽー"やガンダムの名前を何の迷いもなく呼び当てていたのがずっと気になっていたのだ。
※ちなみに次元世界云々の話は友人のすずかから聞いたことがあった。

 すると彼は、笑顔を見せ。懐かしむようにガンダムを知っている理由を話す。

「ガンダムさん達の話題はよく聞くんだ、有名人って言った方が良いのかもしれない。
 僕の故郷でも大運動会やってくれたり。秋には文化祭、もう少し小さい時なんかお父さん達に連れられて行った時はデスサイズさんプロデュースのお化け屋敷が一番印象に残ってて怖かったかな。
 い、今でも思い出しただけで……」

 その時の恐怖が蘇ったのか、途端に顔を青白くさせるユーノ。
 なのはも、海鳴市で開催された文化祭でデスサイズプロデュースの3Dサウンドによる怪談に一回立ち寄った事があり。あまりの恐怖に、気付けば自分の身体を天井から見下ろした経験がある。

 そんな記憶を思い出して……うぅ、おトイレ行けない。と身を強張らせてしまう。
 しかし、聞く限りガンダム達MSの行事はこの海鳴市でもやっていることと変わらない。
 何処へ行っても、どの世界でも彼らは彼らのペースに巻き込んでにぎやかな日常にしていくのだ。

「……デスサイズさんはどこでもトラウマ残していくみたいなの」


続く



[8293] PT事件編 第3話「もどきって言葉は禁句なんです、ええ多分 前編」修正
Name: かなや◆5086b7d4 ID:15236eea
Date: 2009/05/19 08:00
 とっぷりと日が暮れ、闇夜に海鳴市は包まれていた。
 朝と昼の人々の喧騒も静まり、今は晩御飯にありついてゆっくりしているのだろう。
 街に浮かぶ明かりの数は点々としているが、その穏やかな夜景の美しさは何にも替えがたい。

 しかし、そんな雰囲気を一人のMSの高笑いが水を注すようにある場所で響き渡る。

「フフフフ、ハーッハッハッハッハッ!」

 場所は臨海公園、海鳴に住む人やMS達にとって憩いの広場と呼べる。
 その上空にて、"ゆにおん"所属の黒いMS。グラハムフラッグが両脇に幼きガンダム二人を後ろ向きに抱えながら笑い声をあげていた。

「に、兄ちゃん~」

 笑い声を絶やさない彼に一体これから何をされるのか。スローネツヴァイは恐怖を抱き、目尻に涙を滲ませて兄を見る。
 そんな弟の姿を目にし、守らなくては! と決意し、泣いてしまいたい気持ちをグッと抑え兄スローネアインはグラハムに怒気を含ませて叫ぶ


「おいっ、俺達をどうする気だ!?」

「落ち着け少年。そうだな、どうするか……。このまま保護するのも良いが……君達を餌に、より多くのガンダムを釣りあげてゲットするのも悪くはない」

 睨みながら尋ねるスローネアインに対し、グラハムは楽しそうにオレンジ色のバイザーで公園の周辺に存在する戦艦を見遣ってから考えを巡らし、高笑いを挙げて自らの想いを述べた。


「ハハハハ、やはりガンダムLOVEな私は私らしくなければな! への字MS捕獲スペシャル大・作・戦・決・行・だ!」

「「いや、俺達。ヘの字無いし」」

 ガンダムゲット作戦へ臨む事を宣言するグラハムに兄弟は思わずツッコミを入れていた。

 何故か彼に装備されていない筈の擬似太陽炉から光が溢れながら、左手で掲げられたビームサーベルが海鳴市の夜空を赤く染める。
 その時、バックパックの溝に挟まっているある物が月光を反射して煌めくのをスローネツヴァイは不思議そうに見つめていた。


第3話「もどきって言葉は禁句なんです、ええ多分 前編」


「何、黒いMSがアインとツヴァイを掠っていった?」

 リズム良く皮剥き機を動かしながらシャアザクはモニター越しのグフカスタムにそう述べた。

 彼が言うには遡ること数十分前のこと……。ララァ達が艦内のバスルームへと向かってからシャアは晩御飯の支度としてキッチンで下ごしらえを始め。
 ある煮込み料理に欠かせない材料のニンジンとタマネギを洗い、皮を剥き終え、それらをステンレス製のボウルに入れて。次にじゃがいもの皮剥きに取り掛かった。
 これが終われば後はスパイスを調合して、チキンを炒め。この野菜はブイヨンで……と。考えながら皮剥き機を動かしていた時、ムサイに通信が入った。
 何だ何だと言いながら、じゃがいもと、その皮を落とすためのポテチの袋(空)に、皮剥き機を持って艦橋に移り作業をしながら端末で応答した。
 件名はアルビレンからグフカスタムと表示されている。

「どうした? じゃがいもの皮を剥きながら聞いてやろう」

 シャッ、シャッ、と縦に手を動かしながら通信を繋いで尋ねる。
 モニターが表示され、端末を持ったグフカスタムの姿が映るが、彼は呆れた表情でシャアを見ていた。

<<ながら族もここまで来ると尊敬するな>>

「はっはっは、文武両道というものだ」

<<使い方が違うわ! とゆうかどの辺が文武だ?>>


----
 グフカスタムの報告を纏めると。
 夕方、アルビレンに居た時に突然関西弁の少女が血相を変えて駆け込んで。二人の幼いMSが黒いMSに狙われていると言い。
 彼はその少女が示した方向、海鳴市の商店街に向かい。三人を捜索したところ聞き込み調査で幼いMS達はスローネアインとスローネツヴァイの特徴と一致し、黒いMSに掠われていった。というもの。

 皮剥きを終え、シャアは薄い黄色の姿を現したたくさんのじゃがいもが入ったボウルと剥いた皮が入ったポテチの袋を持ってキッチンに戻り。
 じゃがいもにラップをかけ、すぐにスローネアインとスローネツヴァイの捜索隊を結成して、グフカスタムの言っていた地域を重点的に捜させよう。
 そう思って廊下を艦橋の方向に進むシャアだった、だがその背後に足音が三つほど慌ただしく迫っていた。

「「「シャア[大佐]!」」」

 自分へとかけられた聞き慣れた声、それは今日知り合った少女一人、犬一匹と居候ガンダムのモノで。

「あの、私達がドライのお兄ちゃん達を捜してきます!」

「理由は帰った後でゆっくり説明するよ」

「とゆー訳で行ってきまーす♪」

 間違いなく彼女達だと確信し、何事だと言って振り向いたが遅かったようで。
 既にそこにはおらず、頭を前に戻せば。金髪ツインテールに黒いマント、赤毛、赤いGN粒子を靡かせて通り過ぎ行った少女達の後ろ姿をモノアイで捉えることができた。
 後にはシャンプーやボディソープの香りが鼻(?)に残り、彼女達は風呂から上がったばかりだと自然に理解できる。

「フェイト達は何かを感じると、ドライはアイン達がピンチと言っていたわ」

 いつの間にいたのか。フェイトとアルフが走り去っていった理由を傍で教えてくれる風呂上がりのララァ。
 しかし、シャアはそんな彼女に驚きもせずに。そうか、と述べるだけ。
 実際、ツッコミ系なデスティニーガンダムが居たらツッコミを入れるだろうが……。
 このMA(ヒト)だから、と選んで夫婦になったシャアにとって彼女の不思議な所も魅力の一つに過ぎない。

「ララァは感じるか?」

「ええ」

 シャアの尋ねに身体全体で頷いて、でも……。と言葉をつなげ。

「なんとかなるんじゃないかしら。ガンダム達も向かっているし」



 問題無いと微笑んで答えるララァにモノアイを弦月の形にしてシャアは納得して「それもそうだな」と呟く。
 『理由は後で--』と先程言って行ったアルフの言葉で、所見での感じたワケありな印象の理由をなんとなく察することができるが。この世界で難しく考えても仕方ない。
 自分やララァ、おそらくガンダム達れんぽーも何か起きても……そう、"なんとかなる"と思っているだろう。

「さて、そんなことより。さっさとカレーを作って匂いを換気扇で飛ばすぞ」
「ウフフフフフ、外の人からすれば食欲を掻き立てられる悪質な行為ね」


----
 フェイト達がムサイから出た頃、ガンダムとなのはは海鳴の海岸をひたすら走っていた。
 二人が目指すのはホワイトベースから十キロメートル程離れた先にある臨海公園の海辺。

 何故ここなのかと言うと、ホワイトベースの艦橋で晩御飯を済ませてから。
 ガンダム達はユーノにジュエルシードの位置は何処から感じるか尋ね、海鳴市の地図と照らし合わせて探した。
 そして、窓辺から彼が指し示したのが臨海公園がある方向だった。
 偶然、ホワイトベースも海に面していたから近いと言えば近いので走って行けばたどりつく距離である。
 その為にガンダム達は走っていた。


「わっせ、わっせ! あ、そうだ」

 ユーノを頭に乗せて走りながらガンダムはふとある事を思い出し。一緒に駆けている少女に声をかけようと視線を向ける、が……。

「あ、アレ?」

 なのはの姿はそこに無く。
 先程まで傍で走ってたなのに。と辺りを見回す。

「ガンダムさん、はるか後ろです!」

 頭から発せられたユーノの焦った声に、え? と言って後ろのある場所を見る。

「あ」

 自分が居る所から六メートル程、そこには俯せで倒れ込んでいる聖祥大附属小学校の制服姿のなのはが居た。
 白い何かが彼女からゆらりと立ち上っているのは錯覚……ではない。
 証拠と言ってはなんだが、下のはピクリともしていないのだ。

「…………」
(あはははは、すごーい今まで海辺を走ってたのに星空がすぐそこで綺麗なのー。
 あ、川がある。えーと天の川なのかな?
 でも、まだ七夕じゃないよね。あれ? 知らないおじいさんが手を振ってる。私に……かな)

 ぶつぶつと白い何かがなのはの声でそう呟いている。
 このままではリリカルなのはが始まる以前に打ち切りになってしまう。
 そうはさせない。と言うようにガンダムは意を決して彼女に駆け寄り、白いなにか目掛けてどこからか"どたまかちわりトゲボール"を取り出す。

「なのはー、目を覚ませー「ちょっ、ガンダムさん!?」
 呼びかけの声とともにトゲトゲのついたボール(?)はガンダムの手からピンと鎖を伸びて……白い何かに直撃した。

(ぐぼふっ!?)
 白い何かは赤い液体を吹き出し、スロー再生をしているようにゆっくりゆっくりと彼女の背中に重なって消えた。

「トドメ刺してどうするんですか!?」
「なに言ってるんですか、フルカラーだよ?」

「じゃあ、大丈夫ですね♪」
※ツッコミ1


 運動苦手+小学三年生の体力+ずっと走っていた。とガンダムとユーノがなのはの倒れていた理由が分かったのは、彼女がガンダムの人工呼吸で目覚めてからだった。


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 フェイト達がムサイから出た頃、ガンダムとなのはは低空で海鳴の海岸上をひたすら飛んでいる。
 二人が目指すのはホワイトベースから十キロメートル程離れた臨海公園の海辺だ。
 先程とは少し違うだけで、ただ飛んでいる。

「何が違うのかと言えば、ホワイトベースからGファイター飛ばしてもらったついでになのはがユーノからレイジングハートもらって魔法少女になったぐらいだよねー」
※ツッコミ2


「つ、ついで?」
「ふ、腑に落ちないの……それにこの服について感想も無いし。似合わないかな?」
[ガンダムさん、サラリとしすぎです]

 Gファイターの上でアッサリと魔法少女リリカルなのは誕生を流すガンダムになのは、ユーノ、レイジングハートはげんなりしてツッコミをいれる。

 時速三十キロの安全飛行で動いているのを確認して。そこから落ちないようになのははデバイスをユーノに預けて立ち上がり、ガンダムがよく見えるように両手を広げると。


「普通に似合うよ、着てる人の可愛さが引き立ってるって感じだし」
「はにゃ!?」
 しれっとした表情で彼女の恰好の感想を述べるガンダム。なのはは彼から「可愛い」という言葉が出るとは思っていなかったのか、顔を俯かせるが人より小さい身長のためMSのツインアイは下から覗き込むような状態になっており。
 魔法少女の頬がほんのりと桜色に染まっているのが確認できる。
 ピンク空間が発生している。とレイジングハートは思い、主の初恋だと認識したそうだが。
 次のガンダムの一言がいろいろぶち壊した。

「……でもなんか。大きいオトモダチが喜びそう? レイジングハートもそうだけど」
「あー」
※ツッコミ3

「ぐはぁっ!?」
[え、私もですか!?]

 ガンダムとユーノは。
 なのはとレイジングハートの心にビームサーベルを突き刺した。

「えーと。ガンダムさん、こーゆーの何て言うんでしたっけ?」
「コスプレ、かな」

「おぅえっ!?」
[こ、コス……プレ?]
 なのはとレイジングハートの心にビームジャベリンを刺した。

「も、もうやめてぇ……」
[こ、コ……ス……プ……レ?]
 なのはとレイジングハートの目の前が真っピンクになった。


続く



[8293] オマケその2「あれ、ツッコミは?」修正
Name: かなや◆5086b7d4 ID:15236eea
Date: 2009/05/11 16:02
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 オマケ

 此処は"それ・びー"居住艦プトレマイオス。

 ガンダム達とフェイト達が動き出した頃、デュナメス以外エクシア達も臨海公園の方向からGN粒子の反応を感知し、艦長から出撃許可がおりるのを今か今かと待機していた。ちなみにスナイパー担当の彼はハロ巻牧場経営の為に長期休暇中。

「皆……その」

「出撃か?」
 オペレーターのフェルトが来た事でヴァーチェは彼女が指示を伝えに来たとふむ。
 しかし、フェルトはピンクの髪を揺らして顔を小さく横に振る。

「そういえばクリスは?」

 いつも一緒にいるもう一人のオペレーターの姿も無い事を思い出したキュリオスが彼女に尋ねると。

「その、スメラギさんが……二日酔いで動けなくて。クリスが介抱してて……これ、伝言のメモ」

 少し呆れながら笑みを零すフェルトが皆に見えるように二つ折りにされていたメモを広げる。
 一斉にそれに視線を集中したエクシア達はそこに書かれていた内容を見た途端にピシリと音を立てて石化するのだった。

[それ・びー。本日、臨時休業です。byスメラギとクリス]
※ツッコミ4

「「「え」」」


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 オマケその2


 さあ、ツッコミが居なかった本編やオマケのある部分をデスティニーがツッコミ入れてるから照らし合わせてみよう。

※1、大丈夫じゃねぇよいろいろと! 魂が血ヘド吐いてたし!
※2、一番大事な場面かい摘まんでるだろうが! ※3、大きなオトモダチって何だ!? てゆうか、アンタが渡したんだろソノ杖は!
※4、って何屋さんの休業貼り紙だよ!?

「Σイヤ、やりにくいだろ! 何、ナレーションしてんだよレジェンド!?」

 ざふとではルインパルス(ルナ)とレジェンドによるお笑い講座が開かれ、デスティニーは日夜修行に励んでいた。

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あとがき

今回ツッコミほとんどいませんねw

少し修正しました、ハムは"ゆにおん"でしたねorz
あんまり見てなかったからごっちゃでしたw



[8293] PT事件編 第3話「もどきって言葉は禁句なんです、ええ多分 中編」修正
Name: かなや◆5086b7d4 ID:15236eea
Date: 2009/05/19 07:59
 なのはの世界は真っピンクに覆われていた……。
 Gファイターという、十歳程の子供なら四人が乗れる小型飛行機に乗り、ガンダム達は今も夜の海辺を低空で飛んでおり。
 波打つ浜から沖へと視線を向ければ星空が海面に映り。浪漫溢れる情景が成っていた。

 「とっても綺麗なの」と本来は言いたい、リリカルなのはの主人公だが。数分前、Gファイターの先頭に居る"白い悪魔"から放たれた言葉のビームサーベルが心に突き刺さったからか、心がピンクに沈んでいる。

 確かにこの恰好はやり過ぎというか派手だと内心思いつつ。感想を聞いた彼女としては"アンコにポンズがけ"のようなまずいものだった。
 Gファイターの後方で膝を抱えて座り込みながら、なのはは自分の服装を視界に入れる。

 「自分の心に浮かんだものを」とユーノに言われ、真っ白なキャンバスに下描きを入れて急遽完成した服……。
 彼がバリアジャケットと説明したこの服は、学校の制服を想い描き。
 それを手本として「こうだったら可愛いかな」と多少は思案して考えたものだ。

 やり過ぎた感は否めなかったが、それでもガンダムには褒めてもらいたかった気持ちがある。
 しかし、彼はフォークボールでストライクゾーンを予想以上に外した。

 もしかしたら、自分には大きなオトモダチに喜ばれる要素を作り上げる才能があるのだと。つい考え込んでしまう。

 私は夏コミデビューしたほうが良いのかと。

「なのはー、機嫌治してってば」

 情けなさを感じさせるガンダムの言葉にそこで心からピンクが晴れ渡れ。思考がクリアになるなのはだったが、すぐに頬を膨らませて彼にそっぽ向く。

「どうしようかなぁ……」

 心から謝り倒す。そんなガンダムの困った表情をちらりと見て、悪戯っぽくからかうなのは。

 ちょっとばかりショックを受けた気持ちは理解してほしい。そう思ってつい困らせたくなったが、本心ではもう余り気にすることではなくなっている。

 何故なら

「ぷっ、良いよー」
 どんなに「もう知らない」とそっぽを向いても、彼のかわいらしさに根負けしてしまっていたからだ。

「なのは……」

 見る者の気持ちを和ませてくれる柔らかな笑顔で許しを彼女から得て、ガンダムは心から頭が下がる想いがする。

「ホントにさっきはごめんね」
「もぉ、気にしなくって良いの」

 「ね?」と付け加えるなのはに、年下ながら大人な雰囲気が似てるなぁ。と妹のことを思い浮かばせなつつ彼女に感謝を述べる。
「ありがとう」


「そういえば、ガンダムさん」
「何ー?」

 句切の良い場所で足元からかけられたユーノの声。それにガンダムだけでなく、なのはもつられて彼に視線を移すと。
 小さな身体で手元に持っていたレイジングハートをなのはに手渡し、ユーノは少し前のことを--。

 なのはが倒れていることに気付く直前でガンダムが彼女の名前を呼んでいた時のことを思い出していた。
 あの時、何か聞きたいことがあったのだろう。と確信めいたものを感じながら、彼に再び場を作ってみると。
 思い出したようにああと声を漏らして告げた。

「皆に言おうと思ってたんだけどねー。ようは、さっさと終わらせてさっさと帰ろーってこと。OK?」

 グっと親指を立てて、「何事も心配する必要なんて無し!」と言ったようなその言葉に、なのは達は力強い笑顔で頷く。

「「はい」」
[解りましたガンダムさん]

 すぐそこまで迫った、目的地。
 その夜空の中を浮かび、赤い光のビームサーベルを掲げているMSを頭上に見据えながら……。


第3話「もどきって言葉は禁句なんです。ええ多分 中編」




「フ、ようやく現れたなガンダム!」

 ビームサーベルの灯で視認し、MSはゆっくりとオレンジカラーのバイザーを足下に居るガンダム達へと向ける。

「お前っ!?」

 漆黒のペイントをしている彼を目で捉えるのは難しいだろう。しかし、オレンジのバイザーの奥に浮かぶ目が唯一、その者が誰であるか認識することができた。

「ジュエルシードは……「あのMSから感じるよフェイト!」

 怪しげに光輝くグラハムの太陽炉に目を奪われながら呟くユーノの言葉に被さる形で聞こえた声。
 その声が放たれたのは彼らガンダム達が居る海辺とは違い、そこから海を望むことができる臨海公園の園内から。

 黒いマントに両横で纏められた金髪を風に靡かせている少女。
 オレンジの毛色の大型犬。
 そして……赤いGN粒子を太陽炉から放つ朱色の幼きガンダム。

 三人が、上空にいるグラハムを見遣っていた。


「あの子は……」

 自分達がいる場所から少し距離があったものの、鉄柵越しにでも彼女達を捉える事ができる。
 同じ年ぐらいのようにも見える彼女は、なのはにはとても目立つ存在であり。
 さらに--。

[園内にいる三人から、二人。強い魔力を感じます]
「あの子は魔導師……傍に居るのも多分、使い魔だ」

「えっ!?」

 手元のレイジングハート、ガンダムの肩に乗っているユーノから告げられた解析結果に。思わず驚きの声が漏れてしまう。
 全く予想していなかった。いや、予想する暇もなかった彼女からすれば他の魔導師の存在。同じ年の魔導師の登場は寝耳にどたまかちわりトゲボールなのだ。


「にーにー!」
「「ドライ!?」」

「え、あっちにいるのドライで……。グラハムが抱えてるのってアインとツヴァイじゃん」

 件の少女達から上がった少女が呼び、重なった応えがグラハムにあり。ガンダムはそれが知り合いであることを初めて知る。

 電波の光が見えた時、ふとそれ・びーのメンバーかとも思ったが。よくよく思い返してみれば赤い電波を放つ奴はじおんに居候しているちびっ子トリオしか一致しない。

「ガンダムさん、あのMS(こ)達を知っているの?」

「うん、知ってるも何も--。あのこらじおんの居候だし」

 ドライの声を「アリサちゃんに似てるの」と思いながら尋ねるなのはに、ガンダムはスッと遠くを指差す。
 その先は海鳴の森林が茂り、もう深紺の夜空の下では黒いシルエットとなった山があった。

 そこにはガンダムと対をなしてMS達のリーダーを務める存在のシャアがおり、じおんの居住戦艦・ムサイが置かれている。
 雨天の日には、雲の上にアレが飛び立っていく姿は海鳴市民からたびたび目撃証言があがったりしていた。

 T・Mさんの証言。
「せっかくだし、洗濯物を乾かさせてほしいわ」
 など、主婦層から羨望の証言がよくあげられる。




----
 予想していなかった事態にフェイトは少し困惑していた。
 シャアやララァに無理を言ってドライを連れ、ジュエルシードを回収するためにこの場所にやってきたものの。
 まさか、ジュエルシードを感知した場所と彼女の兄弟達の居場所が結び付くなど予想していなかった。

 そして、もっとも予想の範疇外なのは。海辺に魔導師が居たということ。

「多分あいつらもジュエルシード狙っているよ……どうするフェイト?」

「ジュエルシードは……」

 アルフの示す言葉に目を細めて少女達に視線をおくり、答の途中でフェイトは考えを巡らせる。

 すぐにでも、彼女としては目の前のジュエルシードを確保したい。母の願いを叶えたい。
 だが、スローネドライと彼女の兄達の関係に、自分と姉の存在をダブらせた途端。胸に熱い想いが駆け巡る。

 助けたい、今自分の傍で自分の家族--兄弟を心配そうに見上げている友達を助けてあげたい。

 だから……。

「ジュエルシードは……。ドライのお兄ちゃん達を助けてから考えよう!」
[承りましたわ]

 黒いMSを眼に焼き付け、バルディッシュに黄色の魔力刃を展開させて答をだす主にアルフは嬉しそうに人化をする。

「さっすが私のご主人様だね、そーいうと思ってたよ!」


「え、あ、アルフ!?」
 初めて人間の姿を目の当たりにしたスローネドライは、唖然とした表情で風に揺れるオレンジの長い髪を持つ女性を見上げる。
 今まで傍にいた狼が人間に変身したからか、無理もないとフェイトは苦笑して。アルフは両手を腰にあて、勝ち誇ったように胸を張っていた。
 バルディッシュもアルフを応援しているのか、魔力刃を消してカクカクとアックスの部分を揺らす。

「へっへーん、すごいだろぅ。帰ったらシャア達も驚かせてやるんだから」
[きっと、目をデニッシュのように丸くなさいますわね]

 しかし。

「ほお、水木しげる殿の世界か?」

「うっわ、犬がねーちゃんに変身した!?」
「妖怪だ妖怪!」


「あー、使い魔だもんね」

「妖怪ポストに投稿したいの」
[退治されますね、あの家の親子に確実]

「動物から人間に変身するなんて妖怪だよ……こわいなぁ」


 上空から放たれたグラハム、スローネ兄弟。
 さらには海辺から漏れたガンダム、なのは、レイジングハート、ユーノの順に出た感想にアルフは額に青筋を浮かべて叫ぶのだった。

「私は犬じゃなくて、狼だぁぁ! それに妖怪じゃないし!」

「でも、化け物の方が合うかな」
[知らない人からすればそう思われますわね]

「ちょ、フォロー無しかいそこのご主人様とそのデバイス!?」

「大丈夫だよアルフ」

 ツッコミを周りの連中に飛ばすアルフに、幼きガンダムは手を引いて微笑んでいた。
 やっと自分に味方が出来たと感謝の涙を滲ませて彼女と手を取り合うが……。

「水木センセーならきっとカッコイイ名前考えてくれるよ! 妖怪化け狼とか」

「うわあぁぁぁん!」

「アルフ!?」

 純粋な笑顔でとどめを刺され、アルフは泣きながら主人がいるその場を走り去っていった。

 彼女の後ろ姿を、空を掴むように手を伸ばすフェイトは悲哀に満ちた表情を浮かべ。

「なんでこんなことに……?」

[え、マスターがソレ言いますの?]




続く



[8293] PT事件編 第3話「もどきって言葉は禁句なんです、ええ多分 後編」
Name: かなや◆5086b7d4 ID:15236eea
Date: 2009/05/23 10:49
 結界が張られた臨海公園の海辺、スローネ三兄妹は。
 様々な光と音が激しくぶつかって鳴り響く夜空を眺めていた。

「ハハハ、その程度では私を止められんぞ諸君!」

 そのうち一つは背中の太陽炉から赤光を放って飛び回るグラハム。
 「ガンダムを全てゲットする」と豪語した彼は抱えていたスローネ兄達を一時的に引き渡し、正々堂々ガンダム達と闘っていた。


「ああー、もう! まえより速くなってるじゃんアイツ」

 ツインアイでその姿を追い掛け、黄色い標準機が付いたグレーのビームライフルを目測で構えて。銃口からピンクの閃光を放つガンダム。
 ユーノが言うには"彼からジュエルシードを感じる"らしく。
 以前からガンダムと名のつくMSにラブコールを送ってくるだけだったのが今回に至っては変に行動力があった。
 それに、赤い刃のビームサーベルと背中から電波を飛ばしているのが、顔を合わせた時から「あんな装備していたか?」と不自然に思わせた。

 ユーノの話を思い返し、ジュエルシードの影響によってああなったことは納得でき。
 厄介な奴に取り付いたなと、ガンダムは心底そのロストロギアを恨めしく想う。
 しかし、そのわりには誇り高い本人の意志は残っており。おかげでスローネ達は楽しそうに下でこちらのバトルを観戦していたりする。

「わ、外れたっ!?」

「はにゃっ、どこ!?」
[マスター、後ろから来ます!]

 ビーム弾をひらりと避けたのが見えたと思った次には、グラハムは赤いビームサーベルを振り抜いてなのはへと迫ってきていた。
 一気に近づかれる前にレイジングハートを両手で構え、コアを間に挟んだ音叉のような先端に変化し。魔力をサッカーボール程の大きさに溜めて放つ。
 ユーノから預かった時、彼に教えて貰ったこのデバイスの扱い方と魔法の使い方を呟くように反駁しながら。なのはは今自分が使える手札を出した。
 夜空をピンク色で染め上げ、一条の光が流れていくが。
[上です!]

 レイジングハートの声に視線を上へと合わせると、漆黒のシルエットが夜空を遮り。赤い輝きが目を引かせた。

「若葉マークの必要な闘い方で、私に当たりはしないぞ少女!」

 黒い姿を確認した途端。彼女に光刃を振り下ろすグラハム。

「どいて!」

 そこにジュエルシードをちゃんと確保する為に、協力をする事にしたフェイトが間に割り込み。バルデッシュで彼のビームサーベルを防ぐ。

 間髪で相手の光刃から自分を守ってくれた彼女に。なのはは笑みを零して礼を述べてグラハムから距離を取る。

 何故、フェイトが協力するのか……それはガンダムから直々に「協力しないならば--」

「ジュエルシードを鼻にねじ込んでがんたんくとウイングのストレスのはけ口にする」
 と素敵な笑顔で"オネガイ"されたからだ。
 なのはとユーノ。さらにスローネドライが慌てて彼を制止していたのは何故だろうと。
 フェイトとアルフは首を捻ったがなんとなくジュエルシードを鼻にねじ込まれるのを想像して嫌だなと感じた。


第3話「もどきって言葉は禁句なんです、ええ多分 後編」


「やるな! なかなかに興をそそらされるぞ、魔導師とやら!」
「経んな貴方には、負けない!」

 しばらく赤と黄の光刃を交わっていくのを、ただ見守るしかできない事になのはは歯がゆい気持ちであった。

 魔導師といってもなってばかりで、ユーノから教えられた攻撃魔法のオプションはディバインバスターだけ。
 こうして飛行していることも、自在にとはいかない。
 ガンダムや、眼前でグラハムと激闘を演じる彼女達を見て。なのはは強くなりたいと激しく願いはじめていた。


 そんな中、次第に人とMSの力の差が生じていき。

「っ!」

 バルデッシュが押されているのが解り、フェイトも彼から距離を取って自分の周りにフォトンスフィアを生成。
 そこから雷を伴った手槍のような魔力弾を放つ。
[フォトンランサーですわ!]

 幼き頃より、自分にとって魔法の教師であるリニスから学んだ最初の魔法。
 サーベルが届かない距離でそれを連射され、グラハムはリニアライフルで飛来してくる魔力弾を撃ち落とすが。
 連射され、一つ一つに銃口を向けて防ぐのは至難な物で。彼女にとってかなり慣れている魔法であったことは射撃の速度で理解させられる。
 小さく舌打ちしてサーベルで振り払ってから可変、小型飛行機を思わせるフォルムとなって星空高く飛ぶ。

「な、変形した!?」

 目でなんとか追いかけれるが、それでもグラハムの機動性は高い。
 初めて見るMSの変形を利用する闘い方にフェイトは驚愕する。

 そして、夜空に浮かぶ三日月のちょうどぽっかり穴があいている中心でシルエットが止まった瞬間。
 そこからターンした彼は高速で自身にスピンを加えてフェイトへと突撃を敢行してきた。

「見せてやろう……これがグラハムスペシャルスーパーDXだ!」


----

「すごーい、高い高い!」

 窮地から離脱し、再び高く飛行していくグラハムの姿に度肝を抜かされ。心は既に高揚して、自然と拍手を送るスローネ達。

「グラハム、カッコイイー!」

「変形いーなー」

 と、およそ今まで拉致されていた子供とは思えない言葉を述べるアインとツヴァイ。
 一方、ドライは先程からずっと、魔法を扱うなのはとフェイトを見遣っている。

 女の子だから。といってしまえば終わりだが、女の子はやはり魔法使いに憧れたりするのは当然かもしれない。
 そして、そこにかっこよさがプラスされれば真似さえしたくなるのに充分だ。

「魔法を使うって言ってたけどこんなにカッコイイだ……」

 お風呂で、フェイトから魔法を使うと聞いた時はおとぎ話の絵本に出てくる魔女の姿を想像したが。
 今見たものはそんなイメージを一気に払拭させられる。

「あ、そういえば。にーにー」
「なんだドライ?」

 ふと、フェイトが言っていたジュエルシードの話を思い出し。兄達に声をかけると。
 アインが顔を向け、ツヴァイも妹に視線を這わせる。

「あのね、ジュエルシードっていう宝石みたいなのこの辺りで見なかった? 」
「いや、俺は見てないな」

 ぷちぷちを探しに商店街まで来て、街中に宝石店は何件か見かけたが。あの黒いMSに拉致されてからというもの。
 目に映ったのは空から見る海鳴市ぐらい。
 お前はどうだ? とアインは隣にいる弟へと聞く。


「俺も見てないかな……」

 ツヴァイも首を捻って、記憶を思い起こす。が、兄同様に空から街を見下ろしたぐらいであったはず……。

 何となく見上げた夜空、そこにちょうどフェイトを守ろうと殴り掛かったアルフをあしらい。
 ユーノのチェーンバインドをディフェンスロッドで弾き。
 ガンダムとなのはによる十字方向からの射撃を降下して回避するグラハムの後ろ姿が映った。

「あ--」

 その時、背中に搭載された太陽炉のところにGN粒子とは違う輝きが目に入った途端。
 彼に抱えられていた際に偶然見た輝きが宝石のような形をしていたのを思い出した。


「そーいえばあのオッサンの背中に宝石みたいなのあったなぁ」
「え、じゃあ。教えなくちゃ!」
 しみじみとそう話す次兄にドライは自分の事のように喜び。
 早くフェイトに今の話を教えてなくてはと再び上空のガンダム達を見遣った時。
 近くを通り掛かった二機の可変MSが視界に入ったことで、彼女はここで自分がするべきことを行動に移す為。彼等へと声をかけた。


----
「あーもう、さっさとやられろこの変態カスタム!」

 薄い装甲が成せる高速戦闘をなんなく熟していたが流石に動きを鈍らせている彼に心配と苛立ちが混ざった感情をバズーカに込めて撃つ。


「第一、ガンダム全員ゲットしてどーすんだヨ!」

「フハハハハハ、愚問だぞファーストガンダム! 部屋に並べて、一緒に寝て、ガンダムのダムはどういう意味かを夜ごと語り合うのだ!」

 作戦が成功した暁のことを鼻息(?)を荒くしてまくし立てるように答えるグラハムにまたもや悪寒が走る。


「じゃあ俺達もゲットされるのか」
「されるんじゃないか? 怖いな」

 そんな時、今の言葉について感想を述べた二人の声に。ガンダム達は一斉に彼らへと視線を向ける。
 するとそこには、ガンダムにとって既知の存在であるリガズィカスタム、ムラサメの二機のMSが--。
 グラハムの激白した本音に表情を引き攣らせて、自分達の傍まで飛んで来ていた。
 一体なんで彼らが? と二人を見たことあるなのはとユーノも疑問が表情に現れている。


「いや、あえて言わせてもらおう!
 カスタムであってもゼータもどきな君と、そしてガンダムの名前すら持たぬガンダム面の量産機な君に興味はナイ。安心したまえ!」

 リガズィ達にビシッと人差し指を突き付けるグラハム。
 だが同時に彼は禁忌の呪文を言ったことで、温和な性格の中に封じられていた彼らの激情を誘い出す事となった……。

 何かが切れる音が聞こえたような気がし、ガンダム達。さらにフェイトやアルフもただならぬオーラを放つ二人に背筋が凍る。

 そして--。
[二人の戦闘力が一気に上昇!]
[ちょっ、アドレナリンが沸騰してますわよコレ!]

 レイジングハート、バルディッシュがそう解析した瞬間--。

「「誰がなんちゃってガンダムだグォラァっ!!」」
「あるぇー」

 ガンダムなナリをしているMSの咆哮がビームライフルやグレネードランチャー等、武装の嵐と共に放たれ。

「ちょっと、そんなに撃ったら俺達も--」

 太陽炉からジュエルシードが剥がれ落ちていきながら、グラハムは爆光に包まれて。それはガンダム達をも巻き込んでいき--最後は、爆音を悲鳴の五重奏が夜空を彩った。

 こうして、グラハムのガンダムゲット作戦は一部のガンダムもどきーズによって跡形も無くブチ砕かれたのだった。

 この一幕を一部始終目撃していた。とある三つ子ガンダムは海にプカプカと浮かぶ屍達にこう言ったそうだ。

「「「しーらね」」」


続く



[8293] 各勢力の分布表 ちょっと修正液。
Name: かなや◆5086b7d4 ID:15236eea
Date: 2009/06/23 21:08
 フルカラー劇場に出てくるMSの住所(?)を紹介。
 このSSだけの設定もあります。


☆れんぽー☆

 フルカラー劇場の主人公ガンダムの居る勢力。
 海鳴市にホワイトベース、アルビオンを構え。
 各次元世界にもサラミス等の居住戦艦を構えている。

★ホワイトベース組
・ガンダム(ディジェ、ν)
・ガンダムアレックス
・ガンキャノン兄弟
・がんたんく
・ジム
・ボール


★アルビオン組
・ゼフィランサス
・サイサリス
・スティメン
・ジム改
・ジムキャノンII
・ジム・カスタム

★サラブレッド組
・ガンダム4号機
・ガンダム5号機
・Ez8
・ブルーデスティニー(3号機)
・マドロック
・リガズィ
・ジェガン

★リーンホースJr.組
・V2ガンダム

★海鳴市のパン屋組
・F91
・ビギナ・ギナ


★フリーデン組★
・X
・エアマスター
・レオパルド

★れんごー組★

・フォビ丼
・カラミティ
・レイダー
・カオス
・ガイア(デストロイ)
・アビス
・ダガーL
・ウィンダム
・ストライクダガー


☆えぅーご☆

 海鳴市、住宅街にネェル・アーガマを置いて暮らしている。

・ゼータガンダム
・ガンダムマークII
・メタス
・ゼータプラス
・ダブルゼータガンダム
・ネモ
・ジムIII
・バウンド・ドック
・Ex-Sガンダム


☆Gガン組☆

 全次元世界で修行し回ってくらしている。

・ゴッドガンダム
・マスターガンダム
・風雲再起


☆コロニー組☆

 スペースコロニーにて暮らしているガンダム達。

・ウイング
・デスサイズ
・ナタク
・ヘビーアームズ
・サンドロック
・エピオン
・トールギス
・サーペント
・リーオー


☆ざふと☆

 スペースコロニー、プラントから海鳴市に移住してきた。


★アークエンジェル組★
・フリーダム
・ジャスティス
・デュエル(ザク、グフ)
・ブルデュエル
・バスター(ザク、ザク)
・ヴェルデバスター
・ブリッツ
・バクゥ
・ラゴゥ
・ケルベロス
・ガイア(虎、ムラサメ)
・プロヴィデンス
・ゲイツ
・ジン
・ゾノ
・グーン

★ミネルバ組★
・デスティニー
・レジェンド
・インパルス(ルナマリア)
・ゲイツR
・グフイグナイテッド
・ザクウォーリア
・ドムトルーパー(運命版黒い三連星)

☆おーぶ組☆

 次元世界おーぶの勢力。ストライクルージュが姫。従姉妹にゴールドフレームがいる。

・ストライクルージュ
・ゴールドフレームミナ
・アカツキ
・M1アストレイ(別に漫才はしない)
・ムラサメ


☆じゃんく屋ぎるど組☆

 アストレイレッドフレームが旗揚げした通称ものづくり屋。
 家電製品等を修理して改良してくれる。月村家やバニングス家と仲良し。

・レッドフレーム
・Xアストレイ
・アウトフレーム
・シリビアン

☆傭兵さーぺんとてーる☆

 レッドフレームの弟、ブルーフレームの組合。通称、なんでも屋。

・ブルーフレーム
・イライジャ
・ハイペリオン
・サーシェス(イナクト、アルケーガンダム)
・サンダーガンダム


☆火星MS☆

 火星のMS達。

・デルタアストレイ
・ガードシェル


☆それすたるびーいんぐ☆

 通称それ・びー。様々な世界に行っては武力介入という水を注す。

・エクシア
・デュナメス
・キュリオス
・ヴァーチェ(ナドレ)
・ケルディム
・アリオス


☆みりしゃ☆

 町のパン屋。旅館もやってたりする。

・ターンA
・カプル
・ターンX


☆じおん☆

 フルカラー劇場二人目の主人公のシャアがいる勢力。れんぽー同様、様々な世界に戦艦を構えている。

★ムサイ組★
・シャア(ザク、ズゴックゲルググ、ジオング、リック・ディアス、百式、サザビー、ザズゴググングム)
・ララァ
・ザク
・ズゴック
・ゲルググ
・ゴック
・ゾゴック
・ジュアッグ
・アッグ
・ドム(黒い三連星)
・リック・ドム(黒い十二連星)
・グフ
・ギャン
・スローネ三兄妹

★ケルゲレン組★
・アプサラス(アイナ)
・グフカスタム
・ケンプファー
・ハイゴック
・ズゴックE
・ゲルググJ
・ザクII改
・イフリート改(ブルーデスティニー2号機)


★でらーず・ふりーと組★

・ガーベラ・テトラ
・リック・ドムII
・ザメル
・ドラッツェ


☆てぃたーんず☆

 次元世界に戦艦を構える勢力。

・ジオ
・ガンダムマークII(一郎、二郎)
・サイコガンダム
・サイコガンダムマークII
・ガブスレイ
・ギャプラン
・ハンブラビ
・マラサイ
・アッシマー
・ボリノークサマー
・バイアラン
・メッサーラ
・パラス・アテネ
・ガルバルディβ


☆あくしず☆

 宇宙要塞あくしずにいる勢力、じおんグループ。

・ビグザム
・キュベレイ(ガザC)
・量産型キュベレイ
・ガザC
・ドーベンウルフ
・ジャムルフィン
・キュベレイマークII(プル)
・キュベレイマークII(プルツー)
・クイン・マンサ
・バウ
・ゲーマルク
・ハンマ・ハンマ
・ザクIII改


☆ねおじおん☆

 シャアの副業勢力。コロニー・スイートウォーターに居る。

・ヤクトドーガ(ギュネイ)
・ヤクトドーガ(クェス、αアジール)
・レズン(ギラドーガ)
・ギラドーガ


☆むーんれいす☆

 月のMS達。

・ハリー(スモー)
・スモー
・ウォドム
・フラット

☆海外☆

 海外のMS達。

・グラハム(フラッグ)
・ティエレンタオツー
・セルゲイ(ティエレン)
・パトリック(イナクト)
・アルヴァアロン


☆居候☆

 月村家とバニングス家に居候しているMS。

・スターゲイザー
・ストライクノワール


☆保護者☆

 各勢力の保護者(?)をしてくれていたり、妹だったり、恋人だったり、中身だったりなヒロイン達。

・シャクティ
・シュラク隊
・ティファ
・リィナ
・ラクス
・マリュー
・メイリン
・スメラギ
・フェルト
・クリス
・アニュー
・ディアナ
・キエル
・ハモン
・セイラ
・アイナ
・ミネバ


 なんでサラブレッドにEz8とかいるの? は仕方なしですw
 出そうとしてるキャラの数じゃなくて勢力にいる奴の目安と見て下さい。
 また、新たなMS・MAを出したら紹介していきます。



[8293] PT事件編 第4話「デバイスの使い方なんだけど……え、駄目?」
Name: かなや◆5086b7d4 ID:15236eea
Date: 2009/06/06 23:12
 ロストロギア(グラハム)による暴走が二人のガンダムっぽいMSによって食い止められてから一夜が明け、なのはは自分の部屋で眼を覚まし、ベットから上半身を起こして伸びをする。

「ふにゃ~、おはようユーノ君」


 傍で身体を丸めていたフェレットもとい、自分を起こしてくれたユーノへ挨拶を済ませ。
 掛け布団を畳んでから、脚を揃えて床に降ろして立ち。学校に行く支度を始めた。
 途中、着替えの為に寝巻のボタンに手をかけ。まだ幼く、若い肌をあらわにした途端。ユーノが慌てて壁側へと回れ右をした事に笑みを零してしまう。

 洗い立ての別の制服に身を包み、彼を肩に乗せて共に部屋を出て食卓へ降りていくと。既に家族は朝食を前に席に着いていた。

 バタートーストにベーコンエッグ、サラダ。飲み物はもちろん牛乳で。
 まさに朝食に相応しい組み合わせにいつもながら感動し、なのははグッと誰かに親指を立てた手を向けてしまう。

 おはようと朝の挨拶を交わし、「いただきます」と皆で手を合わせてから。先ずはバタートーストに噛り付く。

「おいし~」

 と、思わず顔が綻んでしまう。隣で小さく取り分けて貰ったベーコンエッグに口をつけたユーノも同じ思いのようで、せっせと食べだす。
 そんな光景に喜ばない作り手はいないだろう。母・桃子は嬉しそうに微笑んで、慌てないようにと注意をする。

 昨日帰って早速、飼うことを相談するとユーノは直ぐに歓迎され。

「ああ~、ユーノ君可愛いなぁ」

 特に喜んでいるのはそう言ってニヤつく姉の美由希だった。
 そんな彼女の姿を、やれやれと肩を浮かして苦笑いを浮かべながら兄・恭也は牛乳を口にする。

「そういえば、昨日はガンダム君達の探し物を手伝ったんだったな。 どうだった?」

「…………」

 父・士郎からの尋ねになのはは、静かに牛乳で流し込んでから笑顔を見せる。

「あはは……。世の中には、言ったら命に関わる事になる禁句って本当にあったり。わがまま言ったらキャタピラ音が聞こえるって……そう、ひとつふたつお勉強になったの」

 触れてしまえば壊れてしまいそうなガラスの笑顔がそこにあり。彼女のと同意見なのか、ユーノすらも顔を青ざめて動きを止めてしまった。

 そんな姿に父は……いや。家族はそれ以上その事を追求しようとしない。
 末っ子が経験した何かを。桃子以外、味わったことがあったりするからだ。

 "キャタピラの悪夢"を……。

[はっくしゅん]

 どこか遠く、生理現象で量産型MS達を吹き飛ばす轟音が聞こえたような。
 父子達は幻聴を振り払うように目の前のトーストを口に運んでいった。

 そんな家族の反応に苦笑いをしながら、なのはは昨夜の騒動を思い出す。
 ボロボロになったグラハムはリガズィ達が"お話"するから連れていかれ、後に残った自分達はジュエルシードをどちらが回収するかで反発しあった。
 しかし、結局はユーノとフェイト達を小一時間程がんたんくを交えて黙ら--説き伏せたガンダムが保管することになり一件落着した。
 なのは達は今でもその時の「喧嘩になりそーだから預かるよ、文句あるならゴッドとナタクも加えてお話するけど♪」と綺麗な笑顔で言った彼の黒さも忘れることが出来ない。
 もちろんなのは達は涙目で命乞いをした。


第4話「ジュエルシードよりも。デバイスの使い方なんだけど……え、駄目?」


  日が傾きはじめ、日影が大きくなった土曜日の昼下がり。
 その日の授業全てを終え、一度帰宅したなのはとユーノが家から山へと足を向けて歩いていた。

 二人が目指すのはその目的地に在るじおんの居住戦艦ムサイ。
 何故、彼女達がそこへ行こうとしているのか。

「理由は学校で授業を受けていた時に遡るの」
[いよいよ今日の"その時"が……]

「レイジングハートってあんな感じの性格だったんだ」


----

 教壇に立ち、テキストを片手に今日のテーマについて講釈をしている教師。

 その時の授業は4時間目である国語。
 次に待ち構えるお昼休みが楽しみとなる時間でなんとなくクラスの皆の意気は揚々としている。

 本文を朗読してくれる先生の声がよく理性を保たせてくれていると感謝せざるをえず。
 お弁当が待ち遠しく楽しみなのだが。なのはにとってはアリサとすずか。三人で話をするのが楽しみなのだ。


 先生から、あてられても対応出来るように。朗読の声を聞き漏らさないよう、文字を目で追跡しながら彼女達は教科書の障壁で手元を隠してユーノの事を手紙で話していた。

 明日にでも彼を連れて家にこないかと、すずかからの提案に。アリサ、自分の順に回ってきたのを渡された手紙で確認すると。
 既にアリサは赤いペンで「OK」と太字で書いており、なのはも承諾の返事を書いてすずかに渡す。
 三人寄れば姦しいとはまさにこの事であろうか。
 そう思いながら、この関係を結び続くことを喜び。彼女達は自然と笑みが零れていた。


「?」

 そんな中、何通目かの便りが胸の辺りで差し出され。
 なのはは何のためらいもなく受け取ろうとするが……その状況に違和感を覚える。

(え、アリサちゃ……)

 もう、新たな話題に突入したのか。順番を思い出してアリサを見遣ると。彼女は黙々と本文を見ている。

(すずかちゃ……ん)

 順番が変わったのだろうか。すずかを見遣ればなのはを見返してニコッと微笑んだ。

(一体誰が……?)

 不安にかられ、恐る恐る手紙を受け取った場所。足元を見下ろすと……そこには灰色の手があった。

「…………」

 きっと私は錯覚か夢を見ているんだとなのはは自分の頭にそう言い聞かせ、手でゴシゴシと目を擦る。
 そして、今一度。何も無い事を願いながらゆっくりと瞼を開けた……が。

「…………」

 やはり手はそこに存在している。
 少し椅子を引き、一体何処から伸ばされているのか再び確認すると。

 足元の先には、肘から下の腕。それもMSの右のおててがふよふよと浮いており。
 途切れている先から出ている赤いケーブルが視界に入った瞬間になのははその機能に該当する存在を機能の片隅からシルエットを掘り起こす。

 以前のMS大運動会、騎馬戦で発揮されたセコい存在のMSを……。

 改め受け取った四つ折の手紙を広げ、書かれている文に目線を向けると。
 そこにはこう書かれていた。

[高町なのは、ユーノを連れてムサイまで来い。探し物について話がある、デバイス持参も良いだろう。byシャア]

 "探し物"と明らかにロストロギアを意味している内容に小さく声を漏らしてしまう。
 なのはは未だ話したことの無い送り主に不安と期待が入り交じった気持ちを抱きながら……。教わったばかりの念話をユーノに繋げて今に至るのだった。


<<ユーノくん!>>

<<どうしたの? 慌ててるみたいだけど……>>

 自身を呼ぶ声から、何やら緊迫した空気を感じ。ユーノはジュエルシードに関連する話と予想し、気を引き締めて彼女に聞き返す。

<<う、うん。あのねユーノくん……>>

 この時、なのはの心を。ジュエルシード云々よりも心を揺さぶるものがあった。

 あれなら背中の痒いところにも届くし、寝ながらお菓子摘んでテレビのチャンネルだって変えられるの……と。
 あの機能があれば……と。

<<レイジングハートって、サイコミュでマジックハンド出来ないかな!?>>

 ジオングの"手"が、ただ羨ましかった。

<<え?>>


 思わず素っ頓狂な声を上げてしまうユーノ。
 無理もない、そう言われて頭の中に浮かぶのはジオングの手。
 思い出してみてもレイジングハートにそんな機能はない。つまり--。

<<出来ないから>>

<<えー、お昼寝しながらチャンネルを変えたかったのに。あ、レイジングハート持って先で>>

<<そんな使い方したら足の小指をおもいっきり踏むよ?]

<<マジごめんなさいなの>>

 ユーノの見えない何かに謝り。教室の窓から帰っていく手を見ながら、なのはは渋々諦めてついでの用件を彼に話すのだった。
 だが、この時二人は知らない……。

[……良いなぁ]

 ユーノの答えを聞き、少しショックを受けながらも羨ましそうにジオングの手が帰っていくのを見てぽつりと呟いたレイジングハートのことを。
 そして後々、実際にジオングの手やνとサザビーのファンネルを見たことでなのはがアクセルシューターをあみだすきっかけになったりする。


続く



[8293] PT事件編 第5話「ジュエルシード集め手伝って」修正
Name: かなや◆5086b7d4 ID:15236eea
Date: 2009/08/15 20:10
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 ムサイ。海鳴の山中に構えているじおんの戦艦。
 その艦橋には数分前にムサイを訪れた客人と、新しく此処で暮らすことになった居候の姿があった。
 客は、昨日の事件で魔導師になった高町なのはと。
 彼女にデバイスを託したユーノ・スクライアの二人。

 居候はシャアからの薦めに応じ、昨日からこのムサイで暮らすことにした魔導師フェイト・テスタロッサと。
 彼女の使い魔であるアルフの二人。

 今。彼女らとなのは達は共に、自分達を呼び出した張本人達と向かい合う状態でソファーに腰掛けていた。
 何故、二人と一匹がムサイにいるのか。
 理由を聞かされていないまま呼ばれたフェイト達は困惑した表情でMS達を双眸に映す。

「さて……」

 そんな彼女達の視線に気付き、シャアは初見であったなのは達と軽く自己紹介を済ませ。すばやく今回呼び出した用件について口を開く。

「さて、おまえ達を呼んだ訳だが……なのは達は手紙でうすうす解っているだろうがジュエルシードについてだ」

 彼女達にとって……特にユーノとフェイトからすれば一番の優先事項であるロストロギアの名前。
 それが述べられ、思わずフェイトは白のMSを凝視した。そして、シャアからのモノアイの合図を受け、今度は彼の隣に居たガンダムが四人に進み出す。
 一体何を……?と疑問に満ちた気持ちで彼を捉えるとガンダムは小動物に声をかけた。

「ね、ユーノ。理由言っちゃうけど良い?」


 何のことかフェイト達にわかるはずもなく、ただ話の行方を見守るだけだった。一方、ユーノ本人。ならびになのはは今回の用件、または彼らとのやりとりを難しく考えても仕方がないと自然と納得できており。ユーノはあっさりと頷く。

「お願いします」

 常識人かと思いきや、穏やかな圧力で抑え込んだり。厄介事をなんともないように優しく迎え入れてくれたガンダム。
 そんな彼は会ってまだ一夜経った関係ではあるものの、ユーノの中でなんとなく頼って良い友達となっていた。そんな彼から許諾を受け、ガンダムはグッと親指を立てて語りだす。

「ありがとー、んじゃね。ユーノはもともと--インディ・ジョー○ズみたいなそんなノリで働いてたんだ」

「は?」

 何だかズレた説明が始まり、ユーノは思わず素っ頓狂な声をあげ。

「何、ハリソンか!?」

「えぇぇ、ユーノくん細い橋渡ったりしたの!?」
[名作ですね]


「……じゃあ、大きな岩が後ろから転がってきたり?」
[スリルとロマンが満点ですわね]


「と、トラップ発動な硫酸だったりかい!?」

 シャア、なのは、フェイト、アルフの順であの有名な映画で良くある事が述べられ。加えてデバイス達も賛同しており。
 ユーノは真っ白になりながらそんな彼らにツッコミを入れるのだった。


「なんか、違う」


第5話「ジュエルシード集め手伝って」


----
 ガンダムが話したのは、ジュエルシードが何故この世界にやってきたのか。どうしてユーノとなのはが回収しようしているのかの二つであった。

 事情を知らないシャア達への説明が終わり、一段落ついたところで話し手が改めてシャアへと交代される。


「ユーノの事情は大体わかった。
では、今度はフェイトに説明してもらいたいのだが……大丈夫か?」

 考え込むように俯く少女へモノアイを向けて尋ねると、少し間を置いたところでフェイトはアルフと互いを見合わせてから小さく頷く。


「なんで私達がジュエルシードを集めるか……それは--」

 呟くように語り始めたフェイトに一同は緊張の面持ちで視線を集中させる。
 いったいどんな理由が彼女達の内に秘められているのか。とガンダム達はゴクリと喉を鳴らせた。

 そして--。

「お母さんにお使いで、集めなきゃいけないから探しているんだ」

「理由はよくわかんないけどね」

「そんなっ」

 どんな物か知らずに回収しようしている。そう理解出来たユーノは怒ったように声を張り上げ、傍に居るなのはは思わず驚いてしまう。
 今まさに彼がフェイト達の行動目的に抗議をしようとした時--。

「ふーん」
「ま、お使いなら……」

「「仕方ないなぁ」」

「えー」
 止めてくれる。と内心ガンダムとシャアに期待していたユーノは予想を上回る彼ら二人の反応に脱色してしまう。

「わわっ、ユーノくんなんで真っ白なの!?」
[マスター、察してあげて下さい]

 二人のMSはそんな彼の心境を分からず、別の話をしはじめていた。

「そーいえばララァさんは?」

「スローネ三兄妹を連れてプチプチを買いに行った」
「なんでエアパッキン?」

「あいつら三兄妹にアレ渡すと大人しくなるから」

「あぁー」


----

 ユーノに色がようやく戻ったところでガンダムとシャアは改めて今回なのは達、フェイト達を引き合わせたうえで本題を説明した。
 その本題とは--。

「今から各勢力に電話をしてジュエルシード集めを手伝おう」

 というもので、無論ユーノはこれ以上迷惑をかけたくない思いから反対した。だが、なのはを上回る超お節介なMS達を前にして説き伏せれるはずもなく。
 ましてやそんな彼らのリーダーであるガンダムとシャアが関わってしまった以上。このMS達はジュエルシード集めをいやがおうでも手伝ってくれる。
 結局はユーノ達が折れる事になり、早速ムサイから海鳴市に存在する戦艦に連絡が行き届くことになった。


※先ずはえぅーご

<<え、ジュエルシードっスか。宝石みたいなの……分かりました、オレらも注意してみます>>

「サンキュー」


※ざふと

<<じゃあ、僕たちでミネルバの方にも連絡しておきますね>>

<<バクゥ、今こそお前の力を見せる時だ!>>
<<ワンッ>>

「なんか、後ろがえらい張り切ってるな」

<<デュエルが燃えちゃって……>>


※それ・びー

<<俺達は傭兵じゃない……だが、水は注す>>

「ほ、程々にねー」

 それぞれ応対してくれたマークII、フリーダム、エクシアに礼を述べ。二人は端末を切る。これで海鳴市に存在する大体のMS達には行き届いた事になり、ブリッジには安堵の雰囲気が生じていた。


「えーと、これで大体は大丈夫だと思うよ」

「まあ、大丈夫だろう」


 そんな簡単に行かない。
 普通ならそう答えるはずの展開に何故かユーノは心を安んじる事が出来ていた、そして超ド級のお節介達と知り合ったことは即ち怒涛の進展がおこるはずだとなのは達は予想させられる。

「あの、ありがとうございますガンダムさんとシャアさん」

「何言ってんの、友達助けんの当たり前じゃん」

「当然の事だろ」


 しれっと言ってのけた二人に思わず胸が熱くなるのを感じながら、彼らと知り合えて間違いなんかない。そう確信しながら四人+デバイス二機はリーダーコンビに苦笑を零す。

 そして……。

「あの……昨日はちゃんと自己紹介出来なかったから」

 なのはは同じソファーに腰掛けているフェイトに微笑みながら声をかける。

「私は高町なのは。なのはって呼んでほしいの」

「……」

 突然の事にフェイトは少しポカンとした表情で固まってしまうものの。直ぐに頬を緩ませて彼女に自分の名を答える。

「私はフェイト、フェイト・テスタロッサ。あの、友達のなりかた教えて……」

 どうすれば良いか。シャア達と接する今の今までは母の元に居たフェイトにはそこから先をどうやっていくか分からない。恥ずかしさからか、照れからか……頬を赤く染めてなのはに質問を試みると。

「もうなってるよ、フェイトちゃん」

 はにかみの、優しい笑みを浮かべ。フェイトの手を取って答えを出したなのは。
 自分はもしかしたら掛け替えのない友を得たのかもしれない……。そんな考えが胸いっぱいに広がる中で、ありがとうと答えるフェイトの姿は眩しい程の輝きを放っていた--。


「まさか……こんな風になるなんて思わなかった」
[なんかこれから大変そう……]

「あはは、ホントだね。でもさ--」
[フフ。楽しみでもありますわね、これからが]

 それぞれ主をほほえましく見守るデバイスとサポート達があたたかく見守る中、新たに絆は繋がったのだ。


続く

※おまけ

ガンダム:リリカルなのは映画化おめでとー。

なのは:にゃはは、なんだか恥ずかしいけど……ありがとうなの////

シャア:フェイトやユーノ、アルフの活躍も楽しみだな。

フェイト:あ、ありがとうシャア////

アルフ:あたしたちも頑張るよユーノ。

ユーノ:う、うん。




レイハ:あ、エクシアさんが恨めしそうにこっち見てる。

バルデ:あっちも映画化でしたわね。



[8293] オマケその3「海鳴に迫る新たな策士」修正
Name: かなや◆5527f624 ID:15236eea
Date: 2009/08/16 13:13
 次元世界には策士系MS達の名が隔たりを越え、燦然と煌めくように悪事が伝わっている。

『ギャン』
 じおん所属のMSで専用ビームサーベルと武器を内蔵した大型シールドで武装し、なかなか運動力は高い。
 そして彼の突出すべきは古典的なワナを張り巡らすゴキブリホイホイ並の粘着質な性格である。
 さらに知能が高い事から科学者としての顔も持ち、幾度となく海鳴市をはじめとした次元世界の生活に支障をきたした。
 例えば。とりあえず大きな落とし穴を掘ったり、妙な薬を散布して妙な効果を発揮したり、バイオテクノロジーを応用したりしてきた。勿論その度に各勢力や時空管理局からお仕置き部隊が編成され説教という名のフルボッコが実行されている。


『ジ・O』
 てぃたーんずのリーダーで重装甲や多重関節を持つ脚部、全身に内蔵された高機動バーニアによって意外な機動力と運動力を誇るMSである。
 彼の突出すべきは大勢にものを言わせた物量。それを活かした策をで幾度もえぅーごを困らせていた。


『プロヴィデンスガンダム』
 ざふと所属のMS、別名はクルーゼ。
 43ものビームを放つドラグーン・システムを持ち、重たそうなドラグーン付きバックパックを背負っているが大出力スラスターを内蔵しており外見以上に機動力は高い。が、空を飛ぶ機会がない時は重たいからかそれまでの姿であったジン、シグー、ディン、ゲイツのどれかに着替えている。
 彼の突出すべきは運動会を利用し紅白に分かれた旧世代MS達、SEEDのMS達を両方共倒れにしようとした策謀である。

 このように彼らの悪名は広く深く轟いている……が。策謀の荒波を押しのけるガンダム達の天然さや高い能力に負けて以来真面目に悪として活動する自分達がアホらしく思うようになり、現在はそれぞれ組織を置く世界で大人しく暮らしガンダム達からのジュエルシード注意兼回収要請にも手を貸してくれている。


 そんな中、ジュエルシードを求めて新たな策士が海鳴の街に注ぐ太陽光をボデイで受け。GN粒子を放出しながら空に浮かんでいた。

「フフフフ、ジュエルシードか……まさかこんなところで存在を知るとはな」

 町の景色を眺めてそう呟き、彼は傍にいたMSへとセンサーを向ける。
 トリコロールの配色を持つそのMSはどこかれんぽーのリーダーと酷似していた、名をOガンダム。

「アルヴァアロン、ようやく動きだすんだね。夢の為に……」

「そうだとも、その為に送ったっつーのにスローネのバカ三兄妹め……。まだ、まえだまえだの方が働くわ!
 しかし、奴らが使えない今はジュエルシードを回収しようとするバカな奴らを利用するだけ……見ているが良い!! 全てが揃った時、私がジュエルシードを頂くのだ!」

 金色のボデイとGN粒子を太陽光で煌めかせ、アルヴァアロンと呼ばれたMSは天高らかに宣言した。
 だが--。

(おバカさんは君さ、アルヴァアロン)

 照らされた陽光の下、Oガンダムがガンダム系とは思えない悪い笑みを浮かべている事に彼は気付いていなかった……。
 海鳴の空に佇む二人はこれから迎え撃ってくるであろうガンダム達となのは達を前に夢を果たす事はできるのであろうか。
 先輩策士達なら諦めてしまうかもしれないが頑張れ! 新たな策士達。



[8293] PT事件編 第6話「前日のはなし ~魔導師Sideその1~」
Name: かなや◆5527f624 ID:15236eea
Date: 2009/08/25 00:57
 海鳴市に存在する各組織へジュエルシード注意兼回収願がれんぽー&じおんから出されて数日経っていた。
 初日こそ発見どころか報告も少なく、あまり成果はあがらなかったが徐々にロストロギアは海鳴市でその存在を現していく。

 なのはとユーノ組が親友の家に行った先で遭遇した巨大な猫から一つ。

 静まり返った深夜、暴走バトルを繰り広げていたブルーデスティニー、イフリート改を止めるべくゼータ達に協力したフェイトとアルフ組が二つを回収。

 子供の想いが重なり、急速な成長と共に暴れた木をストライクフリーダム達と連携して一つ。

 再び暴走したデビルガンダムを食すべく立ち上がったそれ・びー達と組んで得たのが一つ。

 妙に存在感を出してきたゾックから一つ。

 ビギナ・ギナの実家から送られたラフレシアがバグを飛ばしながら近寄ってきた者を蔓でまきまきしていた光景に。
 「なんでパン屋の屋根からでっかい造花が生えてんだよ!」とツッコミながら戦うデスティニー達とで解決したのが一つ……。
 など様々な場所で起きた事件その先は必ずジュエルシードが姿を見せたのだ。
 要請に快諾して連携をとってくれたえぅーご、ざふと、それ・びーのおかげもあって目的の物は十九個も確保。
 現在は半分づつに分けられ、ホワイトベースとムサイそれぞれの一室で大切に保管されている。

「色んな事件が起きたねー」
「起きたなー」
((サラリと流したっ!?))

 あんな思い起こしただけでも心の映画館で公開できる事件の数々をたった一言で流すガンダムとシャア(ズゴック)にいまだに慣れず、なのはとフェイトは心でツッコミを入れた。


第6話「前日のはなし 魔導師組」


「夏です! 太陽がギラギラちょー眩しいです! 日あけ止めぬらないと黒い三連星の仲間入りですよ!」
「なんだ、いきなり」

 真っ白いプロローグ用のトーク広場で声を張り上げて夏の伝統を訴えるガンダムにシャアは呆れ、なのはとフェイトは苦笑いを浮かべる。
 何故それほどにテンションが高いのか気になりシャアはピンク色の一目を白いライバルへと向けて尋ねた。
 するとガンダムはテンションを維持したまま微笑みを浮かべてはっきり答える。

「ジュエルシードも結構集まって来たのでそろそろ遊びに行きなさい」

「「「命令系!?」」」

「とゆーわけで明後日から夏休みです! ハロ巻牧場でジャスティス達の優遇接待を受けて3泊4日の温泉旅館"月の民"に行きますよコンチクショー! 異論は梨っ!」

 誰に向けている言葉か解らないが、有無を言わせぬガンダムから発信した旅行のお誘いはれんぽー、じおん。回収に協力してくれた組織はもちろんの事、高町家と月村家、アリサにも行き渡る事になった。


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高町家

 食後の団欒、一番下の娘が偶然な長男と同じ内容の話題を出した。
 その内容とは、れんぽーとじおんを発信源とした旅行の話で。なのははガンダムから、恭也は恋人から聞き家族に伝えたのだ。
 れんぽー作『旅のしおり』をなのはから受け取り、父・士郎はもちろん母も大賛成とばかりに喜んで詳しい話に耳を傾ける。
 実のところ、士郎もここ最近仕事が続いた事もあって知り合いに旅行にでも行こうと誘いたいと考えていた。そんな時訪れた招待状は願ってもない贈り物だった。

「ふふ、賑やかになるわね」
 手作り感たっぷりなしおりのページ一つ一つをめくり、楽しそうに微笑む桃子。
 移動は戦艦と書かれている時点でただの旅行ではない。当日に思いを寄せれば寄せるほど騒がしく賑やかな四日間になるだろう。
 「無事に思い出になることが旅行です! 月光蝶やアトミックバズーカ、自爆はナシって方向で」そう書かれた最後のページを閉じ、士郎は苦笑しながら「そうだな」と妻に頷く。
 一方、高町家の長女はというと。手渡されたしおりを開き、あるページをじっと見つめていた。
 そんな姉の様子を視界で納めたなのはは不思議そうに首を傾げ、同じ内容である手元のしおりを流し読みをする。
 何か気になるページがあったのだろうか、と思ったところでページをめくる手を止めた。理由はそこにあった名所を眼にした瞬間、姉の気持ちが何となく理解出来たからだ。
 『ハロ巻牧場で食事+おやつ購入』と書かれたここには姉の恋MS(ビト)が居る。
 狙い撃つぜと言って狙撃用ビームライフル型水鉄砲を取り出す印象が強いガンダムタイプの彼は、牧場を経営している為余り高町家に立ち寄る事が出来ない。
 連絡は週に何度か携帯電話か、手紙付きの贈り物。それでも美由希は愛おしさから送返信を繰り返し続けてきた。
 そんな時、訪れたこの機会を美由希は嬉しく思えて微笑んでいた。なのはもまた姉の反応につられて笑顔を零してしまう。
<<楽しみだね>>
[はい、マスター]
<<確かにどんな騒ぎが起きるのか考えただけでワクワクするよ>>
 念話で期待をよせた言葉を述べたなのはに、レイジングハート、ユーノは肯定する。はしょられたが確かにガンダム達と行動していたおかげもあってどたばたした環境に慣れ--いや、そんな状況を寧ろ楽しむようになっていた。

<<GP01さんとデスサイズくんから怖い話聞かされたり……>>

[魔法の訓練してたらゴッドさんとナタクさんの修行に巻き込まれたり]

<<ダブルゼータとニサイコちゃんのバトルに巻き込まれたり……>>

 思い出すだけでもその時の記憶が鮮明に蘇り、苦笑を零しながらなのは達は一様にある想いを心に浮かばせる。
 よく生きてたなぁ……、と。その中でもやはり鮮明な思い出は大型ビーム兵器大戦に巻き込まれた事であろうか。
 ダブルゼータ、ガンダムDX、ガンダム4号機、V2バスターガンダム、ウイングゼロカスタム、ビグザム、バスターガンダム等とそうそうたるメンバーが集結して行われた弾幕ごっこ。

 皆と仲良くやったあの戦いは初心者が参加するにはエクストラとランクづけしても差し支えがないほどレベルが高い。
 黄色や桜色、色とりどりの極太ビームが身体スレスレで掠るぐらい飛び交うような状態がほとんどでなのはとユーノは魔法を使用するタイミングが掴めない。
 そんな状況にレイジングハートですら[回避して下さい]と泣き出してしまい、結局ビグザムの大型メガ粒子砲を背後から喰らい……三人は意識を掻き消されてしまった。
 次の大型ビーム兵器大戦は必ずフェイト達も巻き込もうと決意しながら。
<<あれはチビるかとおもったの>>
[あ、私も]

<<……女の子がそんな事言っちゃダメだよね、ね?>>
 だが、あんな経験を積んだ事でなのはが後に大技を編み出すきっかけになり。火力が全てなのかと頭の中で考察する彼女をユーノはつっこむのだった。



[8293] PT事件編 第6話「前日のはなし ~魔導師Sideその2~」
Name: かなや◆5527f624 ID:15236eea
Date: 2009/08/25 00:35
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ムサイ

「~♪」
 艦内に設けられた居候用の寝室、鼻歌でメロディを奏でながら荷物を纏めるフェイトをアルフが手伝っていた。
 何処かへ皆で遊びに行くといえば、昔家族でピクニックに行って以来の事で。フェイトにとって楽しくないわけがなく。今か今かと待ち望んではそわそわしている。
 ホワイトベースと同じく、じおんはムサイを飛ばすと聞いてもリュックサックに要る物を詰め込む主にアルフは苦笑いを浮かべながら声をかける。
「フェイト、戦艦ごと行くんだからリュックサック要らないんじゃないかい?」
「う、うん。そうなんだけど……鞄の無い旅行って寂しいなぁって」
 せっかくの機会だからお気に入りの鞄に必要な物を詰め込む楽しさを味わいたいのだ。とは言いつつ、心の何処かで要らないとうすうす感じていた事を指摘されフェイトは顔を赤く染めて俯いてしまう。
 そこまで考えているとは思っていなかったアルフは主の純粋な面を目の当たりにし、それ以上はつっこまないように再び作業を再開する彼女を見守る事にした。
「旅行って言ったら枕投げだよ!」
[枕ですの?]
 元気よく旅行の夜に必要不可欠なスローネドライに疑問の反応をしたバルディッシュの声が二人に聞こえた。
 いったい何の話だろうか検討があまりつかない単語に疑問符を頭上で展開し、フェイトはアルフと顔を見合わせて既知であるか尋ねるが。アルフはピンクの髪を揺らして知らないと返答する。
 待機状態のバルディッシュは先程から傍らでスローネ三兄妹と旅行先のパンフレットを見てあーだこーだと話をしており和気あいあいとした雰囲気を室内に放っていた。

「何それ?」
 好奇心をかきたてられ旅行に於ける就寝前の定番を述べたスローネドライにフェイトが使い魔とデバイスの気持ちを代弁して尋ねる。
 すると--。
「実戦すれば良いよ」
「え--」

 末の妹がそう答え、それに続いた兄達が投げた枕は直線を画いてボスッと音を立ててフェイト、バルディッシュ、アルフへそれぞれ直撃する。
 一瞬、何が起こったのか三人は思考が追い付かなかったものの。
 見下ろした先、足元に落ちていた枕を視界に納めた事で理解出来た。
 ああ、これが"枕投げ"なんだ……と。
 ありがとうという気持ちでフェイトとアルフは枕を両手に持ち、ニコリとスローネ三兄妹へ微笑んで彼らに投げ返す。
 気持ちの良いぐらいの速さで直撃し、再び三人から三人へ投げ付けては返されていく。次第にそれは本格的に部屋を枕が飛び交う戦場に展開していった。
「もぅ、お返しだよドライ!」
「キャッ、やったね~!」
 女の子同士盛り上がるフェイトとスローネドライ。

[く~、私も人間かMSであったなら参加できましたのに!]
「やーい! 殲滅して勝利して、蹂躙してやんよ!」

[キー、聞き捨てなりませんわよ!]
 挑発されてもしていてもどこか楽しそうなバルディッシュとスローネツヴァイ。

「はいよっ!」
「うわっ、やるなぁ!」
 軽くあしらわれてもやり返すアルフとスローネアイン。
 MS達と魔導師達がすっかり打ち解けた光景が生まれており。
 廊下で通り掛かった量産型MS達は開け放たれた部屋の扉から見かけてはそのほほえましさつられ、笑顔を浮かべて通り過ぎていった。

「あらあら、もうこんな時間……」
 しばらくした後、未だに決着がついていない枕投げを二人の女性が見かけ。一人が今何時であるか腕時計で確認すると時は既に夜中の十二を刻んでいた。
 じおんの中でも大人の部類に入る彼女達としては黙っていられなくなる、母性がつき動かされたの理由もあるだろう。
 そろそろ注意しなければいけないと女性は互いに頷き、意を決して戦場になっている居候部屋に足を踏み入れる。

「あなたたちいい加減に--」
 何か言おうとしたその瞬間。二人の顔に柔らかくも重たい感触が襲った。
 バスッともボスッとも聞こえる音が頭全体に鳴り響き、何が当たったのかは考えるまでもなく枕だと女性達は解釈できた。

「せ、セイラお姉ちゃん……」
「ハモンさん……」
 さらに子供達の代表としてスローネドライ、フェイトの焦燥感が募った声が聞こえ。セイラ達は枕を顔に貼付けたまま向き直る。
「ねえ」
「皆、今何時かお分かりかしら?」
 枕越しにも関わらず、異様な圧迫感がある優しげな声色は枕のせいで篭り子供達には充分な怖さが演出出来ていた。
 恐る恐る、フェイトは部屋の壁にかけられた時計で時間を確認し。入口で佇む大人達に十二時であると報告する。

「そう、十二時よ」
 答えたセイラ、隣にいるハモンが顔に付いた枕を外すとすっかり枕カバーの花柄刺繍の痕がくっきりついていた。
 笑えるが笑えない妙な展開に、必死に子供達は堪える。

「……早く寝なさい、ね?」
「イェッサー!!」

 青筋がピクピクとこめかみに浮き出ている。
 ヤバイ、殺ラレル! とジュエルシード回収中に遭遇したぶちギレマスターガンダム並の殺気をモン夫人から感じ。堪らずフェイト達は背筋をピシッと伸ばし、敬礼をしてから頭から布団を被って横になるのであった。



[8293] PT事件編 第6話「前日のはなし~MSSide~」
Name: かなや◆d24f7424 ID:ee60a56e
Date: 2010/01/30 13:46
   -----   

 えぅーご所属居住艦、ネェル・アーガマの艦内は騒がしいほどの活気に満ちていた。
 もともと、反れんぽー組織として結成したものの、この世界でれんぽーと接するようになってから今では大がつくぐらいの仲良しになっていた。
 そして、今回ガンダムから発信された旅行のお誘いへの強制参加はえぅーごとしても楽しみな行事であり。
 既に荷物は纏め、えぅーごメンバーが成すべき事は風邪や怪我をしないだけだろう。


「旅行だー!」
「旅行だぜー」
「旅行だワッショイ」


 えぅーごでも屈指の明るさを持つゼータプラスとダブルゼータ。
 そして最近やってきたイクスェスを含めた三人はれんぽーからお誘いを受けてからずっと喜びの声をあげていた。

「騒がしくて本も読めない」

 そんな光景も、彼らの親戚であるためゼータも理解出来なくないのだが、喜びもとい馬鹿騒ぎには呆れるしかなく。
 椅子で腰掛けて読んでいた本から顔をあげてゼータはゼータプラス達を睨む。

「まー、仕方ねーよゼータ」

「そうだよ、旅行久しぶりなんだし」

 ゼータの意見に少なからず頷けるが、マークIIとメタスは宥め。のんびりとお茶が入った湯呑みを啜る。
 確かに別段、怒る程でもない為。ゼータは二人の言葉に「仕方ない」とため息を着き、再び本文へ視線を落とした。

「質問、おやつにバナナは入るのか?」

「遠足じゃねぇよ」

 少し違う事をサラリと言ってのけるイクスェスにしマークIIは流石にツッコミを入れる。
 だが--。

「「「え、違うのか!?」」」

 ゼータプラスやダブルゼータも加わり、驚く反応をツインアイで捉え、マークIIは彼らがわりと本気でバナナを持っていくつもりなんだなと理解してしまう。

「おい、ゼータからも何か言ってやれ! こいつら、マジでキャラクター物のビニールシート持ってくぞ!」

 明らかに別の行事とごっちゃにしてる奴らの目を覚まさせてくれ!
 期待しながらマークIIは読書を続けるMSに助けを求めた。
 流石にゼータと言えど遠足と旅行の違いぐらい突っ込んでくれるだろう。
 本から顔を覗かせた彼を見遣った。

「イクスェス--」

 さあ、間違いをつっこんでやってくれ!

「おやつは冷凍バナナの方が美味しい」

「えー!?」

「冷凍バナナかぁ~(イ」

「そいつぁ、気付かなかったぜ(ダ」
「バナナだけに一本取られたな(プ」

 期待した俺がバカだった。
 予想を上回る発言をし、やんややんやとバナナの話で盛り上がるゼータ達にマークIIはある確信を持った。

 ……血統だ。

「ところでこの暗幕はなんなんだよ?」

 先程から室内に鎮座する大きな荷物、その上から黒い布で包まれている存在がゼータプラスは気になっており。
 ふと良いタイミングではないか? と思いゼータプラスは持ち主のイクスェスに指し示しながら尋ねた。

「ああ、旅行先で第2次大型ビーム兵器大戦でするからディープストライカー持ってこうと思ってよ」

「いや向こうの戦艦に入らねぇよ!」

 何を言ってんだこいつはと言うようにイクスェスはマークIIとゼータプラスにツッコミを入れられるが。
 その反応は折り込み済みだったのか、イクスェスは胸を張って対策を発表した。

「大丈夫だって、コレ宙用だけどレッドフレームに改造してもらったから飛行できるし。いっぱい撃ち落とせるぜ、安心しろって!」

 いや、安心の使いかた間違ってますよ。

 輝くような笑顔を浮かべて述べ、ビッと親指を突き立てるイクスェスにマークII、ゼータプラス、メタスといったえぅーごの常識達は同じ気持ちで彼にツッコミをいれるのであった。

「こいつでメガ粒子砲を撃ちながらビームスマートガンで撃ってやるぜ!」

「俺もハイメガキャノン撃ちまくってやるぜ~!」



   -----   

 ざふと。


 えぅーごが旅行への準備をしていた頃、SEED組はミネルバからデスティニー達が旅行に向けてフリーダム達の艦に居た。
 どちらのクルーも今回の旅行に関して久しぶりになる為、艦内はかなりテンションが高く。
 思わずデスティニーは呆れてしまう。
「まだ前日なのにはしゃぎ過ぎだろ」

「あはは、でもこうゆうのも楽しみの一つだよね」
 バクゥやラゴゥ、ケルベロスと遊びながら荷物を纏めている仲間達を見ながらそう言い苦笑するフリーダムにデスティニーは頷くしかなかった。
 確かに旅先でどんな思い出作りが出来るだろうか考えた途端、荷物を鞄に押し込むうちにテンションが上がってしまうものだ。
 詰め込み作業が終わり、忘れ物が無いか最終チェックを済ませばあとは寝るだけ。
 しかし、布団に入ったころには楽しみが先行してしまいなかなか寝付けなかったりする。
 それがわからないでもないが……。

「ところでフリーダムも荷物纏めたのか?」

「まあね、あとはコレ入れるだけ」

 デスティニーの尋ねにフリーダムは笑顔を浮かべてアーマーシュナイダーを見せる。
 ……ナイフだ。うん、確かに要る時もあるだろう。
 そう自分に言い聞かせようとしたが、ツッコミポジションとして。ここはやはりつっこまなければ気が済まい。
 ビシッと良い音を鳴らし、デスティニーはツッコミを入れた。

「いらねぇ、マジでいらねぇ! 温泉旅行でそんなアウトドア派なもん必要ねぇよ!」

「ごぼうのささがきでも」

「なおいらねぇよ、何ごぼうのささがきって! 旅館の板前に任せてやれ!」

「凄いね、本当にツッコミ入れられた……」

「えーと、じゃあ次はこれでボケてやってくれ」

 怒涛の如く、放たれたツッコミに思わずフリーダムは気圧されてしまう。が、何故か横から何やらネギを渡す灰色のMSが現れた。
 それはデスティニーとしてよく知っている奴、同じミネルバのクルーである。

「お前が元凶かレジェェェンド!?」

「何、バレたか!?」

「今、目の前でおもいっきりネギ渡してたじゃねぇか!? 何カモネギでもしたいの!? しかし残念それはMSだから!」

「目の前にあるのはカモか……、MSか……。自由なボケに誰がツッコミを入れてくれるだろう。
 それが運命だと言うのならそれは彼の戦い。
 次回、フルカラー劇場「ツッコミの運命(さだめ)」 迫りくるボケ、ツッコミを入れろ。デスティニー!」

「あんたは一体なんなんだあぁぁぁ!?」

 いきなり現れて本編のようなナレーションをすレジェンドにデスティニーさらにツッコミを入れていく。
 こ、こいつらオレを休ませない気かよ!
 溢れ出るようにボケを噛ませる友人に心底疲れ、デスティニーは息を切らして彼を睨む。
 しかし、ボケ要員は許してはくれなかった。

「ルナマリア・フォーク。ザク出るわよ!」

「本名間違えるな、おまえはホークだぁぁ!!」

 真夜中、アークエンジェルで響き渡ったデスティニーのツッコミは海鳴市まで児玉したと関西弁の少女は後に語る。


----

 最初のトーク広場にはガンダムとシャア(百式)が来ていた。
 旅行を計画し、一通り自分達も荷物をまとめ終え。彼らは今回の話をシメるべく、定位置で話をしている。
 どんな事があったか、こんな事があった。という毎回の世間話。
 二人は自然と笑顔で語っていた。が--。

「なあ、シャア」

「なんだガンダム」

「嫌な予感がマックスなんだー、ねぇシャア」

 何とも綺麗な笑顔で言い寄るガンダムにシャアは彼が何を言いたいか察した。
 つまり、そん時は協力しろよと言うつもりだろう。

「まあ、フェイトが困る姿は見たくはないしな。そうゆう時は出来る限り協力するぞ」

「マジっ!? やけに素直じゃん。気持ち悪いなぁ」

「貴様……」

 承諾してあげたにも関わらず、嫌な反応をするガンダムに思わずシャアはビームライフルを取り出してしまうものの。
 ガンダムが言う"嫌な予感"が気にはなっていた。
 はたしてどのような形で自分達の前に現れるんだろうな……いや。
 シャアはそこで考えることを止めた。
 そもそも、考えることが無駄に思えるのだ。何故なら--。

「まあ、どうにかなるよねー。フルカラーだし」

 ガンダムの言うとおり。大人な事情で必ず騒動は起きるが所詮はフルカラー。
 どうせ面倒なことは絶対起きずに、すんなり終わるのだから。

「だしなー」

 難しく考えてもしかたないだけだろう。
 そうシャアは納得するのだった。


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