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[9007] 「習作」似て非なる世界に落ちた太陽と月(ギルティギア×リリカルなのは) 10話的なもの投稿
Name: 獅子脅し◆80b40c8e ID:b69d9af9
Date: 2011/07/10 01:10
ここでギルティギアのSSを見て自分もチャレンジしてみようかなと思い、投稿をしてみることにしました。

このSSは、恐らくギルティギアとリリカルなのはのクロスになると思います。
カップリング私がソルとディズィーが好きなのでソルディズィになると思います。

そして文才が無いため皆さんの期待に応えることが出来ないほどの駄文になると思います。

たまに変な所で改行されていたらスルーでお願いします。

こんな性格のキャラはギルティギア(もしくはリリカルなのは)のキャラじゃねぇーと思う方やディズィーの夫はカイしか認めねぇよ!と思う方は読まないことをオススメします。

後このSSはドラマCD”紅い戦い”のBLACKを基にして作り始めたので、色々な方がお亡くなりになっています。

それでもよろしい方は駄文でよろしければ見てやってください、それと可能であるならばアドバイスやらとくれるとうれしいです。

ちなみにソルとリリカル勢の誰かとくっつけるかは、皆さんの意見やら自分の気分によります。

それでは好奇心旺盛な方はお読みになってください。



[9007] プロローグ?
Name: 獅子脅し◆80b40c8e ID:b69d9af9
Date: 2009/05/24 03:24
22世紀、人類は無限のエネルギーを生産する魔法の理論家に成功。物質的な繁栄はその頂点を迎える。
だが、繁栄の最中にも人同士の対立は消えず、やがてそれは禁断の生体兵器ギアを作り出す。ギアの反乱により何時果てるともない戦争に突入した。

西暦2173年、人類の主戦力たる聖騎士団はローマにて記録的な敗北を迎える。
次期団長と見なされていたカイ=キスク戦死により、その勢力は大きく後退する事となる。

そして、2183年ソル=バッドガイ団長率いる聖騎士団は、ギアの製造プラントの情報を手に入れ最後の戦へと兵力を全て率いて目的地であるプラントを目指した。




ギアの製造プラントから少し離れた所に一人、遥か上空を飛ぶ戦艦を見据える女性が居た。

「………来たか」

と小さく言葉を発した女性の背中とお尻には白と黒の大きな翼と尻尾が存在し、その姿は天使と悪魔どちらをも連想させる姿だった。その女性は上空を飛んでいる飛空挺の一つをまるで憎き相手を見つけたかのようににらめ付け大声で叫んだ。

「其処に居たか薄汚い裏切り者め!」

その言葉は誰に向けてはなった物なのかは判らないがよほどの怨みを持っていることが見て取れた。そして言葉を放った後、黒い羽がまるで生きているかのように変化をし始め次の瞬間には黒いローブをまとった死神の姿へと変貌したのだった。その死神が上空の艦隊へ向け手を上げたその袖からは巨大な竜の顔が出てきたのである。竜の口からは周りの大気が暴れ狂うほどのエネルギーが漏れ出していた。

「これで終わりだ……ガンマァァァァァレイィィィィ!」

その言葉と同時に竜の口から放たれる巨大なレーザーは一直線に騎士団の艦隊へと向かっていった。





ギアの製造プラントの情報を手に入れたソル率いる聖騎士団はプラントを目の前にしていた。

「状況はどうだ?」

緊張と少しあせりの見える声でソルは目の前の巨漢の男ポチョムキンと団員に向け質問した。

「少なくとも情報は正格だった様だな。…凄まじい数のギアだ」

レーダーに映し出される敵の数に、ポチョムキンは苦虫を噛み潰した様な顔をしながら感想を述べた。

「現在の敵ギア空母タイプ7体を確認。搭載飛行タイプは…計測不能!?…千は超えていると思われます!」

導き出された敵の数に報告する団員は驚きを隠せない様子だった。
その状況下においてソルは不敵な笑みを浮かべた。

「楽な戦だな」
「何だと!?」

ソルの言葉を信じられないといった顔で驚くポチョムキンにソルはさらに言葉を続けた。

「撃ちゃ中るって事だ」

その言葉にポチョムキンは呆気にとられたが

「ふっ…そうだな…聞いたか?」
「はっ!全鑑砲門開きます!」

ポチョムキンは苦笑しながらも頷き、団員はすぐさま全艦に砲撃準備の命令を伝えるため準備に入ろうとしたその時

「ぐっ…痛ぅ、何だ!?」
「団長、どうした?…、っ!…、ヘッドギアが!?」

何かが割れて床に落ちる音とソルの呻き声にポチョムキンが振り返ると、其処には壊れ床に落ちたヘッドギアと頭を押さえ床に膝を付いているソルの姿があった。
それと同時にソルの頭の中では自分の知る者の声が聞こえた。

『其処に居たか薄汚い裏切り者め!』
「…長、団長、大丈夫ですか?」

心配する団員を尻目にソルはすぐさま命令を出した。

「全艦、散開しろ…!」

「全艦隊に告ぐ!散開せよ!繰り返す、散開せよ!」
「了解、本艦も散開します。」

ソルの出した命令にいち早く反応したポチョムキンはすぐさま無線を使い全艦隊に命令を出した。それを受けソル達の乗る飛空挺もその場を離れようと旋回を開始したすぐ横を巨大なレーザーが通り過ぎた。

「ぐあぁぁ……!」
「うわぁぁぁ!」

通り過ぎるレーザーの余波で大きく揺れる飛空挺に乗っている団員から悲鳴が上がる。ソルとポチョムキンも手摺や近くの物に掴まり倒れない様にするのが精一杯だった。

「ぬっ…、ぐぅぅっ…くあっ」
「ぐはぁっ…何だ今のは!?各艦の被害状況を報告せよ!」

揺れが収まり未だ緊急警報が鳴り止まない艦内でポチョムキンが団員の一人に被害状況の報告を聞いた。

「只今の攻撃で、艦隊の50%が消滅しました!」
「馬鹿な!?有り得んっ!」
「指揮は任せたぞ!」

団員からの被害報告の規模にポチョムキンは信じられないといった様子でその顔を驚愕の色に染めていた。ソルはこの攻撃が誰のなのかを理解し手元に置いてあった予備のヘッドギアを頭に巻き、ポチョムキンに艦隊を指揮するよう言い放った。

「何だと!?貴様、こんな時に何処へ行くつもりだ!?」

ポチョムキンはその言葉に驚愕と怒りを見せながらソルに問いただした。
するとソルは沈痛な面持ちで言葉を発した。

「この戦、ディズィーが出てる」
「なっ……!」

その事実に言葉をなくすポチョムキンだが彼女なら今の攻撃が可能なこととディズーがなぜ前線に出てきたのかをすぐさま理解した。

「そうか…先ほどの攻撃はそういう事か」
「奴の首を取れば、戦が終わる」

納得するポチョムキンにソルは持ち場を離れる理由を言った。

「了解した。指揮は私が執る!」

ポチョムキンの言葉に頷くソルはすぐさま身を翻し地上へと降りるために艦内を駆け出した。

「ディズィー、待ってろよ」

その言葉に様々な思いを込め、ソルは走る速度を上げた。






上空では激しい戦闘が行われている中地上では二人の人物が向かい合っていた。

「この裏切り者が!なぜ人の味方をする!?」
「こっちのセリフだ」

叫ぶのはギアの司令塔でありギアと人のハーフでありギア翼ネクロとウンディーネを携える女性ディズィー。
対するは150年以上もの前にギアに改造されその間ギアを破壊し続けた男ソル=バッドガイ。
ソルは淡々と理解できなかった疑問をディズィーにぶつけた。

「ジャスティスと違ってテメェの心は自由なはずだ……何故、人を殺す?」
「気安く母を語るな!お前は…、お前だけはコロス!」
「ガキの泣き言か」
「何だと!?」

その言葉が逆鱗に触れたのかディズィーはさらに怒りをあらわにする。そしてソルに向けて攻撃を仕掛けようと駆け出そうとした時に上空から一機の飛空挺がディズィーに向かって突っ込んできた。

「いた!砲門開け突撃するよ!」

突っ込んで来るのは昔ディズィーが昔に世話になったことがあるジェリーフィッシュ快賊団の飛空挺、ジェリーフィッシュ号その艦内で命令を出しているのはジェリーフィッシュの団員であるメイ。
ソルに向けて攻撃をするところに水を差されたことによってディズィーの怒りはメイ達へ向けられる。

「虫ケラがぁぁぁぁ!」
「ジョニーの仇ー!」

メイ達は団長であるジョニーの仇を執る為に全砲門から砲弾を撃ちながらディズィーに突っ込む。ディズィーはネクロが全身を包み死神の姿となり弓を構え6発の禍々しい弾が放たれるその弾は威力を殺がれる事無くジェリーフィッシュ号に全弾命中し爆発を起こしながらディズィーへと落ちることなく大爆発を起こした。

「…………」

その爆発をソルは黙ってみていた。そしてその炎を見ながらディズィーが呟いた。

「愚かな奴らだ人は地球を食い尽くす害虫だ」

その言葉を聞きソルはついにキレた。

「このガキが!癇癪で人が滅ぶか、救えねぇ…テメェを殺してカタ付けてやる!」

その言葉とともにソルはヘッドギアをはずし自分の奥底に眠る力を解放した。

「ドラゴンインストォォォォル!」

その姿を見たディズィーも力を解放しソルへと向かい翼をミカエルソードに変えソルに振るう。

「母への手向けだ、朽ちろ!」
「テメェが朽ちろ!ヴォルカニックヴァイパァァ!」

二つの力がぶつかり合う、その瞬間に大気が爆ぜ周りの物を吹き飛ばす。

「くっ!」
「ちっ!」

その反動でお互いが弾ける様に離れるが次の瞬間にはまたぶつかり合うという人では到底出だすことの出来ない速度でぶつかり合っていた。

「オラァァ!」
「はぁぁぁ!」

そのぶつかり合いも何百を超えた頃、其処から少し離れた所で何回起きたかは判らない爆発が起きたときディズィーが口を開いた。

「貴方達の乗って来た飛空挺は全て落ちました、そろそろ負けを認めたらどうです?」
「っるせぇ!テメェを殺れば問題ねぇだろうが」
「そうですか、もはやこの地上に残る脅威は貴方だけです、今度こそ死になさい!」
「はっ!ほざいてろ、死ぬのはテメェのほうだ!」

両者も一切引く気はなくぶつかり合う力はさらに上がっていき一つのぶつかり合いで大地が悲鳴を上げるようにまでなっていた。





最後の飛空挺が落ちてから数時間は経っているだろうか、二人の体力は限界に近づいていた。
お互い開放したは力はとっくに切れており全身は夥しい血で染まっていた。

そんな中ソルはディズィーに向かって問い掛けた。

「最初にもテメェに問い掛けたが何故其処まで人を怨む、あの森を出てテメェは生簀かねぇジョニーの野郎に引き取られ少なからず幸せという物を手に入れたはずだ。そのテメェが何故其処まで人を怨むようになった!」
「…………」

その問い掛けにディズィーは何も言わず黙ったままだった。

「(チッ、だんまりか…話す舌は持ち合わせていねぇってことかよ)」

黙ったままのディズィーにソルは最後の力を出して攻撃を行うため力を開放しようとした。

「…違います」
「あぁ?」

その時に、ディズィーの口からポツリと言葉が漏れ出した。

「違うといったんです。人は滅ぼすとは言いましたが私は一度も人間が憎いと思ったことはありません」
「んだと!?屁理屈抜かしやがって、なら何故テメェは人を滅ぼそうとした!」

その言葉にソルは驚いた表情を表すがすぐにその表情を消し矛盾のある行いを問いただそうとした。だか次の言葉はソルをさらに驚かせる言葉だった。

「私怨んでいるのは貴方ただ一人です」
「っ!…何を言ってやがる!?」

その言葉にはさすがのソルも驚愕の表情を消すことが出来なかった。その表情を見ながらもディズィーは淡々とソルに語りかけた。

「確かに私はギアの破壊衝動を持っていながら人としての自由な心も持ち合わせています。しかし…」

とデイズィーは言葉を区切り悲しみとも怒りとも取れる表情をソルに向け言い放った。

「限界があるんですこの体では!確かに彼等の所で引き取られたときは幸せでした。この翼も尻尾も気にせず皆接してくれましたし、色々な事も教えてくれました。だけど一歩其処から外に出れば向けられるのは恐怖と怨念が混ざり合った視線だけでした!私は恐らく貴方みたいにこの先何百年と生きるでしょうその時ジェリーフィッシュの皆はもうこの世には居ないでしょ!?そうなった時私の居場所がなくなるんです!その恐怖に耐えられるはずがないじゃないですか!」

その叫びはディズィー本当の叫びだった、その言葉に嘘は無く初めてソルが彼女に出会った時の姿と被っていた。
そんなソルに彼女は自分で出せる最大の声でソルに向かって叫んでいた。

「だけど!貴方は私と同じギアでありながらその力を隠し人の中に溶け込んでいる、私が手にすることの出来ないものを貴方はごく当たり前に持っているじゃないですか!それが私にとっては憧れであり同時に憎くもありました」

感情をむき出しにして彼女は残る力を開放しようと力を活性化させていった。そるも何時でも反撃が出来るように力を溜めた。そしてディズィーは最後の本心を口にした。

「でも!この身体である以上手に入らないと解ってしまったなら、そんな世界私は要らない!それならばいっそ全てを壊してしまえばいい!人も、貴方も!」

「そんな理由でテメェは人を殺してきたというのか!?」

今度はソルが叫んだ、そんな理由であいつ等は死んでいったってのか?と思いながら彼は叫びながらソルは今もてる渾身の力で封炎剣を振り下ろした。

それをディズィーはミカエルソードで受け止めた。

「そんな理由だと!?私の欲しいものを全て持っている貴方に何がわかる!」

その声を聞きながらソルはあることに気が付いた。

「ならばジャスティスはどうなる!?俺が憎いのは奴を殺したからじゃねぇのか!?」

「顔も声も覚えの無い母を殺されたといわれてここまでするとでも?」

その言葉にソルの動きが鈍る。

「そんなものは目的を行う建前でしかありません、個人的な感情で兵を動かせるとでもお思いですか?聖騎士団の団長様?」

「テメェは其処まで腐ってやがったのか!」

その言葉を聞いた瞬間、ソルは全ての力を解放した。

「テメェはやはりギアだそしてギアは殺す!ドラゴンインストォォォル!」

負けじとディズィーも残る全ての力を解放

「貴方はここで終わりです!ウヲォォォォォォ!」

お互い自分の力を最大限に発揮することが出来る技ソルはドラゴンインストールをディズィーはネクロインストールを発動し最強の技を繰り出した。

「くたばりやがれぇぇぇぇぇぇ!」
「消えなさい!はぁぁぁぁぁぁ!」

ソルが繰り出す技は過去自分が出した技で最強と誇れるオールガンズブレイジング。対するディズィーの技は自分を囲むようにして光線を発射させる光の翼
その最強同士のぶつかり合いが次の瞬間にとんでもない現象を起こした。

「うをぉぉ!?」
「きゃぁぁ!?」

その現象は二人の間にゲートが出来たことだった。しかもそのゲートは二人を飲み込むかのように大きくなっていく。

「何ですかこれは!?」
「大きな力のぶつかり合いで起きた現象か…っ!まさか因果律干渉現象か!?」

うろたえるディズィーに対して冷静に状況を分析するソル。しかしその身体は開かれたゲートに飲み込まれつつある。

「チッ!逃げられねぇか」

逃げられないと察したソルは未だにゲートから逃れようともがくディズィーの身体を抱えてそのゲートに飛び込んだ。

「なっ!何をする!」
「この世からテメェが消えりゃギアも止まる。なら簡単だ過去に戻ってこの事を無かったことにしちまえばいい!」

そして、ゲートに飛び込んだ二人はこの世界から姿を消した。



あとがき
いかがでしたか予想以上の駄文でしょ?
クロスするなら無印、As、stsどれがいいですかね?
後、もっとこうした方がいいんじゃないなど、ここは少しおかしいなどの指摘や純粋な感想お待ちしています。
ちなみに更新速度は蛞蝓ペースかもしれません。
あまり期待しないでくれるとうれしいです。



[9007] 1話?
Name: 獅子脅し◆80b40c8e ID:7ea339e6
Date: 2009/06/12 03:41
突然だが、海鳴市には国守山という山が存在する。緑が生い茂り動物達にっとっては絶好の住処となっている場所だ。
その山のある所で突然空中にぽっかりと口をあけたような穴が現れたのだ。そしてその直後に黒い大きな影が吐き出しまたすぐに何事も無かったかのように消えてしまった。

「ぐっ!」
「きゃあ!」

吐き出された大きな影はどさりと地面に落ちた。声を聞く限1人は男性もう1人は女性であることがわかった。

「痛っ…どうやら生きてるみてぇだな」

先に起き上がった男、ソル=バッドガイは現在の状況を把握するため周囲を見渡した。

「(森…、いや山の中か…だがこれだとここが過去なのかすら判らねぇ)」

これ以上の情報が得られないと判ると、ソルは次に自分の身体を調べ始めた。他から見ると血だらけですぐにでも手当てをしないといけない様に見えるが実際は傷が塞がり始めており、少しの間なら力を解放することが出来るところにまで回復していた。

「(法力の使用は可能、ディズィーに受けた傷も塞がり始めている、その他の器官も問題無しか…、どうやらゲートをくぐったことによる悪影響はねぇみてぇだが…後は)」
「うっ…ここは?」

一通り自分の身体を調べ終えたソルは次に起き上がろうとしている女性、ディズィーに視線を移した。

「ようやく起きたか」
「っ!」

その声にディズィーはすぐさま距離をとり、いつでも攻撃を行えるよう身構え横目であたりを見渡しここが先ほどまで目の前にいる男と殺しあっていた場所ではないことに気づいた。

「此処は何処ですか?」
「さぁな、少なくともさっきまで殺り合ってた場所じゃねぇってことはわかる」
「惚けないで下さい!ゲートに入る前貴方は過去に戻ると言っていました。なら此処は過去の時代じゃないんですか?」

ソルの曖昧な回答に怒りを隠せないディズィーは声を上げてソルに問い詰めた。

「それは今から調べりゃわかることだ」
「…………」

その言葉を聞くなりディズィーは黙り込んでしまった。恐らくディズィーが持つギアの一部であり、一番信頼できるネクロとウンディーネに意見を求めているのだろう。その時、遠くから複数の気配がこちらに向かっていることに気づいた。

「ちょうどいい」

そう言うと、ソルは気配のする方向へと体を向け歩き始めた。ディズィーも同じく体の向きを変え翼をワンピースえと変化させてからソルに続いた。






時は少しさかのぼり国守山の山中を二人の男性と一人の女性が歩いていた。その集団の手にはそれぞれ長さの異なる木刀が握られていた。

「ねぇ恭ちゃん、今日はどんな事をするの?」

長い髪を三つ編みで一つに束ねている十代の女性高町美由希は目の前を歩く黒ずくめ青年に質問をした。

「そうだな、今日は視界の狭い木々の中での修行を行おうと思う」

黒ずくめの青年こと高町恭也はその質問に答えたが、その答えを聞いたとたん美由希は不満そうな顔をした。

「えー、ただでさえ恭ちゃんには手も足も出ないのにそんな場所だと恭ちゃんに気づかないうちに負けちゃうよー」

不満を漏らす美由希に今度は後ろを歩いている男性が口を開いた。

「何を言っているんだ美由希、だったら俺が直々に指導してやろうか?」
「よ~し、恭ちゃん速く行こう!」
「お、おい!そんなに引っ張るな!」

そんな父、高町士郎の言葉に美由希は歩くペースを速めた。そんな時、士郎と恭也はこちらに近づいてくる人の気配に気づき足を止めた。

「わっとっと!いきなりどうしたの?」
「誰かがこっちに近づいてきてる」

いきなり止まったことで服を引っ張っていた美由希は仰け反り、何故止まったのかを恭也に問い恭也は顔を向けずに答えた。
そんな受け答えをしていると目の前の茂みが揺れそこから、赤いジャケットを着て頭にヘッドギアを巻き、左手には剣の様な物を握っている柄の悪い男性と、黒いワンピースを着た物静かそうな女性が現れた。
そして、赤いジャケットの男性、ソルが口を開いた。

「聞きてぇ事がある」
「何でしょうか?」
「今の西暦を教えろ」
「は?」

ソルの言葉に士郎は呆然としていたがすぐに我に返った。

「今ですか?」
「そうだ」
「今は西暦2012年ですが、それがどうかしましたか?」
「なんだと!?」

返ってきた答えにソルは驚きを隠せないようだった。そしてソルはさらに質問を続けた。

「もう一つ、この世界に科学は存在するか?」
「科学ですか?ええ存在しますよ」
「その科学による兵器の生産は禁止されているのか?」
「いいえ、兵器は今でも当たり前に生産されていますが」
「…………」

その質問を聞いたソルは黙り込み暫くして顔を上げた。

「魔法の理論化、国際連合、この2つに聞き覚えは?」
「最初のは聞いた事がありませんが、国際連合は知っています」
「設立した年は西暦1945年か?」
「どうでしょう…恭也、美由希お前達わかるか?」
「え!?あ、う、うん確かその年のはずだよね?恭ちゃん?」
「あ、あぁ、確かな…」

いきなり話を振られ、美由希と恭也は戸惑いながらも答えた。その言葉にソルはそうかと答えると再び黙り込んでしまった。

「恭ちゃん、恭ちゃん。何なんだろうねこの人達」
「分からないが警戒は怠るなよ」
「うん、分かった」

小声で話しながら自然体のままでしかしいつでも動けるように準備をする二人。そして考えがまとまったのか再びソルは顔を上げ。

「邪魔したな」

と一言だけいいもと来た道を戻っていった。ディズィーも士郎達にぺこりとお辞儀をした後、ソルの後を追った。

その場に残された士郎達3人はしばらくその場に佇んでいた。

「父さん」
「あぁ、二人とも今日は修行は止めだ。もう暫くしたらさっきの二人の後を追うぞ」
「忍さん達には伝えなくていいの?」
「なら美由希、お前が伝えに行け、俺と恭也は二人を追う」
「分かったよ、気をつけてね」

そう言うと美由希はすぐさま登ってきた道を戻り始めた。その姿が見えなくなるのを確認した二人は行動を開始した。

「行くぞ恭也」
「分かった」

そして二人は先ほどの二人が消えた茂みえと進んだ。






士郎達に話を聞いた場所を後にしてソルたちは最初に居た場所まで戻ってきた。そしてソルはディズィーの方を向き口を開いた。

「結論から言う。この世界にギアは俺達以外存在しない、そして此処は俺達の居た過去ですらない」
「なっ!?」

ソルの最後の言葉にディズィーは驚愕の声を上げた。

「何故ですか?何故この世界が私達の居た世界でないと分かるんですか」
「歴史が違うからだ。」

その彼女の問いにソルはすぐさま答えた。

「魔法の論理化が無い以上ギアの製作も不可能だ」
「そんな…」

ソルの言う事実にディズィーは言葉を失う。そこへさらにソルの言葉が続いた

「今度はテメェが質問に答えろ、ギアが存在しない事が判った今、テメェはどうする」
「え?」

ソルの質問が理解できなかったのか、ディズィー驚きの表情を浮かべは茫然としていた。

「答えろ、ギアが存在しない今テメェはどうすると聞いたんだ」
「それは…」

ディズィーは答えられなかった。外見は20代の女性に見えても、実際彼女ががこの世に生を受けてから過ごした時間はたった3~4年でしかない。その期間で解る事は自分の事と自分が見える範囲のごく僅かでしかない、自分がギアという化け物であること、ギアは人にとって恐怖の対象でしかないこと、そして自分自身が特殊なギアであり他のギアを操れるということだけでしかなかった。それが彼女にとってのごく当たり前のことであった。
しかし、そのごく当たり前のことが此処では存在しない場合、ギアが自分と目の前の男だけだった場合、今彼女の頭の中ではもしかしたら自分を受け入れてくれる人が大勢いるのかもしれないという願望と、ここでもやはり化け物としてしか見られないのではという恐怖が渦巻いていた。そしてそこから出る答えは一つしかなかった。

「…ません」
「あぁ?」
「分かりません!自分がこれから如何すればいいのか分からないんです!だ、だって私は生まれたときから化け物でそれが当たり前だった!それがいきなりそんなものは存在しないといわれたってどうしていいか分かるわけ無いじゃないですか!」

その叫びとともにディズィーの中で眠っている力が暴走し始めた。恐らく感情によって抑える力が不安定になったのだろう

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「チッ!力が抑えられないところはまだガキか!」

ディズィーから漏れ出す法力の衝撃波で周りの木々は次々と薙ぎ倒されていく。

「しかたねぇ!大人しくして貰うぞ!」

そう言うとソルはバックステップで少しだけ距離をとりヘッドギアを外して、腕を交差させながら力をためその力を一気に解放させた。

「ドラゴンインストォォォォル!」

力を解放させたソルはそのまま一気にディズィーとの距離を詰めアッパー気味に右の拳をディズィーの鳩尾にめり込ませた。

「寝てろ!」

そして同じ鳩尾に向かって渾身の左ストレートを繰り出した。その攻撃を受けたティズィーはその場に倒れこみ動かなくなった。倒れこんだ彼女を見届けるとソルは後ろの茂みに向かって叫んだ。

「オイ!テメェ等!今すぐ寝る所2つ用意しろ!」

そう言うとソルもその場に倒れこみ動かなくなった。その倒れた直後ソルが声を向けた茂みから、先ほどソルの質問に答えていた士郎と恭也が姿を見せた。

「父さん、どうする?」
「とりあえず家へ運ぼう、恭也お前男の方持てるか?」
「いや、多分一人じゃ無理だ、美由希達を待とう」
「そうだな」
「しかし、何者なんだ?この二人は」
「分からん、だが只者ではないな」

士郎達暫く倒れている二人へと目を向けた。それから数分後美由希を含めた数人が到着し二人を高町家へと運んだ。


あとがき

なのは出てね~w

思っていたより感想が多くて驚きました。
そして皆様からいただいた意見で無印多かったので無印から書くことにしました。

ん~、急展開過ぎるますかね?
そしてやはりキャラがうまくかけてないです。
まぁ、そこは温かい目で割り切ってくれるとうれしいです。

さて此処からは少しギルティギアの歴史を載せたいと思います。まぁコピペなんですけどね(笑

1945年第二次世界対戦勃発により事実上崩壊した国際連盟のあとを受け、国際連合が設立される。
第二次世界対戦における連合国側の大国によって、戦後の世界処理の機構として設立されたとも言える。

2010年魔法の科学的活用元年。
超自然エネルギーの無限活用法が開発されるも、発見者の名前が明かされることはなかった。
これにより、科学による環境破壊の停止宣言をするとともに、国際連合の形態が強化されることになる。また、一切の兵器の保有、生産も禁止されることになった。

2014年人類の生態強化計画、通称「GEARプロジェクト」に着手。
しかしこの計画は一般に公開されなかったため、その内容は知らされていない。

2016年GEAR研究人体実験第一号としてフレデリックが改造される。
しかし、彼は改造されたのちに研究所から逃走。
時同じくして「あの男」を始めとする所員全員も姿を消し、計画は日の目を見ることなく中止となる。
「人類」でなくなったフレデリックは、人間の姿を保つためにGEAR細胞抑制装置を開発。

2073年「あの男」の手により、人類に従順な完全体GEAR(ジャスティス素体)が完成。
某先進国は独自の技術によりGEARプロジェクトを再開させる。またその頃、フレデリックは「あの男」のたくらみを知り、GEARと対等に戦える手段として神器「アウトレイジ」を開発する。

2074年某先進国はGEARによる他国制圧を計画する。
しかし、自らの意識と強大な力を持ったGEAR「ジャスティス」が誕生。「あの男」の予定通り、ほかのGEARはジャスティスの支配下となって人類に反旗を翻した。
同年、GEARの攻撃によって日本列島は消滅してしまう。
これに対して人類は「聖騎士団」を結成。この先百年に及ぶ聖戦の始まりである。

2099年聖戦の真っ最中、当時6才であったクリフはGEARに襲われているところをフレデリックに助けられる。そのときのイメージは、クリフの中に強烈に残り続けることとなる。

2172年ソルがその腕を見込まれ、クリフにスカウトされる。これによりソルは聖騎士団員として入団することになる。

こんな感じです後、リリカルの年をギルティギアの歴史に合わせるためちょっぴり未来な年にしました。

まぁ、これからどうなるか分かりませんが少しづつがんばっていきますので皆様よろしくお願いします。
指摘や感想、誤字脱字など待ってます。

次回から一人称でも入れてみようかな…。



[9007] 2話?
Name: 獅子脅し◆80b40c8e ID:12d56c9c
Date: 2011/07/10 00:31
ソルとディズィーを客間へと運び終えた恭也達は二人を見ながら話し合っていた。

「で、この人達は一体何者なの?」

二人を見ながら恭也達とともに二人を運んだ女性、月村忍は質問した。

「わからない、だが只者では無い事は確かだ」
「あの男の方が?」

そう言いながら忍はソルの方を指差した。

「いやどっちもだ、女性の方は突然叫びだしたと思ったら周りの木がなぎ倒される程の衝撃波が発生したからな」
「何か力を持ってるって事?」
「そうだとしても、本人達に確かめないことには何もはじまらない」
「そうね」

恭也と忍は自分達の敵という可能性も頭に入れながら話し合っていた。

「そういえば聞いてなかったけど、この人達にどんな質問されたのよ」

ふと思い出したかのように忍は恭也達に質問をした。

「質問に答えたのは父さんだけど、変な質問ばかりでな、今が西暦何年だとか、科学が存在するのかとか聞かれたよ」
「西暦?西暦を聞いてくるなんて…、まるでタイムスリップしてきた人のする質問ね」

恭也の返答に首を傾げながら忍は呟いた

「そうそう、お父さんが2012年だって答えたらあの人すごい驚いてたよ。ね、お父さん」
「そうだな、後は魔法の理論家と国際連合に聞き覚えがあるかとも聞かれたな」
「国際連合って国際機構のですか?」
「ああ、そっちは知っていると答えたら設立した年まで聞かれたよ。」
「益々タイムスリップした人みたいね。それともSFの世界から来たのかしら」

そんなことを話していると、ソルを寝かしていた布団が盛り上がり、ソルが目を覚ました。

「…どこだ此処は?」
「目が覚めたみたいですね」
「あらあら、今お水をお持ちしますね」

辺りを見渡しながら呟くソルに士郎は言葉をかけ、桃子は水を汲むため台所へ向かい、恭也、忍、美由希の3人はその成り行きを見守っていた。





side:ソル



目が覚めると、そこはさっきの山の中では無く何処かの家のようだ。恐らく隠れていた奴らが俺を此処へ運んだのだろう。起き上がって周りを見渡してみるがやはり知らない場所だ。

「…どこだ此処は?」
「目が覚めましたか」

声がした方へ振り向くとそこには、山の中で質問した奴ら3人と見覚えの無い女が2人がいた。すると、此処はコイツ等の家か。

「あらあら、今お水をお持ちいたしますね」

知らない女の1人が部屋から消える。

改めて目の前の男を見る、年は30代半ばから40代といったところか、警戒しているが攻撃してこねぇところから見ると敵味方の判断はこれからといった所か。後ろにいる男とその奥の眼鏡の女は恐らくこの男のガキだろう。するともう一人の女は訳ありか何かか。

「で、此処はどこだ?」
「此処は私の家ですよ。寝るところを用意しろと言われたのでとりあえず私の家に運びました」
「俺がぶっ倒れてからどのくらい過ぎている」
「大体4、5時間ぐらいですね」
「そうか」

ディズィーとの戦闘で相当力を使ったからな、限界が来たか。身体の回復具合を調べて見ると傷の方は全快、法力のほう五割といった所か。まぁ、目の前の奴らが襲ってきても殺り合うには十分だ。

「今度はこちらから、質問してもいいでしょうか。」
「あぁ?」

ちっとばかし考えに耽っていたら目の前の男が声をかけてきた。

「率直にお聞きします。貴方は私達の敵ですか?」

どうやら敵味方の判断の時間みてぇだな。さてどうしたもんか。

「それを知ってテメェはどうする?」
「敵で無いのならばどうもしません、しかし」

すこし、間をおくと目の前の男から殺気が漏れ出した。

「もし敵であるならば…」
「殺すか?」
「…………」

どうやら当たりだな。しかし、なかなかにいい殺気を出しやがる、この男相当な場の数こなしてんな。

「結論から言う。俺はテメェ等の敵でも味方でもねぇ」
「理由をお聞きしても?」

まぁ、当然の反応だな。めんどくせぇことになる前にとっとと済ませるか。

「知らねぇ奴らなんざ敵にしても意味ねぇ。それにお前等には恩がある、それをあだで返すほど俺は腐っちゃいねぇ」
「そうですか」

まじめに答えてやるとどうやら納得したようだ。これでゆっくり今後のことでも考えるとするか。

「今度は私から質問してもいいかしら?」
「…好きにしろ」

どうやら、考えるのは相当後になりそうだ。

「夜の一族って知ってるかしら?」
「夜の一族?」
「そうよ、知ってる?」
「聞いたことねぇな」
「そう、ならもう一つ、吸血鬼はいると思う?」

今度は吸血鬼か、俺の頭の中には喧嘩仲間の胡散臭いジジィを思い出す。互いに本気でやり合ってねぇ事が心残りだが、まぁ、仕方がねぇ戻れる可能性があんならそん時にすればいい。戻れなかったらこっちで喧嘩仲間を探せばいいことだ。

「喧嘩仲間に一人いる」
「知ってるのね…、って喧嘩仲間!?」

うるせぇ。そんなこと聞くってことは、コイツの祖先がそれに該当する何かか。

「ね、念の為聞くけど、それって遠い先祖が吸血鬼の人よね?」
「あのジジィは純粋な吸血鬼だ」

間抜けな顔をしながら驚いている女。回りを見てみると全員唖然としてやがる。まあいい、それよりこれからどうするかだ。
まずやらなきゃいけねぇのはこの世界の科学レベルの調査だ。ギアの生まれる可能性が無いとは思うが、完全に無いとは言い切れねぇ。後は出来るだけ広い空間と物を造る機材だ。制御装置がこれ一つだけなのは心許無い。恐らく平気だとは思うが無いに越したことはない。後は、ディズィーか。

そう思い俺は、隣で眠っているディズィーへと顔を向けた。

コイツの衝動も何時爆発するかわかったもんじゃねぇな、機材と部品が集まり次第コイツ用のを造っとくか。

そんな事を考えていると部屋のドアが開きさっき出て行った女が戻ってきた。

「貴方達、どうしたの?そんな面白い顔して」
「あ、ああ、なんでもないんだ、少し驚いただけだから」
「ん…ここは?」

どうやら女の声に全員意識が戻ってきたか。それと同時にディズィーも意識が戻ったようだ。

「あら二つ持ってきて正解だったわ、起きられる?はい、お水」
「え?あっ、は、はい。ありがとうございます」

そういって女はディズィーと俺に水の入ったグラスを渡してきた。ディズィーは戸惑いながらもそれを受け取った。

「すまねぇ」

俺も礼をを言いながら受け取り水を飲み干した。

「お二人とも起きた様だし自己紹介しましょうか、まずは私から、私の名前は高町桃子と言います」
「そういえばお互いしてませんでしたね。私は高町士郎と言います。後ろの二人は子供の恭也と美由希です」

目の前の男、士郎が言うと後ろの男と眼鏡をかけた女が頭を下げた。

「本当はもう一人娘がいるんだけど帰ってきてからでいいわね。次は忍ちゃんね」

そういいながら桃子と言う女はさっきまで間抜け面だった女の方を向いた。

「まぁ、ついでだしいっか、月村忍よ、よろしく」

自己紹介が終わったら今度は全員俺達の方を見てきた。どうやら俺等もしなきゃいけないらしい。

「ソルだ。ソル=バッドガイ」
「えっと、ディズィーです」
「ソルさんとディズィーちゃんね。私はお夕飯の支度をしなくちゃいけないので失礼しますね」

そう言うと桃子は部屋から姿を消した。

「さてと、ではソルさんそれにディズィーさん、また質問させてもらってもよろしいですか?」

また質問か、だがその前に。

「その前に敬語はやめろ俺もお前も年はさほど変わらないだろう」

まぁ、実際は160以上違うんだがな。

「そうかい?じゃあ俺のことは士郎って呼んでくれ。俺もソルでいいかな?」
「ああ、それで士郎質問は何だ?」
「そうだな、まずは君達はどこから来たんだい?」

どこから来たか。恐らく感づいてんだろう条件を出すか。

「それを答える代わりに三つ条件を飲め」
「どんな条件かによるね」
「一つは広い部屋と機材の提供。もう一つはこいつをこの家に住まわせろ。最後はコイツがお前らに本当の姿を見せる事だ」
「え!?」

俺の出した提案にディズィーは驚きの声を上げた。

「それが条件だ。飲むか?」
「住まわせる事は構わないけどソル、君はどうするんだ?それに最後の条件のはいったい」
「俺はやる事があるから提供する部屋で過ごす。最後のはテメェ等で考えろ」
「わかった。機材の方は忍ちゃん、頼めるかい?」
「わかりました。ソルさんは場所の希望はありますか」
「人の来れない場所だ」
「そうですか、では明日までには用意させますのでそれまではここに居てください」
「あぁ」

どうやら、機材の方は何とかなりそうだ。問題はディズィーか。

「おい士郎」
「なんだい」
「少しディズィーと二人きりにさせろ」
「わかった。恭也、美由希行くぞ」

そう言うと士郎達は部屋から出て行った。

「どういうつもりですか?」
「あぁ?」
「何故私をこの人達と一緒に暮らさせるようなことにしたんですか!?私にまたあの恐怖を味わえとでも言うんですか!?」

あのいけ好かねぇ野郎の所か、確かに同じだが今回は世界が違う。

「あの山でも言ったが此処はギアのいねぇ世界だ。今のお前の姿を見てギアだと気付く奴もいねぇだろ」
「…でも!」
「テメェの人生だもう一度歩いてみろ。話はそれだけだ」

話が終わり暫くすると、

「ただいまー!」

ドアを開け大声で士郎達に帰宅してきた事を伝える声が聞こえた。声からして士郎の娘より幼い声だ、恐らく桃子の言っていたもう一人の娘か。

そんな事を考えていると部屋のドアが開き娘1の美由希が入ってきた。

「ソルさん、ディズィーさん、夕飯の準備が出来たので付いて来て下さい」
「あぁ」
「…わかりました」

美由希に案内されダイニングへ行くと士郎達が座って俺達が来るのを待っていた。手前の椅子には恭也のほかに小さなガキが座ってこちらを見ていた。アイツが士郎の言っていた娘か、桃子似だな。

「なのは、紹介するよ。今回少しの間この家にすむことになった。ディズィーさんと、一緒には住まないけど多分定期的に家に来ることになるソルさんだ。ソル、ディズィーちゃん、前に桃子が言っていたもう一人の娘のなのはだ」

するとなのはという末子が席を立ちこちらに小走りしてきた。

「こ、こんにちは高町なのはといいます!」
「こ、こんにちはディズィーです」

末子はともかくディズィーも吃るか。まぁ、最初はこんなもんか。

「あ、あの…」
「あ?」

おっと、考えに耽って返事するのを忘れていたな。
俺は末子の頭を軽くたたいた。

「ソルだ。」
「あっ、はい!」

これが俺達と高町なのはの出会いだった。




あとがき

うえ~、一人称がこんなに難しいとは。
えー、何とか書き上げましたが今回もソルっぽくないですねw
そして最後にやっとなのは登場。これだけだとまだ高町父が生きているとらハ3ですねw
とりあえず高町家に居候するのはディズィーだけにしてみました。
後は、ディズィーと高町家の触れ合いと、リリカル突入のための青石といn…ゲフンゲフン…ユーノの出会いな感じですかね。
後何かその間にかけそうなことってありますかね?

遅れましたが、その場のノリと思いつきだけで構成されている駄文ですが見てくださっている方、ありがとうございます。
これからも、温かい目もしくは生暖かい目で見てくれるとうれしいです。

では、ご指摘やアドバイス、誤字脱字の報告と純粋な感想などお待ちしながら次回にお会いしましょう。



[9007] 3話?
Name: 獅子脅し◆80b40c8e ID:eec68025
Date: 2009/06/12 03:47
高町家に運ばれた翌日、目を覚ましたソルは水を飲むためキッチンへ向かうと、キッチンには朝食を作っている最中の桃子がいた。

「あら、ソルさんおはようございます。今朝は良く眠れましたか?」
「あぁ」
「それは良かったです。何か飲まれますか?」
「水をくれ」
「お水ですね、少し待っててください」

桃子は一旦包丁をまな板へ置き、棚からコップを取り出し水を注ぎソルへ差し出した。
その水を飲んでいると、家の外から微かに木の打ち合う音がソルの耳に届いた。

「おい、桃子」
「何でしょう?」
「この家の外で誰か身体でも動かしてんのか?」

音の聞こえる方に顔を向けながらソルは桃子へ質問し、桃子はソルの向いている方向が道場がある方向に気付き質問に答えた。

「あぁ、士郎さん達ですね。家の外に道場がありましてそこで修行をしてるんですよ。」
「ご苦労なことだ」

ソルの質問に答えた後、桃子は調理に戻り、ソルもそれを邪魔しないようにソファーへと移動した。

「…さてと、すみませんけどソルさん道場に行って士郎さん達を朝食の準備が出来たので呼びに行ってもらえますか?」
「…わかった」

数分後、調理を終えた桃子はソルに士郎達を呼んでくるよう頼んできた。ソルは世話になった恩もあるため断ることが出来ず、不承不承引き受け道場へと向かった。

道場の扉を開けるとそこには、恭也と美由希が木刀で打ち合っておりその様を士郎が見ていた。ソルに気付いた士郎は恭也達にそのまま続けろと言ってからソルの方へと歩いてきた。

「おはようソル。何か用かい?」
「桃子に頼まれた。メシが出来たから早く来い」
「そうか分かった。恭也、美由希、それまでだ!」

士郎の合図で恭也達は打ち合いをやめソル達の方へ歩いてきた。

「おはようございます」
「ソルさんおはようございます」
「あぁ」

恭也達の挨拶を一言だけで済ませすぐに母屋の方へと歩いていってしまった。そんなソルを見て士郎達は苦笑しながらソルの後を追った。

ダイニングに戻るとそこにはテーブルに食器を並べているディズィーがいた。

「ディスィーちゃんおはよう、よく眠れたかい?」
「ディズィーさんおはようございます」
「おはようございます」
「…………」

士郎達3人は笑顔で挨拶をし、ソルはその成り行きを見ていた。

「あっ、その、お、おはようございます」

ディズィーはぎこちない笑顔で答えるがその表情の奥には恐怖心が隠れているのがソルにはわかった。

「さ、なのは以外はみんな揃ったわね、私はなのはを起こしてくるから席に座ってまっていて。ソルさんとディズィーちゃんは両端のどちらかに座って待っててくれるかしら」

そう言ってから桃子はなのはを起こしに2階へと上がっていった。桃子の言ったとおりに席に座って暫く待っていると、桃子となのはがやってきた。

「おはよう、お父さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん」
「おはよう、なのは」
「おはよう、なのは。今日も寝坊だな」
「おはよう、早くしないと先に食べちゃうよ」
「ちょっと待ってよー」

美由希の一言であわてて席に座るなのは。席順はソルの両端が士郎と恭也、士郎の隣に桃子、恭也の隣が美由希その隣になのは、桃子となのはの隣がディズィーの順になっている。

「あっ!ディズィーさん、ソルさんおはようございます!」
「おはようございます」
「あぁ」

ソル達に挨拶してないことを思い出し元気に挨拶するなのはに礼儀正しく頭を下げて挨拶するディズィー、ソルは恭也達にした時と同じ返事を返すだけだった。

「さぁ、みんな揃ったことだし食べよう。いただきます」
「「「「いたたぎます」」」」
「いただきます」
「…………」

士郎の言葉を合図に高町一家は声を揃え感謝の挨拶をした。ディズィーはそれに遅れて挨拶をし、ソルは何も言わずに食べ始めた。

朝食を食べ終え、各自各々がやりたい事をして過ごしていると家の電話なった。その電話に桃子が食器洗いを中断して電話にでる。

「もしもし、高町です」
『あ、桃子さんですか忍です』

電話の相手は忍であった。

「あら忍ちゃん、どうしたの?」
『ソルさんに伝えることがあって電話したんですけどいますか?』
「ちょっと待ってね。ソルさん忍ちゃんから電話ですよ」
「なんだ?」
『ソルさんですね、昨日言われた部屋が用意できました。こちらから迎えに行きますので後30分ほど待ってもらえるでしょうか?』
「わかった」
『それと恭也に代わって貰えますか?』
「少し待ってろ。坊や、小娘が代われだとよ」
「…わかりました」

ソルの言葉に不満を持ちながら電話を代わる恭也。

「どうした?」
『はははっ!坊やだって』
「うるさいっ、お前だって小娘じゃないか」

忍のからかいにムッとしながらも言い返す恭也。その返しに忍はケラケラと笑いながら本題に入る

『まぁ、それは置いといて、恭也もソルさんと一緒に来てくれる?』
「別に構わないけど、なんでだ?」

恭也の質問に今度は真剣な声で答える忍。

『ソルさんに聞きたいことがあるのよ。吸血鬼のことで』
「…わかった。行くのは俺一人でいいのか?」
『ええ、構わないわ。それじゃ、30分後ぐらいに迎えに行くわ』
「ああ」

受話器を置いた恭也はコーヒーを飲み終わりお変わりをもらおうと腰を上げているソルのほうへ振り返った。

「ソルさん、俺も一緒に行くことになりましたけどいいですか?」
「好きにしろ、士郎もう一杯くれ」
「わかった」

恭也の言葉を聞き流し士郎にコーヒーのお代わりを頼むソルに士郎は苦笑しながらコーヒーを淹れた。





side:ソル


「おい、用意した場所は本当に人が来ない場所なんだろうな?そして今そこにこの車は向かっているのか?」

30分後、迎えに来た小娘とメイド姿の見知らぬ女が運転する車に乗って用意させた場所へ向かうと思っていたが、走っている道は整備のしっかりされている道、人や車の通りは少ないがまったく無いというわけでもない、そのことに疑問を覚えた俺はは助手席乗る小娘に質問をした。

「えぇ、来ない場所ですし、今そこに向かっている最中です」
「なら、その大体の場所を教えろ」
「私の家です」
「なんだと!?」

その言葉に俺は驚きを隠せなかった。人のいない場所がまさか人の家だとは思ってもいなかったからだ。確かにそれならこの小娘とその家族以外は入ってこないだろうが、いったいコイツは何を間変えているんだ?そもそもコイツの家はそんなにでかいのか?

「何故テメェの家にそんな空間が用意できる」
「言っていませんでしたが、私の家は日本の名家の一つなんですだから広い部屋も用意できるんです。それに私の家には機材もありますのでそこの部屋を提供することにしました」
「…そうか」

自分の家の一部を提供するのは恐らく監視の為だろう。まぁ、魔法の理論化が無い以上俺のやることが理解できないだろから機材と空間が手に入ることをよしとしよう。
それから気になるのは運転しているメイドだ。コイツからは呼吸音がきこえねぇ。

「ソルさん着きましたよ」

俺が考え事をしているとどうやら小娘の家に着いたらしい。窓の外を見てみると確かに広い、門から家まで数十メートルあるがその道のいたるところに罠が仕掛けられているのが分かる。それにしても罠の数が多すぎる狙われてんのか?ここの家は。
そんな考えをしていると、車が止まりどうやらこいつの家に着いたようだ。

「今から提供する部屋に案内しますので着いてきてください」

案内されるとどうやら部屋は地下にあるらしい、二階へ上がる階段の壁が横にずれ隠し階段が現れた。その階段を下りていくと長い廊下がありその突き当たりに扉が一つあった。

「ここが目的の部屋です」

小娘がそういって扉を開けると目の前には広い空間と様々な機材が置いてあった。これだけありゃ制御装置のほうも何とかなりそうだな。広さもの方も問題ねぇ。

「どうですか?」
「十分だ」
「気に入っていただけて何よりです。何かありましたらノエルに言ってください」
「ノエル?」
「あぁ、紹介していませんでしたね私の専属メイドのノエルです」

小娘が紹介するとさっきの車を運転していたメイドがお辞儀してきた。

「はじめましてソル様、忍お嬢様のお世話をさせて頂いておりますノエルと申します。以後お見知りおきを」

こいつか、少し聞いておくか。

「少し質問に答えろ」
「なんでしょうか」
「ノエルとかいったな?テメェ誰に作られた?」

その言葉に小娘と坊やは驚きの表情を浮かべていた。

「何故私が作られたとお思いですか?」
「テメェからは呼吸音がきこえねぇからだ。答えろ、誰に作られた」
「私が何時誰に作られたかは記憶に御座いませんのでお答えすることが出来ませんが今はもう失われた技術によって造られました」
「そうか…、ならテメェは何で動いている」
「私は電気で動いております」
「そうかならいい」

もう失われているなら別に問題は無いか…。が、もしもの場合はぶっ壊せばいいだけだ。さて、早速ここの機材を使ってディズィー用の制御装置でも作るか。まずはアイツの法力を調べる必要があるな。
行動に移そうとしたとき小娘から声がかかった。

「ソルさん、私もお聞きしたい事があります」
「あぁ?」
「貴方の知っている吸血鬼について教えてもらいたいんです」

スレイヤーのジジィのことか、まぁいいだろう。

「何が聞きたい」
「まず、貴方の知っているその吸血鬼について教えてもらえないでしょうか」
「名前はスレイヤー、勝負事が好きな胡散臭いジジィだ。説明するのがめんどくせぇ、質問しろ」
「では、日の光は平気なんですか?」
「昼間に喧嘩したことがあるから平気だろ」

喧嘩といったら顔が引きつってやがる。

「そ、そうですか。そのスレイヤーって方はどのぐらい強いんですか?」

どのぐらいか、お互い本気を出したことがないが…。

「この家ならものの数秒で瓦礫の山に出来るだろうな」
「何らかの能力を使ってですか?」
「拳でだ」
「血は吸うんですよね?」
「吸うな」
「見境なしにですか?」
「いや、最初はしらねぇが、ジジィはシャロンからしか血を吸ってる所しか見たことがねぇ」
「シャロンって誰ですか?」
「ジジィの妻だ」
「ということはそのシャロンって人も吸血鬼なんですか?」
「恐らく人だろうが、詳しくはしらねぇ」
「ということは、少しずつしか血を吸わないんですね?」
「いや、いつも干乾びるまで吸われている」
「へ?」

引きつった面の次は間抜け面か…、ずいぶんと表情の豊かな奴だ。

「ひ、人なんですよね?」
「恐らくな」
「死なないんですか?」
「不死身らしいからな」
「そ、そうですか…」
「質問は終わりか?」
「えぇ、もういいです」

疲れたような声だったがやっと終わりか。

「あっ、もう一ついいですか?」

まだあんのか…。

「それで最後にしろ」
「わかりました、そのスレイヤーの喧嘩仲間の貴方はこの家をどう出来ますか」

今度は俺のことか、めんどくせぇ適当に答えるか。

「んなもん、ものの数秒で消し炭にしてやる、さぁ答えてやったんだやる事があるからさっさと出てけ」

小娘たちを追っ払ってようやく作業の方に集中することが出来る。機材は十分にある、足りないものがでてきたらそこら辺の必要ないものをばらせばいい、さっさと始めるか。




あとがき
やっと3話的なもの完成。
たぶん次回はディズィーの話で、その次がやっとジュエルシード編の話になると思います。あくまで予定ですが…。
ちなみに決まっていることはディズィーが最初に心を許す人と、ソルがジュエルシードをどうするかしか決まってません。後は全て私のその時の気分です。

あと、恭也達視点一切出してませんがやっぱ出した方がいいですかね?
特に活躍するわけでもないし別にいいかなぁって思っているんですがどうでしょう。
視点を使用するのはソルとディズィー、あとはリリカルの主要メンバー辺りでいいかなぁと思っています。

遅れましたが、その場のノリと思いつきだけで構成されている駄文ですが見てくださっている方はありがとうございます。
これからも、温かい目もしくは生暖かい目で見てくれるとうれしいです。

では、ご指摘やアドバイス、誤字脱字の報告、純粋な感想などお待ちしています。



[9007] 4話?
Name: 獅子脅し◆80b40c8e ID:4d8de854
Date: 2009/07/08 06:51
side:なのは

朝食を食べ終わったわたしは、友達のアリサちゃんとすずかちゃんの待ち合わせまで時間があったので一緒に暮らすことになったディズィーさんと、その家族だと思うソルさんを見ていた。
まず、ディズィーさん。すごく綺麗で優しそうな人。お姉ちゃんが色々聞いてるけどディズィーさんは困った顔をしながら質問に答えている。わたしも大きくなったらあんな綺麗な人になりたいな。でもなんであんな悲しそうな顔をしてるんだろう、今度お話しするときに聞いてみよう。

次にソルさん。ソルさんは最初はすごく怖い人だと思ったけど、わたしの頭をなでてくれた多分優しい人。お兄ちゃんのことを坊やって呼んでいるけどお兄ちゃんはあんまりそう呼んでほしくは無いみたいだ。他にも忍さんやお姉ちゃんのことは小娘って呼んでいるみたい、わたしの事はなんて呼ぶのかわからないけどあんまり聞きたくないな。

この後ソルさんはお兄ちゃんと一緒に迎えに来た忍さんとノエルさんと一緒に何処かへ行ってしまった。わたしもアリサちゃんとすずかちゃんと一緒にお母さんの新作パフェを食べる約束をしてるから翠屋に行くけどディズィーさんを誘ってみようかな、紹介もしたいし。そう思ってわたしはお姉ちゃんの質問攻めから開放されてホッとしているディズィーさんに声をかけた。

「あの、ディズィーさん」
「あっ、は、はい、何でしょうか?なのはさん」

声をかけたらディズィーさんはびっくりした顔をしていた。

「わたしこれからお友達と翠屋に行くんですけど、一緒に行きませんか?」
「翠屋?」

そういえば翠屋のことも説明していなかったな。

「翠屋っていうのはお母さんとお父さんが開いている喫茶店で、今日はお母さんが新しく作ったパフェをみんなで食べに行くんです。良かったらディズィーさんも一緒に行きませんか?お友達にもディズィーさんのこと紹介したいですし」

そう言って誘ってみたら、ディズィーさんはすごく申し訳なさそうな顔で、

「ごめんなさい、私もこの後少し用事があるの」

と、断られてしまいしました。

「そうですか、ざんねんです」
「本当にごめんなさい、また今度誘ってくださいね」

そう言ってディズィーさんは笑顔で答えてくれました。でも、わたしにはその顔がとても悲しそうな顔をしている風にも見えました。






みんなと翠屋でわたしはアリサちゃん達とお母さんの作ったパフェを食べながらみんなでいろいろなお話をしているとディズィーさんの事話すのを忘れていたのを思い出した。

「そういえば言い忘れてたんだけど、昨日からわたしの家にすむ人が増えたんだよ」
「へー、どんな人なのよ」

アリサちゃんは興味心身にパフェを頬張りながら聞いてきて、すずかちゃんも興味ありそうに頷きながら私の方を向いた。

「ディズィーさんって言ってね、とても綺麗な人なんだよ。今日みんなに紹介しようと思って誘ってみたんだけど断られちゃった」

そう言うとアリサちゃんはふーんと言って背もたれに寄りかかってしまった。

「なんだ、男の人だったらなのはのお兄さんとお父さんがなのはに手を出すな!って言って脅してそうなのに」
「アリサちゃんそれはその人に失礼だよ」
「にゃはは…アリサちゃんらしいね」
「それはそうとなのはちゃん、住む人はそのディズィーさんって人一人なの?」
「うん、でも一緒には住まないけどもう一人いるよ。その人は男の人だけど」

わたしがそう言うとアリサちゃんは待ってましたと言わんばかりに身を乗り出してきた。

「それで、その人はどんな人なの?」
「名前はソルさんって言って年はお父さんと同じくらいなのかな?怖そうな人だけど多分やさしい人だと思う」
「なーんだ、じゃあその人はそのディズィーさんのお父さんなってこと?」
「多分そうなんじゃないかな」
「ふーん、別々で暮らすって事は何か事情があるのかしら?面白そうね」
「アリサちゃん…」
「にゃはは…」
「まぁいいわ、そんなことより本当になのはのお母さんが作るパフェはおいしいわね」


でも、本当に何か事情があるのかな?だからディズィーさんの顔が悲しそうに見えたのかもしれない。いつかディズィーさんから聞けるときが来るのかな。
そんなことを考えながらわたしはまた、みんなと楽しい話に戻りました。


Interlude



side:ディズィー

高町さんの家に住むようになってからもう一週間が過ぎようとしている。だけど私は未だにここの生活に慣れることが出来なかった。唯一落ち着ける時といえば山や森の動物達と過ごす時だけだった。
確かに高町さん達は私に優しくそれも家族同然のように扱ってくれる、そしてそれはかつて私がジェリーフィッシュ号に乗っていたときの様に。ジェリーフィッシュのみんなは私がギアであっても関係なく接してくれた。でもやはりギアである以上そこから一歩外に出たらやはり他の人達には私のことをギアとしてしか見てくれなかった。あの人が言うにはこの世界にギアは私とあの人以外存在しないと言っていた。もしギアがいないならこの世界の人達は私を化け物としてみないのではないだろうか?でも、もし前と同じで私の事を化け物としてしか見なかったら?
そんなことを考えていると誰かが後ろから私に声をかけてきた。

「ディズィーさん、ソルさんから電話がきてるよ」

声の主は美由希さんだった。どうやら電話で相手はあの人だという。

「もしもし」
『ディズィー、お前にやって貰う事が出来た。迎えをよこしたからそれに乗って来い』

あの人はそれだけ言うと電話を切ってしまった。いったい何なのだろうか、そう思いながら私はネクロとウンディーネに相談してみることにした。

「(ねぇ、貴方達はあの人の言ったことどう思う?)」
「(私は行ってもいいと思います。この世界で唯一貴方の事を知っている方ですし)」
「(ネクロは?)」
「(信用出来ナイガ今頼レルノハ奴ダケダロウ)」
「(そう…ありがとう)」

二人の意見を聞き私はあの人の所へ行く事にした。

電話が来てから10分後迎えの車に乗り私はあの人のいる所へ案内された。そこは私が目を覚ましたときにいた人の家らしくその地下であの人は暮らしているという。

迎えに来た人、ノエルさんに案内されて階段の壁が動きそこに隠されていた階段が現れた、そこから地下に降りて廊下を歩いていくと扉の前に付いた。

「ソル様、ディズィー様を連れて参りました」

ノエルさんがそう言うと目の前の扉が開き中から私を呼んだ張本人が現れた。彼は私に中に入ることとノエルさんに誰もこの部屋に入れないことを話すと部屋の奥へと歩いていった。彼に従い部屋の中へ入るとその部屋には色んな機械が設置されていた。いったいこんな所に連れて来て何をさせるのだろう。それが気になり私は目の前を歩く彼に声をかけた。

「ここでいったい何をしているんですか?」
「色々だ」
「色々とは?」
「この国の科学レベル、歴史、その他の国の調査、後は装置の開発そんな所だ」

いったいこの人はそんな事を調べて何をするのだろうか、彼は足を止めた。そして私に向かってあるものを渡してきた。

「…これは?」
「お前の法力を測る装置だ。」
「何故そんな物を?」
「これからお前用の制御装置を作る」
「え?」

何故?と聞こうとした時に彼はさらに言葉を続けた。

「これが終わったら恐らく1、2週間後にまた呼ぶ。わかったらさっさとやれ」
「…………」

そんな言葉にすこしムッとするも、仕方なく手に持っている装置に法力を送り始めた。本当にこんな小さいもので法力が測れるのだろうか。

「もういいぞ」

その言葉に私は法力を送るのをやめ彼に渡した。すると彼はもう一つ同じ者を渡してきた。

「元の姿にもどれ、次はお前のギアたちに同じ事をやらせろ」
「何故ですか?」

そんなことを聞くと彼は面倒くさそうにため息を尽きた。

「法力の暴走はお前のギア細胞の破壊衝動とお前のギア達の防衛判断が最優先されたときだ。そのため作るのは2つになる。一つはお前のギア細胞を抑える装置、もう一つは防衛優先時のお前の制御をサポートする装置だ。そのためにはお前のギアの法力も調べる必要がある」
「…わかりました。ただし一つ教えてください、何故此処まで私にしてくれるのですか?」

私が聞くと彼は後ろを向き答えた。

「高々3、4年しか生きちゃいねぇ奴に不幸だの何だの言われるのがうぜぇだけだ。さぁ、とっととやれ」

その答えにあまり納得がいかないものの私はネクロ達に元に戻ってもらい装置を渡した。






ノエルさんに送ってもらい高町家の前で降ろしてもらうとなのはさんと鉢合わせた。

「ディズィーさん、お帰りなさい!何処か行ってたの?」
「あ、はい、ソルさんの所へ言ってました」
「そうなんだ、さぁ、早く家の中に入ろう」

そう言ってなのはさんは私の手を引いて家へと駆けた。

夕食になるとみんな今日の出来事を話しながら楽しそうに食事をする。なのはさんが学校で起きた出来事を話し、それを美由希さんがからかい、その中で男の子の名前が出ると恭也さんが少し反応する、そんな会話を士郎さんと桃子さんは楽しそうに眺めてる。そんな幸せという世界が私の目の前に存在していた。私が絶対に手に入れる事が出来ないもの、なら幸せを手に入れることが出来ない私は何故生まれてきたの?
私が生まれた理由は何?
恐怖を撒き散らすため?
それともただの実験?
わからない。
わからない、わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないワカラナイ。

「……ん、…ズィ…さん?…ディズィーさん!」
「っ!は、はい!?」

突然誰かに呼ばれた。何事かと思い回りを見渡すと、全員心配そうな顔をして私の事を見ていた。

「ディズィーさん大丈夫?具合悪いの?声をかけても聞こえてなかったみたいだし」
「あ、その、すみません少し考え事をしていたので」
「ならいいけど、具合が悪くなったらすぐに言ってね」

そんななのはさんの笑顔が私には太陽のように眩しかった。私は迷惑を掛けないよう用意された部屋に戻ることにした。

「すみません私部屋の方に戻りますね」
「そうかい?あまり無理しちゃだめだぞ」
「ありがとうございます、それでは失礼します」

そう言って私は部屋に戻った。いや、逃げたといった方がいいのかもしれない。部屋に戻った私はただ何もせず窓から見える月を眺めていた。

どれくらいの時間がたったのかはわからない。ただこれ以上月を見ていても仕方がないと思い寝ることにした私は布団を敷こうかと立ち上がった時にドアの叩く音が聞こえた。

「はい?」
「ディズィーちゃん、私だけど少しいいかしら?」
「はい、いいですけど」

ドアを叩いた主は桃子さんだった。何の用なのかはわからないが私はとりあえず桃子さんに入って貰う事にした。

「ごめんなさいドアを開けてくれるかしら、両手が塞がってて開けられないの」
「あ、わかりました」

私は急いでドアを開けると桃子さんはお盆を持っておりその上には水の入ったコップと容器が置かれていた。
桃子さんはいつもの笑顔で私に礼を言い部屋に入ると、お盆を置いて私に話しかけてきた。

「具合の方は大丈夫?」
「はい、平気です具合が悪かったわけではないので」

私が答えると桃子さんはそう、と一言だけ言うと私の方へ体を向けた。そして、

「ディズィーちゃん、少しお話しましょうか」

今度は真剣な顔をして私に話しかけてきた。





あとがき
やっと書けました。
次回がディズィー編終了…かな?
それと最後の方にジュエルシードのことでも書けたらいいなぁと思っていますけど、書けるかなぁ…。
まぁ、何とか頑張ってみます。
あと、前回の話の感想なんかでスレイヤーのHAIKUネタのことが言われましたけど、没ネタとして載せたほうがいいですかね?
載せるなら3話的なものあとがきの後に載せようと思いますけど…。
もし見たいって方は感想板にでも見たいですとでも書いてください。もし多かったら載せると思います。

遅れましたが、その場のノリと思いつきだけで構成されている駄文ですが見てくださっている方、ありがとうございます。
これからも、温かい目もしくは生暖かい目で見てくれるとうれしいです。

では、ご指摘やアドバイス、誤字脱字の報告と純粋な感想などお待ちしています。



[9007] 5話?
Name: 獅子脅し◆80b40c8e ID:4d8de854
Date: 2009/07/23 12:39
side:ディズィー

「お話…ですか?」

私は桃子さんが言った言葉が一瞬理解できなかった。だけど、理解すると何故こんな夜遅くに話をするのか、しかも何故そんな真剣な顔をしているのか、真剣な話なら何故私になのか疑問に思っていた。そんな疑問に答えるかのように桃子さんは口を開いた。

「えぇ、でもお話というより私が貴方に聞きたいことがあるの」
「聞きたいことですか?」
「えぇ、ねぇディズィーちゃん。私達と住んでて楽しい?」

桃子の言葉に私はどきりとした。確かに私自身はこの生活が楽しいとは思ってはいなかった。その理由は正体がばれる恐怖の所為だった。でも、そのことを今話せば桃子さんが悲しむと思い、私は嘘をつくことにした。

「えぇ、楽しいですよ。皆さんも優しくしてくれますし」
「…嘘ね、本当に楽しいのならそんな悲しい笑顔はしないわ」

今自分の出せる精一杯の嘘と笑顔で答えるも、桃子さんに簡単に見破られてしまった。私は桃子さんの目をまっすぐ見ることが出来ず目を逸らせてしまった。あの目を見ていたら全てが見破られてしまいそうで怖かった。

「もう一つ質問いいかしら、貴方は何故そんなに私達……いいえ、人を怖がっているの?」
「え!?」

桃子さんの言葉に私は驚き顔を上げ桃子の顔を見た。何故そのことを知っているのだろうか?
私は今まで一度もこの家の人達に人が怖いと言ったことがない、じゃあ何故そのことを桃子さんが知っているのだろうか。

「最初は貴方がなれない所で暮らす事で不安になっていると思っていたわ、でも2、3日立っても貴方はあまり自分からは私達に話しかけようとはしなかったわ。そしてなのはや美由希が貴方を誘うたびに貴方はいつも悲しそうな顔をしながらその誘いを断るの、私はそのことを気に掛けながらすごしてきたわ。それでね、ある日森に入ってく貴方を見かけたの、その時私は何故か追いかけなくちゃいけないと思って追いかけたの、そしてそこで貴方が動物と一緒にいるところを見て驚いたわ、だってその時の貴方の笑顔は本当に綺麗だったのだから。でもその時にやっと分かったの、ディズィーちゃんは人が怖いんだって。ねぇディズィーちゃん、そんなに私達が怖い?私じゃその怖がってる理由は話せない?」

そこまで桃子さんが私の事を見てくれているとは思わなかった。でも、いったい何故そこまで心配してくれるのだろうか。言ってしまえば私と桃子さんは赤の他人、知り合ったのも一週間前だ。そんな得体も知れない人物に何故この人はここまで心配してくれるのだろうか、いっその事なら本当の姿を見せて出て行ったほうが良いのではないのだろうか、もし追い出されればそれ以上傷つくことはない。それでも気にしてくれる理由が気になった私は桃子さんに聞いてみることにした。

「一つ質問しても良いですか?」
「何かしら?」
「何故貴方はそこまで他人の私を心配してくれるのですか?」

その言葉に桃子はキョトンとした顔をしていた。そしてその後は可笑しそうに笑い始めた。
何故笑うのだろうか。私は真剣に聞いたつもりなのに何処が可笑しかったのかがいまいち分からない。
そんな私の顔を見ながら桃子さんは喋り始めた。

「ごめんなさい、そうね、確かに貴方と私は他人よね。でもね、私は貴方の事を他人と思っていないわ。私はね、貴方の事を家族だと思っているの」

家族という言葉を聞いたのは何年振りだろうか、でも私と桃子さんは血が繋がっていないのに何故そんな事が言えるのだろうか。さらに私の正体を知ったときに同じ言葉をこの人は言えるのだろうか。そう思い私はさらに質問をした。

「血が繋がっていないのに何故そんなことが言えるのですか?」
「そうね、貴方には言ってなかったけど恭也と美由希はね血が繋がっていないの」

その言葉に今度は私が驚いた。こんなに幸せそうな家族が実は血が繋がっていないというのだ。でも桃子さんの顔はそんなことまったく気にしていないという顔だった。

「でもね、私は血のつながりだけが家族だとは思っていないの、血が繋がっていなくてもそれ以上の絆があればそれも家族だと思っているわ。ねぇ、貴方にはそんな人がいないのかしら?血は繋がってなくても家族と言える人が」

その言葉で私は短い間だけど私を育ててくれた老夫婦を思い出した。あの人達は私がギアだと他の人から言われても私を守り逃がそうとしてくれた。この人もあの人達と同じように私の正体をしっても家族として扱ってくれるのだろうか。私がそんなことを考えていると桃子さんは最後にと私に話しかけてきた。

「今はまだ話せないのなら言う必要は無いし私も聞かないけど、でもいつか話したいと思ったらいつでも言ってきてね」

そう言うと桃子さんは必要なかったわねと笑いながらコップと容器を片付けて部屋を出て行こうとした。それを見ていた私は一つだけ質問を投げかけた。

「もし、もしもですよ、貴方が誰にもいえない秘密を持っていたとしたらどうしますか?」

この質問に扉の前で止まった桃子さんはこちらを向いて答えてくれたた。

「そうね、私の大切な人達だけに話すわ。その人達だけが私の秘密を受け入れてくれたのなら後は隠せばいいのだから」
「ではもし周囲にその秘密がばれて周りから怖がられたりしたら?」
「確かにそれは悲しいことだけど、私の大切な人達だけがそれを受け入れてくれるのならそれで構わないわ」

その言葉は私の心に深く突き刺さった。そして私はある決意を胸に再び桃子さんに話しかけた。

「それはこんな姿をしていてもですか?」
そう言って私は黒のワンピースに変化していたネクロとウンディーネに元に戻ってもらいながら桃子さんに尋ねた。
私は桃子さんから顔をそらせてこの姿のことを説明した。


「これが私の本当の姿です。ギアという生体兵器と人間のハーフ、その力は町全体を数分で更地へと変えるほどの力を持っています」

ついに見せてしまった。きっと桃子さんは怖がっているに違いないだって私は化け物なのだから。

「少し聞いてもいいかしら?」

しかし返ってきたのは、まったく怖がっている声ではなく逆に包んでくれるような優しい声だった。
私はその声に驚き顔を上げてさらに驚いた。桃子さんの表情はまったく恐怖が無く全く逆の暖かく優しい表情で私の事を見ていた。

「貴方は今この町を壊したいと思ってるの?」

その桃子さんの顔をまっすぐ見ることが出来ない私はうつむきてしまう、でも何とかして質問に答えなければいけないと思った私は何とか声を出し答えた

「そんなこと…思っているわけ……ないじゃないですか。私は、この力で貴方達を傷付けたくないんです」

ダメだ、後少しでもその声を聞いてしまうと私はそれにすがってしまう、頼ってしまう。何とかそれに耐えようとするけど次の瞬間何かが私を包み込んだ。

「―――っ!?」
「大丈夫、貴方がそう思っている限り貴方は化け物なんかじゃないわ。そして貴方がそう思っている限り貴方は人であり私達の家族よ」

ダメだった、その言葉を聞いた瞬間私は桃子さんに抱きつき泣いてしまった。だけどこの姿を他の人に見せたく無かった私は声を殺して桃子さんに泣き付いた。
そんな私の頭を桃子さんはずっと撫で続けてくれた。

「大丈夫?」
「はいもう平気です」

その後何とか泣き止んだ私は改めて桃子さんを見た桃子さんは優しい笑みを浮かべながら私をまっすぐ見つめてくれていた。先ずはお礼を言わないと、そしてもう一つ言わなくちゃいけない事もある。

「あの、本当にありがとうございますこんな私を受け容れてくれて、それでも私はギアという化け物には変わりはありません。私は実際この手で数千、数万の人を殺めたのも事実です」

これは私への罰だこの人には私の全てを知っててもらいたい。

「でも、それでもなお私を家族だと受け容れては貰えませんか?」

それでもなお私を家族として受け容れてもらいたい。そのためなら私はどんな罰でも受けよう。

「ええ、でも一つだけ約束して、貴方が殺めた人達の分まで生きることそれだけ約束して頂戴」
「分かりました。それが私の行える償いだというのなら」
「そう、ならこれからもよろしくねディズィーちゃん」
「はい!」


Interlude



side:ソル

「ふぅ…」

ディズィーの法力調査が終わった翌日、俺は自分のヘッドギアの制御装置を基にディズィー用の装置を作成していた。
手を止めプログラムを含め全体状況を見てみる。進行状況は3割といった所か、このまま行けば一週間以内に完成させることが出来るな。

『ソル様お忙しいところ失礼します』

俺が作業に戻ろうとしたときにすぐ横の画面にノエルの顔が映し出された。
いったい何のようだ?こっちは出来るだけ早くコイツを作りたいんだがんだが。

「何のようだ?」
『ディズィー様からお電話です』
「ディズィーからだと!?」

驚いたぜ、まさかアイツの方から俺に用があるとはな、一体何のようだ?
俺はすぐさま電話を繋ぐよう指示し受話器を取った。

「どうした」
『えと…その、貴方に報告することがあります』
「一体なんだ?」
『昨日桃子さんに私の本当の姿を見せました。そして今日その他の皆さんに私の本当の姿を見せたいと思うんです。その時に貴方も付き添っては貰えませんか?』

まさか一日で二度も驚くとは思わなかったな、こんなにも早くこいつの心を開く奴がいるとはな。
まぁ何にせよディズィーをあの家に住まわせたのは正解だったってことだ。
だが、正体を明かしたというのは俺たちの世界の事も話さなきゃならねぇ、そうなると末子はいない方が良いな、ガキに話すには少々暗過ぎる。

「一つ条件がある末子には秘密にしろ俺達の世界を話すにはまだ幼すぎる」
『………分かりました。では明日の昼に高町家に来てください。』
「分かった」
『それと、今まですみませんでした』
「気にするな、後はテメェの頭で考えて生きてみろ、俺も少しは協力してやる」
『ありがとうございます。では明日』
「あぁ」

ディズィーが電話を切ったことを確認し受話器を戻す。
さて今日はこの程度にしてやることをするか。先ずはこの家の御当主様に予定を無理矢理にでも空けてもらうとするか。さて、どっちに転がるだろうな。

翌日、俺はノエルの運転する車に乗り士郎の家へと向かったいた。

「あの、ソルさん」
「なんだ?」
「そろそろどんな用なのか教えてもらえませんか?」
「んなもん自分で確かめろ」

小娘が俺に質問してくるが俺は適当に答えてやる。俺が絶対に答えないこと分かると小娘はため息を吐き質問するのをやめた。俺から話すつもりは一切ねぇ、これはアイツの問題だ。暫くして士郎の家に到着すると、玄関口で士郎が待ち構えていた。

「やあ、ソル待ってたよ。みんな道場にいるから着いて来てくれ」
「わかった」

そう言って士郎は俺達を道場へ案内した。
道場へ着くとそこには、道場入り口手前側に末子を除く坊や、士郎の家の小娘その奥にディズィーが向かい合って座っていた。
道場へ入るとディズィーと目が合った、俺を見る目は腹決めた目をしている。俺は何も言わずディズィーの後の壁へと移動し寄りかかった。
さて、お前の覚悟を見せてもらおうかディズィー。

「全員揃ったようだし改めて聞くとしよう、ディズィーちゃん俺達に話したい事って何なんだい?」

士郎が質問するがディズィーは一回桃子の方を見て

「実は皆さんに見てもらいたいものがあります」

そう言って立ち上がるとディズィーはギアたちをものと翼へと戻し本来の姿へと戻った。
その姿に士郎達は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてやがる。

「これが私の本当の姿です」
「ディズィーちゃんその翼は一体」
「これはギアと呼ばれる生体兵器です」
「ギア?ギアというのは一体何なんだい」
「そこからは俺が説明してやる」

士郎がディズィーに質問するが俺がその言葉を受けた。実際ギアのことを一番知っているのも俺だ。

「ギアは人間をはじめとする生命体を素体とし、ギアの細胞を植えつけることによって作られた生体兵器のことだ。そしてギア化した奴らは体が変化させ自我を失い本能のまま行動する殺戮兵器へと生まれ変わる、その強さはそれぞれあるが強いものだと1時間で100万人規模の都市を壊滅させることが出来る」
「1時間でだと!?」

俺の言ったことに坊やが声を上げて驚いていた。他の奴らも同じ反応をしているが士郎だけは違う反応を見せた。

「それがディズィーちゃんだというのかい?」
「そうだ俺もコイツも分類は違うがギアになる」

その発言に士郎以外は驚愕の顔を浮かべている。
まぁ、初めて聞くものに対しては普通の反応だ。だが士郎は少し考えているようだ。
暫くして顔をあると俺たちに質問してきた。

「君達がギアというのは分かった、だけどギアというものは自我を失うんだろ?それに対して君達は自我もあるそれは何故だい?」

いい洞察力を持っているな、俺は親指でヘッドギアを叩いた。

「これはギアの細胞を制御する装置だ俺はこれで人間の姿を保っている。ディズィーは恐らく完成型のギアであるのと、人間とのハーフだからだろう」
「そうか、でも俺も裏の世界にいたことのある人間だがそんな話は聞いたこともない。ソル、君達はどこから来たんだい?」

そういえばそれも答えていなかったな。

「こことは少し違う平行世界だ、説明するのがめんどくせぇから平行世界のことは自分で調べろ。説明はここまでだ後はディズィーの用件が先だ」

俺はそう言うとディズィーへと目線を向けた。俺の顔を見て頷きディズィーは士郎達の方へと向きなおした。

「私はそんな化け物です、それでも私は皆さんと一緒に過ごしたい、こんな私でも一緒に居させて貰えないでしょうか?」

やるじゃねぇか。後は士郎達の返事だけだな。

「俺はぜんぜん構わない、むしろ家族が増えてうれしい限りだ」

ディズィーの願いにいち早く答えてくれたのは士郎だった。
そして、次に動いた小娘ども二人はディズィーに近づくとディズィーの手をとった。

「私は貴方が何であろうと気にしません、だからもっとディズィーさんのこと教えてくれませんか?」
「美由希さん」
「私もね、夜の一族と言われていて、いろんな人から命を狙われているはそれは組織だったり同属だったりもする、だから貴方の言うことも分かるの。私でよければ何時でも相談に乗るから相談したい事があったらいつでも言ってね」
「忍さん」
「恭也もいいな?」

三人の姿を見た士郎は坊やの方を向いてたずねた。

「あぁ、俺も一向に構わないさ」

その答えに納得した士郎は俺のほうに顔を向けた。

「というわけだソル、俺たちは全員ディズィーちゃんを受け容れるぞ」
「そうか、なら話はこれで終わりだそろそろお前のところの末子も帰ってくる頃だろう」
「そうだな、じゃあ一旦家に戻ろうソルと忍ちゃんは夕飯はどうする」
「いただきます」
「俺は帰ってやることがある」

ディズィー用の装置を作らなきゃならねぇからな。

「送りますか?」
「歩いていく。じゃあな」

そう言って俺は道場の外へと向かった。

「そういえばディズーさんて歳は幾つなんですか?」
「そういえば聞いてなかったわね」
「あ、はい3歳です」
「「………え?」」

そういえば歳の事は言ってなかったな。まぁそんな気にするような奴等でもないだろう。
俺は気にせず道場を出て小娘の屋敷へと向かって歩き出した。

「「えええええええええええええええええ!?」」
「…うるせぇ小娘どもだ」

後で聞いたが小娘どもは地に膝と手をつけて落ち込んだそうだ。

士郎の家を出て邸へと向かう道を歩いている途中、俺はふと空を見上げると数十個の何かが放射状に散らばりその一つが俺に向かった落ちてきた。

「ちっ!」

俺はすぐさま後へ跳び回避し衝撃に備えた、しかし衝撃が無く落下場所には青い鉱石のようなものが落ちていた。
手に持って調べてみる。形状はひし形隕石にしては形が整いすぎるな大気との摩擦が起きていないのか?
そもそも、地面衝突時にクレーターが出来ないのもおかしい、持ち帰って調べてみた方がいいな。
俺は青い鉱石を握り締め邸へと急いだ。






あとがき
何とか書けました。
前回で言ったとおり、今回でティズィー編終了です。そして最後のほんのちょっとだけジュエルシードの事を書けました。
いやー、急展開ですみません。さらにこんな駄文ですみません。
とりあえず次回からジュエルシード編に突入します。どんな展開になるか作者にすら分かりません、決めてないので(爆)
とりあえず頑張ってみます。

遅れましたが、その場のノリと思いつきだけで構成されている駄文ですが見てくださっている方、ありがとうございます。
これからも、温かい目もしくは生暖かい目で見てくれるとうれしいです。

では、ご指摘やアドバイス、誤字脱字の報告と純粋な感想などお待ちしています。



[9007] 6話?
Name: 獅子脅し◆80b40c8e ID:4d8de854
Date: 2009/07/31 17:28
ディズィーが士郎達に正体を明かしてから1週間が過ぎた。

自分を受け容れてもらい性格の方も前よりずいぶんと明るくなったディズィーは現在、ソルから装置が出来上がったという連絡を受け月村家の地下にあるソルの部屋へと訪れていた。
扉から出てきたソルは珍しく白衣を身にまといディズィーの姿を見るとついて来いと一言言い部屋の奥へと進んでいった。
ソルの後に続き、前回ディズィーの法力を調べた場所まで行くと、ソルは机に置いてあった箱をディズィーへと放り投げた。ディズィーは慌てながらも落とさずに受け止めソルに文句の目線をやりながらも受け止めた箱の留め金を外してあけた。

「これは、腕輪とチョーカー?」

箱の中に入っていたのは中央に黒と白の一対の翼があしらわれたチョーカーと二つの腕輪が入っていた。ディズィはそれを手に取り様々な角度からまじまじと見始めた。

「それがお前の制御装置と補助装置だ。つけてみろ」

ディズィーはソルの言葉に従い、今自分のつけているチョーカーを外し、装置付きのチョーカーに取り替え腕輪を手首につけた。
つけ終わり暫くしても特に変化が現れない事に疑問を持ったのか、ディズィーはソルへと顔を向けた。
その行動の意味を理解したソルはディズィーに説明を始めた。

「別に法力が減るわけでも体がだるくなる事はねぇ。抑えているのは衝動の方だ」
「衝動?」

ソルの言っている事が理解できなかったディズィーはソルへと聞き返した。

「そうだ、正確にはギア細胞から発せられる信号だ。ギア細胞は脳へ破壊衝動を促す信号を送る。それを抑えるのがその装置だ」

そう言うとソルはディズィーの首の装置を指差した。

「そしてもう一つのが、補助装置だ」

今度は両手首につけている腕輪を指差した。

「そっちはお前の法力の制御補助をする。お前が力を抑えきれない原因は、お前のギアどもの防衛機能が最優先になったときお前自身の法力制御限界を超える法力を使用しようとするためだ。その時その制御の補助するのがそれだ」
「理解できない所もありますが、ようはこれがあれば私が暴走して周りの人を傷付けず済むんですね?」

歓喜に満ちた顔でソルに聞くディズィー、だがソルは真剣な顔を崩さずディズィーに忠告した。

「そうだ、だが過信はするな、所詮物だ。実際衝動を制御するのも法力を使用するのもお前自身だ。装置はその補助をするだけだ、それだけは覚えておけ。それと、寝るときは外しておけ」
「わかりました」
「それともう一つ、月に一度は俺と手合わせをしてもらう」
「それは何故ですか?」

元々人を傷付ける事が嫌いだったディズィーは何故しなくてはならないのかをソルに聞いた。

「言っただろ、所詮物だと。完璧に衝動を抑えるわけじゃねぇ、それは確実に脳に蓄積される、そしていつかは抑えきれなくなり爆発する。手合わせするのは、する事でそれを多少緩和するためだ」
「わかりました。日程の方はどうするんですか?」
「手合わせは一ヵ月後の今日だ。場所は用意しておくいいな?」
「わかりました、どうしても無理なときは連絡します」
「あぁ、最後に一つお前に見せるものがある、付いて来い」

ディズィーの返事を待たずに部屋の奥へと歩き出すソル。返事を待たない事へ若干不満を持ちながらもディズィーはソルの後に付いて行った。

「着いたぞコイツだ」

部屋の奥へ着くとそこには巨大な機械が置いてあり、中央の人一人は十分に入るガラスケースの中に小さな青い石が置かれていた。

「綺麗、これは?」
「お前が士郎達に正体を明かした日の夜に空から落ちてきたもんだ」

目の前の青い石を見ながらソルの話を聞くディズィーだったが、次にソルの言う言葉はディズィーにとっても聞き逃す事の出来ないものだった。

「率直に言う、その石はギアを生み出す可能性がある」
「え!?」
「まぁ、ギアとまではいかないがそれに近いものだな」

その言葉にディズィーは声を失った。
しかし、すぐに気を取り戻しソルに問いただした。

「そ、それはどういう意味ですか!?」
「そのままの意味だ」

慌てて問いただすディズィーに対して冷静に返答しそのまま説明を続けるソル。

「この石からはある信号を、それに近い信号を受信している」
「信号?それは何ですか?」
「発せられているのは生物が持つ活動電位とよく似た信号だ、受信しているのは脳から生じた活動電位、恐らく大脳皮質や大脳辺縁系から生じるものと言っていいな」
「あ、あのよく意味が分からないのですが?」

ソルの言っている言葉はディズィーにとって聞いた事の無いものだったため理解が出来ずソルにわかりやすく言ってくれるように頼んだ。

「簡単に言えばこの石は生物の感情を読み取る事が出来る、これは見せた方が早いな」

そう言うとソルは近くにあるキーボードを操作し始めると二人の目の前の画面に何かが映し出された。

「これは?」
「実験だ」

映像では目の前の石の置かれているガラスケースが映し出されておりその中にネズミが入れられているものが流れていた。

「この石とネズミに付けられているものは何ですか?」

ディズィーは石とネズミに付けられている電極電極を指差しソルにたずねた。

「石の方は石が受信する信号を感知するものを、ネズミには脳が何かを考えるときに発生する信号を感知する物を付けている」

ソルが説明して暫くするとネズミが石に近付き触れた。その瞬間画面全体が一瞬にして白くなり次の瞬間には人間大の大きさのネズミが現れた。

「これは!?」
「これがこの石が起こした現象だ。石に触れたとき石と脳の信号が同じ値を示した。その瞬間にネズミは巨大化した」

驚くディズィーを横目にソルは淡々と今起きた事を話していた。
映像はそのまま流れておりネズミに電気が流されると、ネズミは元の大きさに戻り動かなくなり石はネズミの横に落ちた。

「恐らくこの石は、脳が意識的に強い感情を発生させたときに、その感情を読み取り発動するというのが俺の出した結論だ」
「強い感情を、ですか?」
「推測だがな、その感情は喜、怒、哀、楽、愛、憎、欲のどれかだ。最も可能性のあるのは最後の3つだな、それに反応し今のような現象を起こすんだろ」

その事を話すとソルはディズィーの方へ顔を向けた。

「ネズミでここまで巨大化するエネルギーを一瞬で発生させる事が出来る石だ、内包するエネルギーはほぼ無限大と考えていい、わかったか?この石がギアを生み出す可能性があることを」

その言葉に嫌な汗を流しながら頷いた。ソルはそんなディズィーを見ながら質問をした。

「いいか、俺はこの石を探し出し破壊する。お前はどうする?」

質問されたディズィーは今まで以上の真剣な顔でソルに答えた。

「手伝います。これ以上私達のような化け物を生ませるわけにはいきませんから」

その言葉を聞いたソルはにやりと笑いそうかと一言呟いた。





ソルがディズィーに石の事を告げた同時刻、なのは学校の帰り道、アリサの塾に近いという木々に覆われた道を歩いていると不思議な声が頭の中に響いた。

『助けて!』
「え?」
「どうしたのなのは?」
「なのはちゃん?」

突然立ち止まったなのはにアリサとすずかはなのはに声を掛けた。

「ねぇ、何か聞こえなかった?」
「何か?」
「うん、何か声みたいな」

なのはの質問にアリサとすずかは顔を見合わせた確認を取り合った。

「別に何も」
「聞こえなかったかな」
「う~ん、気のせいだったのかな?」

そんな事を言いながら周りを見回すなのは、その行動に釣られて二人も周りを見回した。しかし周りに人影らしきものは無くなのはも気のせいだと思いはじめた時、頭の中にまた声が響いた。

『助けて!』
「気のせいじゃないよ!こっちから聞こえた!」
「あっ、ちょっとなのは!」
「なのはちゃん!?」

突然走り出したなのはに驚きながらも二人はなのはを追いかけ始めた。

しばらく走り続けると道の真ん中に何かが倒れている影が見えた。近くまで来るとそれが一匹の小さな動物だという事がわかった。
なのはは動物の前で座り込み様子を見ていると意識が戻ったのかその動物はなのはへと顔を向けた。そのさい首に赤い宝石の付いた首輪が見えた。
しかし動物の方はすぐに気を失いぐったりとしてしまう。如何しようかと迷っているうちに後から追いかけてきたアリサとすずかが追いついてきた。

「なのは、いきなり如何したのよ?急に走り出して」
「あっ、アリサちゃん見て、動物?怪我をしてるの?」
「う、うん、如何しよう?」
「とりあえず獣医さんに見てもらわないと、この近くにあったかなぁ?」
「家に電話して聞いてみるね」

どうしていいかわからないなのはに代わりアリサが如何するかを決め、すずかが近くの動物病院を調べた。

暫くして近くに槙原動物病院があることがわかりそこへ倒れた動物を連れて行き診断してもらった。
結果は命に別状は無いがかなり衰弱しているとの事だった。命に別状がないとわかると三人は安堵の表情を浮かべ改めて動物を見た。

「先生、これってフェレットですよね?」
「フェレット…なのかな?変わった種類だけど。それにこの首輪についてるのは宝石なのかな?」

アリサの問いに曖昧に答える獣医。そしてフェレットらしき動物の首輪に付いている宝石に触れようとした時フェレットが目を覚ました。暫く回りを見回しなのはが視界に入るとなのはの方をずっと見始めた。しかし暫くすると衰弱していたためかすぐに気を失ってしまった。
獣医と話し合った結果今日のところは病院で預かる事になりなのはたちは獣医に任せ塾へと急いだ。

塾では終始フェレットを如何するかで話題が持ちきりだった。アリサは犬すずかは猫が家にいるため買うことが出来ないらしく、なのはもまた飲食関係のため原則的にペットの飼育は禁止されていた。しかし、なのはがとりあえず家族に相談してみるという事になりフェレットを如何するかは高町家での相談の結果次第ということでその場は収まった。

「そういうわけで、そのフェレットさんを暫く家で預かりたいんだけれど、ダメかな?」

塾が終わり家に帰ったなのはは夕食時に早速全員にフェレットのことを話し飼えるかどうか家族に相談を持ちかけた。ちなみにディズィーは帰りが遅くなるということでこの場にはいない。

「フェレットか…、ところで何だフェレットって?」

話を聞いた士郎だったがフェレットの存在を知らなかったらしくなのはに逆に質問してきた。

「イタチの仲間だよ父さん」
「だいぶ前からペットとして人気のある動物なんだよ」

その質問に恭也と美由希が答えた。

「フェレットって小さいのよね?」
「んと、これぐらい」

桃子の質問になのはは自分の手で大きさ教えた。

「暫くの間なら籠に入れて置けてなのはがちゃんとお世話するならいいわよ。恭也と美由希もそれでいいわよね?」
「あぁ、俺は特に異存は無いよ」
「私も」
「だそうだよ」
「良かったわね、なのは」
「うん!ありがとう!」

家族全員から許可が下りなのはは喜びながら家族全員に感謝の言葉を送った。
夕食が終わりなのははアリサとすずかにフェレットを家で飼える事をメールで伝え寝ようとした時、頭の中に不思議な音と昼間の時と同じ声が響いた。

『僕の声が聞こえる貴方、お願いです僕に少しだけ力を貸してください』
「(あの子がしゃべっているの?)」
『早く僕の所へ、時間が、危険が、もう』

頭に響いていた声が聞こえなくなったときなのははすぐに着替えて槙原動物病院へと走り始めていた。声の主が誰なのかわからないはずなのに何故かなのはには声の主あのフェレットが声の主だと思う気がした。

病院に到着するとまたもや頭に不思議な音が聞こえた。しかも、今度はかなり大きく耳障りな音だった。その音に耳を塞ぎ目を閉じてしまった。
耳鳴りが収まり目を開けた次の瞬間病院の窓から昼間連れて来たフェレットが飛び出してきた。そして同じ窓から黒い大きな何かがフェレットを追うようにして飛び出しフェレットめがけて体当たりをした。その体当たりを寸でのところで回避したフェレットは空中で舞う木を足場にしてなのはへ向けて飛び込んだ。慌てながらも何とかフェレットをキャッチするなのはは今の状況が理解出来ずに混乱していた。

「何々!?一体何!?」
「来てくれたんだ」
「っ、しゃべった!?」

フェレットがしゃべった事に驚いたがすぐに一度深呼吸をして落ち着きを取り戻し安全な所へ非難するためなのははフェレットを抱えながらその場を後にした。

「あの、よくわかんないけど一体何なの?何が起きてるの?」

病院を後にしたなのははとりあえず走りながら抱えてるフェレットに事情の説明を要求した。するとフェレットは、

「君には資質がある、お願い力を貸して」

となのはにとって訳のわからないことを言ってきた。

「資質?」

なのははフェエレットに聞き返すとフェレットは急ぎながらも説明を始めた。

「僕はある探し物の為に此処ではない世界から来ました。でも、僕一人の力では思いを遂げられないかもしれない。だから迷惑だとわかってはいるのですが資質を持った人に協力して欲しくて」

するとフェレットはなのはの腕から地面へと降りなのはへ向きなおした。

「お礼はします、必ずします。僕の持っている力を貴方に使って欲しいんです。僕の力を、魔法の力を」
「魔法?」

俄かには信じられない事を言っているフェレットに困惑するなのはだが頭上から先ほどの黒い何かが襲い掛かってきたためフェレットを抱きかかえ電信柱の影に隠れた。

「お礼は必ずしますから」
「お礼とかそんな場合じゃないでしょ!?如何すればいいの?」

電信柱越しに先ほどまでいた場所を見ると地面が陥没し黒い何かが身動きがとれずにもがいていた。

「これを」

するとフェレットは自分の首輪に付いていた赤い宝石をなのはに渡してきた。

「これを持って目を閉じて心を澄ませて僕の言うとおりに繰り返して」
「う、うん」

フェレットの言うとおりに宝石を握り目を閉じたなのは、それを確認したフェレットは言葉を続けた。

「いくよ、我使命を受けし者也」
「我使命を受けし者也」

フェレットの台詞を繰り返すなのはすると宝石が光り始めた。

「契約の下その力を解き放て」
「えと、契約の下その力を解き放て」

フェレットの台詞を繰り返していくと今度は宝石が鼓動を始めた。

「風は空に星は天に」
「風は空に星は天に」

「そして不屈の心は」
「そして不屈の心は」

「「この胸に!」」

「「この手に魔法を、レイジングハートセットアップ!」」

『stand by redy』

最後まで言うと宝石から無機質だが少し女性に近い音声が流れるとその宝石から桃色の光が天へと昇った。

「なんて魔力だ」

その光景を見たフェレットの口からポツリと一言こぼれた。
しかしなのははこの後どうしていいかわからず困っていた。

「落ち着いて、イメージするんだ気にの魔力を制御する魔法の杖の姿と身を守る衣服の姿を」
「急に言われても…」

フェレットから言われ杖と衣服をイメージするなのは、すると魔力の光が収まりなのはの手には杖が衣服は先ほどまで来ていた服に変わり白と青を基調とした服に変わっていた。
そして今此処に後々語り継がれる魔法少女が誕生した。






あとがき

お待たせしました!あっ、待ってない?ですよねー。
まぁ、そんなこんなで6話的もの完成しました。

やっとジュエルシード編に突入しましたよ。
とりあえず先ずはクロノとの遭遇辺りまでが目標でがんばりたいと思います。

遅れましたが、その場のノリと思いつきだけで構成されている駄文ですが見てくださっている方、ありがとうございます。
これからも、温かい目もしくは生暖かい目で見てくれるとうれしいです。

では、ご指摘やアドバイス、誤字脱字の報告と純粋な感想などお待ちしています。



[9007] 7話?
Name: 獅子脅し◆80b40c8e ID:9b25c541
Date: 2009/08/27 14:32
喋るフェレットに促され変身したなのは現在、

「グオォォォォォ!」
「にゃ!?」

なのはの倍以上ある謎の生物に襲われていた。

『Protection.』

しかし襲われる瞬間、咄嗟に突き出した杖、レイジングハートから変身するときにと同じ声が聞こえるとなのはと謎の生物との間に桃色の防壁のようなものが現れ突進してきた生物を止めなのはの身を守った。
突進をとめられた謎の生物はその反動で体が四散し壁や道路へと突き刺さった。

「今がチャンスです!思念体と化している忌まわしき器を、ジュエルシードを封印してください!」
「ふ、封印って言われても、如何すればいいの!?」

それを好機と見たのかフェレットはなのはに封印するよう言うがやり方が分からないなのはは困惑する一方だった。

「攻撃や防御は心に願うだけで発動しますが、より大きな力を使う魔法を発動させるには呪文が必要になります。心を澄まして心の中に貴方の呪文が浮かぶはずです」

なのははフェレットの言うとおり心を澄ますため目を瞑った。
その間にも思念体は四散した体を集め再生している、そして思念体の再生が終わりなのはへの攻撃と、なのはが行動を起こすのはほぼ同時であった。

「グオォォォォォ!」

思念体は自分の体の一部を触手のように伸ばしなのはへと攻撃をする。

『Protection.』

しかし、思念体の攻撃は、なのはの張った防壁に防がれ、逆にレイジングハートから放たれた線状の光により動けない様縛り上げたられてしまった。
すると思念体の額あたりからⅩⅩⅠの文字が浮かび上がった。

「今です!」
「リリカルマジカル。ジュエルシード、シリアル21、封印!」
『Sealing.』
フェレットの合図になのはが呪文を唱えると幾多の光が思念体を貫いた。
封印魔法を受けた思念体は消え去りその場には、青く輝く石が残されていた。

「あの光っている石がジュエルシードなの?」
「そうです、レイジングハートを近づけて」

ファレットの言うとおりにレイジングハートを近づけるとジュエルシードはレイジングハートへと吸い込まれていった。

『Receipt number XXI.』

封印が終わると服は変身する前の元の服に戻りレイジングハートも宝石に戻りなのはの掌へと収まった。

「おわったの?」
「はい、あなたのおかげで…ありがとう」

フェレットはなのはにお礼を言うと緊張の糸が切れたのかその場に倒れこみ気を失ってしまった。

「ちょっと、大丈夫!?、ねぇ!?」

気を失ったフェレットを気遣うなのはだが、遠くからパトカーと救急車のサイレン音が聞こえてきた。
その音を聞いたなのはは先程まで自分が体験した出来事を思い出し周りを見てみると、そこにはジュエルシードの思念体が暴れた傷跡が残されていた。

「え、え~と、とりあえずごめんなさ~い!」

その場にいるとまずいと思ったなのはは誰かに向け謝罪しながらその場を後にした。

それから数分後その現場に二つの影が駆けつけた。

「ここか」
「これもあの石が原因なのでしょうか?」

駆けつけた男性、ソルは周りの状況を見渡し、もう一人の女性、ディズィーはその傷跡の残る現場を見てソルへと質問した。

「おそらくな、被害がここだけなのは誰かが回収したかぶっ壊したかのどちらかだろう」

そう言うとソルは現場へと歩み寄りコンクリートの破片を回収した。

「何をしているんですか?」
「コレに残留エネルギーがあるかどうか調べる」

そう言って破片を回収するソル。もう少し調べようとするがサイレン音がすぐそこまで迫っていた。

「チッ、帰るか、お前はどうする?」
「私はこのまま、家に帰ります」
「そうか」

ソルはそれだけ言うと来た道を戻り始めた。ディズィーもそるの性格を知っているため何も言わず来た道とは違う道へと歩き始め高町家へ帰った。





side:なのは

『じゃあ、ユーノ君は一人でジュエルシードを探しに来たの?』

わたしは今、念話を使って昨日から一緒に暮らす事になったしゃべるフェレットのユーノ君とお話をしています。
念話というのはレイジングハートを通して遠く離れた人とお話する事が出来る魔法のことで、その念話を使ってユーノ君はジュエルシードの事を話してくれました。
ユーノ君の話によるとジュエルシードはユーノ君の故郷にある遺跡で見つかったもので、手にしたものの願いをかなえる魔法の石なのだそうだ、だけど願いをかなえるために使う力がすごく不安定で、昨日みたいに使う人を探すために石自体が動いて周りの人達を巻き込んだり石を見つけた人や動物たちを取り込んで暴走する事もあるそうだ。
そのジュエルシードを調査団の人達に保管してもらい、保管施設に運んでいる最中に事故に遭い21個のジュエルシードはこの町に散らばってしまったそうだ。ユーノ君はそのジュエルシードを回収するため一人でこの町にやってきたという話だった。

『うん、そうなんだ』
『でも話を聞く限りだとジュエルシードが散らばったのはユーノ君の所為じゃ無いと思うんだけど?』
『でも、アレを見つけたのは僕だから全部見つけてあるべき場所に返さないとダメだから……』

その言葉を聞いて、わたしはその気持ちがなんとなく分かる気がした。

『真面目なんだね、ユーノ君は』
『え?』
『うん、決めた!学校と塾の時間は無理だけど、わたしもジュエルシードを探すの手伝うよ!』
『えぇぇぇ~!?』

わたしの言葉にユーノ君はとても驚いていた。

『で、でも、昨日みたいに危ない事だってあるんだよ?1週間…いや、5日間もあれば力は戻るからそれまで休ませて欲しいだけなんだ。力が戻ったら後は僕一人で何とかするから』
『それはダメだよ。わたし達はもう知り合っちゃったし話も聞いちゃもの、ほっとけないよ』

困っている人がいて、助けてあげられる力が自分にあるなら、そのときは迷っちゃいけない。これはわたしのお父さんの教え。
今のわたしには困っているユーノ君を助けられる力がある、だったら迷わない。

『わたし、ちゃんとした魔法使いになれるかあんまり自信ないけど』
『なのはは、もう魔法使いだよ。僕なんかよりずっと才能のある』
『そうなの?自分ではよく分からないけど』

どうやら私には魔法の才能があるらしいだったら尚更わたしはユーノ君を助けてあげたいと思った。

『だったら色々教えて、わたし頑張るから』
『なのは…、うん、ありがとう』

授業が終わりユーノ君と話しながらもアリサちゃんとすずかちゃんと一緒に帰り、二人とお別れし、わたしは商店街でウィンドショッピングをしながら家に帰ろうとしたその時、すぐ近くで何か不思議な力が起こるのを感じた。

『ユーノ君、今のって?』
『新しいジュエルシードが発動している、すぐ近く!』
『如何すれば!?』
『一緒に向かおう、手伝って!』

その言葉にわたしは頷き、先ずはユーノ君と合流するため走り出した。


Interlude




side:ソル

部屋に戻った翌日、持ち帰ったコンクリートの破片を一通り検査し終え後は検査結果が出るまで暇になった俺は、煙草を買いに町まで出てきた。
煙草屋で何時もの煙草を買い暇つぶしがてら歩いていると長い階段の上から例の石をネズミで実験した時と同じエネルギーの膨張を感じた。
すぐに階段を駆け上がるとそこには大型犬の数倍の大きさはある犬のような生物がいた。

「野良犬でも取り込んだか?」

そんな事を言っているとこちらに気付いたのか威嚇をしながらこちらに歩み寄ってきた。

「相手してやるからさっさと来い、犬」
「グルォォォォォ!」

その言葉を理解したのか分からないが犬は声を上げながら俺へと突進してきた。
俺は犬の頭を掴み突進をとめた。その時以外に力があったのか数メートル後ろに下がった。

「犬の割にはなかなかやるじゃねぇか」

犬は突進を止められた事が分かったのか後へと跳び距離をとった。どうやら取り込まれても考えながら行動できるみたいだな。
犬は間合いを取りながら俺に攻撃するチャンスをうかがっている。

「来ないならこっちから行くぞ」

そう言って俺は犬へと駆け間合いを詰めた。犬もそれに反応し飛び上がり俺に攻撃を仕掛けてきたが俺にはただの的でしかない。

「まぁ、所詮は犬の脳か…オラァ!」
「グオッ!」
「まだいくぜ、ぶっ飛べ!」

俺は犬の顔面に蹴りを放った。蹴りを食らった犬はそのまま地面に落下していくが俺はそんな落下する犬に炎を纏わせた右のストレートを犬の腹にねじ込んだ。

「ギャン!」

俺の攻撃を食らった犬は数メートル吹き飛ばした。起き上がろうとする犬に俺は距離を詰めるため犬に向け飛び上がった。

「終わりだ。バンデェェットブリンガァー!」

ちょうど起き上がった犬の眉間に右の拳をねじ込んでやるとそのまま動かなくなった。。
そして犬は元の姿に戻りすぐそばに例の石が転がっていた。

「16か」

犬に攻撃を叩き込む前に眉間の所にⅩⅥの文字が浮き上がるのが見えた。俺が拾った石は確かⅩⅢの文字が浮かび上がってたな。恐らく石は全部で20近くはありそうだな。まぁ、何個あろうが関係ねぇ、探し出してぶっ壊すだけだ。
さて、さっさと石を破壊して帰るか、実験に使う石は一つありゃ十分だ。
俺は石を拾い空中へ放り投げ法力を少し開放した。

「砕けろ!ダイランレイブ!」

封炎剣が無いため威力は若干落ちるがそれでも石を破壊するには十分らしく石は跡形も無く砕け散った。

「犬の方は生きているようだな。あの石に守られているようなものか」

倒れこんでる犬を見てみると怪我はなく気絶しているようだった。これならアイツも安心して石を破壊できるな。

「帰るか…、いや、その前に一応ディズィーに教えといてやるか」

目的を果たしたため俺は帰ろうとするがその前に士郎の家によることにした俺は駆け上がってきた階段を下り始めた。


Interlude




side out

ソルが神社から立ち去ってから10分後神社の階段にたどり着いたなのはとユーノは合流したときに消えたジュエルシードの気配に困惑していた。

「ユーノ君、ジュエルシードの気配が消えたのはどういう事なの?」
「もしかしたら別の魔導師が封印したのかもしれない…、とにかく急ごう!」

急いぐユーノに続きなのはも神社の階段を駆け上がった。

「ユーノ君あそこ!」

階段を上りきるとなのははとある境内のある一箇所を指差した。クレーターのように窪んでいる地面とその横に犬が横たわっていた。
急いで駆け寄り無事かどうか確かめるなのは、無事生きている事を確認し一安心するなのはは次に横の窪んだ地面を見た。

「コレの犯人ってユーノ君の言ってた魔導師さんが起こしたの?」
「断定は出来ないけどその可能性は高いと思う。もしかしたら、輸送船の事故が人為的なものでジュエルシードを狙っている魔導師がこの世界に来ているのかもしれない」

なのはの問いにユーノは推測しながら答えるがこれ以上考えても答えが出ないため推測するのをやめた。

「とりあえず一旦家に戻ろう、帰ったら今後の事についても考えなくちゃ」
「そうだね、でもこの犬さん如何しよう」

そう言ってなのははいまだ気を失っている犬の方を見る、そんな時耳がぴくりと動き犬が目を覚ました。犬は起き上がり周囲を見渡すと次になのはへと顔を向けた。

「大丈夫?」

なのはが犬に喋りかけると犬はワンっと一声鳴き森の方へ駆けて行った。

「大丈夫みたいだね、さあ僕達も帰ろうか」
「うん」

犬が森の奥へ消えていくのを確認したなのは家へ帰るため階段を下りていった。






あとがき

やっと書けた~!
こんなに遅れてしまってすみません。

バトルシーンが難しすぎる…こんな事でなのはとフェイトの対決やクロノ登場の所が書けるのかどうか心配です。
まぁでも、頑張るしかないですね。

あと、ソル達となのは達のジュエルシードの封印もしくは破壊のバランスをとる為戦力差は置いといて、ソル達はジュエルシードが発動した瞬間その方角と距離を一瞬だけ感じる事が出来るのと、なのは達は発動した瞬間その方角と距離を随時感じる事が出来るようにしようと思ってます。
そうしないと、一方的になってしまいそうなので。
もう少しこうした方がいいと思うというのがあればアドバイスしてくれるとうれしいです。

そんなわけで、その場のノリと思いつきだけで構成されている駄文ですが見てくださっている方、ありがとうございます。
これからも、温かい目もしくは生暖かい目で見てくれるとうれしいです。

では、ご指摘やアドバイス、誤字脱字の報告と純粋な感想などお待ちしています。



[9007] 8話?
Name: 獅子脅し◆80b40c8e ID:4e6a69d0
Date: 2009/11/18 02:07
神社でジュエルシードを破壊したソルは高町家を尋ね今回の出来事で分かった事をディズィーに伝えた。
ソルの話で取り込まれた者達が傷つか無い事が判ったディズィーはホッと胸をなでおろした。

「話はそれだけだ。質問はあるか?」
「少なくともこの石は後17個あるんですよね?」

現在ジュエルシードはソルが実験のため所持している1つ、神社にてソルが破壊した1つ、昨夜なのはが回収した1つ、ソル達はなのはが回収した後の傷跡しか見ていないがその傷がジュエルシードによって出来たと断定している。

「そうだ、お前は如何する」

ソルはディズィーに今後如何するのか質問した。

「…私もこの石を探してみます」

少し考えた後ディズィーはそるの質問に答えた。ソルは答えを聞くとそうか呟くと寄りかかっていた壁から離れた。

「話はそれだけだ、用があるときはまた呼ぶ」

そう言ってソルはディズィーの部屋から出て行った。
高町家を後にし自室がある月村家へ帰ろうとすると向こうからなのはが歩いてきた。

「あっ、ソルさんこんにちは、来てたんですか?」
「あぁ」

ソルを見つけたなのははソルへと駆け寄り笑顔で挨拶をした。
返事をしたソルはなのはの肩に動物が乗っているのに気づいた。

「お前のペットか?」
「はい、ユーノ君って言います。あ、ディズィーさんにユーノ君のこと紹介してなかったんだ」
「アイツは動物好きだ、じゃあな」

そう言ってソルはなのはの頭に手を一度置き月村家へと向かった。

ソルと別れ家に戻ると玄関でディズィーと鉢合わせた。

「あ、なのはチャンお帰りなさい」
「ただいまディズィーさん、あっ、紹介しますねこの子フェレットのユーノ君って言います」

ソルに言ったことを思い出しユーノを紹介するなのは。

「かわいい、触れてみてもいい?」
「いいですよ」

なのはの了解をディズィーはユーノを優しくなで始めた。撫でられているユーノはその心地よさに目を細め、ディズィーもそんなユーノを見ながらなで続けた。ディズィー微笑んだ表情を見たなのははその顔に見惚れていた。
そんな視線に気付いたディズィーはユーノを撫でるのをやめなのはに顔を向けた。

「如何したのなのはちゃん、私の顔に何か付いてる?」
「ううん、ディズィーさん綺麗だなぁとおもって」
「ありがとう、私は少し用事があるから出かけてくるね」
「わかりました」

そう言ってディズィーは外へと出かけていった。
そんなディズィーを見てなのはは何故綺麗だといったのに悲しそうな笑顔で感謝するのか疑問に思った。




side:ディズィー

高町家を出て私はまっすぐいつもの場所、私とあの人が最初にこの世界に来た場所へ来ていた。ここは私が者の姿でいられる場所のひとつ。高町家でも元の姿で居られる事も出来るが、条件としてなのはちゃんが居ないときと限られている。
到着すると山のあちこちからリスや猫、小鳥などの動物達が続々と姿を現し私の方へと集まってきた。最初の頃は警戒されていたが、何度も来るうちに段々と近づいてくれる様になり、今では肩や膝の上に乗るまで気を許してくれるようになった。

そんな落ち着く時間を過ごしている中で私は先程なのはちゃんに言われた言葉を思い出した。

――ディスィーさん綺麗だなぁと思って――

そうなのはちゃんに言われた。でも私はそんな綺麗なんて言われる資格が無いと思ってしまう。この両手、いや全身は様々な人の血で染まっている。
直接手を下したのは数万人、私の指揮下にあったギアを使った間接的な方法では数える事すら出来ないほどの人達を手にかけた。
そんな事を知ったらなのはちゃんは私を如何思うだろうか。士郎さん達の様に受け容れてもらえるだろうか。
そこまで考えて私は首を振り考えるのをやめ桃子さんの教えてくれた言葉を思い出した。

――ディズィーちゃん、別に万人に受け容れてもらわなくていいの、あなたが受け容れて欲しいと思った人達だけに受け容れてもらえればいいのよ――

その言葉を聞いたとき私は泣いてしまった。前の世界に居たとき何故その事を考えなかったのか、ジェリーフィッシュ快賊団のみんなは私を受け容れてくれて更に家族のように接してくれた。いや、実際高町家のように血は繋がっていなくとも強い絆で結ばれた家族だった。そんな居場所を私は自らの手で手放してしまったのだ。
その事を桃子さんに話すと私を抱きしめながら私に話してくれた。

――そう、なら今度はその居場所を決して手放さないようにしましょう。その事に気付けた貴方ならきっと出来るわ――
――そんなこと私に出来るでしょうか?――
――大丈夫、出来るわ貴方なら。でも、これだけは守って頂戴、一人で抱え込まないで必ず誰かに相談する事――

そうだ、昔の私だったら一人で抱え込んでたかもしれないけど、今の私には相談できる人が出来た。
私の間違いを気付かせてくれた桃子さんに士郎さん、私の精神年齢に近い忍さんや美由希さんもいる無口だけど恭也さんもきっと相談に乗ってくれるだろう。
だから大丈夫。きっとなのはちゃんも受け容れてくれるに違いない、だってあの人達の家族なのだから。
其処まで考えると急に眠気が襲ってきた。私はネクロとウンディーネに30分後に起こしてと頼み目を閉じ意識を眠りの底へと投げ出した。
そんな時、私はもう一人私の悩みを解決してくれた人を思い出した。
ソル=バットガイ。彼は私と敵対していたはずなのに高町家へ住まわせる事や制御装置などと作ってくれたりもした。何故其処までしてくれるのだろうか?
前に聞いたときは3、4年しか生きてない私に不幸だといわれるのが気に食わないといっていたけど本当にそうなのだろうか?今度聞いてみよう。
底まで考えると私は完全に意識を手放し眠りについた。


side out


ディズィーが眠りに付いた後、周囲を警戒しながらも彼女の寝顔を見守る二体のギアその内の女神の姿を象ったギア、ウンディーネが口を開いた。

「ねぇ、ネクロ、今のディズィー、あの頃より表情が柔らかくなったと思いませんか?」

ウンディーネはディズィー顔から目を逸らし死神の姿を象ったもう一体のギア、ネクロに顔を向け問いかけた。

「サァナ、俺ニハ表情ノ違イガ分カラン。ダガ、アノ頃ノヨウニ笑ウヨウニナッタトハ思エルナ」

ウンディーネの問いに答えるネクロ。
二体の言うあの頃とは、ディズィーがジェリーフィッシュ快賊団に入っていた頃の事を指している。

ウンディーネはネクロの答えに納得したのか再びディズィーの顔を見た。

「なら、私達が守らなければなりませんね。この子の幸せを」
「俺ハ戦エルホウガ良インダガ・・・マァ、少シナラ我慢シヨウ、戦ウナラアノ男モ居ルカラナ」

この二体にとってディズィーは、子であり、親であり、姉であり、妹であり、自分自身であり、何より家族である。
そんなディズィーの寝顔をネクロとウンディーネは起こす時間が来るまで互いの文句や高町家のことを話しながら見守り続けた。


Interlude





ディズィーを見送ったなのはととユーノは、自室に戻って話あっていた。

「ユーノ君は始めて会ったよね、外であったのがソルさんでさっきの綺麗な人がディズィーさん、ディズィーさんはこの家に一緒に住んでるの」
「そうなんだ、ソルって人の方はなんだか怖そうな人だね」
「にゃはは、あんまり否定は出来ないけど優しい人だよ、さっきだってディズィーさんのこと教えてくれたし」

ユーノの言葉に苦笑いを浮かべるも少しだけ否定しておくなのは。

「それじゃあ気を取り直して今後の事について話し合おうか」

先程までの話を中断してジュエルシードのことについて話し始めたユーノ、なのはも真剣な顔つきになりユーノの話を聞き始めた。

「はのな、これからはは魔導師を相手にするかも知れない、そのために対策を練っておこうと思うんだ」
「うん、でも対策って具体的にどんな事をするの?」

ユーノの発言になのはは詳細を尋ねる為に質問した。

「魔法のバリエーションを増やすんだ。主に攻撃と防御のね」
「バリエーション?」
「そう、色々な魔法が使えればその時の状況や相手の戦闘方法に対応できるからね」
「そうだね…あっ、でもわたし魔法の事全然分からないよ」

意気込むなのはだったが自分が魔法の知識が皆無だったことに気付き気落ちする。

「それは僕が教えてあげる。でも攻撃魔法は得意じゃないからどんな魔法があるかだけになってしまうけど」
「ありがとう、ユーノ君!」

ユーノの言葉にやる気を取り戻したなのはは早速ユーノに魔法のことを教わり始めた。

ユーノは先ず攻撃魔法の分類とその特徴をなのはに教え始めた。
攻撃魔法は主に砲撃魔法、広域攻撃魔法、射撃魔法、近接魔法の4つに分ける事が出来、砲撃魔法は魔力をダイレクトに放出する一番シンプルな魔法といわれているがその威力は絶大であり相手を一撃で倒す事が出来る可能性を持つ魔法である。しかし、その反面隙が出来やすく使いどころが難しい魔法でもある。
広域攻撃魔法は、砲撃魔法が単体の目標に対して使われる魔法なのに対し、広域攻撃魔法は複数目標を対象とし、効果範囲全てを攻撃する魔法だという。
射撃魔法は魔導師が使う攻撃の基本魔法であり威力は砲撃魔法、広域攻撃魔法には劣る。しかし、この魔法の最大の特長はバリエーションの多さにある。少量の魔力で威力を上げることが出来たり、プログラムを変えることで複数同時射撃、連射、誘導弾化にもすることが出来る。
最後の近接魔法は、手足やデバイスに魔力を付与し相手へ直接打撃や斬撃を行う魔法である。この魔法は近距離戦闘技術が必要不可欠になってくる。ミッドチルダの魔導師は、中、遠距離を主流とするため使用者は少ない。

「攻撃魔法に関してはこれぐらいかな、何か分からない事はある?」
「にゃはは…、途中から何言ってるのか全然分からなかった」

ユーノの質問になのはは苦笑いしながら答えた。

「まぁ、最初から無理をする必要は無いと思うから少しずつ魔法の特徴を覚えていこう、次の休みの日にでも実際に魔法を使いながら覚るのもありだからね」
「うん!ユーノ君わたしがんばるよ!」
「うん、頑張ろうなのは」

ユーノの言葉になのははやる気を出し、ユーノもなのはの言葉に頷いて答えた。






あとがき

パソコンの突然の青画面ってこわいですよね。

ども、先ずはこんなに遅れてしまってすみません。
パソコンのトラウマ青画面から復帰して書き終えたら二ヶ月以上の空きというね。
そんなこんなで何とか書き上げました。
あんまり物語り進んでませんが次回の更新でフェイトあたりを出そうかなと考え中です。

さて、少々皆さんにお聞きしたいのですが、次の更新の時にこの作品をとらハ板のほうへ移そうと思うのですがどうでしょうか?
タイトル一切考えてないですけど良いですかね?やっぱ考えないとダメでしょうか?
まぁ、其処の所も意見をくれるとうれしいです。

そんなわけで、その場のノリと思いつきだけで構成されている駄文ですが見てくださっている方、ありがとうございます。
これからも、温かい目もしくは生暖かい目で見てくれるとうれしいです。

では、ご指摘やアドバイス、誤字脱字の報告と純粋な感想などお待ちしています。



[9007] 9話?
Name: 獅子脅し◆80b40c8e ID:e8d24a81
Date: 2010/04/06 03:12
ソルとディズィーが海鳴市にやってきて、なのはが魔法の力を手にし互いにジュエルシードを探し始めてから、1ヶ月が過ぎようとしていた。

今現在まででソル及びなのはが所有もしくは破壊したジュエルシードの数は5つ、内3つはなのはが所有しており残りの2つの内1つはソルが破壊し、もう一つは所有している。
ソル達よりもなのはの方が発見数が多いのはソルとディズィーの持つ力がなのは達の持つ力と異なるためである。
しかし、なのは達の方がジュエルシードを探すのが有利といっても発動しなければ感知する事が出来ない。
そして、ここ数週間全く発動もしていないジュエルシードを探すのは困難を窮め、なのは達とソル達の捜索は滞っていた。

そんなある日、ディズィーとなのは、それに恭也は月村邸へと来ていた。
なのはは親友のすずかとアリサのお茶会に誘われ、恭也はその付き添いと称して恋人の忍に会いに、ディズィーは1ヶ月前にソルと約束していた手合わせをしにそれぞれやって来た。

「恭也様、なのはお嬢様、ディズィー様。いらっしゃいませ」
「あぁ、お招きに預かるよ」
「「こんにちは」」
「どうぞ、こちらです」

出迎えたノエルに案内された部屋には、すずかとアリサ、それに忍が、多くの猫に囲まれながら紅茶を飲んで雑談していた。

「あ、なのはちゃんいらっしゃい」
「おはよう、なのは」
「おはよう、すずかちゃん、アリサちゃん、今日は誘ってくれてありがとう」

なのは達に気付いた3人はそれぞれ挨拶を交わしていたとき、ディズィーは自分の目当ての人物がいないのに気付き側にいたノエルに質問した。

「あの、ノエルさん、ソルさんは何処に?」
「ソル様でしたら…」

ノエルがディズィーの質問に答えようとした瞬間―――

ドンッ!

―――と大きな音がしたと共に家が地震の起きたときのように揺れた。

「「「きゃあ!」」」
「な、何だ!?」

突然の揺れに驚くディズィー達、恭也はいつでも動けるよう身構える。しかし―――

「大丈夫よ恭也、この揺れの原因はソルさんだから」
「は?」

―――そんな恭也を見ながらしれっと答える忍、そんな忍の答えに月村家の者達とディズィー以外は呆然としていた。

「よく平然としていられますね」

そんな忍を見てアリサは顔をひきつらせながら質問した。

「初めてじゃないからね。同じ事が続けば流石になれるわ」

そんな答えにアリサとなのはは笑うしかなかった。

「そう言う事だからみんなも気にしなくていいわ、多分揺れはもう起きないと思うから、さぁ折角のお茶会なんだからお茶にしましょ、ノエルお願いね」
「かしこまりました。恭也様、なのはお嬢様、ディズィー様何かご希望はございますか?」

そんななのは達をよそに忍はノエルにお茶の用意を頼みノエルも本来の自分の仕事に戻っていた。

「はぁ、任せるよ」

そんな恋人を見て恭也はため息を吐きながらも構えを解いた。

「なのはお嬢様とディズィー様は如何なさいますか?」
「わたしもお任せします」
「私は少し甘めのものをお願いします。・・・・・・それと」
「ソル様ですね、お伝えしておきます。ファリン」
「はい、お姉さま」

ノエルに呼ばれたファリンはノエルの隣へと歩み寄る。

「私と恭也は私の部屋に居るから。ディズィーちゃんも一緒に来ない?」
「あ、そ、その、いいんですか?お二人は・・・その」

忍の誘いにディズィーは二人の邪魔にならないか遠慮がちに質問した。

「いいのよ、それに聞きたい事もあるからね」

そんなディズィーに忍は遠慮するなと言わんばかりに答えた。

「そうですか、ならお邪魔します」
「ではディズィー様の分もそちらにお持ちいたします」

その言葉を聞いたディズィーは一緒に行くことを承諾し、それを聞いたノエルはディズィーの分を忍の部屋に運ぶと伝え隣にやってきたファリンとともに深くお辞儀すると部屋から出て行った。

「おはよう」

なのはは椅子の上に陣取っている猫をどかしながらすずかとアリサに挨拶をし席についた。

「おはようなのは、あの人が前になのはが言ってたディズィーさん?」

アリサはディズィーのほうを見ながらなのはに質問した。
そんなはアリサの視線に気付いたのかディズィーはアリサに向かって深々とお辞儀をした。そんなディズィーに驚きながらも会釈を返すアリサ。

「そうだよ、そういえばアリサちゃんは会うのは初めてだったね」
「えぇ、それとこの家に居るって言うソルさんにもね」
「ソルさんは自分の部屋からあまり出てこないから家に居る私やお姉ちゃんも余り会えた事が無いの」

アリサの言葉にすずかは困ったように笑いながら答えた。
実際ソルは与えられた地下の部屋を勝手に改造し外への出口も勝手に作っている。その事を知っているのは直接部屋を訪ねることが出来るノエルと当主の忍の二人だけだ。
そんな居候二人の話をしているとなのは達の足元から部屋に多くいる猫とは違う動物の鳴き声が聞こえた。その声の聞こえた方を見てみると。
ユーノが子猫から全力で逃げている光景だった。

「ユ、ユーノ君!?」
「ア、アイン駄目だよ!」

そんな注意を聞くわけが無くアインと呼ばれる子猫はユーのを追いかけ続け、ユーノは捕まらないよう全力で逃げ続けた。
そんな時部屋のドアが開きファリンが紅茶を持ってきた。

「はーい、お待たせしました。イチゴミルクティーとクリームチーズクッキーでーす」

しかし、タイミングが悪くユーノとアインがファリンの周りを駆け回りファリンはユーノ達を踏まないようとする。だがそれも長く続かず目を回したファリンが倒れそうになる。

「ファリン、危ない!」

それに気付いたすずかとなのははファリンを支えようと駆け寄るが間に合わず紅茶の入ったポットやクッキーの乗ったお盆を上に放り投げ転びそうになった時。

「何やってんだテメェ?」

ファリンの転びそうな時に歩いてきたソルは、右手でファリンを猫の首根っこを掴むように持ち上げ、左手でポットとお盆を掴みポットとクッキーの乗った小皿だけ落ちる前にお盆に乗せ他の小皿などは無視した。そのため小皿などは割れはしなかったが大きな音を立てて床に落ちた。

「「ソルさん!?」」
「・・・はっ、ふわぁぁぁぁ!ソ、ソ、ソルさん!?ごめんなさ~い!」
「(うるせぇ)」

なのはとすずかは突然のソルの登場に驚き、目を回していたファリンは自分を持ち上げていたソルに驚きながら大声で謝った。
ソルはファリンが回復したのを確認し首根っこを掴んでいた手を離し、掴まれていたファリンは突然の事で着地できずが出来ずカエルが潰されたような声を出しながら尻餅をついた。

「ほらよ」

自ら落としたファリンを完全に無視しなのはに持っていたお盆を渡しその場から立ち去っていった。

「今の人がソルさん?なんだか怖そうな人ね」

ソルをはじめてみたアリサはその第一印象をはっきりと口に出してなのはたちに聞いた。
それを聞いたなのはは苦笑いを浮かべながら、優しい所もあるんだよと、一言付け足しておいた。

ソルが立ち去ってから少しした後、気を取り直してお茶会を再開したなのは達、学校の事や月村邸に覆う繰る猫についてなどの話をしている時、近くでジュエルシードが活性化する気配をなのは達は感じ取った。

『なのは!』
『うん、すぐ近くだ』
『如何する?』

ユーノの言葉になのはは目の前にいる親友二人を見て如何するか迷っていた。すぐに行動に移れば二人に怪しまれついて来られるのは目に見えている。嘘をついて行動しようにもなのはには、この場を離れる為の嘘がすぐに思いつかなかった

『そうだ!』

そんななのはを見たユーノは突然乗っていたなのはの膝の上から飛び降りジュエルシードのある森の方へと駆け出した。

「ユーノ君?」
「あらら?ユーノどうかしたの?」

ユーノが森の方へ駆け出すのを見たアリサはなのはに尋ねた。なのはも突然の事に一瞬混乱するもすぐにユーノの行動を理解し行動に移した。

「うん、何か見つけたのかも、ちょ、ちょと探してくるね」
「一緒に行こうか?」
「大丈夫、すぐ戻ってくるから待っててね」

嘘をつくことが苦手ななのははどもりながらではあるがユーノを探すフリをしてジュエルシードがある森の方へと行こうとする。
そんななのはを心配してすずかは同行しようとするがなのははそれを断りユーノのかけていった方へと走り出した。

ユーノに追いついたなのははジュエルシードの所へ急ぐが一歩遅く発動した気配を感じ取った。

「!」
「発動した!?」
「ここだと人目が、結界を作らなきゃ!」
「結界?」

ユーノの言葉になのはは聴いたことの無い単語だったため聞き返した。

「最初に会ったときと同じ空間、魔法効果の生じている空間と通常空間との時間進行をずらすんだ。僕が少しは得意な魔法」

なのはに説明をしながら結界を作る為に集中するユーノそして目の前に魔方陣が現れ発動しようとする次の瞬間、月村邸の別の場所でもう一つのジュエルシードが発動する気配を感じ取った。

「え!?嘘!?もう一つあったの!?」
「さっきのジュエルシードが近すぎて気付けなかった、だけど結界の範囲内にはあるみたいだ。このまま結界を発動するよ」

そう言ってユーノは結界を発動すると、魔方陣を中心に周りが灰色の世界えと塗り替えられていく。
そして結界が張り終わったのと同時に目の前に高さが10メートルは超えるほど大きくなった、先ほどユーノを追い掛け回していた猫のアレンが現れた。

「にゃおぉぉぉん」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

その光景に声を失うなのはとユーノ。

「あ、あれは?」
「多分、あの猫の大きくなりたいって思いが正しくかなえられたんじゃないかなと」
「そ、そっか」

目の前の光景に一気に緊張を削がれるなのは達だったが、もう一つジュエルシードが発動した事を思い出しすぐに頭を切り替えた。

「と、とにかくなのははこの子に付いたジュエルシードを封印して。僕はその間にもう一つの所にいって時間を稼ぐから」
「う、うん、わかった。気をつけてね」
「なのはもね」

お互いに声を掛け合うとユーノはもう一つのジュエルシードの所へ駆け出した。






ジュエルシードが発動する少し前忍の部屋に着いたソルは忍達と話していたディズィーを呼び早速手合わせをするため地下の自室へ来るよう言うと、それを聞いた忍が。

「私達も見てもいい?」

と、同行しようとしソルに求めるがそれを聞いたソルは。

「邪魔だ、この部屋で乳繰り合ってろ」

と、ばっさりと切り捨てディズィーをおいて先に自分の部屋へと向かっていった。そんなソルを追いかけるためにディズィーは席を立ち忍達にごめんなさいと一言謝ってから部屋を後にした。
そして、地下の部屋に着き早速、手合わせをするために当主の忍に許可無く勝手に造った更に下の階にある部屋に行こうとしたときジュエルシードの発動する膨大な力を感じ取った。

「っ!ソルさん!」
「チッ!一旦手合わせは止めだ、破壊しに行くぞ」
「はい」

そう言って地上に出ようとしたその時もう一つのジュエルシードが発動した力を感じ取った。

「めんどくせぇ、おいディズィーお前は最初に発動した方に行け。俺はもう一つの方へ行く」
「分かりました」

そう言ってディズィーは地下に来た扉へ向かおうとするがソルに呼び止められた。

「正面にはガキ共がいる。姿を見られたくないんならこっちだ」

そう言ってソルは部屋の隅にあるもう一つの扉の方へと歩き出しその扉の横のスイッチを押した。

「エレベーターですか?」
「あぁ、これでこの邸の裏に出られる」

ディズィーの質問に短く答えるとソルはエレベーター内のボタンを押しディズィーと共に地上へ上がった。

地上へ出ると其処はソルの言った通り月村邸の裏側だった。

「私はあっちの物を破壊してきます」
「あぁ」

ディズィーは本来の姿に戻り空を翔けた。

「行くか」

ディズィーを見送った後、ソルは首の骨と指の骨を鳴らしながらもう一つのジュエルシードがある方へと歩き始めた。






ユーノと別れたなのははジュエルシードを封印するためレイジングハートを掲げ変身しようとした時、後方からなのはが使う魔導弾と同系統のものが大きくなったアインを襲った。

「えっ!?」

突然の事に驚きながらもなのはは魔導弾の飛んできた方向に目をやると後方約50メートルぐらいの電信柱の上に遠くて見えないが何者かがいるのが見えた。

「バルディッシュ、フォトンランサー連撃」
『フォトンランサー、連続射撃開始』

その人物は、杖に向かって一言呟くと杖からレイジングハートと同じ無機質の声だが少女の持つ杖は男性の声に近い音声が流れたそれと同時に杖の先に魔力の塊が現れそこから先ほどと同じ魔導弾が数発連続して放たれアインを襲った。

「レイジングハート!お願い」
『スタンバイ・レディー、セットアップ』

その人物が攻撃してきたのを確認するとなのははアインを守るため変身し、その背中に飛び乗り襲い掛かる数発の魔導弾へとレイジングハートを掲げた。

『ワイドエリアプロテクション』

レイジングハートの声が流れると同時になのはの目の前に防壁が張られ襲い掛かる魔導弾を防ぐ事に成功した。

「・・・魔導師」

攻撃した主は自分の攻撃を防いだのが自分と同じ存在だと分かると魔導弾の狙いをアインの足元へと変えた。

「にゃおぉぉん!」
「うわぁ!」

その攻撃にアインは体制を崩し倒れてしまう。背中に乗っていたなのははすぐにその場から飛び去り地面絵と着地しすぐにレイジングハートを構え次の攻撃に備えた。
するとなのはの目の前の木に、先ほどの攻撃した主が飛び降りて来た。その姿は長い金髪を左右で縛りツインテールにしたなのはと同い年ぐらいの少女だった。

「あ・・・・・・」
「同系の魔導師ロストロギアの探索者か・・・そしてバルディッシュと同系のインテリジェントデバイス」

なのはは攻撃してきた犯人が自分と同い年ぐらいの少女だという事に驚いていた。一方金髪の少女は攻撃を防いだなのはを自分と同じ魔導師と冷静に分析していた。

「ロストロギアジュエルシード、申し訳ないけど、頂いて行きます」
『サイズフォーム、セットアップ』

少女はジュエルシードを貰うとなのはに宣言する。するとバルディッシュと呼ばれた杖は宝石が埋め込まれている所が大きく横に開きその宝石を中心に刃のような魔力の塊が現れ、杖から鎌へと姿を変えた。
そして少女はその鎌をかまえなのはへ襲いかかろうとした瞬間、周囲に見慣れない青い大きな口を持つ貝のような物が数十体現れ次の瞬間その口から少女となのはに向けてレーザーを放った。

「くっ!」
「きゃ!」

しかしそのレーザーはなのは達を掠めるようにしてなのはたちを足止めしすぐ後に猫に向かって一つの大きな魔力とは違う力が倒れているアインへと直撃した。

「猫さん!」

なのはは猫が無事かどうか確かめようとするが土煙で無事かどうか確認がすることが出来ずにいた。そして暫くして土煙が収まると、そこには目立った外傷は見られないが元の大きさに戻り気絶して横たわっているアインと、そのアインの願いをかなえたジュエルシードが浮かんでいた。
ジュエルシードを確認した少女はすぐに封印しようと近づくが今度は氷の刃が少女の進行方向へと降り注ぎ足止めをする。

「すみませんが、その石は私が破壊させてもらいます」
「何者だ!」
「え?この声・・・」

少女は声のした方向を叫びながらにらみ付け、なのははその声が自分の聴いたことある声に気付き声の方へと顔を向けた。
そして其処にはゆっくりと上空から降りてくる白と黒の羽を持ち合わせたディズィーの姿があった。






「アイツをあっちに行かせて正解だったな」

場所は変わってもう一方のジュエルシードの発動した場所へたどり着いたソルは目の前の光景を見て呟いた。
ソルの目の前にはソルの身長の2、3倍はある蜘蛛がソルをにらみつけていた。

「さて、さっさと終わらせるか」

そう言うとソルは蜘蛛を攻撃するため近づこうとした。

「あんたにゃ悪いけどその役目私に譲ってもらうよ」

しかしその瞬間は以後から聞こえる声とともに何者かがそるに襲い掛かった。ソルはすぐさまバックステップで交わすと其処にはオレンジ色の毛並みをした大きな狼ガ現れた。

「何のつもりだ?」
「コイツがでかっくなった原因の石は私等が集めてるもんだ、悪いけど譲ってもらうよ」

ソルの質問に狼は簡単に答えるとソルを無視して蜘蛛に襲い掛かった。

「させない!」

しかしその狼に向かって今度は草むらから緑色の鎖状の何かが飛び出し狼を縛り上げた。そして草むらから出てきたのはユーノだった。

「喋る犬の次は喋る末子のペットか・・・、まあいい、俺の邪魔するんだったら潰す」

そう言ってソルはゆっくりと三匹に向かって歩き始めた。






あとがき

ずいぶんと時間がかかりましたがとりあえず書けました。
見切り発車って怖いですね一切内容が思いつかない。

そして書き終わった時間が午前三時眠いので感想返しや修正は後日行い今日はただ上げるだけにします。
申し訳ない。

あ、皆様に言われたとおりタイトル付けてみました「似て非なる世界に落ちた太陽と月」
う~ん微妙なタイトルだ。そんなこんなで更新は遅いと思いますが完結目指してがんばります。

そんなわけで、その場のノリと思いつきだけで構成されている駄文ですが見てくださっている方、ありがとうございます。
これからも、温かい目もしくは生暖かい目で見てくれるとうれしいです。

では、ご指摘やアドバイス、誤字脱字の報告と純粋な感想などお待ちしています。



[9007] 10話?
Name: 獅子脅し◆80b40c8e ID:5f446167
Date: 2011/07/10 01:10
「(何故?如何して?)」

目の前にいる人物を見た時、ディズィーの頭の中を様々な疑問の言葉が嵐のように飛び交っていた。
彼女にとって目の前の人物はそれほどまでに自分のいる暗い裏世界に程遠い存在だった。
確かにその者の父親や兄、姉は裏の世界に関わってはいるものの、そのものには一切裏の世界のことなど教えていなかったはずだ。

「ディズィーさん?」

目の前の人物、高町なのはには。






「(しっかりしなさい!)」

そんな中パニックに陥っていたディズィーを現実に戻したのは彼女の片割れの一体であるウンディーネだった。

「(ウ、ウンディーネ…)」
「(詮索するのも正体を明かす事も後で出来ます。ですから先ずは目的遂行に集中しなさい)」
「(そ、そうね)」

ウンディーネの言葉を聞いて若干気を落ち着かせたディズィー。しかしその表情には正体を明かす事への恐怖と受け入れてもらえるかわからない不安が隠せずにいた。

「(大丈夫、桃子の言葉をお忘れですか?)」
「(…桃子さんの?)」
「(あなたが、彼女達を傷つけたくないと思う限りあなたの家族でいると。そんな事を言う人の娘ならばきっとあなたを受け入れてくれるはずです)」

その言葉を聞いてディズィーは高町家での出来事を思い返した。
身元も明かしていないディズィー達を何の躊躇も無く家に迎え入れ、さらに正体を知った上でディズィーを家族だと言って受け入れてくれた。
目の前にいるのはそんなおかしな人たちの娘なのだ、そう思うとディズィーの表情から先ほどまであった恐怖や不安などの負の感情は瞬く間に消えていき、覚悟を決めた表情へと変わっていた。

「なのはちゃん」
「は、はい!?」

ディズィーはいまだ状況が飲み込めていないなのはに声をかけた。
そんななのはは、急に声をかけられたことで驚きながらも返事をする。

「後で必ず話すから少しだけ待ってて」
「え?それって…」

それだけ言うとディズィーはもう一人の人物へと意識を向けた。

一方、もう一人の魔法少女、フェイトは、ディズィーが現れてからその場を一歩たりとも動かなかった。
正確には動けなかったと言った方が正しい。
だが、決して彼女達に隙が無かった訳ではない。実際、なのは、ディズィー共にお互いの顔を見たときは驚愕を露にして一時的にファイトの存在を完全に忘れていた状態になっていた。それなのにフェイトがその場を一歩たりとも動けなかった理由があった。
その隙だらけな状態のディズィーから異常な殺気が放たれているのだ。しかもなのはがその殺気に気付いていない事を察するにその殺気はフェイトのみに向けられているのだ。
その殺気はフェイトをその場に縫い止めいた。そしてその殺気を放っている正体はディズィーを守護するネクロであった。

「(…どうする)」

そのネクロの殺気に困惑しながらも何とかしてこの状況から抜け出しジュエルシードを入手する方法模索していた。
そのため、先ずフェイトは自分に放たれている殺気の正体を考え始めた。

「(殺気は間違いなくあの魔導師から放たれている。でもあの人自身じゃない、だとするとあの羽から?デバイスのようにも見えない、もしかして意思を持つロストロギアか何か…)」

検討するも答えの出ないことからロストロギアの類と結論付けるフェイト今度はディズィーの戦闘スタイル

「(さっきの攻撃はおそらく直射型射撃魔法。素手の状態からしておそらく中~遠距離戦を主とする魔導師。でも、ロストロギアの類を使用してることから近接戦も出来る可能性はあるはず)」

相手のスタイルを予測するフェイト。そして粗方の模索を終え自分を縛り付けていた殺気による束縛を無理矢理引き剥がし一気ディズィーへと迫った。それはディズィーがなのはからフェイトへと意識を向けたのとほぼ同時だった。






フェイトに視線を向けたディズィーは迫ってくるフェイトにすぐさま対応した。
ディズィーは二つの丸い球体を生み出し真上へと放つとその球体は刃となりフェイトへと飛来する。

『フォトンランサー』

その刃に向けてフェイトも同じ数の魔法で対応する。その攻撃は互いにぶつかり合い相殺する。そのことを確認する前にフェイトは次の行動に移していた。

『アークセイバー』

バルディッシュを鎌の形状に変えその刃を―

「せいっ!」

地面に叩き付けた。
金の牙は地面を穿ち、地面はフェイトを覆い隠すように土煙を上げる。しかしフェイトはそれだけでは終わ無かった。

「セイバーブラスト」

その一言で地面に噛み付いていた牙は爆発を起こしその場にいる全員を土煙で包み込んだ。

「………」

その土煙が上がる視界ゼロの中でディズィーは目を閉じていた。
前の世界にいたときは暗闇の中で戦うことはごく普通のことだった。時間、場所、それら全てが一切関係なく奇襲、闇討ち、都市一つを犠牲とし消滅させる犠牲殲滅、さまざまな状況下での戦闘を有り得ない密度で経験した。ディズィーはそれら全ての対応法を実戦の中で頭に叩き込んできた。
そんな中での現在の状況、彼女にとっては何の障害にもならなかった。ディズィーは感覚を研ぎ澄ませ、足から伝わる地面の振動、相手が動く際に起こる気流の乱れや僅かな呼吸音などを聞き感じ取りフェイトの動きを読む。
そして、背後から現れたフェイトはバルディッシュでディズィーの脚を刈ろうと振るうがディズィーはその攻撃を跳んでかわす。しかし、フェイトの攻撃は振りぬくと同時に攻撃目標を変えていた。刃の部分が振り抜くと同時にバルディッシュから離れたのだ。
"アークセイバー"フェイトの使う射撃魔法の一種であり、魔力斬撃用の圧縮魔力の光刃を発射し、その刃は高速回転しながら相手に飛来する。発射後、特定のキーワードで爆発によるダメージを与えることも可能。先ほどの土煙を上げたのはこの攻撃方法による現象だった。
そして、その魔法の向かう先にはなのはがおり、しかも土煙の上がる視界の悪い状況下でなのはは自分に迫りくる脅威に気付いていない。それに気付いたディズィーはすぐさまなのはの元へと翔ける。刃を追い抜きなのはと刃の間へと体を滑り込ませる。

「ディズィーさん!?」
「そこから動かないで!」

なのはは突然目の前に現れたディズィーに驚くが、ディズィーはそんななのはを無視しその場から動かないよう言うとネクロに指示を出す。
それに応えるようにネクロは羽の状態から人型に姿を変え手に巨大な斧を持ちそれを一気に迫りくる刃に向けて振り下ろした。ネクロの一撃はフェイトとの放った射撃魔法を四散させるだけの止まらずなのは達を包んでいた土煙すら吹き飛ばしていた。
ディズィーはすぐさまなのはの無事を確認し周囲を見回しフェイトの事を探すとジュエルシードに向かっているのを確認した。

「させない、ネクロ!」

それを確認したディズィーはフェイトの行為を妨害しようと動き出しネクロに指示を出す。
するとネクロが持っていた斧を消し両方の先端に刃のついた燃盛る鎌が出現しそれをフェイトに向かって投げ飛ばした。
その鎌は回転しながらフェイトに迫る。それに気付いたフェイトは振り返りざまに魔法弾を放つが高速回転する鎌は魔法弾を切り裂きフェイトに迫る。

「くっ!」
『ディフェンサー!』

回避しようとするフェイトだったが、予想以上の速さに回避が間に合わない。しかし、バルディッシュが自動詠唱によるバリアタイプの防御魔法を展開し鎌をバリアを削られはするものの、軌道をずらす事に成功する。だが、今度はディズィーが眼前まで迫り、手を巨大な剣へと変形させ振り抜こうとしていた。

「バルディッシュ!」
『ラウンドシールド!』

ディズィーが眼前まで迫っていたことに驚きつつも盾型の防御魔法を展開するフェイト。

「はぁ!」
「ぐっ、あぁ!」

一瞬耐えるも、体勢が不十分なため吹き飛ばされてしまう。何とか体勢を立て直しディズィーへと顔を向ける。

「ごめんなさい、少しの間寝ていてください」

ディズィーが一言言うと今度はウンディーネが羽から人型へと姿を変え、その手から数十の氷の球体と大きな口のついた二枚貝のような生物を生み出し、球体が刃へと変形した後、それら全てがフェイトへと放たれディズィーもそれらと共に腕を先ほどフェイトを吹き飛ばした剣に変形させフェイトに迫った。

「バルディッシュ!ラウンドシールドフルパワー!」
『ラウンドシールド・フルパワー』

フェイトは回避できないと覚ると封印と逃走、少しの射撃魔法に必要な魔力を残し、残り全てを使い防御魔法を展開し攻撃に備えようとした次の瞬間、ディズィーとフェイトが予想もつかない出来事が起きた。

「だめぇぇぇぇぇ!」

なのはがフェイトとディズィーの間に飛び出してきたのだ。しかも、フェイトは防御魔法を展開し終え、ディズィーは剣を振り下ろす途中でしかもその周りにはウンディーネの放った氷の刃と貝の生物も迫っているという最悪のタイミングだった。ウンディーネの放ったものは遠隔操作が出来ずディズィーも剣を振り下ろした後なので止める事が出来ない。通常、このまま行けばなのははディズィーの攻撃を受けてしまうことになる。そう、通常ならば。
ディズィーは己の体全身に無理矢理法力を駆け巡らせた。それは、ディズィーやソル、前の世界で法術が使える一部のものが戦闘時に使用していた技だった。全身に法力を駆け巡らせることにより強制的に行動をキャンセルしニュートラルの状態に戻すフェイントや一対多のときに用いられる技だった。
ディズィーはその技を使い強制的に行動を停止させ、ネクロ、ウンディーネと共になのはに迫っていた全ての氷刃と貝の生物を打ち落とした。しかし、それを行ったことにより大きな隙が出来、フェイトはそれを見逃さなかった。
フェイトはなのはをディズィーに向かって突き飛ばし―、

『リングバインド』

なのはとディズィーを捕縛魔法により二人を束縛する。なのはは突然の事で対応できず、ディズィーは破壊しようと思えば出来るがなのはが一緒な為それが出来なかった。
フェイトは二人を束縛した後移動魔法を使いジュエルシードへと高速で移動しバルディッシュを近づけた。

『ジュエルシードシリアルナンバー20捕獲』
『アルフ、こっちはジュエルシードを確保できたそっちは―』

ジュエルシードを捕獲しすぐさま相棒の使い魔であるアルフに連絡しようとした時、木々をなぎ倒しながら目の前に大きな狼が吹き飛ばされてきた。そのオレンジ色に染まった毛色は所々が黒く焦げ煙を上げていた。

「ア、アルフ!」

フェイトはオレンジ色の狼、アルフに声をかけながら近寄り無事を確かめる。

「フェ、フェイト、無事かい?ジュエル…くっ、シードは、捕獲、できたかい?」
「う、うん。それよりアルフは!?何があったの?」

痛みを我慢しながらもフェイトの無事とジュエルシードのことを聞くアルフ、困惑しながらもアルフの質問に答え、アルフの身に何が起きたのか尋ねるフェイト。

「そうかい、それなら…よかった。すぐに逃げるよ。」
「でも、もう一個のジュエルシードは―」

フェイトは直ぐにでも逃走しようと提案するアルフに質問しようとした時、アルフが飛ばされてきた方向から枝を折りながこちらに向かってくる足音が聞こえその足音の聞こえる方へと顔を向けた。

「ちっ、末子のペットがいた時点で予想はしていたがめんどくせぇ事になってやがる」

そこに姿を現したのは赤を基調とした服を身にまとい左手で剣を逆手に持ちながら悠然とフェイト達に歩み寄ってくるソルの姿があった。






あとがき

先ずは皆様こんなに合間を空けたこと申し訳ございませんでした。
言い訳にしか聞こえませんが仕事や身の回りのことで執筆に手が回りませんでした。
今現在は、時間を見つけては執筆作業をして何とか10話目を完成させることが出来ました。以前板移動の話をしていましたがこんな更新速度なので移動はしない方向で行きたいと思います。

さてさて、今回はフェイトVSディズィー。アニメで言うと5話目ところですね。
う~ん、若干なのはが空気になってしまった感がある。
そしてやはり戦闘描写が難しい…orz
そんでもって、ソルがなのは、フェイトとご対面。これからの展開はどうなる事やら、とりあえずがんばって執筆していきたいと思います。
現在プレビューでの確認が出来ない状態っぽいので変なところがあったら教えていただけると助かります。

そんなわけで、その場のノリと思いつきだけで構成されている駄文ですが見てくださる方、ありがとうございます。
これからも、温かい目もしくは生暖かい目で見てくれるとうれしいです。

では、ご指摘やアドバイス、誤字脱字の報告と純粋な感想などお待ちしています。



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