前回の戦いから、瑞樹はちょろちょろフェイトのサポートに回るようになった。
といってもまだ戦力として数えられるかどうかは微妙である。
ゴキブリの舞い蚊のように刺す、程度の活躍はしていると本人は自負しているらしい。
因みにその自負に対して某毒舌デバイスは『この駄犬が』と辛辣にコメントした。
今は戦果報告に時の庭園まで足を運んでいる。
手土産には翠屋のシュークリーム。
フェイトに一回食べさせてみたらその美味さにえらく感動したらしく、ぜひ母親にも持っていってあげたい言い出したのだ。
『どこで買ったのっ?え、言えない・・・・な、なんで!?どうして!?』
瑞樹を押し倒しかねない勢いで迫るフェイトに、瑞樹はいつしかのように壁際まで追い込まれた。
つい『なのはの家』とか言ってしまいそうになったが、これまでの巻き込まれ人生で無駄に培われた危機察知能力が当然のように警報を発し、のどもとでなんとか踏みとどまった。
またもやアイリスは瑞樹を陥れ――――もとい、瑞樹で遊ぼうとしていたみたいだが、瑞樹にも学習能力はあった。
えー・・・・と渋る瑞樹に、フェイトは自分で探しに行こうとするが、見つけられてもヤバイので瑞樹が翠屋に足を運んで入手したものだ。
昼過ぎに行ったはずなのに、帰る頃には日が沈みかけていた。
言うまでもなく恭也を除く高町ファミリーにつかまっていたせいである。
たかだがシュークリーム数個買うだけにこんなにも時間がかかるとは、いつものことと言ってしまえばそうなのだが、最近は普段に増してイベント発生率が高いような気もする。
やはり運命の女神に核ミサイルでも担いで家庭訪問でもするべきだろうか。
「・・・・というわけで時の庭園までやってきました。なんていうか、これもある意味で家庭訪問?」
『あなたがを教師にしたら世界が滅びます』
「そこまで!?」
「ぐずぐずしてないでさっさと行くよ!フェイトには悪いけど、あたしはあの女のいるココがキライなんだ」
「アルフ・・・・・」
ふん、と鼻を鳴らすアルフにフェイトは悲しげな顔をする。
「・・・・・そう言うなって。プレシアはフェイトの母親だぞ?」
「母親だったらフェイトにあんな酷いことできるわけないっ!」
「んー・・・・それでもフェイトはプレシアが好きなんだろ?」
「うん、わたしは母さんが好き・・・」
「だったらオレはフェイトを応援するぞ。家族ってのは大事にしないとな」
「みずき・・・・ありがとう」
瑞樹は照れ隠しにフェイトの頭にポンポンと手を乗せると歩き出した。
「・・・・とまぁ、戦果はこんな感じか。このまま邪魔が入らなきゃ全部集めるのも夢じゃないと思うぞ」
「そう・・・・白い魔導師に奪われた分を取り返す算段もついてる、そう判断していいのかしら?」
「そう判断してかまわない」
尤も、それを実行するつもりは無いが。
フェイトは先ほどから何か言いたそうな顔をして瑞樹の傍らにいた。
プレシアと話をしたいのだが、話しかけるふんぎりがつかないようだ。
瑞樹のバリアジャケットの裾をぎゅっと握りしめながら、不安と期待が入り混じった表情で話を聞いている。
報告はフェイトではなく瑞樹がやっている。
これといって目立つ動きはしていないので、今はまだ嘘をつく必要はないが、これからは管理局も絡んでくることになる。
時には嘘や方便も必要になってくるだろう。
それも即席で考えた嘘だと見抜かれる可能性が高い。
今のうちに自分が以後動きやすいように話を作り上げる必要があった。
「・・・問題は管理局だが、こればっかりはどれくらいの規模で干渉してくるのかわからないから、なんとも言えないな」
「それについては問題ないわ。こちらもただ手を拱いていたわけではないの」
「・・・・?何か隠し玉でも用意してるのか?」
プレシアの手駒は、瑞樹たちを除けば傀儡兵くらいだ。
ここにきてその他の戦力の増強とは、少なくとも原作にはなかったはず・・・・たぶん。
よく覚えていから自信がない。
「あなたもよく知っているモノよ。・・・・それはいいとして、フェイト」
瑞樹の傍らで、プレシアに話しかけたそうにしていたフェイトに、プレシアが自分から声をかけた。
「は、はい、なんですか・・・・母さん」
「よくやったわね。さすが私の娘よ」
「っ!!あ、ありがとうございます、母さん」
フェイトとしては、にわかに信じられないことだったのだろう。
その表情は喜びと驚きが半分ずつ伺える。
プレシアから声をかけてもらい、さらにさすが自分の娘だと褒めてもらえることなんて、今までなかったのだろう。
アルフはアルフで唖然としている。
こちらは完全に信じられない、といった様子だ。
フェイトの表情から驚きは少しずつ消えていき、やがてその全てが眩しい向日葵のような笑顔になった。
―――――これで、いい。
瑞樹は一人、心の中で呟く。
フェイトがこんなに風に笑ってくれるなら、無理をしてでもプレシアを説得した甲斐があったというものだ。
例えこれが瑞樹によってもたらされた偽りのものだとしても、これが何かのきっかけになってくれれば、いつかはプレシアもフェイトのことをまっすぐに見ようとしてくれるのではないか。
今はまだ無理かもしれないが、アリシアのことになんらかの決着がつけば、プレシアもフェイトを本当の娘として見るようになるかもしれない。
こんなにまで一途な思いだ。
思いはいつか形になる、そう信じたい。
『(マスター・・・・あなたは甘すぎです。あなたの考えはあまりに都合のいい理想論です)』
「(好きに言ってろ。あの母娘のためにオレはここにいる。そのためならなんだってするさ)」
『(・・・・・・・マスターなんて理想に溺れて溺死しやがれ、です)』
「(本望だ)」
「あ、あのっ、母さん・・・・」
「何かしら?」
「これっ、その・・・シュークリームっ・・・・お土産です」
「あら、ありがとう。後でいただくわ」
「は、はいっ!」
一生懸命になって母親に話しかけるフェイトと、それを笑顔で受けるプレシアを視界に収めながら、瑞樹は母娘にささやかなエールを送った。
「・・・・・・ふぅ」
「疲れてるじゃねエか。仲良くしてるように見えたんだがな」
低い男の声が、王座に座るプレシアの耳に木霊した。
「気のせいよ。あくまで表面上・・・・・・・全てはアリシアのためよ」
「ハッ・・・・あんたもつくづく救えない。・・・・で、オレはまだ表舞台に上がらなくていいのか?」
「上がってもらうわ。近いうちに、否応なく、ね」
「願ったり叶ったりだ」
「そのためのあなたよ。目障りな羽虫は全て殺しなさい」
「一人で全部やれってか。なかなか無茶なことをいう」
「それだけの力は与えたわ。あなたなら、簡単なはずよ」
「フン・・・・・了解だ、我が創造主」
「バルディッシュ・・・・!」
『Yes, sir』
「お願い、レイジングハート!」
『All rigth, my master』
金とピンクの魔力光が飛び交うのを、瑞樹は少し離れた木の上でポテチの袋を片手に観戦していた。
「いや、だってオレにできることってねーし?」
『そんなことはどうでもいいですけど、ベトベトした手で私に触らないくださいね』
「しっかし・・・なのはは強くなったねぇ」
魔法に目覚めたのはほぼ同時だというのに、なのははすでにフェイトとまともにやりあえるレベルになっている。
瑞樹については言うまでもなく、こうしてガチファイトが始まってしまったらフェイトの応援くらいしかできることがない。
一応、瑞樹はジュエルシードを封印するためにいるのだが、ビックトレント(ジュエルシードを飲み込んだ樹)を倒してもらわないことには、引き続き観戦モードでいるしかない。
「いけっ・・・そこだ!・・・あ、アルフ!おまえそこは違うだろ!?」
『・・・・もはや完全にプロレス観戦している親父ですね』
「うっさいわ!!」
『発明は1%の才能と99%の努力だ』なんて言ったのは一体誰だったか。
嘘つくなよコノヤロウ、と声を大にして叫びたい。
世の中には努力じゃどうにもならない、PCの取説よりも分厚い壁があるのだ。
てっとりばやい例を挙げるなら、どんなに努力してもペンギンは空を飛べない。
「魔力量的には大して差はないはずなんだけどなー・・・・」
『技術に差がありすぎます。マスターの場合は魔力から魔法に繋がるエネルギーの変換効率、とでも言った方が正しいのでしょうが、この際なんでもいいでしょう』
「・・・すまん、もう少しわかりやすく言ってくれ」
『つまりですね、マスターの魔法は下忍時代のナ○トが忍術を使うようなものだと言っているのです。例えば、ある魔法を使うために5の魔力が必要だとします』
「ずいぶんしょぼい魔法だな」
『黙って聞きなさい―――――――なのはさんやフェイトさんは普通に5の魔力を使って5の威力、もしかしたらそれ以上の威力を発揮できます』
「オレは?」
『マスターの場合は5の魔力では不発に終わるだけです。同じ魔法を発動したいのなら、7は必要ですね』
「マジかよ・・・・」
『そして7を消費しても発揮できるのは頑張っても3・・・・よくて4です』
「どんだけ弱いんだオレは!??!」
『こればかりは地味な練習を積むしかないですね。というか魔法というのは、本来そうやって学んでいくものなんですよ。なのはさんがご都合主義すぎる存在なだけです』
珍しくアイリスが瑞樹を慰めた。
その前までボロクソ言っていたが。
「わかったよ・・・・オレは大人しくポテチ食ってる・・・・」
『ってベタベタヌルヌルした手で私に触らないでくださいと・・・・ああっ!だからってバリアジャケットで拭かないでください!!!』
お前はお母さんかよ、と言いたくなる気持ちを抑えて再び観戦に戻る。
そういえばクロノはいつごろやってくるのだろうか。
ビックトレントが意外にも粘っていることもあるが、別に倒されたら転移してくるとは限らない。
しかし魔力反応を確認してくるのだとしたら、少し遅すぎる。
先日の次元震をスルーしたのか。
それともビックトレントを倒し、片方が片方を倒してから、疲弊したもう一方を軽く捻って二人を拘束した上で、あわよくばジュエルシードまでもっていこうとしているのか。
もし後者であるならば、クロノは目的のために手段を選ばない最低野郎として瑞樹が自ら・・・・えーと、どうにもできそうにないが、アイリスがきっとどうにかしてくれると思う。
「お、ようやくやったか」
フェイトとなのはを相手に頑張っていたビックトレントが、ようやくジュエルシードを吐き出した。
『転位反応です』
「ってマジかよ。あのムッツリ執務官・・・・二人に接触するために邪魔だったビックトレントが片付くの待ってたのか」
悪態をついてみたが、クロノとなのはを同時に相手にするプランも考えてある。
とりあえずフェイトにクロノを任せて、アルフにはきついだろうがなのはを抑えてもらう。
そしてその隙に瑞樹はジュエルシードを封印、離脱。
プランでも何でもない総当たり戦かもしれないが、考えておくのとおかないのでは実際での動きが違う。
ケース想定はできる限りしておくべきである。
クロノがフェイトとなのはに割って入ったのが見えた。
なのはは突然のクロノの登場に呆然としているが、前もってその可能性を瑞樹に示唆されていたフェイトの動きは早かった。
すぐさまクロノから距離を取っている。
「行きますか・・・今回もあっさりと終わってくれることを祈るよ」
樹の枝から、瑞樹が腰を上げた瞬間だった。
『無理っぽいですよ・・・・・マスター、新たに転位反応です』
―――――瑞樹のシナリオに、罅が入る。
「格好のマトだな」
黒いマントを翻し、ここにイレギュラーが降臨する。
「理想主義者様がいないのが気になるが・・・・・・順番はどうでもいいか」
どうせ同じだ、と嗤う。
黒を基調としていて、凶々しい紅いライン迸らせたバリアジャケット。
「全員まとめて―――――――消えるがいい」
『―――――レディー』
ジュエルシードとそれに群がるモノたちに、黒い闇が牙をむいた。
『アレがプレシアさんが言っていた隠し玉とやらですかね。なんかバリアジャケットのセンスがマスターに似てますが・・・・』
「・・・・・・、・・・・・」
アイリスの言う通り、恐らくあれが隠し玉だろう。
このタイミングで出てくるイレギュラーなど他には考えられない。
しかし、何故だろう。
プレシアがよこした助っ人ならば味方のはず。
なのに現れた黒いイレギュラーは、どこか不穏な気配を纏っている。
瑞樹が成り行きを見守る中、黒のイレギュラーをが漆黒の剣を振り上げる。
収束していく光。
不穏な気配はますます大きくなる。
遠い昔、どこかでこんな気配を感じていたことがあったような気がする。
気分が悪い。
魚の骨が喉に引っかかったようで、思い出せそうで出てこない。
「・・・・・・・」
漆黒の剣を振り上げたまま、黒のイレギュラーの視線ががまっすぐに瑞樹をとらえた。
「・・・・・・・・・」
――――こちらに気づいている・・・・?
「・・・・・・・フ」
仮面の下で、奴の口元が不自然に歪んだように見えた。
「・・・・ッ!!!」
『フェイト!!今すぐにそこから離れろ!!!!』
『・・・・・・・』
返事は、ない。
『・・・・あのデバイスからジャミングが発せられています。アースラがあれを見つけてもクロノさんに伝えることはできませんね。・・・・というかマスター、何をそんなに焦っているのですか?』
「クソッ・・・・!!用意周到じゃないか・・・・!!!」
アイリスの質問は答えず、瑞樹は黒いイレギュラーめがけて一直線に飛ぶ。
『い、いったい何をしようとしているのですか!?』
「少し黙ってろ!!」
思い出した。
あの不穏な気配の正体。
長く平和ボケしていてすぐに気付かなかったことが悔やまれる。
あの不穏な気配。
そして先ほどの背筋に電気が走ったような、ビリッとした感覚。
アレは――――――――――――――殺気だ。
『ジャミング・アウト』
「――――――ダークネス(闇より暗き)―――――」
黒のイレギュラーが剣を振り上げる。
「―――――カリバー(漆黒の剣)――――!!!!」
そして闇の奔流は放たれた。
「・・・・・っ」
フェイトがその大きな魔力に気づいたとき、ソレはすでに眼前で迫っていた。
なのはの砲撃の数倍の威力はあるであろう、暗い底知れぬ黒光。
アレはきっと、どんなシールドをもってしても防げない。
本能がそう感じさせるほどの大きな絶望。
フェイトは、無駄だと知りつつも、自分の心の中にいる少年の顔を思い描いてしまう。
瑞樹の能力は自分より下だ。
碌にシールドも展開できない彼にアレは防げない。
それでも――――――
「みずきっ・・・・・」
「―――――アヴァロン(全ては遠き理想郷)―――――!!!!」
カッ―――――!!!
眩い黄金の光が、鞘を構えた瑞樹を包み込む。
黒い光は瑞樹にぶち当たった先から、射線上にいたフェイトたちを避け、左右に分かれて散っていく。
ドゥン―――――――――――!!!!!
分たれた黒の残滓はそのまま地面に直撃し、爆音と共に大地を深々と抉った。
立ち込める土煙。
誰一人として動かない。
否、動けない。
いったい何がどうしてどうなったのか、誰もが理解できていない。
いきなり現れたイレギュラーたちに、反応できないでいる。
「フン・・・・・・・・やりそこねたか」
晴れた先で、誰ひとりとして地に伏していないことを視界に収め、そしてそれを成した白騎士を見据え、イレギュラーは吐き捨てた。
「みずきっ!!」
近くまで降りてきた瑞樹にガバッ、とフェイトが抱きつく。
たぶん、本人に大胆な行動を取っている自覚はない。
つり橋効果とか、その他いろいろの勢いだろう。
「・・・・オーケー、フェイト。防いだとはいってもあんまり状況は改善してないんだ・・・・とりあえず離れてくれ」
「あぅ・・・・・・」
顔を瞬間的に赤くし慌てて離れ、もじもじと手を後ろで擦り合わせるフェイトにはものすごく萌えるが、今はそんなことをやっている場合ではない。
なにせさっきから全身が、強烈に痛い。
どこが?と問われると答えにくい・・・・というか全身としか答えようがない。
『(・・・時間がないので簡潔に説明しましょう。アヴァロンの反動です)』
簡潔すぎた――――――――というかそんなことは言われなくてもわかる。
「(いやいやいやッ・・・・!!それにしてはこう・・・脳とか頭とかだけじゃなくて全身が痛いのですがッ!?)」
『(何を言っているのですか?レベル合わない魔法の使用は、術者の精神にこそダメージを与えはしても、脳や頭が限定的に痛くなることはありません。・・・・まぁ、結果的には痛むようですが)』
「(精神じゃなくて身体がッ・・・・!!物理的に痛いのですが!?!?)」
『(はぁ・・・・あなたはどうやって精神の痛みを感じ取るというのですか?精神に明確な痛覚というものは存在しません。しかし身体が危険な状態にある以上、それをなんらかの形で警告する機能が何にでも備わっています。それが精神のもたらす痛み―――――今マスターが感じているものです)』
故に全身を漠然とした強い痛みが襲うだけで、どこを撫でようが殴ろうが痛みは揺るぎなく感じる。
治癒するためには精神とやらの回復を待つしかないのだろう。
ということは、この局面はこのまま乗り切るしかないということだ。
瑞樹は悲鳴を上げ続ける身体に鞭打ち、頭上の黒騎士をにらみつける。
「なんで・・・・フェイトを、巻き込もうとした?」
「あの距離から敵をまとめて消しさる技をあれしか知らなかったんでな・・・・・どうせ喰らっても死にはしない」
非殺傷設定だしな、と笑う黒騎士。
だがあれだけ不穏な気配をまき散らしていた一撃だ。
喰らったとしたらただではすまなかっただろう。
「おまえ・・・・・・」
「フン・・・・相手を間違えるんじゃねェ。今は邪魔者を消して、ジュエルシードを持って帰るのが最優先事項だろうが」
『非常に気に入りませんが、正論ではあります』
「とはいっても――――貴様は鞘の反動で動けねェだろうし、オレが適当にやるからそこでガキと乳繰り合ってろ」
「なんでおまえが鞘のことを―――――っ・・・・」
ヤバイ。
一瞬目の前が白くなり、重力に身を任せてしまいそうになった。
これは思ったよりも重症なようだ。
楽になるどころか、時間が経つにつれどんどん悪くなっている。
「みずき、無理しないで・・・・・っ!」
フェイトは空中でふらつく瑞樹をすぐさま支える。
『マスターは鞘でも抱えて大人しくしていなさい。あれには治癒効果もあるはずです。少しくらいなら精神に余裕も戻るでしょう』
「あ、ああ・・・・・」
悔しいが今の瑞樹にはアイリスの言うとおり、黙って回復を待つことしかできることがなかった。
ジュエルシードに向かって飛んでいく黒騎士を見送り、もどかしい気持ちで全身を支配する鈍痛が引くのを待った。
クロロです。
長くなったので半分にわけました。
でわでわ。